説明

食品保存庫

【課題】外気が食品保存領域の内部に直接流入することなく効率良く二酸化炭素の濃度を高めることができる食品保存庫を提供する。
【解決手段】内部に略密閉状態の食品保存領域3を規定する箱体4と、箱体4の内部へ、箱体4の外気から二酸化炭素のみを選択的に透過させる二酸化炭素分離膜5と、箱体4の内部の気体を箱体4の外部へ排出し、箱体4の内部の気圧を下げる気圧制御機構6とを備えた。これにより、外気が食品保存領域の内部に直接流入することなく、効率良く食品保存領域の内部の二酸化炭素の濃度を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜や青果などの食品を保存する食品保存庫に関する。
【背景技術】
【0002】
青果などを新鮮な状態に長く保つ方法として、CA(Controlled Atmosphere)貯蔵が知られている。CA貯蔵とは、青果などを保存する雰囲気の二酸化炭素の濃度を高めつつ酸素濃度を下げることにより青果などの呼吸を抑制し、青果などの腐敗を防止するという貯蔵方法である。
【0003】
ここで、酸素は青果などを新鮮な状態に保つための気体として必須の気体であるが、青果などの成熟や腐敗の進行にも深く関与している。このため、青果などを保存した食品保存庫の内部の酸素を不活性ガス、すなわち二酸化炭素で置換することにより、青果などの成熟や腐敗を抑制することができる。
【0004】
CA貯蔵の研究は、1920年後半〜1930年前半にイギリスでスタートしたと言われている。当時のCA貯蔵は、二酸化炭素が発芽を抑える働きを有しているという知見を基に、ケンブリッジ大学低温研究所のキッド博士と、国立デイットン研究所のウエスト博士とが、気体雰囲気を調整した貯蔵(通称「ガス貯蔵」と呼ばれている)を確立することをテーマに行なった。
【0005】
上記の両博士らのガス貯蔵に関する研究報告によると、リンゴを0℃で保存することにより、室温で保存するときの約10分の1程度までリンゴの呼吸量を減少させることができるのに対し、ガス濃度を調整しても、大気下でのリンゴの呼吸量と比べて2分の1程度しかリンゴの呼吸量を減少させることができないということが示されている。すなわち、保存期間を永らえるという観点では、低温貯蔵がガス貯蔵よりも適していることが明らかとなった。
【0006】
このようにCA貯蔵の保存効果は、低温貯蔵ほどの保存効果が得られないものの、低温貯蔵とCA貯蔵とを併用することにより、さらなる長期の保存効果を得ることが期待される。そのためCA貯蔵に関する研究は、上述の研究に留まることなく現在に至るまでさらに進められてきた。
【0007】
現在、CA貯蔵の方式としては、簡易CA方式、Sulzer方式、Arcagen方式、および窒素発生器を用いたフラッシング法等がある。上記のいずれのCA貯蔵の方式を用いるにしても、酸素を2〜5%程度の比較的低濃度にしつつ、二酸化炭素を2〜10%程度と比較的高濃度にすることにより、気体組成をコントロールすることが重要となる。
【0008】
上記のようなCA貯蔵を適用したものとして、以下の特許文献が挙げられる。特許文献1には、外気を野菜保存容器内に導入し、青果などの呼吸作用により発生した老化空気を排出するときに、二酸化炭素分離膜を用いて二酸化炭素を選択的に分離し、再び外気と二酸化炭素からなる混合気体として野菜保存容器内に導入するという技術が開示されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1に示される野菜保存庫に用いられる分離膜は、常圧かつ低温の使用条件において、二酸化炭素を分離する能力が不足していた。このため、分離膜で隔てられた空間のうちの一方に大きな圧力差を付加することにより二酸化炭素を分離する必要があり、結果として余分なエネルギーを要するという問題があった。
【0010】
そこで、上記の問題を解決する試みとして、特許文献2には、外気を野菜保存容器内に導入し、気体分離膜により分断された2つの空間のうちの一方の空間に吸引ブロワーを設け、老化した空気から二酸化炭素を分離する方法が開示されている。このように吸引ブロワーを設けることにより、2つの空間の圧力差を付加することなく、二酸化炭素を分離することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平1-102282号公報
【特許文献2】特開平3-232423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に示される食品保存庫では、外気が食品保存庫に直接流入するため(特許文献1の図1および特許文献2の図1参照)、酸素濃度が上昇しやすく、且つ二酸化炭素の濃度が低下しやすい。このため、青果などの成熟や腐敗を抑制するためには、さらに余分なエネルギーを要するという問題があった。
【0013】
この発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、外気が食品保存領域の内部に直接流入することなく、効率良く食品保存領域の内部の二酸化炭素の濃度を高めることができる食品保存庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明の食品保存庫のある局面に従えば、開閉部および収容部を有し、内部に略密閉状態の食品保存領域を規定する箱体と、開閉部または収容部に設けられ、箱体の内部へ、箱体の外部の空気から二酸化炭素のみを選択的に透過させる二酸化炭素分離膜と、開閉部または収容部に設けられ、箱体の内部の気体を箱体の外部へ排出し、箱体の内部の気圧を下げる気圧制御機構と、を備えている。
【0015】
上記発明の他の形態においては、食品保存領域の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度センサと、二酸化炭素濃度センサの検出値または予め設定しておいた時間間隔により気圧制御機構を駆動させる制御装置と、をさらに備えている。
【0016】
この発明の食品保存庫の別の局面に従えば、開閉部および収容部を有し、内部に略密閉状態の食品保存領域を規定する箱体と、内部に略密閉状態の二酸化炭素蓄積領域を規定する気体排出ユニットと、気体排出ユニットに設けられ、気体排出ユニットの内部へ、箱体および気体排出ユニットの外部の空気から二酸化炭素のみを選択的に透過させる二酸化炭素分離膜と、気体排出ユニットに設けられ、気体排出ユニットの内部の気体を箱体および気体排出ユニットの外部へ排出し、気体排出ユニットの内部の気圧を下げる第1の気圧制御機構と、二酸化炭素蓄積領域から食品保存領域を連通する気体排出口と、気体排出口を開閉する第1の制御装置と、を備えている。
【0017】
上記発明の他の形態においては、箱体は、食品保存領域を略密閉状態の2以上の個別食品保存領域に規定する仕切壁を有し、個別食品保存領域のそれぞれには、二酸化炭素蓄積領域から個別食品保存領域を連通する気体排出口が設けられ、第1の制御装置は、気体排出口をそれぞれ開閉している。
【0018】
上記発明の他の形態においては、内部に略密閉状態の酸素蓄積領域を規定し、二酸化炭素蓄積領域から酸素蓄積領域を連通する連通部を有し、連通部に二酸化炭素分離膜が設けられる酸素吸引ユニットと、気体排出ユニットと酸素吸引ユニットとの間に設けられ、酸素吸引ユニットの内部へ、気体排出ユニットの内部の空気から酸素のみを選択的に透過させる酸素分離器と、酸素吸引ユニットに設けられ、酸素吸引ユニットの内部の気体を箱体、気体排出ユニットおよび酸素吸引ユニットの外部へ排出し、酸素吸引ユニットの内部の気圧を、気体排出ユニットの内部の気圧より低く下げる第2の気圧制御機構と、をさらに備えている。
【0019】
上記発明の他の形態においては、酸素分離器は、微多孔性の支持体の表面にポリジメチルシロキサンまたはブチルゴムを修飾させた酸素分離膜となっている。
【0020】
上記発明の他の形態においては、食品保存領域の二酸化炭素濃度を検出する第1の二酸化炭素濃度センサをさらに備え、第1の制御装置は、第1の二酸化炭素濃度センサの検出値または予め設定しておいた時間間隔により気体排出口を開閉している。
【0021】
上記発明の他の形態においては、二酸化炭素蓄積領域の二酸化炭素濃度を検出する第2の二酸化炭素濃度センサと、第2の二酸化炭素濃度センサの検出値または予め設定しておいた時間間隔により第1の気圧制御機構を駆動させる第2の制御装置と、をさらに備えている。
【0022】
上記発明の他の形態においては、酸素蓄積領域の二酸化炭素濃度を検出する第3の二酸化炭素濃度センサと、第3の二酸化炭素濃度センサの検出値または予め設定しておいた時間間隔により第2の気圧制御機構を駆動させる第3の制御装置と、をさらに備えている。
【0023】
上記発明の他の形態においては、二酸化炭素分離膜の二酸化炭素の透過方向における厚さまたは二酸化炭素分離膜の表面積を調整することにより、二酸化炭素分離膜の二酸化炭素透過性能を設定している。
【0024】
上記発明の他の形態においては、二酸化炭素分離膜に対する気圧を調整することにより、二酸化炭素分離膜の二酸化炭素透過性能を設定している。
【0025】
上記発明の他の形態においては、箱体の内部に空気循環機構をさらに備えている。
【0026】
上記発明の他の形態においては、二酸化炭素分離膜は、微多孔性の支持体の表面にポリアミドアミン系デンドリマを修飾させた二酸化炭素分離膜となっている。
【0027】
上記発明の他の形態においては、二酸化炭素分離膜は、中空糸膜束にポリアミドアミン系デンドリマを修飾させた二酸化炭素分離膜となっている。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、上記の構成により、外気が食品保存領域の内部に直接流入することなく、効率良く食品保存領域の内部の二酸化炭素の濃度を高めることができる食品保存庫を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態1における食品保存庫の構成を示す図である。
【図2】図1におけるII-II線に関する矢視断面図である。
【図3】実施の形態1における食品保存庫の他の構成を示す斜視図である。
【図4】図3におけるIV-IV線に関する矢視断面図である。
【図5】本発明の二酸化炭素分離膜として用いられる、微多孔性の支持体の表面にポリアミドアミン系デンドリマを修飾させた二酸化炭素分離膜を示す模式図である。
【図6】本発明の二酸化炭素分離膜として用いられる、中空糸膜束にポリアミドアミン系デンドリマを修飾させた二酸化炭素分離膜を示す模式図である。
【図7】実施の形態1における食品保存庫に管路を追加した縦断面図である。
【図8】実施の形態2における食品保存庫の構成を示す斜視図である。
【図9】図8におけるIX-IX線に関する矢視断面図である。
【図10】実施の形態2における他の箱体が採用された食品保存庫の構成を示す斜視図である。
【図11】図10におけるXI-XI線に関する矢視断面図である。
【図12】実施の形態3における食品保存庫の構成を示す斜視図である。
【図13】図12におけるXIII-XIII線に関する矢視断面図である。
【図14】実施の形態3において、中空糸膜束にポリアミドアミン系デンドリマを修飾させた二酸化炭素分離膜と、中空糸膜束にポリジメチルシロキサンまたはブチルゴムを修飾させた酸素分離膜とを直列に結合させて用いるものを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明に基づいた各実施の形態における食品保存庫について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する各実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0031】
(実施の形態1)
(構成)
図1および図2を参照して、実施の形態1に係る食品保存庫について説明する。食品保存庫は箱体4を備えており、この箱体4は食品などを出し入れするための開閉部1、および食品などを収容するための収容部2を有している。箱体4は、内部に略密閉状態の食品保存領域3を規定している。
【0032】
収容部2には、箱体4の内部へ、箱体4の外部の空気52から二酸化炭素53のみを選択的に透過させる二酸化炭素分離膜5が設けられている。すなわち、二酸化炭素分離膜5は食品保存領域3と箱体4の外部の空気52との間に設けられている。
【0033】
また、収容部2には、箱体4の内部の気体51を箱体4の外部へ排出し、箱体4の内部の気圧を下げる気圧制御機構6が設けられている。すなわち、気圧制御機構6は食品保存領域3と箱体4の外部の空気52との間に設けられている。なお、この気圧制御機構6には減圧ポンプやファンなどを用いることができる。
【0034】
(作用・効果)
上述の構成により、食品保存庫の使用者は、開閉部1を開くことでさまざまな青果を箱体4の内部、すなわち食品保存領域3に収容することができる。食品保存領域3に収容された青果などは、呼吸作用により食品保存領域3の二酸化炭素を減少させ、同時に酸素を増加させる。なお、この状態が続くと青果などの成熟や腐敗が進行する。
【0035】
ここで、気圧制御機構6は箱体4の内部の気体51を箱体4の外部へ気体50として排出している。より具体的には、気圧制御機構6は、青果などの呼吸作用により減少した二酸化炭素、増加した酸素、そしてもともと存在していた窒素などの気体51を、箱体4の内部から箱体4の外部へ気体50として排出している。このため、箱体4の内部の気圧は箱体4の外部に比べて低く、箱体4の内部の気圧と箱体4の外部の気圧との間に分圧差が生じている。
【0036】
このとき、二酸化炭素分離膜5を挟んでこの分圧差を平衡状態にしようとする力が生じるため、箱体4の外部の空気52は二酸化炭素分離膜5を通過して箱体4の内部へ進入しようとする。二酸化炭素分離膜5は二酸化炭素のみを選択的に透過させるため、二酸化炭素53のみが箱体4の内部に進入することができる。したがって、箱体4の食品保存領域3の内部には直接外気が流入しないため、二酸化炭素の濃度を効率良く高めることが可能となり、結果として青果などの新鮮な状態をより長く保つことができる。
【0037】
(実施の形態1に関する他の構成)
上述において、二酸化炭素分離膜5を箱体4の収容部2に設けたが、二酸化炭素分離膜5を箱体4の開閉部1に設けても良い。また、気圧制御機構6は箱体4の収容部2に設けたが、気圧制御機構6を箱体4の開閉部1に設けても良い。この構成により、開閉部1を閉じた状態で箱体4の内部に略密閉状態の食品保存領域3が規定されることで、上述したものと同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
また、図3および図4を参照して、箱体4の収容部2の内側に、収容部2により左右方向に移動自在に支持される収容箱2Aを設けても良い。収容箱2Aと開閉部1とを固定し、開閉部1の左右方向(図4)の移動に伴って収容箱2Aが移動するようにする。この構成により、食品保存庫の使用者は青果などの出し入れを容易に行なうことが可能となる。
【0039】
また、図5を参照して、二酸化炭素分離膜5は、微多孔性の支持体40の表面にポリアミドアミン系デンドリマ41を修飾させた二酸化炭素分離膜であると良い。この修飾の方法は、たとえばポリアミドアミン系デンドリマのペンタン溶媒を微多孔性の支持体に塗布することでよい。このような二酸化炭素分離膜を用いることで、二酸化炭素がポリアミドアミン系デンドリマ中のアミノ基に引き寄せられることになり、二酸化炭素分離膜5による二酸化炭素の選択性を高めることができる。
【0040】
ここで、1トンの二酸化炭素を分離するために必要なエネルギー(GJ/ton−CO)は、ポリアミドアミン系デンドリマによる高分子膜分離が0.7である。一方、他の物理吸着剤は3.1〜6.5、物理吸収剤は1.7、化学吸収剤は2.9〜4.0である。したがって、ポリアミドアミン系デンドリマを本発明の二酸化炭素分離膜5として用いることにより、二酸化炭素の濃度をより効率良く高めることが可能となり、結果として青果などの新鮮な状態を長く保つことができる。なお、二酸化炭素分離膜5の形状は平面状の膜に限らず、二酸化炭素透過性能を向上させるという観点から、筒状であっても、波状であってもよい。
【0041】
また、二酸化炭素分離膜5の二酸化炭素の透過方向における厚さまたは二酸化炭素分離膜5の表面積を調整することにより、二酸化炭素分離膜5の二酸化炭素透過性能を設定すると良い。特に、二酸化炭素分離膜5の二酸化炭素の透過方向における厚さを10μm以上500μm以下、二酸化炭素分離膜5の表面積を0.1cm以上100cm以下とすることが良く、この範囲において、所望の二酸化炭素透過性能に設定することができる。
【0042】
また、二酸化炭素分離膜5に対する気圧を調整することにより、二酸化炭素分離膜5の二酸化炭素透過性能を設定しても良い。特に、二酸化炭素分離膜5に対する気圧は、1hPa以上100hPa以下が良い。また、より好ましくは、二酸化炭素分離膜5に対する気圧は、5hPa以上100hPa以下が良い。この範囲において、所望の二酸化炭素透過性能に設定することができる。
【0043】
ここで、長期保存に適した二酸化炭素濃度は食品ごとに異なり、リンゴは3%、ニンジンは5〜8%、カキは8%、ジャガイモは2〜3%、ハクサイは6〜9%として知られている。したがって、上述の構成により、所望の二酸化炭素透過性能に設定し、各種野菜や青果に応じた最適な二酸化炭素濃度の雰囲気を作り出すことができる。結果として、新鮮な状態を長く保つことが可能となり、特に、業務用などの食品保存庫など1種類の野菜や青果などを収容する場合に有用である。
【0044】
また、図6を参照して、二酸化炭素分離膜5は、中空糸膜束42にポリアミドアミン系デンドリマ41を修飾させた二酸化炭素分離膜であると良い。このような二酸化炭素分離膜を用いることで、気体が進入するときの圧力を損失することなく、膜の表面積を増加させることができ、分離できる二酸化炭素の体積を増加させることができる。結果として、効率良く二酸化炭素の濃度を高めることができる。なお、中空糸膜束は、たとえばポリイミド膜、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)膜を用いると良い。
【0045】
また、図7を参照して、箱体4から排出された気体50を二酸化炭素分離膜5の方向へ案内し、排出された気体50と二酸化炭素分離膜5へ進入しようとする空気52とを混合させるための管路4Aを設けると良い。気圧制御機構6を連続的に稼動すると、箱体4から排出された気体50にも二酸化炭素を多く含む場合がある。この構成により、箱体4から排出された気体50と空気52とを混合させることで、二酸化炭素を再び二酸化炭素分離膜5を介して食品保存領域3に取り込むことができるので、二酸化炭素の濃度をより効率良く高めることが可能となる。
【0046】
また、食品保存領域3の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度センサ7と、この二酸化炭素濃度センサ7の検出値または予め設定しておいた時間間隔により気圧制御機構6を駆動させる制御装置8とを備えていると良い。ここで、この二酸化炭素濃度センサ7は微量の二酸化炭素を高精度で検出することができるという観点から、非分散型の赤外分光型センサを用いると良い。
【0047】
この構成により、気圧制御機構6を必要なときにのみ駆動させることが可能となり、食品保存庫の消費エネルギーを低くすることができる。すなわち、食品保存領域3に収容された青果などの呼吸作用により食品保存領域3の二酸化炭素が減少し、食品保存領域3の二酸化炭素濃度が所定の値を下回ったことを二酸化炭素濃度センサ7が検出する。これをきっかけとして、気圧制御機構6を駆動させることが可能となる。また、予め設定しておいた時間間隔で気圧制御機構6を駆動させても良い。
【0048】
また、箱体4は、食品保存領域3の内部に含まれる各種気体の分圧を均一にするための空気循環機構14を備えていても良い。この構成により、青果などの成熟を進行させる雰囲気が青果などの周辺に滞留することを防ぐことが可能となり、結果として青果などの新鮮な状態をより長く保つことができる。
【0049】
また、二酸化炭素濃度センサ7を設けた場合には、この空気循環機構14により、二酸化炭素濃度センサ7が食品保存領域3の内部のより正確な二酸化炭素濃度を検出することができる。結果として、気圧制御機構6をより的確なときに駆動させることが可能となり、食品保存庫の消費エネルギーを低くすることができる。
【0050】
(参考実験結果1)
実施の形態1における食品保存庫を用いて二酸化炭素の濃度を高める実験を行なった。このとき、二酸化炭素分離膜5として、ポリイミド膜製の中空糸フィルタの表面に1Mの濃度にグリセリン溶媒で調整したポリアミドアミン系デンドリマを修飾させたものを用いた。
【0051】
また、食品保存領域3の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度センサ7と、食品保存領域3の内部に含まれる各種気体の分圧を均一にするための空気循環機構14とを用いた。また、箱体4から排出された気体50と、二酸化炭素分離膜5へ進入しようとする空気52とを混合させるための管路4Aを用いた。このとき、食品保存領域3の外部の気体は、二酸化炭素1.4%、酸素21%、および窒素77.6%の組成比であった。
【0052】
この状態で、気圧制御機構6を用いて、湿度80%、温度6℃に設定された食品保存領域3の内部の気体を箱体4の外部へ3時間排出し続けた。その結果、食品保存領域3の内部に設けた二酸化炭素濃度センサ7は2.1%〜2.8%の範囲を示し続けた。このことから、実施の形態1における食品保存庫を用いて、食品保存領域3の内部の二酸化炭素の濃度を高めることが可能であることが明らかとなった。
【0053】
(実施の形態2)
(構成)
図8および図9を参照して、実施の形態2に係る食品保存庫について説明する。食品保存庫は箱体4を備えており、この箱体4は食品などを出し入れするための開閉部1、および収容部2を有している。箱体4は、内部に略密閉状態の食品保存領域3を規定している。
【0054】
また、箱体4の収容部2の内側には、収容部2により左右方向に移動自在に支持される収容箱2Aが設けられている。収容箱2Aと開閉部1とは固定されており、開閉部1の左右方向(図9)の移動に伴って収容箱2Aが移動する。
【0055】
食品保存庫は、箱体4の上方に気体排出ユニット10を備えている。気体排出ユニット10は内部に略密閉状態の二酸化炭素蓄積領域9を規定する。また、気体排出ユニット10には、気体排出ユニット10の内部へ、箱体4および気体排出ユニット10の外部の空気62から二酸化炭素のみを選択的に透過させる二酸化炭素分離膜5が設けられている。すなわち、二酸化炭素分離膜5は、二酸化炭素蓄積領域9と、箱体4および気体排出ユニット10の外部の空気62との間に設けられている。
【0056】
また、気体排出ユニット10には、気体排出ユニット10の内部の気体61を箱体4および気体排出ユニット10の外部へ排出し、気体排出ユニット10の内部の気圧を下げる第1の気圧制御機構6Aが設けられている。すなわち、第1の気圧制御機構6Aは、二酸化炭素蓄積領域9と、箱体4および気体排出ユニット10の外部の空気62との間に設けられている。なお、この第1の気圧制御機構6Aには減圧ポンプやファンなどを用いることができる。
【0057】
箱体4と気体排出ユニット10との間には、二酸化炭素蓄積領域9から食品保存領域3を連通する気体排出口11が設けられている。すなわち、気体排出口11を介して、気体排出ユニット10と箱体4とは接している。また、気体排出ユニット10の内部には気体排出口11を開閉する第1の制御装置8Aが設けられている。なお、第1の制御装置8Aは気体排出ユニット10の外部や、食品保存領域3の内部などに設けられていてもよい。
【0058】
(作用・効果)
上述の構成により、実施の形態1と同様に、食品保存庫の使用者はさまざまな青果を食品保存領域3に収容することができる。そして、食品保存領域3に収容された青果などは食品保存領域3の二酸化炭素を減少させ、同時に酸素を増加させる。なお、この状態が続くと青果などの成熟や腐敗が進行する。
【0059】
ここで、第1の制御装置8Aにより気体排出口11が閉じている場合を考える。第1の気圧制御機構6Aは気体排出ユニット10の内部の気体61を、箱体4および気体排出ユニット10の外部へ気体60として排出している。このため、気体排出ユニット10の内部の気圧は気体排出ユニット10の外部の気圧に比べて低く、気体排出ユニット10の内部の気圧と気体排出ユニット10の外部の気圧との間に分圧差が生じている。
【0060】
このとき、二酸化炭素分離膜5を挟んでこの分圧差を平衡状態にしようとする力が生じるため、箱体4および気体排出ユニット10の外部の空気62は二酸化炭素分離膜5を通過して気体排出ユニット10の内部へ進入しようとする。二酸化炭素分離膜5は二酸化炭素のみを選択的に透過させるため、二酸化炭素63のみが箱体4の内部に進入することができる。
【0061】
したがって、気体排出ユニット10には直接外気が流入せず、気体排出ユニット10の内部には外気に比べて高い二酸化炭素を有する雰囲気が作られる。この状態で、第1の制御装置8Aにより気体排出口11を開くと、多くの二酸化炭素を含む気体64が箱体4の内部に進入する。これと同時に、もともと存在していた酸素を多く含む気体65は気体排出ユニット10の内部に流れ込み、食品保存領域3と二酸化炭素蓄積領域9との内部の分圧は全体として平衡状態に向かう。
【0062】
特に、実施の形態2に係る食品保存庫は、箱体4の上方に気体排出ユニット10を備えている。このため、二酸化炭素と酸素との比重の違いを利用して、二酸化炭素蓄積領域9から進入する二酸化炭素を多く含む気体64は早く下方に進み、一方、もともと存在していた酸素を多く含む気体65は早く上方に進む。結果として、短時間で食品保存領域3の二酸化炭素濃度の濃度を効率良く高めることが可能となり、青果などの新鮮な状態をより長く保つことができる。
【0063】
ここで、使用者が青果などの出し入れをするために開閉部1を開閉したときには、食品保存領域3に外気が多く流入し、二酸化炭素の濃度が低くなる。そのため、たとえば第1の制御装置8Aが開閉部1の開閉動作をきっかけとして気体排出口11を開くように設定してもよい。
【0064】
この構成により、使用者が青果などの出し入れをするために開閉部1を開閉したことをきっかけに、第1の制御装置8Aが気体排出口11を開き、予め二酸化炭素蓄積領域9に蓄積された二酸化炭素が食品保存領域3に進入する。したがって、二酸化炭素の濃度を効率良く、より短時間で高めることができる。
【0065】
この後は、たとえば所定の時間が経過したことを第1の制御装置8Aが判断し、気体排出口11を閉じることで、二酸化炭素蓄積領域9に対する二酸化炭素の蓄積が再び開始するよう構成してもよい。
【0066】
なお、第1の制御装置8Aが気体排出口11を常に開いていた場合は、結果として、上述の実施の形態1と同様な構成および作用効果が得られる。したがって、説明が重複するためここでは繰り返さないものとする。
【0067】
(実施の形態2に関する他の構成)
上述の実施の形態2では、使用者による開閉部1の開閉動作をきっかけに第1の制御装置8Aが気体排出口11を開くという構成について説明した。一方、食品保存領域3の内部に、食品保存領域3の二酸化炭素濃度を検出する第1の二酸化炭素濃度センサ7Aを備えていても良い。そして、第1の制御装置8Aは、第1の二酸化炭素濃度センサ7Aの検出値または予め設定しておいた時間間隔により気体排出口11を開いても良い。ここで、第1の二酸化炭素濃度センサ7Aは、微量の二酸化炭素を高精度で検出することができるという観点から、非分散型の赤外分光型センサを用いると良い。
【0068】
この構成により、上述の実施の形態2と同様の効果が得られる。すなわち、食品保存領域3の二酸化炭素が減少し、食品保存領域3の二酸化炭素濃度が所定の値を下回ったことを第1の二酸化炭素濃度センサ7Aが検出する。これをきっかけとして、気体排出口11を開くことが可能となる。また、予め設定しておいた時間間隔で気体排出口11を開いても良い。
【0069】
また、二酸化炭素蓄積領域9の二酸化炭素濃度を検出する第2の二酸化炭素濃度センサ7Bと、第2の二酸化炭素濃度センサ7Bの検出値または予め設定しておいた時間間隔により第1の気圧制御機構6Aを駆動させる第2の制御装置8Bとを備えていると良い。ここでも、第2の二酸化炭素濃度センサ7Bは、微量の二酸化炭素を高精度で検出することができるという観点から、非分散型の赤外分光型センサを用いると良い。
【0070】
この構成により、第1の気圧制御機構6Aを必要なときにのみ駆動させることが可能となり、食品保存庫の消費エネルギーを低くすることができる。すなわち、第2の二酸化炭素濃度センサ7Bが、二酸化炭素蓄積領域9の二酸化炭素が減少し、二酸化炭素蓄積領域9の二酸化炭素濃度が所定の値を下回ったことを検出する。これをきっかけとして、第1の気圧制御機構6Aを駆動させることが可能となる。また、予め設定しておいた時間間隔で第1の気圧制御機構6Aを駆動させても良い。
【0071】
なお、二酸化炭素蓄積領域9の内部に、二酸化炭素蓄積領域9の内部に含まれる各種気体の分圧を均一にするための空気循環機構14Bを設けても良い。この構成により、第2の二酸化炭素濃度センサ7Bが二酸化炭素蓄積領域9のより正確な二酸化炭素濃度を検出することができる。結果として、第1の気圧制御機構6Aをより的確なときに駆動させることが可能となり、食品保存庫の消費エネルギーを低くすることができる。
【0072】
また、実施の形態1と同様に、二酸化炭素分離膜5は、微多孔性の支持体40(図5)の表面にポリアミドアミン系デンドリマ41を修飾させた二酸化炭素分離膜であると良い。なお、二酸化炭素分離膜5の形状は平面状の膜に限らず、二酸化炭素透過性能を向上させるという観点から、筒状であっても、波状であってもよい。また、二酸化炭素分離膜5は中空糸膜束42(図6)にポリアミドアミン系デンドリマ41を修飾させた二酸化炭素分離膜であっても良い。この構成により、二酸化炭素の濃度をより効率良く高めることが可能となる。
【0073】
また、実施の形態1の図7で示した構成と同様に、気体排出ユニット10から排出された気体60を、二酸化炭素分離膜5の方向へ案内し、排出された気体60と二酸化炭素分離膜5へ進入しようとする空気62とを混合させるための管路を設けると良い。第1の気圧制御機構6Aを用いて連続的に稼動すると、気体ユニット10から排出された気体60にも二酸化炭素を多く含む場合がある。この構成により、排出された気体60と空気62とを混合させることで、二酸化炭素を再び二酸化炭素分離膜5を介して気体ユニット10に取り込むことができるので、二酸化炭素の濃度をより効率良く高めることが可能となる。
【0074】
また、実施の形態1と同様に、二酸化炭素分離膜5の二酸化炭素の透過方向における厚さまたは二酸化炭素分離膜5の表面積を調整することにより、二酸化炭素分離膜5の二酸化炭素透過性能を設定すること良い。さらに、二酸化炭素分離膜5に対する気圧を調整することにより、二酸化炭素分離膜5の二酸化炭素透過性能を設定しても良い。これらの構成により、所望の二酸化炭素透過性能に設定することで各種野菜や青果に応じた最適な二酸化炭素濃度の雰囲気(リンゴは3%、ニンジンは5〜8%、など)を作り出すことが可能になる。
【0075】
また、実施の形態1と同様に、食品保存領域3の内部に含まれる各種気体の分圧を均一にするための空気循環機構14Aを備えていても良い。この空気循環機構14Aは、予め二酸化炭素蓄積領域9に蓄積された二酸化炭素が食品保存領域3に進入するとき、空気循環機構14Aが二酸化炭素の広がりを促すため、食品保存領域3の二酸化炭素濃度をより短時間で高めることもできる。
【0076】
さらに、食品保存領域3の二酸化炭素濃度を検出する第1の二酸化炭素濃度センサ7Aを設けた場合には、この空気循環機構14Aにより、第1の二酸化炭素濃度センサ7Aが食品保存領域3の内部のより正確な二酸化炭素濃度を検出することができる。結果として、気体排出口11をより的確なときに開くことが可能となり、食品保存庫の消費エネルギーを低くすることができる。
【0077】
また、箱体4の上方ではなく、箱体4の左右や下方に気体排出ユニット10を備えていてもよい。この場合、二酸化炭素と酸素との比重を利用することはできないが、食品保存領域3と二酸化炭素蓄積領域9との内部の分圧は全体として平衡状態に向かうため、結果として、食品保存領域3の二酸化炭素濃度を高めることができる。
【0078】
(実施の形態2に仕切壁を設けた構成)
図10および図11を参照して、箱体4は、食品保存領域3を略密閉状態の2以上の個別食品保存領域13に規定する仕切壁12を有していると良い。そして、個別食品保存領域13のそれぞれには、二酸化炭素蓄積領域9から個別食品保存領域13を連通する気体排出口11が設けられ、第1の制御装置8Aは、気体排出口11をそれぞれ開閉すると良い。
【0079】
この構成により、仕切壁12により規定された2以上の個別食品保存領域13ごとに野菜や青果などを区別して収容することができる。そして、2以上の個別食品保存領域13ごとに収容された青果などは、それぞれの個別食品保存領域13の二酸化炭素を減少させ、同時に酸素を増加させる。
【0080】
ここで、実施の形態2と同様に、第1の気圧制御機構6Aは、気体排出ユニット10の内部の気体71を、箱体4および気体排出ユニット10の外部へ気体70として排出している。ここで分圧差が生じ、箱体4および気体排出ユニット10の外部の空気72は二酸化炭素分離膜5を通過して、二酸化炭素73のみが箱体4の内部に進入することができる。
【0081】
こうして気体排出ユニット10の内部には外気に比べて高い二酸化炭素を有する雰囲気が作られる。この状態で第1の制御装置8Aによりそれぞれの気体排出口11を開くと、多くの二酸化炭素を含む気体74がそれぞれの個別食品保存領域13の内部に進入する。これと同時に、もともと存在していた酸素を多く含む気体75は気体排出ユニット10に流れ込み、それぞれの個別食品保存領域13と二酸化炭素蓄積領域9は全体として平衡状態に向かう。
【0082】
上述のようにして、実施の形態2と同様に、短時間でそれぞれの個別食品保存領域13の二酸化炭素濃度の濃度を効率良く高めることが可能となり、結果として青果などの新鮮な状態をより長く保つことができる。このとき、使用者が青果などの出し入れをするために開閉部1を開閉したことをきっかけに、第1の制御装置8Aが気体排出口11を開いても良い。
【0083】
さらに、それぞれの個別食品保存領域13の二酸化炭素濃度を検出する第1の二酸化炭素濃度センサ7Aを備えていても良い。そして、第1の制御装置8Aは、それぞれの第1の二酸化炭素濃度センサ7Aの検出値または予め設定しておいた時間間隔により、それぞれの気体排出口11を開いても良い。
【0084】
この構成により、区別した野菜や青果が収容されているそれぞれの個別食品保存領域13に対して、最適な二酸化炭素濃度の雰囲気(リンゴは3%、ニンジンは5〜8%、など)を作り出すことが可能になり、結果として、複数種類の野菜や青果の新鮮な状態をより長く保つことが可能になる。上述の実施の形態1および実施の形態2では、業務用などの食品保存庫として1種類の野菜や青果などを収容する場合に特に有用であると説明したが、この仕切壁を設けることにより、業務用としてもさらに有用であるだけでなく、家庭用の食品保存庫としても極めて有用である。
【0085】
(実施の形態3)
(構成)
図12および図13を参照して、実施の形態3に係る食品保存庫について説明する。食品保存庫は箱体4を備えており、この箱体4は食品などを出し入れするための開閉部1、および収容部2を有している。箱体4は、内部に略密閉状態の食品保存領域3を規定している。
【0086】
また、箱体4の収容部2の内側には、収容部2により左右方向に移動自在に支持される収容箱2Aが設けられている。収容箱2Aと開閉部1とは固定されており、開閉部1の左右方向(図13)の移動に伴って収容箱2Aが移動する。
【0087】
食品保存庫は、箱体4の上方に気体排出ユニット10を備えており、この気体排出ユニット10は、内部に略密閉状態の二酸化炭素蓄積領域9を規定している。また、食品保存庫は、気体排出ユニット10の上方に酸素吸引ユニット15を備えており、この酸素吸引ユニット15は、内部に略密閉状態の酸素蓄積領域16を規定している。
【0088】
酸素吸引ユニット15は、気体排出ユニット10の内部の二酸化炭素蓄積領域9から酸素吸引ユニット15の内部の酸素蓄積領域16を連通する連通部18を有している。この連通部18には、気体排出ユニット10の内部へ、酸素吸引ユニット15の内部の気体82から二酸化炭素のみを選択的に透過させる二酸化炭素分離膜5が設けられている。すなわち、連通部18に設けられた二酸化炭素分離膜5を介して、気体排出ユニット10と酸素吸引ユニット15とは接している。
【0089】
気体排出ユニット10と酸素吸引ユニット15との間には、酸素吸引ユニット15の内部へ、気体排出ユニット10の内部の気体87から酸素のみを選択的に透過させる酸素分離器17が設けられている。すなわち、酸素分離器17を介して、気体排出ユニット10と酸素吸引ユニット15とは接している。
【0090】
気体排出ユニット10には、気体排出ユニット10の内部の気体88を酸素吸引ユニット15の内部へ排出し、気体排出ユニット10の内部の気圧を下げる第1の気圧制御機構6Aが設けられている。すなわち、第1の気圧制御機構6Aを介して、気体排出ユニット10と酸素吸引ユニット15とは接している。
【0091】
また、酸素吸引ユニット15には、酸素吸引ユニット15の内部の気体81を箱体4、気体排出ユニット10および酸素吸引ユニット15の外部へ排出し、酸素吸引ユニット15の内部の気圧を、気体排出ユニット10の内部の気圧より低く下げる第2の気圧制御機構6Bが設けられている。すなわち、第2の気圧制御機構6Bは、酸素蓄積領域16と、箱体4、気体排出ユニット10および酸素吸引ユニット15の外部の気体との間に設けられている。なお、第1の気圧制御機構6Aおよび第2の気圧制御機構6Bには減圧ポンプやファンなどを用いることができる。
【0092】
箱体4と気体排出ユニット10との間には、二酸化炭素蓄積領域9から食品保存領域3を連通する気体排出口11が設けられている。すなわち、気体排出口11を介して、箱体4と気体排出ユニット10とは接している。また、気体排出ユニット10の内部には気体排出口11を開閉する第1の制御装置8Aが設けられている。なお、第1の制御装置8Aは気体排出ユニット10の外部や、食品保存領域3の内部などに設けられていてもよい。
【0093】
(作用・効果)
上述の構成により、実施の形態1および実施の形態2と同様に、食品保存庫の使用者はさまざまな青果を食品保存領域3に収容することができる。そして、食品保存領域3に収容された青果などは食品保存領域3の二酸化炭素を減少させ、同時に酸素を増加させる。なお、この状態が続くと青果などの成熟や腐敗が進行する。
【0094】
ここで、第1の制御装置8Aにより気体排出口11が閉じている場合を考える。第1の気圧制御機構6Aは、気体排出ユニット10の内部の気体88を、酸素吸引ユニット15の内部へ気体81として排出している。このため、気体排出ユニット10の内部の気圧は酸素吸引ユニット15の内部の気圧に比べて低く、気体排出ユニット10の内部の気圧と酸素吸引ユニット15の内部の気圧との間に分圧差が生じている。
【0095】
このとき、二酸化炭素分離膜5および酸素分離器17を挟んでこの分圧差を平衡状態にしようとする力が生じる。この力により、酸素吸引ユニット15の内部の気体は二酸化炭素分離膜5および酸素分離器17を通過して気体排出ユニット10の内部へ進入しようとする。
【0096】
二酸化炭素分離膜5は、箱体4および気体排出ユニット10の外部の空気、すなわち酸素吸引ユニット15の内部の気体82から二酸化炭素のみを選択的に透過させるため、二酸化炭素83のみが気体排出ユニット10の内部に進入することができる。
【0097】
一方、酸素分離器17は、酸素吸引ユニット15の内部へ、気体排出ユニット10の内部の空気から酸素のみを選択的に透過させる。つまり、酸素吸引ユニット15の内部の酸素は、気体排出ユニット10の内部に進入することはできない。したがって、気体排出ユニット10には直接外気が流入せず、気体排出ユニット10の内部には外気に比べて高い二酸化炭素濃度を有する雰囲気が作られる。
【0098】
酸素吸引ユニット15に設けられている第2の気圧制御機構6Bは、酸素吸引ユニット15の内部の気体を箱体4、気体排出ユニット10および酸素吸引ユニット15の外部へ気体80として排出している。そして、第2の気圧制御機構6Bは、酸素吸引ユニット15の内部の気圧を、気体排出ユニット10の内部の気圧より低く下げている。
【0099】
より具体的には、第1の気圧制御機構6Aにより作られた分圧差は二酸化炭素83が気体排出ユニット10の内部に進入することで平衡状態に近づく。この平衡状態の下、第2の気圧制御機構6Bは、酸素吸引ユニット15の内部の気体を箱体4、気体排出ユニット10および酸素吸引ユニット15の外部へ排出している。よって、気体排出ユニット10の内部および酸素吸引ユニット15の内部を、常に減圧しようとする力が作用する。
【0100】
このような第2の気圧制御機構6Bにより、酸素吸引ユニット15の内部の気圧と気体排出ユニット10の内部の気圧との間にはさらに分圧差が生じ、二酸化炭素分離膜5および酸素分離器17を挟んでこの分圧差を平衡状態にしようとする力が生じる。この力により、気体排出ユニット10の内部の気体は二酸化炭素分離膜5および酸素分離器17を通過して酸素吸引ユニット15の内部へ進入しようとする。
【0101】
酸素分離器17は、酸素吸引ユニット15の内部へ、気体排出ユニット10の内部の気体87から酸素86のみを選択的に透過させるため、酸素86のみが酸素吸引ユニット15の内部に進入することができる。
【0102】
一方、二酸化炭素分離膜5は、箱体4および気体排出ユニット10の外部の気体、すなわち酸素吸引ユニット15の内部の気体82から二酸化炭素のみを選択的に透過させる。つまり、気体排出ユニット10の内部の二酸化炭素は、酸素吸引ユニット15の内部に進入することはできない。したがって、結果として気体排出ユニット10の内部には二酸化炭素が多くかつ酸素が少ない雰囲気が作られる。
【0103】
この状態で、第1の制御装置8Aにより気体排出口11を開くと、二酸化炭素が多くかつ酸素が少ない気体84が箱体4の内部に進入する。これと同時に、もともと存在していた酸素を多く含む気体85は気体排出ユニット10の内部に流れ込み、食品保存領域3と二酸化炭素蓄積領域9との内部の分圧は全体として平衡状態に向かう。
【0104】
特に、実施の形態3に係る食品保存庫は、実施の形態2と同様に箱体4の上方に気体排出ユニット10を備えているため、二酸化炭素と酸素との比重の違いを利用して、食品保存領域3の二酸化炭素濃度を効率良くより短時間で高めることができる。結果として、青果などの新鮮な状態をより長く保つことが可能となる。
【0105】
ここで、実施の形態2と同様に、使用者が青果などの出し入れをするために開閉部1を開閉したことをきっかけに、第1の制御装置8Aが気体排出口11を開くよう構成しても良い。また、たとえば所定の時間が経過したことを第1の制御装置8Aが判断し、気体排出口11を閉じることで、二酸化炭素蓄積領域9に対する二酸化炭素の蓄積が再び開始するよう構成してもよい。この構成により、二酸化炭素の濃度を効率良く、より短時間で高めることができる。
【0106】
なお、第1の制御装置8Aが気体排出口11を常に開いていた場合は、結果として、二酸化炭素が多くかつ酸素が少ない気体84が食品保存領域3に連続的に進入し、二酸化炭素が少なくかつ二酸化炭素が少ない気体85が食品保存領域3から排出される。このような構成でも、箱体4には直接外気が流入しないため、二酸化炭素の濃度を効率良く高めることが可能となり、青果などの新鮮な状態をより長く保つことができる。
【0107】
(実施の形態3に関する他の構成)
上述の実施の形態3では、使用者による開閉部1の開閉動作をきっかけに第1の制御装置8Aが気体排出口11を開くという構成について説明した。一方、実施の形態2に関する他の構成で説明したように、食品保存領域3の内部に、食品保存領域3の二酸化炭素濃度を検出する第1の二酸化炭素濃度センサ7Aを備えていても良い。そして、第1の制御装置8Aは、第1の二酸化炭素濃度センサ7Aの検出値または予め設定しておいた時間間隔により気体排出口11を開いても良い。この構成により、実施の形態2に関する他の構成で説明したものと同様の作用効果が得られる。
【0108】
また、二酸化炭素蓄積領域9の二酸化炭素濃度を検出する第2の二酸化炭素濃度センサ7Bと、第2の二酸化炭素濃度センサ7Bの検出値または予め設定しておいた時間間隔により第1の気圧制御機構6Aを駆動させる第2の制御装置8Bとを備えていると良い。
【0109】
この構成により、第1の気圧制御機構6Aを必要なときにのみ駆動させることが可能となり、食品保存庫の消費エネルギーを低くすることができる。すなわち、第2の二酸化炭素濃度センサ7Bが、二酸化炭素蓄積領域9の二酸化炭素が減少し、二酸化炭素蓄積領域9の二酸化炭素濃度が所定の値を下回ったことを検出する。これをきっかけとして、第1の気圧制御機構6Aを駆動させることが可能となる。また、予め設定しておいた時間間隔で第1の気圧制御機構6Aを駆動させても良い。
【0110】
なお、実施の形態2に関する他の構成と同様に、二酸化炭素蓄積領域9の内部に、二酸化炭素蓄積領域9の内部に含まれる各種気体の分圧を均一にするための空気循環機構14Bを設けても良い。この構成により、食品保存庫の消費エネルギーを低くすることができる。
【0111】
また、酸素蓄積領域16の二酸化炭素濃度を検出する第3の二酸化炭素濃度センサ7Cと、第3の二酸化炭素濃度センサ7Cの検出値または予め設定しておいた時間間隔により第2の気圧制御機構6Bを駆動させる第3の制御装置8Cとを備えていると良い。ここでも、第3の二酸化炭素濃度センサ7Cは、微量の二酸化炭素を高精度で検出することができるという観点から、非分散型の赤外分光型センサを用いると良い。
【0112】
この構成により、第2の気圧制御機構6Bを必要なときにのみ駆動させることが可能となり、食品保存庫の消費エネルギーを低くすることができる。すなわち、第3の二酸化炭素濃度センサ7Cが、酸素蓄積領域16の二酸化炭素が減少し、酸素蓄積領域16の二酸化炭素濃度が所定の値を下回ったことを検出する。これをきっかけとして、第2の気圧制御機構6Bを駆動させ、気体排出ユニット10から酸素のみを選択的に透過させ、気体排出ユニット10の酸素濃度をより低くすることが可能となる。また、予め設定しておいた時間間隔で第2の気圧制御機構6Bを駆動させても良い。
【0113】
また、酸素蓄積領域16の内部に、酸素蓄積領域16の内部に含まれる各種気体の分圧を均一にするための空気循環機構14Cを設けても良い。この構成により、第3の二酸化炭素濃度センサ7Cが酸素蓄積領域16のより正確な二酸化炭素濃度を検出することができる。結果として、第2の気圧制御機構6Bをより的確なときに駆動させることが可能となり、食品保存庫の消費エネルギーを低くすることができる。
【0114】
また、実施の形態1および実施の形態2と同様に、二酸化炭素分離膜5は、微多孔性の支持体40(図5)の表面にポリアミドアミン系デンドリマ41を修飾させた二酸化炭素分離膜であると良い。なお、二酸化炭素分離膜5の形状は平面状の膜に限らず、二酸化炭素透過性能を向上させるという観点から、筒状であっても、波状であってもよい。また、二酸化炭素分離膜5は中空糸膜束42(図6)にポリアミドアミン系デンドリマ41を修飾させた二酸化炭素分離膜であっても良い。この構成により、二酸化炭素の濃度をより効率良く高めることが可能となる。
【0115】
また、実施の形態1および実施の形態2と同様に、二酸化炭素分離膜5の二酸化炭素の透過方向における厚さまたは二酸化炭素分離膜5の表面積を調整することにより、二酸化炭素分離膜5の二酸化炭素透過性能を設定すること良い。さらに、二酸化炭素分離膜5に対する気圧を調整することにより、二酸化炭素分離膜5の二酸化炭素透過性能を設定しても良い。
【0116】
また、実施の形態1および実施の形態2と同様に、食品保存領域3の内部に空気循環機構14Aを備えていても良い。また、箱体4の上方ではなく、箱体4の左右や下方に気体排出ユニット10を備えていてもよい。同様に、気体排出ユニット10の上方ではなく、気体排出ユニット10の左右などに酸素吸引ユニット15を備えていてもよい。
【0117】
また、酸素分離器17は、微多孔性の支持体の表面にポリジメチルシロキサンまたはブチルゴムを修飾させた酸素分離膜であると良い。この修飾の方法は、たとえばポリジメチルシロキサンのペンタン溶媒を微多孔性の支持体に塗布することでよい。このような酸素分離器を用いることで酸素の選択性を高めることができる。また、酸素分離器17は中空糸膜束にポリジメチルシロキサンまたはブチルゴムを修飾させた酸素分離膜であっても良い。
【0118】
なお、上述においては、二酸化炭素分離膜5を中空糸膜束で構成しても良いし、酸素分離器17を中空糸膜束で構成しても良いと説明した。すなわち、これらを並列で配置するという構成であっても良いと説明したが、これらを直接に結合するものであっても良い。すなわち、図14を参照して、実施の形態3に係る二酸化炭素分離膜5および酸素分離器17は、中空糸膜束42、42とを、所定の間隔を空けて直列に接続したもので構成しても良い。
【0119】
この場合、二酸化炭素分離膜5は中空糸膜束42にポリアミドアミン系デンドリマ41を修飾させ、酸素分離器17は中空糸膜束42にポリジメチルシロキサン43を修飾させると良い。この接続された中空糸膜束42、42を、気体排出ユニット10と酸素吸引ユニット15との間に設けることで、実施の形態3と同様の作用効果を得ることが可能となる。
【0120】
また、実施の形態2に仕切壁を設けた構成と同様に、箱体4は、食品保存領域3を略密閉状態の2以上の個別食品保存領域13に規定する仕切壁12を有していると良い。そして、個別食品保存領域13のそれぞれには、二酸化炭素蓄積領域9から個別食品保存領域13を連通する気体排出口11が設けられ、第1の制御装置8Aは、気体排出口11をそれぞれ開閉すると良い。
【0121】
この構成により、区別した野菜や青果が収容されているそれぞれの個別食品保存領域13に対して、最適な二酸化炭素濃度の雰囲気を作り出すことが可能になり、結果として、複数種類の野菜や青果の新鮮な状態をより長く保つことが可能になる。
【0122】
(参考実験結果2)
実施の形態3に係る食品保存庫を用いて、二酸化炭素の濃度を高める実験を行なった。ここで得られた参考実験結果を示す。二酸化炭素分離膜5は、孔径100nm、厚さ125μm、断面積3.14cm2のデュラポア(Durapore)メンブレンフィルタに対し、グリセリン溶媒で1Mの濃度に調整したポリアミドアミン系デンドリマを滴下したものを用いた。
【0123】
一方、酸素分離器17は、孔径100nm、厚さ125μm、断面積3.14cm2のデュラポア(Durapore)メンブレンフィルタに対し、ポリジメチルシロキサン(ジメチルシリコーンオイルKF−96)を滴下したものを用いた。そして、気体排出ユニット10を26℃(おおよそ室温)の恒温環境に設置した。このとき、気体排出ユニット10の内部の気体は、二酸化炭素1.4%、酸素21%、および窒素77.6%の組成比であった。
【0124】
この状態で、第1の気圧制御機構6Aを用いて気体排出ユニット10の内部を減圧し、一方、第2の気圧制御機構6Bを用いて酸素吸引ユニット15の内部を減圧した。このあと、6℃に維持した食品保存庫に対し、流速が4L/分となるよう気体排出口11を開いた。その結果、食品保存領域3に設けた第1の二酸化炭素濃度センサ7Aは、二酸化炭素濃度2.4%を示した。このことから、実施の形態3に係る食品保存庫を用いて、二酸化炭素の濃度を高めることが可能であることが明らかとなった。
【0125】
なお、このとき、酸素吸引ユニット15と気体排出ユニット10との間において、二酸化炭素の分圧差は13.7hPaであり、窒素の分圧差は998.6hPaであった。また、このとき、酸素吸引ユニット15から気体排出ユニット10への気体の透過速度を示す指標を、透過速度を膜面積´圧力差で除した値(以下、パーミアンス[cm/cm・s・cmHg]と称する)を用いて評価した。その結果、二酸化炭素のパーミアンスは3.3×10-5であり、窒素のパーミアンスは9.7×10-9であった。これらのパーミアンスの値を基に、二酸化炭素および窒素の選択性を算出すると、二酸化炭素/窒素の選択性は約3400であった。
【0126】
また、上記と同じ酸素分離器、および他の二酸化炭素分離膜として孔径100nm、厚さ125μm、断面積3.14cm2のデュラポアメンブレンフィルタに対し、グリセリン溶媒で2Mの濃度に調整したポリアミドアミンデンドリマを滴下したものを用いた。この場合、食品保存領域3に設けた第1の二酸化炭素濃度センサ7Aは、二酸化炭素濃度7.4%を示した。このことからも、実施の形態3に係る食品保存庫を用いて、二酸化炭素の濃度を高めることが可能であることが明らかとなった。
【0127】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。特に、家庭用または業務用などの冷蔵庫と同一の筐体の内部に設けられる必要は無く、食品保存庫のみ単体で用いることも可能である。
【符号の説明】
【0128】
1 開閉部、2 収容部、2A 収容箱、3 食品保存領域、4 箱体、5 二酸化炭素分離膜、6 気圧制御機構、6A 第1の気圧制御機構、6B 第2の気圧制御機構、7 二酸化炭素濃度センサ、7A 第1の二酸化炭素濃度センサ、7B 第2の二酸化炭素濃度センサ、7C 第3の二酸化炭素濃度センサ、8 制御装置、8A 第1の制御装置、8B 第2の制御装置、8C 第3の制御装置、9 二酸化炭素蓄積領域、10 気体排出ユニット、11 気体排出口、12 仕切壁、13 個別食品保存領域、14 空気循環機構、14A,14B,14C 空気循環機構、15 酸素吸引ユニット、16 酸素蓄積領域、17 酸素分離器、18 連通部、40 支持体、41 ポリアミドアミン系デンドリマ、42 中空糸膜束、43 ポリジメチルシロキサン、50,51,60,61,64,65,70,71,74,75,80,81,82,84,85,87,88 気体、52,62,72 空気、53,63,73,83 二酸化炭素、86 酸素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉部および収容部を有し、内部に略密閉状態の食品保存領域を規定する箱体と、
前記開閉部または前記収容部に設けられ、前記箱体の内部へ、前記箱体の外部の空気から二酸化炭素のみを選択的に透過させる二酸化炭素分離膜と、
前記開閉部または前記収容部に設けられ、前記箱体の内部の気体を前記箱体の外部へ排出し、前記箱体の内部の気圧を下げる気圧制御機構と、
を備える、食品保存庫。
【請求項2】
前記食品保存領域の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度センサと、
前記二酸化炭素濃度センサの検出値または予め設定しておいた時間間隔により前記気圧制御機構を駆動させる制御装置と、
をさらに備える、請求項1に記載の食品保存庫。
【請求項3】
開閉部および収容部を有し、内部に略密閉状態の食品保存領域を規定する箱体と、
内部に略密閉状態の二酸化炭素蓄積領域を規定する気体排出ユニットと、
前記気体排出ユニットに設けられ、前記気体排出ユニットの内部へ、前記箱体および前記気体排出ユニットの外部の空気から二酸化炭素のみを選択的に透過させる二酸化炭素分離膜と、
前記気体排出ユニットに設けられ、前記気体排出ユニットの内部の気体を前記箱体および前記気体排出ユニットの外部へ排出し、前記気体排出ユニットの内部の気圧を下げる第1の気圧制御機構と、
前記二酸化炭素蓄積領域から前記食品保存領域を連通する気体排出口と、
前記気体排出口を開閉する第1の制御装置と、
を備える、食品保存庫。
【請求項4】
前記箱体は、前記食品保存領域を略密閉状態の2以上の個別食品保存領域に規定する仕切壁を有し、
前記個別食品保存領域のそれぞれには、前記二酸化炭素蓄積領域から前記個別食品保存領域を連通する前記気体排出口が設けられ、
前記第1の制御装置は、前記気体排出口をそれぞれ開閉する、
請求項3に記載の食品保存庫。
【請求項5】
内部に略密閉状態の酸素蓄積領域を規定し、前記二酸化炭素蓄積領域から前記酸素蓄積領域を連通する連通部を有し、前記連通部に前記二酸化炭素分離膜が設けられる酸素吸引ユニットと、
前記気体排出ユニットと前記酸素吸引ユニットとの間に設けられ、前記酸素吸引ユニットの内部へ、前記気体排出ユニットの内部の空気から酸素のみを選択的に透過させる酸素分離器と、
前記酸素吸引ユニットに設けられ、前記酸素吸引ユニットの内部の気体を前記箱体、前記気体排出ユニットおよび前記酸素吸引ユニットの外部へ排出し、前記酸素吸引ユニットの内部の気圧を、前記気体排出ユニットの内部の気圧より低く下げる第2の気圧制御機構と、
をさらに備える、請求項3または4に記載の食品保存庫。
【請求項6】
前記酸素分離器は、微多孔性の支持体の表面にポリジメチルシロキサンまたはブチルゴムを修飾させた酸素分離膜である、請求項5に記載の食品保存庫。
【請求項7】
前記食品保存領域の二酸化炭素濃度を検出する第1の二酸化炭素濃度センサをさらに備え、
前記第1の制御装置は、前記第1の二酸化炭素濃度センサの検出値または予め設定しておいた時間間隔により前記気体排出口を開閉する、
請求項3から6のいずれかに記載の食品保存庫。
【請求項8】
前記二酸化炭素蓄積領域の二酸化炭素濃度を検出する第2の二酸化炭素濃度センサと、
前記第2の二酸化炭素濃度センサの検出値または予め設定しておいた時間間隔により前記第1の気圧制御機構を駆動させる第2の制御装置と、
をさらに備える、請求項3から7のいずれかに記載の食品保存庫。
【請求項9】
前記酸素蓄積領域の二酸化炭素濃度を検出する第3の二酸化炭素濃度センサと、
前記第3の二酸化炭素濃度センサの検出値または予め設定しておいた時間間隔により前記第2の気圧制御機構を駆動させる第3の制御装置と、
をさらに備える、請求項5から8のいずれかに記載の食品保存庫。
【請求項10】
前記二酸化炭素分離膜の前記二酸化炭素の透過方向における厚さまたは前記二酸化炭素分離膜の表面積を調整することにより、前記二酸化炭素分離膜の二酸化炭素透過性能を設定する、請求項1から9のいずれかに記載の食品保存庫。
【請求項11】
前記二酸化炭素分離膜に対する気圧を調整することにより、前記二酸化炭素分離膜の二酸化炭素透過性能を設定する、請求項1から10のいずれかに記載の食品保存庫。
【請求項12】
前記箱体の内部に空気循環機構をさらに備える、請求項1から11のいずれかに記載の食品保管庫。
【請求項13】
前記二酸化炭素分離膜は、微多孔性の支持体の表面にポリアミドアミン系デンドリマを修飾させた二酸化炭素分離膜である、請求項1から12のいずれかに記載の食品保存庫。
【請求項14】
前記二酸化炭素分離膜は、中空糸膜束にポリアミドアミン系デンドリマを修飾させた二酸化炭素分離膜である、請求項1から13のいずれかに記載の食品保存庫。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−246475(P2010−246475A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−100156(P2009−100156)
【出願日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】