説明

食品分析装置、食品分析方法、及び、プログラム

【課題】
食品分析装置、食品分析方法、及び、プログラムを提供する。
【解決手段】
食品設置検知部201は食品1が所定の場所に置かれると設置信号150を受け取り食品分光分析部202に通知する。食品分光分析部202は分析光151を用いて食品1の分光分析を行い、分光分析結果を食品成分分析部203に出力する。食品成分分析部203は前記分光分析結果に基づいて食品1に含まれる物質の成分を分析して成分分析結果をアドバイス生成部204に出力する。アドバイス生成部204は食品成分分析部203から入力された食品1の前記成分分析結果と、個人情報データベース221に格納されるユーザの個人情報データと、健康ルールデータベース222に格納される健康ルールデータと、に基づいて、アドバイスデータを生成し出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品分析装置、食品分析方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品に含まれる成分等を分析するためには、多種多様な分析手法がある。例えば、分析対象の食品を破壊することなく、安全に、かつ迅速に分析を行うための方法の1つとして分光分析法がある。
【0003】
分光分析法は、具体的には、例えば非特許文献1に記載されている手法である。分光分析法は、分析対象である物質に対して、種々の電磁波(例えば、赤外線、X線など)を照射して、その分析対象の物質に含まれる成分が何であるかを識別し、その成分の有無を判別し、また、その含有量を定量化する手法である。この原理は、物質は各々固有の波数の電磁波を放出又は吸収するという性質に基づいている。ここで、波数とは、1センチメートルの間の波の数を示す。
【0004】
一方、人間は、パンやおもちなどの食品に青緑色の物が付いていれば、それをカビと認識したり、これら食品の大きさ、量、色などに基づいて、食べられるかどうかを古くから積み重ねてきた生活の知恵と照らし合わせて判断したりすることができる。つまり、人間は、五感を働かせて食品の鮮度や食べ頃などを、ある程度認識することは可能である。
【非特許文献1】「分析化学II分光分析」、北森武彦・宮村一夫共著、丸善株式会社、2002、ISBN−4−621−04997−6
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一般に、見た目や匂いだけでは、食品が安全であるか、あるいは、食品に含まれている成分が何であるか、等を判別することが難しい場合がある。例えば、食品を口にするときに、その食品に含まれる成分や味はどうか、その食品の食べ頃はいつか、カロリー量は何キロカロリーあるか、健康には良いかどうか、等を判別することは容易ではない。また、食品の成分情報、含まれるカロリー量、あるいは、どのような効能があるか等を、書物等の情報ソースを用いてその都度調べることは非常に面倒である。更には、食品のパッケージ等にその食品に関するいくつかの情報が記載されている場合があるが、それらの情報が間違っていることがある。そして、一般的な家庭環境において、それらの情報が正しいか否かを確認することは困難である。
【0006】
また、人間の個人情報や、嗜好、趣味、病歴等は様々であり、各個人に適した食品であるかを正確に知る必要がある場合がある。例えば、高血圧や糖尿病の患者などは、食品が自分にとって安全であるか、あるいは、食品に含まれている成分が何であるか、等の正確な情報を知る必要がある。更に、食品を口にする場合に各個人に適したアドバイスをその都度得ることは容易ではない。
【0007】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、食品分析装置、食品分析方法、及び、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る食品分析装置は、
食品が所定の場所に設置されたことを検知する食品設置検知部と、
前記食品設置検知部によって検知された前記食品に対して分光分析を行う食品分光分析部と、
前記食品分光分析部によって得られる分光分析結果に基づいて、前記食品に含まれる物質の成分を分析して食品成分分析データを出力する食品成分分析部と、
使用者の個人情報データを格納する個人情報データ格納部と、
前記食品成分分析データと前記個人情報データとが所定の条件を満たす場合に、所定の情報を出力するように対応づける関係情報を予め格納する健康ルールデータ格納部と、
前記食品成分分析部によって得られる食品成分分析データと、前記個人情報データ格納部に格納される個人情報データと、前記健康ルールデータ格納部に格納される健康ルールデータと、に基づいて、使用者に対するアドバイスデータを生成するアドバイス生成部と、
を備える。
【0009】
また、前記アドバイス生成部が生成する前記アドバイスデータを格納するアドバイスデータ格納部と、
前記アドバイスデータ格納部から所定の条件を満たす前記アドバイスデータを取り出すアドバイスデータ取り出し部と、を更に備えることができる。
【0010】
また、前記個人データ格納部が格納する個人情報データは、使用者の年齢、性別、身長、体重及び病歴に関する情報のうち少なくとも1つ以上の特定個人情報を含み、
前記アドバイス生成部は、前記特定個人情報のうち少なくとも1つ以上の情報に基づいてアドバイスデータを生成することができる。
【0011】
また、前記アドバイス生成部は、前記個人情報データ格納部に格納される使用者の個人情報データに基づいて、使用者の健康のために有益なアドバイスデータを生成することができる。
【0012】
また、前記食品の重量、温度、色彩、形状及び匂いのうち少なくとも1つ以上に対して分析を行う付加情報分析部をさらに備え、
前記アドバイス生成部は、前記付加情報分析部によって分析される少なくとも1つ以上に対する分析結果に基づいてアドバイスデータを生成することができる。
【0013】
また、前記食品が設置された位置を検知する食品位置検知部と、
当該食品分析装置の現在位置を検知する装置位置検知部と、
前記食品位置検知部によって検知される前記食品の位置情報と、前記装置位置検知部によって検知された現在位置と、に基づいて、当該食品分析装置を前記食品位置検知部によって検知された前記食品の位置に移動させるための移動経路を計算し、当該計算された移動経路に従って当該食品分析装置の位置を移動させる装置可動部と、を備えることができる。
【0014】
また、前記食品が設置された位置まで移動する移動部分を備え、
前記移動部分は、
前記移動部分の現在位置を検知する移動部分位置検知部と、
前記食品が設置された位置を検知する食品位置検知部と、
前記食品に対して分光分析を行う食品分光分析部と、
を搭載し、さらに、
前記食品位置検知部によって検知される前記食品の位置情報と、前記移動部分位置検知部によって検知される現在位置と、に基づいて、前記移動部分を前記食品位置検知部によって検知された前記食品の位置に移動させるための移動経路を計算し、当該計算された移動経路に従って前記移動部分の位置を移動させる装置可動部を備えることができる。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る食品分析方法は、
食品が所定の場所に設置されたことを検知する食品設置検知手段と、
前記食品設置検知手段によって検知された前記食品に対して分光分析を行う食品分光分析手段と、
前記分光分析手段によって得られる分光分析結果に基づいて、前記食品に含まれる物質の成分を分析して食品成分分析データを出力する食品成分分析手段と、
使用者の個人情報データを格納する個人情報データ格納手段と、
前記食品成分分析データと前記個人情報データとが所定の条件を満たす場合に、所定の情報を出力するように対応づける関係情報を予め格納する健康ルールデータ格納手段と、
前記食品成分分析手段によって得られる食品成分分析データと、前記個人情報データ格納部に格納される個人情報データと、前記健康ルールデータ格納部に格納される健康ルールデータと、に基づいて、使用者に対するアドバイスデータを生成するアドバイス生成手段と、を備える。
【0016】
また、上記目的を達成するため、本発明の第3の観点に係るプログラムは、
コンピュータを、
食品が所定の場所に設置されたことを検知する食品設置検知部として機能させ、さらに、
前記食品設置検知部によって検知された前記食品に対して分光分析を行う食品分光分析部として機能させ、さらに、
前記分光分析部によって得られる分光分析結果に基づいて、前記食品に含まれる物質の成分を分析して食品成分分析データを出力する食品成分分析部として機能させ、さらに、
使用者の個人情報データを格納する個人情報データ格納部として機能させ、さらに、
前記食品成分分析データと前記個人情報データとが所定の条件を満たす場合に、所定の情報を出力するように対応づける関係情報を予め格納する健康ルールデータ格納部として機能させ、さらに、
前記食品成分分析部によって得られる食品成分分析データと、前記個人情報データ格納部に格納される個人情報データと、前記健康ルールデータ格納部に格納される健康ルールデータと、に基づいて、使用者に対するアドバイスデータを生成するアドバイス生成部として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、食品分析装置、食品分析方法、及び、プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る食品分析装置100の構成を示す図である。本図のように、食品分析装置100は、センサー部101、分光分析部102、入力部103、ROM104、RAM105、外部インタフェース106、格納部107、制御部108、及び、出力部109を含む。
【0019】
センサー部101は、分析対象の食品1が所定の場所に設置されたことを検知するためのセンサーを備える。例えば、当該センサーとして、所定の場所に分析対象の食品1が置かれると、その重量によって、又は食品1が接触したという事象により電流が流れることによって、スイッチのオン・オフが切り替わるような接触型センサーを用いる。センサー部101は、前記所定の場所に食品1が設置された(又は、撤去された)ことを示す設置信号150を前記センサーから受け付ける。そして、センサー部101は、設置信号150に含まれる情報を制御部108に入力する。
【0020】
あるいは、例えば、所定の場所に食品1が置かれると、通常時には通過する光が遮られることによってオン・オフが切り替わる光センサーのような非接触型センサーでもよい。尚、当該センサーの種類は上述したセンサーの種類に限定されるものではない。したがって、当業者であればこれらと実質的に同等な効果が得られるセンサー等を用いた実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0021】
分光分析部102は、検査対象物に対して電磁波である分析光151(具体的には、例えば、赤外線、近赤外線、遠赤外線等)を照射し、分析光151による分光分析結果(本実施の形態では、吸光度スペクトル)を測定する分光分析器を含む。例えば、食品1が固体の場合には接触させて、あるいは、食品1が液体の場合にはグラス等の上から又は直接液体に浸して、照射光を食品1に照射する。そして、分光分析部102は照射光の食品1によって反射した反射光を測定する。その結果、分析光151の照射光と反射光とから、食品1の分析光151による吸光度スペクトルが得られ、食品1に含まれる成分の定量分析を行うことができる。尚、当該分光分析器は、本発明によって限定されるものではない。
【0022】
入力部103は、ユーザが食品分析装置100を操作するためのボタンやキーボード等の入力装置と接続されており、ユーザによって入力される個人データ入力152を受け付ける。つまり、ユーザは、食品分析装置100に接続された操作ボタンやキーボード等を用いて、ユーザ自身の個人情報データを入力することができる。例えば、当該個人情報データには、ユーザ自身の年齢、性別、身長、体重及び病歴に関する情報等が含まれる。そして、ユーザは、食品1の成分分析結果や、当該個人情報データと前記分光分析結果に基づいた、当該ユーザに適したアドバイスデータを得ることができる。
また、入力部103は、ユーザによって入力される各種コマンド入力153を受け付ける。例えば、ユーザは、食品分析装置100に接続された操作ボタンやキーボード等を用いて、食品分析装置100に対して、食品1の分光分析を開始させる命令を出したり、格納部107に格納されたアドバイスデータの履歴等を呼び出す命令等を入力したりすることができる。
【0023】
ROM(Read Only Memory)104は、制御部108が食品分析装置100の全体を制御するためのプログラム等を格納する不揮発性メモリである。例えば、ROM104は、制御部108が分光分析部102によって測定された分光分析結果や前記個人情報データ等に基づいてユーザに対してアドバイスデータを生成するためのプログラムを格納している。
【0024】
RAM(Random Access Memory)105は、制御部108が生成したアドバイスデータや、当該アドバイスデータを生成するために必要なデータ等を一時的に格納するための揮発性メモリである。
【0025】
外部インタフェース106は、CD(Compact Disc)等のリムーバルディスクに対して読み書きするためのドライブ装置等に接続されている。また、外部のネットワーク(例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)等)に接続するための装置や、制御部108が生成したアドバイスデータ等を印字するためのプリンタ等に接続されていてもよい。さらには、食品1の重量を測定する装置や、食品1の温度を測定する装置、食品1の色彩や形状を認識できる装置、食品1の匂いを検出できる装置等、各種の分析装置に接続されていてもよい。これによって、食品分析装置100は、食品1の成分を詳しく分析するために、分光分析部102によって行われる分光分析に加えて、他の情報に基づいた成分分析を行う機能を備えることができる。
【0026】
格納部107は、ハードディスクドライブ等の記録装置から構成されており、分光分析部102によって測定された前記分光分析結果や入力部103に入力された前記個人情報データ等を、制御部108の指示によって所定の格納場所に格納する。例えば、格納部107は、個人情報データベース221、健康ルールデータベース222、及び、アドバイスデータベース223を備えている。尚、個人情報データベース221、健康ルールデータベース222、及び、アドバイスデータベース223については後述する。
【0027】
制御部108は、CPU(Central Processing Unit)等から構成されており、食品分析装置100の全体の制御を行う。例えば、制御部108は、分光分析部102に対して食品1の分光分析(具体的には、吸光度測定など)を行わせるための制御を行う。また、例えば、制御部108は、前記分光分析結果や前記個人情報データ等に基づいて、食品1に含まれる成分を分析したり、ユーザに対するアドバイスデータを生成したりする処理を行う。
【0028】
出力部109は、モニタやLED(Light Emitting Diode)等の表示装置や、スピーカ等の音声出力装置に接続されている。出力部109は、制御部108が生成したアドバイスデータ等を含む提示データ出力160を出力する。つまり、ユーザは、出力部109に接続されたモニタやスピーカ等の出力装置によって、食品1の成分分析結果やアドバイスデータの内容を知ることができる。尚、出力部109に接続される出力装置の種類は本発明によって限定されるものではない。
【0029】
次に、第1の実施形態に係る食品分析装置100の制御部108が機能する処理について説明する。図2は、制御部108が制御する、食品1を分析する動作を説明する図である。本図のように、食品分析装置100は、食品設置検知部201、食品分光分析部202、食品成分分析部203、アドバイス生成部204、個人情報データベース221、健康ルールデータベース222、及び、アドバイスデータベース223を含む。
【0030】
食品設置検知部201は、分析対象の食品1が所定の場所に置かれると、センサー部101に備えられたセンサー(例えば、接触型センサー、光センサー等)によって設置信号150が入力され、当該所定の場所に食品1が設置されたことを認識する。あるいは、当該所定の位置から食品1が撤去されたことを認識する。そして、食品1が所定の場所に設置された(あるいは、所定の場所から撤去された)ことを示すデータを食品分光分析部202に入力する。
【0031】
食品分光分析部202は、食品設置検知部201から前記所定の場所に食品1が設置されたことを示すデータを受け取ると、分光分析部102に含まれる分光分析器に対して食品1に分析光151(例えば、近赤外線、赤外線、遠赤外線等)を照射させ、分析光151による食品1の分光分析結果を得る。例えば、本実施の形態においては、当該分光分析結果を構成するパラメータとして吸光度値を用いる。そして、食品分光分析部202は、分析光151の各波長と、当該波長に対応する吸光度値との関係を示す吸光度スペクトルを得る。その後、食品分光分析部202は、当該分光分析結果を食品成分分析部203に入力する。
【0032】
一般に、物質には各々固有の波数の電磁波を放出又は吸収するという性質がある。例えば、食品1に照射光を照射すると、食品1を透過した後の透過光(あるいは、食品1からの反射光)が得られる。そして、照射光と透過光(あるいは、反射光)とを用いて吸光度値を計算することによって、食品1に含まれる成分が何であるか、さらには、当該成分が含まれている量はどれくらいかを特定することができる。
【0033】
また、分光分析部102によって行われる分光分析は、食品1に対して複数回行われることが好ましい。そして、複数回行った分光分析の平均値等を前記分光分析結果として用いてもよい。尚、前記分光分析結果を構成するパラメータとして本実施の形態では吸光度値を用いているが、当該パラメータは本発明によって限定されるものではない。したがって、当業者であればこれと実質的に同等な意味を持つパラメータを用いた実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0034】
食品成分分析部203は、食品分光分析部202から入力された前記分光分析結果に基づいて、食品1に含まれる物質の成分を特定する。つまり、食品1に含まれる物質の成分が何であるか、さらには、当該成分がどの程度含まれているかを示すデータを得る。そして、食品成分分析部203は、当該データをアドバイス生成部204に入力する。
【0035】
具体的には、食品成分分析部203は、統計学における重回帰分析のような多変量解析手法を用いて、食品1に含まれる成分の分析を行う。
【0036】
一般に、重回帰分析では、入力値が複数あり、それらの入力値によって出力値が決定される場合に、その入力値と出力値との関係を線形一次式で近似する。統計学では、入力値を説明変数、出力値を目的変数と呼ぶ。
【0037】
例えば、[式1]のように、N組のデータ(Nは1以上の整数)が与えられるとする。ここで、nは入力値の数であり、1以上の整数である。
【0038】
【数1】

【0039】
そして、[式2]のように、目的変数Yの値を、n個の説明変数(X1、X2、・・・、Xn)の線形結合である回帰式で表す。
【0040】
【数2】

【0041】
ここで、b0、b1、b2、・・・、bnを回帰係数と呼ぶ。このとき、回帰係数は、[式2]を用いて最小自乗法によって求められる。この結果、n個の説明変数(X1、X2、・・・、Xn)から目的変数Yが得られる回帰式を得る。
【0042】
例えば、前記目的変数としては、一般的な食品に含まれる物質の成分(例えば、0.1mol/lの塩化ナトリウム等)を用い、前記説明変数としては、分光分析を行う分析光151の所定の波長における吸光度値を用いる。そして、前記成分に対して予め分光分析を行うことによって回帰係数を計算し回帰式[式2]を得る。すなわち、食品分析装置100は、食品1に対して所定の波長において吸光度値を測定することによって、食品1に含まれる物質の成分を特定することができる。尚、一般に吸光度値は対象物質の濃度に比例して大きくなる性質があるため、前記成分の種類だけでなく成分量も計算することができる。
【0043】
個人情報データベース221は、格納部107に格納され、ユーザの個人情報データを格納する。当該個人情報データは、具体的には、図3のようにユーザ自身の年齢、性別、身長、体重及び病歴に関する情報等である。例えば、当該個人情報データは、入力部103に接続された操作ボタンやキーボード等を用いて、ユーザによって予め入力されている。
【0044】
尚、個人情報データベース221は、複数ユーザの個人情報データを格納してもよい。この場合、食品分析装置100は、ユーザが入力部103に接続された操作ボタンやキーボード等からユーザ名及びパスワードを入力することによって、当該ユーザの個人情報データを呼び出して用いればよい。
【0045】
健康ルールデータベース222は、格納部107に格納され、一般的な食品に含まれる物質の成分や、人間の年齢、性別、身長、体重及び病歴に関する情報等の事象が、所定の条件を満たした場合に、所定の情報を出力するように対応づける関係情報を予め格納する。ここで、当該関係情報は、具体的な数式等で表現される情報に限らず、前記事象の論理和等で表現される論理式や、前記事象の組み合わせを定義したテーブル等であってもよい。具体的には、健康ルールデータベース222は、図4のような情報を格納する。本図の場合、健康ルールデータベース222は、アドバイスデータを生成するための元となる事象を定義する事象定義データと、前記事象の組み合わせに基づいた健康ルールデータとを含む。ここで、前記事象は、例えば「(1)年齢が40歳以上である」、「(2)糖尿病である」、「(3)糖分が5グラム含まれる」等の情報である。そして、例えば、(1)乃至(3)のすべてに当てはまる場合には「糖分を摂取しすぎていることを警告する」という所定の実行文を出力するように対応づける関係情報を格納している。
【0046】
アドバイス生成部204は、食品成分分析部203によって入力される食品1に含まれる成分の分析結果と、個人情報データベース221に格納されるユーザの個人情報データと、健康ルールデータベース222に格納される健康ルールデータと、に基づいて、ユーザに対するアドバイスデータを生成し、生成したアドバイスデータ等をアドバイスデータベース223に格納する。この場合、アドバイス生成部204は、前記個人情報データのうちの少なくとも1つ以上を用いることによって、ユーザに適切なアドバイスデータを生成することができる。さらに、アドバイス生成部204は、健康ルールデータベース222に格納された前記健康ルールデータを用いることによって、ユーザの健康を維持するために有益なアドバイスデータを生成することができる。
また、アドバイス生成部204は、出力部109に接続されたモニタやスピーカ等の出力装置に対して、前記アドバイスデータと食品1に含まれる成分の分析結果とを含む提示データ出力160を出力する。すなわち、ユーザは、食品分析装置100に接続されたモニタやスピーカ等の出力装置によって、食品1に含まれる成分の分析結果や、食品1とユーザの個人情報データとに基づいた適切なアドバイスを得ることができる。
【0047】
アドバイスデータベース223は、格納部107に格納され、アドバイス生成部204が生成したアドバイスデータを格納する。例えば、図5は、アドバイスデータベース223に格納されるデータの例である。本図のように、アドバイスデータベース223は、アドバイス番号、ユーザ番号、出力日時、実行文番号、及び、成分分析結果を含む。このように、食品分析装置100は、アドバイスデータベース223を参照することによって、ユーザに対して過去に出力したアドバイスデータの履歴等を参照することができる。
【0048】
次に、第1の実施形態の食品分析装置100の制御部108が機能する動作について説明する。図6は、食品分析装置100が食品1を分析する動作について説明するフローチャートである。
【0049】
まず、ユーザは、分析対象の食品1を所定の場所に置く。食品設置検知部201は、設置信号150を受け取り、食品1が所定の場所に置かれたことをセンサー部101に含まれるセンサーによって検知すると(ステップS601でYes)、食品分光分析部202に対して食品1が所定の場所に設置されたことを通知する。一方、食品1が所定の場所に置かれたことを検知しない場合(ステップS601でNo)、食品設置検知部201は食品1が所定の場所に置かれることを待機する。
【0050】
食品分光分析部202は、食品設置検知部201から食品1が所定の場所に置かれたことを通知されると、分光分析部102に含まれる分光分析器に対して食品1に分析光151を照射させて分光分析を行う(ステップS602)。本実施の形態では、食品分光分析部202は、分光分析部102に含まれる分光分析器に対して、所定の測定波長における食品1の吸光度を測定させる。そして、食品分光分析部202は、得られた分光分析結果(例えば、吸光度スペクトル等)を食品成分分析部203に出力する。
【0051】
尚、本実施の形態では、食品分光分析部202は、食品設置検知部201から食品1が所定の場所に置かれたことを通知されると自動的に分光分析を開始させるが、ユーザが食品分析装置100に備えられた操作ボタン等を押下することによって分光分析を開始させるようにしてもよい。
【0052】
そして、食品成分分析部203は、食品分光分析部202から入力された前記分光分析結果に基づいて、上述した重回帰分析などの統計的手法を用いて、食品1に含まれる物質の成分の分析を行い(ステップS603)、成分分析結果をアドバイス生成部204に入力する。例えば、食品成分分析部203は、「食品1に糖分が5.5グラム含まれる」等の成分分析結果をアドバイス生成部204に入力する。
【0053】
さらに、アドバイス生成部204は、前記成分分析結果と、個人情報データベース221に格納されたユーザの個人情報データと、健康ルールデータベース222に格納された健康ルールデータと、に基づいて、ユーザに対するアドバイスデータを生成する(ステップS604)。
【0054】
また、アドバイス生成部204は、生成された前記アドバイスデータをアドバイスデータベース223に格納する(ステップS605)。
【0055】
そして、アドバイス生成部204は、生成された前記アドバイスデータを食品分析装置100に接続されたモニタ等に出力する(ステップS606)。
【0056】
例えば、図7のように、前記成分分析結果として、「(1)食品1に糖分が5.5グラム含まれる」という情報が得られたとする。そして、個人情報データベース221に、「(2)ユーザの年齢は68歳である」という情報と、「(3)ユーザは糖尿病である」という情報が格納されているとする。この時、アドバイス生成部204は、健康ルールデータベース222に(1)乃至(3)の条件を満たす場合の健康ルールデータがあるかを検索する。その結果、例えば図7のように該当する健康ルールデータが存在する場合、アドバイス生成部204は、対応する実行文である「糖分を摂取しすぎていることを警告する」を得る。そして、アドバイス生成部204は、当該実行文に基づいたアドバイス(例えば「糖分の取りすぎです。摂取量を半分以下にして下さい。」等)を生成し、食品分析装置100に接続されたモニタ等に出力する。すなわち、ユーザは、食品分析装置100に接続されたモニタ等によって、食品1に含まれる成分を知ることができる。更に、ユーザは、ユーザ自身に適したアドバイスを得ることができる。
【0057】
尚、食品分析装置100によって得られた前記成分分析結果や前記アドバイスデータ等をユーザに知らせる手段は本発明によって限定されるものではない。したがって、当業者であればこれと同等な機能を持つ手段を用いた実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0058】
また、健康ルールデータベース222に条件を満たす健康ルールデータが存在しない場合、食品分析装置100は、例えば、食品1の前記成分分析結果のみを出力してもよい。あるいは、食品分析装置100は、例えば、分析した当日にユーザが摂取した物質の成分ごとの合計値等を出力したり、所定の期間(例えば、当日から過去1週間等)の合計値に基づいたアドバイスデータ等を出力してもよい。
【0059】
また、個人情報データベース221にユーザの個人情報データが格納されていない場合、食品分析装置100は、例えば、食品1の前記成分分析結果のみを出力してもよい。あるいは、食品分析装置100は、例えば、食品1を摂取する場合の一般的なアドバイスデータ(具体的には、例えば「スープを全部飲むと一般成人男性では塩分の取りすぎになる可能性があります」等)を出力するようにしてもよい。
【0060】
あるいは、食品分析装置100は、分光分析部102による分光分析のほかに、食品1に含まれる物質の成分を分析するための付加情報を分析するように構成することができる。この場合、食品分析装置100は、食品1に含まれる物質の成分を分析するための付加情報分析部を備える。例えば、当該付加情報分析部は、食品1の重量を測定する装置、食品1の温度を測定する装置、食品1の色彩や形状を認識する装置、あるいは、食品1の匂いを分析する装置等を備え、分光分析に加えてこれらの装置による分析を合わせて行い、これらの装置による分析結果をアドバイス生成部204がアドバイスデータを生成する処理に用いてもよい。これによって、食品分析装置100は、食品1に対して、より詳細な成分分析を行うことができる。また、ユーザは、食品1に関して、より詳細な成分分析結果を知ることができる。
【0061】
さらには、食品分析装置100は、アドバイスデータベース223に格納されたユーザに対応する前記アドバイスデータを取り出し、過去に出力されたアドバイスデータの履歴等を見ることができるように構成することができる。この場合、食品分析装置100は、アドバイスデータベース223から任意の前記アドバイスデータを取り出すアドバイスデータ取り出し部を備える。そして、当該アドバイスデータ取り出し部は、入力部103に接続された入力装置によってユーザから入力される指示に従って、格納部107に格納されるアドバイスデータベース223から前記アドバイスデータを取り出す。そして、当該アドバイスデータ取り出し部は、取得した前記アドバイスデータをアドバイスデータ生成部204に入力する。さらに、アドバイスデータ生成部204は、入力された前記アドバイスデータを出力部109に接続されるモニタ等に出力させる。あるいは、前記アドバイスデータ取り出し部は、直接出力部109に接続されるモニタ等に出力させてもよい。これによって、食品分析装置100はユーザのアドバイスデータの履歴等に基づいたアドバイスデータを生成することができ、また、ユーザは食品分析装置100によって得たアドバイスデータを過去に遡って見直すことができる。
【0062】
このように、本実施の形態の食品分析装置100を用いれば、食品1に含まれる物質の成分を分析することができ、更に、ユーザはアドバイスを得ることができる。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る食品分析装置100について説明する。図8は、本実施の形態に係る食品分析装置100の構成を示す図である。本図のように、食品分析装置100は、分光分析部102、入力部103、ROM104、RAM105、外部インタフェース106、格納部107、制御部108、出力部109、センサー部801、位置検知部802、及び、可動部803を含む。このうち、センサー部801、位置検知部802、及び、可動部803以外のものについては、第1の実施形態の場合と実質的に同等の機能を有するため、説明は省略する。
【0064】
センサー部801は、食品1が設置された場所を検知するためのセンサー等を備える。そして、センサー部801は食品1の位置を検知し、制御部108に入力する。例えば、分析対象の食品1を乗せるための所定のトレーを用意し、このトレーに予め無線タグ等を取り付けておく。そして、センサー部801のセンサーがトレーの場所を検知する。あるいは、例えば、食品1と食品分析装置100とを乗せるテーブルに所定の磁界をかけておき、前記トレーに予め磁石を取り付けておく。そして、センサー部801は磁界の変化を検知することによって前記トレーの場所を検知する。尚、当該センサーの種類は上述したセンサーの種類に限定されるものではない。
【0065】
位置検知部802は、食品分析装置100の現在位置を検知するためのセンサー等を備える。そして、位置検知部802は食品分析装置100の現在位置を検知し、制御部108に入力する。例えば、食品1と食品分析装置100とを配置する室内の天井等の固定された場所に予め無線タグ等を取り付けておく。そして、位置検知部802のセンサーが当該無線タグ等からの信号を検出し食品分析装置100の現在位置を検知する。
【0066】
あるいは、食品1と食品分析装置100とを配置する室内の天井等に予めカメラを設置し、当該カメラからの映像を認識することによって食品1や食品分析装置100の位置を検知するようにしてもよい。尚、食品1や食品分析装置100の位置を検知する方法は本発明によって限定されるものではない。したがって、当業者であればこれと実質的に同等な検知方法を用いた実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0067】
可動部803は、食品分析装置100の位置を移動させるための車輪やモーター等を備える。そして、制御部108から移動経路情報が入力されると、当該移動経路情報に従って前記車輪やモーター等を駆動させ、食品分析装置100の場所を移動させる。あるいは、ヒト型ロボットのように、二足歩行によって前記移動経路情報に従って移動できる装置を備えていてもよい。
【0068】
次に、第2の実施形態に係る食品分析装置100の制御部108が機能する処理について説明する。図9は、制御部108が制御する、食品1を分析する動作を説明する図である。本図のように、食品分析装置100は、食品分光分析部202、食品成分分析部203、アドバイス生成部204、個人情報データベース221、健康ルールデータベース222、アドバイスデータベース223、食品位置検知部901、装置位置検知部902、及び、装置可動部903を含む。このうち、食品位置検知部901、装置位置検知部902、及び、装置可動部903以外のものについては、第1の実施形態の場合と実質的に同等の機能を有するため、説明は省略する。
【0069】
食品位置検知部901は、センサー部801が備えたセンサー等が受信する、食品1を乗せるトレーに予め備え付けられた無線タグ等から発信される食品位置情報950を受け取り、食品1の位置を検知する。そして、食品位置検知部901は、食品位置情報950を装置可動部903に出力する。
【0070】
装置位置検知部902は、位置検知部802が備えたセンサー等が検知する、食品分析装置100の現在位置を示す情報を受け取る。そして、装置位置検知部902は、食品分析装置100の現在位置を示す情報を装置可動部903に出力する。
【0071】
装置可動部903は、食品位置検知部901から入力された食品1の食品位置情報950と、装置位置検知部902から入力された食品分析装置100の現在位置を示す情報とに基づいて、食品分析装置100が現在位置から食品1が設置された位置まで移動するためのルートを探索し、移動経路を計算する。そして、装置可動部903は、計算された移動経路情報に基づいて、可動部803に対して食品分析装置100の位置を移動させる。食品分析装置100の位置が食品1が設置された位置まで到達すると、装置可動部903は、食品分光分析部202に対して、食品分析装置100の位置が食品1が設置された位置まで到達したことを通知する。食品分光分析部202は、当該通知を受け取ると、分光分析部102に含まれる分光分析器に対して食品1に分析光151を照射させ、分光分析を行う。
【0072】
例えば、食品1や食品分析装置100の位置が、X軸、Y軸の2方向を表す座標(X、Y)で表現されるとする。この時、装置可動部903は、食品位置検知部901によって、食品1の位置が座標(X1、Y1)であることを示すデータが入力される。一方、装置可動部903は、装置位置検知部902によって、食品分析装置100の位置が座標(X2、Y2)であることを示すデータが入力される。この場合、装置可動部903は、「X軸方向にX2−X1、Y軸方向にY2−Y1移動させる」ことを示す移動経路を計算し、この移動経路情報に従って可動部803に対して食品分析装置100を移動させる。
【0073】
ここで、装置可動部903は、計算した移動経路上に障害物(例えば、他の食器、おもちゃ等)がある場合、当該障害物を回避して移動させるための移動経路を計算するようにしてもよい。この場合、食品分析装置100は、例えば当該障害物を認識するためのカメラ装置等を備え、当該カメラ装置等が撮影した映像から当該障害物を認識し、この認識結果に基づいて移動経路を計算すればよい。尚、前記移動経路情報やその計算方法は本発明によって限定されるものではない。したがって、当業者であればこれと実質的に同等な移動経路情報や計算方法を用いた実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0074】
次に、第2の実施形態の食品分析装置100の制御部108が機能する動作について説明する。図10は、食品分析装置100が食品1を分析する動作について説明するフローチャートである。
【0075】
まず、ユーザは、所定のトレーに食品1を乗せてテーブルの上に置く。尚、上述のように当該トレーには予め無線タグ等が取り付けられており、食品分析装置100が食品1の位置を検知できるようになっている。
【0076】
食品位置検知部901は、センサー部801のセンサー等が検知して得た食品1の食品位置情報950を受け取り、食品1の位置情報を得る(ステップS1001)。そして、食品1の位置情報を装置可動部903に入力する。
【0077】
一方、装置位置検知部902は、位置検知部802のセンサー等が検知して得た位置情報を受け取り、食品分析装置100の位置情報を得る(ステップS1002)。そして、食品分析装置100の位置情報を装置可動部903に入力する。
【0078】
そして、装置可動部903は、食品位置検知部901によって入力された食品1の位置情報と、装置位置検知部902によって入力された食品分析装置100の位置情報とに基づいて、食品分析装置100を食品1の位置まで移動させるための移動経路を計算する(ステップS1003)。
【0079】
さらに、装置可動部903は、可動部803に対して、計算した移動経路を示す情報に従って食品分析装置100を移動させるように制御する(ステップS1004)。食品分析装置100の位置が食品1の位置に到達していない場合(ステップS1005でNo)、装置可動部903は引き続き食品分析装置100を移動させる処理を続行する(ステップS1001乃至S1004を繰り返す)。
【0080】
食品分析装置100の位置が食品1の位置に到達した場合(ステップS1005でYes)、装置可動部903は、可動部803に対して、食品分析装置100を移動させる処理を終了させる(ステップS1006)。また、装置可動部903は、食品分光分析部202に対して、食品分析装置100が分析対象の食品1が置かれている場所に到達したことを通知する。
【0081】
食品分光分析部202は、装置可動部903から前記通知を受け取ると、分光分析部102に含まれる分光分析器に対して、食品1の分光分析を行わせる(ステップS1007)。本実施の形態では、食品分光分析部202は所定の測定波長における食品1の吸光度を測定させる。そして、食品分光分析部202は、得られた分光分析結果(例えば、吸光度スペクトル等)を食品成分分析部203に入力する。
【0082】
そして、食品成分分析部203は、食品分光分析部202から入力された分光分析結果に基づいて、上述した重回帰分析などの統計的手法を用いて、食品1に含まれる物質の成分の分析を行う(ステップS1008)。更に、食品成分分析部203は、成分分析結果をアドバイス生成部204に入力する。例えば、食品成分分析部203は、「食品1に糖分が5.5グラム含まれる」等の成分分析結果をアドバイス生成部204に入力する。
【0083】
アドバイス生成部204は、前記成分分析結果と、個人情報データベース221に格納されたユーザの個人情報データと、健康ルールデータベース222に格納された健康ルールデータと、に基づいて、ユーザに対するアドバイスデータを生成する(ステップS1009)。
【0084】
さらに、アドバイス生成部204は、生成した前記アドバイスデータをアドバイスデータベース223に格納する(ステップS1010)。
【0085】
そして、アドバイス生成部204は、生成された前記アドバイスデータを食品分析装置100に接続されたモニタ等に出力する(ステップS1011)。すなわち、ユーザは、食品分析装置100に接続されたモニタ等によって、食品1に含まれる成分に関する情報を知ることができる。更に、ユーザは、ユーザ自身に適したアドバイスを得ることができる。
【0086】
このように、本実施の形態の食品分析装置100を用いれば、食品1に含まれる物質の成分を分析することができ、更に、ユーザはアドバイスを得ることができる。
【0087】
尚、本実施の形態では、食品分析装置100の全体が食品1の置かれた場所まで移動するが、食品分析装置100の一部分を移動させるように構成してもよい。
【0088】
例えば、図11は、食品分析装置100を、移動部分と据え置き部分との2つに分離させた場合の例を示している。本図のように、分光分析部102とセンサー部801と位置検知部802は、可動部803に搭載される。そして、食品分析装置100を、分光分析部102とセンサー部801と位置検知部802と可動部803とを含む移動部分と、その他の制御部108等を含む据え置き部分と、に分離する。また、位置検知部802は、前記移動部分の位置情報を取得するように構成する。更に、前記据え置き部分は、前記移動部分が得た情報(例えば、分光分析結果を示すデータ、前記移動部分の位置情報、食品1の位置情報、等)を受信できる無線装置等を備える。これによって、移動部分を物理的に小さく構成することができ、実質的に食品分析装置100を小型化することができる。また、前記移動部分の外見を本図のようにロボットの形状にすることによって、食品分析装置100を、食品1に近づいて味見・毒味をしてくれる味覚を持つパートナーロボットとして構成することができる。
【0089】
以上説明したように、この発明によれば、食品分析装置、食品分析方法、及び、プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】第1の実施形態に係る食品分析装置の構成を説明する図である。
【図2】第1の実施形態に係る食品分析装置が食品を分析する動作を説明する図である。
【図3】個人情報データベースに格納されるデータの例である。
【図4】健康ルールデータベースに格納されるデータの例である。
【図5】アドバイスデータベースに格納されるデータの例である。
【図6】第1の実施形態に係る食品分析装置が食品を分析する動作を説明するフローチャートである。
【図7】第1の実施形態に係る食品分析装置がアドバイスデータを生成する動作を説明する図である。
【図8】第2の実施形態に係る食品分析装置の構成を説明する図である。
【図9】第2の実施形態に係る食品分析装置が食品を分析する動作を説明する図である。
【図10】第2の実施形態に係る食品分析装置が食品を分析する動作を説明するフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態に係る食品分析装置を、移動部分と据え置き部分とに分離した場合を説明する図である。
【符号の説明】
【0091】
1 食品
100 食品分析装置
101 センサー部
102 分光分析部
103 入力部
104 ROM
105 RAM
106 外部インタフェース
107 格納部
108 制御部
109 出力部
150 設置信号
151 分析光
152 個人データ入力
153 各種コマンド入力
160 提示データ出力
201 食品設置検知部
202 食品分光分析部
203 食品成分分析部
204 アドバイス生成部
221 個人情報データベース
222 健康ルールデータベース
223 アドバイスデータベース
801 センサー部
802 位置検知部
803 可動部
901 食品位置検知部
902 装置位置検知部
903 装置可動部
950 食品位置情報


【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品が所定の場所に設置されたことを検知する食品設置検知部と、
前記食品設置検知部によって検知された前記食品に対して分光分析を行う食品分光分析部と、
前記食品分光分析部によって得られる分光分析結果に基づいて、前記食品に含まれる物質の成分を分析して食品成分分析データを出力する食品成分分析部と、
使用者の個人情報データを格納する個人情報データ格納部と、
前記食品成分分析データと前記個人情報データとが所定の条件を満たす場合に、所定の情報を出力するように対応づける関係情報を予め格納する健康ルールデータ格納部と、
前記食品成分分析部によって得られる食品成分分析データと、前記個人情報データ格納部に格納される個人情報データと、前記健康ルールデータ格納部に格納される健康ルールデータと、に基づいて、使用者に対するアドバイスデータを生成するアドバイス生成部と、
を備えることを特徴とする食品分析装置。
【請求項2】
前記アドバイス生成部が生成する前記アドバイスデータを格納するアドバイスデータ格納部と、
前記アドバイスデータ格納部から所定の条件を満たす前記アドバイスデータを取り出すアドバイスデータ取り出し部と、を更に備えること、
を特徴とする、請求項1に記載の食品分析装置。
【請求項3】
前記個人データ格納部が格納する個人情報データは、使用者の年齢、性別、身長、体重及び病歴に関する情報のうち少なくとも1つ以上の特定個人情報を含み、
前記アドバイス生成部は、前記特定個人情報のうち少なくとも1つ以上の情報に基づいてアドバイスデータを生成すること、
を特徴とする、請求項1又は2に記載の食品分析装置。
【請求項4】
前記アドバイス生成部は、前記個人情報データ格納部に格納される使用者の個人情報データに基づいて、使用者の健康のために有益なアドバイスデータを生成すること、
を特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の食品分析装置。
【請求項5】
前記食品の重量、温度、色彩、形状及び匂いのうち少なくとも1つ以上に対して分析を行う付加情報分析部をさらに備え、
前記アドバイス生成部は、前記付加情報分析部によって分析される少なくとも1つ以上に対する分析結果に基づいてアドバイスデータを生成すること、
を特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の食品分析装置。
【請求項6】
前記食品が設置された位置を検知する食品位置検知部と、
当該食品分析装置の現在位置を検知する装置位置検知部と、
前記食品位置検知部によって検知される前記食品の位置情報と、前記装置位置検知部によって検知された現在位置と、に基づいて、当該食品分析装置を前記食品位置検知部によって検知された前記食品の位置に移動させるための移動経路を計算し、当該計算された移動経路に従って当該食品分析装置の位置を移動させる装置可動部と、
を備えることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の食品分析装置。
【請求項7】
前記食品が設置された位置まで移動する移動部分を備え、
前記移動部分は、
前記移動部分の現在位置を検知する移動部分位置検知部と、
前記食品が設置された位置を検知する食品位置検知部と、
前記食品に対して分光分析を行う食品分光分析部と、
を搭載し、さらに、
前記食品位置検知部によって検知される前記食品の位置情報と、前記移動部分位置検知部によって検知される現在位置と、に基づいて、前記移動部分を前記食品位置検知部によって検知された前記食品の位置に移動させるための移動経路を計算し、当該計算された移動経路に従って前記移動部分の位置を移動させる装置可動部を備えること、
を特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の食品分析装置。
【請求項8】
食品が所定の場所に設置されたことを検知する食品設置検知手段と、
前記食品設置検知手段によって検知された前記食品に対して分光分析を行う食品分光分析手段と、
前記分光分析手段によって得られる分光分析結果に基づいて、前記食品に含まれる物質の成分を分析して食品成分分析データを出力する食品成分分析手段と、
使用者の個人情報データを格納する個人情報データ格納手段と、
前記食品成分分析データと前記個人情報データとが所定の条件を満たす場合に、所定の情報を出力するように対応づける関係情報を予め格納する健康ルールデータ格納手段と、
前記食品成分分析手段によって得られる食品成分分析データと、前記個人情報データ格納部に格納される個人情報データと、前記健康ルールデータ格納部に格納される健康ルールデータと、に基づいて、使用者に対するアドバイスデータを生成するアドバイス生成手段と、
を備えることを特徴とする食品分析方法。
【請求項9】
コンピュータを、
食品が所定の場所に設置されたことを検知する食品設置検知部として機能させ、さらに、
前記食品設置検知部によって検知された前記食品に対して分光分析を行う食品分光分析部として機能させ、さらに、
前記分光分析部によって得られる分光分析結果に基づいて、前記食品に含まれる物質の成分を分析して食品成分分析データを出力する食品成分分析部として機能させ、さらに、
使用者の個人情報データを格納する個人情報データ格納部として機能させ、さらに、
前記食品成分分析データと前記個人情報データとが所定の条件を満たす場合に、所定の情報を出力するように対応づける関係情報を予め格納する健康ルールデータ格納部として機能させ、さらに、
前記食品成分分析部によって得られる食品成分分析データと、前記個人情報データ格納部に格納される個人情報データと、前記健康ルールデータ格納部に格納される健康ルールデータと、に基づいて、使用者に対するアドバイスデータを生成するアドバイス生成部として機能させる、ためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−329965(P2006−329965A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−158109(P2005−158109)
【出願日】平成17年5月30日(2005.5.30)
【出願人】(390001395)エヌイーシーシステムテクノロジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】