説明

食品包装容器及びその使用方法

【課題】丼の具などのような食品の加熱が容易に行え、例えば外食産業の持ち帰り商品に好適に使用できるようにする。
【解決手段】食品71を収容する収容凹部12を有した食品包装容器11において、収容凹部12の上端の全周から外方に張り出して収容凹部12を閉塞する蓋シート材31が熱溶着される熱シール部13が形成されるとともに、熱シール部13の外側であって熱シール部13よりも下の位置に凹溝14が形成され、熱シール部13には、収容凹部12に対して食品71を収容後に蓋シート31の固定で閉じられる通気穴16が形成される。食品包装容器11を上下反転してからご飯等を盛った容体の上に被せて蓋シート材31を除去すれば、収容凹部12内の食品がご飯等の上に載る。食品包装容器11を蓋とした状態で加熱しても、通気穴16が蒸気の逃げ道となって、容易で安全な加熱が可能である。包装された食品71は二次殺菌可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品、例えばご飯等に載せたりかけたりして食する丼の具やカレーのルー、麺の汁、スパゲティのソースなどのような食品を包装するに好適な食品包装容器に関する。より詳しくは、加熱が容易に行えるとともに、多様な使い方ができて、特に外食産業において好適に使用できるような食品包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
スパゲティをおいしく食するための包装容器として、例えば下記特許文献1に開示された包装容器が提案されている。
【0003】
この包装容器は、上端が開口した有底箱状の容器本体と、この容器本体の上に被せられる皿状の内蓋と、この内蓋の上に被せられる外蓋を有した構成である。内蓋の中央部には、シール材で閉じられた開口予定部が形成されている。また容器本体の上端縁の一部には、前記シール材の端部を外部に露出させるための切欠が形成されている。
【0004】
包装に際しては、容器本体と内蓋との間にスパゲティを収容し、内蓋と外蓋の間にソースを収容する。食するときには、そのまま電子レンジで加熱して、スパゲティとソースを別々に温めてから、シール材を外してソースをスパゲティにかけるというものである。
【0005】
しかし、電子レンジで加熱するときには蒸気を逃がすための穴をあける必要があるので、そのための作業が容易ではなく、怠ると安全性のうえで問題が生じる。また、容器本体にはシール材の端部を露出させるための切欠があるため、容器本体に収容した食品の衛生上問題であり、包装後早期に食されない食品の包装には使用できない。
【0006】
引用文献2にも同様に、丼等の具とご飯を別々に収容可能とする包装容器が開示されている。この包装容器は、蓋体の下面開口部の周縁にフランジを設けて、このフランジの外周縁に、上方に向かって折り曲げ部が形成された構成である。前記フランジに仕切りフィルムを接合して蓋体の開口部が閉塞される。また前記折り曲げ部が容器本体に対して内嵌めされる。前記仕切りフィルムには、フィルムを剥がすときに端緒となる把持部が形成されており、この把持部を収めるために、前記折り曲げ部と容器本体との間には隙間が形成されている。
【0007】
このような包装容器も、特許文献1の包装容器の場合と同様に、電子レンジで加熱しようとする場合には別途に蒸気の逃げ道をあけることが必要となる。また、前記蓋体が内嵌式である上に前記隙間があるため、容器本体に収容した食品の衛生面でも問題がある。
【0008】
この点、下記特許文献3のように、容器本体に被せる蓋体に、底部に食品を流下させる開放可能な流下部を備えた収容部を備え、蓋体の上面に開放可能な通気部が形成された包装容器であると、通気部を開放することによって電子レンジでの加熱に際して安全性を確保できるのでよい。
【0009】
しかしながら、容器本体と収容部と蓋体は順に被せるように嵌合する構造であるので、包装後に比較的早期に食される食品の包装にはよいが、包装後に時間をおいて食される食品の包装には不向きであった。二次殺菌ができないからである。すなわち、加熱調理した食品は、すぐに食されるものを除いて包装後に二次殺菌される必要があるが、特許文献3の包装容器のように、容器本体の上に収容器を嵌着し、その上に蓋体を嵌着する構成では、二次殺菌ができない。特許文献1の包装容器でも同様である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開平1−122481号公報
【特許文献2】特許第2875196号公報
【特許文献3】登録実用新案第3133066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、この発明は、加熱が容易に行えるとともに、包装後比較的に早期に食される食品の包装から、包装後時間をおいて食される食品の包装にまで多様な使用ができるようにすることを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのための手段は、食品を収容する収容凹部を有した食品包装容器であって、前記収容凹部の上端の全周から外方に張り出して前記収容凹部を閉塞する蓋シート材が熱溶着される熱シール部が形成されるとともに、該熱シール部の外側であって熱シール部よりも下の位置に、凹溝が形成され、前記熱シール部には、厚み方向に貫通して通気を可能にし、前記収容凹部に対して食品を収容後に前記蓋シート材の固定で閉じられる通気穴が形成された食品包装容器である。
【0013】
この構成では、収容凹部に収容された食品は、蓋シート材の熱溶着で閉じられるので、二次殺菌や湯煎のときに保護される。また凹溝は、食品包装容器を上下反転して食器や包装容器などの容体の上に位置させたときに引っ掛かりとなり、収容凹部に収容した食品の排出を容易に、しかもきれいに行わせる。そして前記通気穴は、蓋シート材を剥がせばあくので、食品包装容器を適宜の容体に被せて電子レンジで加熱するときに蒸気抜きとして作用し、安全性を確保する。蓋シート材は、熱シール部から完全に除去するほか、前記通気穴をあけるとともに収容凹部を若干あける程度に蓋シート材を剥がした状態としてもよく、この場合には、食品包装容器を被せたままの状態で収容凹部内の食品と、前記容体内の食品とが別々に加熱される。
【0014】
別の手段は、前記食品包装容器に包装された後に、二次殺菌がなされた食品である。
【0015】
この構成では、二次殺菌により、収容凹部内の食品の品質が包装後しばらくの期間保持される。
【0016】
さらに別の手段は、前記食品包装容器に食品を包装する食品包装ステップと、前記食品包装容器の前記凹溝が嵌合する被嵌合縁部を上端に有する包装容器に、前記食品包装ステップで包装した食品を合わせて食される食品を盛る食品盛りステップと、前記食品包装ステップで食品が包装された食品包装容器を、前記食品盛りステップで食品が盛られた包装容器に被せる組み合わせステップを有する食品包装容器の使用方法である。
【0017】
この構成では、食品包装ステップで例えば丼の具などの食品を包装して準備しておき、食品盛りステップで例えばご飯や麺などの食品を盛ってから、組み合わせステップで、前記食品包装ステップを経た食品容器を、前記食品盛りステップを経た包装容器に被せると、顧客に手渡せる状態になる。
【発明の効果】
【0018】
この発明の食品包装容器によれば、収容凹部の食品は蓋シート材で閉塞されるので、二次殺菌や湯煎が行える状態となる。このため、包装後すぐに食されない食品の包装も可能であり、衛生上の安全性も確保できる。また外食産業においては、特に持ち帰り用の商品の提供に便利である。しかも、蓋シート材を剥がせば自動的に通気穴が開くので、加熱のための準備作業が容易であるとともに、食品包装容器を被せたままで電子レンジにかけても、安全性が保たれる。
【0019】
また、この発明の食品包装容器の使用方法によれば、食品包装ステップを経た食品を例えば湯煎等で加熱しておき、食品盛りステップを経た包装容器に被せるだけで、商品の提供が行えるので、例えば牛丼など商品の持ち帰り用に使用すると、待ち時間を大幅に短縮でき、数の多い注文にも小スペースで迅速に対応できるようになって便利である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】食品を包装した状態の食品包装容器の斜視図。
【図2】食品包装容器と包装容器の斜視図。
【図3】食品包装容器の斜視図。
【図4】食品包装容器を蓋シール材で閉塞した状態の斜視図。
【図5】作用状態の断面図。
【図6】食品包装容器を包装容器に被せた状態の断面図。
【図7】食品包装ステップを示す説明図。
【図8】二次殺菌ステップを示す説明図。
【図9】食品盛りステップと組み合わせステップを示す説明図。
【図10】蓋シール材を剥離する動作を示す断面図。
【図11】食品を併せて通気穴を開いた状態の断面図。
【図12】図11の状態の斜視図。
【図13】他の使用態様の断面図。
【図14】他の例に係る食品包装容器の部分断面図。
【図15】他の例に係る食品包装容器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
図1は、食品包装容器11に食品71を包装した状態を示す斜視図であり、この食品包装容器11は、容体としての、例えば図2に示したようなカップ状または椀状をなす包装容器51や、丼などの食器(図示せず)等に被せるなどして使用される。
【0022】
すなわち、前記食品包装容器11には、例えば丼の具やカレーのルー、麺の汁、スパゲティのソースなど、主に副食材としての前記食品71が収容され、例えばご飯や麺、などの主食材としての食品72(図2の仮想線参照)に載せたりかけたりして食せるように提供する場合に好適に使用される。単独で使用することも可能である。
【0023】
図3は、食品包装容器11の斜視図であり、合成樹脂シートを真空成形するなどして形成されている。全体として平面視円形で、中央には食品71を収容する有底短円筒状の収容凹部12を有する。収容凹部12の上端の全周には、外方に同幅で張り出す鍔状の熱シール部13が形成されている。
【0024】
この熱シール部13は、前記収容凹部12を閉塞する蓋シート材31(図1、図4参照)が熱溶着される部分である。そして前記熱シール部13の外側の全周であって前記熱シール部13の高さよりも低い下の位置には、凹溝14が形成される。凹溝14は図5に示したように、食品包装容器11を上下反転させて、前記包装容器51や食器(図示せず)などの上方に位置させたときに、前記包装容器51や食器の上端縁の係合縁部52に引っ掛かる部分であるとともに、包装容器51に対しては、図6に示したように嵌合する部分である。前記包装容器51の上端部が上方に行くほど外周側に開くように傾斜しており、また前記熱シール部13を食品包装容器11が備えているため、凹溝14の径方向の幅は、包装容器51の係合縁部52の内外方向の厚みに比して大きめに設定されている。換言すれば、凹溝14の内周側の壁面14aと包装容器51の上端縁の内周面53との間には適宜の空間54が形成されることになる。
【0025】
また、凹溝14内の外周側の壁面14bには、前記包装容器51の係合縁部52に対する係止状態を保つために内側に突出する係止突起15が形成されている。係止突起15は、前記包装容器51や食器などに応じて適宜形成され、不要であれば省略することができる。
【0026】
前記凹溝14は、熱シール部13の全周に形成される必要は必ずしもないが、食品の品質保持のためには、凹溝14が全周に形成されて包装容器51に対する嵌着状態を良好に保持できるようにしておくのが好ましい。
【0027】
前記熱シール部13には、厚み方向に貫通して通気を可能にする通気穴16が形成されている。通気穴16の大きさや形状、構造、個数、配置は適宜設定される。例えば図示例では丸い穴で構成したが、U字穴でもよい。
【0028】
この通気穴16は、前記蓋シート材31を熱溶着して前記収容凹部12を閉塞したときに、図4に示したように、蓋シート材31によって閉じられる。
【0029】
このような構造の食品包装容器11は、図4に示したような前記蓋シート材31が付属されている。また、必要に応じて、上下反転された前記凹溝14が係合する係合縁部を上端縁に有する前記容体(前記包装容器51など)が付属される。
【0030】
前記蓋シート材31は、前記熱シール部13に対して熱溶着できる適宜材料で形成され、前記収容凹部12を閉塞する本体部32と、この本体部32の一端部32aから延設された帯状の折り返し重合部33を有する。前記本体部32は熱シール部13の外周縁に略対応する大きさの円形である。前記折り返し重合部33は、前記一端部32a、つまり折り返し重合部33の付け根位置で折り返したときに図1に示したように、他端部32b側に延びて本体部32の他端部32bよりも外側に突出する長さに形成されている。折り返し重合部33におけるこの突出部分が、蓋シート材31を剥がすときのつまみ部34となるので、つまみ部34の突出長さは、蓋シート材31を剥がし易いように適宜設定される。
【0031】
以上のように構成された食品包装容器11は、前記蓋シート材31を用いて次のように使用される。この例では、食品販売業者の商品と、外食産業での持ち帰り商品について説明する。
【0032】
まず、食品71を包装する食品包装ステップS1である。図7に示したように、食品包装容器11の収容凹部12を上が開口するように向けて置いて(図7(a)参照)、所定の食品71を収容する(図7(b)参照)。所定量の食品71を収容したあとは、前記蓋シート材31を熱溶着で固定し、前記収容凹部12を閉塞する(図7(c)参照)。
【0033】
続いて、必要に応じて、二次殺菌ステップS2に移行する。二次殺菌ステップS2では、図8に示したように、包装済みの食品包装容器11を周知の二次殺菌装置75によって所定温度で所定時間加熱する。この後、包装済みの食品包装容器11は冷却されたのち、出荷される。
【0034】
このように前記食品包装容器11で包装された後に二次殺菌がされた食品71は、それ自体単独で商品となる。
【0035】
また、外食産業での持ち帰り商品の場合には、前記食品包装ステップS1と二次殺菌ステップS2を経て出荷された後で、または販売店舗で食品包装ステップS1を行う場合には食品包装ステップS1を経た後で、前記包装容器51に食品を盛る食品盛りステップS3に移行する。
【0036】
食品盛りステップS3では、図9(a)に示したように、前記主食材としての食品72を前記包装容器51に盛る。すなわち、ご飯や麺、スパゲティ、パスタなどを、前記食品包装容器11の凹溝14が係合する係合縁部を上端縁に有する前記包装容器51に収容する。より具体的には、包装容器51を手にとってから食品72を収容して、作業台(図示せず)の上に置く。
【0037】
この後、組み合わせステップS4に移行する。組み合わせステップS4では、71食品を包装した食品包装容器11を、図9(b)に示したように凹溝14が下に向くように上下反転させてから、食品盛りステップS3で食品72が盛られた包装容器51に被せる(図9(c))。つまり、作業台の上に置かれた前記包装容器51に、湯煎などで加熱された前記食品包装容器11を順次嵌合して、食品包装容器11と包装容器51を一体にする。
【0038】
このとき、前記のように凹溝14の内周側の壁面14aと包装容器51との間には空間54(図6参照)があるので、蓋シート材31のつまみ部34がその空間54内に収まる上に、前記凹溝14が熱シール部13の全周を囲み内外に壁面14a,14bを有する形状であるので、余分な空気の流通がないようにピッタリとした嵌合状態が得られる。このため、食品を良好な衛生状態の下で取り扱える。
【0039】
食品71,72は、この状態で顧客に提供される。副食材としての食品71を主食材としての食品72の上に載せたりかけたりする作業を、蓋を被せる作業と一体にすることができ、作業の手間が大幅に簡略化される。そのうえ、作業台に置かれた前記包装容器51に前記食品包装容器11を被せたあとは、これらを重ねることができるので、作業台上での作業スペースが小さくて済む。このため、持ち帰り商品の注文が一時期に殺到したときでも、店内食の提供との両立を図れる。
【0040】
次に、このような商品の提供を受けた顧客側での食品包装容器11の使用について説明する。
顧客は、食品包装容器11を図10に示したように少しあけてから前記蓋シート材31のつまみ部34を引き出し、食品包装容器11を包装容器51に被せたままの状態でこのつまみ部34を引っ張る。すると、食品包装容器11の収容凹部12が開いて、収容されていた食品71が落下し、ご飯等の主食材としての食品72の上に載ったりかかったりする。
【0041】
このとき、蓋シート材31が剥がれることで、図11、図12に示したように、食品包装容器11の熱シール部13における通気穴16が開く。このため、食品包装容器11を包装容器51に対してピッタリと嵌合して被せた状態でも、通気穴16が蒸気Sの抜け道となるので、電子レンジで安全に加熱することができる。つまり、食品が冷めた場合でも、温かくしておいしい状態で食することができる。
【0042】
また、蓋シート材31を剥離すると通気穴16があいて外部から空気が入るので、たとえ食品包装容器11が包装容器51にピッタリと嵌合している場合であっても、収容凹部12内の食品71は円滑に落下する。
【0043】
食品包装容器11内の食品71と包装容器51内の食品72を別々に加熱したい場合には、蓋シート材31を全部はがすのではなく、図13に示したように、通気穴16をあけるとともに、収容凹部12の一部をあけて加熱するとよい。この場合には、食品71,72を別々に加熱してから食品包装容器11内の食品71を包装容器51内の食品72に合わせて食することができる。
【0044】
図14に示したように、食品包装容器11の収容凹部12の底面などに、別に通気穴17を形成して剥離可能なシール材18で閉じておくと、前記のように蓋シート材31を、収容凹部12を開けるまで開かなくても、2箇所の食品71,72を別々に加熱することができる。この場合には、食品包装容器11内の食品71が粘度の低いものである場合や、汁を含むものである場合でも、加熱前に混ざらなくて良いが、製造コストがかかる。このため、例えば図15に示したように構成することができる。
【0045】
すなわち、熱シール部13の高さに一端部と他端部で差をつけておき、上下反転したときに高い位置になる部分から蓋シート材31が剥がれるように構成している。図15中、13aが熱シール部13の高さの低い部分であり、13bが熱シール部13の高さの高い部分である。この構成によると、食品包装容器11を包装容器51に被せたときに、食品71のうちの流動性の高い部分71aが、低い位置、つまり前記熱シール部の高さの高い位置13b側に溜まるので、収容凹部12を一部開いても、食品71が下に入ることを防止できる。この結果、加熱前に混ざり合うことを防げる。
【0046】
以上のように食品包装容器11は、副食材としての食品71を包装するのに好適に使用され、必要に応じて二次殺菌をすることによって、包装後早期に食される弁当などの食品の包装に使用できるのはもちろんのこと、包装後消費までに時間がかかる食品の包装にも使用できる。
【0047】
主食材としての食品72に載せたりして食さない場合には、蓋シート材31側を上にして、蓋シート材31を剥がして、食することができる。このとき食品包装容器11は、蓋としてではなく皿やカップのような容器としての役割を果たす。
【0048】
また、食品包装容器11には凹溝14が形成されているので、主食材としての食品72に合わせて食する場合には、凹溝14の一部を図5に示したように包装容器51等の容体の上端縁に係止することができるので、食品包装容器11内の食品71が外にこぼれないように、きれいに載せたりかけたりすることができる。
【0049】
そして、蓋シート材31を剥がすと通気穴16があく構造であるので、食品包装容器11を蓋として包装容器51等の容体に被せて電子レンジで加熱しても、通気穴16が蒸気S(図12参照)の抜け道となるので、加熱時の安全性を確保できる。
【0050】
そのうえ、食品の排出に必要な蓋シート材31の剥離によって通気穴16を開く構成であるので、加熱のための準備作業が容易であるとともに、別途にシール材を用いて開放可能に通気穴を形成する場合に比して、製造コストを抑えることができる。
【0051】
食品包装容器11は前記通気穴16を有するが、必ずしも加熱して食さなければならないわけではなく、加熱せずに食してもよく、また加熱を要しない食品71、例えば鉄火丼やトロロ丼などの具や、ざる蕎麦や冷やし中華のつゆなどを包装するものとして使用してもよい。
【0052】
温冷いずれの食品の包装であっても、当初から合わせる場合と異なり、おいしく食せるようになる。
【0053】
しかも、蓋シート材31を引っ張るだけで、前記のように外にこぼすことなく、手も汚すことなく、食品71,72同士を合わせることができるので、食するための作業は非常に簡単である。そのうえ、例えば汁などを別の袋に包装する場合に比べて、ゴミの発生も抑制できる。
【0054】
また、前記の食品包装ステップS1、食品盛りステップS3、組み合わせステップS4を有する食品包装容器11の使用方法を採用すると、前記のように、食品包装ステップS1を経て予め保温や保冷をしておいた包装済みの食品包装容器11を、食品盛りステップS3で新たに用意した包装容器51に被せるだけで、顧客に提供できる状態になるので、これまで必要だった工程を大幅に削減でき、迅速な作業が可能である。作業のためのスペースも小さくて済む。このため、店内食を捌きながらの持ち帰り商品の提供が円滑に行えるようになり、作業渋滞を解消できる。
【0055】
しかも、前記のように顧客にとっては食する直前に食品71,72同士の合わせを行える上に、加熱してから食することができる。このため、おいしく食してもらえるようになり、顧客へのサービス向上に貢献する。
【0056】
この発明の構成と、前記構成との対応において、
この発明の容体は、前記包装容器51に対応するも、
この発明は前記構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することもできる。
【0057】
例えば、食品包装容器11に収容した食品を店内で食してもらう場合には、前記容体は、店内で使用する丼などの食器であってもよい。
【0058】
また、収容凹部12は複数個設けることもでき、仕切りで複数に仕切ることもできる。
【符号の説明】
【0059】
11…食品包装容器
12…収容凹部
13…熱シール部
14…凹溝
16…通気穴
31…蓋シート材
32…本体部
32a…一端部
32b…他端部
33…折り返し重合部
51…包装容器
52…係合縁部
71…食品
72…食品
S1…食品包装ステップ
S2…二次殺菌ステップ
S3…食品盛りステップ
S4…組み合わせステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を収容する収容凹部を有した食品包装容器であって、
前記収容凹部の上端の全周から外方に張り出して前記収容凹部を閉塞する蓋シート材が熱溶着される熱シール部が形成されるとともに、
該熱シール部の外側であって熱シール部よりも下の位置に、凹溝が形成され、
前記熱シール部には、厚み方向に貫通して通気を可能にし、前記収容凹部に対して食品を収容後に前記蓋シート材の固定で閉じられる通気穴が形成された
食品包装容器。
【請求項2】
前記凹溝が全周に形成された
請求項1に記載の食品包装容器。
【請求項3】
前記蓋シート材が付属された
請求項1または請求項2に記載の食品包装容器。
【請求項4】
前記蓋シート材が、前記収容凹部を閉塞する本体部と、該本体部の一端部から延びるとともに、その一端部で折り返されたときに他端部側に延びて本体部の他端部よりも突出する折り返し重合部を有する
請求項3に記載の食品包装容器。
【請求項5】
上下反転された前記凹溝が係合する係合縁部を上端縁に有する容体が付属された
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の食品包装容器。
【請求項6】
前記請求項1から請求項5のうちのいずれか一項に記載の食品包装容器に包装された後に、二次殺菌がなされた
食品。
【請求項7】
前記請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の食品包装容器に食品を包装する食品包装ステップと、
前記食品包装容器の前記凹溝が嵌合する被嵌合縁部を上端に有する包装容器に、前記食品包装ステップで包装した食品を合わせて食される食品を盛る食品盛りステップと、
前記食品包装ステップで食品が包装された食品包装容器を、前記食品盛りステップで食品が盛られた包装容器に被せる組み合わせステップを有する
食品包装容器の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−192930(P2012−192930A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56121(P2011−56121)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(504167850)
【Fターム(参考)】