説明

食品包装用の容器と食品包装用品および容器入り食品

【課題】 ファーストフード店などで好適に用いられる食品包装用の容器と、食品包装用品および容器入り食品を提供する。
【解決手段】 食品包装用の容器10は、枠体5と、枠体5内に入り込む舌片6とで構成される。舌片6は枠体5内に入り込んで枠体5の丸みをおびた底部を形成する。食品30を途中まで食べた後、舌片6で形成した底部を指先で下から押し上げることにより、枠体内に残った食品は上方に飛び出てくるので、手で食品を触ることなくすべて食べきることができる。食品30は枠体5で覆われているので、持ち運ぶときに潰れることもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、限定されるものではないが、ファーストフード店において提供されるハンバーガーのような食品を収納するのに適した食品包装用の容器と食品包装用品および容器入り食品に関する。
【背景技術】
【0002】
ファーストフード店でハンバーガーなどの食品を提供する場合、ポリエチレンフィルムなどをラミネートした紙で作った袋を用いる場合と、下容器部分と上容器部分がヒンジ部を介して開放姿勢と閉鎖姿勢とを選択的に取りうるようにされた箱型容器(クラムシェル型容器)を用いる場合とがある。特に食品がハンバーガーの場合、比較的薄手のものは紙袋に入れて提供され(例えば、特許文献1:実開平5−40150号公報など参照)、3段、4段と多段に積み上げて高さの高くされたハンバーガーはクラムシェル型の箱形容器に入れて提供されることが多い。
【0003】
特許文献2(特開2003−72749号公報)には、クラムシェル型箱形容器の一例が示されており、そこにおいて、収納したハンバーガーを箱から取り出さずに食べることができるように、下容器部分と上容器部分の先端側が外側に反転可能となっている。反転させることにより開放した部分から収容したハンバーガーを露出させて、箱を手で持った状態でハンバーガーを食べることができる。
【0004】
ハンバーガーなどを包装する他のパックとして、特許文献3(特表2002−520233号公報)には、側壁と端壁を備えた矩形のベースを有するトレーと、トレーに付着されたラッピング材とからなるフードパックが記載されており、ラッピング材に食品を入れた後、トレー内に収まる形にラッピング材を折り込み、かつ、ベースに備えた端壁を立ち上げることにより、包装は完成するようになっている。
【0005】
【特許文献1】実開平5−40150号公報
【特許文献2】特開2003−72749号公報
【特許文献3】特表2002−520233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ハンバーガーなどの食品は柔らかくまた潰れやすい。さらに、種類によっては汁の出やすいものもある。特許文献1に記載のような紙袋に包んで提供する場合は、開封後、食品に手を触れることなく食べることができ、また食品がこぼれ出ることもないので、ハンドリングが容易である利点がある。しかし、通常、気密性であることから、長い時間袋に入れたままにしておくと、食品から出る熱や水蒸気により食感が変化するおそれがある。また、食品保護性に乏しく、食品を潰してしまうことも起こり得る。
【0007】
箱形容器で提供する場合には、収容した食品と容器の間に適度な空間が常時形成されており、食品の食感が良好に保たれ、また、持ち運ぶときに不用意に食品が潰れることも回避できる。しかし、箱を開いた後、ハンバーガーのような食品を直接手で取りだして食べることとなるので、手に食品の一部が付着したり、また、食品の一部がこぼれ出すという課題が残されている。特許文献2に記載される形態の容器を用いる場合には、箱の一部を開いた状態で食品を食べることができ、基本的には、食品を手でつかんで取り出す必要がないので、手が汚れない利点がある。しかし、食品の残りが少なくなったときに食べづらくなり、手で取り出すことが必要となる。
【0008】
特許文献3に記載される形態のフードパックは、側壁と端壁を備えたトレーを備えており、端壁を立ち上げることにより包装は完成するので、収容した食品が不用意に潰れることはある程度回避できる。また、ラッピング材で食品を包むようにしており、食品を食べるときにラッピング材の上から食品をつかむことができ、手が汚れることはない。食品の一部や汁が外に漏れ出ることもない。しかし、フードパック内に食品を収容した後、トレー内に収まる形にラッピング材を折り込んで包装食品とするまでの工程数が多く、迅速な処理が求められるファーストフード店での使用には不向きである。また、上面側での食品保護性は十分でない。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、食品の包装材として紙袋の持つ長所(食べやすい(持ちやすい)、食品がこぼれ難い)と、箱形容器の持つ長所(表品保護性に優れる、適度な空間に由来する食品のおいしさ維持)の双方を兼ね備えるようにした、ファーストフード店などで好適に用いられる食品包装用の容器と食品包装用品および容器入り食品を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、ファーストフード店だけでなく、種々の食品を収納してディスプレー用に展示するときや、サクランボあるいはフライドプテトなどの小物の食品を店頭で販売するときの容器等としても有効に用いることができる食品包装用の容器を提供することを目的とする。また、そのような容器を用いた食品包装用品および容器入り食品を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による食品包装用の容器は、基本的に、4つの側壁を備えた枠体と、該枠体の1つの側壁の上縁から上方に延出する可撓性を備えた舌片とからなり、舌片は枠体内に入り込むことができ、入り込んだ状態で前記舌片は前記枠体の丸みをおびた底部を形成することとなることを特徴とする。好ましくは、枠体は平らに折り畳んだ姿勢と、4つの側壁が互いにほぼ直交するように立ち上がった姿勢とに、姿勢変更できるようになっている。
【0012】
この食品包装用の容器では、食品を収容するときに、舌片を枠体の中に入り込ませる。それにより、枠体は丸みをおびた底面を有するようにする。その状態で、例えばハンバーガーような食品を枠体の中に収容する。舌片の長さは任意であり、その長さに応じて丸みをおびた底面の位置と形状が定まる。舌片が短く底面が浅い場合には、食品の一部は枠体から上方に飛び出た状態となる。長い舌片の場合には底面の位置が深くなるので、食品、例えば収容したハンバーガーの全部が枠体の中に入り込む。
【0013】
ハンバーガーを食べようとする者は、枠体部分を手に持ち、外に出でいる部分のハンバーガーを最初に食する。その後、枠体内に収容した舌片の裏側を指で上に押すか、舌片の先端を引き上げることにより、ハンバーガーに手や指を触れることなく、残りの部分を外に引き出すことができる。最初からハンバーガー全体が枠体内に入り込んでいる場合には、枠体内に収容した舌片の裏側を指で上に押すか、舌片の先端を引き上げる操作を当初から行う。
【0014】
枠体が折り畳み自在となっている場合には、食品を収容しないときには全体を平らな姿勢としておくことができるので、容器の保管スペースを有効利用することができる。使用時に4つの側壁が互いにほぼ直交するように立ち上がって姿勢とする作業はきわめて容易であり、その後で、上方に延出している舌片を枠体内に入れ込むことにより、容器は食品を収容できる状態となる。また、舌片は枠体内に入り込んだ状態では枠体の保形材(抵抗材)として機能し、枠体が外力により潰れるのを防止する。そのために、収容した食品の保護機能は高くなり、例えばハンバーガーのような柔らかな食品の場合、枠体に不用意な力が作用したときでも、食品が潰れて変形するのを防止できる。
【0015】
舌片を枠体内に入れ込み、枠体の曲面をなす底部を形成した姿勢としたときに、舌片の先端が枠体の対向する側壁の上縁に係止できるようにしておくことは好ましい。この態様では、舌片を枠体内に入れ込むときに、特別の注意を払わなくても、舌片を所要の位置に確実に位置決めすることができる。
【0016】
容器に食品を収容して店頭でディスプレーに共するような場合には、枠体の形状は側面視で矩形状であって差し支えない。しかし、ハンバーガーのような食品を収容した後、全体を包装紙あるいは包装用袋で包装する場合には、枠体に鋭角状の偶部があると包装紙あるいは包装用袋が破れやすくなる。そのために、本発明による容器の好まして態様では、枠体の4つの側壁のうち、舌片が延出する側壁と該側壁に対向する側壁を除いた他の2つの側壁の下縁は曲率を持つようにされている。それにより、包装時に、包装紙あるいは包装用袋が破れるのを防止する。
【0017】
さらに、収容する食品が、ハンバーガーのように底面はほぼ平坦面で、上面側が山のように盛り上がっている形状の食品を収容することを目的とする場合には、舌片の長手方向の一方の側縁は直線状とし、対向する他方の側縁は弧をなすような形状に形成する。この形態の舌片を枠体内に入れ込むと、側壁の一つは山形に膨らむようになり、前記した形態の食品を、山のように盛り上がっている側を不用意に潰すことなく、容器内に容易に収容することができる。
【0018】
舌片の先端にも適宜の上枠体が取り付けるようにしてもよい。容器内に収容する食品の一部が枠体から上方に飛び出ることが想定され、かつ、飛び出ている部分に対して保形性が求められるような場合には、上記した上枠体を持つ舌片を備えた容器を用いることが推奨される。容器内に食品を収容した後、舌片の先端に取り付けた上枠体でもって、食品の飛び出ている部分を囲い込むことにより、十分な食品保護性を確保できる。
【0019】
上記の説明では、本発明による食品包装用の容器は4つの側壁を備えた枠体を有することを前提としたが、枠体は連続した側壁を有し、枠体の側壁の上縁から上方に延出する可撓性を備えた舌片が枠体内に入り込むみ、入り込んだ状態で前記舌片は前記枠体の丸みをおびた底部を形成することことができれば、枠体は、必ずしも4つの側壁を備えた枠体でなくてもよい。例えば、枠体は、開いた状態で円筒体、長円筒体、4角柱体以外の多角柱体等を形成するものであってもよい。好ましくは、この場合でも、舌片は、枠体内に入り込み枠体の曲面をなす底部を形成した姿勢のときに、その先端が枠体の対向する側壁の上縁に係止できるようにされる。
【0020】
本発明による食品包装用の容器は、食品の安全性が担保できることを条件に任意の材料で作ることができる。軽量性、操作性、コスト等の観点から、板紙であることが望ましく、板紙の一面または両面をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートのような樹脂フィルムでコーティングしたものはより好ましい。他に、発泡または非発泡の合成樹脂シートも好ましい材料であり、特に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートのような樹脂シートは好ましい。
【0021】
本発明は、さらに、上記した食品包装用の容器と当該容器に収容した食品の双方を包むことのできる包装紙または包装用袋で構成される食品包装用品も開示する。包装紙または包装用袋の材料も、食品の安全性が担保できることを条件に任意のものを用いることができるが、軽量性、操作性、コスト等の観点から、好ましくは、薄紙とポリエチレンフィルムなどの樹脂フィルムを積層したものが用いられる。
【0022】
包装紙または包装用袋と容器は別々のものであってもよく、包装紙または包装用袋の一部が容器に付着している態様でもよい。いずれの場合も、例えば店頭で容器内にハンバーガーのような食品を入れた後、包装紙または包装用袋で全体を包み込む。ハンバーガーのような食品はそのほとんどが枠体によって囲まれているので、購買者が持ち歩くようなときに、潰れて変形することを回避できる。また、収容した食品と容器との間には適度な空間が確保されており、通気性、保温性など従来の箱形容器のもつ長所はそのまま維持される。
【0023】
購買者が食品を食べるときは、包装紙または包装用袋を開き、包装紙または包装用袋を介して、あるいは直接枠体部分を手に持ち、枠体から飛び出ている箇所から食べていく。飛び出ている部分がない場合、または飛び出ている箇所を食べてしまったとき、前記したように、枠体内に収容した舌片の裏側を指で上に押すか、舌片の先端を引き上げる。それにより、残りの部分を外に飛び出させることができるので、ハンバーガーのような食品に手や指を触れることなく、その全体を食べ終えることができる。また、その過程で食品は十分に包装紙あるいは包装用袋で包まれているので、食品の一部がこぼれ出ることはなく、汁の多い食品でも汁が飛び出ることはない。
【0024】
包装紙または包装用袋の一部が容器に付着している態様の食品包装用品を用いる場合には、店頭での容器と包装紙または包装用袋との組み合わせ作業を省略することができ、包装完了までに要する時間を短縮できる。
【0025】
枠体の下方部分に枠体の開放した下方領域を覆うことのできる大きさの袋体を一体に設けるようにしてもよい、この形態の食品包装用の容器は、多少汁気の含んだ食品を収容する、あるいは、サクランボあるいはフライドポテトのような小物の食品を多量に収容するよう使用態様において、特に優れた効果を発揮する。
【0026】
また、本発明は、上記した食品包装用の容器の中に食品を収容してなる容器入り食品、および、上記した食品包装用品の容器の中に食品を入れ、包装紙または包装用袋で包装してなる容器入り食品をも開示する。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、食品の包装材として紙袋の持つ長所と箱形容器の持つ長所の双方を兼ね備えた食品包装用の容器および食品包装用品が得られる。それらは、限定されるものではないが、ファーストフード店でのハンバーガーの提供用容器として特に優れた効果を発揮する。また、本発明による容器入り食品は、前記包装容器の中にハンバーガーなどの食品を入れて包装したものなので、内部の食品の食感が良好に保たれ、食する際に手を汚すこともなく、店内用、テイクアウト用として利便性を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら本発明を説明する。図1は本発明での食品包装用の容器の一例を展開して示す図であり、図2は容器として組み立てた後に平らに折り畳んだ状態を示している。図3は容器を食品を収容できる状態としたときの斜視図である。図4〜図8は、図1〜図3に示した食品包装用の容器を用いて食品を包装しかつ包装した食品を食べるまでの手順を順を追って説明している。
【0029】
この例において、容器10は、前側壁1と後側壁2および上側壁3と下側壁4の4つの側壁からなる枠体5と、後側壁2の上縁から上方に延出する可撓性を備えた舌片6とで構成される。後側壁2は糊代部2aを有しており、図1に示す展開状態から、糊代部2a部分を下側壁4の図で右端部5aの場所に接着することにより、矩形状の枠体5となる。
【0030】
この例において、舌片6の先端には切り込み7、7が形成されており、前側壁1の上縁には該切り込み部7が入り込む大きさの切り欠き部8を有している。また、上側壁3と下側壁4の下縁3a,4a側は全体が弧状をなしている。
【0031】
図2は、枠体5として組み立てた後、枠体5を平らに折り畳んだ状態を示しており、その姿勢で容器10はファーストフード店などに持ち込まれ、保管されると共に使用に供される。食品を収容するに際して、店員は1個の容器10を手に取り、枠体5を4つの側壁が互いにほぼ直交するように立ち上がって姿勢とする。その後、舌片6を枠体5の中に押し込むようにして入り込ませ、舌片6の先端の切り込み部7、7を前側壁1の上縁に形成した切り欠き部8に係止させる。それにより、容器10は、図3に示すように、舌片6が枠体5の丸みをおびた底部を形成した姿勢、すなわち、食品を収容できる姿勢となる。そして、舌片6の先端6aは枠体5の外側に飛び出ている。
【0032】
この容器10では、図3に示すように、食品を収容するように組み付けた姿勢で、舌片6の丸みをおびた底部の下端6b近傍は、上側壁3と下側壁4の下縁3a,4aよりも下方に位置している。底部の下端6bをどの程度の位置にするかは、舌片6の長さに依存しており、より短い舌片の場合には、底部の下端6bは枠体5内に位置するようになり、より長い舌片の場合には、図3よりもさらに下方に位置することとなる。同じ長さの舌片であっても、枠体5内への入れ込み長さを調整することにより、底部の下端6bの位置を変えることができる。求められる食品収容態様に応じて、適宜の底部下端位置を選択すればよい。図示しないが、舌片6に多段に前記切り込み7、7を形成しておくことにより、底部下端6bの位置決め作業を容易化することができる。切り込み7や切り欠き部8は省略してもよく、その場合には、所望位置に舌片6の底部下端6bが到達したときに、舌片6の先端近傍を折り曲げて、前側壁1の上縁に引っ掛けるようにしてもよい。
【0033】
底部下端6bの位置に関わらず、舌片6の一部は必ず枠体5の上側壁3と下側壁4の間に位置することとなるので、舌片6は、枠体5の丸みをおびた底部として機能するばかりでなく、上側壁3と下側壁4の間の抵抗体としても機能する。そのために、図3の姿勢に組み付けた状態では、側方からの力に対して強い抵抗を示すことができ、容器10(枠体5)は容易には潰れない。
【0034】
以下に、この容器10に食品としてハンバーガー30を収容する場合を例として本発明を説明する。図4に示すように、店頭において、適宜の包装紙20を敷き、その上に、図3のように組み付けた容器10を図示のように立てた姿勢で、あるいは下側壁4が下側として寝かせた姿勢で置き、容器10内にハンバーガー30を収容する。包装紙20は、好ましくは紙とポリエチレンフィルムなどの樹脂フィルムを積層したものが用いられる。
【0035】
この例では、収容したハンバーガー30の半分が容器10内に入っており、半分は容器10から飛び出ている。図5に示すように、容器10とハンバーガー30の全体が包装紙20で包み込まれ、それが購買者に手渡される。この状態では、収容したハンバーガー30と容器10との間に適度な空間が確保されており、通気性、保温性、保形性など従来の箱形容器のもつ長所はそのまま保持される。また、容器10の枠体5には、前記したように舌片6が補強材として作用していて高い食品保形性が付与されており、購買者が持ち歩く間に、ハンバーガー30が潰れるようなことはない。さらに、枠体5の上側壁3と下側壁4の下縁3a,4aは弧状に縁取りされているので、包装がし易いと共に、包装紙が破れるのも防止している。
【0036】
ハンバーガー30を食べるときは、包装紙20を開き、図6に示すように、ハンバーガー30が外に出るようにする。なお、図6〜図8では開いた包装紙は省略しているが、通常は、開いた状態の包装紙20は枠体10およびハンバーガー30と共に、購買者の手に持たれている。購買者は、枠体5を手に持った姿勢で、枠体5から上方に飛び出ている部分を食べる。
【0037】
外に出ている部分を食べてしまうと、図7に模式的に示すように、ハンバーガー30の残りの部分はすべて枠体5の内に位置するようになり、食べづらくなる。そのときに、購買者は、指先で枠体5の底部を形成している舌片6を下から突き上げる。あるいは、舌片6の前側壁1の上縁から飛び出している先端部分6aを手で引き上げる。それにより、図8に示すように、残りのハンバーガー30は枠体5から外側に出て来るので、購買者は、ハンバーガー30をまったく手で触ることなく、そのすべてを食べ終えることができる。指先で枠体5の底部を形成している舌片6を下から突き上げる場合には、片方の手で持ったままの姿勢でハンバーガー30のすべてを食べ終えることができる。
【0038】
上記のように、購買者は、手や指先をハンバーガー30に直接触れることなくハンバーガー30を食べることができる。食べ終わるまでハンバーガー30を包装紙20で包み込んだ状態としておくことができるので、食材がこぼれることもなく、汁気の多い食材の場合でも、汁がこぼれたり汁で手が汚れることも防止できる。
【0039】
図9は、本発明による食品包装用の容器の他の形態を示す図2に相当する図である。この容器10Aは、舌片61の形状が上記した容器10と異なっており、他の形状は同じである。容器10Aでの舌片61は、一方の側縁63は直線状であるが、他方の側縁62は外側に張り出す弧をなしている。この形状の容器10Aを図3に示すように食品を収容できる状態に組み付けると、上側壁3あるいは下側壁4の一方、この例では上側壁3が、舌片61の弧状の側縁62により裏面から押し出されることにより、山形に膨らむようになる。そのために、ハンバーガーのように底面はほぼ平坦面で、上面側が山のように盛り上がっている形状の食品を収容するときに、山のように盛り上がっている側を不用意に潰すことなく、容器10A内に収容することができるようになる。
【0040】
舌片61の両側縁を共に弧状に張り出すようにしてもよい。この場合には、枠体5の上側壁3と下側壁4の双方が外側に向けて山形に膨らむようになり、サクランボやフライドポテトなどの小物食品を収容するのに適した容器となる。
【0041】
本発明による食品包装用の容器は、容器に食品を収容した後、包装紙で包むことなく、そのまま店頭に置いておく、あるいはそのまま購買者等に手渡すような使用方法も可能である。その場合には、枠体5の4つの側壁、特に上側壁3と下側壁4の下縁を、図示のように弧状な縁取りすることなく、直線状にしておく方が好ましい場合もある。
【0042】
図10は、本発明による食品包装用の容器のさらに他の形態を示す展開図である。この容器10Bは舌片6の先端に上枠体50をさらに備える点で、上記した容器10、10Aと相違している。なお、この例において、枠体5の4つの側壁1〜4はすべて矩形状をなしているが、図1〜図3に示した容器10のように、一部の側壁の下縁は弧状に縁取りがされていてもよいことは当然である。
【0043】
容器10Bは、枠体5を構成する前側壁1と後側壁2および上側壁3と下側壁4の4つの側壁と、後側壁2の上縁から上方に延出する可撓性を備えた舌片6とを有し、該舌片6の先端には、上枠体50を構成する4つの側壁51〜54が一体に設けてある。後側壁2は糊代部2aを有しており、側壁52にも糊代部52aを有している。
【0044】
図11に示すように、枠体5と舌片6とは、前記した容器10の場合と同様にして組み立てられる。そして、舌片6の上縁側にも上枠体50が組み立てられる。組み立てた後、舌片6を枠体5内に入れ込み、そこに適宜の食品を収容した後、枠体5から飛び出ている食品部分を覆うようにして、上枠体50を枠体5の上に置く(図12参照、なお、図12には食品は示されない)ことにより、食品の収容が完成する。必要に応じて、全体を包装紙で包み込む。それにより、十分な食品保護性を確保することができる。
【0045】
なお、特に図示しないが、図2あるいは図9に示すように容器10、10Aを平らに折り畳んだ姿勢とすると共に、包装紙20の一部をそこに付着させた状態で、店頭に置くようにしてもよい。この場合には、店頭で容器10と包装紙20とを寄せ集める手間を省くことができるので、店頭での包装作業をさらに省力化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による食品包装用の容器の一例を展開して示す図。
【図2】容器として組み立てた後に平らに折り畳んだ状態を示す図。
【図3】容器を食品を収容できる状態としたときの斜視図。
【図4】店頭で容器内に食品を収容した状態を示す図。
【図5】容器に収容した食品を包装しで包み込んだ状態を示す図。
【図6】包装紙を開き、食べ始めの状態を示す図。
【図7】途中まで食べた状態を示す図。
【図8】舌片である底部を押し上げて、食品の残りの部分を食べ易くした状態を示す図。
【図9】本発明による食品包装用の容器の他の例を平らに折り畳んだ状態で示す図。
【図10】本発明による食品包装用の容器のさらに他の例を示す展開図。
【図11】図10に示す容器を組み立てた図。
【図12】図10に示す容器に食品を収容した状態の図(ただし、食品は図示していない)。
【符号の説明】
【0047】
10、10A,10B…食品包装用の容器、1…前側壁、2…後側壁、3…上側壁、4…下側壁、5…枠体、6…舌片、7…舌片先端の切り込み、8…前側壁に形成した切り欠き部、20…包装紙、30…食品(ハンバーガー)、50…上枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品包装用の容器であって、4つの側壁を備えた枠体と、該枠体の1つの側壁の上縁から上方に延出する可撓性を備えた舌片とからなり、舌片は枠体内に入り込むことができ、入り込んだ状態で前記舌片は前記枠体の丸みをおびた底部を形成することとなることを特徴とする容器。
【請求項2】
枠体は平らに折り畳んだ姿勢と、4つの側壁が互いにほぼ直交するように立ち上がった姿勢とに、姿勢変更できるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
舌片は、枠体内に入り込み枠体の曲面をなす底部を形成した姿勢のときに、その先端が枠体の対向する側壁の上縁に係止できるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
枠体の4つの側壁のうち、舌片が延出する側壁と該側壁に対向する側壁を除いた他の2つの側壁の下縁は曲率を持つようにされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
舌片の一方の側縁は直線状であり、対向する側縁は弧をなしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
舌片の先端にも適宜の上枠体が取り付けてあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
食品包装用の容器であって、連続する側壁を備えた枠体と、該枠体の側壁の上縁から上方に延出する可撓性を備えた舌片とからなり、舌片は枠体内に入り込むことができ、入り込んだ状態で前記舌片は前記枠体の丸みをおびた底部を形成することとなることを特徴とする容器。
【請求項8】
舌片は、枠体内に入り込み枠体の曲面をなす底部を形成した姿勢のときに、その先端が枠体の対向する側壁の上縁に係止できるようになっていることを特徴とする請求項7に記載の容器。
【請求項9】
素材が板紙であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の容器。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の容器と当該容器に収容した食品の双方を包むことのできる包装紙または包装用袋で構成される食品包装用品。
【請求項11】
包装紙または包装用袋は、その一部が容器に付着していることを特徴とする請求項10に記載の食品包装用品。
【請求項12】
包装する食品がハンバーガーである請求項10または11に記載の食品包装用品。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載の容器の中に食品を収容してなる容器入り食品。
【請求項14】
請求項10または11に記載の食品包装用品の容器の中に食品を入れ、包装紙または包装用袋で包装してなる容器入り食品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−8217(P2006−8217A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190252(P2004−190252)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】