食品包装用容器
【課題】 容器本体と蓋体との閉蓋姿勢維持用の嵌合と嵌合解除を繰り返しても嵌合能力が極端に低下せず容器の閉蓋姿勢の維持を可能にした食品包装用容器の提供。
【解決手段】 容器本体1と蓋体2とが折り曲げヒンジ部3を介して一体的に連結成形されている容器で、一方向延伸加工シートを使用し、容器本体1と蓋体2とがシートの延伸方向に並列され、これら容器本体1と蓋体2との何れか一方の遊端縁部1a,2aに、当該遊端縁部1a,2aの長手方向に沿って延びた凸条4が形成され、何れか他方の遊端縁部2a,1aに、当該遊端縁部2a,1aの長手方向に沿って延び、前記凸条4と相互に嵌合する凹溝5が形成され、凸条4の断面形状が、先端側部分42の幅に比して突出基部41の幅が小さく形成されているか、凹溝5の断面形状が、凹入底側部分52の幅に比して凹入基部51の幅が小さく形成されているか、その両構造を備えた容器。
【解決手段】 容器本体1と蓋体2とが折り曲げヒンジ部3を介して一体的に連結成形されている容器で、一方向延伸加工シートを使用し、容器本体1と蓋体2とがシートの延伸方向に並列され、これら容器本体1と蓋体2との何れか一方の遊端縁部1a,2aに、当該遊端縁部1a,2aの長手方向に沿って延びた凸条4が形成され、何れか他方の遊端縁部2a,1aに、当該遊端縁部2a,1aの長手方向に沿って延び、前記凸条4と相互に嵌合する凹溝5が形成され、凸条4の断面形状が、先端側部分42の幅に比して突出基部41の幅が小さく形成されているか、凹溝5の断面形状が、凹入底側部分52の幅に比して凹入基部51の幅が小さく形成されているか、その両構造を備えた容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製シート素材を膨出成形させ、容器本体と蓋体とが折り曲げヒンジ部を介して一体的に連結成形されており、野菜、果物、菓子、鶏卵等の食品を収容することができる食品包装用容器であって、容器自体が封緘部を備えている構造としてある容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような合成樹脂製のシート素材を膨出成形させてなる食品包装用容器は一般に周知であるが、その多くは、容器本体と蓋体との遊端縁部分をシールテープで封緘してある。商品の購入後に、このシールテープを剥離除去して開封し一部の食品を取り出した後は、残りの商品を保存するために、折り曲げヒンジ部から蓋体を折り曲げて容器本体の上に被せて、容器全体に輪ゴムをかけて蓋をした状態として冷蔵庫内等に保管している。しかし、このような方法をとるには、常に輪ゴムを必要とし、輪ゴムを手元近くに常時保存しておく必要があり、輪ゴムが見あたらない場合には、容器を閉じた状態としておくことができないために大きく嵩張ることとなっていた。
【0003】
かかる状況に鑑み、一度開封した容器を輪ゴム等を必要とすることなく簡単に閉止姿勢にしておくことができる手段として、後記特許文献1に記載のように、容器本体1と蓋体2との一方に、4つの鶏卵収容凹部に囲まれた水平面11に係合凹部12を形成し、他方に該係合凹部12と係合する係合凸部22を形成してあるものとすることによって、一端容器を開封した後の閉蓋時において、これらの係合凹部12と係合凸部22とを指先で押し付けてホック状に係合させることにより、閉蓋姿勢を維持させるようにしたものが公知になっている。
【0004】
また、特許文献2に記載のように、容器本体1と蓋体2との遊端縁の一方に突起4を形成し、他方にこの突起4を受け入れる嵌合凹部5を形成してあるものとし、容器開封後の閉蓋時において、これらの突起4と嵌合凹部5とを指先で押し付けて相対嵌合させようにした容器の閉蓋姿勢維持構造も、食品包装用容器として既に開発され公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−234520号公報
【特許文献2】特開2004−323056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの先行公知技術は、容器本体と蓋体との何れか一方に円形の粒状突起を形成し、他方に該突起を受け入れる円形の粒状凹部を形成するか、円形の粒状突起に近い短尺の粒状突起と、同形の粒状凹部を形成するようにしたものであるから、これらの粒状突起や粒状凹部は、容器がシート成形品であることの関係上、係合のために先太り形状としておく必要性があり、容器の成形時に、金型から無理抜きしなければならないことと、膨出成形のために肉厚が極端に薄くなることとから、突起と凹部との嵌合力を強化することが困難であり、容器の閉蓋姿勢を長く維持させておくことが困難であり、殊に、嵌合解除と嵌合を複数回繰り返すと嵌合能力が極端に低下し、容器の閉蓋姿勢維持が困難となるという解決すべき課題を有するものとなっている。
【0007】
そこで本発明は、容器本体と蓋体との閉蓋姿勢維持のための嵌合部を、円形の粒状や、粒状に近い小さな凹凸を単体若しくは2体のみを形成するという嵌合突起構造を排除し、また、嵌合突起の先太り形状と金型からの無理抜き方法を排斥し、樹脂シート成形容器でありながら、嵌合部を嵌合解除と嵌合を複数回繰り返しても嵌合能力が極端に低下することなく、安心して容器の閉蓋姿勢を維持させておくことができる食品包装用容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために講じた本発明にいう食品包装用容器の構成は、合成樹脂製シート素材を膨出成形させて、容器本体1と蓋体2とが折り曲げヒンジ部3を介して一体的に連結成形されている食品包装用容器であって、素材シートとして、一方向延伸加工シートが使用され、容器Aにおける容器本体1と蓋体2とがシートの延伸方向に並列され、これら容器本体1と蓋体2との何れか一方の遊端縁部1a,2aに、当該遊端縁部1a,2aの長手方向に沿って延びた凸条4が形成され、何れか他方の遊端縁部2a,1aに、当該遊端縁部2a,1aの長手方向に沿って延び、前記凸条4と相互に嵌合する凹溝5が形成され、凸条4の断面形状が、先端側部分42の幅に比して突出基部41の幅が小さく形成されているか、凹溝5の断面形状が、凹入底側部分52の幅に比して凹入基部51の幅が小さく形成されているかの何れかか、その両構造を備えている構成としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明にいうところの食品包装用容器は、容器における容器本体と蓋体とがシートの延伸方向に並列され、これら容器本体と蓋体との何れか一方の遊端縁部に、当該遊端縁部の長手方向に沿って延びた凸条が形成され、何れか他方の遊端縁部に、当該遊端縁部の長手方向に沿って延び、前記凸条と相互に嵌合する凹溝が形成され、凸条の断面形状が、先端側部分の幅に比して突出基部の幅が小さく形成されているか、凹溝の断面形状が、凹入底側部分の幅に比して凹入基部の幅が小さく形成されているかの何れかか、その両構造を備えているものとしてあるので、これらの凸条と凹溝とが遊端縁部の長手方向に沿って延びた形状としてあることと、先太り状態に形成して金型から無理抜きされたものではなく、後加工で基部を狭小化してあるので、これらの凸条と凹溝とが圧縮強度に優れ、嵌合解除と嵌合とを何回か繰り返しても嵌合能力が極端に低下することなく、安心して容器の閉蓋姿勢を維持させておくことができるという従来の容器には期待できない効果を有しているものである。
【0010】
また、このような効果を備えた容器の製造に際して、容器本体と蓋体との膨出成形時に両体の遊端縁部に凸条と凹溝とを、遊端縁部の長手方向に沿った形状として同時成形し、容器の成形後に後加工によって容器の全体か遊端縁部を加熱して、凸条と凹溝との基部を幅方向に狭小化させる工程を加えることによって、予め素材シートに延伸加工させてあることによる遊端縁部の延伸緊張状態を解除させて幅方向に熱収縮させ、この熱収縮加工によって凸条または凹溝の突出基部の幅を、それらの突出先端側部分の幅よりも狭小となるように加工することにより、前記のように、凸条と凹溝とが圧縮強度に優れ、嵌合解除と嵌合とを何回か繰り返しても嵌合能力が極端に低下することなく、安心して閉蓋姿勢を維持させておくことができる容器を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】素材シートと成形金型の表面形状を示す斜視図。
【図2】他の素材シートと成形金型の表面形状を示す斜視図。
【図3】成形容器の開蓋形状を示す斜視図。
【図4】他の容器の開蓋形状を示す斜視図。
【図5】成形金型の成形前の縦断面図。
【図6】成形金型の成形状態の縦断面図。
【図7】成形後の容器の開蓋状態を示す縦断面図。
【図8】完成容器の閉蓋状態を示す縦断面図。
【図9】成形容器の遊端縁部分を上下に配置した拡大断面図。
【図10】後加工した遊端縁部分を上下に配置した拡大断面図。
【図11】凸条と凹溝の嵌合状態を示した拡大断面図。
【図12】別実施例の容器の後加工後の遊端縁部分の上下配置拡大断面図。
【図13】同実施例の凸条と凹溝の嵌合状態を示した拡大断面図。
【図14】更に別実施例の容器の後加工後の遊端縁部分の上下配置拡大断面図。
【図15】同実施例の凸条と凹溝の嵌合状態を示した拡大断面図。
【図16】凸条と凹溝との別実施例の容器を示す図3相当の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するに当たっては、容器の構成中にいうところの容器本体1と蓋体2との遊端縁部の何れか一方に、長手方向に沿って延びた凸条を、他方にこの凸条と互いに嵌合する凹溝を容器の成形時に同時に成形する。この形状は、金型からの無理抜きが必要な断面上下逆台形状や鳩尾形・蟻溝形のような奥広がり形状とはしないで、無理抜きをする必要のない断面U字形か、U字形に近いV字形としておき、容器成形後の後加工によって遊端縁部を加熱し、延伸加工による素材シートの復元作用を利用して熱収縮させる。この後加工により、凸条や凹溝の断面形状を上下逆台形状や鳩尾形・蟻溝形となるように二次加工することによって、これらの凸条や凹溝を脆弱化させないようにするのが好ましい。
【0013】
また、この遊端縁部の加熱による熱収縮加工は、凸条と凹溝との両方を共に加工するのが好ましいが、何れか一方のみを加工して他方の凸条または凹溝と摩擦接触させるようにして、容易には外れない形状として実施することもできる。
【0014】
容器の成形用シート素材は、従来から多く使用されているPET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂シート素材を使用すると、後加工としての二次加工時に加熱による復元収縮作用が容易である点で好ましい。
【実施例】
【0015】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。該実施例に示した食品包装用容器は、一般に周知であるようにポリエチレンテレフタレート樹脂製のシート素材を膨出成形させて、容器本体1と蓋体2と、これらの間に位置する折り曲げヒンジ部3とを一体的に連結成形してある鶏卵包装用容器の実施例である。また、使用するシート素材としては、シートの幅方向か長手方向かに一方向延伸加工を施してあるシートを使用する。この延伸加工は、成形金型へのシートの供給前に加工を施してあればよい。
【0016】
図1は、シート素材Sとして、矢印Wで示した幅方向のみに延伸加工を施した成形前シートと、シートの下方にシートを透過した状態として容器成形用金型Bの表面形状を示したものである。このシート素材Sは、成形金型Bが、金型の幅方向に、該図の金型において、左側から右側方向に向かって、蓋体成形金型部分20、ヒンジ部成形金型部分30、容器本体成形金型部分10と配列されている金型に使用する。換言すると、幅方向のみに延伸加工を施したシート素材Sは、図示のように、ヒンジ部成形金型部分30を挟んで他の部分10,20が左右方向に並列配置されている金型を対象として使用する。
【0017】
図2は、シート素材Sとして、矢印Lで示した長手方向のみに延伸加工を施した成形前のシートと、前記と同様に、シートの下方にシートを透過した状態として容器成形用金型Bの表面形状を示してある。このシート素材Sは、成形金型Bの前後方向に、該図の金型においては、奥側から手前側方向に向かって、蓋体成形金型部分20、ヒンジ部成形金型部分30、容器本体成形金型部分10と配列されている金型に使用する。換言すると、シートの長手方向のみに延伸加工を施してあるシート素材Sは、図示のように、ヒンジ部成形金型部分30を挟んで他の部分10,20が手前側と奥側との方向に配列されている金型を対象として使用する。
【0018】
図3は、このような構造とした成形金型Bを使用して成形した容器Aを例示したものである。ここに示した容器は、容器本体1に鶏卵10個を区画包装する凹部11を形成し、蓋体2に鶏卵の上部を覆う凹部21を形成してある鶏卵包装用の容器である。
【0019】
しかしながら、本発明にいうところの容器は、鶏卵包装用の容器のみに限定されるものではなく、図4において例示したように、容器本体1に形成した商品収容凹部11と蓋体2に形成した商品覆い凹部21とをほぼ方形状に形成してある容器であっても、同様に成形することができるものである。
【0020】
而して、本発明にいうところの前記の成形金型Bには、図5及び図6に示したように、上金型B1と下金型B2とにおける容器本体1の遊端縁部1aを形成する側の金型部分10aと10bとの対向箇所には、互いに緩く嵌合し合う溝状凹部41とリブ状突起42とが形成され、また、蓋体2の遊端縁部2aを形成する側の上金型B1と下金型B2とにおける金型部分20aと20bとの対向箇所には、同様に、互いに緩く嵌合し合うリブ状突起51と溝状凹部52とが形成されている。
【0021】
これらの図5,6において示した符号61,62は、下金型B2の上面に上方に向かって突出させてある雄金型部であり、符号63,64は、上金型B1の下面から上方に向かって穿った雄金型部受け入れ用の雌側空洞部である。なお、符号h,dは容器本体側形成用の、ch,cdは蓋体側形成用の、それぞれ高さと深さを示した符号である。
【0022】
言うまでもなく、これらの図5,6に示した成形金型Bには、容器における容器本体1と蓋体2との遊端縁部1a,2aを形成するための金型部分(10aと10b、20aと20b)に、凹溝形成用金型部分41,42か凸条形成用金型部分51,52かの何れかが一対となって形成されているものであればよい。
【0023】
而して、これらの図5,6に示した凹溝形成用金型部分41,42と凸条形成用金型部分51,52とは、何れも成形した容器を金型Bから無理抜きをする必要のないように断面U字形か、U字形に近いV字形としてある。ここでは、断面U字形にしたものを示してある。この金型Bによって成形した容器Aを図7に示した。
【0024】
このようにして普通に形成した容器を、その後に、該容器の全体を加熱するか、場合によっては、容器本体1における遊端縁部1aのみを加熱するか、蓋体2における遊端縁部2aのみを加熱するか、または、その両縁部1a,2aを加熱し、加熱した遊端縁部1aまたは2a若しくはその両縁部1a,2aを、延伸加工されていることによって復元収縮しようとする力が作用しているシートの収縮作用を利用して、遊端縁部1a,2aを幅方向に熱収縮させる後加工を行う。
【0025】
この容器本体1と蓋体2との遊端縁部1a,2aの後加工について、加工前の凸条4と凹溝5との断面形状を図9に、加工後の凸条4と凹溝5との断面形状を図10に、加工後の凸条4と凹溝5とを嵌合させた状態の断面形状を図11に示した。
【0026】
先ず、図9に示したように、前記の成形金型Bによって、容器本体1と蓋体2との遊端縁部1a,2aの長手方向に沿って膨出成形させた凸条4と凹溝5との断面形状は、何れも断面U字形としておく。このことによって成形金型Bから遊端縁部1a,2aを無理抜きすることなく取り外し、そのことによって遊端縁部1a,2aの凸条4と凹溝5とが、局部的に極薄の状態となることを防止してほぼ均等肉厚の凸条4と凹溝5を備えたものを形成する。
【0027】
このようにした後に、これらの凸条4と凹溝5との凹入基部41,51に連なる両側部分、即ち、図において左右の平坦面部分を、ヒーターを埋設した加熱ブースや、電熱の輻射熱を照射域を通過させることによって加熱し、この平坦面を遊端縁部1a,2aの幅方向のみに熱収縮させる。この工程により、図10のように、凸条4と凹溝5とを、それぞれの膨出先端側部分42,52の幅に比して、基部即ち膨出基端側部分41,51の幅を小さいものに変形させる。この後加工を施すことによって容器を完成させる。
【0028】
こうして得た容器Aを使用するには、容器内に所要商品を収容させた後、これらの凸条4と凹溝5との上下部分を押し付けて、図11に示したように、両部4,5を嵌合させて閉蓋する。この後、商品の流通経路途中や展示中での人的開封等の事故の発生や衛生面での商品保護のために、必要であれば、ラップ包装その他の周知手段を用いる等の別の密閉封緘手段を講じておけばよい。
【0029】
而して、商品の購買者が、商品の取り出しのために容器を開封し、所要商品を取り出した後に、残余内容物を保管するときは、前記のように、これらの凸条4と凹溝5との上下部分を押し付けて嵌合させることにより、容器を再度封緘させておくことができる。このとき、封緘作用部が、小さい点や円形状のものではなく、容器の遊端縁に沿って伸びた凸条4と凹溝5とを嵌合させるものであるから、安全確実に封緘させることができ、封緘状態を維持させておくことができる。この封緘状態を図8に示した。
【0030】
図12及び13は、凸条4と凹溝5との後加工の別実施例について示したものである。この後加工は、図12のように、凸条4に対しては後加工をしないで、凹溝5のみについて前記と同様に、その膨出先端側部分52を残して、膨出基部即ち膨出基端側部分51の幅のみを幅狭となるように加工する。このようにして、両部4,5を嵌合させたとき図13のように、凸条4が凹溝5の膨出基端側部分51に抵抗を受けながら狭小化しながら凹溝5内に入り込んで密着し、両部4,5の容易な移動が阻止される。
【0031】
また、これとは逆に、図14のように、凸条4と凹溝5とをほぼ同形同大に形成しておき、凹溝5は無加工とし、凸条4の膨出基端側部分41の幅のみを幅狭となるように加工して、両部4,5を嵌合させたとき図15のように、凹溝5の内面に凸条4の先端側部分42が密接するようにして、両部4,5の容易な移動を阻止するようにしてもよい。
【0032】
また、容器の遊端縁の長手方向に沿って伸びた凸条4と凹溝5とは、これらの実施例に示したような、遊端縁の長手方向の全長に亘って延びている凸条4と凹溝5とである必要はなく、例えば図16に概略形状を示したように、遊端縁の長手方向において複数個に分断形成してある形状のものとして実施してもよい。このようにしても、ここに示した凸条4と凹溝5とは、遊端縁の長手方向に沿って伸びている形状としてあるので、狭い幅の遊端縁であっても、充分な嵌合力を保持するものとすることができる。
【0033】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例に示したもののみに限定されるものではない。例えば、容器についてみれば、容器は鶏卵包装用容器のみに限らず、果物や、菓子類等のさまざまな食品包装用容器に応用することができ、本発明にいう前記の目的を達成し、前記の構成要件を備え、且つ、本発明にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明にいう容器は、封緘のために使用する凸条と凹溝とが、成形時に金型から無理抜きさせたものではなく、後加工によって相互嵌合構造としたものであるため、複数回の繰り返し嵌合に耐えるので、好都合に使用されるものとなり、大いに普及するものと考えられる。
【符号の説明】
【0035】
A 容器
B 金型
S シート素材
W 矢印
L 矢印
1 容器本体
1a 容器の遊端縁部
2 蓋体
2a 蓋体の遊端縁部
3 折り曲げヒンジ部
4 凸条
41 凸条の先端側部分
42 凸条の基端部
5 凹溝
51 凹溝の先端側部分
52 凹溝の基端部
10 容器本体成形部
10a 遊端縁形成部
20 蓋体成形部
20a 遊端縁形成部
40 凸条形成部
41 凸条の突出基部
42 凸条の突出先端側部分
50 凹溝形成部
51 凹溝の突出基部
52 凹溝の突出先端側部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製シート素材を膨出成形させ、容器本体と蓋体とが折り曲げヒンジ部を介して一体的に連結成形されており、野菜、果物、菓子、鶏卵等の食品を収容することができる食品包装用容器であって、容器自体が封緘部を備えている構造としてある容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような合成樹脂製のシート素材を膨出成形させてなる食品包装用容器は一般に周知であるが、その多くは、容器本体と蓋体との遊端縁部分をシールテープで封緘してある。商品の購入後に、このシールテープを剥離除去して開封し一部の食品を取り出した後は、残りの商品を保存するために、折り曲げヒンジ部から蓋体を折り曲げて容器本体の上に被せて、容器全体に輪ゴムをかけて蓋をした状態として冷蔵庫内等に保管している。しかし、このような方法をとるには、常に輪ゴムを必要とし、輪ゴムを手元近くに常時保存しておく必要があり、輪ゴムが見あたらない場合には、容器を閉じた状態としておくことができないために大きく嵩張ることとなっていた。
【0003】
かかる状況に鑑み、一度開封した容器を輪ゴム等を必要とすることなく簡単に閉止姿勢にしておくことができる手段として、後記特許文献1に記載のように、容器本体1と蓋体2との一方に、4つの鶏卵収容凹部に囲まれた水平面11に係合凹部12を形成し、他方に該係合凹部12と係合する係合凸部22を形成してあるものとすることによって、一端容器を開封した後の閉蓋時において、これらの係合凹部12と係合凸部22とを指先で押し付けてホック状に係合させることにより、閉蓋姿勢を維持させるようにしたものが公知になっている。
【0004】
また、特許文献2に記載のように、容器本体1と蓋体2との遊端縁の一方に突起4を形成し、他方にこの突起4を受け入れる嵌合凹部5を形成してあるものとし、容器開封後の閉蓋時において、これらの突起4と嵌合凹部5とを指先で押し付けて相対嵌合させようにした容器の閉蓋姿勢維持構造も、食品包装用容器として既に開発され公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−234520号公報
【特許文献2】特開2004−323056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの先行公知技術は、容器本体と蓋体との何れか一方に円形の粒状突起を形成し、他方に該突起を受け入れる円形の粒状凹部を形成するか、円形の粒状突起に近い短尺の粒状突起と、同形の粒状凹部を形成するようにしたものであるから、これらの粒状突起や粒状凹部は、容器がシート成形品であることの関係上、係合のために先太り形状としておく必要性があり、容器の成形時に、金型から無理抜きしなければならないことと、膨出成形のために肉厚が極端に薄くなることとから、突起と凹部との嵌合力を強化することが困難であり、容器の閉蓋姿勢を長く維持させておくことが困難であり、殊に、嵌合解除と嵌合を複数回繰り返すと嵌合能力が極端に低下し、容器の閉蓋姿勢維持が困難となるという解決すべき課題を有するものとなっている。
【0007】
そこで本発明は、容器本体と蓋体との閉蓋姿勢維持のための嵌合部を、円形の粒状や、粒状に近い小さな凹凸を単体若しくは2体のみを形成するという嵌合突起構造を排除し、また、嵌合突起の先太り形状と金型からの無理抜き方法を排斥し、樹脂シート成形容器でありながら、嵌合部を嵌合解除と嵌合を複数回繰り返しても嵌合能力が極端に低下することなく、安心して容器の閉蓋姿勢を維持させておくことができる食品包装用容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するために講じた本発明にいう食品包装用容器の構成は、合成樹脂製シート素材を膨出成形させて、容器本体1と蓋体2とが折り曲げヒンジ部3を介して一体的に連結成形されている食品包装用容器であって、素材シートとして、一方向延伸加工シートが使用され、容器Aにおける容器本体1と蓋体2とがシートの延伸方向に並列され、これら容器本体1と蓋体2との何れか一方の遊端縁部1a,2aに、当該遊端縁部1a,2aの長手方向に沿って延びた凸条4が形成され、何れか他方の遊端縁部2a,1aに、当該遊端縁部2a,1aの長手方向に沿って延び、前記凸条4と相互に嵌合する凹溝5が形成され、凸条4の断面形状が、先端側部分42の幅に比して突出基部41の幅が小さく形成されているか、凹溝5の断面形状が、凹入底側部分52の幅に比して凹入基部51の幅が小さく形成されているかの何れかか、その両構造を備えている構成としたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明にいうところの食品包装用容器は、容器における容器本体と蓋体とがシートの延伸方向に並列され、これら容器本体と蓋体との何れか一方の遊端縁部に、当該遊端縁部の長手方向に沿って延びた凸条が形成され、何れか他方の遊端縁部に、当該遊端縁部の長手方向に沿って延び、前記凸条と相互に嵌合する凹溝が形成され、凸条の断面形状が、先端側部分の幅に比して突出基部の幅が小さく形成されているか、凹溝の断面形状が、凹入底側部分の幅に比して凹入基部の幅が小さく形成されているかの何れかか、その両構造を備えているものとしてあるので、これらの凸条と凹溝とが遊端縁部の長手方向に沿って延びた形状としてあることと、先太り状態に形成して金型から無理抜きされたものではなく、後加工で基部を狭小化してあるので、これらの凸条と凹溝とが圧縮強度に優れ、嵌合解除と嵌合とを何回か繰り返しても嵌合能力が極端に低下することなく、安心して容器の閉蓋姿勢を維持させておくことができるという従来の容器には期待できない効果を有しているものである。
【0010】
また、このような効果を備えた容器の製造に際して、容器本体と蓋体との膨出成形時に両体の遊端縁部に凸条と凹溝とを、遊端縁部の長手方向に沿った形状として同時成形し、容器の成形後に後加工によって容器の全体か遊端縁部を加熱して、凸条と凹溝との基部を幅方向に狭小化させる工程を加えることによって、予め素材シートに延伸加工させてあることによる遊端縁部の延伸緊張状態を解除させて幅方向に熱収縮させ、この熱収縮加工によって凸条または凹溝の突出基部の幅を、それらの突出先端側部分の幅よりも狭小となるように加工することにより、前記のように、凸条と凹溝とが圧縮強度に優れ、嵌合解除と嵌合とを何回か繰り返しても嵌合能力が極端に低下することなく、安心して閉蓋姿勢を維持させておくことができる容器を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】素材シートと成形金型の表面形状を示す斜視図。
【図2】他の素材シートと成形金型の表面形状を示す斜視図。
【図3】成形容器の開蓋形状を示す斜視図。
【図4】他の容器の開蓋形状を示す斜視図。
【図5】成形金型の成形前の縦断面図。
【図6】成形金型の成形状態の縦断面図。
【図7】成形後の容器の開蓋状態を示す縦断面図。
【図8】完成容器の閉蓋状態を示す縦断面図。
【図9】成形容器の遊端縁部分を上下に配置した拡大断面図。
【図10】後加工した遊端縁部分を上下に配置した拡大断面図。
【図11】凸条と凹溝の嵌合状態を示した拡大断面図。
【図12】別実施例の容器の後加工後の遊端縁部分の上下配置拡大断面図。
【図13】同実施例の凸条と凹溝の嵌合状態を示した拡大断面図。
【図14】更に別実施例の容器の後加工後の遊端縁部分の上下配置拡大断面図。
【図15】同実施例の凸条と凹溝の嵌合状態を示した拡大断面図。
【図16】凸条と凹溝との別実施例の容器を示す図3相当の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するに当たっては、容器の構成中にいうところの容器本体1と蓋体2との遊端縁部の何れか一方に、長手方向に沿って延びた凸条を、他方にこの凸条と互いに嵌合する凹溝を容器の成形時に同時に成形する。この形状は、金型からの無理抜きが必要な断面上下逆台形状や鳩尾形・蟻溝形のような奥広がり形状とはしないで、無理抜きをする必要のない断面U字形か、U字形に近いV字形としておき、容器成形後の後加工によって遊端縁部を加熱し、延伸加工による素材シートの復元作用を利用して熱収縮させる。この後加工により、凸条や凹溝の断面形状を上下逆台形状や鳩尾形・蟻溝形となるように二次加工することによって、これらの凸条や凹溝を脆弱化させないようにするのが好ましい。
【0013】
また、この遊端縁部の加熱による熱収縮加工は、凸条と凹溝との両方を共に加工するのが好ましいが、何れか一方のみを加工して他方の凸条または凹溝と摩擦接触させるようにして、容易には外れない形状として実施することもできる。
【0014】
容器の成形用シート素材は、従来から多く使用されているPET(ポリエチレンテレフタレート)等の合成樹脂シート素材を使用すると、後加工としての二次加工時に加熱による復元収縮作用が容易である点で好ましい。
【実施例】
【0015】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。該実施例に示した食品包装用容器は、一般に周知であるようにポリエチレンテレフタレート樹脂製のシート素材を膨出成形させて、容器本体1と蓋体2と、これらの間に位置する折り曲げヒンジ部3とを一体的に連結成形してある鶏卵包装用容器の実施例である。また、使用するシート素材としては、シートの幅方向か長手方向かに一方向延伸加工を施してあるシートを使用する。この延伸加工は、成形金型へのシートの供給前に加工を施してあればよい。
【0016】
図1は、シート素材Sとして、矢印Wで示した幅方向のみに延伸加工を施した成形前シートと、シートの下方にシートを透過した状態として容器成形用金型Bの表面形状を示したものである。このシート素材Sは、成形金型Bが、金型の幅方向に、該図の金型において、左側から右側方向に向かって、蓋体成形金型部分20、ヒンジ部成形金型部分30、容器本体成形金型部分10と配列されている金型に使用する。換言すると、幅方向のみに延伸加工を施したシート素材Sは、図示のように、ヒンジ部成形金型部分30を挟んで他の部分10,20が左右方向に並列配置されている金型を対象として使用する。
【0017】
図2は、シート素材Sとして、矢印Lで示した長手方向のみに延伸加工を施した成形前のシートと、前記と同様に、シートの下方にシートを透過した状態として容器成形用金型Bの表面形状を示してある。このシート素材Sは、成形金型Bの前後方向に、該図の金型においては、奥側から手前側方向に向かって、蓋体成形金型部分20、ヒンジ部成形金型部分30、容器本体成形金型部分10と配列されている金型に使用する。換言すると、シートの長手方向のみに延伸加工を施してあるシート素材Sは、図示のように、ヒンジ部成形金型部分30を挟んで他の部分10,20が手前側と奥側との方向に配列されている金型を対象として使用する。
【0018】
図3は、このような構造とした成形金型Bを使用して成形した容器Aを例示したものである。ここに示した容器は、容器本体1に鶏卵10個を区画包装する凹部11を形成し、蓋体2に鶏卵の上部を覆う凹部21を形成してある鶏卵包装用の容器である。
【0019】
しかしながら、本発明にいうところの容器は、鶏卵包装用の容器のみに限定されるものではなく、図4において例示したように、容器本体1に形成した商品収容凹部11と蓋体2に形成した商品覆い凹部21とをほぼ方形状に形成してある容器であっても、同様に成形することができるものである。
【0020】
而して、本発明にいうところの前記の成形金型Bには、図5及び図6に示したように、上金型B1と下金型B2とにおける容器本体1の遊端縁部1aを形成する側の金型部分10aと10bとの対向箇所には、互いに緩く嵌合し合う溝状凹部41とリブ状突起42とが形成され、また、蓋体2の遊端縁部2aを形成する側の上金型B1と下金型B2とにおける金型部分20aと20bとの対向箇所には、同様に、互いに緩く嵌合し合うリブ状突起51と溝状凹部52とが形成されている。
【0021】
これらの図5,6において示した符号61,62は、下金型B2の上面に上方に向かって突出させてある雄金型部であり、符号63,64は、上金型B1の下面から上方に向かって穿った雄金型部受け入れ用の雌側空洞部である。なお、符号h,dは容器本体側形成用の、ch,cdは蓋体側形成用の、それぞれ高さと深さを示した符号である。
【0022】
言うまでもなく、これらの図5,6に示した成形金型Bには、容器における容器本体1と蓋体2との遊端縁部1a,2aを形成するための金型部分(10aと10b、20aと20b)に、凹溝形成用金型部分41,42か凸条形成用金型部分51,52かの何れかが一対となって形成されているものであればよい。
【0023】
而して、これらの図5,6に示した凹溝形成用金型部分41,42と凸条形成用金型部分51,52とは、何れも成形した容器を金型Bから無理抜きをする必要のないように断面U字形か、U字形に近いV字形としてある。ここでは、断面U字形にしたものを示してある。この金型Bによって成形した容器Aを図7に示した。
【0024】
このようにして普通に形成した容器を、その後に、該容器の全体を加熱するか、場合によっては、容器本体1における遊端縁部1aのみを加熱するか、蓋体2における遊端縁部2aのみを加熱するか、または、その両縁部1a,2aを加熱し、加熱した遊端縁部1aまたは2a若しくはその両縁部1a,2aを、延伸加工されていることによって復元収縮しようとする力が作用しているシートの収縮作用を利用して、遊端縁部1a,2aを幅方向に熱収縮させる後加工を行う。
【0025】
この容器本体1と蓋体2との遊端縁部1a,2aの後加工について、加工前の凸条4と凹溝5との断面形状を図9に、加工後の凸条4と凹溝5との断面形状を図10に、加工後の凸条4と凹溝5とを嵌合させた状態の断面形状を図11に示した。
【0026】
先ず、図9に示したように、前記の成形金型Bによって、容器本体1と蓋体2との遊端縁部1a,2aの長手方向に沿って膨出成形させた凸条4と凹溝5との断面形状は、何れも断面U字形としておく。このことによって成形金型Bから遊端縁部1a,2aを無理抜きすることなく取り外し、そのことによって遊端縁部1a,2aの凸条4と凹溝5とが、局部的に極薄の状態となることを防止してほぼ均等肉厚の凸条4と凹溝5を備えたものを形成する。
【0027】
このようにした後に、これらの凸条4と凹溝5との凹入基部41,51に連なる両側部分、即ち、図において左右の平坦面部分を、ヒーターを埋設した加熱ブースや、電熱の輻射熱を照射域を通過させることによって加熱し、この平坦面を遊端縁部1a,2aの幅方向のみに熱収縮させる。この工程により、図10のように、凸条4と凹溝5とを、それぞれの膨出先端側部分42,52の幅に比して、基部即ち膨出基端側部分41,51の幅を小さいものに変形させる。この後加工を施すことによって容器を完成させる。
【0028】
こうして得た容器Aを使用するには、容器内に所要商品を収容させた後、これらの凸条4と凹溝5との上下部分を押し付けて、図11に示したように、両部4,5を嵌合させて閉蓋する。この後、商品の流通経路途中や展示中での人的開封等の事故の発生や衛生面での商品保護のために、必要であれば、ラップ包装その他の周知手段を用いる等の別の密閉封緘手段を講じておけばよい。
【0029】
而して、商品の購買者が、商品の取り出しのために容器を開封し、所要商品を取り出した後に、残余内容物を保管するときは、前記のように、これらの凸条4と凹溝5との上下部分を押し付けて嵌合させることにより、容器を再度封緘させておくことができる。このとき、封緘作用部が、小さい点や円形状のものではなく、容器の遊端縁に沿って伸びた凸条4と凹溝5とを嵌合させるものであるから、安全確実に封緘させることができ、封緘状態を維持させておくことができる。この封緘状態を図8に示した。
【0030】
図12及び13は、凸条4と凹溝5との後加工の別実施例について示したものである。この後加工は、図12のように、凸条4に対しては後加工をしないで、凹溝5のみについて前記と同様に、その膨出先端側部分52を残して、膨出基部即ち膨出基端側部分51の幅のみを幅狭となるように加工する。このようにして、両部4,5を嵌合させたとき図13のように、凸条4が凹溝5の膨出基端側部分51に抵抗を受けながら狭小化しながら凹溝5内に入り込んで密着し、両部4,5の容易な移動が阻止される。
【0031】
また、これとは逆に、図14のように、凸条4と凹溝5とをほぼ同形同大に形成しておき、凹溝5は無加工とし、凸条4の膨出基端側部分41の幅のみを幅狭となるように加工して、両部4,5を嵌合させたとき図15のように、凹溝5の内面に凸条4の先端側部分42が密接するようにして、両部4,5の容易な移動を阻止するようにしてもよい。
【0032】
また、容器の遊端縁の長手方向に沿って伸びた凸条4と凹溝5とは、これらの実施例に示したような、遊端縁の長手方向の全長に亘って延びている凸条4と凹溝5とである必要はなく、例えば図16に概略形状を示したように、遊端縁の長手方向において複数個に分断形成してある形状のものとして実施してもよい。このようにしても、ここに示した凸条4と凹溝5とは、遊端縁の長手方向に沿って伸びている形状としてあるので、狭い幅の遊端縁であっても、充分な嵌合力を保持するものとすることができる。
【0033】
以上本発明の代表的と思われる実施例について説明したが、本発明は必ずしもこれらの実施例に示したもののみに限定されるものではない。例えば、容器についてみれば、容器は鶏卵包装用容器のみに限らず、果物や、菓子類等のさまざまな食品包装用容器に応用することができ、本発明にいう前記の目的を達成し、前記の構成要件を備え、且つ、本発明にいう効果を有する範囲内において適宜改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明にいう容器は、封緘のために使用する凸条と凹溝とが、成形時に金型から無理抜きさせたものではなく、後加工によって相互嵌合構造としたものであるため、複数回の繰り返し嵌合に耐えるので、好都合に使用されるものとなり、大いに普及するものと考えられる。
【符号の説明】
【0035】
A 容器
B 金型
S シート素材
W 矢印
L 矢印
1 容器本体
1a 容器の遊端縁部
2 蓋体
2a 蓋体の遊端縁部
3 折り曲げヒンジ部
4 凸条
41 凸条の先端側部分
42 凸条の基端部
5 凹溝
51 凹溝の先端側部分
52 凹溝の基端部
10 容器本体成形部
10a 遊端縁形成部
20 蓋体成形部
20a 遊端縁形成部
40 凸条形成部
41 凸条の突出基部
42 凸条の突出先端側部分
50 凹溝形成部
51 凹溝の突出基部
52 凹溝の突出先端側部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製シート素材を膨出成形させて、容器本体(1)と蓋体(2)とが折り曲げヒンジ部(3)を介して一体的に連結成形されている食品包装用容器であって、
素材シートとして、一方向延伸加工シートが使用され、容器(A)における容器本体(1)と蓋体(2)とがシートの延伸方向に並列され、これら容器本体(1)と蓋体(2)との何れか一方の遊端縁部(1a,2a)に、当該遊端縁部(1a,2a)の長手方向に沿って延びた凸条(4)が形成され、何れか他方の遊端縁部(2a,1a)に、当該遊端縁部(2a,1a)の長手方向に沿って延び、前記凸条(4)と相互に嵌合する凹溝(5)が形成され、凸条(4)の断面形状が、先端側部分(42)の幅に比して突出基部(41)の幅が小さく形成されているか、凹溝(5)の断面形状が、凹入底側部分(52)の幅に比して凹入基部(51)の幅が小さく形成されているかの何れかか、その両構造を備えている食品包装用容器。
【請求項1】
合成樹脂製シート素材を膨出成形させて、容器本体(1)と蓋体(2)とが折り曲げヒンジ部(3)を介して一体的に連結成形されている食品包装用容器であって、
素材シートとして、一方向延伸加工シートが使用され、容器(A)における容器本体(1)と蓋体(2)とがシートの延伸方向に並列され、これら容器本体(1)と蓋体(2)との何れか一方の遊端縁部(1a,2a)に、当該遊端縁部(1a,2a)の長手方向に沿って延びた凸条(4)が形成され、何れか他方の遊端縁部(2a,1a)に、当該遊端縁部(2a,1a)の長手方向に沿って延び、前記凸条(4)と相互に嵌合する凹溝(5)が形成され、凸条(4)の断面形状が、先端側部分(42)の幅に比して突出基部(41)の幅が小さく形成されているか、凹溝(5)の断面形状が、凹入底側部分(52)の幅に比して凹入基部(51)の幅が小さく形成されているかの何れかか、その両構造を備えている食品包装用容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−91872(P2012−91872A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−3252(P2012−3252)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【分割の表示】特願2009−219092(P2009−219092)の分割
【原出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(509246301)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【分割の表示】特願2009−219092(P2009−219092)の分割
【原出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(509246301)
【Fターム(参考)】
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