説明

食品密封収容袋包装箱、食品密封収容袋包装体及び箱原板

【課題】電子レンジ加熱可能な食品密封収容袋の包装箱であって、たとえ標準的箱開き状態とは異なる開き方がなされても、その開き方によってはなお袋の圧抜き部を高い位置に置いて配置できる包装箱及び該包装箱を用いた食品密封収容袋包装体を提供する。
【解決手段】上壁11、上壁の左側端に連続する左側壁12、上壁の右側端に連続する右側壁13、側壁12、13に連続し、上壁に対向する下壁14、それら各壁の前端に続く前壁15及び後端に続く後壁16を含んでおり、上壁11は、前端寄り部位の円弧状の中央破断用部C1、その左右端から上壁側端へ延びる破断用部C21、C22及び中央破断用部C1より上壁前端111寄り部位の上壁折り曲げ用部B1を有しており、側壁12、13は上壁破断用部C21、C22に続く側壁破断用部C31、C32を有し、下壁14は側壁破断用部C31、C32の下端間に延びる下壁折り曲げ用部B2を有している包装箱1。箱1に食品密封収容袋2を収容した包装体100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子レンジ加熱可能な食品、例えば調理された、或いは半調理された食品を密封収容した食品密封収容袋を包装する食品密封収容袋包装箱及び前記食品密封収容袋を前記食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、マイクロ波透過可能な袋(通常、プラスチック袋)に密封収容された種々の電子レンジ加熱可能な食品、例えば既に調理された、或いは半調理された食品が市場に流通している。そのような食品密封収容袋は、電子レンジ内に配置して加熱すると、袋内食品が加熱され、蒸気が発生するので、袋破裂を防止するため、袋内圧が上昇してくると内圧により開封される圧抜き部が形成されている。
【0003】
このような電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋は、保管、運搬、展示、記載による種々の情報表示等のために包装箱で収容、包装されるのが一般的である。
【0004】
また、今日では、包装箱に容れられた食品密封収容袋は包装箱ごと電子レンジ内に配置し、加熱することができるようになっているものもある。
【0005】
そのような袋及び箱として次のようなものが見受けられる。
前記食品密封収容袋については、前記圧抜き部が袋のいずれかの端部に近い部位に設けられ、電子レンジ加熱にあたっては圧抜き部のある袋端部を反対側端部より高所に位置するように袋を傾けて電子レンジ内に配置すれば、加熱により圧抜き部が開封された場合でも袋内容物が開封された圧抜き部から流出して電子レンジ内を汚すなどの恐れはないとされているものである。
【0006】
一方、包装箱については、その一部を開けることで前記食品密封収容袋の前記圧抜き部を露出させることができるとともに、開けた箱の一部を折り曲げて支持部とするなどして電子レンジ内に傾斜姿勢で配置でき、それにより袋を圧抜き部のある端部が他端部より高所に位置する傾斜状態で箱ごと電子レンジ内に配置することができるようにしたものである。
【0007】
このような食品密封収容袋及び包装箱は通常その包装箱に食品密封収容袋を収容した食品密封収容袋包装体の態様で保管、運搬、展示、販売等されている。
【0008】
このような食品密封収容袋包装体は例えば特開2003−170930号公報、特許第4522782号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−170930号公報
【特許文献2】特許第4522782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、使用する包装箱によっては、開けられた包装箱の一部がその開けられた状態から復元方向に動き、その結果、食品密封包装袋の圧抜き部が袋の他の部分に対して、袋内容物の吹き出しを十分抑制できるほどに高所に配置されなくなる恐れがある。場合によっては、包装箱の開け方を間違って、食品密封包装袋の圧抜き部が袋の他の部分に対して、袋内容物の吹き出しを十分抑制できるほどに高所に配置されなくなることも考えられる。
【0011】
また、上記した従来の食品密封収容袋包装体によると、食品密封包装袋を包装箱ごと電子レンジ内に傾斜姿勢で配置して加熱できるように包装箱の一部を開けた状態では、袋の圧抜き部が包装箱から露出し、食品の種類、量、加熱の程度等によっては、開封された圧抜き部から食品の一部が吹きだして電子レンジ内を汚すなどの恐れがある。
【0012】
本発明は電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を包装するための食品密封収容袋包装箱であって次の利点を有する包装箱を提供することを第1の課題とする。
(1)包装箱の一部を開けた状態で該開けた部分を支えにして電子レンジ内に傾斜姿勢で配置でき、食品密封収容袋を圧抜き部のある部位が該開ける部分に向くように該包装箱に収容しておけば、該食品密封収容袋を包装箱の一部を開けた状態で包装箱ごと圧抜き部を高い位置において傾斜させて電子レンジ内に配置し加熱することができ、その傾斜姿勢により圧抜き部からの食品の一部の吹き出しなどの恐れを低減できる。
(2)たとえ推奨される標準的箱開き状態とは異なる開き方がなされても、その開き方によっては、食品密封収容袋を圧抜き部のある部位が該開ける部分に向くように該包装箱に収容しておけば、該食品密封収容袋を包装箱の一部を開けた状態で圧抜き部を高い位置において包装箱ごと傾斜させて電子レンジ内に配置できる。
【0013】
本発明は電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体であって次の利点を有する包装体を提供することを第2の課題とする。
(1)内部に収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱の一部を開けた状態で、しかし、なお食品密封収容袋の圧抜き部が包装箱で覆われた状態で、該開けた部分を支えにして電子レンジ内に該包装箱ごと該袋の圧抜き部を高い位置において傾斜姿勢で配置でき、それにより食品密封収容袋の圧抜き部からの食品の一部の吹き出しなどの恐れを低減できるとともに、包装箱周辺への食品吹き出しを抑制できる。
(2)食品密封収容袋包装箱がたとえ推奨される標準的箱開き状態とは異なる開き方がなされても、その開き方によってはなお食品密封収容袋をその圧抜き部のある部位を高い位置において、且つ、圧抜き部が包装箱で覆われた状態で、安全に電子レンジ加熱することができる。
【0014】
また、本発明は本発明に係る食品密封収容袋包装箱を組み立て形成できる箱原板を提供することを第3の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は前記第1の課題を解決するため、
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を包装するための食品密封収容袋包装箱であり、
上壁と、前記上壁の左側端に上端が連続する左側壁と、前記上壁の右側端に上端が連続する右側壁と、前記左右側壁の下端に連続し、前記上壁に対向する下壁と、前記各壁の前端に続く前壁及び後端に続く後壁を含んでいて前記左右側壁間距離及び前記前後壁間距離より前記上下壁間距離が短い扁平形状を呈しており、
前記上壁は該上壁の前後端間の中間位置より上壁前端寄りの部位に形成された上壁後端側へ突出する円弧状に延びる中央破断用部、前記中央破断用部の左端から前記上壁の左側端へ延びる左破断用部、前記中央破断用部の右端から前記上壁の右側端へ延びる右破断用部及び前記中央破断用部より上壁前端寄りの部位に形成された、前記左右破断用部間に延びる上壁折り曲げ用部を有しており、
前記左側壁は前記上壁の左破断用部に続いて上下方向に延びる左側壁破断用部を有しており、
前記右側壁は前記上壁の右破断用部に続いて上下方向に延びる右側壁破断用部を有しており、
前記下壁は前記左右の側壁破断用部の下端間に延びる下壁折り曲げ用部を有している食品密封収容袋包装箱を提供する。
【0016】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱によると、その組立て形成とともに内部に食品密封収容袋を収容することができる。
本発明に係る食品密封収容袋包装箱によると、上壁の中央破断用部と折り曲げ用部の間の部分を例えば指で箱内側へ押し込むようにして該中央破断用部を破断することができ、また、その押し込み部分を該破断操作にともなって折り曲げ用部に沿って箱内側へ向け折り曲げることができる。
【0017】
さらに、前記箱内側へ向け折り曲げた部分あたりを引き上げるようにして、前記中央破断用部の破断に続けて該中央破断用部に続く左右の破断用部、さらに左右側壁の破断用部も破断するとともに、下壁の前端部を下壁折り曲げ用部にそって下側へ折り曲げることで包装箱の一部を開くことができる。
【0018】
このとき推奨される標準的な包装箱の開き方に従って、下壁の前端部を下壁折り曲げ用部にそって略180度折り曲げ回動させて下壁残部に重ねた状態に開き(この状態では復元回動し難い)、その開いた箱部分を支持枕にして包装箱を傾斜姿勢におくことができる。
以下この推奨される標準的な包装箱の開き方を「標準開き」ということがある。
【0019】
本発明に係る包装箱は上記のように一部を開けた状態で該開けた部分を支えにして電子レンジ内に傾斜姿勢で配置できる。従って、食品密封収容袋を圧抜き部のある部位が該開ける部分近くに位置するように該包装箱に収容しておけば、該食品密封収容袋を包装箱の一部を開けた状態で包装箱ごと圧抜き部を高い位置において傾斜させて電子レンジ内に配置し加熱することができ、その傾斜姿勢により圧抜き部からの食品の一部の吹き出しなどの恐れを低減できる。
【0020】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱は前記「標準開き」とは異なった、しかし予測される開け方で開かれることがあり得る。例えば次の開き方を例示できる。
上壁の中央破断用部と折り曲げ用部の間の部分を箱内側へ押し込むようにして該中央破断用部を破断し、その押し込み部分を該破断操作にともなって折り曲げ用部に沿って箱内側へ向け折り曲げ、さらに前記中央破断用部の破断に続けて該中央破断用部に続く左右の破断用部、左右側壁の破断用部も破断するとともに、下壁の前端部を下壁折り曲げ用部にそって下側へ折り曲げる。しかしこのとき、下壁の前端部を下壁折り曲げ用部にそって略90度だけ折り曲げ回動させる。このように開かれた箱部分を支持枕にして包装箱を傾斜姿勢におく。以下この開き方を「90度開き」ということがある。

【0021】
このような開き方で開かれた場合でも、上壁の中央破断用部と折り曲げ用部の間の部分が既に上壁折り曲げ用部に沿って折り曲げられており、その折り曲げ部分が開かれた包装箱から突き出す食品密封収容袋の下方に位置して該開かれた箱部分の復帰回動が妨げられる。従って、食品密封収容袋を圧抜き部のある部位が該開ける部分近くに位置するように該包装箱に収容しておけば、包装箱の一部をこのように不完全に開けた状態でも該食品密封収容袋をその圧抜き部を高い位置において包装箱ごと傾斜させて電子レンジ内に配置できる。
【0022】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱における前記上壁折り曲げ用部の例として、折り曲げ易いように、上壁を貫通切断した切断線と折り曲げ用筋付け線とを一列状に配列して形成したものを挙げることができる。
【0023】
そのような折り曲げ用部のさらなる例として、
切断線と折り曲げ用筋付け線とを直線状に配列して形成したもの、及び
切断線と折り曲げ用筋付け線とを上壁の前端側へ突出する円弧状に配列して形成したものを例示できる。
【0024】
いずれにしても、該切断線は複数形成する場合、間欠的にミシン目様に形成する場合を例示できる。該折り曲げ用筋付け線についても間欠的にミシン目様に形成してもよいが、連続するように、しかし、全体としては切断線と折り曲げ用筋付け線とが一列状に配列された態様を呈するように形成してもよい。そのような態様として、連続する折り曲げ用筋付け線に沿って切断線を形成する場合を例示できる。
【0025】
前記下壁の前端から前記下壁折り曲げ用部までの距離は、本発明に係る箱を開くにあたり前記のように「90度開き」する場合でも、上壁の中央破断用部と折り曲げ用部の間の該折り曲げ用部に沿って折り曲げられた部分が開かれた包装箱から突き出す食品密封収容袋の下方に位置することができる距離とする例を挙げることができる。具体例として、前記下壁の前端から前記下壁折り曲げ用部までの距離を前記上壁の前端から前記上壁折り曲げ用部までの距離と同等程度又はそれより長くする場合を挙げることができる。
【0026】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱の前記の標準的な開け方とは異なるさらに他の開け方の例として、次の開け方も考えられる。
すなわち、上壁の中央破断用部と折り曲げ用部の間の部分を箱内側へ押し込むようにして該中央破断用部を破断し、その押し込み部分を該破断操作にともなって折り曲げ用部に沿って箱内側へ向け折り曲げ、或いはさらに上壁の前記中央破断用部の破断に続けて該中央破断用部に続く左右の破断用部を開け、或いはさらに左右側壁の破断用部も破断させ、しかし、下壁の前端部を下壁折り曲げ用部にそって下側へ折り曲げない開け方である。
以下この開き方を「平坦開き」ということがある。
【0027】
このような開け方の場合でも、包装箱及びそれに収容される食品密封収容袋が該袋の圧抜き部が高い位置におかれるように傾斜姿勢をとるように、前記下壁折り曲げ用部を次のように形成してもよい。
すなわち、前記左側壁破断用部の下端に続いて下壁の後端且つ右側端の方向へ傾斜して延びる左側傾斜破断用部、前記右側壁破断用部の下端に続いて下壁の後端且つ左側端の方向へ傾斜して延びる右側傾斜破断用部及び前記左右の傾斜破断用部の下壁後端側の端部間に延びる中央折り曲げ用部を有している下壁折り曲げ用部である。
【0028】
この下壁折り曲げ用部によると、本発明に係る包装箱が標準的な開け方とは異なる前記の「平坦開き」で開けられた場合でも、内部の食品密封収容袋が加熱により内圧で膨張して前記包装箱の上壁及び下壁が丸みを帯びるように変形するにつれ、前記下壁折り曲げ用部の左右の破断用部が破断され、それにより、包装箱の開けられた部分が下方へ反り、包装箱及びそれに収容される食品密封収容袋が該袋の圧抜き部が高い位置におかれるように傾斜姿勢をとることができる。
【0029】
前記下壁折り曲げ用部における中央折り曲げ用部は、折れ曲がり易いように、そして一旦折り曲げると復元回動し難いように、下壁前端側へ突出する山形状の切断線と下壁後端側へ突出する逆山形状の切断線とを順次交互に、且つ、隣り合う山形状の切断線と逆山形状の切断線の間に非切断ヒンジ部を介在させつつジグザグ状に配列して形成されていてもよい。
【0030】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱が前記[90度開き]で開かれる場合、包装箱を傾斜姿勢に支える開かれた部分の下端面となる包装箱前壁外面が膨出するように丸みを帯びていると、開かれた箱部分が電子レンジ内トレイ上で滑って復帰回動し易くなり、箱姿勢が不安定になるおそれがある。
【0031】
そこで前壁外面を平坦化するために次のようにしてもよい。
前記前壁は、前記左右の側壁の前端に連続する前フラップがそれぞれ内側に折り曲げられ、前記左右の前フラップ上に、前記上壁の前端に連続する前壁用片及び前記下壁の前端に連続する前壁用片のうち一方が曲げ重ねられ、且つ、該一方に予め形成しておいた糊通し孔が重ねられ、さらに該一方の上に他方が曲げ重ねられるとともに該両前壁用片が糊付けされ、且つ、該他方の前壁用片が前記糊通し孔を介して前記フラップにも糊付けされているものとする。
【0032】
また、このような前壁外面の平坦化に代えて、或いは平坦化とともに、前記前壁は、前記上壁の前端に連続する前壁用片及び前記下壁の前端に連続する前壁用片を含んでおり、前記両前壁用片はそれらのうち一方の上に他方が重ねられるように曲げ重ねられるとともに互いに糊付けされており、前記下壁の前端に連続する前壁用片には前記下壁前端から一体的に突出する突起が切断線で囲って形成されており、前記突起が前記下壁前端に連続する前壁用片の前記前壁形成のための折り曲げにより前記下壁前端から突出するようにしてもよい。
【0033】
この突起が前壁外面を下壁後端側で高位置をとるように傾斜配置可能とし、滑り止め機能を発揮する。
【0034】
本発明は前記第2の課題を解決するため次の食品密封収容袋包装体も提供する。
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体であり、
前記食品密封収容袋はマイクロ波透過可能なフィルムで形成され、内部に電子レンジ加熱可能な食品が収容されているとともに前辺部、該前辺部に対向する後辺部及び該前後辺部間に延びる左右側辺部を含む周辺部が密封されて扁平形状を呈しており、前記前辺部寄りの部位に前記食品の加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部が形成されており、
前記食品密封収容袋包装箱は本発明に係る包装箱であり、
前記食品密封収容袋は前記前辺部が前記包装箱の前壁側に向けられて該包装箱内に収容されているとともに前記包装箱の前記上壁の破断用部の破断により該包装箱が開かれても前記圧抜き部が前記上壁の破断用部より上壁後端側の上壁部分で覆われるように該包装箱内に収容されている食品密封収容袋包装体である。
【0035】
本発明に係る食品密封収容袋包装体は、食品密封収容袋を収容する食品密封収容袋包装箱として本発明に係る包装箱を採用しているので、該包装箱内部に収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱の一部を開けた状態で、該開けた部分を支えにして電子レンジ内に該包装箱ごと該袋の圧抜き部を高い位置において傾斜姿勢で配置でき、それにより食品密封収容袋の圧抜き部からの食品の一部の吹き出しなどの恐れを低減できる。
【0036】
また、本発明に係る食品密封収容袋包装体は、食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱の一部を開けた状態で、しかし、なお食品密封収容袋の圧抜き部が包装箱で覆われた状態で電子レンジ内に配置できるので、包装箱外周辺への食品密封収容袋の圧抜き部からの食品吹き出しや散乱を抑制できる。
【0037】
また、食品密封収容袋包装箱がたとえ推奨される標準的箱開き状態とは異なる開き方で開かれても、その開き方によってはなお食品密封収容袋をその圧抜き部のある部位を高い位置において、且つ、圧抜き部が包装箱で覆われた状態で、安全に電子レンジ加熱することができる。
【0038】
本発明は前記第3の課題を解決するため、予め裁断された紙製(紙主体)の平坦な箱原板を提供する。
該箱原板は平坦な状態において
前記破断用部及び前記折り曲げ用部を含む前記上壁、
前記上壁の右端に連続し、前記右側壁破断用部を含む前記右側壁、
前記右側壁の右端に連続し、前記下壁折り曲げ用部を含む前記下壁、
前記下壁の右端に連続し、前記左側壁破断用部を含む前記左側壁、
前記左右の各側壁の前端に続く前フラップ、
前記上壁の前端に連続する第1の前壁用片、
前記下壁の前端に連続する第2の前壁用片、
前記左右の各側壁の後端に続く後ろフラップ、
前記上壁の後端に連続する第1の後壁用片、
前記下壁の後端に連続する第2の後壁用片及び
前記上壁の左端に連続し、前記左側壁の破断用部に重ねられる破断用部を有する糊代片を含んでいる。
【0039】
この箱原板によると、
前記上壁、右側壁、下壁、左側壁及び糊代片を隣り合うものの境目で順次折り曲げて前記糊代片の上に前記左側壁を重ねて糊付けし、前記前フラップをそれぞれ内側へ折り曲げ、該前フラップ上に前記第1及び第2の前壁用片を曲げ重ねるとともに少なくとも該第1及び第2の前壁用片を糊付けし、前記後ろフラップをそれぞれ内側へ折り曲げ、該後ろフラップ上に前記第1及び第2の後壁用片を曲げ重ねるとともに少なくとも該第1及び第2の後壁用片を糊付けすることで前記食品密封収容袋包装箱を形成できる。
【発明の効果】
【0040】
以上説明したように本発明によると、電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を包装するための食品密封収容袋包装箱であって次の利点を有する包装箱を提供することができる。
(1)包装箱の一部を開けた状態で該開けた部分を支えにして電子レンジ内に傾斜姿勢で配置でき、食品密封収容袋を圧抜き部のある部位が該開ける部分に向くように該包装箱に収容しておけば、該食品密封収容袋を包装箱の一部を開けた状態で包装箱ごと圧抜き部を高い位置において傾斜させて電子レンジ内に配置し加熱することができ、その傾斜姿勢により圧抜き部からの食品の一部の吹き出しなどの恐れを低減できる。
(2)たとえ推奨される標準的箱開き状態とは異なる開き方がなされても、その開き方によっては、食品密封収容袋を圧抜き部のある部位が該開ける部分に向くように該包装箱に収容しておけば、該食品密封収容袋を包装箱の一部を開けた状態で圧抜き部を高い位置において包装箱ごと傾斜させて電子レンジ内に配置できる。
【0041】
また本発明によると、電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体であって次の利点を有する包装体を提供することができる。
(1)内部に収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱の一部を開けた状態で、しかし、なお食品密封収容袋の圧抜き部が包装箱で覆われた状態で、該開けた部分を支えにして電子レンジ内に該包装箱ごと該袋の圧抜き部を高い位置において傾斜姿勢で配置でき、それにより食品密封収容袋の圧抜き部からの食品の一部の吹き出しなどの恐れを低減できるとともに、包装箱周辺への食品吹き出しを抑制できる。
(2)食品密封収容袋包装箱がたとえ推奨される標準的箱開き状態とは異なる開き方がなされても、その開き方によってはなお食品密封収容袋をその圧抜き部のある部位を高い位置において、且つ、圧抜き部が包装箱で覆われた状態で、安全に電子レンジ加熱することができる。
【0042】
また、本発明によると、本発明に係る食品密封収容袋包装箱を組み立て形成できる箱原板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1(A)は本発明に係る食品密封収容袋包装体の1例の上面図であり、図1(B)は同包装体の下面図である。
【図2】図2(A)は図1の包装体の左側面図であり、図2(B)は同包装体の右側面図である。
【図3】図3(A)は図1の包装体の前面図であり、図3(B)は同包装体の後面図である。
【図4】食品密封収容袋の1例の上面図である。
【図5】図5(A)は食品密封収容袋包装箱の組み立て前の原板例を示す図であり、図5(B)は包装箱の上壁折り曲げ用部の他の例を示す図である。
【図6】図1の食品密封収容袋包装体における食品密封収容袋包装箱を開け始める様子を示す斜視図である。
【図7】食品密封収容袋包装箱を図6の状態からさらに開けた状態を示す図である。
【図8】図8(A)は図1の包装体の食品密封収容袋包装箱の一部を「標準開き」状態に開いた様子を示す図であり、図8(B)は図8(A)の包装体を包装箱前壁側から見た図である。
【図9】図9(A)は図1の包装体の食品密封収容袋包装箱の一部を「90度開き」状態に開いた様子を示す図であり、図9(B)は図9(A)の包装箱の一部が復帰動作しているが、包装箱も食品密封収容袋も傾斜姿勢に維持されている様子を示す図である。
【図10】図10(A)は図1の包装体の食品密封収容袋包装箱の一部を「平坦開き」状態に開いた様子を示す図であり、図10(B)は食品密封収容袋の加熱膨張により図(A)の包装箱の一部が反って包装箱及び食品密封収容袋が傾斜姿勢に維持されている様子を示す図であり、図10(C)は箱下壁の傾斜破断用部を含む折り曲げ用部を示す図である。
【図11】食品密封収容袋包装箱の一部の「標準開き」とは異なるさらに他の例を示す図である。
【図12】包装箱の前壁外面を丸みを帯びた状態に対して平坦化する例を示す図である。
【図13】図13(A)は包装箱の上壁折り曲げ用部のさらに他の例を示す図であり、図13(B)は包装箱の上壁折り曲げ用部のさらに他の例を示す図である。
【図14】前壁滑り止め突起を設けた包装箱例を示す図である。
【図15】上壁折り曲げ用部を形成していない比較例包装箱を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は本発明に係る食品密封収容袋包装体の1例100を示す図であり、図1(A)は上面図、図1(B)は下面図である。図2(A)は図1の包装体100の左側面図であり、図2(B)は同包装体100の右側面図である。図3(A)は図1の包装体100の前面図であり、図3(B)は同包装体100の後面図である。図4は食品密封収容袋の1例の上面図である。
【0045】
図示の包装体100は電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋2を食品密封収容袋包装箱1に収容したものである。
【0046】
食品密封収容袋2は図4に示すように、マイクロ波透過可能なフィルムfで形成され、内部に電子レンジ加熱可能な食品Fが収容されているとともに前辺部21、前辺部21に対向する後辺部22及び前後辺部21、22間に延びる左右側辺部23を含む周辺部20が密封されて扁平矩形状を呈している。
【0047】
前辺部21寄りの部位(本例では前辺部21と左側辺部23で提供される前側コーナ部位24)に食品Fの加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部25が形成されている。圧抜き部25は本例では図4に示すように、袋本体を構成している重ねられたフィルムfの一部をヒートシール251し、該ヒートシール部分251の中央部に透孔252を形成したものである。ヒートシール部分251は電子レンジ加熱時の袋本体内気圧上昇で、袋が破裂しない安全圧力範囲内でフィルムf間を剥がして袋内を孔252へ連通させることができる、周辺部20より弱い弱シール部である。
【0048】
食品密封収容袋包装箱1は、図1〜図3に示すように、上壁11と、上壁11の左側端に上端が連続する左側壁12と、上壁11の右側端に上端が連続する右側壁13と、左右側壁12、13の下端に連続し、上壁11に対向する下壁14と、前記各壁の前端に続く前壁15及び後端に続く後壁16を含んでいる。包装箱1は左右側壁12、13間距離及び前後壁15、16間距離より上下壁11、14間距離が短い扁平直方体形状を呈している。
【0049】
上壁11は上壁11の前後端111、112間の中間位置より上壁前端111寄りの部位に形成された、上壁後端112側へ突出する円弧状に延びる中央破断用部C1、中央破断用部C1の左端から上壁11の左側端へ延びる左破断用部C21、中央破断用部C1の右端から上壁11の右側端へ延びる右破断用部C22及び中央破断用部C1より上壁前端111寄りの部位に形成され、左右破断用部間に延びる上壁折り曲げ用部B1を有している。
【0050】
左側壁12は上壁11の左破断用部C21に続いて上下方向に延びる左側壁破断用部C31を有しており、右側壁13は上壁11の右破断用部C22に続いて上下方向に延びる右側壁破断用部C32を有している。下壁14は左右の側壁破断用部C31、C32の下端間に延びる下壁折り曲げ用部B2を有している。
【0051】
この包装箱1は、図5(A)に示す予め裁断された紙製の(主として紙で形成されている)平坦な箱原板10を折り曲げ、糊付けして形成されている。
箱原板10は図5(A)に示す平坦な状態において次のように構成されている。すなわち、
破断用部C1、C21、C22及び折り曲げ用部B1を含む上壁11、
上壁11の右端に連続し、右側壁破断用部C32を含む右側壁13、
右側壁13の右端に連続し、下壁折り曲げ用部B2を含む下壁14、
下壁14の右端に連続し、左側壁破断用部C31を含む左側壁12、
左右の各側壁の前端に続く前フラップ121、131、
上壁11の前端111に連続する第1の前壁用片151、
下壁14の前端141に連続する第2の前壁用片152、
左右の各側壁の後端に続く後ろフラップ122、132
上壁11の後端112に連続する第1の後壁用片161、
下壁14の後端142に連続する第2の後壁用片162及び
上壁11の左端に連続し、左側壁12の破断用部C31に重ねられる破断用部171を有する糊代片17を含んでいる。
【0052】
上壁11、右側壁13、下壁14、左側壁12及び糊代片17が隣り合うものの境目で順次折り曲げられて、糊代片17の上に左側壁12が重ねられて糊付けされる。
さらに、前フラップ121、131がそれぞれ内側へ折り曲げられ、該前フラップ上に第1及び第2の前壁用片151,152が曲げ重ねられるとともに少なくとも該第1及び第2の前壁用片151,152が互いに糊付けされる。このように包装箱1の前壁15は前フラップ121、131とそれらの上に重なる前壁用片151、152で形成されている。
【0053】
また、後ろフラップ122、132がそれぞれ内側へ折り曲げられ、該後ろフラップ上に第1及び第2の後壁用片161,162が曲げ重ねられるとともに少なくとも該第1及び第2の後壁用片161,162が互いに糊付けされる。このように包装箱1の後壁16は後ろフラップ122、132とそれらの上に重なる後壁用片161、162で形成されている。
【0054】
包装箱1の左側壁12は糊代片17に糊付けされ、糊代片17に形成された切断線を含む破断用部171が左側壁12の破断用部C31に重ねられている。
【0055】
このようにして包装箱1は形成され、包装箱形成過程でその中に食品密封収容袋2が収容される。その際、袋2は図1に示すように袋2の前辺部21が箱前壁15に向けられるように、また、圧抜き部25が箱上壁11の破断用部C1,C21,C22,側壁12,13の破断用部C31,C32及び下壁14の折り曲げ用部B2より箱後壁16側の箱部分で覆われるように収容される。
【0056】
包装箱1についてさらに説明すると、上壁11の破断用部C1は上壁11に貫通形成した切断線c11をミシン目状に間隔をおいて円弧状に配列して形成されている。
上壁11の破断用部C21、C22のそれぞれは上壁11に貫通形成した切断線c20を間隔をおいて、上壁前端111側へやや膨らむ円弧状に配列して形成されている。
上壁11の折り曲げ用部B1は上壁11に貫通形成した切断線b1と折り曲げ用筋付け線b2とを一列直線状に交互に配列して形成されている。
折り曲げ用部B1は図5(B)に例示するように、直線状に連続する折り曲げ用筋付け線b200に沿って切断線b1がミシン目様に形成され、全体として、切断線と折り曲げ用筋付け線が一列状に配列されたように形成されていてもよい。
【0057】
上壁11の折り曲げ用部は、図13(A)に例示するように、上壁11に貫通形成した切断線b1’と折り曲げ用筋付け線b2’とを一列に、上壁前端111側へ膨らむ円弧状に交互に配列して形成された折り曲げ用部B1’でもよい。
また、折り曲げ用部B1’は図13(B)に例示するように、円弧状に連続する折り曲げ用筋付け線b200’に沿って切断線b1’がミシン目様に形成され、全体として、切断線と折り曲げ用筋付け線が一列状に配列されたように形成されていてもよい。
【0058】
前記側壁12、13の破断用部C31、C32のそれぞれは側壁に貫通形成した直線状及びY字状の切断線を全体として直線状に間隔をおいて配列して形成されている。
【0059】
下壁14の折り曲げ用部B2は、本例では、左側壁破断用部C31の下端に続いて下壁14の後端142且つ一側端144の方向へ傾斜して延びる傾斜破断用部b21、前記右側壁破断用部C32の下端に続いて下壁14の後端142且つ他側端143の方向へ傾斜して延びる傾斜破断用部b22を含んでいる。さらに、左右の傾斜破断用部b21、b22の下壁後端142側の端部間に延びる中央折り曲げ用部b23を有している。
【0060】
下壁14の中央折り曲げ用部b23は、折り曲げ易く、一旦折り曲げると復帰し難いように、下壁前端141側へ突出する山形状の下壁貫通切断線x1と、下壁後端142側へ突出する逆山形状の下壁貫通切断線x2とを順次交互に、且つ、隣り合う切断線x1、x2の間に非切断ヒンジ部yを介在させつつジグザグ状に配列して形成されている。
【0061】
以上説明した食品密封収容袋包装箱1によると、その組立て形成とともに内部に食品密封収容袋2を収容して食品密封収容袋包装体100を提供することができる。
箱1によると、図6に示すように上壁11の中央破断用部C1と折り曲げ用部B1の間の部分Aを例えば指で箱内側へ押し込むようにして中央破断用部C1を破断することができる。また、その押し込み部分Aを該破断操作にともなって折り曲げ用部B1に沿って箱内側へ向け折り曲げることができる。
【0062】
さらに、箱内側へ向け折り曲げた部分Aあたりを引き上げるようにして、図7のように中央破断用部C1の破断に続けて該中央破断用部に続く左右の破断用部C21、C22を、さらに左右側壁12,13の破断用部C31(糊代片の破断用部171)、C32を破断するとともに、下壁14の前端部Bを下壁折り曲げ用部B2にそって下側へ折り曲げることで包装箱1の一部Pを開くことができる。
【0063】
このとき推奨される標準的な包装箱1の開き方に従って、図8のように下壁14の前端部Bを下壁折り曲げ用部B2にそって略180度折り曲げ回動させて下壁残部に重ねた状態に、復元回動し難いように開き、その開いた箱部分Pを支持枕にして包装箱1を安定的に傾斜姿勢におくことができる。図8(A)は包装箱1の一部Pを開いた包装体100の斜視図であり、図8(B)はその包装体100を箱前壁側から見た図である。
以下この推奨される標準的な包装箱1の開き方を「標準開き」と言う。
【0064】
包装箱1は上記のように一部Pを開けた状態で該開けた部分Pを支えにして電子レンジ内に傾斜姿勢で配置できる。従って、食品密封収容袋2を圧抜き部25のある部位が該開ける部分P近くに位置するように包装箱1に収容しておけば、袋2を包装箱の一部Pを開けた状態で包装箱1ごと圧抜き部25を高い位置において傾斜させて電子レンジ内に配置し加熱することができ、その傾斜姿勢により圧抜き部25からの食品の吹き出し等の恐れを低減できる。
【0065】
また、食品密封収容袋2はその圧抜き部25が前記開けられる箱部分P以外の箱部分で覆われているから、食品密封収容袋2の圧抜き部25からの包装箱1の外周辺への食品10の吹き出しや散乱を抑制できる。
なお、図15に示すように、上壁11の前記部分Aに相当する部分A’を折り曲げる折り曲げ用部が設けられていないと、開いた箱部分Pが電子レンジ内トレイT上で滑ったような場合、部分A’は箱内袋2と干渉しないで、或いは強くは干渉しないで、回動復帰し易くなり、袋2を十分な傾斜姿勢に置き難くなるおそれがある。
【0066】
包装箱1は前記「標準開き」とは異なった、しかし予測される開け方で開かれることがあり得る。例えば図9(A)に示す次の開き方を例示できる。
上壁11の中央破断用部C1と折り曲げ用部B1の間の部分Aを箱内側へ押し込むようにして該中央破断用部を破断し、その押し込み部分Aを該破断操作にともなって折り曲げ用部B1に沿って箱内側へ向け折り曲げ、さらに中央破断用部C1の破断に続けて左右の破断用部C21、C22、さらに左右側壁12,13の破断用部C31、C32も破断するとともに、下壁14の前端部Bを下壁折り曲げ用部B2にそって下側へ折り曲げる。しかしこのとき、下壁14の前端部Bを下壁折り曲げ用部B2にそって略90度だけ折り曲げ回動させる。このように開かれた箱部分Pを支持枕にして包装箱1及び袋2を傾斜姿勢におく。以下この開き方を「90度開き」と言う。
【0067】
このような開き方で開かれた場合でも、上壁11の中央破断用部C1と折り曲げ用部B1の間の部分Aが既に上壁折り曲げ用部B1に沿って折り曲げられており、その折り曲げ部分Aが開かれた包装箱1から突き出す袋2の下方に位置して該開かれた箱部分の復帰回動が妨げられる(図9(B)参照)。従って、袋2を圧抜き部25のある部位が該開ける部分Pの近くに位置するように箱1に収容しておけば、包装箱1の一部Pをこのように不完全に開けた状態でも袋2をその圧抜き部25を高い位置において包装箱1ごと傾斜させて電子レンジ内に配置できる。
【0068】
下壁14の前端141から下壁折り曲げ用部B2までの距離は、本例では、前記のように「90度開き」する場合でも、上壁11の中央破断用部C1と折り曲げ用部B1の間の該折り曲げ用部に沿って折り曲げられた部分Aが開かれた包装箱1から突き出す食品密封収容袋2の下方に位置することができる距離とする。具体例として、下壁14の前端141から下壁折り曲げ用部B2(本例ではより正確には中央折り曲げ用部b23のヒンジ部yまでの距離を上壁11の前端111から上壁折り曲げ用部B1までの距離と同等程度又はそれより長くしている。
【0069】
包装箱1の前記の標準的な開け方とは異なるさらに他の開け方の例として、図10(A)に示す次の開け方も考えられる。
すなわち、上壁11の中央破断用部C1と折り曲げ用部B1の間の部分Aを指で箱内側へ押し込むようにして該中央破断用部C1を破断し、その押し込み部分Aを該破断操作にともなって折り曲げ用部B1に沿って箱内側へ向け折り曲げ、或いはさらに上壁11の中央破断用部C1の破断に続けて左右の破断用部C21、C22を開け、或いはさらに左右側壁12、13の破断用部C31、C32も破断させ、しかし、下壁14の前端部Bを下壁折り曲げ用部B2にそって下側へ折り曲げない開け方である。
以下この開き方を「平坦開き」と言う。
【0070】
包装箱1はこのような開け方の場合でも、包装箱1及びそれに収容される袋2が該袋の圧抜き部25を高い位置に置くように傾斜姿勢をとることができる。
すなわち、下壁折り曲げ用部B2に左右の傾斜破断用部b21、b22が形成されており、箱内袋2が加熱により内圧で膨張して包装箱1の上壁11及び下壁14が丸みを帯びるように変形するにつれ、図10(B)のように傾斜破断用部b21、b22が破断され、それにより包装箱1の開けられた部分Pが下方へ反り、包装箱1及び袋2が該袋の圧抜き部25が高い位置におかれるように傾斜姿勢をとることができる。
【0071】
包装箱1の前記の標準的な開け方とは異なるさらに他の開け方として、図11に示す開け方も考えられる。図11の開け方は、上壁11の破断用部から開けるのではなく、下壁14の折り曲げ用部B2を破断して箱1を開けてしまう例である。
【0072】
このような開け方をする場合でも、箱内袋2が加熱により内圧で膨張して箱1の上壁11及び下壁14が丸みを帯びるように変形するにつれ、図11に示すように箱1の開けられた部分P’が反り、それにより箱1及びそれに収容された袋2が該袋の圧抜き部25が高い位置におかれるように傾斜姿勢をとることができる。
【0073】
ところで、包装箱1の前壁15が、左右の側壁12,13の前端に連続する前フラップ121,131をそれぞれ内側に折り曲げ、それらフラップ上に、上壁前端に連続する前壁用片151及び下壁前端に連続する前壁用片152を曲げ重ね、それら前壁用片151、152を糊付けするだけで形成されていると、前壁15が膨出するように丸みを帯びることがある(図12(C)参照)。
【0074】
そうなると、図12(C)のように箱1を「90度開き」する場合、包装箱1を傾斜姿勢に支える開かれた部分Pの下端面となる包装箱前壁15の外面S1が電子レンジ内トレイT上で滑って復帰回動し易くなり、箱姿勢が不安定になるおそれがある。
【0075】
そこで前壁15の外面S1を平坦化するために次のようにしてもよい。すなわち、図12(A)に示すように、左右の側壁12,13の前端に連続する前フラップ121,131がそれぞれ内側に折り曲げられ、該左右の前フラップ上に、上壁11の前端111に連続する前壁用片151及び下壁14の前端141に連続する前壁用片152のうち一方片(本例では151)が曲げ重ねられ、且つ、該一方151に予め形成しておいた糊通し孔hが重ねられ、さらに該一方片151の上に他方片152が曲げ重ねられるとともに両前壁用片が糊Gで相互接着され、且つ、前壁用片152が糊通し孔hを介してフラップ121,131にも糊付けされるようにしてもよい。このようにすると、図12(B)に示すように、包装箱1を傾斜姿勢に支える開かれた部分Pの下端面となる包装箱前壁15の外面S1が平坦面化し、それだけ電子レンジ内トレイT上で箱姿勢が安定化する。
【0076】
また、このような前壁外面の平坦化に代えて、或いは平坦化とともに、次のようにしてもよい。すなわち、図14に示すように前壁15が上壁11の前端111に連続する前壁用片151及び下壁14の前端141に連続する前壁用片152を含んでおり、両前壁用片151,152はそれらのうち一方151の上に他方152が重ねられるように曲げ重ねられるとともに互いに糊付けされており、下壁14の前端141に連続する前壁用片152に下壁前端141から一体的に突出する突起1520が切断線で囲って形成され、前壁用片152の前壁用片151への曲げ重ねにより突起1520が下壁前端141から突出するようにしてもよい。
【0077】
この突起1520は前壁外面S1が下壁後端側で高位置をとるように電子レンジ内トレイ上に傾斜配置されることを可能とし、滑り止め機能を発揮する。
【0078】
以上説明した包装体100は、そうする必要はないが、例えば下壁14が表に向けられて展示、販売等される場合が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を包装する食品密封収容袋包装箱及び前記食品密封収容袋を前記食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0080】
100 食品密封収容袋包装体
1 食品密封収容袋包装箱
10 箱原板
11 上壁
111 上壁前端
112 上壁後端
12 左側壁
13 右側壁
C1 上壁の中央破断用部
C21、C22 上壁の左右の破断用部
B1、B1’ 上壁折り曲げ用部
b1、b1’ 切断線
b2、 b200、b2’、b200’ 折り曲げ用筋付け線
C31、C32 側壁破断用部
14 下壁
141 下壁前端
142 下壁後端
143、144 下壁側端
B2 下壁折り曲げ用部
b21、b22 下壁の傾斜破断用部
b23 下壁の中央折り曲げ用部
x1、x2 山形状及び逆山形状の切断線
y 非切断ヒンジ部
15 前壁
121、131 前フラップ
151,152 前壁用片
h 糊通し孔
16 後壁
122、132 後ろフラップ
161,162 後壁用片
1520 突起
17 糊代片
171 破断用部
2 食品密封収容袋
f フィルム
20 周辺部
21 前辺部
22 後辺部
23 側辺部
24 コーナ部位
25 圧抜き部
F 食品


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を包装するための食品密封収容袋包装箱であり、
上壁と、前記上壁の左側端に上端が連続する左側壁と、前記上壁の右側端に上端が連続する右側壁と、前記左右側壁の下端に連続し、前記上壁に対向する下壁と、前記各壁の前端に続く前壁及び後端に続く後壁を含んでいて前記左右側壁間距離及び前記前後壁間距離より前記上下壁間距離が短い扁平形状を呈しており、
前記上壁は該上壁の前後端間の中間位置より上壁前端寄りの部位に形成された上壁後端側へ突出する円弧状に延びる中央破断用部、前記中央破断用部の左端から前記上壁の左側端へ延びる左破断用部、前記中央破断用部の右端から前記上壁の右側端へ延びる右破断用部及び前記中央破断用部より上壁前端寄りの部位に形成された、前記左右破断用部間に延びる上壁折り曲げ用部を有しており、
前記左側壁は前記上壁の左破断用部に続いて上下方向に延びる左側壁破断用部を有しており、
前記右側壁は前記上壁の右破断用部に続いて上下方向に延びる右側壁破断用部を有しており、
前記下壁は前記左右の側壁破断用部の下端間に延びる下壁折り曲げ用部を有していることを特徴とする食品密封収容袋包装箱。
【請求項2】
前記上壁折り曲げ用部は切断線と折り曲げ用筋付け線とを一列状に配列して形成されている請求項1記載の食品密封収容袋包装箱。
【請求項3】
前記下壁折り曲げ用部は前記左側壁破断用部の下端に続いて該下壁の後端且つ右側端の方向へ傾斜して延びる左側傾斜破断用部、前記右側壁破断用部の下端に続いて該下壁の後端且つ左側端の方向へ傾斜して延びる右側傾斜破断用部及び前記左右の傾斜破断用部の下壁後端側の端部間に延びる中央折り曲げ用部を含んでいる請求項1又は2記載の食品密封収容袋包装箱。
【請求項4】
前記下壁の中央折り曲げ用部は下壁前端側へ突出する山形状の切断線と下壁後端側へ突出する逆山形状の切断線とを順次交互に、且つ、隣り合う山形状の切断線と逆山形状の切断線の間に非切断ヒンジ部を介在させつつジグザグ状に配列して形成されている請求項3記載の食品密封収容袋包装箱。
【請求項5】
前記前壁は、前記左右の側壁の前端に連続する前フラップがそれぞれ内側に折り曲げられ、前記左右の前フラップ上に、前記上壁の前端に連続する前壁用片及び前記下壁の前端に連続する前壁用片のうち一方が曲げ重ねられ、且つ、該一方に予め形成しておいた糊通し孔が重ねられ、さらに該一方の上に他方が曲げ重ねられるとともに該両前壁用片が糊付けされ、且つ、該他方の前壁用片が前記糊通し孔を介して前記フラップにも糊付けされている請求項1から4のいずれか1項に記載の食品密封収容袋包装箱。
【請求項6】
前記前壁は、前記上壁の前端に連続する前壁用片及び前記下壁の前端に連続する前壁用片を含んでおり、前記両前壁用片はそれらのうち一方の上に他方が重ねられるように曲げ重ねられるとともに互いに糊付けされており、前記下壁の前端に連続する前壁用片には前記下壁前端から一体的に突出する突起が切断線で囲って形成されており、前記突起が前記下壁前端に連続する前壁用片の前記前壁形成のための折り曲げにより前記下壁前端から突出している請求項1から5のいずれか1項に記載の食品密封収容袋包装箱。
【請求項7】
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体であり、
前記食品密封収容袋はマイクロ波透過可能なフィルムで形成され、内部に電子レンジ加熱可能な食品が収容されているとともに前辺部、該前辺部に対向する後辺部及び該前後辺部間に延びる左右側辺部を含む周辺部が密封されて扁平形状を呈しており、前記前辺部寄りの部位に前記食品の加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部が形成されており、
前記食品密封収容袋包装箱は請求項1から6のいずれか1項に記載の包装箱であり、
前記食品密封収容袋は前記前辺部が前記包装箱の前壁側に向けられて該包装箱内に収容されているとともに前記包装箱の前記上壁の破断用部の破断により該包装箱が開かれても前記圧抜き部が前記上壁の破断用部より上壁後端側の上壁部分で覆われるように該包装箱内に収容されていることを特徴とする食品密封収容袋包装体。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の食品密封収容袋包装箱を形成するための、予め裁断された紙製の平坦な箱原板であり、平坦な状態において
前記破断用部及び前記折り曲げ用部を含む前記上壁、
前記上壁の右端に連続し、前記右側壁破断用部を含む前記右側壁、
前記右側壁の右端に連続し、前記下壁折り曲げ用部を含む前記下壁、
前記下壁の右端に連続し、前記左側壁破断用部を含む前記左側壁、
前記左右の各側壁の前端に続く前フラップ、
前記上壁の前端に連続する第1の前壁用片、
前記下壁の前端に連続する第2の前壁用片、
前記左右の各側壁の後端に続く後ろフラップ、
前記上壁の後端に連続する第1の後壁用片、
前記下壁の後端に連続する第2の後壁用片及び
前記上壁の左端に連続し、前記左側壁の破断用部に重ねられる破断用部を有する糊代片を含んでおり、
前記上壁、右側壁、下壁、左側壁及び糊代片を隣り合うものの境目で順次折り曲げて前記糊代片の上に前記左側壁を重ねて糊付けし、前記前フラップをそれぞれ内側へ折り曲げ、該前フラップ上に前記第1及び第2の前壁用片を曲げ重ねるとともに少なくとも該第1及び第2の前壁用片を糊付けし、前記後ろフラップをそれぞれ内側へ折り曲げ、該後ろフラップ上に前記第1及び第2の後壁用片を曲げ重ねるとともに少なくとも該第1及び第2の後壁用片を糊付けすることで前記食品密封収容袋包装箱を形成できることを特徴とする箱原板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−246056(P2012−246056A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215779(P2011−215779)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000206945)大塚食品株式会社 (17)
【Fターム(参考)】