説明

食品成形装置及びこれを備えた食品生産システム

【課題】お菓子などの食品の様々な外形を製作するための食品成形装置およびこれを備えた食品生産システムを提供する。
【解決手段】複数の成形型を備える成形型ユニット、及び前記成形型を前記成形型ユニットに出し入れする成形型交換ユニットを備える食品生産装置と、食品原料を前記成形型に充填して固体化成形させる成形ユニットと、食品の生産工程を制御する制御ユニットと、を備えて、食品の外形を作るための食品生産システムを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムに関し、特に、生産ラインにおいて様々な食品の外形を製作するための食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、お菓子類の食品は、柔らかな食感及び甘くて香ばしい味が求められるだけではなく、消費者の食欲をくすぐるために、食品の外形が様々な形状を有する。そのような外形は、違った成形型によって異なる形状に成形することができる。
【0003】
よく知られる例として、台湾の屋台での「卵ケーキ」がある。業者が液体のケーキ原料を成形型に充填して火で焼くことにより、様々な形状の卵ケーキが作り上げられる。もう一つ代表的な例として、和風の鯛焼きや今川焼きなどがある。台湾の卵ケーキとの違いは、今川焼きと鯛焼きは中に餡が包まれており、円形や魚形をしていることである。
【0004】
しかしながら、上記のお菓子の作り方では、お菓子を手作業で焼かなければならない。供給不足を防ぐため、業者は所定量のケーキを予め作っておくが、高速に製作することができず、また品質が不安定であるという問題がある。
【0005】
また、消費者によってケーキの外形の好みは様々であるが、屋台であれ、ケーキ店であれ、消費者にケーキの外形の好みを十分に満足させることはできない。前者はコスト面の理由で多様な成形型を揃えることができない。後者は比較的に資源と技術を揃えているにもかかわらず、消費者側が外形についての要求を出さない限り、業者が消費者の好みに合う外形を作るのは困難である。従って、消費者のオーダーメイドに対する欲望を掻き立てることは困難である。また現在、成形型の交換は、手作業で行うため手間が掛かる。さらに、成形型は加工工程で高温になるため、手作業での交換には危険がある。
【0006】
また、お菓子類の食品の製造では、原料の調製及び焼く時間に関する技術が重要であり、営業規模を拡大しようとする食品業者にとって、それに係る技術を身に付けさせ、食品の一定の風味を保たせるといった人材の育成は容易なことではない。
【0007】
従って、オーダーメイドにより消費者の購買欲を掻き立てる食品の成形技術を提供することが顕著な技術課題となっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の従来技術の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、高度なオーダーメイド化に達するための食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムを提供することにある。
【0009】
また、本発明の目的は、高度なオートメーション化により食品を高速に生産するための食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムを提供することにある。
【0010】
また、本発明の目的は、安全に食品の成形型を交換するための食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムを提供することにある。
【0011】
また、本発明の目的は、食品の成形型の交換する手間を省くための食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムを提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の目的は、営業規模を迅速に拡大するための食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の成形型を備える成形型ユニットと、前記成形型を前記成形型ユニットに対して出し入れする成形型交換ユニットと、食品原料を前記成形型に充填し固体化成形させる成形ユニットと、前記成形型の選択及び食品の成形工程を制御する制御ユニットとを備える、食品の外形を作るための食品成形装置を提供する。
【0014】
また、本発明は、複数の成形型を備える成形型ユニット、及び前記成形型を交換する成形型交換ユニットを備える食品生産装置と、食品原料を前記成形型に充填し、固体化成形させる成形ユニットと、食品の生産工程を制御する制御ユニットと、を備える、生産ラインにおいて食品を自動的に生産するための食品生産システムを提供する。
【0015】
これらの成形型はリサイクル式でもよく、または食品を成形型と共に売り出してもよい。リサイクル式の成形型の場合、本発明に係る食品生産システムは洗浄ユニットを設けることができ、食品を成形して成形型から取り出した後、前記洗浄ユニットにより成形型を洗浄してから、前記成形型交換ユニットにより成形型を回収することができる。一方、食品がプリンやゼリーなどである場合、これらの成形型は食品と共に売り出すことができる。
【0016】
前記成形型ユニットは食品原料を成形型に充填する加工ノズルと、食品原料を成形型で固体化成形させる成形モジュールとを含み、前記制御ユニットは、成形型の形状を選択するための入力インターフェースモジュールと、生産ラインの運転を制御するスイッチと、洗浄ユニットを制御するスイッチと、成形型の交換を制御するモジュールと、成形ユニットを制御するモジュールと、食品を包装するモジュールと、成形型洗浄ユニットを制御するスイッチと、食品原料の使い切り状態を信号にして発信する通報モジュールとを含む。
【0017】
実際の応用には、上述した食品生産システムを軽トラックに設けることができる。前記入力インターフェースモジュールはタッチパネルを有することが可能であり、該当タッチパネルには消費者に選択させるためのあらゆる成形型の形状を示す。消費者が所望の形状を選出し入力すると、食品成形装置が動作し始め、消費者に選出された形状に対応する成形型を成形型ユニットから選び出してフレームユニットに配列し、原料充填ユニットにより食品原料をこの成形型に充填してから、焼く処理または冷やす処理を行うことにより、消費者が所望する形状の食品が作り上げられる。
【発明の効果】
【0018】
従来技術では、お菓子類の食品は、製作した後で、消費者に選ばせて買入させることが多い。本発明の食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムによれば、食品の外形を選択できることで、消費者にオーダーメイドの楽しみを味わせることができ、さらに消費者の購買欲を掻き立てることができる。
【0019】
また、今尚、現場で作るお菓子類の食品は手作りで作るため、スピードが遅く、品質にはばらつきが大きいという問題点がある。本発明の食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムによれば、食品を自動で高速に生産し、食品の品質を保つことができる。
【0020】
また、従来技術では手動で成形型を交換することができるが、成形型が一定の重さであって加工工程で高熱になりやすいため、手作業での成形型の交換には危険性がある。本発明の食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムによれば、自動で成形型を交換することで、人員の安全を守ることができる。
【0021】
さらに、本発明のシステムは前述した軽トラックに設けられる場合、必要な人員が運転手一人だけで済み、この人員が食品の作る技術を身につけていなくてもいいので、営業規模を迅速に拡大することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、具体的な実施例によって本発明の実施形態を説明する。当業者は本明細書に記載の内容から本発明のその他の利点や効果を容易に理解することができる。
【0023】
図1に示すように、本発明に係る食品成形装置は、成形型ユニット2を含む。成形型ユニット2は、複数の成形型、例えばハート形キャビティを有する成形型21と、星形キャビティを有する成形型22と、梅花形キャビティを有する成形型23と、動物形キャビティを有する成形型24とを備える。なお、形状で成形型を分ける以外、成形型のキャビティの数量が異なってもよい。例えば、本発明に係る実施形態において、成形型は2、4、6または2の倍数のキャビティを有するものである。もちろん、本発明に係る成形型のキャビティの形状と数量は実施形態に限定されるものではなく、キャビティの形状と数量は変更が可能であることは言うまでもない。また、本実施形態の図式に示す成形型の数量は例示に過ぎず、実際に実施する際の成形型の数量を制限するものではない。
【0024】
本発明に係る食品成形装置は、成形型を成形型ユニット2に対して出し入れし、次の食品成形の工程に進めるための成形型交換ユニット4を含む。成形型交換ユニット4はロボットアームでもよく、成形型を挟んで成形型ユニット2から取り出すためのものである。また、成形型交換ユニット4はロボットアームに限定されるものではなく、例えば磁気吸引装置または成形型を交換できる作動機構でもよい。
【0025】
成形型を成形型交換ユニット4により成形型ユニット2から生産ライン1に置いた後、食品原料を成形型に充填して、焼く処理または冷やす処理などを行うことにより、成形作業を行う。
【0026】
図2に示すように、本発明に係る食品生産システムは、生産ライン1において、食品を生産するためのものであり、前述した食品成形装置と、食品原料を成形型に充填して固体化成形させる成形ユニット11と、上述した食品の生産工程を制御する制御ユニット5とを備える。
【0027】
前記成形ユニット11は生産ライン1に設けることが可能であり、食品原料を成形型に充填する加工ノズル110と、食品原料を成形型で固体化成形させる成形モジュール111とを含む。成形モジュール111は食品の種類によって、成形型内で食品原料を成形させるように成形型を焼く処理、または成形型内で食品原料を固体化成形させるように成形型を冷やす処理を行うことが可能である。食品がお菓子類の場合、焼く処理を行い、食品がゼリー類の場合、冷やす処理を行う。食品を成形した後、お菓子類の食品の場合は、食品が成形型から取り出され包装・出荷作業に進む一方、成形型が生産ライン1に沿って洗浄ユニット13に輸送され、洗浄ユニット13により洗浄され、前記成形型交換ユニット4により成形型ユニット2に回収される。ゼリー類の食品の場合、食品は成形型と共に包装・出荷される。
【0028】
また、前記成形ユニット11と前記洗浄ユニット13は、生産ライン13の上に設けてもよく、食品成形装置と組み合わせて、成形型ユニット2の近くに設けてもよいことに注意すべきである。
【0029】
図3Aに示すように、本発明に係る食品生産システムの制御ユニット5は、入力インターフェースモジュール51と、生産ラインの運行を制御するスイッチ52と、成形型の洗浄を制御するスイッチ53と、成形型の交換を制御するモジュール54と、成形ユニットを制御するモジュール56と、食品を包装するモジュール57とを有する。また、前記制御ユニット5は、さらに通報モジュール58を含む。通報モジュール58は、インターネットに繋がり、食品原料が使い切られる前に本社またはベンダーに情報を発信することで、食品原料の補充を確保する。
【0030】
また、前述した食品成形装置としては、前記制御ユニット5が入力インターフェースモジュール51と、成形型の交換を制御するモジュール54と、成形ユニットを制御するモジュール56とを備えていれば、成形型を自動的に交換する機能を図ることが可能となる。
【0031】
図3B、図3Cに示すように、前記入力インターフェースモジュール51はタッチパネルであることが可能であり、消費者にタッチパネルで食品の数量と形状を選ばせることにより、前述した成形型の数量と種類の選択を連動させる。また、入力インターフェースモジュール51は実施形態に係るタッチパネルに限定されるものではなく、携帯電話、テレホンボイス、ウェブページなどのインターフェースでもよいことに注意すべきである。
【0032】
図4は、本発明に係る食品生産システムのフローチャートである。まず、ステップS1において、前記成形型交換ユニット4が成形型を成形型ユニット2から自動的に取り出し生産ラインに乗せるように、成形型の種類を選択し、成形型の種類の選択肢および食品生産時間と工程の選択肢を設定する。次に、ステップS2に示すように、食品原料を成形型に充填して、焼く処理または冷やす処理を行いながら成形型を移動することにより、食品を均一に加熱または冷却する。次に、ステップS3において、成形した食品を成形型から取り出してから、成形型を洗浄するステップS4に進み、成形型交換ユニット4により成形型を成形型ユニット2に回収するステップS5に進む。そして、販売する食品に使い捨ての成形型を付してある場合、ステップS3’に示すように、食品を成形型と共に売り出す。
【0033】
実際の応用としては、上述した食品生産システムを軽トラックに設けることが可能である。この場合、入力インターフェースモジュール51は前述したタッチパネルであり、軽トラックの外側に設けることが可能である。これにより、食品の形状を選ぶことで、消費者にオーダーメイドの楽しみを味わわせることができ、さらに消費者の購買欲を向上することができる。
【0034】
また、今尚、現場で作るお菓子類の食品は手作りで作るため、スピードが遅く、品質のばらつきが大きいという問題点がある。本発明の食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムによれば、食品を自動で高速に生産し、食品の品質を保つことができる。
【0035】
さらに、本発明のシステムは前述した軽トラックに設けられる場合、必要な人員が運転手一人だけで済み、またこの人員が食品を作るための技術を身につけていなくてもいいので、営業規模を迅速に拡大することができる。
【0036】
また、従来技術では手動で成形型を交換することができるが、成形型が一定の重さであって加工工程で高熱になりやすいため、手作業での成形型の交換には危険性がある。本発明の食品成形装置及びこれを備えた食品生産システムによれば、自動で成形型を交換することで、人員の安全を守ることができる。
【0037】
上述した実施形態は本発明の利点や効果を説明するための例示に過ぎず、本発明の実施形態を制限するものではない。発明の要旨を変更しない範囲において、本明細書に記載の実施形態に種々の修正と変更が可能であることは言うまでもない。またそうした修正や変更も本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る食品成形装置の実施形態を模式的に示す図である。
【図2】本発明に係る食品生産システムの実施形態を模式的に示す図である。
【図3A】本発明に係る食品成形装置の入力インターフェースモジュールの実施形態を模式的に示す図である。
【図3B】本発明に係る食品成形装置の入力インターフェースモジュールの実施形態を模式的に示す図である。
【図3C】本発明に係る食品成形装置の入力インターフェースモジュールの実施形態を模式的に示す図である。
【図4】本発明に係る食品生産システムの実施形態のフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
1 生産ライン
11 成形ユニット
110 加工ノズル
111 成形モジュール
13 洗浄ユニット
2 成形型ユニット
21 ハート形キャビティを有する成形型
22 星形キャビティを有する成形型
23 梅花形キャビティを有する成形型
24 動物形キャビティを有する成形型
4 成形型交換ユニット
5 制御ユニット
51 入力インターフェースモジュール
52 生産ラインの運行を制御するスイッチ
53 洗浄ユニットを制御するスイッチ
54 成形型の交換を制御するモジュール
56 成形ユニットを制御するモジュール
57 食品を包装するモジュール
58 通報モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の外形を作るための食品成形装置であって、
複数の成形型を備える成形型ユニットと、
前記成形型を前記成形型ユニットに対して出し入れする成形型交換ユニットと、
食品原料を前記成形型に充填して固体化成形させる成形ユニットと、
前記成形型の選択及び食品の成形工程を制御する制御ユニットと、
を備えることを特徴とする食品成形装置。
【請求項2】
前記成形型具交換ユニットが、ロボットアームまたは他の作動機構のうちのいずれかであり、
前記成形型ユニットが、食品原料を成形型に充填する加工ノズルと、食品原料を前記成形型で固体化成形させる成形モジュールとを含み、
前記制御ユニットが、成形型の形状を選択するための入力インターフェースモジュールと、成形型の交換を制御するモジュールと、成形ユニットを制御するモジュールとを含むことを特徴とする請求項1に記載の食品成形装置。
【請求項3】
前記成形モジュールが、食品原料が充填されたキャビティを有する成形型に対して、焼く処理または冷やす処理を行うものであることを特徴とする請求項2に記載の食品成形装置。
【請求項4】
前記入力インターフェースモジュールが、タッチパネル、携帯電話、テレホンボイス、ウェブページのうちのいずれかであることを特徴とする請求項2に記載の食品成形装置。
【請求項5】
前記成形型の種類が、キャビティの形状又は数量で分けられることを特徴とする請求項1に記載の食品成形装置。
【請求項6】
生産ラインにおいて、食品を自動的に生産するための食品生産システムであって、
複数の成形型を備える成形型ユニットと、前記成形型を交換する成形型交換ユニットとを備える食品生産装置と、
食品原料を前記成形型に充填して固体化成形させる成形ユニットと、
食品の生産工程を制御する制御ユニットと、
を備えることを特徴とする食品生産システム。
【請求項7】
前記成形型交換ユニットが、ロボットアームまたは他の作動機構のうちのいずれかであり、
前記成形型ユニットが、食品原料を成形型に充填する加工ノズルと、食品原料を成形型で固体化成形させる成形モジュールとを含み、
前記制御ユニットが、成形型を選択するための入力インターフェースモジュールと、生産ラインの運転を制御するスイッチと、成形型の交換を制御するモジュールと、成形ユニットを制御するモジュールと、食品を包装するモジュールと、成形型洗浄ユニットを制御するスイッチと、食品原料の使い切り状態を信号にして発信する通報モジュールとを含むことを特徴とする請求項6に記載の食品生産システム。
【請求項8】
前記成形モジュールが、食品原料が充填されたキャビティを有する成形型に対して、焼く処理または冷やす処理を行うためのものであることを特徴とする請求項7に記載の食品生産システム。
【請求項9】
前記入力インターフェースモジュールが、タッチパネル、携帯電話、テレホンボイス、ウェブページのうちのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の食品生産システム。
【請求項10】
成形型を洗浄するための洗浄ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の食品生産システム。
【請求項11】
前記成形型の種類が、キャビティの形状又は数量で分けられることを特徴とする請求項6に記載の食品生産システム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−228722(P2008−228722A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149294(P2007−149294)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(390023582)財団法人工業技術研究院 (524)
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】