食品成形装置
【課題】本発明は、内側の食材に対しても外側の食材と同様に撹拌動作を行うことが可能な食品成形装置を提供することを目的とする。
【解決手段】食品成形装置1は、食材を供給する供給部2、供給された食材をノズル部材より連続吐出する吐出部3、連続吐出された食材をドーナツ状に分割成形する成形部4、ドーナツ状に成形された成形品を搬送するベルトコンベヤ5、及び、成形品を支持する支持部6を備えている。供給部2は、外皮材F及び内材Gを吐出部3に圧送する。送給管26及び外皮材供給管路272を流通する外皮材Fの流通路にはそれぞれ撹拌部材80及び90が配置されており、発酵食品生地からなる外皮材Fを撹拌してグルテンを強化するようにする。
【解決手段】食品成形装置1は、食材を供給する供給部2、供給された食材をノズル部材より連続吐出する吐出部3、連続吐出された食材をドーナツ状に分割成形する成形部4、ドーナツ状に成形された成形品を搬送するベルトコンベヤ5、及び、成形品を支持する支持部6を備えている。供給部2は、外皮材F及び内材Gを吐出部3に圧送する。送給管26及び外皮材供給管路272を流通する外皮材Fの流通路にはそれぞれ撹拌部材80及び90が配置されており、発酵食品生地からなる外皮材Fを撹拌してグルテンを強化するようにする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続吐出される食材を分割成形する食品成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、口径の異なる複数のノズルを同心円状に配置して、内ノズルから内材を連続して吐出し、外ノズルから外皮材を連続して吐出して内材を外皮材で被覆した棒状の食品生地に成形する食品成形装置が用いられている。例えば、特許文献1では、外筒と内筒との間の円環状空間に生地送り羽根を設け、内筒から内包材を吐出するとともに円環状空間から回転する羽根によって輸送されたパン生地を吐出して連続棒状体を成形吐出する装置が記載されている。また、特許文献2では、パン生地、イーストドーナツ生地、中華饅頭生地等の発酵食品生地を外皮材として用いる場合、その供給管路にリング状の回転ノズルギアを回転可能に配置し、その内周面に叩打部材を取り付けて回転させることで、発酵食品生地のグルテンの粘弾性結合組織の強化を図っている。
【0003】
また、特許文献3では、複数のノズルを同心円状に配置し、ノズルの内側に内側成形部材を設け、ノズルから内側成形部材の周囲に吐出される筒状成形体に対して前記切断部材を前記内側成形部材の外周面に当接するように移動させてリング状に分割成形するドーナツ状食品成形装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平4−43606号公報
【特許文献2】特開2001−333689号公報
【特許文献3】特許第4437843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1及び2に記載された成形装置では、パン生地等の外皮材に形成されるグルテンを強化するために、外皮材が通過する円環状空間に生地送り羽根や叩打部材を設けて回転させるようにしている。
【0006】
こうした外皮材及び内材の二重構造の連続棒状体の場合には、外側の外皮材について叩打部材により撹拌してグルテンの強化を図ることができるが、特許文献3に記載された成形装置のように、成形品の内側にも外皮材を吐出する場合には、内側の外皮材に対して外側の外皮材のようにグルテンの強化を図ることが難しい。
【0007】
外側の外皮材のみグルテンを強化した成形品は、焼いたり揚げたりして熱処理するとグルテンが強化されない内周部分が硬くなって、品質のよい食品に仕上げることができない。
【0008】
このように、パン生地、イーストドーナツ生地、中華饅頭生地等の発酵食品生地を内側及び外側に用いて多層食品を成形する場合、従来の食品成形装置では内側の生地を撹拌することが困難であった。また、発酵食品生地以外にも練パイ生地のように生地を撹拌して層状構造することが必要な生地の場合でも内側の生地に対する撹拌が困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、内側の食材に対しても外側の食材と同様に撹拌動作を行うことが可能な食品成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る食品成形装置は、複数の食材を供給する供給部と、複数のノズルを多重に配置して供給された前記食材を各ノズルから下方に向けて吐出するノズル部材を有するとともに内側の前記食材の周囲を外側の前記食材で被覆するように連続成形して吐出する吐出部と、内側の前記食材の流通路に配置された第一撹拌部材を有するとともに当該第一撹拌部材を移動させて流通する前記食材を撹拌する第一撹拌部と、外側の前記食材の流通路に配置された第二撹拌部材を有するとともに当該第二撹拌部材を移動させて流通する前記食材を撹拌する第二撹拌部と、前記吐出部の下方に配置されて前記吐出部から吐出される連続成形体を囲むように配設された切断部材を有するとともに当該切断部材を移動させて連続成形体を切断して分割成形する成形部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る別の食品成形装置は、内材及び外皮材を供給する供給部と、複数のノズルを多重に配置して供給された前記内材及び前記外皮材を下方に向けて吐出するノズル部材及び当該ノズル部材の内側に配置されて下方に向けて突出する内側成形部材を有するとともに内側成形部材及び各ノズルのそれぞれの間に形成された複数の環状吐出口より前記内材を内側及び外側から前記外皮材で挟み込むようにして筒状に成形して吐出する吐出部と、内側の前記外皮材の流通路に配置された第一撹拌部材を有するとともに当該第一撹拌部材を移動させて流通する前記外皮材を撹拌する第一撹拌部と、外側の前記外皮材の流通路に配置された第二撹拌部材を有するとともに当該第二撹拌部材を移動させて流通する前記外皮材を撹拌する第二撹拌部と、前記内材を吐出する前記環状吐出口を開閉して前記内材を間隔を置いてリング状に間欠吐出させる開閉部と、前記吐出部の下方に配置されて前記内側成形部材を囲むように配設された切断部材を有するとともに前記吐出部から吐出される筒状成形体におけるリング状の前記内材の間に対して前記切断部材を前記内側成形部材の外周面に当接するように移動させ前記外皮材を切断してリング状に分割成形する成形部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記のような構成を有することで、複数の食材により内側の食材の周囲を外側の食材で被覆するように多層構造で連続成形する場合に、内側及び外側の食材をそれぞれ第一撹拌部及び第二撹拌部でそれぞれ同じように撹拌することができるので、内側及び外側の食材が同様の品質を有する食品を成形することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施形態に関する正面図である。
【図2】図1の供給管路、吐出部及び成形部に関する正面から見た概略断面図である。
【図3】内側の第一撹拌部材に関する外観斜視図である。
【図4】内側の第一撹拌部材に関する正面図である。
【図5】図2のA−A断面図である。
【図6】歯車アダプタに関する外観斜視図である。
【図7】図2のB−B断面図である。
【図8】吐出部に関する分解斜視図である。
【図9】成形部におけるシャッタ片の動作及びその駆動機構に関する平面図である。
【図10】吐出部から連続吐出された食材を分割成形する過程を示す説明図である。
【図11】吐出部から連続吐出された食材を分割成形する過程を示す説明図である。
【図12】吐出部から連続吐出された食材を分割成形する過程を示す説明図である。
【図13】吐出部から連続吐出された食材を分割成形する過程を示す説明図である。
【図14】成形品Hに関する斜視図、横断面図及び縦断面図である。
【図15】外ノズル用口金部材の口径形状に関する外観図である。
【図16】ドーナツ状成形品に関する外観斜視図である、
【図17】別の実施形態に関する概略断面図である。
【図18】歯車アダプタに関する外観斜視図である。
【図19】さらに別の実施形態に関する概略断面図である。
【図20】成形品に関する斜視図及び断面図である。
【図21】さらに別の実施形態に関する概略断面図である。
【図22】撹拌部材に関する外観斜視図である。
【図23】歯車アダプタに関する外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明に係る実施形態に関する正面図である。食品成形装置1は、食材を供給する供給部2、供給された食材をノズルより連続吐出する吐出部3、連続吐出された食材をドーナツ状に分割成形する成形部4、ドーナツ状に成形された成形品を搬送するベルトコンベヤ5、及び、成形品を支持する支持部6を備えている。
【0016】
供給部2は、2種類の食材F及びGを供給し、一方の食材Fを外皮材とし他方の食材Gを内材として吐出部3に圧送する。この例では、食材Fとして、パン生地、イーストドーナツ生地、中華饅頭生地等の発酵食品生地が用いられる。ホッパ20から送入された内材である食材Gはベーンポンプ21により供給管路27に圧送され、ホッパ22から送入された外皮材である食材Fはベーンポンプ23により供給管路27に圧送される。食材Fは、ホッパ24からも送入され、ポンプ25により送給管26を介して供給管路27に圧送される。
【0017】
送給管26及び供給管路27の内部には、外皮材となる食材Fの流通路に後述する撹拌部材が配置されており、撹拌部材を流通路内で移動させることで食材を撹拌してグルテンを強化するようになっている。
【0018】
吐出部3は、供給管路27の下方に接続されており、供給管路27から圧送された外皮材F及び内材Gがノズル部材から下方に向かって吐出される。
【0019】
成形部4は、切断部材として吐出部3の周囲に配列された複数のシャッタ片40を備えており、ノズル部材から連続吐出される筒状成形体を複数のシャッタ片40を動作させてドーナツ状に分割成形する。
【0020】
ベルトコンベヤ5は、成形部4の下方に設置されており、搬送ベルト50が駆動ローラ51により搬送駆動される。搬送ベルト50上には分割成形されたドーナツ状食品が載置されて左方向に搬送し、次の工程に搬出する。
【0021】
支持部6は、搬送ベルト50の下面に密着して配置された支持部材60、支持部材60を保持する支持ロッド61及び支持ロッド61を上下動する駆動バー62を備えており、駆動モータ(図示せず)により駆動バー62を回動することで支持部材60が上下動する。支持部材60の上下動により搬送ベルト50が持ち上げられて成形部4の下面に近接した位置まで上昇するようになる。
【0022】
ノズル開閉部7は、後述する環状吐出口を開閉するためもので、内ノズル用口金部材が取り付けられた内筒部材70を上下動させて環状吐出口を開閉する。内筒部材70を上下動させる駆動機構(図示せず)としては、エアシリンダ、偏心カムを用いた回転駆動機構等の上下動させる駆動機構が用いられる。
【0023】
図2は、送給管26、供給管路27、吐出部3及び成形部4に関する概略断面図である。供給管路27は、内材Gを下方に向かって供給する内材供給管路271及び外皮材Fを下方に向かって供給する外皮材供給管路272を備えている。内材供給管路271及び外皮材供給管路272は、下方に向かって食材を案内するように形成され、下方に向かう管路部分において内材供給管路271を外皮材供給管路272により囲むように二重構造の管路に構成されている。
【0024】
内材供給管路271の内側には、送給管26が上下方向に沿って同軸状に配設されており、送給管26の外周には内筒部材70が密着して摺動可能に取り付けられている。内筒部材70の上端部は、供給管路27の上方に突出しており、駆動部材72に嵌合する係止部71がフランジ状に形成されている。そして、駆動部材72が図示せぬ駆動機構により上下動することで、内筒部材70が送給管26の外周面を摺動しながら上下動するようになる。
【0025】
この例では、外皮材供給管路272が外側の外皮材を供給する流通路となり、送給管26が内側の外皮材を供給する流通路となる。そして、外皮材を供給する外側及び内側の流通路には、それぞれ撹拌部材が設けられている。
【0026】
内側の外皮材の流通路である送給管26には、第一撹拌部材である棒状の撹拌部材80を備えた第一撹拌部が設けられている。図3は、撹拌部材80に関する外観斜視図であり、図4は、撹拌部材80に関する正面図である。撹拌部材80は、送給管26の中心に沿って配設された軸部材82の下端部に放射状に突設された取付部材81に固定されている。撹拌部材80は、図4に示すように、軸部材82の軸方向に対して螺旋を描くように傾斜した状態に設定されている。
【0027】
軸部材82の下端嵌合部83は、後述する内側成形部材33の取付部材34の上面に形成された凹部に回動可能に嵌め込まれて軸支される。また、軸部材82の上端部には、複数本の連結部材84を介して歯車アダプタ85に固定されている。図5は、図2のA−A断面図である。歯車アダプタ85はリング状に形成されており、送給管26と同心円状に配置されている。また、歯車アダプタ85の外周に形成された歯車が駆動モータ87により駆動される駆動歯車86と噛み合い、駆動モータ87の回転駆動により回動するようになっている。そして、軸部材82は、その中心軸が歯車アダプタ85の回動中心と一致するように固定されており、歯車アダプタ85の回動により軸部材82は中心軸を中心に回動するようになる。そのため、撹拌部材80は、軸部材82の回動に伴って軸部材82の周囲を回動するようになる。なお、この例では、撹拌部材80を固定する軸部材82、軸部材82を固定する歯車アダプタ85及び歯車アダプタ85を駆動する駆動モータ87等の駆動機構が第一撹拌部に相当する。
【0028】
送給管26内に供給された外皮材Fは、流通路となる軸部材82と送給管26との間を下方に向かって流通するようになる。その際に、図4に示すように、軸部材82を回動させることで、下方に向かって流通する外皮材を従来技術と同様に撹拌して外皮材Fのグルテンが強化されるようになる。
【0029】
外側の外皮材の流通路である外皮材供給管路272には、第二撹拌部材である棒状の撹拌部材90を備えた第二撹拌部が設けられている。撹拌部材90は、リング状の歯車アダプタ92の内側に取付部材91を介して固定されている。図6は、歯車アダプタ92に関する外観斜視図であり、図7は、図2のB−B断面図である。歯車アダプタ92は、外皮材供給管路272と同心円状に配置されており、歯車アダプタ92の外周に形成された歯車が駆動モータ94により駆動される駆動歯車93と噛み合い、駆動モータ94の回転駆動により回動するようになっている。そして、撹拌部材90は、歯車アダプタ92の回転軸に対して傾斜した状態に取り付けられており、歯車アダプタ92の回動によりその内周側を撹拌部材90が回動するようになる。そのため、撹拌部材90は、外皮材供給管路272内を下方に向かって流通する外皮材Fに対して撹拌部材80と同様に撹拌動作を行い、外皮材Fのグルテンを強化するようになる。
【0030】
吐出部3は、外ノズル用口金部材30、中間ノズル用口金部材31及び内ノズル用口金部材32を多重に配置したノズル部材を備えており、ノズル部材の内側(内ノズル用口金部材32の内側)には内側成形部材33を備えている。
【0031】
外ノズル用口金部材30は外皮材供給管路272の下端開口に取り付けられており、中間ノズル用口金部材31は内材供給管路271の下端開口に取り付けられており、内ノズル用口金部材32は内筒部材70の下端開口に取り付けられている。また、内側成形部材33は、送給管26の下端開口に複数本の連結棒35により連結固定された取付部材34に同軸に固定された棒状の成形体からなり、その下端部は、内ノズル用口金部材32の内側を通って下方に突出して支持部材60の上方に対向配置されている。
【0032】
そして、外ノズル用口金部材30、中間ノズル用口金部材31、内ノズル用口金部材32及び内側成形部材33は、同軸に配置されており、図8に示す分解斜視図のように、各口金部材は下端側が円形の開口に形成されて同心円状に配置され、その内側に円柱状の内側成形部材33が同心円状に配置されている。そのため、内側成形部材33及び各口金部材のそれぞれの間に環状吐出口が同心円状に形成されている。
【0033】
中間ノズル用口金部材31と内ノズル用口金部材32との間に形成された環状吐出口36は、内材供給管路271に連通して内材Gが吐出されるようになっている。また、外ノズル用口金部材30と中間ノズル用口金部材31との間に形成された環状吐出口37は、外皮材供給管路272に連通して外皮材Fが吐出するようになっており、内ノズル用口金部材32と内側成形部材33との間に形成された環状吐出口38は、送給管26に連通して外皮材Fが吐出するようになっている。
【0034】
内ノズル用口金部材32は、内筒部材70の上下動に連動して上下動するようなっており、内筒部材70が上昇した場合には、図2に示すように中間ノズル用口金部材31との間が開いて環状吐出口36が開口した状態となる。内筒部材70が下降した場合には、内ノズル用口金部材32の下端が中間ノズル用口金部材31の下端に当接して環状吐出口36は閉じた状態となる。したがって、内筒部材70を所定時間下降させて所定時間上昇させる上下動作を繰り返すことで、環状吐出口36を間欠的に開閉動作させることができる。そして、環状吐出口36が開くタイミングに合わせてベーンポンプ21を駆動して内材Gを内材供給管路271に圧送するように間欠駆動することで、内材Gを環状吐出口36から間欠的に吐出させることができる。環状吐出口36から内材Gを間欠吐出することで、リング状の内材が吐出されるようになる。
【0035】
また、内ノズル用口金部材32と内側成形部材33との間から連続吐出された外皮材Fは、内側成形部材33の外周面に向かって吐出されて外周面に沿うように密着して層状の内側外皮層f1が形成されていく。
【0036】
環状吐出口36からは間欠的に内材Gが吐出されてリング状の内材Rが所定間隔を置いて内側外皮層f1の周囲に密着するように吐出されていく。環状吐出口36を構成する中間ノズル用口金部材31の内周面が内方に向かって傾斜しているため、環状吐出口36から吐出される内材Gは内側外皮層f1に向かって吐出されるようになる。また、内ノズル用口金部材32の下端開口は外方に向かってわずかに湾曲するように形成されており、内ノズル用口金部材32の下端が中間ノズル用口金部材31に当接した際に確実に環状吐出口36を閉じることができる。なお、内ノズル用口金部材32の形状は、中間ノズル用口金部材31との間で確実に環状吐出口36を開閉できる形状であれば特に限定されない。
【0037】
外ノズル用口金部材30と中間ノズル用口金部材31との間から連続吐出された外皮材Fは、リング状の内材Rを覆うように層状に形成されて外側外皮層f2として吐出されていく。外ノズル用口金部材30は、中間ノズル用口金部材31と同様に内周面が内方に向かって傾斜するように形成されており、そのため吐出される外皮材Fは内側外皮層f1及びリング状の内材Rに向かって吐出されるようになる。
【0038】
こうして、内側成形部材33の周囲に、リング状の内材Rが内側外皮層f1及び外側外皮層f2の間に挟み込まれるように筒状に形成されて食材が連続吐出されていくようになる。
【0039】
なお、各口金部材の形状は、成形する食材の量や特性に応じて適宜変更すればよく、例えば各口金部材の間に形成される環状空間の幅を調整することで吐出量を調整することができる。
【0040】
図9は、成形部4におけるシャッタ片40の動作及びその駆動機構に関する平面図である。図9(a)は、6つのシャッタ片40が回転して開いた状態を示している。各シャッタ片40が取り付けられた各駆動軸41の上端部は、フレーム45の上面に回動可能に軸支されており、フレーム45内には、各駆動軸41の上部に円形のフランジ42がそれぞれ固定されている。そして、各フランジ42同士は、リンク43が枢着されて連結されており、1つのリンク43が延設されて駆動モータ(図示せず)の回転軸44に枢着されている。
【0041】
回転軸44が回転することで、リンク43が連関動作してフランジ42が同期して回動するようになる。図9(a)に示すように各シャッタ片40が開いた状態から、図9(b)に示すように回転軸44を時計回りに所定角度回転することで、各シャッタ片40が閉じる方向に回動して内側成形部材33の周面に当接した状態となる。したがって、回転軸44を所定角度往復回転させることで、各シャッタ片40が往復揺動して食材の分割成形動作を行なうようになる。
【0042】
図10から図13は、吐出部3から連続吐出された食材を分割成形する過程を示す説明図である。図10(a)から図13(a)は、各過程におけるシャッタ片の動作状態を示す平面図であり、図10(b)から図13(b)は、各過程における吐出部3及び成形部4の断面図である。外皮材Fは、外皮材供給路272及び送給管26を下方に向かって流通して、それぞれ撹拌部材80及び90の回動により撹拌された後吐出部3から吐出される。
【0043】
図10では、成形部4のシャッタ片40は開いた状態に設定されており、吐出部3からは間欠吐出されたリング状の内材Rを両側から挟むように連続吐出された内側外皮層f1及び外側外皮層f2により被覆した3層構造の筒状成形体が内側成形部材33に沿って下方に押し出されてくる。筒状成形体の下端は、前回のシャッタ片40によりリング状の内材Rの間の内側外皮層f1及び外側外皮層f2が密着した部分を切断することで、リング状の内材Rが露出することなく外皮材Fで被覆されている。
【0044】
内筒部材70は上方に移動することで内ノズル用口金部材32が上昇して環状吐出口36が開き、内材Gがリング状の内材Rとして間欠吐出されるとともに内側外皮層f1及び外側外皮層f2が連続吐出されてリング状の内材Rが等間隔で配列されて下方に延びていく。
【0045】
また、支持部材60が上昇して搬送ベルト50を持ち上げて落下する成形品を受け取るように準備する。
【0046】
図11では、筒状成形体の下端が内側成形部材33の所定位置まで垂れ下がったタイミングでシャッタ片40を閉じる方向に動作させて内側成形部材33の周面に当接させる。その際に、成形部4全体が下降しながらシャッタ片40が閉じる方向に移動し、最下端のリング状の内材Rとその上方のリング状の内材Rとの間の内側外皮層f1及び外側外皮層f2が密着した部分を押圧して切断するように作用する。したがって、リング状の内材Rが分割面に露出することはなく、分割された筒状成形体は外皮材Fにより内材G全体が確実に被覆されるように切断される。また、分割後の筒状成形体の分割面でもリング状の内材Rが外皮材Fに被覆されるようになる。
【0047】
また、内筒部材70が下方に移動して内ノズル用口金部材32が下降し、環状吐出口36を閉じることで内材Gが間欠吐出されてリング状の内材Rが内側外皮層f1の周囲に密着した状態となる。そして、リング状の内材Rの外周面には外側外皮層f2が覆うように密着した状態となり、リング状の内材Rが2つの外皮層の間に間隔を置いて安定した状態で保持されるようになる。
【0048】
図12では、シャッタ片40を内側成形部材33に当接した状態のまま成形部4をそのまま下降させる。シャッタ片40が内側成形部材33の外周面を摺接するように下方に移動するようになり、分割された筒状成形体を内側成形部材33から掻き落とすように落下させる。
【0049】
図13では、成形部4は、シャッタ片40を内側成形部材33の下端より下方に移動させてから開き、図10に示す位置に上昇して次の成形動作に備える。そして、シャッタ片40の下方移動により内側成形部材33から落下して分離した成形品Hは、搬送ベルト50上に受け取られた後支持部材60が下降し、搬送ベルト50に載置された状態で搬送されるようになる。
【0050】
この場合、シャッタ片40が内側成形部材33に当接した状態で摺動するので、成形品Hが型崩れすることなく内側成形部材33から分離することができる。また、下方から搬送ベルト50により成形品Hを支持しながら移動するので、型崩れすることなく成形品Hを搬送ベルト50に載置することが可能となる。
【0051】
図14は、成形品Hに関する斜視図(図14(a))、横断面図(図14(b))及び縦断面図(図14(c))である。成形品Hはドーナツ状に成形され、内部にはリング状の内材Gが内蔵されており、内材Gの全周にわたって外皮材Fが被覆している。
【0052】
成形品としては、パン生地、イーストドーナツ生地、中華饅頭生地等の発酵食品生地で内材を被覆した多種多様なドーナツ状食品が成形可能である。例えば、リング状の餡入りパン、リング状の餡入りドーナツ、リング状の餡や惣菜入り中華まんじゅうが挙げられる。内材としては、チョコクリーム、カスタードクリーム等のクリーム類やナッツ、惣菜等の粒状又は団塊状の食材を使用してもよい。
【0053】
また、外ノズル用口金部材30の口径形状を、図15に示すように、円形以外の形状にすることで様々な形状の成形品を製造することができる。図15(a)に示すように、ハート形の口金部材を用いると、図16(a)に示すように、ドーナツ状成形品の外形形状をハート形に成形することができる。また、図15(b)及び(c)に示すような花柄形状やギザギザ形状の口金部材を用いることで、図16(b)及び(c)に示すような外形形状に成形品に成形することができ、様々な外形形状に成形することが可能となる。
【0054】
図17は、別の実施形態に関する図2と同様の概略断面図である。この例では、第一撹拌部において、撹拌部材を歯車アダプタに直接取り付けるようにしている。そのため、送給管26に配置された軸部材が不要となる。なお、第一撹拌部以外の構成については、図2に示す実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
図2で説明した歯車アダプタ85と同様の歯車アダプタ85’の内側に撹拌部材80と同様の撹拌部材80’が取付部材81’を介して固定されている。また、歯車アダプタ85’の内側には、上部が円錐状に尖った形状の整流部材88が貫通するように配置されており、整流部材88は、下部において取付部材89を介して送給管26内に固定されている。そして、整流部材88の周囲を撹拌部材80’が回動するように設定されている。撹拌部材80’は、図18に示すように、歯車アダプタ85’の回転軸方向にほぼ沿って取り付けられており、歯車アダプタ85’の回動に伴いその内周側を撹拌部材80’が回動する。送給管26内を流通する外皮材Fは、整流部材88の外形形状に沿って下方に流通して撹拌部材80’の回動領域に流れ込む。その際に、撹拌部材80’は、外皮材Fに対して撹拌部材80と同様の撹拌動作を行って外皮材Fのグルテンを強化するようになる。
【0056】
また、取付部材34の上部には、上部が円錐状に尖った形状の整流部材39が取り付けられており、送給管26内を下方に向かって流通する外皮材Fを整流部材39の外形形状に沿って内側成形部材33の周囲に流通させるようにしている。
【0057】
図19は、さらに別の実施形態に関する図2と同様の概略断面図である。この例では、図2に示す内側成形部材33が取り外されて、代わりに整流部材39’が取り付けられ、内筒部材70の下端には別の内ノズル用口金部材32’が取り付けられている。なお、それ以外の構成については、図2に示す実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
そして、内ノズル用口金部材32’からは食材Kが吐出し、内ノズル用口金部材32’と中間ノズル用口金部材31との間に形成された環状吐出口からは食材Gが吐出し、中間ノズル用口金部材31と外ノズル用口金部材30との間に形成された環状吐出口からは食材Fが吐出される。そのため、吐出部3から3つの食材が層状に連続吐出されて3層の連続成形体が形成されるようになる。
【0059】
そして、図2に示す実施形態と同様に、成形部4においてシャッタ片40を開閉動作させて連続成形体を切断し分割成形することで食材Kを食材Gで被覆しさらにその外側から食材Fで被覆した3重構造の成形品H’を製造する。
【0060】
この例では、内側の食材K及び外側の食材Fに発酵食品生地を用いて成形品H’を製造することができるので、従来の食品とは異なる新規な食品を得ることが可能となる。例えば、食材K及び食材Fとしてパン生地を用いてその間に食材Gとして餡を封入した新規な食品を成形することができる。図20は、成形品H’に関する外観斜視図(図20(a))及び断面図(図20(b))である。内部に発酵食品生地を封入しているので、中央部分が盛り上がった食品に仕上げることができ、餡が食品全体に層状に拡がり、これまでの食品では得られなかった食感を味わうことができる。食材の組み合せとしては、多種多様な食材の組み合せが可能で、例えば、パン生地、餡又はクリーム及びクッキー生地の組み合せ、パン生地、餡及び中華饅頭生地の組み合せ、パン生地、餡及びドーナツ生地の組み合せ、ドーナツ生地、餡及びドーナツ生地の組み合せといったバラエティに富んだ新規な食品が得られる。
【0061】
図21は、さらに別の実施形態に関する図2と同様の概略断面図である。この例では、第一撹拌部及び第二撹拌部の撹拌部材がスライス刃に形成されている。それ以外の構成は、図2と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
第一撹拌部の撹拌部材800は、図22に示すように、細幅の板状に形成されており、軸部材82の下端部に棒状の撹拌部材80と同様に傾斜した状態で取り付けられている。また、第二撹拌部の撹拌部材900は、図23に示すように、細幅の板状に形成されており、歯車アダプタ92の内側に棒状の撹拌部材90と同様に傾斜した状態で取り付けられている。
【0063】
この例では、層状構造が形成しやすい柔らかい生地の中にマーガリンチップTが練り込まれた練パイ生地Lが外皮材として送給管26及び外皮材供給管路272に供給される。練パイ生地Lが撹拌部材800及び900の回動領域を通過する際に内部に含まれるマーガリンチップTが撹拌部材によりスライスされるように切断されていくようになる。そのため、スライスされたマーガリンを含む練パイ生地からなる外皮材により内材Gを被覆したドーナツ状食品を成形することができる。
【0064】
なお、第一撹拌部は、図17と同様に撹拌部材800を上方に配置するように構成してもよい。
【0065】
また、図19と同様に、内側成形部材33を取り外して3重構造の成形品を形成することもできる。この場合には、撹拌部材800を棒状の撹拌部材80に代えて送給管26に発酵食品生地を供給すれば、発酵食品生地及び練パイ生地を組み合せたこれまでにない食品を得ることができる。
【0066】
以上説明した例では、撹拌部材を回転軸に対して傾斜した状態に設定しているが、撹拌する食材によっては回転軸に沿うように設定してもよく、食材に応じて適宜設定すればよい。そして、発酵食品生地以外の撹拌が不要な食材を用いる場合には、撹拌部材の回動動作を停止した状態で成形動作を行えばよく、例えば、ケーキドーナツ、リング状クッキー、リング状コロッケ、リング状ハンバーグといった多様な食材を成形することも可能となる。
【0067】
また、内側成形部材の形状を円柱状に形成しているが、シャッタ片40の開閉領域の形状や枚数に応じて多角柱に形成するようにしてもよい。
【0068】
また、成形部4では、切断部材として6枚のシャッタ片40を用いているが、シャッタ片の枚数は特に限定されることはなく、4枚のシャッタ片をもちいるようにしてもよい。シャッタ片の内側成形部材に当接する面は、切断する食材の特性に応じて丸みを帯びた曲面状や平面状に形成したものを選択して用いればよい。
【0069】
シャッタ駆動手段については、駆動軸を中心に各シャッタ片が往復揺動することにより切断動作する駆動機構を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、シャッタ片を直線運動しながら揺動又は摺動することにより切断動作する駆動機構を用いることもできる。こうしたシャッタ機構以外にも内側成形部材の周囲に形成された筒状成形体を切断できるものであれば採用することができる。例えば、絞り機構を内側成形部材の周囲に設けて筒状に連続吐出された食材を絞って切断してずり落とすようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 成形装置
2 供給部
3 吐出部
4 成形部
5 ベルトコンベヤ
6 支持部
80 撹拌部材
90 撹拌部材
800 撹拌部材
900 撹拌部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続吐出される食材を分割成形する食品成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、口径の異なる複数のノズルを同心円状に配置して、内ノズルから内材を連続して吐出し、外ノズルから外皮材を連続して吐出して内材を外皮材で被覆した棒状の食品生地に成形する食品成形装置が用いられている。例えば、特許文献1では、外筒と内筒との間の円環状空間に生地送り羽根を設け、内筒から内包材を吐出するとともに円環状空間から回転する羽根によって輸送されたパン生地を吐出して連続棒状体を成形吐出する装置が記載されている。また、特許文献2では、パン生地、イーストドーナツ生地、中華饅頭生地等の発酵食品生地を外皮材として用いる場合、その供給管路にリング状の回転ノズルギアを回転可能に配置し、その内周面に叩打部材を取り付けて回転させることで、発酵食品生地のグルテンの粘弾性結合組織の強化を図っている。
【0003】
また、特許文献3では、複数のノズルを同心円状に配置し、ノズルの内側に内側成形部材を設け、ノズルから内側成形部材の周囲に吐出される筒状成形体に対して前記切断部材を前記内側成形部材の外周面に当接するように移動させてリング状に分割成形するドーナツ状食品成形装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平4−43606号公報
【特許文献2】特開2001−333689号公報
【特許文献3】特許第4437843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1及び2に記載された成形装置では、パン生地等の外皮材に形成されるグルテンを強化するために、外皮材が通過する円環状空間に生地送り羽根や叩打部材を設けて回転させるようにしている。
【0006】
こうした外皮材及び内材の二重構造の連続棒状体の場合には、外側の外皮材について叩打部材により撹拌してグルテンの強化を図ることができるが、特許文献3に記載された成形装置のように、成形品の内側にも外皮材を吐出する場合には、内側の外皮材に対して外側の外皮材のようにグルテンの強化を図ることが難しい。
【0007】
外側の外皮材のみグルテンを強化した成形品は、焼いたり揚げたりして熱処理するとグルテンが強化されない内周部分が硬くなって、品質のよい食品に仕上げることができない。
【0008】
このように、パン生地、イーストドーナツ生地、中華饅頭生地等の発酵食品生地を内側及び外側に用いて多層食品を成形する場合、従来の食品成形装置では内側の生地を撹拌することが困難であった。また、発酵食品生地以外にも練パイ生地のように生地を撹拌して層状構造することが必要な生地の場合でも内側の生地に対する撹拌が困難であった。
【0009】
そこで、本発明は、内側の食材に対しても外側の食材と同様に撹拌動作を行うことが可能な食品成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る食品成形装置は、複数の食材を供給する供給部と、複数のノズルを多重に配置して供給された前記食材を各ノズルから下方に向けて吐出するノズル部材を有するとともに内側の前記食材の周囲を外側の前記食材で被覆するように連続成形して吐出する吐出部と、内側の前記食材の流通路に配置された第一撹拌部材を有するとともに当該第一撹拌部材を移動させて流通する前記食材を撹拌する第一撹拌部と、外側の前記食材の流通路に配置された第二撹拌部材を有するとともに当該第二撹拌部材を移動させて流通する前記食材を撹拌する第二撹拌部と、前記吐出部の下方に配置されて前記吐出部から吐出される連続成形体を囲むように配設された切断部材を有するとともに当該切断部材を移動させて連続成形体を切断して分割成形する成形部とを備えていることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る別の食品成形装置は、内材及び外皮材を供給する供給部と、複数のノズルを多重に配置して供給された前記内材及び前記外皮材を下方に向けて吐出するノズル部材及び当該ノズル部材の内側に配置されて下方に向けて突出する内側成形部材を有するとともに内側成形部材及び各ノズルのそれぞれの間に形成された複数の環状吐出口より前記内材を内側及び外側から前記外皮材で挟み込むようにして筒状に成形して吐出する吐出部と、内側の前記外皮材の流通路に配置された第一撹拌部材を有するとともに当該第一撹拌部材を移動させて流通する前記外皮材を撹拌する第一撹拌部と、外側の前記外皮材の流通路に配置された第二撹拌部材を有するとともに当該第二撹拌部材を移動させて流通する前記外皮材を撹拌する第二撹拌部と、前記内材を吐出する前記環状吐出口を開閉して前記内材を間隔を置いてリング状に間欠吐出させる開閉部と、前記吐出部の下方に配置されて前記内側成形部材を囲むように配設された切断部材を有するとともに前記吐出部から吐出される筒状成形体におけるリング状の前記内材の間に対して前記切断部材を前記内側成形部材の外周面に当接するように移動させ前記外皮材を切断してリング状に分割成形する成形部とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記のような構成を有することで、複数の食材により内側の食材の周囲を外側の食材で被覆するように多層構造で連続成形する場合に、内側及び外側の食材をそれぞれ第一撹拌部及び第二撹拌部でそれぞれ同じように撹拌することができるので、内側及び外側の食材が同様の品質を有する食品を成形することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施形態に関する正面図である。
【図2】図1の供給管路、吐出部及び成形部に関する正面から見た概略断面図である。
【図3】内側の第一撹拌部材に関する外観斜視図である。
【図4】内側の第一撹拌部材に関する正面図である。
【図5】図2のA−A断面図である。
【図6】歯車アダプタに関する外観斜視図である。
【図7】図2のB−B断面図である。
【図8】吐出部に関する分解斜視図である。
【図9】成形部におけるシャッタ片の動作及びその駆動機構に関する平面図である。
【図10】吐出部から連続吐出された食材を分割成形する過程を示す説明図である。
【図11】吐出部から連続吐出された食材を分割成形する過程を示す説明図である。
【図12】吐出部から連続吐出された食材を分割成形する過程を示す説明図である。
【図13】吐出部から連続吐出された食材を分割成形する過程を示す説明図である。
【図14】成形品Hに関する斜視図、横断面図及び縦断面図である。
【図15】外ノズル用口金部材の口径形状に関する外観図である。
【図16】ドーナツ状成形品に関する外観斜視図である、
【図17】別の実施形態に関する概略断面図である。
【図18】歯車アダプタに関する外観斜視図である。
【図19】さらに別の実施形態に関する概略断面図である。
【図20】成形品に関する斜視図及び断面図である。
【図21】さらに別の実施形態に関する概略断面図である。
【図22】撹拌部材に関する外観斜視図である。
【図23】歯車アダプタに関する外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は、本発明に係る実施形態に関する正面図である。食品成形装置1は、食材を供給する供給部2、供給された食材をノズルより連続吐出する吐出部3、連続吐出された食材をドーナツ状に分割成形する成形部4、ドーナツ状に成形された成形品を搬送するベルトコンベヤ5、及び、成形品を支持する支持部6を備えている。
【0016】
供給部2は、2種類の食材F及びGを供給し、一方の食材Fを外皮材とし他方の食材Gを内材として吐出部3に圧送する。この例では、食材Fとして、パン生地、イーストドーナツ生地、中華饅頭生地等の発酵食品生地が用いられる。ホッパ20から送入された内材である食材Gはベーンポンプ21により供給管路27に圧送され、ホッパ22から送入された外皮材である食材Fはベーンポンプ23により供給管路27に圧送される。食材Fは、ホッパ24からも送入され、ポンプ25により送給管26を介して供給管路27に圧送される。
【0017】
送給管26及び供給管路27の内部には、外皮材となる食材Fの流通路に後述する撹拌部材が配置されており、撹拌部材を流通路内で移動させることで食材を撹拌してグルテンを強化するようになっている。
【0018】
吐出部3は、供給管路27の下方に接続されており、供給管路27から圧送された外皮材F及び内材Gがノズル部材から下方に向かって吐出される。
【0019】
成形部4は、切断部材として吐出部3の周囲に配列された複数のシャッタ片40を備えており、ノズル部材から連続吐出される筒状成形体を複数のシャッタ片40を動作させてドーナツ状に分割成形する。
【0020】
ベルトコンベヤ5は、成形部4の下方に設置されており、搬送ベルト50が駆動ローラ51により搬送駆動される。搬送ベルト50上には分割成形されたドーナツ状食品が載置されて左方向に搬送し、次の工程に搬出する。
【0021】
支持部6は、搬送ベルト50の下面に密着して配置された支持部材60、支持部材60を保持する支持ロッド61及び支持ロッド61を上下動する駆動バー62を備えており、駆動モータ(図示せず)により駆動バー62を回動することで支持部材60が上下動する。支持部材60の上下動により搬送ベルト50が持ち上げられて成形部4の下面に近接した位置まで上昇するようになる。
【0022】
ノズル開閉部7は、後述する環状吐出口を開閉するためもので、内ノズル用口金部材が取り付けられた内筒部材70を上下動させて環状吐出口を開閉する。内筒部材70を上下動させる駆動機構(図示せず)としては、エアシリンダ、偏心カムを用いた回転駆動機構等の上下動させる駆動機構が用いられる。
【0023】
図2は、送給管26、供給管路27、吐出部3及び成形部4に関する概略断面図である。供給管路27は、内材Gを下方に向かって供給する内材供給管路271及び外皮材Fを下方に向かって供給する外皮材供給管路272を備えている。内材供給管路271及び外皮材供給管路272は、下方に向かって食材を案内するように形成され、下方に向かう管路部分において内材供給管路271を外皮材供給管路272により囲むように二重構造の管路に構成されている。
【0024】
内材供給管路271の内側には、送給管26が上下方向に沿って同軸状に配設されており、送給管26の外周には内筒部材70が密着して摺動可能に取り付けられている。内筒部材70の上端部は、供給管路27の上方に突出しており、駆動部材72に嵌合する係止部71がフランジ状に形成されている。そして、駆動部材72が図示せぬ駆動機構により上下動することで、内筒部材70が送給管26の外周面を摺動しながら上下動するようになる。
【0025】
この例では、外皮材供給管路272が外側の外皮材を供給する流通路となり、送給管26が内側の外皮材を供給する流通路となる。そして、外皮材を供給する外側及び内側の流通路には、それぞれ撹拌部材が設けられている。
【0026】
内側の外皮材の流通路である送給管26には、第一撹拌部材である棒状の撹拌部材80を備えた第一撹拌部が設けられている。図3は、撹拌部材80に関する外観斜視図であり、図4は、撹拌部材80に関する正面図である。撹拌部材80は、送給管26の中心に沿って配設された軸部材82の下端部に放射状に突設された取付部材81に固定されている。撹拌部材80は、図4に示すように、軸部材82の軸方向に対して螺旋を描くように傾斜した状態に設定されている。
【0027】
軸部材82の下端嵌合部83は、後述する内側成形部材33の取付部材34の上面に形成された凹部に回動可能に嵌め込まれて軸支される。また、軸部材82の上端部には、複数本の連結部材84を介して歯車アダプタ85に固定されている。図5は、図2のA−A断面図である。歯車アダプタ85はリング状に形成されており、送給管26と同心円状に配置されている。また、歯車アダプタ85の外周に形成された歯車が駆動モータ87により駆動される駆動歯車86と噛み合い、駆動モータ87の回転駆動により回動するようになっている。そして、軸部材82は、その中心軸が歯車アダプタ85の回動中心と一致するように固定されており、歯車アダプタ85の回動により軸部材82は中心軸を中心に回動するようになる。そのため、撹拌部材80は、軸部材82の回動に伴って軸部材82の周囲を回動するようになる。なお、この例では、撹拌部材80を固定する軸部材82、軸部材82を固定する歯車アダプタ85及び歯車アダプタ85を駆動する駆動モータ87等の駆動機構が第一撹拌部に相当する。
【0028】
送給管26内に供給された外皮材Fは、流通路となる軸部材82と送給管26との間を下方に向かって流通するようになる。その際に、図4に示すように、軸部材82を回動させることで、下方に向かって流通する外皮材を従来技術と同様に撹拌して外皮材Fのグルテンが強化されるようになる。
【0029】
外側の外皮材の流通路である外皮材供給管路272には、第二撹拌部材である棒状の撹拌部材90を備えた第二撹拌部が設けられている。撹拌部材90は、リング状の歯車アダプタ92の内側に取付部材91を介して固定されている。図6は、歯車アダプタ92に関する外観斜視図であり、図7は、図2のB−B断面図である。歯車アダプタ92は、外皮材供給管路272と同心円状に配置されており、歯車アダプタ92の外周に形成された歯車が駆動モータ94により駆動される駆動歯車93と噛み合い、駆動モータ94の回転駆動により回動するようになっている。そして、撹拌部材90は、歯車アダプタ92の回転軸に対して傾斜した状態に取り付けられており、歯車アダプタ92の回動によりその内周側を撹拌部材90が回動するようになる。そのため、撹拌部材90は、外皮材供給管路272内を下方に向かって流通する外皮材Fに対して撹拌部材80と同様に撹拌動作を行い、外皮材Fのグルテンを強化するようになる。
【0030】
吐出部3は、外ノズル用口金部材30、中間ノズル用口金部材31及び内ノズル用口金部材32を多重に配置したノズル部材を備えており、ノズル部材の内側(内ノズル用口金部材32の内側)には内側成形部材33を備えている。
【0031】
外ノズル用口金部材30は外皮材供給管路272の下端開口に取り付けられており、中間ノズル用口金部材31は内材供給管路271の下端開口に取り付けられており、内ノズル用口金部材32は内筒部材70の下端開口に取り付けられている。また、内側成形部材33は、送給管26の下端開口に複数本の連結棒35により連結固定された取付部材34に同軸に固定された棒状の成形体からなり、その下端部は、内ノズル用口金部材32の内側を通って下方に突出して支持部材60の上方に対向配置されている。
【0032】
そして、外ノズル用口金部材30、中間ノズル用口金部材31、内ノズル用口金部材32及び内側成形部材33は、同軸に配置されており、図8に示す分解斜視図のように、各口金部材は下端側が円形の開口に形成されて同心円状に配置され、その内側に円柱状の内側成形部材33が同心円状に配置されている。そのため、内側成形部材33及び各口金部材のそれぞれの間に環状吐出口が同心円状に形成されている。
【0033】
中間ノズル用口金部材31と内ノズル用口金部材32との間に形成された環状吐出口36は、内材供給管路271に連通して内材Gが吐出されるようになっている。また、外ノズル用口金部材30と中間ノズル用口金部材31との間に形成された環状吐出口37は、外皮材供給管路272に連通して外皮材Fが吐出するようになっており、内ノズル用口金部材32と内側成形部材33との間に形成された環状吐出口38は、送給管26に連通して外皮材Fが吐出するようになっている。
【0034】
内ノズル用口金部材32は、内筒部材70の上下動に連動して上下動するようなっており、内筒部材70が上昇した場合には、図2に示すように中間ノズル用口金部材31との間が開いて環状吐出口36が開口した状態となる。内筒部材70が下降した場合には、内ノズル用口金部材32の下端が中間ノズル用口金部材31の下端に当接して環状吐出口36は閉じた状態となる。したがって、内筒部材70を所定時間下降させて所定時間上昇させる上下動作を繰り返すことで、環状吐出口36を間欠的に開閉動作させることができる。そして、環状吐出口36が開くタイミングに合わせてベーンポンプ21を駆動して内材Gを内材供給管路271に圧送するように間欠駆動することで、内材Gを環状吐出口36から間欠的に吐出させることができる。環状吐出口36から内材Gを間欠吐出することで、リング状の内材が吐出されるようになる。
【0035】
また、内ノズル用口金部材32と内側成形部材33との間から連続吐出された外皮材Fは、内側成形部材33の外周面に向かって吐出されて外周面に沿うように密着して層状の内側外皮層f1が形成されていく。
【0036】
環状吐出口36からは間欠的に内材Gが吐出されてリング状の内材Rが所定間隔を置いて内側外皮層f1の周囲に密着するように吐出されていく。環状吐出口36を構成する中間ノズル用口金部材31の内周面が内方に向かって傾斜しているため、環状吐出口36から吐出される内材Gは内側外皮層f1に向かって吐出されるようになる。また、内ノズル用口金部材32の下端開口は外方に向かってわずかに湾曲するように形成されており、内ノズル用口金部材32の下端が中間ノズル用口金部材31に当接した際に確実に環状吐出口36を閉じることができる。なお、内ノズル用口金部材32の形状は、中間ノズル用口金部材31との間で確実に環状吐出口36を開閉できる形状であれば特に限定されない。
【0037】
外ノズル用口金部材30と中間ノズル用口金部材31との間から連続吐出された外皮材Fは、リング状の内材Rを覆うように層状に形成されて外側外皮層f2として吐出されていく。外ノズル用口金部材30は、中間ノズル用口金部材31と同様に内周面が内方に向かって傾斜するように形成されており、そのため吐出される外皮材Fは内側外皮層f1及びリング状の内材Rに向かって吐出されるようになる。
【0038】
こうして、内側成形部材33の周囲に、リング状の内材Rが内側外皮層f1及び外側外皮層f2の間に挟み込まれるように筒状に形成されて食材が連続吐出されていくようになる。
【0039】
なお、各口金部材の形状は、成形する食材の量や特性に応じて適宜変更すればよく、例えば各口金部材の間に形成される環状空間の幅を調整することで吐出量を調整することができる。
【0040】
図9は、成形部4におけるシャッタ片40の動作及びその駆動機構に関する平面図である。図9(a)は、6つのシャッタ片40が回転して開いた状態を示している。各シャッタ片40が取り付けられた各駆動軸41の上端部は、フレーム45の上面に回動可能に軸支されており、フレーム45内には、各駆動軸41の上部に円形のフランジ42がそれぞれ固定されている。そして、各フランジ42同士は、リンク43が枢着されて連結されており、1つのリンク43が延設されて駆動モータ(図示せず)の回転軸44に枢着されている。
【0041】
回転軸44が回転することで、リンク43が連関動作してフランジ42が同期して回動するようになる。図9(a)に示すように各シャッタ片40が開いた状態から、図9(b)に示すように回転軸44を時計回りに所定角度回転することで、各シャッタ片40が閉じる方向に回動して内側成形部材33の周面に当接した状態となる。したがって、回転軸44を所定角度往復回転させることで、各シャッタ片40が往復揺動して食材の分割成形動作を行なうようになる。
【0042】
図10から図13は、吐出部3から連続吐出された食材を分割成形する過程を示す説明図である。図10(a)から図13(a)は、各過程におけるシャッタ片の動作状態を示す平面図であり、図10(b)から図13(b)は、各過程における吐出部3及び成形部4の断面図である。外皮材Fは、外皮材供給路272及び送給管26を下方に向かって流通して、それぞれ撹拌部材80及び90の回動により撹拌された後吐出部3から吐出される。
【0043】
図10では、成形部4のシャッタ片40は開いた状態に設定されており、吐出部3からは間欠吐出されたリング状の内材Rを両側から挟むように連続吐出された内側外皮層f1及び外側外皮層f2により被覆した3層構造の筒状成形体が内側成形部材33に沿って下方に押し出されてくる。筒状成形体の下端は、前回のシャッタ片40によりリング状の内材Rの間の内側外皮層f1及び外側外皮層f2が密着した部分を切断することで、リング状の内材Rが露出することなく外皮材Fで被覆されている。
【0044】
内筒部材70は上方に移動することで内ノズル用口金部材32が上昇して環状吐出口36が開き、内材Gがリング状の内材Rとして間欠吐出されるとともに内側外皮層f1及び外側外皮層f2が連続吐出されてリング状の内材Rが等間隔で配列されて下方に延びていく。
【0045】
また、支持部材60が上昇して搬送ベルト50を持ち上げて落下する成形品を受け取るように準備する。
【0046】
図11では、筒状成形体の下端が内側成形部材33の所定位置まで垂れ下がったタイミングでシャッタ片40を閉じる方向に動作させて内側成形部材33の周面に当接させる。その際に、成形部4全体が下降しながらシャッタ片40が閉じる方向に移動し、最下端のリング状の内材Rとその上方のリング状の内材Rとの間の内側外皮層f1及び外側外皮層f2が密着した部分を押圧して切断するように作用する。したがって、リング状の内材Rが分割面に露出することはなく、分割された筒状成形体は外皮材Fにより内材G全体が確実に被覆されるように切断される。また、分割後の筒状成形体の分割面でもリング状の内材Rが外皮材Fに被覆されるようになる。
【0047】
また、内筒部材70が下方に移動して内ノズル用口金部材32が下降し、環状吐出口36を閉じることで内材Gが間欠吐出されてリング状の内材Rが内側外皮層f1の周囲に密着した状態となる。そして、リング状の内材Rの外周面には外側外皮層f2が覆うように密着した状態となり、リング状の内材Rが2つの外皮層の間に間隔を置いて安定した状態で保持されるようになる。
【0048】
図12では、シャッタ片40を内側成形部材33に当接した状態のまま成形部4をそのまま下降させる。シャッタ片40が内側成形部材33の外周面を摺接するように下方に移動するようになり、分割された筒状成形体を内側成形部材33から掻き落とすように落下させる。
【0049】
図13では、成形部4は、シャッタ片40を内側成形部材33の下端より下方に移動させてから開き、図10に示す位置に上昇して次の成形動作に備える。そして、シャッタ片40の下方移動により内側成形部材33から落下して分離した成形品Hは、搬送ベルト50上に受け取られた後支持部材60が下降し、搬送ベルト50に載置された状態で搬送されるようになる。
【0050】
この場合、シャッタ片40が内側成形部材33に当接した状態で摺動するので、成形品Hが型崩れすることなく内側成形部材33から分離することができる。また、下方から搬送ベルト50により成形品Hを支持しながら移動するので、型崩れすることなく成形品Hを搬送ベルト50に載置することが可能となる。
【0051】
図14は、成形品Hに関する斜視図(図14(a))、横断面図(図14(b))及び縦断面図(図14(c))である。成形品Hはドーナツ状に成形され、内部にはリング状の内材Gが内蔵されており、内材Gの全周にわたって外皮材Fが被覆している。
【0052】
成形品としては、パン生地、イーストドーナツ生地、中華饅頭生地等の発酵食品生地で内材を被覆した多種多様なドーナツ状食品が成形可能である。例えば、リング状の餡入りパン、リング状の餡入りドーナツ、リング状の餡や惣菜入り中華まんじゅうが挙げられる。内材としては、チョコクリーム、カスタードクリーム等のクリーム類やナッツ、惣菜等の粒状又は団塊状の食材を使用してもよい。
【0053】
また、外ノズル用口金部材30の口径形状を、図15に示すように、円形以外の形状にすることで様々な形状の成形品を製造することができる。図15(a)に示すように、ハート形の口金部材を用いると、図16(a)に示すように、ドーナツ状成形品の外形形状をハート形に成形することができる。また、図15(b)及び(c)に示すような花柄形状やギザギザ形状の口金部材を用いることで、図16(b)及び(c)に示すような外形形状に成形品に成形することができ、様々な外形形状に成形することが可能となる。
【0054】
図17は、別の実施形態に関する図2と同様の概略断面図である。この例では、第一撹拌部において、撹拌部材を歯車アダプタに直接取り付けるようにしている。そのため、送給管26に配置された軸部材が不要となる。なお、第一撹拌部以外の構成については、図2に示す実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0055】
図2で説明した歯車アダプタ85と同様の歯車アダプタ85’の内側に撹拌部材80と同様の撹拌部材80’が取付部材81’を介して固定されている。また、歯車アダプタ85’の内側には、上部が円錐状に尖った形状の整流部材88が貫通するように配置されており、整流部材88は、下部において取付部材89を介して送給管26内に固定されている。そして、整流部材88の周囲を撹拌部材80’が回動するように設定されている。撹拌部材80’は、図18に示すように、歯車アダプタ85’の回転軸方向にほぼ沿って取り付けられており、歯車アダプタ85’の回動に伴いその内周側を撹拌部材80’が回動する。送給管26内を流通する外皮材Fは、整流部材88の外形形状に沿って下方に流通して撹拌部材80’の回動領域に流れ込む。その際に、撹拌部材80’は、外皮材Fに対して撹拌部材80と同様の撹拌動作を行って外皮材Fのグルテンを強化するようになる。
【0056】
また、取付部材34の上部には、上部が円錐状に尖った形状の整流部材39が取り付けられており、送給管26内を下方に向かって流通する外皮材Fを整流部材39の外形形状に沿って内側成形部材33の周囲に流通させるようにしている。
【0057】
図19は、さらに別の実施形態に関する図2と同様の概略断面図である。この例では、図2に示す内側成形部材33が取り外されて、代わりに整流部材39’が取り付けられ、内筒部材70の下端には別の内ノズル用口金部材32’が取り付けられている。なお、それ以外の構成については、図2に示す実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0058】
そして、内ノズル用口金部材32’からは食材Kが吐出し、内ノズル用口金部材32’と中間ノズル用口金部材31との間に形成された環状吐出口からは食材Gが吐出し、中間ノズル用口金部材31と外ノズル用口金部材30との間に形成された環状吐出口からは食材Fが吐出される。そのため、吐出部3から3つの食材が層状に連続吐出されて3層の連続成形体が形成されるようになる。
【0059】
そして、図2に示す実施形態と同様に、成形部4においてシャッタ片40を開閉動作させて連続成形体を切断し分割成形することで食材Kを食材Gで被覆しさらにその外側から食材Fで被覆した3重構造の成形品H’を製造する。
【0060】
この例では、内側の食材K及び外側の食材Fに発酵食品生地を用いて成形品H’を製造することができるので、従来の食品とは異なる新規な食品を得ることが可能となる。例えば、食材K及び食材Fとしてパン生地を用いてその間に食材Gとして餡を封入した新規な食品を成形することができる。図20は、成形品H’に関する外観斜視図(図20(a))及び断面図(図20(b))である。内部に発酵食品生地を封入しているので、中央部分が盛り上がった食品に仕上げることができ、餡が食品全体に層状に拡がり、これまでの食品では得られなかった食感を味わうことができる。食材の組み合せとしては、多種多様な食材の組み合せが可能で、例えば、パン生地、餡又はクリーム及びクッキー生地の組み合せ、パン生地、餡及び中華饅頭生地の組み合せ、パン生地、餡及びドーナツ生地の組み合せ、ドーナツ生地、餡及びドーナツ生地の組み合せといったバラエティに富んだ新規な食品が得られる。
【0061】
図21は、さらに別の実施形態に関する図2と同様の概略断面図である。この例では、第一撹拌部及び第二撹拌部の撹拌部材がスライス刃に形成されている。それ以外の構成は、図2と同様であるので、説明を省略する。
【0062】
第一撹拌部の撹拌部材800は、図22に示すように、細幅の板状に形成されており、軸部材82の下端部に棒状の撹拌部材80と同様に傾斜した状態で取り付けられている。また、第二撹拌部の撹拌部材900は、図23に示すように、細幅の板状に形成されており、歯車アダプタ92の内側に棒状の撹拌部材90と同様に傾斜した状態で取り付けられている。
【0063】
この例では、層状構造が形成しやすい柔らかい生地の中にマーガリンチップTが練り込まれた練パイ生地Lが外皮材として送給管26及び外皮材供給管路272に供給される。練パイ生地Lが撹拌部材800及び900の回動領域を通過する際に内部に含まれるマーガリンチップTが撹拌部材によりスライスされるように切断されていくようになる。そのため、スライスされたマーガリンを含む練パイ生地からなる外皮材により内材Gを被覆したドーナツ状食品を成形することができる。
【0064】
なお、第一撹拌部は、図17と同様に撹拌部材800を上方に配置するように構成してもよい。
【0065】
また、図19と同様に、内側成形部材33を取り外して3重構造の成形品を形成することもできる。この場合には、撹拌部材800を棒状の撹拌部材80に代えて送給管26に発酵食品生地を供給すれば、発酵食品生地及び練パイ生地を組み合せたこれまでにない食品を得ることができる。
【0066】
以上説明した例では、撹拌部材を回転軸に対して傾斜した状態に設定しているが、撹拌する食材によっては回転軸に沿うように設定してもよく、食材に応じて適宜設定すればよい。そして、発酵食品生地以外の撹拌が不要な食材を用いる場合には、撹拌部材の回動動作を停止した状態で成形動作を行えばよく、例えば、ケーキドーナツ、リング状クッキー、リング状コロッケ、リング状ハンバーグといった多様な食材を成形することも可能となる。
【0067】
また、内側成形部材の形状を円柱状に形成しているが、シャッタ片40の開閉領域の形状や枚数に応じて多角柱に形成するようにしてもよい。
【0068】
また、成形部4では、切断部材として6枚のシャッタ片40を用いているが、シャッタ片の枚数は特に限定されることはなく、4枚のシャッタ片をもちいるようにしてもよい。シャッタ片の内側成形部材に当接する面は、切断する食材の特性に応じて丸みを帯びた曲面状や平面状に形成したものを選択して用いればよい。
【0069】
シャッタ駆動手段については、駆動軸を中心に各シャッタ片が往復揺動することにより切断動作する駆動機構を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、シャッタ片を直線運動しながら揺動又は摺動することにより切断動作する駆動機構を用いることもできる。こうしたシャッタ機構以外にも内側成形部材の周囲に形成された筒状成形体を切断できるものであれば採用することができる。例えば、絞り機構を内側成形部材の周囲に設けて筒状に連続吐出された食材を絞って切断してずり落とすようにしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 成形装置
2 供給部
3 吐出部
4 成形部
5 ベルトコンベヤ
6 支持部
80 撹拌部材
90 撹拌部材
800 撹拌部材
900 撹拌部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の食材を供給する供給部と、複数のノズルを多重に配置して供給された前記食材を各ノズルから下方に向けて吐出するノズル部材を有するとともに内側の前記食材の周囲を外側の前記食材で被覆するように連続成形して吐出する吐出部と、内側の前記食材の流通路に配置された第一撹拌部材を有するとともに当該第一撹拌部材を移動させて流通する内側前記食材を撹拌する第一撹拌部と、外側の前記食材の流通路に配置された第二撹拌部材を有するとともに当該第二撹拌部材を移動させて流通する外側の前記食材を撹拌する第二撹拌部と、前記吐出部の下方に配置されて前記吐出部から吐出される連続成形体を囲むように配設された切断部材を有するとともに当該切断部材を移動させて連続成形体を切断して分割成形する成形部とを備えていることを特徴とする食品成形装置。
【請求項2】
内材及び外皮材を供給する供給部と、複数のノズルを多重に配置して供給された前記内材及び前記外皮材を下方に向けて吐出するノズル部材及び当該ノズル部材の内側に配置されて下方に向けて突出する内側成形部材を有するとともに内側成形部材及び各ノズルのそれぞれの間に形成された複数の環状吐出口より前記内材を内側及び外側から前記外皮材で挟み込むようにして筒状に成形して吐出する吐出部と、内側の前記外皮材の流通路に配置された第一撹拌部材を有するとともに当該第一撹拌部材を移動させて流通する前記外皮材を撹拌する第一撹拌部と、外側の前記外皮材の流通路に配置された第二撹拌部材を有するとともに当該第二撹拌部材を移動させて流通する前記外皮材を撹拌する第二撹拌部と、前記内材を吐出する前記環状吐出口を開閉して前記内材を間隔を置いてリング状に間欠吐出させる開閉部と、前記吐出部の下方に配置されて前記内側成形部材を囲むように配設された切断部材を有するとともに前記吐出部から吐出される筒状成形体におけるリング状の前記内材の間に対して前記切断部材を前記内側成形部材の外周面に当接するように移動させ前記外皮材を切断してリング状に分割成形する成形部とを備えていることを特徴とする食品成形装置。
【請求項1】
複数の食材を供給する供給部と、複数のノズルを多重に配置して供給された前記食材を各ノズルから下方に向けて吐出するノズル部材を有するとともに内側の前記食材の周囲を外側の前記食材で被覆するように連続成形して吐出する吐出部と、内側の前記食材の流通路に配置された第一撹拌部材を有するとともに当該第一撹拌部材を移動させて流通する内側前記食材を撹拌する第一撹拌部と、外側の前記食材の流通路に配置された第二撹拌部材を有するとともに当該第二撹拌部材を移動させて流通する外側の前記食材を撹拌する第二撹拌部と、前記吐出部の下方に配置されて前記吐出部から吐出される連続成形体を囲むように配設された切断部材を有するとともに当該切断部材を移動させて連続成形体を切断して分割成形する成形部とを備えていることを特徴とする食品成形装置。
【請求項2】
内材及び外皮材を供給する供給部と、複数のノズルを多重に配置して供給された前記内材及び前記外皮材を下方に向けて吐出するノズル部材及び当該ノズル部材の内側に配置されて下方に向けて突出する内側成形部材を有するとともに内側成形部材及び各ノズルのそれぞれの間に形成された複数の環状吐出口より前記内材を内側及び外側から前記外皮材で挟み込むようにして筒状に成形して吐出する吐出部と、内側の前記外皮材の流通路に配置された第一撹拌部材を有するとともに当該第一撹拌部材を移動させて流通する前記外皮材を撹拌する第一撹拌部と、外側の前記外皮材の流通路に配置された第二撹拌部材を有するとともに当該第二撹拌部材を移動させて流通する前記外皮材を撹拌する第二撹拌部と、前記内材を吐出する前記環状吐出口を開閉して前記内材を間隔を置いてリング状に間欠吐出させる開閉部と、前記吐出部の下方に配置されて前記内側成形部材を囲むように配設された切断部材を有するとともに前記吐出部から吐出される筒状成形体におけるリング状の前記内材の間に対して前記切断部材を前記内側成形部材の外周面に当接するように移動させ前記外皮材を切断してリング状に分割成形する成形部とを備えていることを特徴とする食品成形装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−5350(P2012−5350A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141152(P2010−141152)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【特許番号】特許第4650910号(P4650910)
【特許公報発行日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(390013941)株式会社コバード (30)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【特許番号】特許第4650910号(P4650910)
【特許公報発行日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(390013941)株式会社コバード (30)
【Fターム(参考)】
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