説明

食品生地成形装置および食品生地成形方法。

【課題】棒状に形成されている食品生地の各端面同士をお互いにつなげる食品生地成形装置において、つなぎ目が目立たないようにつなげることができるものを提供する。
【解決手段】棒状に形成されている食品生地W1の第1の端面W1Aと、棒状に形成されている食品生地W2の第2の端面W2Aとをお互いに接合するための食品生地成形装置1において、第1の端面W1Aと第2の端面W2Aとがお互いに対向するように食品生地W1、W2を変形させる変形対向手段3と、変形対向手段3によって対向した各端面W1A、W2Aをお互いに接合する接合手段5とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品生地成形装置および食品生地成形方法に係り、特に、棒状の食品生地の端面同士を接合するものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状のパン生地の一端部の近くの部位と、前記棒状のパン生地の他端部の近くの部位とを交差させて結び、パン生地をリング状に成形するパン生地の製造装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−55012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記従来の製造装置では、食品生地をつないだ箇所が交差した形態になってしまい。棒状の食品生地同士を、つなぎ目が目立たないようにつなげることができないという問題がある。
【0004】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、棒状に形成されている食品生地の各端面同士をお互いにつなげる食品生地成形装置および食品生地成形方法において、つなぎ目が目立たないようにつなげることができるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、棒状に形成されている食品生地の第1の端面と、棒状に形成されている食品生地の第2の端面とをお互いに接合するための食品生地成形装置において、前記第1の端面と前記第2の端面とがお互いに対向するように食品生地を変形させる変形対向手段と、前記変形対向手段によって対向した各端面をお互いに接合する接合手段とを有する食品生地成形装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の食品生地成形装置において、前記変形対向手段による変形前は、前記第1の端面から延伸している食品生地の第1の部位と、前記第2の端面から延伸している食品生地の第2の部位とは、お互いが所定の間隔をあけてほぼ平行に延びており、前記変形対向手段は、前記第1の部位のうちで前記第1の端面の近くに位置している部位と前記第2の部位のうちで前記第2の端面の近くに位置している部位とをお互いが離反するように変形させることによって、前記第1の端面と前記第2の端面とを斜めに傾斜させてから、前記第1の端面と前記第2の端面とをお互いに対向させる手段である食品生地成形装置である。
【0007】
請求項3に記載の発明は、棒状に形成されている第1の食品生地の一方の端面と、棒状に形成され前記第1の食品生地から離れて前記第1の食品生地と平行に延伸している第2の食品生地の一方の端面とをお互いに接合し、前記第1の食品生地の他方の端面と前記第2の食品生地の他方の端面とをお互いに接合してリング状の食品生地を形成する食品生地成形装置において、前記第1の食品生地の一方の端面と前記第2の食品生地の一方の端面とがお互いに対向するように前記各食品生地を変形させる第1の変形対向手段と、前記第1の変形対向手段によって対向した各端面をお互いに接合する第1の接合手段と、前記第1の食品生地の他方の端面と前記第2の食品生地の他方の端面とがお互いに対向するように前記各食品生地を変形させる第2の変形対向手段と、前記第2の変形対向手段によって対向した各端面をお互いに接合する第2の接合手段とを有する食品生地成形装置である。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の食品生地成形装置において、前記第1の変形対向手段は、前記第1の食品生地のうちで前記一方の端面の近くに位置している部位と前記第2の食品生地のうちで前記一方の端面の近くに位置している部位とをお互いが離反するように変形させることによって、前記第1の端面と前記第2の端面とを斜めに傾斜させてから、前記第1の食品生地の一方の端面と前記第2の食品生地の一方の端面とをお互いに対向させる手段であり、前記第2の変形対向手段は、前記第1の食品生地のうちで前記他方の端面の近くに位置している部位と前記第2の食品生地のうちで前記他方の端面の近くに位置している部位とをお互いが離反するように変形させることによって、前記第1の端面と前記第2の端面とを斜めに傾斜させてから、前記第1の食品生地の他方の端面と前記第2の食品生地の他方の端面とをお互いに対向させる手段である食品生地成形装置である。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の食品生地成形装置において、前記各食品生地をこれらの長手方向に搬送する第1の搬送手段と、第1の搬送手段で搬送されてきた各食品生地をこれらの長手方向に搬送する第2の搬送手段と、前記第1の変形対向手段と第1の接合手段とは、前記第1の搬送手段で搬送される各食品生地の一方の各端面をお互いに対向させて接合する手段であり、前記第2の変形対向手段と第2の接合手段とは、前記第2の搬送手段で搬送される前記各食品生地の他方の各端面をお互いに対向させて接合する手段である食品生地成形装置である。
【0010】
請求項6に記載の発明は、棒状に形成されている第1の食品生地の一方の端面と、棒状に形成され前記第1の食品生地から離れて前記第1の食品生地と平行に延伸している第2の食品生地の一方の端面とをお互いに接合するための食品生地成形装置において、ほぼ水平な平面状の上面を備え、この上面で前記各食品生地を載置する載置部材と、上下方向に延伸して所定のところに位置している第1の軸を中心にして、前記第1の食品生地から僅かに離れている第1の位置と、前記第1の食品生地のうちで前記一方の端面の近くに位置している一端部側の部位に接触して前記一端部側の部位を円弧状に曲げて変形させ前記第2の食品生地側に近づけ前記一方の端面が前記第2の食品生地側を向くようにする第2の位置との間を回動する第1の外側アームと、前記第1の軸を中心にして前記第1の外側アームに回動自在に設けられ、前記第1の食品生地から僅かに離れている第3の位置と、前記第1の食品生地の前記一端部側の部位に接触して前記一端部側の部位を前記第2の食品生地から離反させ、前記第1の位置に存在している前記第1の外側アームと協働して前記第1の食品生地を挟み前記第1の食品生地の一方の端面が前記第2の食品生地側を向くように前記第1の食品生地の一方の端面を斜めにする第4の位置との間を回動し、前記第1の位置に存在している前記第1の外側アームが前記第1の位置から前記第2の位置まで回動する際には、前記第1の外側アームと協働して前記食品生地を挟んだまま、前記第1の外側アームと共に前記第4の位置から前記第3の位置まで回動する第1の内側アームと、上下方向に延伸して所定のところに位置している第2の軸を中心にして、前記第2の食品生地から僅かに離れている第5の位置と、前記第2の食品生地のうちで前記一方の端面の近くに位置している一端部側の部位に接触して前記一端部側の部位を円弧状に曲げて変形させ前記第1の食品生地側に近づけ前記一方の端面が前記第1の食品生地側を向くようにする第6の位置との間を回動する第2の外側アームと、前記第2の軸を中心にして前記第2の外側アームに回動自在に設けられ、前記第2の食品生地から僅かに離れている第7の位置と、前記第2の食品生地の前記一端部側の部位に接触して前記一端部側の部位を前記第1の食品生地から離反させ、前記第5の位置に存在している前記第2の外側アームと協働して前記第2の食品生地を挟み前記第2の食品生地の一方の端面が前記第1の食品生地側を向くように前記第2の食品生地の一方の端面を斜めにする第8の位置との間を回動し、前記第5の位置に存在している前記第2の外側アームが前記第5の位置から前記第6の位置まで回動する際には、前記第2の外側アームと協働して前記食品生地を挟んだまま、前記第2の外側アームと共に前記第8の位置から前記第7の位置まで回動する第2の内側アームと、前記各食品生地の長手方向と直交する水平な方向で、前記第1の外側アームと前記第1の内側アームとに対して、前記第2の外側アームと前記第2の内側アームとを相対的に接近・離反させる接近・離反手段とを有する食品生地成形装置である。
【0011】
請求項7に記載の発明は、棒状に形成されている食品生地の第1の端面と、棒状に形成されている食品生地の第2の端面とをお互いに接合するための食品生地成形方法において、前記第1の端面と前記第2の端面とがお互いに対向するように食品生地を変形させる変形対向工程と、前記変形対向工程で対向した各端面をお互いに接合する接合工程とを有する食品生地成形方法である。
【0012】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の食品生地成形方法において、前記変形対向工程による変形前は、前記第1の端面から延伸している食品生地の第1の部位と、前記第2の端面から延伸している食品生地の第2の部位とは、お互いが所定の間隔をあけてほぼ平行に延びており、前記変形対向工程は、前記第1の部位のうちで前記第1の端面の近くに位置している部位と前記第2の部位のうちで前記第2の端面の近くに位置している部位とをお互いが離反するように変形することによって、前記第1の端面と前記第2の端面とを斜めに傾斜させてから、前記第1の端面と前記第2の端面とをお互いに対向させる工程である食品生地成形方法である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、棒状に形成されている食品生地の各端面同士をお互いにつなげる食品生地成形装置および食品生地成形方法において、つなぎ目が目立たないようにつなげることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る食品生地成形装置1の概略構成を示す正面図であり、図2は、図1におけるII矢視図であり、食品生地成形装置1の概略構成を示す平面図である。
【0015】
図3は、図1におけるIII矢視図であり、食品生地成形装置1の概略構成を示す側面図である。
【0016】
図4は、図1のIV部の拡大図であり、図5は、図4におけるV−V矢視図である。
【0017】
以下、説明の便宜のために、水平方向の一方向をX軸方向とし、水平方向の他の一方向であってX軸方向に垂直な方向をY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に垂直な方向(上下方向;鉛直方向)をZ軸方向という場合がある。
【0018】
食品生地成形装置1は、図2や図4に示すように、円柱状等の棒状に形成されているパン生地等の食品生地W1の長手方向における平面状の端面W1Aと、円柱状等の棒状に形成されている食品生地W2の長手方向における平面状の端面W2Aとをお互いに接合するための装置であり、変形対向手段3と接合手段5とを備えて構成されている。
【0019】
各端面W1A、W2Aは、たとえば、棒状の食品生地をこの食品生地の長手方向に対してほぼ直交している平面で切断して得られる面である。これらの端面W1A、W2Aは、切断したままであるので、食品生地自体が露出しており粘着性を備えている。食品生地W1、W2の長手方向の一方の端面W1A、W2A、および長手方向の他方の端面W1C、W2C以外の他の表面は、食品生地W1、W2のべとつきを防止するために小麦粉やコーンスターチ等のパウダーが塗布されている。食品生地W1、W2は、変形と流動とを伴う物質であるので、実際には重力の影響等を受けて形状が変化するが、本件明細書では、説明の便宜上、食品生地W1、W2の形状を「円柱状」等と表現する場合がある。
【0020】
変形対向手段3は、端面W1Aと端面W2Aとが、所定の距離をあけてほぼ平行に対向するように食品生地W1、W2を変形させるものである。また、各端面W1A、W2Aが対向した状態で各端面W1A、W2Aに直交する方向(Y軸方向)から見ると、各端面W1A、W2A同士はほぼ重なっている。
【0021】
接合手段5は、変形対向手段3によって対向した各端面W1A、W2Aをお互いに接近させて接合するものである。前記接合は、各端面W1A、W2Aをお互いに面接触させて、さらにこの接触面にほぼ直交する方向(Y軸方向)の力を加え押圧して行なわれるようになっている。
【0022】
図5を用いて説明すると、変形対向手段3によって、P1Aのところに位置している端面W1Aが、P1Bのところに位置するように食品生地W1が変形し、P2Aのところに位置している端面W2Aが、P2Bのところに位置するように食品生地W2が変形するようになっている。このときの各端面W1A、W2Aの間の距離はL1になっている。
【0023】
接合手段5によって、P1Bのところに位置している端面W1Aと、P2Bのところに位置している端面W2Aとがお互いに近づき、各端面W1A、W2Aが面接触してさらに押圧され、食品生地W1の端面W1Aと食品生地W2の端面W2Aとがお互いに接合されるようになっている。
【0024】
変形対向手段3による変形前は、端面W1Aから延伸している食品生地W1の部位W1Bと、端面W2Aから延伸している食品生地W2の部位W2Bとは、お互いが所定の間隔をあけてほぼ平行にX軸方向に延びている。なお、端面W1A(部位W1B)と端面W2A(部位W2B)とは、各食品生地W1、W2の部位W1B、W2Bの延伸方向(X軸方向)においてほぼ同じところに位置している。
【0025】
変形対向手段3は、食品生地W1の部位W1Bのうちで端面W1Aの近くに位置している部位と、食品生地W2の部位W2Bのうちで端面W2Aの近くに位置している部位とをお互いが離反するように曲げて変形させることによって、端面W1Aと端面W2Aとを斜めに傾斜させてから(図6(b)参照)、端面W1Aと端面W2Aとをお互いに対向させるものである。なお、前記斜めに傾斜している状態では、端面W1Aが端面W2A側を向き端面W2Aが端面W1A側を向いている。
【0026】
食品生地成形装置1についてより詳しく説明する。
【0027】
食品生地成形装置1は、前述したように棒状に形成されている食品生地W1の長手方向における一方の端面W1Aと、棒状に形成され食品生地W1から離れて食品生地W1と平行に延伸している食品生地W2の長手方向における一方の端面W2Aとをお互いに接合し、また、食品生地W1の長手方向の他方の端面(端面W1Aと同様な端面)W1Cと食品生地W2の長手方向の他方の端面(端面W2Aと同様な端面)W2Cとをお互いに接合してリング状の食品生地を形成する装置である。
【0028】
なお、当初、各食品生地W1、W2は、これらの延伸方向(X軸方向)においてほぼ同じところに位置している。したがって、食品生地W1の一方の端面W1Aと食品生地W2の一方の端面W2Aとは、前述したように、X軸方向においてほぼ同じところに位置している。他方の各端面W1C、W2Cについても同様である。
【0029】
各食品生地W1、W2の一方の端面W1A、W2Aは、変形対向手段3と同様な変形対向手段3Aと接合手段5と同様な接合手段5Aとによってお互いに接合され、各食品生地W1、W2の他方の端面W1C、W2Cも、変形対向手段3と同様な変形対向手段3Bと接合手段5と同様な接合手段5Bとによってお互いに接合されるようになっている。
【0030】
また、食品生地成形装置1は、各食品生地W1、W2をこれらの長手方向(X軸方向;図2の矢印AR1の方向)に搬送するベルトコンベヤ9のごとき搬送手段を備えている。ベルトコンベヤ9の下流側には、ベルトコンベヤ11のごとき別の搬送手段が設けられている。ベルトコンベヤ11は、ベルトコンベヤ9で搬送されてきた各食品生地W1、W2を受け取って、この受け取った各食品生地W1、W2を、これらの長手方向に搬送するものである。
【0031】
変形対向手段3Aと接合手段5Aとは、ベルトコンベヤ9で搬送される各食品生地W1、W2の下流側に位置している一方の各端面W1A、W2Aをお互いに対向させて接合するものである。変形対向手段3Bと接合手段5Bとは、変形対向手段3Aおよび接合手段5Aの下流側に配設されている。また、ベルトコンベヤ11で搬送される各食品生地W1、W2の上流側に位置している他方の各端面W1C、W2Cをお互いに対向させて接合するものである。
【0032】
また、食品生地成形装置1には、ベルトコンベヤ9で搬送されている各食品生地W1、W2の一方の各端面(搬送方向の下流側に位置している各端面)W1A、W2Bが所定の位置に達したことを検出する光電センサー13のごとき端面位置検出手段が設けられている。
【0033】
さらに、食品生地成形装置1には、ベルトコンベヤ11で搬送されている各食品生地W1、W2の他方の各端面(搬送方向の上流側に位置している各端面)W1C、W2Cが所定の位置に達したことを検出する光電センサー15のごとき端面位置検出手段が設けられている。
【0034】
そして、図示しない制御装置の制御の下、光電センサー13が食品生地W1、W2の一方の各端面W1A、W2Aを検出したときにベルトコンベヤ9による食品生地W1、W2の搬送を停止し、各食品生地W1、W2を所定の箇所に位置させて、変形対向手段3Aと接合手段5Aとで、各食品生地W1、W2の一方の各端面W1A、W2Aをお互いに対向させて接合するようになっている。
【0035】
変形対向手段3Aと接合手段5Aとによる各食品生地W1、W2の接合後、ベルトコンベヤ9とベルトコンベヤ11とで各食品生地W1、W2を搬送し、光電センサー15が食品生地W1、W2の他方の各端面W1C、W2Cを検出したときにベルトコンベヤ11による食品生地W1、W2の搬送を停止し、各食品生地W1、W2を所定の箇所に位置させて、変形対向手段3Bと接合手段5Bとで、各食品生地W1、W2の他方の各端面W1C、W2Cをお互いに対向させて接合するようになっている。
【0036】
これにより、当初、X軸方向に延びて平行に並んでいた各食品生地W1、W2から、リング状(「O」字状)の食品生地WRが成形される。
【0037】
ベルトコンベヤ9の上流側には、X軸方向に延びている食品生地を所定の長さ(たとえば図1や図2に示す長さL2)に切断するための切断装置(図示せず)や切断した各食品生地W1、W2をベルトコンベヤ9まで搬送する搬送装置(たとえば、図示しないベルトコンベヤ)が設けられている。ベルトコンベヤ11の下流側には、リング状に形成された食品生地WRを搬出するための搬送装置(たとえば、図示しないベルトコンベヤ)が設けられている。
【0038】
食品生地成形装置1についてさらに詳しく説明する。
【0039】
各食品生地W1、W2を載置するための載置部材として、各ベルトコンベヤ9、11の上側に位置している平ベルトにより、ほぼ水平な平面状の上面が形成されている。
【0040】
食品生地成形装置1では、図2に示すように、各食品生地W1、W2を1組1列として、3列R1、R2、R3で搬送し、同時に3つのリング状の食品生地WR1、WR2、WR3を成形するようになっているが、3つ以外の複数のリング状の食品生地を同時に成形可能な構成にしてもよいし、各食品生地W1、W2を1列R1で搬送し、一度に1つのリング状の食品生地WR1しか成形することができないようにしてもよい。
【0041】
また、以下、コンベヤ9の上に載置されている各食品生地のうちで図2の最も下側に位置している各食品生地(列R1の各食品生地)W1、W2を変形し接合する変形対向手段3Aと接合手段5Aについて説明するが、他の変形対向手段3(変形対向手段3B等)や接合手段5(接合手段5B等)も同様に構成されているものとする。
【0042】
変形対向手段3Aは、第1の外側アーム17と第1の内側アーム19と第2の外側アーム21と第2の内側アーム23とを備えて構成されている。また、接合手段5Aは、さらに、接近・離反手段25を備えて構成されている。
【0043】
第1の外側アーム17は、図4に示すように、ベルトコンベヤ9の上面と直交する方向である上下方向(Z軸方向)では、ベルトコンベヤ9上面の上方で前記上面から僅かに離れて存在しており、各食品生地W1、W2の長手方向(X軸方向)では、図5に示すように、一方の端面W1A(ベルトコンベヤ11)側に存在し、各食品生地W1、W2の長手方向と直交する水平な方向(Y軸方向)では、食品生地W1を間にして食品生地W2とは反対側に存在している。
【0044】
また、第1の外側アーム17は、上下方向に延伸して所定のところに位置している第1の軸CL3を中心にして、第1の位置PS1と第2の位置PS2との間を回動するようになっている。第1の位置PS1では、第1の外側アーム17が、食品生地W1から僅かに離れている。第1の外側アーム17を第2の位置PS2に向けて回動すると、第1の外側アーム17が、食品生地W1のうちで端面W1Aの近くに位置している一端部側の部位W1Bに接触し、さらに、一端部側の部位W1Bを押して、一端部側の部位W1Bを円弧状に曲げて変形させ食品生地W2側に近づけると共に、第1の外側アーム17が、第2の位置PS2に回動した際には、端面W1Aが食品生地W2側を向くようにする(端面W1AをP1Bに位置させる)。
【0045】
なお、食品生地W1に接する第1の外側アーム17の部位は、Z軸方向から眺めた場合、一例として、約1/4の円弧状に形成されている。
【0046】
第1の内側アーム19は、Z軸方向では、ベルトコンベヤ9上面の上方で前記上面から僅かに離れて存在しており、X軸方向では、端面W1A側に存在し、Y軸方向では、食品生地W1と食品生地W2との間で食品生地W1側に存在している。
【0047】
また、第1の内側アーム19は、第1の外側アーム17の回動中心軸CL3を中心にして第1の外側アーム17に回動自在に設けられており、第3の位置PS3と第4の位置PS4との間を回動するようになっている。
【0048】
第1の内側アーム19は、第3の位置PS3では、食品生地W1から僅かに離れている。第1の内側アーム19を第4の位置PS4に向けて回動すると、第1の内側アーム19は、食品生地W1の一端部側の部位W1Bに接触して第1の外側アーム17側に押して一端部側の部位W1Bを食品生地W2から離反させる。また、第4の位置PS4では、第1の位置PS1に存在している第1の外側アーム17と協働して食品生地W1(部位W1B)を挟み食品生地W1の端面W1Aが食品生地W2側を向くように食品生地W1の端面W1Aを斜めにする(図6(b)参照)。
【0049】
さらに、第1の内側アーム19が、第4の位置PS4に存在している場合において、第1の位置PS1に存在している第1の外側アーム17が第1の位置PS1から第2の位置PS2まで回動する際には、第1の外側アーム17と協働して食品生地W1を挟んだまま、第1の外側アーム17と共に第4の位置PS4から第3の位置PS3まで回動するようになっている。
【0050】
なお、第1の内側アーム19は、第1の外側アーム17に対して回動するようになっているので、第1の外側アーム17が、第2の位置PS2のところに位置している状態では、第1の内側アーム19は、第3の位置PS3と、回避位置PS3Aとの間を回動するようになっている。
【0051】
また、食品生地W1に接する第1の内側アーム19の部位は、Z軸方向から眺めた場合、第1の外側アーム17よりも短い円弧状もしくは直線状に形成されている。
【0052】
また、図5に示すように、第2の外側アーム21と第2の内側アーム23とは、中心面(中心線)CLAに対して、各々が第1の外側アーム17と第1の内側アーム19とに設けられており、対称に動作するようになっている。中心面CLAは、食品生地W1と食品生地W2との間の中央部で、X軸方向およびZ軸方向に展開している平面である。
【0053】
すなわち、第2の外側アーム21と第2の内側アーム23とは、第2の軸CL4に対して回動するようになっており、第2の外側アーム21は第5の位置PS5と第6の位置PS6との間を回動し、第2の内側アーム23は、第7の位置PS7を通過位置として第8の位置と退避位置PS7Aとの間を回動するようになっている。
【0054】
接近・離反手段25は、各食品生地W1、W2の長手方向と直交する水平な方向(Y軸方向)で、第1の外側アーム17と第1の内側アーム19とに対して、第2の外側アーム21と第2の内側アーム23とを相対的に接近・離反させるものである。すなわち、第1の軸CL3に対して第2の軸CL4をY軸方向で相対的に接近・離反させるものである。
【0055】
より詳しく説明すると、各食品生地W1、W2の一端部側の部位W1B、W2Bが円弧状に変形している場合において、接近・離反手段25により第1の外側アーム17と第1の内側アーム19とに対して、第2の外側アーム21と第2の内側アーム23とがお互いに離れている状態では、各食品生地W1、W2の一方の各端面W1A、W2B同士が、図5に示すように距離L1だけ離れている。接近・離反手段25により第1の外側アーム17と第1の内側アーム19とに対して、第2の外側アーム21と第2の内側アーム23とがお互いに近づいている状態では、各食品生地W1、W2の一方の各端面W1A、W2A同士が接触し押圧され、各端面W1A、W2A同士が接合される。
【0056】
そして、一方の各端面W1A、W2Aが接合された各食品生地W1、W2は、ベルトコンベヤ11の上面で搬送され、前述の通り他方の端面W1CとW2Cとが変形対向手段3Bと接合手段5Bとにより、お互いに対向され接合される。このようにして、2本の棒状の食品生地W1、W2からリング状の食品生地WRが成形される。
【0057】
なお、各アーム17、19、21、23は、上下方向(Z軸方向)で、移動自在になっている。各アーム17、19、21、23が下降端に位置している状態では、各アーム17、19、21、23が各食品生地(ベルトコンベヤ9、11に載置されている食品生地)W1、W2に接触して、各端面W1A、W2A同士および各端面W1C、W2C同士を対向させて接合させることができる。各アーム17、19、21、23が上昇端に位置している状態では、各アーム17、19、21、23は、各食品生地(ベルトコンベヤ9、11に載置されている食品生地)W1、W2から離れており、各アーム17、19、21、23とは干渉することなく、食品生地W1、W2をベルトコンベヤ9、11で搬送することができるようになっている。
【0058】
ところで、食品生地成形装置1は、基台27を備えている。基台27の上部には、ベルトコンベヤ9とベルトコンベヤ11とが設けられている。
【0059】
ベルトコンベヤ9、11は、ほぼ水平な平面状の上面に各食品生地W1、W2を載置し、モータ等のアクチュエータでベルトを駆動して、この載置した各食品生地W1、W2をこれらの食品生地W1、W2の長手方向(X軸方向)に搬送するようになっている。ベルトコンベヤ9の下流側における幅方向(Y軸方向)の両端部には、光電センサー13が設けられている。ベルトコンベヤ11の上流側における幅方向の両端部には、光電センサー15が設けられている。
【0060】
基台27の上下方向の中間部には、上下方向移動部材29が設けられている。上下方向移動部材29は、図示しないリニアガイドベアリングを介して基台27に支持されており、基台27に対してZ軸方向で移動自在になっている。また、上下方向移動部材29は、空気圧シリンダー等のアクチュエータにより上端部の位置もしくは下端部の位置で位置決めされるようになっている。さらに、上下方向移動部材29およびこれに設けられている幅方向移動部材31、33A、33B等の重量(前記空気圧シリンダーが支持する重量)を軽減するために、基台27と上下方向移動部材29との間には、引っ張りバネ等の弾性体(図示せず)が設けられており、上下方向移動部材29が上方向に引っ張られている。
【0061】
上下方向移動部材29の上側には、第1の幅方向移動部材31と第2の幅方向移動部材33A、33Bとが設けられている。第1の幅方向移動部材31は、リニアガイドベアリング35を介して上下方向移動部材29に支持されており、上下方向移動部材29に対してY軸方向で移動自在になっている。
【0062】
第2の幅方向移動部材33A、33Bも、リニアガイドベアリング37、39を介して上下方向移動部材29に支持されており、上下方向移動部材29に対してY軸方向で移動自在になっている。
【0063】
また、基台27の上側には、Z軸方向に延びた軸CL1を中心にして回転自在なピニオン41が設けられている。ピニオン41は、制御モータM1の出力軸に連動連結されており、制御モータM1の出力軸が正転もしくは逆転することによって、ピニオン41が軸CL1を中心にして正転もしくは逆転するようになっている。
【0064】
ピニオン41には、第2の幅方向移動部材33Aに一体的に設けられたラック45と、第1の幅方向移動部材31に一体的に設けられたラック47とが噛合している。なお、第2の幅方向移動部材33Aと第2の幅方向移動部材33Bとは、図示しない連結部材を介して一体的に形成されている。より具体的には、平面視において、第2の各幅方向移動部材33A、33Bは、「ロ」字状に形成されており、この「ロ」字状の第2の各幅方向移動部材33A、33Bの内側に、第1の幅方向移動部材31が設けられている。
【0065】
第1の幅方向移動部材31は、制御モータM1の出力軸を正転もしくは逆転することにより、Y軸方向で一端部側(図1の紙面の手前側)の位置もしくは他端部側(図1の紙面の奥側)の位置の間を移動し、前記一端部側の位置もしくは前記他端部側の位置で位置決めされるようになっている。
【0066】
第2の幅方向移動部材33A、33Bは、前述したようにラック41やピニオ47を介して第1の幅方向移動部材31に係合しているので、第1の幅方向移動部材31の移動に応じて、第1の幅方向移動部材31とは逆方向に移動し位置決めされるようになっている。
【0067】
第1の幅方向移動部材31が一端部(図1の紙面の手前側)に位置しているときには、第2の幅方向移動部材33A、33Bが図1の紙面の奥側に位置するようになっている。この状態は、接近・離反手段25が離反した状態を示している。そして、図5に示すように、並列に搬送される各食品生地W1、W2の間隔に対応していると共に、円弧状に曲げられた食品生地W1の部位W1Bの端面W1Aと、円弧状に曲げられた食品生地W2の部位W2Bの端面W2Aとが、距離L1をあけて対向するようになっている。
【0068】
一方、第1の幅方向移動部材31が他端部(図1の紙面の奥側)に位置しているときには、第2の幅方向移動部材33A、33Bが図1の紙面の手前に位置するようになっている。この状態は、接近・離反手段25が接近した状態を示している。そして、図5に示す円弧状に曲げられた食品生地W1の部位W1Bの端面W1Aと、円弧状に曲げられた食品生地W2の部位W2Bの端面W2Aとが接触して押圧されるようになっている(図6(d)参照)。
【0069】
なお、接近・離反手段25の接近した位置および離反した位置は、ピニオン41を回転駆動する制御モータM1の出力軸の回転位置を制御することにより、調整することが可能であり、各食品生地W1、W2の種々の間隔に対応することができると共に、各端面W1A、W2Aの接合面の押圧量を調整することができるものである。
【0070】
ベルトコンベヤ9、11や第1の幅方向移動部材31の上方には、ラック支持部材55が設けられている。ラック支持部材55は、リニアガイドベアリング53を介して第1の幅方向移動部材31に支持されており、第1の幅方向移動部材31に対してY軸方向で移動自在になっている。ラック支持部材55は、図示しない空気圧シリンダー等のアクチュエータにより、Y軸方向で一端部側(図1の紙面の手前側)の位置もしくは他端部側(図1の紙面の奥側)の位置の間を移動し、前記一端部側の位置もしくは前記他端部側の位置で位置決めされるようになっている。
【0071】
ラック支持部材55には、第1の外側アーム用ラック57が一体的に設けられている。したがって、第1の外側アーム用ラック57は、ベルトコンベヤ9の上側でベルトコンベヤ9から離れ、長手方向が第1の幅方向移動部材31の移動方向(Y軸方向)になるようにして、第1の幅方向移動部材31に対してY軸方向で移動自在に設けられていることになる。そして、一端部側(図1の紙面の手前側)の位置もしくは他端部側(図1の紙面の奥側)の位置で位置決めされるようになっている。
【0072】
ラック支持部材55の上方には、別のラック支持部材59が設けられている。ラック支持部材59は、リニアガイドベアリング61を介してラック支持部材55に支持されており、ラック支持部材55に対してY軸方向で移動自在になっている。ラック支持部材59は、図示しない空気圧シリンダー等のアクチュエータにより、Y軸方向で一端部側(図1の紙面の手前側)の位置もしくは他端部側(図1の紙面の奥側)の位置の間を移動し、前記一端部側の位置もしくは前記他端部側の位置で位置決めされるようになっている。
【0073】
ラック支持部材59には、第1の内側アーム用ラック63が一体的に設けられている。したがって、第1の内側アーム用ラック63は、ベルトコンベヤ9の上側でベルトコンベヤ9から離れ、長手方向がラック支持部材55の移動方向(Y軸方向)になるようにして、ラック支持部材55に対してY軸方向で移動自在に設けられていることになる。そして、一端部側(図1の紙面の手前側)の位置もしくは他端部側(図1の紙面の奥側)の位置で位置決めされるようになっている。
【0074】
同様にして、ラック支持部材65、ラック支持部材67が、第2の幅方向移動部材33Aに設けられている。ラック支持部材65には、第2の外側アーム用ラック69が一体的に設けられており、ラック支持部材67には、第2の内側アーム用ラック71が一体的に設けられている。
【0075】
第1の幅方向移動部材31とラック支持部材55との間(Z軸方向における間)であって、ベルトコンベヤ9の下流側には、円筒状のブラケット73が一体的に設けられており、ブラケット73には、円筒状の第1の外側アーム用軸部材75がベアリングを介して支持されている。そして、第1の外側アーム用軸部材75は、Z軸方向に延びた軸CL3を中心にしてブラケット73(第1の幅方向移動部材31)に対して回転自在になっている。また、第1の外側アーム用軸部材75は上下方向において、ベルトコンベヤ9の上側でベルトコンベヤ9から離れており、ブラケット73から突出している。
【0076】
第1の外側アーム用軸部材75の上部には、ピニオン77が一体的に設けられている。ピニオン77は、第1の外側アーム用ラック57と噛合している。そして、第1の外側アーム用ラック57の移動位置決めに伴い、一方の回動端と他方の回動端との間で回動位置決め自在になっている。
【0077】
第1の外側アーム用軸部材75の下部側には、第1の外側アーム17が一体的に設けられている。そして、第1の外側アーム用ラック57が図1の紙面の手前側に位置しているときには、第1の外側アーム17は一方の回転端に位置している。この一方の回転端では、第1の外側アーム17が、図5のPS1のところに位置するようになっている。一方、第1の外側アーム用ラック57が図1の紙面の奥側に位置しているときには、第1の外側アーム17は他方の回転端に位置している。この他方の回転端では、第1の外側アーム17が、図5のPS2のところに位置するようになっている。
【0078】
第1の外側アーム用軸部材75には、円柱状の第1の内側アーム用軸部材79がベアリングを介して支持されている。そして、第1の内側アーム用軸部材79は、軸CL3を中心にして第1の外側アーム用軸部材75に対して回転自在になっている。また、第1の内側アーム用軸部材79は上下方向において、ベルトコンベヤ9の上側でベルトコンベヤ9から離れており、第1の外側アーム用軸部材75から突出している。
【0079】
第1の内側アーム用軸部材79の上部には、ピニオン81が一体的に設けられている。ピニオン81は、第1の内側アーム用ラック63と噛合している。そして、第1の内側アーム用ラック63の移動位置決めに伴い、一方の回動端と他方の回動端との間で回動位置決め自在になっている。
【0080】
第1の内側アーム用軸部材79の下部側には、第1の内側アーム19が一体的に設けられている。そして、第1の内側アーム用ラック63が図1の紙面の奥側に位置しているときには、第1の内側アーム用軸部材79は一方の回転端に位置している。この一方の回転端では、第1の外側アーム用ラック57が図1の紙面の手前側に位置していることを条件にして、第1の内側アーム19が、図5のPS3のところに位置するようになっている。一方、第1の内側アーム用ラック63が図1の紙面の手前側に位置しているときには、第1の内側アーム用軸部材79は他方の回転端に位置している。この他方の回転端では、第1の外側アーム用ラック57が図1の紙面の手前側に位置していることを条件にして、第1の内側アーム19が、図5のPS4のところに位置するようになっている。
【0081】
第2の外側アーム用軸部材83、第2の外側アーム21、第2の内側アーム用軸部材85、第2の内側アーム23は、図5の中心面CLAに対してほぼ対象に設けられている。ただし、Z軸方向においては、ピニオン(第2の外側アーム用軸部材83に一体的に設けられているピニオン)87、ピニオン(第2の内側アーム用軸部材85に一体的に設けられているピニオン)89の位置が、ピニオン77、81とは異なっている。
【0082】
ピニオン87は、第2の外側アーム用ラック69に噛合している。ピニオン89は、第2の内側アーム用ラック71に噛合している。
【0083】
そして、第2の外側アーム用ラック69が図1の紙面の手前側に位置しているときには、第2の外側アーム用軸部材83は一方の回転端に位置している。この一方の回転端では、第2の外側アーム21が、図5のPS5のところに位置するようになっている。一方、第2の外側アーム用ラック69が図1の紙面の奥側に位置しているときには、第2の外側アーム用軸部材83は他方の回転端に位置している。この他方の回転端では、第2の外側アーム21が、図5のPS6のところに位置するようになっている。
【0084】
また、第2の内側アーム用ラック71が図1の紙面の奥側に位置しているときには、第2の内側アーム用軸部材85は一方の回転端に位置している。この一方の回転端では、第2の外側アーム用ラック69が図1の紙面の手前側に位置していることを条件にして、第2の内側アーム23が、図5のPS7のところに位置するようになっている。一方、第2の内側アーム用ラック71が図1の紙面の手前側に位置しているときには、第2の内側アーム用軸部材85は他方の回転端に位置している。この他方の回転端では、第2の外側アーム用ラック69が図1の紙面の手前側に位置していることを条件にして、第2の内側アーム23が、図5のPS8のところに位置するようになっている。
【0085】
同様にして、ベルトコンベヤ11の上方にも、幅方向移動部材33B、33等を介して、各外側アームや内側アーム等が設けられている。ベルトコンベヤ11の上方に設けられている各外側アームや内側アーム等は、各ベルトコンベヤ9、11の間でY軸方向とZ軸方向とに展開している中心面(中心線)CLBに対して対称に設けられている。
【0086】
また、食品生地成形装置1には、分離手段が設けられている。分離手段は、各アーム17、19、21、23に食品生地が貼り付いた場合、この貼り付いた食品生地を、各アーム17、19、21、23から分離するものである。
【0087】
分離手段は、たとえば、所定の幅を備えた円弧状で板状の部材91を備えて構成されている(図4参照)。円弧状の部材91は、リニアベアリング(図示せず)を介して第1の外側アーム17や第2の外側アーム21に支持され、図示しない空気圧シリンダー等のアクチュエータにより、Z軸方向で第1の外側アーム17や第2の外側アーム21に対して、移動自在になっている。そして、各アーム17、19、21、23が下降端に位置して各食品生地W1、W2を成形しているときには、部材91は上昇端に位置しており、各食品生地W1、W2には接触しないようになっている。
【0088】
一方、各食品生地W1、W2の成形が終わり、各アーム17、19、21、23が上昇するときには、部材91が下降して、各食品生地W1、W2に当接し、各食品生地W1、W2を下方に押して、各食品生地W1、W2を、各アーム17、19、21、23から離すようになっている。
【0089】
次に、食品生地成形装置1の動作について説明する。
【0090】
図6、図7は、食品生地成形装置1の動作を示す図である。
【0091】
まず、初期状態として、ベルトコンベヤ9の上流側に各食品生地W1、W2が載置されており、上下方向移動部材29は、上端に位置している(各アーム17、19、21、23が上昇している)。第1の幅方向移動部材31が図1の紙面の手前側に位置し、第2の幅方向移動部材33A、33Bが図1の紙面の奥側に位置している(各軸CL3、CL4は離れた状態になっている)。各外側アーム17、21は、PS1、PS5のところに位置しており、各内側アーム19、23は、PS3、PS7のところに位置している。
【0092】
前記初期状態において、制御装置の制御の下、ベルトコンベヤ9を駆動して各食品生地W1、W2を搬送する。光電センサー13が各食品生地W1、W2の先頭側の端面W1A、W2Aを検出したときに、ベルトコンベヤ9を停止し、上下方向移動部材29を下降し(各アーム17、19、21、23を下降し)下降端に位置させる(図6(a)参照)。
【0093】
続いて、各内側アーム19、23を、PS4、PS8の位置まで回動して食品生地W1の部位W1Bと食品生地W2の部位W2Bを離すと共に、各外側アーム17、21と協働して、各部位W1B、W2Bを挟む(図6(b)参照)。
【0094】
続いて、各外側アーム17、21を、PS2、PS6の位置まで回動する。この回動に伴って、各内側アーム19、23が、PS3、PS7の位置まで回動して、食品生地W1の端面W1Aと食品生地W2の端面W2Aとが対向する(図6(c)参照)。
【0095】
続いて、第1の幅方向移動部材31を図1の紙面の奥側の位置まで移動し、第2の幅方向移動部材33A、33Bを図1の紙面の手前側の位置まで移動して、食品生地W1の端面W1Aと食品生地W2の端面W2Aとを接触させて押圧し(図7(d)参照)、食品生地W1と食品生地W2とを接合する(図7(e)参照)。
【0096】
続いて、各外側アーム17、21をPS2、PS6のところに位置させたままで、各内側アーム19、23をPS3A、PS7Aの回避位置まで回動し、各内側アーム19、23を食品生地W1、W2から離す。
【0097】
続いて、上下方向移動部材29を上昇すると共に、必要に応じて前記分離手段91で各食品生地W1、W2を各アーム17、19、21、23から離し、各外側アーム17、21を回動してPS1、PS5に位置させると、これに伴って、各内側アーム19、23もPS3、PS7のところまで回動する。また、第1の幅方向移動部材31を図1の紙面の手前側の位置まで移動し、第2の幅方向移動部材33A、33Bを図1の紙面の奥側の位置まで移動する。
【0098】
各食品生地W1、W2の先頭の各端面W1A、W2Aが接合され、「U」字状に成形された各食品生地W1、W2を、ベルトコンベヤ9、11を駆動して下流側に搬送し、光電センサー15が、各食品生地W1、W2の後端の各端面W1C、W2Cを検出したときに、ベルトコンベヤ11を停止し、先頭側の各端面W1A、W2Aを接合したときと同様にして、後端の各端面W1C、W2Cを接合し、各食品生地W1、W2をリング状に成形する(図7(f)参照)。
【0099】
続いて、ベルトコンベヤ11を駆動し、リング状に成形された食品生地WRを食品生地成形装置1から搬出する。食品生地がパン生地のような発酵生地の場合には、リング状に成形された食品生地WRは、リング状の形状に沿った環状の凹部を有する型天板に移載され最終発酵がなされる。この最終発酵により各食品生地W1、W2の接合面の結着がより強固なものとなる。そして、リング状の食品生地WRはオーブン等によって焼成され、リング状のパンが製造される。
【0100】
食品生地成形装置1によれば、各端面W1A、W2Aがお互いに対向するように食品生地W1、W2を変形させた後に、対向した各端面W1A、W2Aをお互いに面接触させてさらにこの接触面にほぼ直交する方向の力を加えて押圧し接合するので、つなぎ目が目立たないようにして食品生地W1、W2をつなげることができる。
【0101】
また、食品生地成形装置1によれば、食品生地W1、W2の各部位W1B、W2B同士を一旦離反させることで各端面W1A、W2Aを斜めにしてから、各部位W1B、W2B同士をお互いに近づけて各端面W1A、W2Aを対向させているので、食品生地W1、W2の各部位W1B、W2Bに逆方向の内部応力が一旦発生することになり、各部位W1B、W2B同士をお互いに近づけて各端面W1A、W2Aを対向させるときに、食品生地W1、W2が変形しやすくなると共に、各端面W1A、W2Aが一旦斜めになってから対向するので、各端面W1A、W2A同士がいきなり対向するようになっている場合に比べて、各端面W1A、W2Aの形状がくずれにくくなっており、各端面W1A、W2A同士の接合を正確に行なうことができる。
【0102】
また、食品生地成形装置1によれば、各食品生地W1、W2の一方の各端面W1A、W2A同士をお互いに接合し、食品生地W1、W2の他方の各端面W1C、W2C同士をお互いに接合しているので、つなぎ目が目立たないリング状の食品生地WRを形成することができる。
【0103】
さらに、食品生地成形装置1によれば、ベルトコンベヤ9の上面にて、各食品生地W1、W2の一方の各端面W1A、W2A同士をお互いに接合し、ベルトコンベヤ9の下流側に配置されベルトコンベヤ9と別個に作動するベルトコンベヤ11の上面にて、各食品生地W1、W2の他方の各端面W1C、W2C同士をお互いに接合するような各変形対向手段3A、3Bを所定の間隔を開けて配置しているので、搬送する(成形する)食品生地の長さL2が異なる場合であっても、各変形対向手段3A、3Bの間隔を変更することなく、リング状の食品生地WRの成形を安定して行うことができる。
【0104】
ところで、食品生地成形装置1では、2本の棒状の食品生地W1、W2を1つのリング状の食品生地に成形しているが、1本の「U」字状の食品生地から1つのリング状の食品生地を成形するようにしてもよい。
【0105】
また、上述した実施形態に係るものを、食品生地成形方法の発明として把握してもよい。
【0106】
すなわち、棒状に形成されている食品生地の第1の端面と、棒状に形成されている食品生地の第2の端面とをお互いに接合するための食品生地成形方法において、前記第1の端面と前記第2の端面とがお互いに対向するように食品生地を変形させる変形対向工程と、前記変形対向工程で対向した各端面をお互いに接合する接合工程とを有する食品生地成形方法の発明として把握してもよい。
【0107】
さらに、上記方法において、前記変形対向工程による変形前は、前記第1の端面から延伸している食品生地の部位である第1の部位と、前記第2の端面から延伸している食品生地の部位である第2の部位とは、お互いが所定の間隔をあけてほぼ平行に延びており、前記変形対向工程は、前記第1の部位のうちで前記第1の端面の近くに位置している部位と前記第2の部位のうちで前記第2の端面の近くに位置している部位とをお互いが離反するように変形することによって、前記第1の端面と前記第2の端面とを斜めに傾斜させてから、前記第1の端面と前記第2の端面とをお互いに対向させる工程である食品生地成形方法として把握してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施形態に係る食品生地成形装置1の概略構成を示す正面図である。
【図2】図1におけるII矢視図であり、食品生地成形装置1の概略構成を示す平面図である。
【図3】図1におけるIII矢視図であり、食品生地成形装置1の概略構成を示す側面図である。
【図4】図1のIV部の拡大図である。
【図5】図4におけるV−V矢視図である。
【図6】食品生地成形装置1の動作を示す図である。
【図7】食品生地成形装置1の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
1 食品生地成形装置
3、3A、3B 変形対向手段
5、5A、5B 接合手段
9、11 ベルトコンベヤ
13、15 光電センサー
17 第1の外側アーム
19 第1の内側アーム
21 第2の外側アーム
23 第2の内側アーム
25 接近・離反手段
PS1 第1の位置
PS2 第2の位置
PS3 第3の位置
PS4 第4の位置
PS5 第5の位置
PS6 第6の位置
PS7 第7の位置
PS8 第8の位置
W1、W2 食品生地
W1A、W2A、W1C、W2C 端面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状に形成されている食品生地の第1の端面と、棒状に形成されている食品生地の第2の端面とをお互いに接合するための食品生地成形装置において、
前記第1の端面と前記第2の端面とがお互いに対向するように食品生地を変形させる変形対向手段と;
前記変形対向手段によって対向した各端面をお互いに接合する接合手段と;
を有することを特徴とする食品生地成形装置。
【請求項2】
請求項1に記載の食品生地成形装置において、
前記変形対向手段による変形前は、前記第1の端面から延伸している食品生地の第1の部位と、前記第2の端面から延伸している食品生地の第2の部位とは、お互いが所定の間隔をあけてほぼ平行に延びており、
前記変形対向手段は、前記第1の部位のうちで前記第1の端面の近くに位置している部位と前記第2の部位のうちで前記第2の端面の近くに位置している部位とをお互いが離反するように変形させることによって、前記第1の端面と前記第2の端面とを斜めに傾斜させてから、前記第1の端面と前記第2の端面とをお互いに対向させる手段であることを特徴とする食品生地成形装置。
【請求項3】
棒状に形成されている第1の食品生地の一方の端面と、棒状に形成され前記第1の食品生地から離れて前記第1の食品生地と平行に延伸している第2の食品生地の一方の端面とをお互いに接合し、前記第1の食品生地の他方の端面と前記第2の食品生地の他方の端面とをお互いに接合してリング状の食品生地を形成する食品生地成形装置において、
前記第1の食品生地の一方の端面と前記第2の食品生地の一方の端面とがお互いに対向するように前記各食品生地を変形させる第1の変形対向手段と;
前記第1の変形対向手段によって対向した各端面をお互いに接合する第1の接合手段と;
前記第1の食品生地の他方の端面と前記第2の食品生地の他方の端面とがお互いに対向するように前記各食品生地を変形させる第2の変形対向手段と;
前記第2の変形対向手段によって対向した各端面をお互いに接合する第2の接合手段と;
を有することを特徴とする食品生地成形装置。
【請求項4】
請求項3に記載の食品生地成形装置において、
前記第1の変形対向手段は、前記第1の食品生地のうちで前記一方の端面の近くに位置している部位と前記第2の食品生地のうちで前記一方の端面の近くに位置している部位とをお互いが離反するように変形させることによって、前記第1の端面と前記第2の端面とを斜めに傾斜させてから、前記第1の食品生地の一方の端面と前記第2の食品生地の一方の端面とをお互いに対向させる手段であり、
前記第2の変形対向手段は、前記第1の食品生地のうちで前記他方の端面の近くに位置している部位と前記第2の食品生地のうちで前記他方の端面の近くに位置している部位とをお互いが離反するように変形させることによって、前記第1の端面と前記第2の端面とを斜めに傾斜させてから、前記第1の食品生地の他方の端面と前記第2の食品生地の他方の端面とをお互いに対向させる手段であることを特徴とする食品生地成形装置。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の食品生地成形装置において、
前記各食品生地をこれらの長手方向に搬送する第1の搬送手段と;
第1の搬送手段で搬送されてきた各食品生地をこれらの長手方向に搬送する第2の搬送手段と;
前記第1の変形対向手段と第1の接合手段とは、前記第1の搬送手段で搬送される各食品生地の一方の各端面をお互いに対向させて接合する手段であり、
前記第2の変形対向手段と第2の接合手段とは、前記第2の搬送手段で搬送される前記各食品生地の他方の各端面をお互いに対向させて接合する手段であることを特徴とする食品生地成形装置。
【請求項6】
棒状に形成されている第1の食品生地の一方の端面と、棒状に形成され前記第1の食品生地から離れて前記第1の食品生地と平行に延伸している第2の食品生地の一方の端面とをお互いに接合するための食品生地成形装置において、
ほぼ水平な平面状の上面を備え、この上面で前記各食品生地を載置する載置部材と;
上下方向に延伸して所定のところに位置している第1の軸を中心にして、前記第1の食品生地から僅かに離れている第1の位置と、前記第1の食品生地のうちで前記一方の端面の近くに位置している一端部側の部位に接触して前記一端部側の部位を円弧状に曲げて変形させ前記第2の食品生地側に近づけ前記一方の端面が前記第2の食品生地側を向くようにする第2の位置との間を回動する第1の外側アームと;
前記第1の軸を中心にして前記第1の外側アームに回動自在に設けられ、前記第1の食品生地から僅かに離れている第3の位置と、前記第1の食品生地の前記一端部側の部位に接触して前記一端部側の部位を前記第2の食品生地から離反させ、前記第1の位置に存在している前記第1の外側アームと協働して前記第1の食品生地を挟み前記第1の食品生地の一方の端面が前記第2の食品生地側を向くように前記第1の食品生地の一方の端面を斜めにする第4の位置との間を回動し、前記第1の位置に存在している前記第1の外側アームが前記第1の位置から前記第2の位置まで回動する際には、前記第1の外側アームと協働して前記食品生地を挟んだまま、前記第1の外側アームと共に前記第4の位置から前記第3の位置まで回動する第1の内側アームと;
上下方向に延伸して所定のところに位置している第2の軸を中心にして、前記第2の食品生地から僅かに離れている第5の位置と、前記第2の食品生地のうちで前記一方の端面の近くに位置している一端部側の部位に接触して前記一端部側の部位を円弧状に曲げて変形させ前記第1の食品生地側に近づけ前記一方の端面が前記第1の食品生地側を向くようにする第6の位置との間を回動する第2の外側アームと;
前記第2の軸を中心にして前記第2の外側アームに回動自在に設けられ、前記第2の食品生地から僅かに離れている第7の位置と、前記第2の食品生地の前記一端部側の部位に接触して前記一端部側の部位を前記第1の食品生地から離反させ、前記第5の位置に存在している前記第2の外側アームと協働して前記第2の食品生地を挟み前記第2の食品生地の一方の端面が前記第1の食品生地側を向くように前記第2の食品生地の一方の端面を斜めにする第8の位置との間を回動し、前記第5の位置に存在している前記第2の外側アームが前記第5の位置から前記第6の位置まで回動する際には、前記第2の外側アームと協働して前記食品生地を挟んだまま、前記第2の外側アームと共に前記第8の位置から前記第7の位置まで回動する第2の内側アームと;
前記各食品生地の長手方向と直交する水平な方向で、前記第1の外側アームと前記第1の内側アームとに対して、前記第2の外側アームと前記第2の内側アームとを相対的に接近・離反させる接近・離反手段と;
を有することを特徴とする食品生地成形装置。
【請求項7】
棒状に形成されている食品生地の第1の端面と、棒状に形成されている食品生地の第2の端面とをお互いに接合するための食品生地成形方法において、
前記第1の端面と前記第2の端面とがお互いに対向するように食品生地を変形させる変形対向工程と;
前記変形対向工程で対向した各端面をお互いに接合する接合工程と;
を有することを特徴とする食品生地成形方法。
【請求項8】
請求項7に記載の食品生地成形方法において、
前記変形対向工程による変形前は、前記第1の端面から延伸している食品生地の第1の部位と、前記第2の端面から延伸している食品生地の第2の部位とは、お互いが所定の間隔をあけてほぼ平行に延びており、
前記変形対向工程は、前記第1の部位のうちで前記第1の端面の近くに位置している部位と前記第2の部位のうちで前記第2の端面の近くに位置している部位とをお互いが離反するように変形することによって、前記第1の端面と前記第2の端面とを斜めに傾斜させてから、前記第1の端面と前記第2の端面とをお互いに対向させる工程であることを特徴とする食品生地成形方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−263798(P2008−263798A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107417(P2007−107417)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000115924)レオン自動機株式会社 (98)
【Fターム(参考)】