説明

食品用パック

食品用パックは、スライス食品を収容することが可能な容器(11)と、上記容器(11)を密封することができる、少なくとも1つの取り外し可能な密閉シート(12)とを備えている。上記パックは、上記容器内に少なくとも1つの使用位置を有し、当該容器内において上記スライス食品を支持する、取り外し可能なトレイ(14)をさらに備えており、上記トレイには、使用の際に上側になる表面に配置された1つ以上の保持リッジ(17)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔本発明の分野〕
本発明は、食品用パックに関係し、限定するわけではないが、特に、傷みやすいタイプの食料のためのパックに関係する。
【0002】
より具体的には、本発明に係るパックは、特には小売のために、薄切りした肉やサラミを包装するために用いられ、限定するわけではないが、好ましくは、例えば、あらゆる種類の肉やチーズのコールドカット、または、薄切りした状態で包装して販売し得る他の任意の種類の食品などを包装するために用いられる。
【0003】
〔背景技術〕
例えばサラミや冷肉などの薄切りにした食料を運搬するためのパックが知られている。
【0004】
これらのパックは、程度の差はあるが通常、硬質プラスチックから成る容器を備えており、その底には1つ以上の冷肉のスライスが配置され、密閉シートによって閉ざされ、通常、容器の中身が見えるように透明である。密閉シートが容器を密封して、保護され、また場合によっては調整された空気中に中身を保持することによって、それらの保存状態が延長され、一定期間経過後であっても感覚器官が感知し得る特性が保全される。
【0005】
このようなパックの不都合な点は、容器内に収容された冷肉のスライスが、保存及び輸送の間、容器内で滑り易く、容器の片側に偏ってしまうことにある。パックが店の棚上で水平でない位置に配置された場合にも同様の問題が生じる。このような有様を見せる製品は、正しく保存されていなかった放置製品のイメージを伝えるため、購入者に対する魅力があまりない。
【0006】
このようなパックの他の不都合な点として、薄切りの食品は容器の底に対して張り付き、また互いに張り付く傾向にあるため、開封後、薄切りの冷肉を取り出すことは、大抵、利用者にとって容易なことではないことが挙げられる。
【0007】
本発明の目的は、特には陳列から開封後に食するまでの間、利用者にとって実用的かつ機能的である、食品用のパックを実現することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、実質的には、移送および陳列の任意の状態において内容物の状態を維持し、かつ、それらに新鮮さの特性、ケア、および正しい保存を与える、食品用のパックを実現することにある。
【0009】
出願人は、本発明を考案し、試験し、かつ具体化することによって、従来技術の欠点を克服し、かつ他の目的および利益を実現している。
【0010】
〔本発明の概要〕
本発明は、独立クレームに示され、かつ特徴付けられており、一方、従属クレームは、本発明の他の特徴または主な発明の着想についての変形を示している。
【0011】
上記目的によれば、本発明に係る食品用パックは、好ましくは薄切りにした食品(スライス食品)のための容器、および、上記容器を密封できる取り外し可能な密閉シートまたはフィルムを備えている。
【0012】
本発明の特徴によれば、上記パックは、取り外し可能なトレイをさらに備えており、当該トレイはスライス食品を運び、通常には容器内に配置されるが、開封後は容器から取り出すのに適している。また上記トレイには、両側に取り出しを容易にするための掴み手段が設けられ、また、使用の際に上側になる上記トレイの表面には1つ以上の保持リッジが配置されている。
【0013】
本発明の変形例によれば、少なくとも1つの上記保持リッジは、取り外し可能なトレイの端部における突起を備えている。
【0014】
本発明の変形例によれば、上記保持リッジは取り外し可能な上記トレイと一体的に形成されている。
【0015】
本発明の他の変形例によれば、上記保持リッジは型から得られる。
【0016】
本発明の他の変形例によれば、上記保持リッジにはでこぼこの表面が設けられる。
【0017】
本発明の他の変形例によれば、上記保持リッジは、互いに異なるサイズ、および/または上記トレイにより規定される平面に対して互いに異なる傾斜を有している。
【0018】
本発明の他の変形例によれば、上記掴み手段は、上記トレイと一体的に形成されている。
【0019】
本発明の他の変形例によれば、上記掴み手段は、上記トレイの端部に配置されている。
【0020】
本発明の他の変形例によれば、上記掴み手段は、上記トレイにより規定される上記平面
に対して傾斜可能である。
【0021】
このように、本発明に係るパックは、ユーザのために機能的である。実際、上記密閉シートを取り除いた後、表面にスライス食品を載せた取り外し可能なトレイは、上記掴み手段を用いることによって、上記容器から容易に取り出すことが可能である。よって、上記取り外し可能なトレイは、個々のユーザのために、器または皿として機能することができ、皿は、取り外し可能なトレイから直接的にスライス食品を容易に取り出すことができる。
【0022】
したがって、スライス食品をテーブル上に置くために、スライス食品の処理に長い時間がかかることが避けられる。なお、この処理は、個々のユーザ皿に食品を置くために、パックから食品を取り出し、給仕用皿に移し、その後この給仕用皿から取るという必要性に主に由来するものである。
【0023】
さらに、上記トレイにおける1つ以上の保持リッジの存在は、封されたパックの移送の間または店舗の棚上における傾斜した状態での陳列の間、および上記容器から上記トレイを取り出す間において、スライス食品が滑ることを防止する。上記保持リッジは、そのでこぼこな表面、好ましくは波形、ならびに、互いに異なるサイズおよび/または上記トレイにより規定された平面に対して互いに異なる傾斜を有する結果、上記取り外し可能なトレイ上に並べられたスライス食品を固定的に維持する。これらの様々なサイズは、スライス食品の重さが均等に分散されるようにスライス食品を並べることを可能にし、スライス食品が滑ることを防止する。さらに、上記保持リッジの様々なサイズは、スライス食品が互いに分離した状態を保ち、かつ、例えば曲がりくねった形等の特有の形に折りたたまれるように並べて支持することを可能にし、それらが上記容器の底に張り付くことを防止する。これは、上記容器の中身に対して、新鮮さおよび良い保存状態を示す魅力的な外観を与え、上記トレイからスライスを取り出すことをより容易にしている。
【0024】
さらに、上記トレイが上記容器内にあるとき、本発明に係るパックには、従来のパックに比較して、より大きな構造的剛性が与えられ、パックの保存、輸送、および陳列が容易になる。
【0025】
〔図面の簡単な説明〕
本発明のこれら特徴および他の特徴は、添付された図面を参照して、非限定的な例として与えられる、以下の優先的な実施形態の説明から明らかになるだろう。
【0026】
図1は、本発明に係るパックを示す三次元図である。
【0027】
図2は、図1におけるパックの細部の変形例を示す図である。
【0028】
〔優先的実施形態の詳細な説明〕
添付の図面を参照すると、本発明に係るパック10は、スライス食品を包むために用いることが可能なものであり、限定するものではないが、任意のタイプの冷肉、チーズ、または薄切りにした状態で包装および販売し得る他の種類の食品を包むために用いることが可能なものであることが好ましい。本実施形態において、パック10は卵型の容器11を備えている。しかし、容器11は、例えば、長方形、円形、または正方形など、任意の他の幾何学的形状を有していてもよい。
【0029】
また、容器11は、取り外し可能な密閉シート12を備えており、より良い状態で保存するために、保護された中身および場合によっては調整気相を維持するように、容器を密封することが可能である。この場合、密閉シート12は、プラスチック材料から成るシート、または一般的な積層シートである。密閉シート12は、パック10の内容物が可視のままであるように透明であることが好ましい。この場合、密閉シート12は破り取るタイプである。
【0030】
しかしながら、密閉シート12は、容器11から取り外されることに限定されず、他の既知タイプであってもよい。さらに、密閉シート12は、パック10から取り外された後、再び閉めるために再利用されるように、パック10に付随していてもよい。
【0031】
また、パック10は、スライス食品が並べられる取り外し可能なトレイ14を備えている。トレイ14は、容器11の形状に合わせて調整された形状を有しており、かつ、容器11ないに収容されるようなサイズを有している。トレイ14は、容器11の底と密閉シート12との間に配置されることができる。
【0032】
トレイ14には、その長手方向の端部の端に2つのベロ15が設けられており、ベロ15は好ましくはトレイ14と一体的に形成されている。ベロ15は、トレイ14によって規定される平面に対して傾斜しており、トレイ14が容器11内に配置されるとき垂直に配置される。各ベロ15には、トレイ14に規定される平面に対して略平行に配置された掴みリブ16も設けられている。掴みリブ16は、密閉シート12を取り外して容器11が開けたとき、トレイ14を容器11から取り外すために、ユーザがトレイ14を掴み易いようにしている。
【0033】
また、トレイ14はその上面において、パック10内のスライス食品を固定した状態に保つことが可能であり、かつ、それらがトレイ14上で滑ることを防止する保持リッジ17を規定するように形成されている。図2に示すように、第1保持リッジ17aは、曲線形状であり、トレイ14の長手方向軸Xに対して略対称に配置されている。一方、第2保持リッジ17bは直線形状であり、軸Xに対して垂直なものと平行なものとの両方が配置されている。
【0034】
本発明に係る変形例によれば、図示していないが、保持手段17は、トレイ14の端部における1つ以上の突起を備えていても良い。
【0035】
本発明に係る変形例によれば、保持リッジ17は、直線形状を有しており、かつ、軸Xに対して平行な対になるように配置される。
【0036】
本発明に係る他の変形例によれば、保持リッジ17は直線形状を有しており、かつ、軸Xに対して対角線上に配置される。
【0037】
他の変形例によれば、保持リッジ17は、例えば長方形など、異なる幾何学的形状を有しており、異なる幾何学的構成を実現するようにトレイ14の上面に配置される。
【0038】
したがって、保持リッジ17は、トレイの上面において、任意の幾何学的形状および任意の配置について如何なるものであっても有することができると分かる。
【0039】
保持リッジ17は、好ましくは型で作られ、トレイ14と一体的に作られる。
【0040】
好ましい実施形態によれば、保持リッジ17は、保持リッジ17の掴み特性を向上させ得る、でこぼこした表面、典型的な波形、またはギザギザが設けられている。
【0041】
他の好ましい実施形態によれば、複数の保持リッジ17は、互いに異なるサイズ、および/またはトレイ14により規定された平面に対する互いに異なる傾斜を有している。これは、互いに分離した状態を保って曲がった形に折りたたまれたスライス食品を並べて支持し、また、これらスライス食品の重さがトレイの表面上に均等に分散するように並べることを可能にしており、トレイ上でスライス食品が滑ることを防止している。
【0042】
これまで説明した本発明に係るパックは、以下のように機能する。
【0043】
パック10からスライス食品を取り出したいユーザは、密閉シート12を取り除き、パック11から引き剥がす。次に、ベロ15および関係する掴みリブ16を用いて、ユーザは、容器11からトレイ14を引き出し、トレイ14の上面のスライス食品を運ぶ。保持リッジ17は、パックが閉まっているときだけでなく、トレイ14が携行されるときおよび輸送されるときも、トレイ14上のスライス食品が滑ることを防止する。したがって、容器11から取り外されたトレイ14は、器または個々の皿として働き、スライス食品を手に取ることを容易にすることができる。
【0044】
これまで説明したパック10について、本発明の分野および範囲から離れることなく、部分的な改良および/または追加がされてもよいことは明らかである。
【0045】
本発明は、いくつかの具体例を参照して説明されているが、当業者は当然に、請求項に記載された特徴を有する、パック10の他の同等な形態を多数実現することができるであろうし、それ故、これらの全ては請求項に規定された保護範囲内に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係るパックを示す三次元図である。
【図2】図1におけるパックの細部の変形例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライス食品を収容することが可能な容器(11)と、上記容器(11)を密封することができる、少なくとも1つの取り外し可能な密閉シート(12)とを備える食品用パックであって、
取り外し可能なトレイ(14)をさらに備えており、
上記トレイ(14)は、上記容器内の少なくとも1つの使用位置において上記スライス食品を支持し、
上記トレイ(14)には、使用の際に上側になる表面に配置された1つ以上の保持リッジ(17)が設けられていることを特徴とするパック。
【請求項2】
少なくとも1つの上記保持リッジ(17)は、上記トレイ(14)の端部における突起を備えている特徴とする請求項1に記載のパック。
【請求項3】
上記1つ以上の保持リッジ(17)は、上記トレイ(14)と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパック。
【請求項4】
上記1つ以上の保持リッジ(17)は型によって成形されていることを特徴とする請求項3に記載のパック。
【請求項5】
上記1つ以上の保持リッジ(17)には、でこぼこした表面が設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のパック。
【請求項6】
複数の上記保持リッジ(17)は、互いに異なるサイズ、および/または上記トレイ(14)により規定される平面に対して互いに異なる傾斜を有することを特徴としている請求項1から5のいずれか1項に記載のパック。
【請求項7】
上記パックからの上記トレイ(14)の取り外しを容易にする掴み手段(15)を備えていることを特徴とする請求項1に記載のパック。
【請求項8】
上記掴み手段(15)は、上記トレイ(14)と一体的に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のパック。
【請求項9】
上記掴み手段(15)は、上記トレイ(14)の端部に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のパック。
【請求項10】
上記掴み手段(15)は、上記トレイ(14)により規定される平面に対して傾斜可能であることを特徴とする請求項8に記載のパック。
【請求項11】
上記掴み手段は、少なくとも1つのベロ(15)を備えることを特徴とする請求項10に記載のパック。
【請求項12】
上記密閉シート(12)は透明な材料から構成されていることを特徴とする請求項1に記載のパック。
【請求項13】
上記密閉シート(12)は引き裂くことによって取り外し可能であることを特徴とする請求項12に記載のパック。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−502902(P2011−502902A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533580(P2010−533580)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065469
【国際公開番号】WO2009/063006
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(510134053)プリンシプ ディ サン ダニエレ ソシエタ ペル アチオニ コン ソシオ ウニコ (1)
【氏名又は名称原語表記】PRINCIPE DI SAN DANIELE SPA CON SOCIO UNICO
【住所又は居所原語表記】Via J.Ressel,1,I−34018 San Dorligo Della Valle,Italy
【Fターム(参考)】