説明

食品用冷却装置

【課題】エネルギー損失を小さくすることができる食品用冷却装置を得る。
【解決手段】食品用冷却装置18は、水槽20を含む。水槽20内には、冷却水22が満たされる。冷却水22内には、蛇行するようにして、ステンレスパイプなどの中空管24が設置される。中空管24の外面に、複数の熱電素子26を取り付ける。中空管24の内部に加熱した食品を通し、食品を冷却する。このとき、食品の温度と冷却水の温度との差により、ゼーベック効果により熱電素子26で発電する。熱電素子26で得られた電力は、照明用などとして使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、食品用冷却装置に関し、特にたとえば、ジャムなどの食品を煮熱殺菌等した後に冷却するための食品用冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の食品用冷却装置を用いたジャム製造装置の一例を示す図解図である。ジャム製造装置1は、調合釜2を含む。この調合釜2において、果物などのジャムの主原料と砂糖その他の副原料とが調合され、予備加熱される。調合された材料は、真空濃縮釜3に送られる。ここで、減圧下において加熱され、調合された材料が濃縮されるとともに、煮熱殺菌されて、ジャムが製造される。
【0003】
得られたジャムは、食品用冷却装置4に送られる。食品用冷却装置としては、従来より、伝熱管内に食品を通し、伝熱管の外側を冷却水などで冷却する方法が採用されている(特許文献1参照)。このような食品用冷却装置として、水槽内に伝熱管を配置したものがある。食品用冷却装置4は、水槽5を含み、水槽5内に冷却水が満たされる。そして、冷却水内に伝熱管として用いられるステンレス製のパイプ6が配置され、このパイプ6内に、加熱されたジャムが通される。パイプ6を通過するジャムは、冷却水によって冷却され、充填装置7で容器に充填・計量される。水槽5内の冷却水は、サーモスタットなどで温度管理される。冷却水の温度を一定に保つために、水槽5に冷却水が給水され、水槽5内の水はオーバーフローにより排水される。また、クーリングタワーを用いて冷却水を循環させることにより、水槽5内の冷却水温度を一定に保持することも行われている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−33138公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の食品用冷却装置では、ジャムを冷却して得られた熱が無駄に捨てられており、エネルギーの損失が大きかった。
【0006】
それゆえに、この発明の主たる目的は、エネルギー損失を小さくすることができる食品用冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、冷却材と、冷却材内を通過する中空管とを含み、中空管内に食品を通すことにより食品を冷却するための食品用冷却装置において、中空管の外面に熱電素子を取り付け、食品の温度と冷却材の温度との差によって熱電素子で発電させることを特徴とする、食品用冷却装置である。
このような食品用冷却装置において、たとえば、冷却材として水が用いられ、中空管としてステンレス製のパイプが用いられる。
【0008】
中空管の外面に熱電素子を取り付けることにより、中空管内を通る食品の温度と中空管の外側の冷却材の温度との差により、ゼーベック効果により熱電素子で発電される。熱電素子で得られた電気エネルギーにより、たとえばLEDなどの照明器具を発光させることができ、工場の照明用などとして用いることができる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、これまで捨てていた熱エネルギーを電気エネルギーに変換して、照明用などとして利用することができるため、食品用冷却装置におけるエネルギー損失を小さくすることができる。また、熱電素子を用いることにより、中空管を通る食品の熱を効率よく吸収することができ、食品の品質向上にも期待することができる。
【0010】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、この発明の食品用冷却装置を用いたジャム製造装置の一例を示す図解図である。ジャム製造装置10は、調合釜12を含む。調合釜12では、ジャムの主原料となる果物や砂糖その他の副原料が混合され、予備加熱しながら撹拌される。撹拌・混合された材料は、真空濃縮釜14に移送される。真空濃縮釜14は、たとえば真空ポンプに連結され、真空濃縮釜14内は、真空ポンプによって減圧される。この真空濃縮釜14の中で、調合釜12から移送されてきた材料が加熱されて濃縮されることにより、ジャムが製造される。さらに、真空濃縮釜14内で加熱されることによって、ジャムが煮熱殺菌される。
【0012】
真空濃縮釜14には、ポンプ16が接続され、ポンプ16によって、ジャムが食品用冷却装置18に移送される。食品用冷却装置18は、図2に示すように、水槽20を含む。水槽20内には、冷却材として、冷却水22が満たされる。さらに、冷却水22中で蛇行するように、中空管24が設置される。中空管24としては、たとえばステンレス製のパイプなどが用いられる。この中空管24に、ポンプ16で移送されてきたジャムが通される。
【0013】
中空管24の外面には、ペルチェ素子などの熱電素子26が取り付けられる。熱電素子26は、冷却水22中の中空管24の外面に、ほぼ等間隔で複数個取り付けられる。これらの熱電素子26は、図3に示すように、制御装置28を介して、バッテリー30に接続され、さらに照明器具32や他の電気製品34に接続される。制御装置28では、熱電素子26で得られた電力が直流または交流で制御され、バッテリー30を充放電するとともに、照明器具32や電気製品34に電力が供給される。
【0014】
水槽20内の冷却水22の温度は、サーモスタットなどで制御される。冷却水22の水温が上昇した場合、たとえば新しい冷却水が水槽20に補充され、水槽20内の水がオーバーフローにより排出される。また、クーリングタワーなどを用いて、水槽20内の水を冷却循環させることにより、冷却水22の温度を一定に保持してもよい。
【0015】
食品用冷却装置18を通ったジャムは、充填装置36に移送され、容器などに充填・計量される。容器などに充填されたジャムは冷蔵保存され、その後出荷される。
【0016】
このジャム製造装置10では、上述のように、調合釜12で調合された材料が、真空濃縮釜14で濃縮されるとともに、煮熱殺菌される。このようにして得られたジャムが、食品用冷却装置18で冷却される。ここで、食品用冷却装置18の中空管24の外面に、熱電素子26が取り付けられているため、中空管24内を通過するジャムの温度と冷却水22の温度との差により、ゼーベック効果により熱電素子26で発電される。熱電素子26で得られた電力は、制御装置28で直流または交流で制御され、照明器具32や他の電気製品34に電力が供給される。なお、照明器具32として、たとえばLEDなどを用いれば、少ない電力で発光させることができる。また、照明器具32や他の電気製品34で使用されなかった電力は、バッテリー30に充電される。さらに、必要に応じて、照明器具32や他の電気製品34に、バッテリー30から電力が供給される。
【0017】
このように、この食品用冷却装置18を用いれば、加熱されたジャムを冷却することができるとともに、その排熱を利用して電力を発生させることができる。そのため、従来において、無駄に捨てていた熱エネルギーを電気エネルギーとして取り出すことができ、食品用冷却装置18におけるエネルギー損失を小さくすることができる。さらに、中空管24の外面に熱電素子26を取り付けることにより、中空管24内を通るジャムの熱が効率よく吸収され、冷却効果が高まって、ジャムの品質向上を期待することができる。
【0018】
なお、上述の例では、ジャム製造装置における食品用冷却装置について説明したが、他の食品の製造装置に使用される食品用冷却装置においても、この発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の食品用冷却装置を用いたジャム製造装置の一例を示す図解図である。
【図2】この発明の食品用冷却装置の一例を示す図解図である。
【図3】図2に示す食品用冷却装置で得られた電力の使用形態の一例を示す図解図である。
【図4】従来の食品用冷却装置を用いたジャム製造装置の一例を示す図解図である。
【符号の説明】
【0020】
10 ジャム製造装置
12 調合釜
14 真空濃縮釜
16 ポンプ
18 食品用冷却装置
20 水槽
22 冷却水
24 中空管
26 熱電素子
28 制御装置
30 照明器具
32 電気製品
34 バッテリー
36 充填装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却材と、前記冷却材内を通過する中空管とを含み、前記中空管内に食品を通すことにより前記食品を冷却するための食品用冷却装置において、
前記中空管の外面に熱電素子を取り付け、前記食品の温度と前記冷却材の温度との差によって前記熱電素子で発電させることを特徴とする、食品用冷却装置。
【請求項2】
前記冷却材として水が用いられ、前記中空管としてステンレス製のパイプが用いられる、請求項1に記載の食品用冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−296353(P2006−296353A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−125835(P2005−125835)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(397027318)デイリーフーズ株式会社 (2)
【Fターム(参考)】