説明

食品用包装容器

【課題】芯部の有無に関係なく、ラップフィルムで包装加工することなく、柱状又は環状に加工された食品を収容できるようにする。
【解決手段】上面開口部15に向かうにしたがって大きく開口するように、側壁部10にテーパが形成された容器本体1と、該容器本体1の上面開口部15の周縁部に嵌合する蓋体30とを備え、容器本体1と蓋体30とで形成される空間に、筒状又は柱状の食品Pが直立状態で収容される食品用包装容器において、収容される食品Pの少なくとも上部を外方から保持する保持手段38を、蓋体30又は容器本体1の内部に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば芯部を取り除いた柱状のパイナップル等を包装するための食品用包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の食品用包装容器としては、例えば、底部の中央部に上向きに突設された凸部を有する容器本体と、中央部に下向きに突設された凸部を有し、該容器本体の上面開口部の周縁部に嵌合する蓋体とを備え、芯部を取り除いて、薄切りにしたスライスパイナップルを積み重ねて柱状にして収容するものが公知になっている(特許文献1参照)。
【0003】
前記各凸部は、同心状に形成されて対向するように形成され、しかも、蓋体の凸部の長さよりも、容器本体の凸部の長さが小さくなっている。具体的には、容器本体の凸部の長さは、最下部のスライスパイナップルの一枚分の厚さよりもやや大きく、つぎに積み重ねられるスライスパイナップルの中空部に差し掛かる程度の長さになっている。一方、蓋体の凸部の長さは、下から2枚目のスライスパイナップルの中空部に差し掛かる程度の長さで、互いの凸部は接しないようになっている。
【0004】
そして、容器本体の凸部に、等分に薄切りされたスライスパイナップルの中空部を挿通させる。この際、容器本体の凸部は、当該スライスパイナップルの中空部からやや突き出たようになる。その後、複数のスライスパイナップルを順次積み重ねて柱状にする。この状態で、蓋体を容器本体の上面開口部の周縁部に嵌合させると、該蓋体の凸部が、パイナップルの中空部に挿通されて、下から2枚目のスライスパイナップルの中空部に差し掛かる。即ち、各凸部によって、柱状のパイナップ全体が安定支持されることになる。
【0005】
また、他の従来の食品用包装容器としては、例えばトレイに、パイナップルの向きを交互に逆向きにして収容する凹部を形成し、該凹部にパイナップルの一部を落とし込むための落とし込み部(楕円形の孔)を設けると共に、落とし込まれた状態のパイナップルの一部が外箱に対して非接触になるようにしたものが公知になっている(特許文献2参照)。
【0006】
そして、トレイの凹部によって、外箱から浮いた状態で安定支持されるので、緩衝部材を用いることなく、運搬時の衝撃からパイナップルを保護できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実公昭58−34063号公報
【特許文献2】特開2007−30958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の前者の食品用包装容器の場合、芯部を取り除いた食品には対応できるが、芯部を取り除く必要のない食品、例えばハム等においては対応できないという問題がある。
【0009】
また、後者の食品用包装容器の場合、パイナップルそのものを運搬するには適しているが、パイナップルを薄切りにしたスライスパイナップルや芯部を取り除いた筒状パイナップルには不向きである。即ち、トレイの凹部にスライスパイナップルまたは筒状パイナップルを収容することは可能であるが、これら加工パイナップルは、ドリップ(汁)が出るので、ラップフィルムで包装する必要が生じる。この場合、加工パイナップルを直に押圧してしまい、商品価値が損なわれたり、ドリップが多く出てしまったりすることがあるという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題を鑑み、芯部の有無に関係なく、ラップフィルムで包装加工することなく、柱状又は環状に加工された食品を収容できる食品用包装容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る食品用包装容器は、容器本体1と、該容器本体1の上面開口部15の周縁部に嵌合する蓋体30とを備え、容器本体1と蓋体30とで形成される空間に、筒状又は柱状の食品Pが直立状態で収容される食品用包装容器において、蓋体30又は容器本体1は、収容される食品Pの少なくとも上部を外方から保持する保持手段38が内部に設けられることを特徴とする。
【0012】
この場合、運搬時の振動によって、収容されている食品Pが縦横に揺れたとしても、食品Pの少なくとも上部を外方から保持する保持手段38が内部に設けられているので、食品Pが収容された際の状態、即ち直立状態に保持される。つまり、運搬時の振動に対して食品Pががたつくこともなく、このがたつきによる容器本体1及び蓋体30の内壁に対する食品Pの衝突もなく、該衝突によるドリップの発生も抑制できるようになる。したがって、芯部の有無に関係なく、容器本体1と蓋体30とで形成される空間に食品Pを収容することができる。また、ドリップの発生を抑制できるので、ラップフィルムで包装加工することもなく、食品Pを前記空間に直に収容することができる。なお、食品Pの下側の端部は容器本体1の底壁部に直に載置されるので、底壁部の大きさによって食品Pのがたつきは回避できる。したがって、底壁部に保持手段38を設けることは必須ではない。
【0013】
また、本発明によれば、前記保持手段38,380を、食品Pの上部の外周を取り囲むように設けられる環状壁部34,380b、或いは、該外周に所定の間隔をおいて配置される複数の保持壁部380a,…で構成するようにしてもよい。
【0014】
この場合、食品Pの上部の外周を環状壁部34,380bで取り囲んだり、該外周に所定の間隔をおいて複数の保持壁部380a,…を配置したりすれば、食品の上部の位置が環状壁部34,380bや保持壁部380a,…によって保持されて、食品Pの直立状態が維持される。即ち、食品Pの商品価値を維持できる。
【0015】
また、本発明によれば、一方の食品用包装容器Aの容器本体1の側壁部10と、他方の食品用包装容器Aの蓋体30の側壁部34とが安定して当接するように、各側壁部10,34にそれぞれ平坦部13,34aを形成するような構成を採用することもできる。
【0016】
この場合、一方の容器本体1の側壁部10の平坦部13に、他方の蓋体30の側壁部34の平坦部34aを当接させることで、互いの容器A,Aが安定して当接するようになるため、容器本体1を斜めにして陳列することができる。したがって、容器本体1の側壁部10を消費者の目にとまる位置に大きく露出させる状態で、容器Aに収容された食品を展示できるようになる。即ち、消費者は、収容された食品Pを容器本体1の側壁部10を通して大きく捕らえることができる。つまり、食品Pの宣伝効果がより一層向上すると共に、消費者の目を引くようになって、消費者は購買意欲が大きくなる。
【0017】
また、本発明によれば、容器本体1を透明にすると共に、該容器本体1の底壁部2に下方に向かって窪んだ凹状の脚部9,…を形成すると共に、該脚部9,…を不透明にするような構成を採用することもできる。
【0018】
この場合、凹状の脚部9,…を不透明にすることで、該脚部9,…に溜まった食品Pのドリップを消費者から外観視できなくなり、ドリップを外観視することによる食品Pに対する不衛生を感じさせることがなく、消費者の購買意欲も低下させることがない。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、直立状態で収容される筒状又は柱状の食品の少なくとも上部の位置を保持する保持手段を、蓋体又は容器本体に設けるようにしたので、芯部の有無に関係なく、ラップフィルムで包装加工することなく、柱状又は筒状に加工された食品を収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る食品用包装容器を示す正面図。
【図2】容器本体の正面図。
【図3】容器本体の平面図。
【図4】容器本体と蓋体との嵌合部を示す拡大断面図。
【図5】蓋体の正面図。
【図6】蓋体の平面図。
【図7】図1の食品用包装容器を、斜めにして棚に陳列した状態を示す概略断面図。
【図8】食品用包装容器の変形例を示す斜視図。
【図9】蓋体の変形例であって、容器本体と蓋体との嵌合部を示す拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る食品用包装容器の一実施形態について図1〜図6を参照しつつ説明する。なお、該食品用包装容器に収容される食品としては、芯部を取り除いた筒状に加工された筒状パイナップルとする(以下、単に食品という場合もある)。また、以下の説明において、「外方」、「内方」なる用語が用いられることがあるが、「外方」とは、容器本体1(蓋体30)の中心から見て水平方向に広がる方向(径外方向)をいい、「内方」とは、水平方向において外側から容器本体1(蓋体30)の中心側に向かう方向(径内方向)をいう。
【0022】
本実施形態に係る食品用包装容器について説明する。該食品用包装容器A(以下、単に容器という)は、透明の容器本体1と、該容器本体1の上面開口部15を閉塞した透明の蓋体30とを備えている。そして、容器Aは、容器本体1に蓋体30が取り付けられた状態で、略8角柱体をなす、所謂角形容器である。但し、厳密にいえば、容器本体1及び蓋体30の各コーナー部は直角ではなく、角をとって丸みが付けられている。また、容器本体1及び蓋体30を透明としている理由は、内部に収容される食品Pを容器本体1及び蓋体30を通して外観視しやすいためである。換言すれば、内部に収容される食品Pを消費者の目に引きやすくすると共に、きれいに見せるためである。
【0023】
容器本体1は、大きく分けると、下方に窪んで、筒状パイナップルPの収容部を構成する本体部2と、該本体部2の外周に沿って設けられる外周部20とを備えている。また、蓋体30は、大きく分けると、上方に膨らんで容器本体1の本体部2と共に、筒状パイナップルPの収容部を概略的に構成する蓋本体部31と、該蓋本体部31の外周に沿って設けられる蓋外周部40とを備えている。
【0024】
容器本体1の本体部2は、図1及び図2に示すように、底壁部3と、該底壁部3の外周から上方に延びる、筒状パイナップルPの収容部を構成する側壁部10とを備えている。そして、容器本体1は、プラスチックシート(合成樹脂製シート)を絞り加工によって形成されているため、側壁部10は、抜き勾配によって、上面開口部14に向かうにしたがって大きく開口されている。プラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいはポリスチレン(PS)などの材質が用いられる。そして、容器本体1の高さは、筒状パイナップルPの長さよりも小さくなっており、筒状パイナップルPを直立状態で収容した際は、筒状パイナップルPの上部が容器本体1の上面開口部14から外部に臨出するようになっている。以下、容器本体1を構成する本体部(底壁部3、側壁部10)1、外周部20の順に詳細に説明する。
【0025】
底壁部3は、図3に示すように、中央部に円錐台状の第1凸部4が形成されると共に、該第1凸部4の直交する2本の中心線の延長線上に、T字形状の第2凸部5,…が連設されている。即ち、該第2凸部5,…は4等分の位置に配置されている。また、第2凸部5,…の高さは、第1凸部4の高さよりも低くなっており、第2凸部5,…によって筒状パイナップルPの下側の端部が安定支持されると共に、第1凸部4が筒状パイナップルPの空洞部に挿入しやすい構成になっている。
【0026】
また、底壁部3の第1凸部4及び第2凸部5と、後述する側壁部10の第3凸部11及び第4凸部12とに囲まれた部位に略6角形状の第1凹部6が形成されている(図3参照)。該第1凹部6は、隣接する6つ側面7a,7b,7b、8a,8b,8bのうち、3つの側面7a,7b,7bは外側、即ち容器本体1の側壁部10側に位置すると共に、残り3つの側面8a,8b,8bは内側、即ち底壁部3側に位置している。そして、外側に位置する3つの側面7a,7b,7bのうち、中央の側面7aは、後述する側壁部10の第3凸部11側に位置し、該中央の側面7aを挟む一対の側面7b,7bは、第2凸部5,5の側壁を構成している。
【0027】
さらに、図3に示すように、3つの側面7a,7b,7bによって略等脚台形状の第2凹部9が、第1凹部6よりも深くなるように形成されている。そして、中央の側面7aを波形状に形成することで、第2凹部9全体を外観視しづらい構成にしている。即ち、第2凹部9に溜まったドリップが外部から見にくいようにしている。この理由としては、消費者が第2凹部9に溜まったドリップを見ることで、筒状パイナップルPに対して不衛生さを感じることを回避するためである。また、第2凹部9,…は、容器本体1の脚部として等間隔に4つ形成されており、その底部は平坦で、容器本体1が安定した状態で直立するようになっている。
【0028】
一方、内側に位置する3つの側面8a,8b,8bのうち、中央の側面8aは、円弧状に形成されると共に、底壁部3の第1凸部4の側壁を構成している(図3参照)。また、該中央の側面8aを挟む一対の側面8b,8bは、第2凸部5の側壁部を構成している。また、該一対の側面8b,8bから第2凹部9に向かうにしたがって間隔が狭くなる一対の突条体9a,…が形成されている。即ち、底壁部3の第1凹部6に溜まったドリップは、第2凹部9,…に流入するように構成されている。また、底壁部3の内径は、収容される筒状パイナップルPの下側の端部の外径よりもやや大きく形成されている。したがって、筒状パイナップルPの下側の端部の外径よりも、容器本体1の底壁部3の内径がやや大きくなっているので、筒状パイナップルPの下側の端部が、底壁部3と側壁部10とによって位置規制されるようになり、運搬時の振動によって、筒状パイナップルPが容器本体1や蓋体30の内壁に衝突することがなく、該衝突による筒状パイナップルPからのドリップの発生を抑制している。
【0029】
側壁部10は、図1及び図2に示すように、高さ方向に沿って細長い、複数の矩形状の壁面10a,…で構成されており、該各壁面10a,…に、底壁部3に向かうにしたがって細くなる三角形状の第3凸部11,…と、略台形状の第4凸部12,…が交互に形成されると共に、同一形状の凸部11,12が対峙するように形成されている。また、第3凸部11,…の先端部は底壁部3まで到達し、上述した底壁部3の第2凹部9の中央の側面7a側に位置している。また、第4凸部12の先端部は底壁部3の手前に位置し、該先端部から、側壁部10と略面一になるように緩やかに傾斜しつつ底壁部3まで延出される平坦部13が形成されている。そして、側壁部10の上端部に上面開口部14が形成されると共に、該上面開口部14の周縁部から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく外方に延びるように第1鍔部15が形成され、該第1鍔部15の周縁部から上方に延びるように内環状部16が形成されている。
【0030】
容器本体1の外周部20は、図4に示すように、内環状部16の周縁部から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく外方に延びるように形成された第2鍔部21と、該第2鍔部21の周縁部から容器本体1の内方、即ち中心側に少し傾斜するように立ち上げられた外環状部22と、該外環状部22の周縁部から容器本体1の外方に少し傾斜するように立ち上げられた折曲部(逃げ部)23と、該折曲部23の周縁部から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく下方に延びる頂部24と、該頂部24から下方に延びる(垂下する)、より詳しくは、傾斜することなく下方に延びる垂下部25と、該垂下部25から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく外方に延びる縁部(容器本体の外周縁)26と、一壁面に位置する縁部26の部位に外方に延びるように形成された三角形状の摘み片27とを備えている。そして、外環状部22と、折曲部23、頂部24、垂下部25で嵌合凸部28が形成されている。
【0031】
蓋体30は、容器本体1と同一素材が使用されて、絞り加工によって形成されている。そして、蓋本体部31は、図4〜図6に示すように、容器本体1の上面開口部14と同一形状(8角形状)の上壁部32と、下面開口部33に向かうにしたがって大きく開口された側壁部(環状壁部)34と、該側壁部34から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく下方に延びる段落部35と、該段落部35の周縁部から外方に少し傾斜して形成された第1立上り部36と、該第1立上り部36の周縁部から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく外方に延出された鍔部37とを備えている。そして、側壁部34、段落部35、第1立上り部36で、筒状パイナップルPの上部の位置を保持する保持手段38が構成されている。また、側壁部34は、容器本体1の平坦部13に安定して当接する矩形状の平坦な壁面34aで構成されている。
【0032】
蓋体30の蓋外周部40は、図4に示すように、鍔部37の周縁部から外方に少し傾斜して形成された折曲部(逃げ部)41と、該折曲部41の周縁部から内方、即ち蓋本30の中心側に少し傾斜して形成された第2立上り部42と、該第2立上り部42の周縁部から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく外方に延出された頂部43と、該頂部43の周縁部から下方に延びる、より詳しくは、傾斜することなく下方に延びる立下り部44と、該立下り部44から外方に延びる(張り出す)、より詳しくは、傾斜することなく外方に延びる縁部(蓋体30の外周縁)45と、一壁面に位置する縁部45の部位に外方に延びるように形成された三角形状の摘み片46とを備えている。そして、折曲部41、第2立上り部42、頂部43、立下り部44で嵌合凹部47が形成されている。なお、容器本体1及び蓋体30の外周縁のエッジの鋭利さを解消するための種々の施策は、縁部26,45に施されるものである。
【0033】
また、蓋外周部40の嵌合凹部47、即ち蓋体外周部40の第2立上り部42、頂部43、立下り部44が、容器本体1の嵌合凸部28の外環状部22、頂部24、垂下部25に密接又はそれに近い状態で対峙する。そのため、嵌合凹部47は、容器本体1の嵌合凸部28に外嵌する。言い換えれば、容器本体1の凸部が蓋体30の凹部に嵌入することにより、蓋体30は、容器本体1に着脱自在に取り付けられる。しかも、嵌合凸部28及び嵌合凹部46の断面形状は、いずれも略台形状を呈しており、頂部24,44が幅広く、該頂部24,44に対向する開口部が幅狭く形成されると共に、外環状部22及び第2立上り部42が所定の傾斜角度をもっているので、嵌合凸部28に嵌合凹部46が嵌合する際は、嵌合凸部の28の外環状部22に嵌合凹部46の第2立上り部42が当接することによって、嵌入方向がガイドされつつ、嵌合凹部46が容器本体1の嵌合凸部28の膨らみを越えて嵌合するようになる。さらに、頂部が24,44が幅広く、該頂部24,44に対向する開口部が幅狭く形成されているので、嵌合した時に、一旦狭められた状態から元の状態に復帰しようとする弾性力によって嵌合するようになり、充分な嵌合力が確保される。即ち外れにくい構造になっている。
【0034】
このような容器本体と蓋体との嵌合構造は、所謂内外嵌合タイプとなっている。この嵌合構造によって、内部に収容される筒状パイナップルPの新鮮さが保持されると共に、筒状パイナップルPのドリップが外部に漏れ出ることがなくなる。即ち、食品用包装容器Aの外面が漏れ出たドリップによってべたつくことがない。一方、蓋外周部40及び容器外周部20の摘み片27,46を互いに異なる方向に引っ張ると、嵌合凹部46の開口部が大きくなるように変形されるので、上述した凹凸嵌合が容易に解除されるようになる。
【0035】
また、嵌合凹部47の嵌合位置と第1立上り部36の長さによって、筒状パイナップルPの上部を保持する位置が設定される。この位置は、容器本体1の第1鍔部15の位置よりも低く、保持手段38の上端部に対して筒状パイナップルPの上端部との間隔が3mm程度で、保持手段38の下端部に対して筒状パイナップルPの上部との間隔が5mm程度になっており、蓋体30の上壁部32に対して筒状パイナップルPの上部の端面との間隔が5〜8mm程度になっている。この理由としては、本実施形態では筒状パイナップルPの上部が蓋体30の上部まで位置しているが、筒状パイナップルPの大きさによっては、筒状パイナップルPの上部が側壁部10の下部に位置する場合もあるため、余裕を持たせる必要があるためである。このように、保持手段38を設けることで、運搬時などの振動に対して筒状パイナップルPのがたつきが少なくなる。換言すれば、収容される食品の商品価値が損なわれずにすむ。
【0036】
蓋本体部31の上壁部32は、内径が筒状パイナップルPの外径よりもやや大きく、中央部に円形状の凸部32aが形成されている。そして、蓋体30の上壁部32と筒状パイナップルPの上部の端面との間には、所定の大きさの空間Sが形成されている。
【0037】
蓋外周部40の摘み片46は、容器本体1の摘み片27と同一形状であり、両摘み片46,27を重ね合わせて嵌合させてもよい。この場合、複数の食品用包装容器A,…を直立した状態で陳列する際、隣り合う摘み片46,27同士が干渉しないように陳列することで、多くの食品用包装容器A,…を陳列できるようになる。また、容器本体1の摘み片27に対して、蓋体30の摘み片46が45度ずれた位置に嵌合させてもよい。この場合、二つの摘み片46,27を互いに異なる方向に引っ張りやすくなって、容器本体1から蓋体30を取り外しやすくなる。
【0038】
つぎに本実施形態に係る食品用包装容器の使用態様について説明する。まず、パイナップルの芯部を取り除いて筒状に加工し、容器本体1の上面開口部14から蓋体30を取り外して、容器本体1の上面開口部14から筒状パイナップルPを直立した状態で挿入する。この状態で、容器本体1の嵌合凸部28に、蓋体30の嵌合凹部47を当接させ、嵌合凸部28と嵌合凹部47を上下方向から複数箇所に亘って押圧すると、嵌合凹部47の膨らみを越えて、嵌合凸部28が嵌入するようになり、嵌合凸部28の外環状部22,頂部24、垂下部25に、嵌合凹部47の第2立上り部42、頂部43,立下り部44とが密接するようになり、容器本体1の上面開口部15が蓋体30によって閉塞される。
【0039】
そして、容器本体1から蓋体30を取り外す場合は、互いの摘み片46,27を異なる方向に引っ張ると、上述した密接状態が解除され、嵌合凸部28と嵌合凹部47の嵌合が容易に解除されて、蓋体30が容器本体1から円滑に、即ち力をかけずして取り外すことができる。
【0040】
また、複数の食品用包装容器A,…を、水平方向に設けられた載置台51及び傾斜して設けられた支持板52を有する棚50に陳列する場合は、図7に示すように、先頭の容器本体1を斜めにして、容器本体1の側壁部10の平坦部13を上側、消費者の目にとまる位置に位置するように、蓋体30の側壁部34の平坦な壁面を棚50の載置台51に当接し、先頭の容器Aの容器本体1の側壁部10の平坦部13に、二列目の容器Aの蓋体30の側壁部10の平坦な壁面を当接させ、互いに安定した状態で、容器本体1の側壁部10から筒状パイナップルPを外観視できるようにする。そうすることで、筒状パイナップルPを蓋体30及び容器本体1の側壁部10から目視できるようになる。したがって、ひときわ消費者に対して目を引くようになり、消費者の購買意欲が掻き立てられるようになる。
【0041】
なお、本発明は、前記実施の形態に限定することなく、特許請求の範囲に記載した発明特定事項の範囲内において種々変更することができる。例えば、容器本体及び蓋体の断面形状を8角柱状としたが、円形や楕円状であってもよい。
【0042】
また、前記実施形態の場合、容器本体1の高さよりも蓋体30の高さを小さくしたが、図8に示すように、容器本体100の高さよりも蓋体300の高さを大きくしてもよい。この場合、容器本体100の高さが低くなる分、容器本体100の上面開口部から筒状又は柱状の食品が突出するようになり、該食品を容器本体1から取り出しやすくなる。そして、保持手段380として、蓋体300の内面から食品の上部に向かって突出する複数の保持壁部380a,…を設けてもよく、食品の下部の外周を囲むように、容器本体100の底壁部に環状壁部380bを設けてもよい。
【0043】
また、前記実施形態の場合、食品用包装容器Aに収容する食品として、筒状パイナップルPを収容するようにしたが、円柱状に加工されたハムを収容するようにしてもよい。
【0044】
また、前記実施形態の場合、容器本体1と蓋体30との嵌合を内外嵌合にしたが、図9に示すように、立下り部44及び縁部45がなく、折曲部41、立上がり部42、頂部43を有する外周部400による嵌合であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1,100…容器本体、2…本体部、3…底壁部、4…第1凸部、5…第2凸部、6…第1凹部、7a,7b、8a,8b…側面、9…脚部(第2凹部)、9a…突条体、10,34…側壁部、10a…壁面、11…第3凸部、12…第4凸部、13…平坦部、14…上面開口部、15…第1鍔部、16…内環状部、20…外周部、21…第2鍔部、22…外環状部、23,41…折曲部、24,43…頂部、25…垂下部、26,45…縁部、27,46…摘み片、28…嵌合凸部、30,300…蓋体、31…本体部、32…上壁部、32a…凸部、33…下面開口部、34a…壁面、35…段落部、36…第1立上り部、37…鍔部、38,380…保持手段、40,400…外周部、42…第2立上り部、44…立下り部、47…嵌合凹部、50…棚、51…載置台、52…支持板、380a…保持壁部、380b…環状壁部、A…食品用包装容器、P…筒状パイナップル、S…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体(1)と、該容器本体(1)の上面開口部(15)の周縁部に嵌合する蓋体(30)とを備え、容器本体(1)と蓋体(30)とで形成される空間に、筒状又は柱状の食品(P)が直立状態で収容される食品用包装容器において、
蓋体(30)又は容器本体(1)は、収容される食品(P)の少なくとも上部を外方から保持する保持手段(38)が内部に設けられることを特徴とする食品用包装容器。
【請求項2】
前記保持手段(38,380)は、食品(P)の上部の外周を取り囲むように設けられる環状壁部(34,380b)、或いは、該外周に所定の間隔をおいて配置される複数の保持壁部(380a)で構成されることを特徴とする請求項1に記載の食品用包装容器。
【請求項3】
一方の食品用包装容器(A)の容器本体(1)の側壁部(10)と、他方の食品用包装容器(A)の蓋体(30)の側壁部(34)とが安定して当接するように、各側壁部(10,34)にそれぞれ平坦部(13,34a)を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の食品用包装容器。
【請求項4】
容器本体(1)を透明にすると共に、該容器本体(1)の底壁部(2)に下方に窪んだ凹状の脚部(9,…)を形成すると共に、該脚部(9,…)を不透明にすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の食品用包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−46404(P2011−46404A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195718(P2009−195718)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(394018694)株式会社精晃商会 (5)
【Fターム(参考)】