説明

食品用把持具

【課題】使用する度に指先に嵌め込む必要はなく、使用後に容易に廃棄することができる食品用把持具を提供する。
【解決手段】食品用把持具10は内面10aと外面10bとを有し、この食品用把持具10は内面10a側に露出する合成樹脂層21と、外面側に位置する紙材22とを有する細長状基材11からなる。細長状基材11は一方の基材部分11Aと、他方の基材部分11Bと、一方の基材部分11Aと他方の基材部分11Bとを区画する中央部の屈曲部11Cとを有する。屈曲部11Cに長手方向に延びる突出リブ12が設けられて、屈曲部11Cの形状を維持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばポテトチップスなどの油分の多い食品を把持するための食品用把持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばポテトチップスなどの油分の多い食品を把持して食べた後、PCのキーボード等を操作することがある。この場合、食品を把持した後、その都度手洗いしたり、指先を洗ったりしているが、このような手洗い作業は煩雑となっている。
【0003】
このため油分の多い食品を指先で把持するための食品用把持具がいくつか開発されている。
【0004】
しかしながらこのような食品用把持具は、一般に指先に嵌め込まれるサック状のものが多く、食品用把持具を指先に嵌め込む作業が煩雑となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−284508号公報
【特許文献2】特開2002−209933号公報
【特許文献3】特開2007−321306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、食品を把持する際サックのように指先にその都度嵌め込む必要はなく、食品を容易に把持することができるとともに、使用後に簡単に廃棄することができる食品用把持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内面と外面とを有し、その内面において食品を把持する細長状基材からなる食品用把持具において、細長状基材は長手方向中央部に位置し、細長状基材を一方の基材部分と他方の基材部分とに区分する屈曲部を有し、細長状基材の屈曲部に、長手方向に延びる突出リブが形成され、この突出リブによって屈曲部の形状が保持されることを特徴とする食品用把持具である。
【0008】
本発明は、細長状基材は少なくとも内面側に露出する合成樹脂層と、合成樹脂層の外面側に設けられた紙材とを有することを特徴とする食品用把持具である。
【0009】
本発明は、一方の基材部分の先端側外縁と、他方の基材部分の先端側外縁は、いずれも外面側へ折れ曲がることを特徴とする食品用把持具である。
【0010】
本発明は、一方の基材部分内面と、他方の基材部分内面に食品を把持するための把持突起が設けられていることを特徴とする食品用把持具である。
【0011】
本発明は、紙材の外面側に、印刷が施されて印刷物が表示されていることを特徴とする食品用把持具である。
【発明の効果】
【0012】
以上のように本発明によれば、食品用把持具の屈曲部は予め屈曲しているため、使用者は食品用把持具の外面に指先を当接させて食品用把持具を更に屈曲させることにより、食品の内面により食品を容易に把持することができる。この場合、屈曲部に長手方向に延びる突出リブが設けられているため、屈曲部の形状を安定して維持することができる。また屈曲部に薄肉の罫線(ヒンジ)を設ける必要はなく、食品用把持具を何回使用しても屈曲部の繊維が切れて屈曲部の形状が変形することはない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本発明による食品用把持具の一実施の形態を示す斜視図。
【図2】図2は食品用把持具を示す側面図。
【図3】図3は食品用把持具を示す上面図。
【図4】図4は食品用把持具を製造するためのブランク材を示す図。
【図5】図5は食品用把持具を構成する細長状基材の層構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
図1乃至図5は本発明による食品用把持具の一実施の形態を示す図である。
【0016】
図1乃至図5に示すように、食品用把持具10はポテトチップス等の油分の多い食品、あるいはケチャップ等を含む汚れがつき易い食品を把持するためのものであって、内面10aと外面10bとを有している。使用者は食品用把持具10の外面10bに指を当て、食品用把持具10の内面10aによって食品を把持することができる。
【0017】
このような食品用把持具10は細長状基材11からなっており、この細長状基材11は少なくとも食品用把持具10の内面10a側に露出する合成樹脂層21と、合成樹脂層21の外面側に設けられた紙材22とを有している(図5参照)。
【0018】
図5に細長状基材11の層構成を示す。図5に示すように、細長状基材11のうち内面10a側に露出する合成樹脂層21としては、PP(ポリプロピレン)層、PET(ポリエチレンテレフタレート)層、PBT(ポリブチルテレフタレート)、PMP(ポリメチルペンテン)層が用いられ、合成樹脂層21の厚みは20μmとなっている。
【0019】
また紙材22は、坪量300g/mのものが用いられ、紙材22の外面上には、適宜印刷を施すことにより印刷物23を形成することができる。
【0020】
なお、細長状基材11の層構成は、図5に示すものに限られることなく、例えば内面10a側から順に合成樹脂層21および紙材22を配置するとともに、紙材22上に更に合成樹脂製の保護層(図示せず)を設けてもよい。
【0021】
いずれにしても、細長状基材11のうち内面10a側には合成樹脂層21が露出しており、この合成樹脂層21が食品に当接するようになっている。このため食品が油分の多いポテトチップスであったり、ケチャップを含む食品であっても、食品側の油分あるいは汚れが紙材22側へ浸透することはない。
【0022】
また細長状基材11が紙材22を含むため、使用後に食品用把持具10を廃棄する場合も、食品用把持具10を焼却して容易に廃棄することができる。
【0023】
なお、食品用把持具10によって食品を短時間だけ把持する場合は、細長状基材11を紙材22の単層のみで構成してもよい。この場合は、従来の食品用把持具10に比べて、食品用把持具10を安価に製造することができる。
【0024】
次に食品用把持具10の細部構造について、図1乃至図3により詳述する。
【0025】
食品用把持具10は、上述のように細長状基材11からなり、この細長状基材11は長手方向中央部に位置する屈曲部11Cを有し、この屈曲部11Cにより細長状基材11が一方の基材部分11Aと他方の基材部分11Bとに区分されている。
【0026】
このうち一方の基材部分11Aと他方の基材部分11Bは略平坦状をなし、屈曲部11Cは約90°に屈曲している。このため細長状基材11からなる食品用把持具10は屈曲部11Cの90°の屈曲により全体としてL字状形状を有する(図1および図2参照)。そしてL字状形状をもつ食品用把持具10を使用する場合、食品用把持具10の外面10b側に指を当て、屈曲部10Cを中心として食品用把持具10を更に折曲げることにより、内面10a側において食品を把持することができる。
【0027】
また細長状基材11の屈曲部11Cには、長手方向に延びる2本の突出リブ12が設けられ、この2本の突出リブ12によって屈曲部11Cの屈曲形状(90°に屈曲する形状)が維持される。
【0028】
この場合、2本の突出リブ12は外面10b側へ突出するとともに、内面10a側へ凹んでいる。しかしながら突出リブ12は、2本に限られることなく、3本または4本設けてもよく、突出リブ12を内面10a側へ突出させるとともに外面10b側へ凹ませてもよい。
【0029】
さらに一方の基材部分11Aの先端側外縁15Aと、他方の基材部分11Bの先端側外縁15Bは、いずれも食品用把持具10の外面10b側へ向かって45°程度傾斜して折れ曲がっている。このように一方の基材部分11Aの先端側外縁15Aと、他方の基材部分11Bの先端側外縁15Bが外面10b側へ向かって傾斜して折れ曲がるため、食品用把持具10の外面10bに当接された指先を内面10aに把持された食品の油分あるいは汚れから適切に保護することができる。
【0030】
さらにまた、細長状基材11の一方の基材部分11A内面と、他方の基材部分11B内面には、それぞれ食品を把持するための把持突起14が2本ずつ設けられている。各基材部分11A,11Bに設けられた2本の把持突起14は、細長状基材11の長手方向に直交する方向に沿って直線状に設けられているが、各基材部分11A,11Bに把持突起14を3本あるいは4本設けてもよい。
【0031】
さらにまた、各基材部分11A,11B内面に、微細な半球状の把持突起を複数設けてもよい。
【0032】
次にこのような構成からなる本実施の形態の作用について説明する。
【0033】
はじめに食品用把持具10の製造方法について述べる。まず図5に示すような層構成をもつ材料を準備し、この材料を打抜くことにより、図4に示すように、外形が定められた細長形状をもつ平面状のブランク材10Aを得る。
【0034】
次に平面状のブランク材10Aに対して熱プレス加工を施す。このことにより内面10a側に露出する合成樹脂層21と、合成樹脂層21の外面側に設けられた紙材22とを有する細長状基材11からなる食品用把持具10が得られる。
【0035】
この場合、細長状基材11は、長手方向中央部に位置する屈曲部11Cと、屈曲部11Cの両側に位置する一方の基材部分11Aと、他方の基材部分11Bとを有し、屈曲部11Cには屈曲部11Cの形状を保持する突出リブ12が長手方向に沿って形成されている。また一方の基材部分11Aの先端側外縁15Aと、他方の基材部分11Bの先端側外縁15Bは、いずれも外面10b側へ傾斜して折れ曲がっている。
【0036】
使用者は食品用把持具10の外面10bに指先を当て、食品用把持具10を屈曲部11Cを中心として屈曲させることにより、その内面10aにおいて、食品を把持することができる。
【0037】
この場合、食品用把持具10は、屈曲部10Cを中心として予め90°程度屈曲し、全体としてL字形状をもつので、全体として平板状の食品用把持具に比べて食品を容易に把持することができる。
【0038】
また細長状基材11の屈曲部11Cは90°だけ屈曲した形状をもち、この屈曲部11Cに長手方向に延びる突出リブ12を設けることにより屈曲部11Cの形状を維持することができる。この場合、細長状基材11の屈曲部11Cは、一方の基材部分11Aおよび他方の基材部分11Bと同一の厚みを有し、食品用把持具を屈曲させるために薄肉の罫線(ヒンジ)を形成する必要がない。このため薄肉の罫線(ヒンジ)を有する食品用把持具に比べ、食品用把持具10を何回使用しても、屈曲部11Cの紙材22の繊維が切れたり屈曲部11Cが変形することはない。
【0039】
さらに一方の基材部分11Aの先端側外縁15Aと、他方の基材部分11Bの先端側外縁15Bが食品用把持具10の外面10b側へ傾斜して折れ曲がっている。このため、食品用把持具10の外面10bに当接された指先を内面10aに把持された食品の油分あるいは汚れから適切に保護することができる。
【0040】
なお、上記のような食品用把持具10は、使用前において多数積み重ねて(スタックして)保管しておくことができる。また使用後は食品用把持具10を焼却等により容易に廃棄することができる。
【符号の説明】
【0041】
10 食品用把持具
10a 内面
10b 外面
11 細長状基材
11A 一方の基材部分
11B 他方の基材部分
11C 屈曲部
12 突出リブ
14 把持突起
15A 先端側外縁
15B 先端側外縁
21 合成樹脂層
22 紙材
23 印刷物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面と外面とを有し、その内面において食品を把持する細長状基材からなる食品用把持具において、
細長状基材は長手方向中央部に位置し、細長状基材を一方の基材部分と他方の基材部分とに区分する屈曲部を有し、
細長状基材の屈曲部に、長手方向に延びる突出リブが形成され、この突出リブによって屈曲部の形状が保持されることを特徴とする食品用把持具。
【請求項2】
細長状基材は少なくとも内面側に露出する合成樹脂層と、合成樹脂層の外面側に設けられた紙材とを有することを特徴とする請求項1記載の食品用把持具。
【請求項3】
一方の基材部分の先端側外縁と、他方の基材部分の先端側外縁は、いずれも外面側へ折れ曲がることを特徴とする請求項1または2記載の食品用把持具。
【請求項4】
一方の基材部分内面と、他方の基材部分内面に食品を把持するための把持突起が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の食品用把持具。
【請求項5】
紙材の外面側に、印刷が施されて印刷物が表示されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか記載の食品用把持具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−152296(P2012−152296A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12289(P2011−12289)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(508330685)株式会社フジテレビジョン (13)
【出願人】(592163103)ペーパーウェア株式会社 (2)
【Fターム(参考)】