説明

食品等の包装袋

【課題】 ピンホール等の破損発生を効果的に抑えることができるとともに、ピンホール等が発生しても外部への汁漏れ等を生じ難くされ、しかも、真空パックにする際に充分なシール性を確保することができるようにされた食品等の包装袋を提供する。
【解決手段】 骨付き焼豚等の硬質部分を有する食品等を収納して真空パックにするために用いられる包装袋10であって、外側袋体12と内側袋体14とからなる二重袋構造とされ、前記外側袋体12と内側袋体14の両側部13及び底部が15ヒートシールにより一体的に封止結合されるとともに、前記内側袋体14の開口端縁14aが前記外側袋体12の開口端縁12aより所定の距離Lだけ内側に位置せしめられてなる。前記外側袋体12と内側袋体14とにおける、内側袋体14の開口端縁14a近くの部位が、ヒートシールにより前記開口端縁14aに沿って間欠的に結合される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質部分を有する食品等を収納して真空パックにするために用いられる包装袋に係り、特に、輸送時等におけるピンホール等の破損発生を抑えることができるとともに、ピンホール等が発生しても外部への汁漏れ等を生じ難くされた骨付き焼豚等の食品等の包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品等を収納して真空パックにするために用いられる包装袋は、通常、一重構造であった。
【0003】
しかしながら、一重の包装袋に、例えば骨付き焼豚等の硬質部分を有する商品を収納して真空パックとし、これを所定個数ずつ段ボール箱に入れて出荷すると、輸送時等において、段ボール箱と真空パック商品とが擦れ合うこと等に起因して、包装袋にピンホール等が発生し、真空漏れ、汁漏れ等の不具合を生じることがあった。
【0004】
このような不具合の発生を防止すべく、従来、例えば、下記特許文献1等に所載のように、包装袋を二重構造とすることが考えられている。
【0005】
すなわち、特許文献1に所載の包装用二重袋は、尖鋭端部を有する串刺し食品を収納包装するためのもので、外側袋体と内側袋体とからなる二重袋構造とされ、外側袋体と内側袋体の両側部がヒートシールにより一体的に封止結合されるとともに、内側袋体の底部が外側袋体の底部から所定の距離だけ(前記尖鋭端部の長さより大)上側(開口側)に位置せしめられるとともに、内側袋体の開口端縁が外側袋体の開口端縁より外側に位置せしめられてなる。
【0006】
【特許文献1】特開平7−257643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献1に所載の包装用二重袋では、串刺し食品の尖鋭端部によって外側袋体にピンホールが発生するような事態は生じ難くされるが、次のような問題が生じる。
【0008】
すなわち、当該袋(の内側袋体)に商品を収納して真空パックにするためには、外側袋体及び内側袋体の開口端縁近くの部位をヒートシールにより封止結合する必要があるが、開口端縁近くの部位は内外2枚ずつの4枚重ねとなっている。つまり、通常の一重の包装袋の2倍の厚みがある部分をシールすることが要求され、そのため、シール時間を長くしたり、シール温度を高くしたりといった面倒な調整が必要となる。また、場合によっては、既存のヒートシール装置では、充分なシール性を確保できず、真空漏れ、汁漏れ等が発生するおそれもある。
【0009】
さらに、前記包装用二重袋は、尖鋭端部を有する串刺し食品用に特化したものであるので、前記骨付き焼豚等の、串刺し食品以外の商品の包装には不適である。
【0010】
本発明は、前記した如くの問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、ピンホール等の破損発生を効果的に抑えることができるとともに、ピンホール等が発生しても外部への汁漏れ等を生じ難くし、しかも、真空パックにする際に充分なシール性を確保することができるようにされた食品等の包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の目的を達成すべく、本発明に係る食品等の包装袋は、基本的には、硬質部分を有する食品等を収納して真空パックにするために用いられる、外側袋体と内側袋体とからなる二重袋構造の包装袋とされ、前記外側袋体と内側袋体の両側部及び底部がヒートシールにより一体的に封止結合されるとともに、前記内側袋体の開口端縁が前記外側袋体の開口端縁より所定の距離だけ内側に位置せしめられていることを特徴としている。
【0012】
好ましい態様では、前記外側袋体と内側袋体とにおける、前記内側袋体の開口端縁近くの部位が、ヒートシールにより前記開口端縁に沿って間欠的に結合される。
他の好ましい態様では、前記外側袋体と内側袋体は、材質が異なるものとされる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る食品等の包装袋は、外側袋体と内側袋体とからなる二重袋構造となっており、外側袋体と内側袋体とは、両側部、底部、及び開口端縁近くの部位で封止結合されるだけで、他の部分は相互に滑り接触部分となるので、大きな摩擦は発生せず、その結果、ピンホール等の破損発生を効果的に抑えることができるとともに、内側袋体にピンホール等が発生しても、外側袋体が存在していることから、外部への真空漏れ、汁漏れ等を生じ難くできる。
【0014】
また、内側袋体の開口端縁が外側袋体の開口端縁より所定の距離だけ内側に位置せしめられているので、当該袋(の内側袋体)に商品を収納して真空パックにする際、内側袋体が存在しない、外側袋体の開口端縁近くの部位をヒートシールにより封止結合すればよい。つまり、従来の包装用二重袋のように、4枚重ねとなっている部分ではなく、通常の一重の包装袋と同じ2枚重ね部分をシールすればよい。そのため、シール時間やシール温度は従来通りでよく、また、既存のヒートシール装置で充分なシール性を確保できる。
【0015】
さらに、外側袋体と内側袋体とにおける、内側袋体の開口端縁近くの部位が、ヒートシールにより前記開口端縁に沿って間欠的に結合されるので、外側袋体(の開口端縁)を通常の一重の袋と同様に開けば、それに追従して内側袋体(の開口端縁)が確実に開かれる。このため、商品を内側袋体内ではなく、外側袋体と内側袋体との間に入れてしまうような事態を確実に回避できる。また、間欠的にヒートシールを行うことにより、外側袋体と内側袋体との間に残留する空気を容易に抜くことができる。
【0016】
上記に加え、前記外側袋体と内側袋体の材質を異ならしめることにより、同一材質のものを用いる場合に比して、ピンホール等の破損発生率を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の食品等の包装袋の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明に係る食品等の包装袋の一実施形態を示す平面図、図2(A)は、図1のA−A矢視線に従う拡大断面図、(B)は(A)のB部の拡大図である。なお、添付図面においては、袋構成体の厚み、隙間等は、便宜上、誇張して描かれている。
【0018】
本実施形態の食品等の包装袋10は、骨付き焼豚等の硬質部分を有する食品1(図5〜図8参照)を収納して真空パックにするために用いられる、無色透明で平面視矩形状の包装袋である。
【0019】
この包装袋10は、図1、図2に加えて、図3、図4を参照すればよくわかるように、外側袋体12と内側袋体14とからなる二重袋構造とされ、外側袋体12と内側袋体14の両側部13及び底部15がヒートシールにより一体的に封止結合されるとともに、内側袋体の開口端縁14aが外側袋体12の開口端縁12aより所定の距離La(図1〜図4参照)だけ内側に位置せしめられている。
【0020】
また、外側袋体12と内側袋体14とにおける、内側袋体14の開口端縁14a近くの部位が、ヒートシールにより前記開口端縁14aに沿って間欠的に結合されている(結合部16、16、・・・)。
【0021】
そして、前記外側袋体12と内側袋体14とは、材質が異ならしめられている。すなわち、外側袋体12は、5層で厚みが80ミクロンの第1フィルム[材料(厚み[ミクロン]):PBT(6)/AD(8)/NY(20)/AD(8)/LLDPE(38)]が用いられ、内側袋体14は、5層で厚みが80ミクロンの第2フィルム[材料(厚み(ミクロン)):LLDPE(12)/AD(6)/NY(20)/AD(6)/LLDPE(36)]が用いられている。ここで、PBT:特殊ポリエステル、AD:糊の役目、NY:ナイロン、LLDPE:ポリエチレン、である。
【0022】
かかる構成の包装袋10においては、図5〜図8に示される如くに、外側袋体12の開口端縁を開いて、内側袋体14内に骨付き焼豚等の硬質部分を有する、予め不織布袋3内に入れられている食品1を収納し、しかる後、真空パックにすべく、真空引きを行うとともに、外側袋体12の開口端縁12a近くの部位をヒートシールにより封止結合する(封止結合部17)。
【0023】
このような構成とされた本実施形態の食品等の包装袋10は、外側袋体12と内側袋体14とからなる二重袋構造となっており、外側袋体12と内側袋体14とは、両側部13、底部15、及び開口端縁12a近くの部位17で封止結合されるだけで、他の部分は相互に滑り接触部分となるので、大きな摩擦は発生せず、その結果、ピンホール等の破損発生を効果的に抑えることができるとともに、内側袋体14にピンホール等が発生しても、外側袋体12が存在していることから、外部への真空漏れ、汁漏れ等を生じ難くできる。
【0024】
また、内側袋体14の開口端縁14aが外側袋体12の開口端縁12aより所定の距離Laだけ内側に位置せしめられているので、当該袋10(の内側袋体14)に商品を収納して真空パックにする際、内側袋体14が存在しない、外側袋体12の開口端縁12a近くの部位17をヒートシールにより封止結合すればよい。つまり、従来の包装用二重袋のように、4枚重ねとなっている部分ではなく、通常の一重の包装袋と同じ2枚重ね部分をシールすればよい。そのため、シール時間やシール温度は従来通りでよく、また、既存のヒートシール装置で充分なシール性を確保できる。
【0025】
さらに、外側袋体12と内側袋体14とにおける、内側袋体14の開口端縁14a近くの部位16、16、・・・が、ヒートシールにより前記開口端縁14aに沿って間欠的に結合されるので、外側袋体(の開口端縁)を通常の一重の袋と同様に開けば、それに追従して内側袋体(の開口端縁)が確実に開かれる(図4〜図6参照)。このため、商品を内側袋体14内ではなく、外側袋体12と内側袋体14との間に入れてしまうような事態を確実に回避できる。また、間欠的にヒートシール(16、16、・・・)を行うことにより、外側袋体12と内側袋体14との間に残留する空気を容易に抜くことができる。
【0026】
上記に加え、前記外側袋体12と内側袋体14の材質を異ならしめることにより、同一材質のものを用いる場合に比して、ピンホール等の破損発生率を低減することができる。
【0027】
なお、食品1を不織布袋3内に入れて、当該包装袋10に収納することにより、不織布袋3がクッション的に働き、より一層、ピンホール等の破損発生を抑えることができる。不織布袋3は、元は白いが真空パックにすると煮汁が染み込んで半透明となり、中の食品1が見えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る食品等の包装袋の一実施形態を示す平面図。
【図2】(A)は、図1のA−A矢視線に従う拡大断面図、(B)は(A)のB部の拡大図。
【図3】図1に示される包装袋の閉状態斜視図。
【図4】図1に示される包装袋の開状態斜視図。
【図5】図1に示される包装袋を開いて食品を収納している様子を示す断面図。
【図6】図1に示される包装袋を開いて食品を収納している様子を示す断面図。
【図7】図1に示される包装袋で食品を真空パックにした状態を示す断面図。
【図8】図1に示される包装袋で食品を真空パックにした状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0029】
1 ・・・食品(骨付き焼豚)
3 ・・・不織布袋
10・・・包装袋
12・・・外側袋体
12a・・・開口端縁
13・・・両側部
14・・・内側袋体
14a・・・開口端縁
15・・・底部
16・・・間欠結合部
17・・・封止結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬質部分を有する食品等を収納して真空パックにするために用いられる包装袋であって、
外側袋体と内側袋体とからなる二重袋構造とされ、前記外側袋体と内側袋体の両側部及び底部がヒートシールにより一体的に封止結合されるとともに、前記内側袋体の開口端縁が前記外側袋体の開口端縁より所定の距離だけ内側に位置せしめられていることを特徴とする食品等の包装袋。
【請求項2】
前記外側袋体と内側袋体とにおける、前記内側袋体の開口端縁近くの部位が、ヒートシールにより前記開口端縁に沿って間欠的に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の食品等の包装袋。
【請求項3】
前記外側袋体と内側袋体は、材質が異なっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品等の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−8524(P2007−8524A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−191296(P2005−191296)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000118497)伊藤ハム株式会社 (57)
【Fターム(参考)】