説明

食器洗浄機

【課題】より確実な洗浄を行うことができる節水制御が可能な食器洗浄機を得る。
【解決手段】被洗浄物である食器7を洗浄するための洗浄槽1内の洗浄水3の導電度を検出する導電度検出手段34と、導電度検出手段34による洗浄前の検出に係る導電度とすすぎを所定時間行った後の導電度とに基づいて、すすぎの回数及びすすぎ時間の少なくとも一方を減らしてさらにすすぎを行う節水制御を行うかどうかを判断する処理を行う制御装置12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗浄機に係るものである。特に節水に係る判断に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、食器洗浄機においては、洗浄槽内に水を溜め、その水をノズルにより噴射して食器洗浄を行う。ここで、例えば噴射により食器から落ちた汚れの量等に応じてすすぎ回数等を設定しながら運転を行うことができる食器洗浄機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平7−108275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、汚れの量等を判断することができれば、その判断等に応じてすすぎ回数等を削減する等、節水、省エネルギー等をはかる節水制御をしながら運転を行うことも可能である。ここで、上述した食器洗浄機においては、例えば、洗浄等に係る水の透過度を検出し、透過度に基づいて汚れの量等の判断等を行う。ただ、例えば塩分等のような汚れは、透過度を検出することができない等、汚れの種類によっては洗浄性能を満足できないまま終了してしまう可能性があった。
【0005】
そこで、本発明では、より確実な洗浄を行うことができる節水制御が可能な食器洗浄機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る食器洗浄機は、被洗浄物を洗浄するための洗浄槽内の水の導電度を検出する導電度検出手段と、導電度検出手段の検出に係る洗浄前の導電度とすすぎを所定時間行った後の導電度とに基づいて、すすぎの回数及びすすぎ時間の少なくとも一方を減らしてさらにすすぎを行う節水制御を行うかどうかを判断する処理を行う制御装置とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の食器洗浄機によれば、導電度検出手段を有し、制御装置が、洗浄前とすすぎ後とにおける水の導電度に基づいて、節水制御を行うかどうかを判断する処理を行うようにしたので、例えば、透過度検出手段が検出できないような塩分等の汚れが食器等に残っていた場合には、すすぎ時間、回数等を減らさずにすすぎを行うことができ、節水制御が可能な食器洗浄機において、被洗浄物をより確実に洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機の構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施の形態1における食器洗浄機の制御に係る構成を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る制御装置12が行う洗浄工程における処理のフローチャートを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る制御装置12が行うすすぎ工程における処理のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る制御装置12が行う加熱すすぎ工程における処理のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る食器洗浄機の構成を説明するための図である。図1において、洗浄槽1の上部には、洗浄槽1内に洗浄水3(すすぎ用の水等も含む)となる水を供給するための給水手段となる給水弁2が設けられている。また、洗浄槽1の下部には、洗浄水3を洗浄ノズル5に圧送するための洗浄ポンプ4が設けられている。例えば、洗浄ポンプ4は回転数が一定のDCモータによって駆動される。洗浄ノズル5は複数の噴射口6を有しており、洗浄ポンプ4から送られた洗浄水3を複数の噴射口6から噴射しながら回転する。
【0010】
また、洗浄槽1内において、例えば被洗浄物である茶碗、皿等の食器7を収納する食器かご8が、洗浄ノズル5の上方に配置されている。また、洗浄ノズル5の下方に、洗浄槽1内に貯えられた洗浄水3を加熱する発熱体9が配設されている。また、洗浄水3を外部に排水するための排水ポンプ10が配設されている。さらに、食器7の洗浄によって洗い流されたカス等の汚物を収集するフィルタ11が着脱可能に設置されている。洗浄槽1の上部で後側には送風ファン13が設けられ、洗浄槽1の上部で前側には排気口14が設けられている。
【0011】
図2は本発明の実施の形態1における食器洗浄機の制御に係る構成を説明するための図である。図1に示す制御装置12は、制御手段となるマイクロコンピュータ20を有している。マイクロコンピュータ20は、例えば各種検出手段の検出に係る信号に基づいて処理を行って信号を送り、発熱体9、洗浄ポンプ4等の動作を制御する。例えば、本実施の形態では、透過度検出手段32からの信号に基づいて、すすぎに係る処理を行う。
【0012】
また、温度検出手段15は洗浄水3の温度を検出するための手段である。水量検出手段16は、洗浄槽1の下部に貯留している洗浄水3の水位を検出するための手段である。透過度検出手段32は、例えば発光素子、受光素子を有し、洗浄水3を通過した発光素子からの光を受光素子が受光することで、洗浄水3の透過度を検出するための手段である。ここで、透過度検出手段32は、防水等を考慮して、例えば透明性が高い樹脂などを介して検出を行うものとする。導電度検出手段34は、洗浄水3の導電度を検出するための手段である。
【0013】
スイッチ入力部21は、使用者が機器の運転指示等を入力するための各種スイッチを備えている。記憶装置33はマイクロコンピュータ20が処理を行うために必要なデータ、プログラム等を記憶する。特に本実施の形態では、導電度検出手段34の検出に係る導電度のデータを一時的に記憶する。表示部22は、例えば食器洗浄に係る各工程に応じて設けられた複数のランプ(LED)等を有し、使用者に経過等を表示する。表示部駆動回路23は、マイクロコンピュータ20からの信号に応じて表示部22に表示を行わせる。
【0014】
さらに、給水弁駆動回路24は、マイクロコンピュータ20からの信号に基づいて給水弁2を駆動させて弁を開放、閉止させる回路である。洗浄ポンプ駆動回路25は、マイクロコンピュータ20からの信号に基づいて洗浄ポンプ4を駆動、停止させる回路である。排水ポンプ駆動回路26は、マイクロコンピュータ20からの信号に基づいて排水ポンプ10を駆動、停止させる回路である。送風ファン駆動回路27は、マイクロコンピュータ20からの信号に基づいて送風ファンを駆動、停止させる回路である。発熱体駆動回路19は、マイクロコンピュータ20からの信号に基づいて発熱体9を発熱、停止させる回路である。
【0015】
図3は本発明の実施の形態1に係る制御装置12(マイクロコンピュータ20)が行う洗浄工程における処理のフローチャートを示す図である。例えば使用者は食器かご8に食器7を配置した後、スイッチ入力部21のスタートスイッチを押す。マイクロコンピュータ20は、スイッチ入力部21のスタートスイッチが押されたものと判断すると、洗浄工程を開始する(S1)。洗浄工程を開始すると、給水弁駆動回路24に給水弁2をON(開放)させ、洗浄槽1への給水を開始させる(S2)。水量検出手段16の検出に基づいて洗浄槽1における洗浄水3の水位が第1の所定水位(洗浄槽1の大きさにより異なる)になったものと判断すると(S3)、給水弁駆動回路24に給水弁2をOFF(閉止)させる(S4)。ここでは、水位を判断して給水弁2をOFFさせるようにしたが、例えば給水開始から所定時間(例えば180秒)が経過したものと判断するとOFFさせるようにしてもよい(以下の給水においても同じ)。
【0016】
さらに、透過度検出手段32の検出に基づいて、透過度(1回目)を判断する(S5)。透過度(1回目)はデータとして記憶装置33に記憶する。また、導電度検出手段34の検出に基づいて、導電度(1回目)を判断する(S6)。そして、洗浄ポンプ駆動回路25に信号を送り、洗浄ポンプ4を駆動させる(S7)。洗浄ポンプ4の駆動により洗浄水3を複数の噴射口6から噴射して食器7を洗浄する。さらに発熱体駆動回路19に信号を送り、発熱体9を発熱させる(S8)。そして、温度検出手段15の検出に係る温度に基づいて、洗浄水3の温度が所定温度以上となったものと判断すると(S9)、発熱体駆動回路19に信号を送り、発熱体9の発熱を停止させる(S10)。
【0017】
さらに所定時間が経過したものと判断すると(S11)、透過度検出手段32の検出に基づいて、透過度(2回目)を判断する(S12)。透過度(2回目)はデータとして記憶装置33に記憶する。そして、洗浄ポンプ駆動回路25に信号を送り、洗浄ポンプ4を停止させる(S13)。また、排水ポンプ駆動回路26に信号を送り、排水ポンプ10を駆動させる(S14)。水量検出手段16の検出に基づいて洗浄槽1から洗浄水3の排水が終了したものと判断すると(S15)、排水ポンプ駆動回路26に信号を送り、排水ポンプ10を停止させ(S16)、洗浄工程を終了する(S17)。
【0018】
図4は本発明の実施の形態1に係る制御装置12(マイクロコンピュータ20)が行うすすぎ工程における処理のフローチャートを示す図である。洗浄工程を終了すると、マイクロコンピュータ20は、すすぎ工程(1回目)を開始する(S21)。すすぎ工程を開始すると、給水弁駆動回路24に給水弁2をON(開成)させ、洗浄槽1への給水を開始する(S22)。そして、水量検出手段16の検出に基づいて、洗浄槽1における洗浄水3の水位が第2の所定水位になったものと判断すると(S23)、給水弁駆動回路24に給水弁2をOFF(閉成)させる(S24)。ここで、第2の所定水位は第1の所定水位と同じ水位であってもよい(以下の所定水位でも同様)。
【0019】
そして、洗浄ポンプ駆動回路25に信号を送り、洗浄ポンプ4を駆動させる(S25)。洗浄ポンプ4の駆動により洗浄水3を複数の噴射口6から噴射して食器7をすすぐ。所定時間が経過したものと判断すると(S26)、導電度検出手段34の検出に基づいて、導電度(2回目)を判断する(S27)。また、洗浄ポンプ駆動回路25に信号を送り、洗浄ポンプ4を停止させる(S28)。
【0020】
排水ポンプ駆動回路26に信号を送り、排水ポンプ10を駆動させる(S29)。水量検出手段16の検出に基づいて洗浄水3の水位を検出し、洗浄槽1からの排水が終了したものと判断すると(S30)、排水ポンプ駆動回路26に信号を送り、排水ポンプ10を停止させて(S31)、すすぎ工程(1回目)を終了する(S32)。
【0021】
そして、洗浄工程での検出に係る透過度(1回目)と透過度(2回目)との比(透過度(1回目)に対する透過度(2回目)の割合)が、例えば透過設定値以上であるかどうかを判断する(S33)。透過度(1回目)と透過度(2回目)との比が透過設定値以上であると判断すると、さらに、導電度(1回目)と導電度(2回目)との比(導電度(1回目)に対する導電度(2回目)の割合)が、例えば導電設定値以上であるかどうかを判断する(S34)。
【0022】
一方、S33において、透過度(1回目)と透過度(2回目)との比が透過設定値以上でないと判断すると、又はS34において、導電度(1回目)と導電度(2回目)との比が導電設定値以上でないと判断すると、すすぎ工程(2回目)を実行する(S35)。すすぎ工程(2回目)については、すすぎ工程(1回目)と同じ工程を行う。ここで、すすぎ工程(2回目)については、すすぎ時間(所定時間)を異なる時間にしてもよい。また、S33とS34とについては順序を入れ替えるようにしてもよい。
【0023】
そして、導電度(1回目)と導電度(2回目)との比が導電設定値以上であると判断するか、すすぎ工程(2回目)を実行すると、すすぎ工程を終了する(S36)。
【0024】
図5は本発明の実施の形態1に係る制御装置12(マイクロコンピュータ20)が行う加熱すすぎ工程における処理のフローチャートを示す図である。すすぎ工程(1回目又は2回目)を終了すると、マイクロコンピュータ20は、加熱すすぎ工程を開始する(S41)。加熱すすぎ工程を開始すると、給水弁駆動回路24に給水弁2をON(開成)させ、洗浄槽1への給水を開始する(S42)。そして、水量検出手段16の検出に基づいて洗浄水3の水位を検出し、第3の所定水位になったものと判断すると(S43)、給水弁駆動回路24に給水弁2をOFF(閉成)させる(S44)。
【0025】
そして、洗浄ポンプ駆動回路25に信号を送り、洗浄ポンプ4を駆動させる(S45)。さらに発熱体駆動回路19に信号を送り、発熱体9の発熱を開始させる(S46)。そして、温度検出手段15の検出に係る温度に基づいて、洗浄水3の温度が所定温度以上となったものと判断すると(S47)、発熱体駆動回路19に信号を送り、発熱体9の発熱を停止させる(S48)。
【0026】
さらに所定時間が経過したものと判断すると(S49)、洗浄ポンプ駆動回路25に信号を送り、洗浄ポンプ4を停止させる(S50)。また、 排水ポンプ駆動回路26に信号を送り、排水ポンプ10を駆動させる(S51)。水量検出手段16の検出に基づいて洗浄水3の水位を検出し、洗浄槽1からの排水が終了したものと判断すると(S52)、排水ポンプ駆動回路26に信号を送り、排水ポンプ10を停止させ(S53)、加熱すすぎ工程を終了する(S54)。加熱すすぎ工程後は例えば食器乾燥工程を行う等して一連の動作を終了する。
【0027】
以上のように、実施の形態1の食器洗浄機によれば、導電度検出手段34を有し、食器7の洗浄前とすすぎ(1回目)後とにおける洗浄水の導電度の比に基づいて、例えば、透過度検出手段32が検出できないような塩分等の汚れが食器7に残っていると、節水制御を行わず、洗浄性能の維持を優先させて行うことで、例えば、確実な洗浄を行って食器7を清潔にすることができる。
【0028】
実施の形態2.
上述の実施の形態1においては、制御装置12(マイクロコンピュータ20)は、すすぎ工程のS34において、導電度(1回目)と導電度(2回目)との比に基づいて、再度すすぎを行うかどうかを判断するようにしたが、例えば導電度(1回目)と導電度(2回目)との差に基づいて判断を行うようにしてもよい。また、実施の形態1におけるすすぎ工程のS33において、透過度(1回目)と透過度(2回目)との比に基づいてすすぎ工程(2回目)実行の判断を行うようにしたが、透過度(1回目)と透過度(2回目)との差に基づいて判断を行うようにしてもよい。
【0029】
そして、上述の実施の形態1においては、すすぎ回数を最大2回としたが、回数を限定するものではない。また、上述の実施の形態1においては、すすぎ回数の変更を節水制御として行うようにしたが、例えば、すすぎ時間の変更等を行うようにしてもよい。この場合には、例えばすすぎ工程における給水開始前等に、透過度(1回目)と初期透過度との関係、透過度(1回目)と透過度(2回目)との関係に基づいて、時間変更するか否かを判断するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 洗浄槽、2 給水弁、3 洗浄水、4 洗浄ポンプ、5 洗浄ノズル、6 噴射口、7 食器、8 食器かご、9 発熱体、10 排水ポンプ、11 フィルタ、12 制御装置、13 送風ファン、14 排気口、15 温度検出手段、16 水量検出手段、19 発熱体駆動回路、20 マイクロコンピュータ、21 スイッチ入力部、22 表示部、23 表示部駆動回路、24 給水弁駆動回路、25 洗浄ポンプ駆動回路、26 排水ポンプ駆動回路、27 送風ファン駆動回路、32 透過度検出手段、33 記憶装置、34 導電度検出手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物を洗浄するための洗浄槽内の水の導電度を検出する導電度検出手段と、
前記導電度検出手段の検出に係る洗浄前の導電度とすすぎを所定時間行った後の導電度とに基づいて、前記すすぎの回数及びすすぎ時間の少なくとも一方を減らしてさらにすすぎを行う節水制御を行うかどうかを判断する処理を行う制御装置と
を備えることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記制御装置は、前記洗浄前の導電度と前記すすぎを所定時間行った後の導電度との比又は差とあらかじめ定めた値との比較により前記判断を行うことを特徴とする請求項1に記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記水の透過度を検出する透過度検出手段をさらに備え、
前記制御装置は、前記透過度検出手段の検出に係る前記洗浄前の透過度と前記洗浄後の透過度とに基づいて、前記節水制御を行うかどうかを判断する処理をさらに行い、前記導電度及び前記透過度に基づく判断が、共に前記節水制御を行うものと判断したときに前記節水制御を行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食器洗浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−85765(P2013−85765A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230060(P2011−230060)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】