説明

食器篭

【課題】食器の収納および取り出しを行う際の省スペース化が図れるとともに、操作および構成を簡素化することができる食器篭を提供することを目的とする。
【解決手段】食器200を支持する複数の固定食器支持体21、22と、複数の可動食器支持体23、24と、回動部材25、26、29、30と、回動部材の回動支点部27、28、31、32と、可動食器支持体を回動付勢する回動付勢手段54、55と、可動食器支持体の各々を、食器の周端部を支持する位置に係止する係止手段39と、を備え、係止手段による可動食器支持体の係止解除の操作によって、可動食器支持体の各々を、回動付勢手段の付勢力により回動させて食器の周端部を支持する位置から可動食器支持体同士が互いに離れる方向で、かつ食器の外径よりも大きい位置に移動させ、可動食器支持体間から食器の収納および取出しを行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に学校、病院等の給食のように皿、お椀、トレイなどの被洗浄物である食器を比較的大量に使用する状況において、複数の食器を重ねた状態で収納する食器篭に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の複数の食器を収納し、この食器の運搬または食器の洗浄等に供する食器篭としては、下記のものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載されているように、上下方向に積層された複数の被収容物(食器)の側方へのずれを制限することで被収容物の積層した状態を保持する側方当接部(支持体)を有し、この側方当接部の一方側を、下端側を支点として縦方向に回動させて倒し、被収容物の収納および取り出しを行うものがある。
【0004】
また、特許文献2に記載されているように、食器を支持する支持体を各々に有する収納部と蓋部とに分割し、前記蓋部を、収納部に対して一方を回動支点として横方向に回動させ、食器の収納および取り出しを行うものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−217284号公報
【特許文献2】特開平10−137172号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載されたものは、食器(被収容物)の収納および取り出しを行う際、複数の食器の周端部を支持する複数の支持体(側方当接部)の一方側を、下端側を支点として縦方向に回動させて倒す構成となっているため、倒した支持体の占めるスペースが必要で、広い作業スペースが必要となる。また、倒した支持体がむき出しになっているため、これを避けながらの食器の収納および取り出しとなる。さらに、回動させる支持体のサイズ、質量が大きく、作業性、操作性の面からも課題を有している。また、複数の食器を収納後、支持体を再び縦方向に回動させて係合部を介して固定するが、この固定操作を万一忘れて把持部(取手)を持って運搬しようした場合、食器が脱落する恐れがある。
【0007】
また、前記特許文献2に記載されたものは、食器(被収容物)の収納および取り出しを行う際、複数の食器の周端部を支持する複数の支持体を有する蓋部を、一方を回動支点として横方向開閉させる構成となっているため、蓋部の回動軌跡スペースおよび開状態時において蓋部の占めるスペースが必要で、広い作業スペースが必要となる。また、篭本体と蓋部を二分割して構成するため、構成の簡素化が求められている。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、食器の収納および取り出しを行う際の省スペース化を図るとともに、操作および構成を簡素化した食器篭を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の食器篭は、篭本体と、前記篭本体に複数の食器の周端部を重ね方向に沿って支持する複数の支持体を有する食器篭であって、前記食器の一方の半周側の周端部を重ね方向に沿って支持する篭本体に固定した複数の固定食器支持体と、前記食器の他方の半周側の周端部を重ね方向に沿って支持する押え用の複数の可動食器支持体と、前記可動食器支持体の長手方向の両端の各々に固定した支持部材と、前記篭本体に備えた支持部材の回動支点部と、前記可動食器支持体を、回動支点部を中心として食器の周端部を支持する位置から離れる方向に回動付勢する回動付勢手段と、前記可動食器支持体の各々を食器の周端部を支持する位置に係止する係止手段と、を備え、前記係止手段による可動食器支持体の係止解除の操作によって、前記可動食器支持体の各々を前記回動付勢手段の付勢力により回動させて食器の周端部を支持する位置から可動食器支持体同士が互いに離れる方向で、かつ食器の外径よりも大きい位置に移動させ、前記可動食器支持体間から食器の収納および取出しを行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の食器篭によれば、食器の収納および取り出しを行う際の省スペース化が図れるとともに、操作および構成を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1の縦方向の姿勢の食器篭における食器の収納または取出し時の状態を示す斜視図。
【図2】食器の収納時の状態を示す斜視図。
【図3】(a)トーションバネの付勢開放状態時の斜視図、(b)同付勢状態時の斜視図。
【図4】(a)図1、図2における食器位置規制部材の平面図、(b)同食器位置規制部材の側面図。
【図5】可動食器支持体を係止する状態を示す係止機構部の斜視図。
【図6】(a)〜(c)可動食器支持体を係止する状態を示す係止機構部の部分拡大図。
【図7】食器収納後における可動食器支持体の係止後の係止機構部を示す斜視図。
【図8】可動食器支持体の係止解除時の係止機構部を示す斜視図。
【図9】食器篭に食器を収納した後の状態を示す図1の側方図。
【図10】食器を収納した食器篭の横方向の姿勢における構成図。
【図11】図10における側面図。
【図12】本発明の実施形態2の縦方向の姿勢の食器篭の正面図。
【図13】図12における上面図。
【図14】本発明の実施形態3の縦方向の姿勢の食器篭における食器の収納または取出し時の状態を示す斜視図。
【図15】同食器の収納時の状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の請求項1記載の発明は、篭本体と、前記篭本体に複数の食器の周端部を重ね方向に沿って支持する複数の支持体を有する食器篭であって、前記食器の一方の半周側の周端部を重ね方向に沿って支持する篭本体に固定した複数の固定食器支持体と、前記食器の他方の半周側の周端部を重ね方向に沿って支持する押え用の複数の可動食器支持体と、前記可動食器支持体の長手方向の両端の各々に固定した支持部材と、前記篭本体に備えた支持部材の回動支点部と、前記可動食器支持体を、回動支点部を中心として食器の周端部を支持する位置から離れる方向に回動付勢する回動付勢手段と、前記可動食器支持体の各々を食器の周端部を支持する位置に係止する係止手段と、を備え、前記係止手段による可動食器支持体の係止解除の操作によって、前記可動食器支持体の各々を前記回動付勢手段の付勢力により回動させて食器の周端部を支持する位置から可動食器支持体同士が互いに離れる方向で、かつ食器の外径よりも大きい位置に移動させ、前記可動食器支持体間から食器の収納および取出しを行うことを特徴とする食器篭としたものである。
【0013】
これにより、複数の可動食器支持体の各々を互いに離して、食器の周端部を支持する位置から食器が通過できる位置に移動させ、この移動させた可動食器支持体間から食器の収納および取出しを可能とするもので、各々の可動食器支持体の移動距離が小さく、前記従来の食器篭のような広い作業スペースを必要としない。さらに、係止手段による可動食器支持体の係止解除の操作のみで、可動食器支持体の各々を回動付勢手段の付勢力により回動させて食器が通過できる位置に自動的に移動させることができる。したがって、食器の収納および取り出しを行う際の省スペース化が図れるとともに、操作および構成を簡素化することができる。
【0014】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、係止手段は、可動食器支持体を食器の周端部を支持する位置に係止する先端係止部と、前記先端係止部に有する傾斜面と、食器の周端部を支持する位置にある前記可動食器支持体を係止する方向に付勢する係止付勢手段と、を備え、前記可動食器支持体を前記先端係止部の傾斜面へ当接、摺動させて前記係止付勢手段の付勢力に抗して先端係止部を移動させ、前記可動食器支持体が先端係止部の傾斜面の先端を通過した後、前記係止付勢手段の付勢力により係止部を移動させて可動食器支持体を食器の周端部を支持する位置に係止することを特徴とする食器篭としたものである。
【0015】
これにより、係止手段を何ら操作することなく、可動食器支持体を回動付勢手段の付勢力に抗して回動させるのみで、可動食器支持体を、食器の周端部を支持する位置に係止することができる。したがって、可動食器支持体の係止を確実に行うことがでるとともに操作を簡素化することができる。
【0016】
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、積み重ねた複数の食器を出し入れする縦方向の姿勢にした篭本体の載置面側となる下面側に係止手段を配置し、前記係止手段による可動食器支持体の係止解除を篭本体の内側から操作できるようにしたことを特徴とする食器篭としたものである。
【0017】
これにより、食器を収納するときの縦方向の姿勢にした篭本体の載置面(例えば作業台)の高さが低い場合、係止手段が篭本体の載置面側となる下面側に位置することによって、係止手段の操作目線が斜め上側から下側となり操作を確実に、容易に行うことができる。
【0018】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1また2に記載の発明において、積み重ねた複数の食器を出し入れする縦方向の姿勢にした篭本体の上面側に係止手段を配置し、前記係止手段による可動食器支持体の係止解除を篭本体の内側から操作できるようにしたことを特徴とする食器篭としたものである。
【0019】
これにより、食器を収納するときの縦方向の姿勢にした篭本体の載置面(例えば作業台)の高さが高い場合、係止手段が篭本体の上面側に位置することによって、係止手段の操作目線がほぼ水平、または斜め下側から上側となり操作を確実に、容易に行うことができる。
【0020】
本発明の請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、複数の食器の重ね方向の先頭に位置する食器の表面と、最後尾に位置する食器の裏面との距離を調整する食器位置調整部材を可動食器支持体および固定食器支持体に備え、前記食器位置調整部材を可動食器支持体とともに食器の外径よりも大きい位置に各々移動させることを特徴とする食器篭としたものである。
【0021】
これにより、可動食器支持体とともに食器位置調整部材も移動し、かつ食器位置調整部材間は食器の外径よりも大きい位置に各々移動することで食器の収納および取り出しをより容易に行うことができる。
【0022】
本発明の請求項6記載の発明は、請求項1〜3、または5のいずれか1項に記載の発明において、可動食器支持体の各々を、食器の周端部を支持する位置から可動食器支持体同士が互いに離れる方向で、かつ食器の外径よりも大きい位置に移動させたとき、縦方向の姿勢とした篭本体の上面の開口部および正面の開口部から食器の収納および取出しを可能としたことを特徴とする食器篭としたものである。
【0023】
これによって、収納および取出し方向が多面となり、より容易に食器の出し入れを行うことができる。さらに、例えば縦方向の姿勢の篭本体を載せる作業台等の高さが比較的高い場合には、正面の開口部から食器の収納および取出しを行い、作業台等の高さが比較的低い場合には、上面の開口部から食器の収納および取出しを行えるようにして、状況に応じてさらに容易に食器の出し入れを行うことができる。
【0024】
本発明の請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の発明において、複数の食器を収納した後、固定食器支持体を下方側、可動食器支持体を上方側として運搬する取手を篭本体に備えたことを特徴とするとするものである。
【0025】
これにより、可動食器支持体の回動機構部、係止機構部(係止手段)にかかる振動、衝撃力が弱められる。したがって、可動食器支持体の回動機構部、係止機構部(係止手段)の構成の簡素化、耐久性の向上を図ることができる。さらに、可動食器支持体によって、食器の飛び出し、脱落、食器の破損を防止することができる。
【0026】
さらに、複数の食器を収納した後、可動食器支持体を食器の周端部を支持する位置に回動、移動させる操作、および係止機構部(係止手段)によって可動食器支持体を係止するまでの操作を万一行わず、複数の食器を収納した縦方向の姿勢の食器篭を、取手を持って横方向(水平方向)の姿勢としてしまうことがあっても、食器の収納、取り出しを行う開口部が上方側となっていることから食器の飛び出し、脱落、食器の破損を防止することができる。
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
本発明の実施形態1の食器篭について図1〜図11を参照しながら説明する。先ず、本発明の実施の形態1の食器篭の基本的な構成を説明する。
【0028】
篭本体1は、図1、図2に示すように環状に形成した枠線材2、3と、この枠線材2、3を溶接等により連結固定する連結線材4、5、6、7、8の各々によって外形を四角形状に構成している。また、枠線材2、3の間にはコの字状に形成した中線材9、10が溶接等により線材4、5、6、7、8に連結固定してある。枠線材2には連結線材11、12、さらに、枠線材3には連結線材13が連結固定してある。また、連結線材5、6にこれを回動支点とした取手14、15を各々取り付けている。なお、篭本体1は、例えばステンレス材等を用いた円形状の線材により構成しているが、板状の部材で構成してもよい。また、外形を円形状に構成してもよく、実施形態の構成に限定するものではない。
【0029】
枠線材2、3の間には溶接等により固定部材16、17、18、19が連結固定してあり、固定部材16、17上に食器200の裏面側が載り、食器の裏面側の位置を規制する受板(食器位置規制部材)20が固定してある。
【0030】
固定部材17、19間には、複数重ねた丸形状の食器200の一方(食器の収納方向と対向する側)の半周側の周端部を支持する固定食器支持体21、22を有し、固定食器支持体21、22の長手方向の上下両端部は固定部材17、19の各々に固定している。
【0031】
また、複数重ねた丸形状の食器200の他方(食器の収納方向側、開口部300側)の半周側の周端部を支持する可動食器支持体23を有し、この可動食器支持体23の長手方向の上下両端部は可動部材25、26の各々に固定している。
【0032】
固定食器支持体21、22、および可動食器支持体23、24の各々は、断面が丸形状の棒状体とし、この表面には樹脂コーティングが施されている。
【0033】
可動部材25は回動支点部27を介して固定部材16に支持されている。また、固定部材16には、可動部材25の食器200の周端部を支持する位置(篭本体1の内方向)への回動範囲を規制する回動規制突部33を設けている。また、可動部材25の外方(篭本体1の右側面側)への回動範囲は、可動部材25が連結線材11に接触し規制されるようになっている。
【0034】
可動部材26は回動支点部28を介して固定部材18に支持されている。また、固定部材18には、可動部材26の食器200の周端部を支持する位置(篭本体1の内側方向)への回動範囲を規制する回動規制突部35を設けている。また、可動部材26の外方(篭本体1の右側面側)への回動範囲は、可動部材26が連結線材11に接触し規制されるようになっている。
【0035】
また、複数重ねた丸形状の食器200の他方(食器の収納方向側、開口部300側)の半周側の周端部を支持する可動食器支持体24を有し、この可動食器支持体24の長手方向の上下両端部を可動部材29、30の各々に固定している。
【0036】
可動部材29は回動支点部31を介して固定部材16に支持されている。また、固定部材16には、可動部材29の食器200の周端部を支持する位置(篭本体1の内方向)への回動範囲を規制する回動規制突部34を設けている。また、可動部材29の外方(篭本体1の左側面側)への回動範囲は、可動部材29が枠線材3に形成した突部3aに接触し規制されるようになっている。
【0037】
可動部材30は回動支点部32を介して固定部材18に支持されている。また、固定部材18には、可動部材30の食器200の周端部を支持する位置(篭本体1の内方向)への回動範囲を規制する回動規制突部36を設けている。
【0038】
また、可動部材25、29の各々に、トーションバネ(ねじり圧縮コイルバネ、回動付勢手段)54、55を備えている。このトーションバネ54、55は、図3(a)の付勢開放状態時の斜視図、および、図3(b)の付勢状態時の斜視図に示すようにコイル部54a、55a、直線部54b、54c、55b、55cで構成されている。コイル部54a、55aの中心が各々回動支点部27、31に挿入され、直線部54bが回動規制突部33に接触し、直線部54cが可動部材25に形成した付勢受突部25aに接触している。さらに、直線部55bが回動規制突部34に接触し、直線部55cが可動部材29に形成した付勢受突部29aに接触している。前記トーションバネ54、55によって、可動部材25、29を、回動支点部27、31を中心として回動規制突部33、34と対向する側に回動するように付勢力を与えるものである。
【0039】
回動部材25、26、29、30、回動支点部27、28、31、32、トーションバネ(回動付勢手段)54、55により可動食器支持体23、24の回動機構部を構成しているものである。
【0040】
なお、作業台等に縦方向(鉛直方向)に載置した篭本体1は、受台20側を底面、受台20と対向する上側を上面、固定食器支持体21、22側を後面、可動食器支持体23、24側を正面とし、さらに枠線材2側を右側面、枠線材3側を左側面として構成している。
【0041】
図1、図2に示す食器篭において、可動食器支持体23、24が位置する正面側に開口部300を有し、この開口部300を介して複数の食器200の収納および取出しを行うものである。さらにいえば、開口部300を有する正面側が食器200の収納および取出し方向である。また、固定食器支持体21、22、可動食器支持体23、24、および受台20、食器位置規制部材37に囲まれた空間に複数の食器200の収納部100を構成しているものである。
【0042】
また、固定食器支持体21、22、可動食器支持体23、24の各々の所定位置には、収納時における重ねた食器の表面側の位置を規制する食器位置規制部材37が固定されている。この食器位置規制部材37の構成の一例を図4に示す。図4(a)は、図1、図2における食器位置規制部材37の平面図、図4(b)は同食器位置規制部材37の側面図を示す。
【0043】
食器位置規制部材37は、半割り状に形成した規制部材半部37a、37bによって構成され、この各々の中心側の内面部37c、37dによって断面円形状の固定食器支持体21、22、可動食器支持体23、24の各々の外面を挟んで、ボルト38a、ナット38bにより固定する。食器位置規制部材37は、ナット38bの締め付けを緩め、固定食器支持体21、22、可動食器支持体23、24の各々に固定する位置を調節可能としてある。
【0044】
図5、図6、図7、図8に係止機構部(係止手段)39の構成を示す。図5は可動食器支持体を係止する状態を示す係止機構部の斜視図、図6(a)〜(c)は可動食器支持体を係止する状態を示す係止機構部の部分拡大図、図7は食器収納後における可動食器支持体23、24の係止後の係止機構部39の斜視図、図8は可動食器支持体23、24の係止解除時の係止機構部39の斜視図である。
【0045】
固定部材16に筒状の支持リング40、41、47、48を溶接等により固定し、この支持リング40、41、47、48により直線の可動線材42、49の各々を移動自在に支持している。また、可動線材42、49は摘み部(操作部)45、52、および補強部46、53と一体になって形成している。
【0046】
補強部46、53の一端は各々可動線材42、49に固定され、支持リング41、48と補強部46、53の各々の間において、圧縮コイルバネ(係止付勢手段)44、51が可動線材42、49に挿入され、先端係止部43、50の各々を外方(篭本体1の右側面側または左側面側)に移動するように付勢されている。このように、可動食器支持体23、24の係止機構部39は、可動食器支持体23、24側の各々に対称配置にしているものである。
【0047】
先端係止部43、50の各々には、傾斜面43a、50aが形成されており、この傾斜面43a、50aに各々回動する可動食器支持体23、24の外周面が接触して、摺動し、圧縮コイルバネ44、51に抗して可動線材42、49を移動させるようになっている。
【0048】
なお、複数重ねた円形状の食器200の一方(食器の収納方向と対向する側)の半周側の周端部を支持する固定食器支持体21、22と、食器200の他方(食器の収納方向側)の半周側の周端部を支持する可動食器支持体23、24の配置の一例を図11に示す。固定食器支持体21、22の各々は、食器200の中心を挟んでθ1、θ2の角度として一方の半周側の周端部を支持する。また、可動食器支持体23、24の各々は、食器200の中心を挟んでθ3、θ4の角度として他方の半周側の周端部を支持する。θ1〜θ4の各々は、例えば10〜45度に設定されている。
【0049】
固定食器支持体21、22、可動食器支持体23、24の各々の配置は一例であってこれに限定されるものではない。固定食器支持体21、22の数は2本としたが、これよりも多い例えば3から6本としてもよい。この場合食器位置規制部材37は、食器200の中心を挟んだ両側に一個ずつ固定すればよい。
【0050】
図10、図11に示す篭本体1を縦方向(鉛直方向)から横方向(水平方向)にした姿勢(運搬時等における姿勢)においては、固定食器支持体21、22を下方側、可動食器支持体23、24を上方側に位置している。さらには、食器200の収納、取り出しを行う開口300を上方側としている。これは、開口300側に取手14、15を設け、これを持つようにしたことによって実現させているものである。
【0051】
次に、前記した本発明の実施形態1の食器篭の基本構成における食器の収納または取出し時、および食器の収納後の操作、状態を説明する。
【0052】
先ず、食器の収納時における操作、状態を説明する。複数の食器200が収納されていない食器篭おいて、図2、図7に示すように回動部材25が回動支点部27を支点として食器200の周端部を支持する位置(篭本体1の内方向)に回動し、回動部材25の一方の端面が回動規制突部33に当たって位置を規制されている。また、回動部材26が回動支点部28を支点として食器200の周端部を支持する位置(篭本体1の内方向)に回動し、回動部材26の一方の端面が回動規制突部35に当たって位置を規制されている。
【0053】
また、回動部材29が回動支点部31を支点として食器200の周端部を支持する位置(篭本体1の内方向)に回動し、回動部材29の一方の端面が回動規制突部34に当たって位置を規制されている。また、回動部材30が回動支点部32を支点として食器200の周端部を支持する位置(篭本体1の内方向)に回動し、回動部材30の一方の端面が回動規制突部36に当たって位置を規制されている。
【0054】
このとき、回動部材25、26に固定した可動食器支持体23、および、回動部材29、30に固定した可動食器支持体24の各々が食器200の周端部を支持する位置(篭本体1の内方向)に回動している。さらに、図7に示すように、可動食器支持体の係止機構部(係止手段)39を構成する可動線材42の先端係止部43が可動食器支持体23の下端側の外周面に接触または近接し、先端係止部43で可動食器支持体23の外側への回動を阻止し、可動食器支持体23を食器200の周端部を支持する位置に係止している。
【0055】
また、可動線材49の先端係止部50が可動食器支持体24の下端側の外周面に接触または近接し、先端係止部50で可動食器支持体24の外側への回動を阻止し、可動食器支持体24を食器200の周端部を支持する位置に係止している。
【0056】
次に、前記した可動食器支持体23、24の各々が食器200の周端部を支持する位置に係止している状態から、学校給食、病院等において喫食に用いた複数の食器200を収納する操作、状態を説明する。なお、複数の食器は喫食に用いたもの以外のもの(例えば喫食に用いてない新しい食器、洗浄済の食器)も含むことはもちろんである。
【0057】
可動食器支持体23、24の各々を食器200の周端部を支持する位置に係止している状態から、図8に示すように、可動食器支持体23、24の係止機構部39を構成する摘み部(操作部)45、52の部分を一方の手の指で掴み、圧縮コイルバネ42、51の付勢力に抗して内方に移動させる。この可動食器支持体の係止解除の操作によって可動線材42、49も内方に移動し、先端係止部43、50が可動食器支持体23、24の各々から外れる。
【0058】
先端係止部43、50が可動食器支持体23、24の各々から外れると、トーションバネ(回動付勢手段)54、55の付勢力によって可動食器支持体23、24の各々が食器200の周端部を支持する位置から可動食器支持体23、24同士が互いに離れる方向で外方(右側面側、左側面側)に回動支点部27、31を中心として両開き(観音開き)状態に回動、移動する。
【0059】
図1に示すように、外方に回動させた可動食器支持体23の停止位置は、回動部材25、26が連結線材11に接触し規制される。また、可動食器支持体24の停止位置は、回動部材29が枠線材3に設けた突部3aに接触し規制される。この後、係止機構部(係止手段)39を構成する摘み部45、52の部分から手の指を離すと、圧縮コイルバネ44、51の付勢力により、可動線材42、49も外方に移動し、先端係止部43、50は元の位置に戻ることになる。
【0060】
また、図1に示すように、可動食器支持体23、24に固定した各々の食器位置規制部材37も可動食器支持体23、24とともに外方に回動、移動する。
【0061】
なお、外方に回動させ停止させた可動食器支持体23、24間の内側の距離は、少なくとも収納する食器200の外径よりも大きくすれば、開口部300を構成する枠線材2、3間、可動食器支持体23、24間から食器200を通過させ、食器200の周端部が固定食器支持体21、22に当たるまで押し込んで収納部100内に収納することができる。
【0062】
可動食器支持体23、24を外方に回動させ停止させた状態において、篭本体1の正面側の開口部300から食器200を、裏面側(糸尻側)を下にして挿入し、受台20上に載せるとともに、食器200の周端部が固定食器支持体21、22に当たるまで押し込んで収納部100に収納する。このとき、固定食器支持体21、22は、挿入方向と対向する円形状の食器200の半周側の周端部を複数個所に亘って支持することによって、食器200の中心を所定の位置に収めることができる。この後、順次食器200を挿入し、既に収納した食器200の上に次の食器200を載せて予め定めた数を積み上げていく。
【0063】
予め定めた数(例えば10〜40個)の複数の食器200の挿入、収納の仕方は、一個ずつ順次積み上げて収納してもよいが、複数の数ごとに区分けして挿入、収納してもよい。また、予め定めた数の複数の食器200全体を予め積み上げた後、最下端側の食器200の裏面を受台20上に載せ固定食器支持体21、22に当たるまで押し込んで収納してもよい。
【0064】
次に、予め定めた数の複数の食器200全体を収納した後、可動食器支持体23、24を篭本体1の内方に回動させ、食器200の周端部を支持する位置に係止する操作、状態を説明する。
【0065】
先ず、可動食器支持体23、24を篭本体1の内方に回動させる。図6(a)に示すように、各々回動する可動食器支持体23、24の外周面が先端係止部43、50の各々に形成した傾斜面43a、50aに接触、摺動し、圧縮コイルバネ44、51に抗して可動線材42、49を内方に押し込んで移動させる。
【0066】
さらに、図6(b)に示すように、可動食器支持体23、24を内方に回動させると、可動食器支持体23、24の中心が傾斜面43a、50aの先端(先端係止部43、50の先端)に達し、さらに、可動食器支持体23、24を内方に回動させると、図6(c)に示すように、可動食器支持体23、24は食器200の周端部を支持する位置に移動し、可動線材42、49が圧縮コイルバネ44、51の付勢力によって外方に移動し、先端係止部43、50は図2、図7に示す位置に戻ることになる。
【0067】
図2、図7に示すように、内方に回動させた可動食器支持体23の停止位置(可動食器支持体23、24の食器200の周端部を支持する位置)は、回動部材25、26が回動規制突部33、35に接触し規制される。また、可動食器支持体24の停止位置は、回動部材29、30が回動規制突部34、36に接触し規制される。なお、可動食器支持体23、24の食器200の周端部を支持する位置は、回動部材25、26、29、30が、回動規制突部33、34、35、36接触することによって予め設定されている。
【0068】
さらに、可動線材42の先端係止部43が可動食器支持体23の下端側の外周面に接触または近接し、先端係止部43で可動食器支持体23の外側への回動を阻止し、可動食器支持体23を食器200の周端部を支持する位置に係止する。
【0069】
また、可動線材49の先端係止部50が可動食器支持体24の下端側の外周面に接触または近接し、先端係止部50で可動食器支持体24の外側への回動を阻止し、可動食器支持体24を食器200の周端部を支持する位置に係止する。
【0070】
これにより、食器篭に収納した複数の食器は、重ね方向の各々の周端部が固定食器支持体21、22、および可動食器支持体23、24によって支持される。したがって、収納後の複数の食器200を確実に支持し、食器200の飛び出し、脱落、食器の破損を防止することができる。
【0071】
以上のように、係止機構部(係止手段)39は、可動食器支持体23、24を、食器200の周端部を支持する位置に係止する先端係止部43、50と、前記先端係止部43、50に有する傾斜面43a、50aと、食器200の周端部を支持する位置にある前記可動食器支持体23、24を係止する方向に付勢する係止付勢手段44、51と、を備え、前記可動食器支持体23、24を前記先端係止部43、50の傾斜面43a、50aへ当接、摺動させて前記係止付勢手段44、51の付勢力に抗して先端係止部43、50を移動させ、前記可動食器支持体23、24が先端係止部43、50の傾斜面43a、50aの先端を通過した後、前記係止付勢手段44、51の付勢力により先端係止部43、50を移動させて可動食器支持体23、24を食器200の周端部を支持する位置に係止するものである。
【0072】
これにより、係止機構部39を何ら操作することなく、可動食器支持体23、24を回動させるのみで、可動食器支持体23、24を、食器200の周端部を支持する位置に係止することができる。したがって、可動食器支持体23、24の係止を確実に行うことができるとともに操作を簡素化することができる。
【0073】
また、実施形態1においては、積み重ねた複数の食器200を出し入れする縦方向の姿勢にした篭本体1の載置面側となる下面側に係止機構部(係止手段)39を配置し、前記係止機構部39による可動食器支持体23、24の係止解除を篭本体1の内側から操作できるようにしたものである。
【0074】
これにより、食器200を収納するときの縦方向の姿勢にした篭本体1の載置面(例えば作業台)の高さが低い場合、係止機構部39が篭本体1の載置面側となる下面側に位置することによって、係止機構部39の操作目線が斜め上側から下側となり操作を確実に、容易に行うことができる。
【0075】
図1の側方図である図9に食器を収納した後の食器篭の状態を示す。この状態において、予め定めた数を収納した複数の食器200の最下端側に位置する食器200の裏面と最上端側に位置する食器200の表面間の距離(L1)に対して、受台20の上面と食器位置規制部材37の下面の距離を、所定寸法(L2)の分、大きくして収納するものである。この、所定寸法(L2)は例えば10〜20ミリメートルに設定する。これは、後述する噴射した洗浄水により、互いに隣り合う食器間を前記所定寸法(L2)分離して離間させ、複数の食器を順次洗浄するために設けるものである。また、所定寸法(L2)設けることによって、一個ずつ収納する場合に最上端側に収納する食器200の挿入をしやすくする効果がある。
【0076】
食器200は、例えば10〜40個の範囲で予め定めた数を収納するが、食器の収納数に応じて食器位置規制部材37の固定食器支持体21、22、可動食器支持体23、24への固定位置を調節し、収納する食器200の数に拘らず、前記所定寸法(L2)を確保する。なお、食器位置規制部材37は、食器200の表面側の周端部に当接する大きさ(外径)であればよい。
【0077】
図10、図11に食器を収納した食器篭の横方向の姿勢を示す。図2に示す食器を収納した食器篭を、取手14、15を持つことによって、図10、図11に示すように、縦方向(鉛直方向)から横方向(水平方向)の姿勢となる。このとき固定食器支持体21、22が下方側、可動食器支持体23、24が上方側に位置している。さらには、食器200の収納、取り出しを行う開口300が上方側に位置している。これは、開口300側に取手14、15を設け、これを持つようにしたことによって実現させているものである。
【0078】
また、この食器篭の姿勢において、収納した食器は、前記所定寸法(L2)の範囲において、食器200の裏面側を下方として収納した複数の食器200の全体が所定角度傾斜した姿勢となる。この傾斜角度は5〜10度が好ましい。さらに、収納した複数の食器200の全質量は、固定食器支持体21、22にかかり、可動食器支持体23、24にはかからず、複数の食器200の上方への移動または脱落を防止する。
【0079】
この食器篭の横方向の姿勢において、取手14、15を持って運搬するものである。さらに、食器200を収納した食器篭の食器洗浄装置での洗浄または消毒保管庫での洗浄後の熱風による消毒乾燥を行うものである。
【0080】
図10、図11に示した食器篭の姿勢における収納した食器の洗浄方法の一例を説明する。食器200の表面側を先頭にして食器篭ごと食器洗浄装置(図示なし)に搬入し、食器洗浄装置内を食器200の重ね方向に移動させる。食器洗浄装置内に有するノズルから移動する食器200の重ね方向に順次洗浄水を噴射し、互いに隣り合う食器200を前記所定寸法(L2)分に相当する距離を離して離間させ、この離間した間隔に入った高圧洗浄水の流動により、食器200の喫食による汚れを除去する。離間時、食器200の全体が傾斜姿勢から略鉛直方向の姿勢に変化している。
【0081】
前記した洗浄時において、可動食器支持体23、24によって食器200の上方への移動を規制し、安定した姿勢を維持して効率よく洗浄を行うことができ、さらに、食器篭外への飛び出し、脱落を防止することができる。なお、洗浄時、消毒乾燥時においては運搬時のような衝撃が少ないため、食器篭の横方向の姿勢において、固定食器支持体21、22側が下方、可動食器支持体23、24側が上方となってなくてもよい。
【0082】
図10、図11に示した食器篭の姿勢において、台車、消毒保管庫、トラック等による運搬を行うが、この運搬時に食器篭に収納した食器200に振動、衝撃がかかる。このとき収納した複数の食器200の全質量は、上方側に位置する可動食器支持体23、24にはかからず、下方側に位置する固定食器支持体21、22で受けていることによって、可動食器支持体23、24の回動機構部、係止機構部39にかかる振動、衝撃力が弱められる。したがって、可動食器支持体23、24の回動機構部、係止機構部39の構成の簡素化、耐久性の向上を図ることができる。さらに、可動食器支持体23、24によって、食器200の飛び出し、脱落、食器の破損を防止することができる。
【0083】
さらに、複数の食器200を収納した後、可動食器支持体23、24を食器200の周端部を支持する位置に回動、移動させる操作、および係止機構部39によって可動食器支持体23、24を係止、固定する操作を万一行わず、図2に示す複数の食器200を収納した縦方向の姿勢の食器篭を、取手14、15を持って図10、図11に示すように、横方向(水平方向)の姿勢としてしまうことも考えられる。この場合、前記したように食器200の収納、取り出しを行う開口300が上方側となっていることから食器200の飛び出し、脱落、食器の破損を防止することができる。
【0084】
したがって、複数の食器200を収納した縦方向の姿勢の食器篭を、取手14、15を持って図10、図11に示すように、横方向(水平方向)の姿勢とした後、可動食器支持体23、24の回動、移動、および係止機構部39によって可動食器支持体23、24を係止、固定する操作を行ってもよい。また、横方向(水平方向)の姿勢とし食器篭に、上側となった開口部300から複数の食器200を収納することもでき、食器200の収納、取り出しの自由度をより増すことができる。
【0085】
次に、食器200を食器篭から取り出す操作、状態を説明する。洗浄、消毒乾燥、保管等の工程を経て運搬されてきた食器篭から、喫食前の食器の取り出しは、先ず図10、図11に示す横方向(水平方向)の食器篭の姿勢で運搬されてきた食器篭を図2に示す縦方向の姿勢とする。
【0086】
さらに、図8に示すように、可動食器支持体の係止機構部39を構成する摘み部45、53の部分を一方の手の指で掴み、圧縮コイルバネ44、51の付勢力に抗して内方に移動させる。これにともなって可動線材42、49も内方に移動し、先端係止部43、50が可動食器支持体23、24の各々から外れる。
【0087】
先端係止部43、50が可動食器支持体23、24の各々から外れると、トーションバネ54、55の付勢力によって可動食器支持体23、24の各々が食器200の周端部を支持する位置から可動食器支持体23、24同士が互いに離れる方向で外方(右側面側、左側面側)に回動支点部27、31を中心として回動、移動する。
【0088】
図1に示すように、外側に回動させた可動食器支持体23の停止位置は、回動部材25、26が連結線材11に接触し規制される。また、可動食器支持体24の停止位置は、回動部材29が枠線材3に設けた突部3aに接触し規制される。この後、可動食器支持体の係止機構部39を構成する摘み部45、52の部分から手の指を離すと、圧縮コイルバネ44、51の付勢力により、可動線材42、49も外方に移動し、先端係止部43、50は元の位置に戻ることになる。
【0089】
この状態において、積み重ねた複数の食器200の全数を開口部300から一度に取り出すか、または、積み重ねた複数の食器200の上端側から一個ないし複数個ずつ順次取り出す。取り出した食器200は順次喫食に用いられるものである。
【0090】
以上のように、本発明の食器篭は、食器200の一方の半周側の周端部を重ね方向に沿って支持する篭本体1に固定した複数の固定食器支持体21、22と、前記食器200の他方の半周側の周端部を重ね方向に沿って支持する押え用の複数の可動食器支持体23、24と、前記可動食器支持体23、24の長手方向の両端の各々に固定した回動部材25、26、29、30と、前記篭本体1に備えた回動部材25、26、29、30の回動支点部27、28、31、32と、前記可動食器支持体23、24を、回動支点部27、28、31、32を中心として食器200の周端部を支持する位置から離れる方向に回動付勢する回動付勢手段54、55と、前記可動食器支持体23、24の各々を食器200の周端部を支持する位置に係止する係止手段39と、を備え、前記係止手段39による可動食器支持体23、24の係止解除の操作によって、前記可動食器支持体23、24の各々を前記回動付勢手段54、55の付勢力により回動させて食器200の周端部を支持する位置から可動食器支持体23、24同士が互いに離れる方向で、かつ食器200の外径よりも大きい位置に移動させ、前記可動食器支持体23、24間から食器200の収納および取出しを行うものである。
【0091】
これにより、複数の可動食器支持体23、24の各々を互いに離して、食器200の周端部を支持する位置から食器200が通過できる位置に移動させ、この移動させた可動食器支持体23、24間から食器200の収納および取出しを可能とするもので、各々の可動食器支持体23、24の移動距離が小さく、前記従来の食器篭のような広い作業スペースを必要としない。さらに、係止手段39による可動食器支持体23、24の係止解除の操作のみで、可動食器支持体23、24の各々を回動付勢手段54、55の付勢力により回動させて食器が通過できる位置に自動的に移動させることができる。したがって、食器の収納および取り出しを行う際の省スペース化が図れるとともに、操作および構成を簡素化することができる。
【0092】
次に、喫食に用いた複数の食器200を再び収納する操作、状態を説明する。食器200を食器篭から取り出した状態において、可動食器支持体23、24の各々を外方に回動させたままの場合は、既に食器を収納できる状態にあり、前記した動作により複数の食器200を収納する。
【0093】
また、食器200を食器篭から取り出した状態において、可動食器支持体23、24の各々を内方に回動させ、かつ係止機構部39により可動食器支持体23、24の各々を係止した状態にした場合は、前記したように可動食器支持体23、24の各々を外方に回動させる動作から操作し複数の食器200を収納する。
【0094】
以降、喫食に用いた複数の食器200を収納した食器篭は、前記したように洗浄、消毒乾燥、保管のサイクルを繰り返すことになる。
【0095】
なお、本実施形態においては、可動食器支持体23、24の各々の係止解除後の回動角度範囲を、食器200を支持する位置から略90度として移動させているが、これに限定するものではなく、少なくとも可動食器支持体23、24の各々を、食器200を支持する位置から可動食器支持体23、24同士が互いに離れる方向で、かつ食器200の外径よりも大きい位置に移動させ前記可動食器支持体23、24間から食器200の収納および取出しを行うようにすればよい。例えば可動食器支持体23、24の内側の位置の各々を枠線材2、3の位置またはこの外側まで移動させることによって食器200の収納および取出しがより容易となって好ましい。
【0096】
また、複数の食器200の重ね方向の先頭に位置する食器200の表面と、最後尾に位置する食器200の裏面との距離を調整する食器位置調整部材37を可動食器支持体23、24および固定食器支持体21、22に備え、可動食器支持体23、24に備えた食器位置調整部材37を、可動食器支持体23、24とともに食器200の外径よりも大きい位置に各々移動させ、食器200の収納および取出しを行う。
【0097】
これにより、可動食器支持体23、24とともに食器位置調整部材37も移動し、かつ食器位置調整部材37間は食器200の外径よりも大きい位置に各々移動することで食器200の収納および取り出しをより容易に行うことができる。さらには、食器位置調節部材37の外周部が枠線材2、3の位置または外側まで移動させることによって食器200の収納をよりやり易くして好ましい。
【0098】
なお、可動食器支持体23、24の係止機構部(係止手段)39の構成は、実施形態に限定されるものではなく、可動食器支持体23、24を複数の食器200の周端部を支持する位置に係止できる構成であればよい。
【0099】
また、実施形態において、食器篭を洗浄、消毒乾燥、保管等を行う用途として説明したが、食器200の収納、保管、運搬の一般的な用途にも用いることができる。
【0100】
(実施形態2)
図12は本発明の実施の形態2の縦方向の姿勢の食器篭における正面図、図13は図12における上面図である。図1〜図11と同一番号は同一箇所を示し説明を省略する。
実施形態1においては、可動食器支持体23、24の係止機構部(係止手段)39を、篭本体1の下方側(可動食器支持体23、24の下端側、受板20側)に設けたが、実施形態2においては、積み重ねた複数の食器200を出し入れする縦方向の姿勢にした篭本体1の上面側(可動食器支持体23、24の上端側)に係止機構部39を配置し、前記係止機構部39による可動食器支持体23、24の係止解除を篭本体1の内側から操作できるようにしたものである。
【0101】
これにより、食器200を収納するときの縦方向の姿勢にした篭本体1の載置面(例えば作業台)の高さが高い場合、係止機構部39が篭本体1の上面側に位置することによって、係止機構部39の摘み部45,52の操作目線がほぼ水平、または斜め下側から上側となり操作を確実に、容易に行うことができる。なお、実施形態2においては、係止機構部39を固定部材18に固定しているものである。
【0102】
(実施形態3)
図14は本発明の実施の形態3の食器篭の食器の収納または取出し時の状態を示す斜視図、図15は食器の収納時の状態を示す斜視図である。図1〜図11と同一番号は同一箇所を示し説明を省略する。
【0103】
実施形態1と異なるところは、図1、図2における連結線材6の中央部を削除し、新たに枠線材2側に連結線材6a、枠線材3側に連結線材6bとして固定し、さらに固定部材18の中央部(連結線材6aと6b間)を削除し、枠線材2側に固定部材18a、枠線材3側に固定部材18bとして固定したものである。また、前記構成の変更にともない、取手14、15を枠線材2、3側に各々設けたものである。なお、14a、15aは枠線材2、3に固定した取手14、15の位置決め部材である。さらに、前記した構成とするとともに、固定部材19、連結線材6a、6bとにより、篭本体1の上面にも食器200の収納、取り出しを可能とする開口部400を形成させたものである。
【0104】
前記した構成において、可動食器支持体23、24の各々を回動させて、食器200の周端部を支持する位置から可動食器支持体23、24同士が互いに離れる方向で、かつ食器200の外径よりも大きい位置に移動させたとき、篭本体1の上面の開口部400および正面の開口部300から食器200の収納および取出しを可能とするものである。
【0105】
これによって、収納および取出し方向が多面となり、より容易に食器200の出し入れを行うことができる。さらに、例えば縦方向の姿勢の篭本体1を載せる作業台等の高さが比較的高い場合には、正面の開口部300から食器200の収納および取出しを行い、作業台等の高さが比較的低い場合には、上面の開口部400から食器200の収納および取出しを行うことができる。また、開口部400と開口部300を介して斜め上方から食器200の収納および取出しを行うこともできる。このように状況に応じてさらに容易に食器200の出し入れを行うことができるものである。
【0106】
また、積み重ねた複数の食器200を出し入れする縦方向の姿勢にした篭本体1の載置面側となる下面側に係止機構部39を配置し、前記係止機構部39による可動食器支持体23、24の係止解除を篭本体1の内側から操作できるようにしたものである。
【0107】
これにより、食器を収納するときの縦方向の姿勢にした篭本体の載置面(例えば作業台)の高さが低い場合、係止機構部39が篭本体の載置面側となる下面側に位置することによって、係止機構部39の操作目線が篭本体1の上面の開口部400および正面の開口部300を介して斜め上側から下側となり操作を確実に、容易に行うことができる
【産業上の利用可能性】
【0108】
食器に限らず、食器以外の複数の被収納物を収納する用途にも適用することができる。
【符号の説明】
【0109】
1 篭本体
2 枠線材
3 枠線材
3a 突部
4 連結線材
5 連結線材
6 連結線材
6a 連結線材
6b 連結線材
7 連結線材
8 連結線材
9 中線材
10 中線材
11 連結線材
12 連結線材
13 連結線材
14 取手
14a 位置決め部材
15 取手
15a 位置決め部材
16 固定部材
17 固定部材
18 固定部材
18a 固定部材
18b 固定部材
19 固定部材
20 受板
21 固定食器支持体
22 固定食器支持体
23 可動食器支持体(被係止部材)
24 可動食器支持体(被係止部材)
25 回動部材(回動機構部)
25a 付勢受突部
26 回動部材(回動機構部)
27 回動支点部(回動機構部)
28 回動支点部(回動機構部)
29 回動部材(回動機構部)
29a 付勢受突部
30 回動部材(回動機構部)
31 回動支点部(回動機構部)
32 回動支点部(回動機構部)
33 回動規制突部
34 回動規制突部
35 回動規制突部
36 回動規制突部
37 食器位置規制部材
37a 規制部材半部
37b 規制部材半部
37c 内面部
37d 内面部
38a ボルト
38b ナット
39 係止機構部(係止手段)
40 支持リング
41 支持リング
42 可動線材
43 先端係止部(係止部材)
43a 傾斜面
44 圧縮コイルバネ(係止付勢手段)
45 摘み部(操作部)
46 補強部
47 支持リング
48 支持リング
49 可動線材
50 先端係止部(係止部材)
50a 傾斜面
51 圧縮コイルバネ(係止付勢手段)
52 摘み部(操作部)
53 補強部
54 トーションバネ(ねじり圧縮コイルバネ、回動付勢手段)
54a コイル部
54b 直線部
54c 直線部
55 トーションバネ(ねじり圧縮コイルバネ、回動付勢手段)
55a コイル部
55b 直線部
55c 直線部
100 収納部
200 食器
300 開口部
400 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
篭本体と、前記篭本体に複数の食器の周端部を重ね方向に沿って支持する複数の支持体を有する食器篭であって、前記食器の一方の半周側の周端部を重ね方向に沿って支持する篭本体に固定した複数の固定食器支持体と、前記食器の他方の半周側の周端部を重ね方向に沿って支持する押え用の複数の可動食器支持体と、前記可動食器支持体の長手方向の両端の各々に固定した回動部材と、前記篭本体に備えた回動部材の回動支点部と、前記可動食器支持体を、回動支点部を中心として食器の周端部を支持する位置から離れる方向に回動付勢する回動付勢手段と、前記可動食器支持体の各々を食器の周端部を支持する位置に係止する係止手段と、を備え、前記係止手段による可動食器支持体の係止解除の操作によって、前記可動食器支持体の各々を前記回動付勢手段の付勢力により回動させて食器の周端部を支持する位置から可動食器支持体同士が互いに離れる方向で、かつ食器の外径よりも大きい位置に移動させ、前記可動食器支持体間から食器の収納および取出しを行うことを特徴とする食器篭。
【請求項2】
係止手段は、可動食器支持体を食器の周端部を支持する位置に係止する先端係止部と、前記先端係止部に有する傾斜面と、食器の周端部を支持する位置にある前記可動食器支持体を係止する方向に付勢する係止付勢手段と、を備え、前記可動食器支持体を前記先端係止部の傾斜面へ当接、摺動させて前記係止付勢手段の付勢力に抗して先端係止部を移動させ、前記可動食器支持体が先端係止部の傾斜面の先端を通過した後、前記係止付勢手段の付勢力により先端係止部を移動させて可動食器支持体を食器の周端部を支持する位置に係止することを特徴とする請求項1に記載の食器篭。
【請求項3】
積み重ねた複数の食器を出し入れする縦方向の姿勢にした篭本体の載置面側となる下面側に係止手段を配置し、前記係止手段による可動食器支持体の係止解除を篭本体の内側から操作できるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の食器篭。
【請求項4】
積み重ねた複数の食器を出し入れする縦方向の姿勢にした篭本体の上面側に係止手段を配置し、前記係止手段による可動食器支持体の係止解除を篭本体の内側から操作できるようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の食器篭。
【請求項5】
複数の食器の重ね方向の先頭に位置する食器の表面と、最後尾に位置する食器の裏面との距離を調整する食器位置調整部材を可動食器支持体および固定食器支持体に備え、前記食器位置調整部材を可動食器支持体とともに食器の外径よりも大きい位置に各々移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の食器篭。
【請求項6】
可動食器支持体の各々を、食器の周端部を支持する位置から可動食器支持体同士が互いに離れる方向で、かつ食器の外径よりも大きい位置に移動させたとき、縦方向の姿勢とした篭本体の上面の開口部および正面の開口部から食器の収納および取出しを可能としたことを特徴とする請求項1〜3、または5のいずれか1項に記載の食器篭。
【請求項7】
複数の食器を収納した後、篭本体を縦方向から横方向の姿勢とし、固定食器支持体を下方側、可動食器支持体を上方側として運搬する取手を篭本体に備えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の食器篭。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−140310(P2011−140310A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−428(P2010−428)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(390007456)株式会社中西製作所 (26)
【Fターム(参考)】