説明

食物品質インジケータ

本発明は、一般に、食物品質インジケータに、そしてより詳細には、改良された接着性の食物品質インジケータならびにそれらの使用および製造に関する。本発明の食物品質インジケータ(FQI)は、有利なことに、単純および低コストであるが、シールされた食物製品パッケージ中の食物腐敗製品の有害なレベルを検出するために高感度なデバイスである。このFQIは、上記製品の周りの呼吸可能またはガス透過可能ラップに固定され、そして食物分解の存在に感受性である上記FQI中の視覚インジケータ領域は、消費者が、視覚観察によって微生物腐敗が生しているか否かを決定することを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、一般に、食物品質を決定することに、そしてより詳細には、微生物食物腐敗を検出するための食物品質インジケータ(FQI)および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
食物のような多くの商品は腐り易い。腐り易い物品がパッケージング中に囲われるとき、この物品がその有用な寿命を超えたとき、それは、外見上容易に明瞭ではない。
【0003】
パッケージの内容物の品質をモニターする人のために、食物品質インジケータ(FQI)は、このパッケージ中の食物(これは、腐り易い飲料を含む)の状態を正確に測定しなければならないのみならず、このインジケータは、読み取ること、および解釈することが容易でなければならない。いくつかの種類のFQIラベル、例えば、食物分解の程度を感知する色を示すラベルタイプのインジケータが利用可能であるが、新規なインジケータが必要とされる。
【0004】
腐り易い食物腐敗は、消費者、生産者および販売者にとって永遠に存在する課題である。新鮮さのある程度の低下は酸化的プロセスに起因するが、腐敗は、大部分は、細菌、酵母,およびカビのような微生物の成長に起因する。微生物は、食物炭水化物、タンパク質および脂質を分解し、それらの増殖のためのエネルギーを引き出す。この分解プロセスは、乳酸および酢酸のようなカルボン酸;アルデヒド;アルコール;アンモニア、トリメチルアミン、尿素およびジアミンのような窒素含有分子;および硫黄化合物のような種々の低分子量分子を生成する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
腐敗は、歴史的には、標準的な細菌学的および化学的実験室方法によってモニターされている。これらの分析方法は、大部分の場合、この食物が「良い」か、または「悪い」か否かを知ることを単に望む消費者の範囲または望みの明らかに外側にある。そこで、消費者は、実績のある、におい、色または味の試験に依存し、これらすべては、良いと「見える」か、または「におう」食物、例えば、肉が実際良くないという可能性を残す。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
包装された食物の質を決定する、より正確で、単純で、信頼性があり、そして便利な手段が本発明によって提供される。本発明は、任意の透明な食物パッケージの内側または呼吸可能もしくはガス透過性食物パッケージの外側に固定され得、そして誰もが包まれた食物の質を決定するために読まれ得るラベルの形態にある食物品質インジケータ(FQI)に関する。
【0007】
1つの実施形態における本発明は、食物の品質の関数として、すなわち、食物分解産物に応答してその色が変化する材料を含むFQI、およびそれを好ましくは呼吸可能もしくはガス透過性食物パッケージ、コンテナまたはラッピングに付着する手段に関する。抗浸出剤が色変化剤を含む流域中に提供され得、液体が試薬を浸出することを防ぎ;それに代わって、またはさらに、このFQIは、同じことを達成するためにインジケータ領域の上に離脱可能もしくは固定された(呼吸可能な)膜または障壁材料を含み得る。
【0008】
望ましい実施形態では、順に、少なくとも1つの不浸透性でない領域を有する不浸透性層、分解する食物の特徴である化合物に応答して色を変化するインジケータ組成物を含む少なくとも1つの領域を有する多孔性基板層、および少なくとも1つの呼吸可能もしくは非接着剤領域を有する接着剤層をク踏むFQIが提供され、ここで、互いの上に横たわる、少なくとも1つの不浸透性でない領域、インジケータ領域および1つの呼吸可能な領域または非接着剤領域が、上記多孔性基板を横切る流体連通を可能にするインジケータ領域を形成し、このインジケータ領域が腐敗の状態の視覚指標を可能にする。このFQIは、上記接着剤層に接着する離脱シートをさらに含み得、接着剤を意図されない使用から保護し、そしてまた、ラベル付与用具の使用を可能にする。
【0009】
本発明はまた、シールされたパッケージ中の食物品質をモニターする方法を提供し、食物製品;および呼吸可能またはガス透過性ラップを含む食物パッケージを提供する工程、FQIをこのラップに固定する工程であって、ここで、このFQIは、少なくとも1つの不浸透性でない領域を有する不浸透性層;分解する食物の特徴である化合物に応答して色を変化するインジケータ組成物を含む少なくとも1つの領域を有する多孔性基板層;および少なくとも1つの呼吸可能または非接着剤領域を有する接着剤層を含み、ここで、互いの上に横たわる少なくとも1つの不浸透性でない領域、インジケータ領域(単数または複数)および呼吸可能または非接着剤領域が、上記多孔性基板を横切る流体連通を可能にするインジケータ領域を形成し、このインジケータ領域が、腐敗の状態の視覚指標を可能にする工程;およびこのFQIの色を基に、上記食物製品の質を決定するためにこのFQIを視覚によって検査する工程を包含する。このシールされたパッケージ中の食品品質をモニターする方法の1つの実施形態では、上記視覚検査工程は、上記不浸透性層上に表示された色領域を参照して、上記FQIの色を比較することをさらに含む。
【0010】
本発明はまた、積層FQIを製造する方法を提供し、多孔性基板層を提供する工程、この多孔性基板層の1つの表面に接着剤パターンを積層する工程を含み、ここで、このパターンは、接着剤が付与されないか、または呼吸可能である領域を含む工程、この多孔性基板層の非接着表面への積層のための不浸透性層を提供する工程であって、この不浸透性層は、少なくとも1つの不浸透性でない領域を有する工程、上記多孔性基板層の非接着表面に不浸透性層を積層する工程であって、これらの不浸透性でない領域が、上記のように積層された多孔性基板層の非接着剤領域の上に位置される工程、上記多孔性基板層の非接着剤領域(単数または複数)に、分解する食品の特徴である化合物に応答して色を変化するインジケータ組成物を付与する工程;および上記多孔性基板層の接着表面に離脱シートを積層する工程を含む。
【0011】
本発明のその他の特徴および局面は、以下の発明の詳細な説明および含められた図面から明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(発明の詳細な説明)
本発明の特徴およびその他の詳細は、ここで、より詳細に説明される。本明細書中に記載される特定の実施形態は、例示によってのみ示され、本発明の制限としてではないことが理解されるべきである。本発明の原理特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく種々の実施形態で採用され得る。
【0013】
(定義)
便宜のために、本明細書、実施例、および添付の請求項で用いられる特定の用語がここに集められる。
【0014】
「不浸透性」層は、水、水蒸気、手の油、塵埃、ガス、食物分解産物またはその他の蒸気などのような、一般の家庭または環境汚染物に対し、完全または実質的に、不浸透性または不透過性である材料、例えば、シート材料を含むかまたはそれをいうことが意図される。「不浸透性でない」面積または領域は、逆の意味を有する。
【0015】
「多孔性」材料は、インジケータ組成物のそれに対する吸収、吸着または付着を許容し、そしてその被覆されない部分を横切る流体連通を可能にするチャネルまたはポアを有する連続的、不連続、構造的、またはランダム構造を有する材料をいう。
【0016】
「呼吸可能」または「ガス透過性」は交換可能に用いられ得、そしてガスまたは蒸気の選択的または非選択的交換を可能にする材料をいう。
【0017】
上記のように、本発明は、その色が食物品質の関数として、すなわち、食物分解産物に応答して変化する材料を含むFQI、およびそれを好ましくは、呼吸可能またはガス透過性食物パッケージ、コンテナまたはラッピングに付着する手段に広範に関連する。このFQIは、ラップされた食物製品の内側または外側に貼られ得る容易に付与可能なラベルの形態である。
【0018】
本発明の1つの望ましい実施形態は、少なくとも1つの不浸透性でない領域、分解する食物の特徴の化合物に応答して色を変化するインジケータ組成物を含む少なくとも1つの領域を有する多孔性基板層、および少なくとも1つの呼吸可能または非接着剤領域を有する接着剤層を含むFQIであり、ここで、互いに上に横たわる少なくとも1つの不透過性でない領域、インジケータ領域(単数または複数)および呼吸可能または非接着剤領域は、上記多孔性基板を横切る流体連通を可能にするインジケータ領域を形成し、このインジケータ領域は、腐敗の状態の視覚指標を可能にする。望ましくは、意図されない使用からこの接着剤を保護するために、パターン化接着剤層に接着する離脱シートが含められる。
【0019】
上記多孔性基板層は、その上またはその中にインジケータ組成物が付与され得る任意の多孔性材料から作製され得る。この多孔性基板は、望ましくは、可能な限り「不活性」である。すなわち、上記インジケータ組成物、またはその色の安定性を(勿論この色を変える反応物の非存在下で)、特に、経時的に逆に衝撃を与えないものである。この多孔性基板層は、望ましくは、このインジケータ組成物の色を変化しないようにpHが平衡化されており;1つの実施形態では、多孔性基板層のpHは、6と8との間、望ましくは7より小さく、そして望ましくは6と7との間である。
【0020】
多孔性基板層の1つの例は、その上にFQI材料が付与される紙の層である。この紙は、100%セルロースからなるフィルター紙、例えば、Millipore FP102、またはPhase Separation(PS)フィルター紙(Whatman、Inc.Clifon、N.J.)であり得る。この多孔性基板層はまた、プラスチック(例えば、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル)、または任意のその他のポリマー膜、綿、亜麻、樹脂、ガラス、ガラス繊維、または織物から構築され得る。
【0021】
上記インジケータ組成物は、食物製品中の腐敗を検出し得る任意の材料であり得る。これらの化合物は、食物の分解または腐敗にともなう1つ以上の化学的化合物の存在を比色法で示し得る。食物が分解および腐敗するとき生成される多くの化学的化合物(すなわち、「腐敗産物」)がある。赤肉、豚肉、鶏肉、ひき肉、および海産食品製品を含む、タンパク質材料の実質量を含む多くの食物は、分解の間に揮発性塩基のような揮発性化合物を生じる。
【0022】
アミン、例えば、1つ以上のNH基をもつ化合物(例えば、アミン、ジアミン、トリアミン、芳香族アミン、複素環式アミンまたは脂肪族アミン)は、分解する食物によって、例えば、遊離アミノ酸の脱アミノ化およびヌクレオチドの分解を経由して生成される揮発性塩基の1つの群である。例えば、タンパク質はアミノ酸から生成され;タンパク質が細菌によって分解されるとき、それらは、これらアミノ酸に関連するアミンに変換される。アミノ酸のアルギニンはプトレシンに、リジンはカダベリンに、そしてヒスチジンはヒスタミンに変換される。プトレシン、カダベリンおよびヒスタミンは、肉および海産食品のような腐敗するタンパク質の匂いの原因であり、そしてこれらアミンのレベルは、細菌分解の程度を反映する。発生されるその他のアミンには、アンモニア、ジメチルアミン、およびトリメチルアミンがある。これらの化合物はまた揮発し得る。分解する食物と関連するその他のアミンは、インドール、スペルミン、およびスペルミジンを含む。
【0023】
本発明のインジケータ化合物は、1つの実施形態では、これらの揮発性塩基の存在下で色を変える。このインジケータ化合物の色変化を引き起こす揮発性塩基の特定範囲の濃度は、デバイス中で用いられる特定のインジケータ化合物、このインジケータ化合物が配置される化学的環境(例えば、この環境の酸性度または塩基度)、およびこのデバイス中で用いられるインジケータの量のような因子に依存する。適切な範囲は、例えば、試験サンプルでの較正によって各食物製品について決定され得る。異なる食物製品は、腐敗するとき異なる量の揮発性塩基を生成することが予期される。しかし、類似である食物製品(例えば、異なるタイプの魚)は、類似の量の揮発性塩基を発生し得る。
【0024】
このインジケータ化合物に色変化を引き起こす発生された揮発性塩基の濃度の範囲は、種々の状態を示すように選択され得る。例えば、この色変化は、食品が消費のために安全でないこと、または食品が消費に不適切にすぐなることを示し得る。
【0025】
細菌、カビまたは真菌のような所望されないアミンを生成する生物学的因子の存在は、食物分解の代わりに、またはそれに加えて検出され得る。上記インジケータ化合物の色変化は、細菌、カビまたは真菌のような、所望されない生物学的因子の存在を示し得る。例えば、特定の真菌は、穀物と接触するときアミンを生成する。サイロまたは船の貨物倉中に貯蔵された未処理小麦上の黒穂病は、トリメチルアミンを発生する。本発明は、本明細書中に、食物分解の検出を参照して説明されているが、同じデバイス、方法、および原理が所望されない生物学的因子の検出に付与され得ることが認識される。理想的なインジケータは非毒性であり、そして、好ましくは、食物添加物または色素として用いられ得、それによって、このインジケータ化合物がFQIから漏れる場合に生じ得る任意の危険を最小にする。理想的なインジケータは、上記揮発性塩基の検出に際し、強い色変化を有し、そしてこの色変化は、集団の色盲目メンバーに対してでさえ明らかである。これらの特定の特徴のないインジケータもまた、しかし、用いられ得る。
【0026】
適切なインジケータのクラスは、キサンテン色素、アゾ色素、およびヒドロキシ官能トリフェニルメタン色素を含む。多くのこれらのインジケータは、フェノール官能性を含む。多くの適切なインジケータは、ハロゲン化されているか、そして/または、−COOH、−SO、または−S(O)O−のような酸性官能基またはその塩を含む。好ましいインジケータは、Phloxine B、Rose Bengal、またはErythrosineのようなハロゲン化キサンテン色素;Congo RedおよびMetanil Yellowのようなスルホン化アゾ色素;およびBromophenol Blue、Bromocresol Green、およびPhenol Redのようなスルホン化ヒドロキシ官能トリフェニルメタン色素を含む。凍結海産食品との使用のために最も好ましいインジケータは、Phloxine B、Rose Bengal、およびBromophenol Blueである。好ましい実施形態では、本発明は、検出発色団として、ベタライン(これは、ベタニジン、ベタシアニン、およびベタキサンチンを含む)および/またはフラボノイド(これは、アントシアニンおよびアントシアニジンを含む)のような天然に存在する化合物を含むか、またはそれらに由来する1つ以上のインジケータを利用し;これらの化合物は、アミン化合物の存在下で色変化を受け、そしてこの色変化は、食物品質のインジケータとして採用される。より一般的には、上記検出材料は、ベタラインまたはベタライン誘導体であり得る。本発明と組み合わせる使用のために適切なベタラインは、赤紫ベタラインであり、そして有用な化合物は、ベタニジン、ベタニンおよびそれらの誘導体(例えば、ベタニンエステル)を含む。好ましくは、FQI材料は、キャベツ粉末抽出物、ビート抽出物、アントシアニン、アントシアニジン、フラボノイドおよびそれらの誘導体を含むリストから選択される。
【0027】
インジケータ組成物は、ビート、キャベツ、赤ワイン、茶、ブルーベリー、イチゴ、およびクランベリー中に存在するような天然の酸−塩基インジケータ;またはクリスタルバイオレット、クレゾールレッド、チモールブルー、メチルオレンジ、メチルレッド、エリオクロムブラック、ブロモクレゾールパープル、フェノールフタレイン、チモールフタレイン、およびモルダントオレンジのような合成インジケータを含み得る。
【0028】
ベタラインは、以下の化学式を有し、
【0029】
【化1】

ここで、ベタニジンについてはR’=R’’=OHであり、そしてベタニンにつては、R’=GlcO(Glc=グルコース)そしてR’’=OHである。しかし、R’とR’’の同一性は、本発明にとって重要ではなく、そして水素原子またはその他の置換基であり得る。カルボキシル基は、所望であれば、エステル化される。例えば、ベタニンのエステル誘導体は、硫酸のような強酸の存在下でアルコールとの反応によって調製され得る。
【0030】
【化2】

好ましい実施形態では、R’およびR’’はOH、エステル、アルキル、アリール、またはアルキル−アリール混合基、またはGlcO、そしてR’’’は、アルキル、アリール、またはアルキル−アリール混合基である。酸化に起因するインジケータ活性の段階的損失を防ぐために、酸化を受ける部分を欠くR’およびR’’基を利用することが所望され得る。抗酸化剤がまた、処方物中に採用され得る。いくつかの実施形態では、R’’’は、1〜20の炭素原子を有するアルキル基であり、そして直線状、分岐、環状、またはそれらの組み合わせであり得る。その他の実施形態では、R’’’は、例えば、1つ、2つまたは3つのメンバーを有する芳香族環を基礎にするアリール化合物であり得る。
【0031】
本発明における使用に適したフラボノイドインジケータは、花、果実およびいくつかの野菜、最も特にキャベツ中に天然に蓄積する赤紫化合物である。有用な化合物は、アントシアニン、アントシアニジンおよびそれらの遊動体を含む。これらは以下の化学式を有する。
【0032】
【化3】

ここで、RはH、O−糖またはOHであり、RはOH、O−糖またはOMeであり、RはHまたはOHであり、RはH、O−糖、OHまたはOMeであり、RはH、OHまたはOMeであり、そしてRはH、O−糖、OMeである。「糖」は、単糖、オリゴ糖または多糖、例えば、グルコース、スクロースなど、またはそれらの誘導体を含む。コノフラボノイド化合物は、例えば、アシル化を経由してエステル化され得る。
【0033】
ベタラインまたはフラボノイドインジケータは、本発明における使用に特に適している。なぜなら、それらは、食物と安全に接触され得るからであり、そして、たとえ水溶性ベタラインおよびフラボノイドでさえ、水のような極性化合物に曝された後でさえ、いくつかの多孔性基板中に保持されるからである。
【0034】
適切な酸−塩基調整剤が、このインジケータ組成物に添加され得、重炭酸イオンおよびそれらの塩、炭酸イオンおよびそれらの塩、水酸化物(例えば、NaOH、KOH、およびLiOH)、アンモニアおよびアンモニウム塩、生物起源アミンおよびそれらの塩、アミンおよびそれらの塩、アミノ酸およびそれらの塩、カルボン酸およびそれらの塩、リン酸およびその塩、硫酸およびその塩、ならびにホウ酸およびその塩を含む。好ましくは、上記調整剤は、アミンにより迅速に応答するインジケータ塩基転位を有することが所望されるとき、塩基(例えば、水酸化物、重炭酸塩、リジン、アルギニン、ヒスチジンまたはトリエタノールアミン)である。酸分解産物を検出することが所望されるとき、逆が真実である。好ましくは、上記塩基は、NaOHのようなアルカリ金属水酸化物である。上記インジケータ組成物の感受性はまた、共色素、濃度、組み合わせインジケータ、表面積、および照射の使用によって改変され得る。好ましくは、上記調整剤は、アミンにより迅速でない応答のインジケータ遠位転位を有するか、「前後」色コントラストを増加することが所望されるとき、酸である。好ましくは、この酸は、硫酸のような不揮発性酸である。塩基分解産物を検出することが所望されるとき、逆が真実である。
【0035】
適切なインジケータ溶液を調製するため、色変化を行うことが必要な塩基または酸の量は、反応化学量論に基づいて算出され、そして調整剤の水溶液が、調整剤の算出された量よりわずかに少なくして調製される。多孔性基板が、この調整剤溶液中に浸漬され、そして乾燥され、次いで、非水性検出材料溶液中に浸漬される。フィルター紙は、ここで、ここで、低レベルのアミンの検出のために「調整」される。あるいは、第1の溶液は非水性であり得、そして第2の溶液が水性であり得る。別の実施形態では、上記インジケータおよび調整剤溶液は、同じ溶媒を用いて調製され、そして色変化を行うわずかに前のpHに調整される。多孔性基板は、次に、この溶液中に浸漬され、そして低レベルの汚染物を検出するために用いられる。
【0036】
増大した感度のための溶液を調整するために、この検出材料溶液自体が、色変化を行うために必要な調整剤の量よりわずかに少ない量を有するように滴定される。例えば、調整されないビート抽出物は、約4.6のpHを有する。ビート抽出物で含浸されたインジケータ組成物を1,5−ジアミノペンタン(カダベリン)の飽和ヘッドスペースに曝すことは、色変化を起すのに約4日を要する。しかし、このビート抽出物を約7.00と8.02との間のpHに調整することにより、約15秒のオーダーで迅速な色変化が観察される。ビート抽出物(またはその成分、例えば、ベタニン)のような天然または食用物質を用いることはまた、インジケータ組成物で食物を損なうか、または汚染する可能性をなくす。上記インジケータ組成物および上記調整剤の適正な選択により、スクニーニングされる食物のタイプに依存する検出閾値に対応する改変された感度を有して作製され得る。例えば、異なるインジケータ組成物または異なる量の調整剤が、検出されることが予期される汚染物および/または食物の特徴(例えば、新鮮海産物でさえいくつかのアミンの自然の存在)に基づき選択され得る。これは、目的の汚染物の迅速および意義のある検出を可能にする。この材料/剤の組み合わせの選択は、汚染物、食物に、またはこの汚染物の許容レベルに基づき得る。
【0037】
いくつかの食物および飲料には、酸の産物が、食物スポイルとして形成され、例えば、ミルク中の乳糖は乳酸に変換され、そしてワイン中のエタノールは酢酸(食酢)に変換される。アミンのような塩基を検出するために用いられる同じインジケータがまた、酸分解を検出するために採用され得る。これは、存在するのであれば、交替塩基転位点を利用することによるか、またはアミンのために観察される変化の逆を観察するためにインジケータのpHを調節することによっていずれかで達成され得る。このようにして、このインジケータシステムは、食品品質の進行中の視覚指標を提供する。
【0038】
上記FQI材料は、上記多孔性基板層で分離した領域内に付与され得るか、または上記多孔性基板層全体に付与され得る。このFQI材料が分離した領域上に付与される場合、この領域は、上記食物品質材料が付与される領域が、腐敗した食物産物の存在に起因する上記インジケータ中の変化が観察されるに十分大きい限り、円形、矩形、三角形、または任意のその他の形状として成形され得る。
【0039】
上記インジケータ化合物はまた、多孔性ポリマーマトリックス内に保持され得、このインジケータ化合物の食物中への漏れを防ぐ。このポリマーマトリックスは、上記インジケータ化合物を包接するように適合され得る。適切なポリマーマトリックスは、検出されるべき揮発性塩基の1つ以上に対し、少なくとも部分的に透過性である。別のアプローチでは、上記インジケータ分子は、ポリマーマトリックス内に取り込まれる。これは、反応前にこのインジケータをプレポリマーと混合することによって達成され得;重合が、このポリマーマトリックス内に、食物で生成されたアミンとの(見える色変化に至る)適切な相互作用を容易にする十分な表面剥きだし、そして/またはポリマー透過性とともに、インジケータ分子を乗せる。例えば、ベタラインまたはフラボノイドインジケータは、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデンおよびポリ塩化ビニルと混合され得る。
【0040】
上記マトリックスは疎水性であり得る。疎水性マトリックスは、水が、上記検出材料および/または調整剤のようなマトリックス内に隔離された材料に接近することを防ぎ、その一方、汚染物がこの検出材料を通過し、もそしてそれと相互作用することを許容する。結果として、疎水性性質は、上記検出材料の有用寿命を保存する。種々の実施形態において、上記検出材料および調整剤の組み合わせは、チーズクロスのような布に、紙に、またはプラスチックの表面に付与される。あるいは、この検出材料および調整材料の組み合わせは、ゲルまたはゼラチン内に配置され得る。
【0041】
本発明は、一般に、食物パッケージに付与されるとき、食物の新鮮味をモニターし、そして腐敗を検出するFQIに関する。このFQIは、食物ラップまたは食物コンテナに、例えば、このラップ内の腐敗産物によるインジケータ領域に曝すことを経由して、その中に含まれる食物の腐敗を検出し得るような様式で接着して付着される。
【0042】
本発明のFQIは、少なくとも1つの不浸透性でない領域を有する不浸透性層、インジケータ組成物を有する少なくとも1つの領域を有する多孔性層、および少なくとも1つの呼吸可能または非接着剤領域を有する接着剤層を含む。少なくとも1つの不浸透性でない領域、インジケータ領域、および呼吸可能または非接着剤領域は、互いの上に横たわり、上記多孔性基板を横切る流体連通を許容するインジケータ領域を形成する。このようにして、上記インジケータ領域はまた、腐敗の状態の視覚指示を可能にする。多くの適用は、食物パッケージ上に1つの小さな(例えば、1〜2cm×2〜4cm)FQIを必要とするに過ぎないことが企図されるので、代表的には、1つだけのインジケータ領域がある。しかし、その他の適用は、1つ以上の腐敗産物をモニターすることを行い得るので、これを達成するために各々内に異なるインジケータ組成物を備えたさらなるインジケータ領域が存在し得る。
【0043】
使用において、上記接着剤層は、このFQIを食物パッケージに貼ることを可能にする。このデバイスは、パッケージの内側または外側で等しく働き得るが、多くの事例では、このデバイスは使用の柔軟性のために、外側に貼られ得る。この「外側」適用では、このデバイスの形態は、(揮発性または不揮発性腐敗産物が存在する)食物パッケージの内側から、呼吸可能な食物パッケージを通り、そしてこのデバイスのインジケータ領域を通る流体連通を許容し、その際に、上記インジケータ組成物が、腐敗産物との反応に応答して色を変化する。
【0044】
上記接着剤層は、少なくとも1つの呼吸可能または非接着剤領域を有し、上記インジケータ領域を通る流体連通を可能にする。すなわち、この接着層を通り、食物分解産物がインジケータ組成物を含む多孔性基板を横切るか、またはそれと接触することを可能にする少なくとも特定の経路が存在する。1つの実施形態では、この接着剤層は、パターン化された接着剤、例えば、交互する接着剤スイリップおよび非接着剤領域が多孔性基板上に敷設され、インジケータ組成物の付与のための非接着剤領域を残し、これは、分離した領域、またはストリップ中に付与され得る。別の実施形態では、この接着剤層は、例えば、リソグラフィーに酷似して、所定パターンで多孔性基板上に「プリント」され得、この多孔性基板の表面上の接着剤の別個のドットまたはグリッドを生じ、剥き出た多孔性基板の大きな表面を生じ、しかし、その下にラップ材料に接着するために利用可能な多孔性基板の全体領域を備える。この実施形態は、上記インジケータ領域が多孔性基板の別個の領域に整列される必要がないという点で、上記FQIの製造でわずかにより柔軟性を許容する。このようにして、この接着剤層の「呼吸可能性」がまた、所望であれば調節され得る。
【0045】
上記接着剤層は、上記FQIを一緒に、そして上記食物パッケージに保持する任意の非毒性接着剤、例えば、感圧接着剤、アクリルベース接着剤、および/またはUV硬化接着剤から作製され得る。この接着剤層中の接着剤は、この層の全体に均一に付与され得るか、または、それは、この接着剤層のいくつかの部分がそれに付与される接着剤を有さない、パターン化された様式で付与され得る。特定の実施形態では、パターン化された接着剤層は、接着剤を、上記インジケータ材料組成物が位置される領域上には配置しない。
【0046】
上記不浸透性層は、上記インジケータ領域を除くすべてを封止するバリアとして供され、それ故、上記インジケータ領域の境界、そしてそれ故、流体連通のためのチャネルを規定する。1つの実施形態では、用いられる不浸透性材料は、流体駆散材料であるが、アミンの流れは許容する。不浸透性層の構築で用いられる材料の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオレフィン、アクリル、シリカゾル−ゲル、ポリジメチルシリコーンを含むシリコーンポリマー、シラン酸化チタンゾル−ゲル、シラン架橋可能な樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、TEFLON(登録商標))、ポリ塩化ビニル、ホリエステル、処理/被覆紙、およびブチル化セルロースを含み得る。
【0047】
上記FQIは、望ましくは、上記パターン化された接着剤層に接着する離脱シートを含み、接着剤を未成熟使用から保護し、そしてラベル付与用具の使用を可能にする。
【0048】
本発明のFQIは層中に配列される。本発明のラベルの1つの例では、上記FQI材料は、多孔性基板層の別個の領域に付与される。例えば、図1に示されるように、インジケータ組成物は、それが腐敗した食物に曝されるとき、FQI材料の色を有するプリントされた参照領域によって取り囲まれた円内に付与される。接着剤層は、このFQIを食物パッケージに貼り付け、付与されたインジケータ組成物を有する多孔性基板層の領域には付与されない。境界が限られた接着剤層と多孔性基板層との間に第1の障壁層が存在し得る。必要に応じて、この障壁層は、この多孔性基板層(これにはFQI材料が付与されている)と食物パッケージとの間になにもないようにダイで打ち抜かれる。ラベル材料層(例えば、その上に印を有する)が、多孔性基板層と不浸透性層との間に配置される。表1は、上記に記載のFQIの構造を要約する:
【0049】
【表1】

本発明の別の例は、多孔性基板層と接着剤層とが単一の層に組み合わされるものである。これは、上記FQI材料を多孔性基板/接着剤層の1つの部分に付与すること、および接着剤をこの多孔性基板/接着剤層の残りの部分(単数または複数)に付与すること、すなわち、「パターン化」によるか;または上記FQI材料を、この層の別個の部分に付与すること、および接着剤を、全体層を横切って均一に付与することによるか;または上記FQI材料および接着剤を、全体層を横切って均一に付与することによって達成され得る。食物パッケージから最も遠い多孔性基板/接着剤層の側面上に、不浸透性ラベル材料層が配置される。表2は、このFQIの構造を要約する:
【0050】
【表2】

FQI実施形態の別の例が、図2に描写される。このFQIは、離脱シート6を含む。この離脱シート6は、FQIが活性化されていないことを示す印を表示し得る。これは、このFQIを、それが腐敗のモニタリングおよび検出のために食物製品のパッケージに貼られるまで貯蔵されることを可能にする。このFQIでは、食物パッケージに貼られている離脱シート6が容易に剥がされる。上層1は、その上にプリントされた印を有する。この印は、美術作品、テキスト、指示書および/または腐敗した食物に曝された後FQI材料の色を示す参照材料を含み得る。この美術作品、テキストおよび参照材料は、上塗り、薄板、またはその他の保護によって保護され得る。この上層は、その上部にラベルが作製され、型抜きポリエチレンフィルム2であり得る。不浸透性層の下には、この不浸透性層を下にある多孔性基板層4に保持するために用いられる接着剤3がある。多孔性基板層4は、別個の領域中に付与されるインジケータ組成物を有する。この下には、このFQIを離脱シート6に保持するパターン化された接着剤5が配置され、そして使用されるとき、このFQIを食物パッケージに貼り付ける。このFQIはまた、多孔性基板層4を除いてこのFQIの層を通って切断される型抜き領域7を有する。この型抜き領域7は、多孔性基板層を横切る流体連通を可能にする。
【0051】
ラベル材料層は、価格、バーコード、このFQIを解釈するための指示書、および/または参照材料を含む印がその上にプリントされ得る。特に、この参照材料は、望ましくは、インジケータ組成物に隣接して配置される着色領域を含み、それは、インジケータの色と対比される。この参照材料は、一般に、FQI材料と同じ層上には配置されない。本発明の特に望ましい実施形態は、図3に描写される。図3は、本発明のFQIの詳細な実施形態を示す。このFQIの上部の上に配置されるラベル材料層に示されるものは、図2に示されるようである。このラベル材料は、バーコード、およびどのようにFQIが作動するかに関する指示書を示す。図3に示されるラベル材料層は、下のFQI材料を示す窓の周りに形成された文字「Q」の形状の参照材料を有する。この「Q」は、それが腐敗した食物製品に曝されるとき、インジケータ材料の色であり、それ故、この「Q」が1つの安定した色であるとき、新鮮さは保証されない。
【0052】
別の実施形態では、このFQIは、食品パッケージの外側の任意の位置(すなわち、上部、側面または底部)に付与され得る。このFQIをパッケージ材料の外側に貼り付ける主要な利点は、このインジケータを食物パッケージに付与するタイミングに関するより大きな柔軟性であり、すなわち、食物をパッケージする者がラベルを付与することを必要としないであろう。このラベルは、それ故、スーパーマーケット労働者、トラックドライバー、荷送人などによって付与され得る。消費者はまた、かれら自身のラベルおよび/またはインジケータ材料を貼り付け得る。これは、消費者が、食物が家庭内で貯蔵されるときその新鮮さを決定することを可能にし、そして消費者に、この食物が冷蔵庫中に貯蔵し続け得るか、またはそれを直ぐに用いなければならないことを示す。1つの実施形態では、ラベルまたはインジケータ材料は、パーケージングプロセスが終了した後にパッケージ材料の外側に貼り付けられ得る。
【0053】
この実施形態では、FQIは、上記に描写された形態の1つであり得るが、インジケータが適正に作動するために、その上にラベルが貼り付けられる外側ラップは、検出される食物分解産物に「呼吸可能」であるか、または半透過性でなければならず、食物分解産物がFQI材料に突き当たることを可能にし;少なくともこの外側ラップは、ラベルが貼り付けられる特定の領域中で呼吸可能またはガス透過性でなければならないことに注目のこと。呼吸可能またはガス透過性パッケージ材料の例は、エチレンビニルアセテート、ポリオレフィン類(ポリエチレンおよびポリプロピレンを含む)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、フルオロポリマー、ポリメチルメタクリレート、アセタール、ポリ塩化ビニル、フェノキシ、ポリエステル、ナイロン、ポリビニリデンフルオライド、エポキシ、ポリ塩化ビニリデンおよびニトリルを含む。これらの材料は、単一層フィルムとして用いられ得るか、または多層フィルムとして一緒に用いられ得る。
【0054】
別の実施形態では、上記FQIは、必要に応じて、不浸透性層の上に、疎水性のガス透過性の被覆層を含み得、多孔性基板を横切る流体連通を可能にするが、それを種々の要素から防ぐ。
【0055】
別の実施形態では、上記FQIは、必要に応じて、不浸透性層の上に除去可能な疎水性被覆層を含み得る。この実施形態の1つの局面では、この除去可能な被覆層は、このデバイスが活性化されていないことを示す印を表示し、そして不浸透性層は、このデバイスが活性化されていることを示す印を表示し、ここで、この不浸透性層上の印は、除去可能な被覆層がその場にあるとき、少なくとも部分的には見えない。この実施形態の別の局面は、使用のための指示書、またはマーケッティングもしくは教育的情報などを含むブックレットまたは折り込みパンフレットを含む。
【0056】
別の実施形態では、上記FQIは、パッケージングプロセスの中間ステージの間に(すなわち、多層パッケージ材料の内部層に)取り付けられ得る。これは、このFQIが、食品パッケージの一部になることを確実にし、そして容易に除去できず、誰かがこのインジケータをいじることを防ぐことで有利であり得る。
【0057】
上記FQIは、サイズまたは形状に制限はなく、そしてインジケータに関連および非関連の両方の情報を含み得る。例えば、それは、色参照物および使用のための指示書を含み得、そしてバーコード、価格などを含み得る。この参照物は、異なる色を有する非指示材料、または食物環境から密封してシールされた指示材料であり得る。この参照物は、活性インジケータに隣接する円もしくは矩形、またはより大きな円内の円もしくは直線を含む任意の形状であり得る。図1Aは、インジケータ組成物を取り囲む円形の参照領域内の円形領域に付与されたインジケータ組成物を備えたFQIを描写する。インジケータ組成物の色が参照物の色に一致するとき、これは、このパッケージ内側の食物が腐敗したことを示す。図1Bでは、インジケータ材料および参照物材料が付与される領域は矩形である。
【0058】
さらに、図1Cに示されるように、参照物材料は、FQI材料からは完全に分離されて表示され得、そして1つ以上の参照材料が存在し得る。図1Cは、それぞれ低いおよび高い細菌レベルの存在下のインジケータの色を示す左右の円を示す。FQI材料は、中央の円として示される。これは、微生物がモニターされている食物製品上でより優勢になるとき、損傷の段階を見ることを可能にする。
【0059】
本発明はまた、食物製品を含む食物パッケージ、この食物製品を取り囲むガス透過性ラップ、およびこのガス透過性ラップに貼り付けられるFQIを包含し、ここで、このFQIは、少なくとも1つの不浸透性でない領域;分解食物の特徴である化合物に応答して色を変化するインジケータ組成物を含む少なくとも1つの領域を有する多孔性基板層;および少なくとも1つの接着剤領域および少なくとも1つの非接着剤領域を有するパターン化された接着剤層を備え、ここで、少なくとも1つの不浸透性でない領域、インジケータ領域(単数または複数)および非接着剤領域は互いの上に横たわり、多孔性基板を横切る流体連通を可能にするインジケータ領域を形成し、このインジケータ領域は、腐敗の状態の視覚指示を可能にする。
【0060】
本発明によるFQIを作製する例示で、かつ非制限的な方法が以下に説明される。
工程1:裏打ち、およびインジケータ堆積への紙積層。
【0061】
a)裏打ち材料(離脱剤を備える紙またはフィルム)を、接着剤で被覆されないストライプを残して接着剤で被覆する。
【0062】
b)多孔性基板、例えば、セルロースを基礎にする紙を工程1のa)で作製された構造に積層し、紙、パターン化された接着剤、離脱剤および裏打ちからなる構造を作製する。(ラベルが用いられるとき、この裏打ちは剥ぎ取られ、そして接着剤は、多孔性基板上に残る。)
c)工程1のb)の非接着剤領域中にインジケータ組成物含有溶液をスプレーまたはフプリントする。
【0063】
d)得られる構造は、インジケータストライプを備える紙、パターン化された接着剤(すなわち、インジケータスイライプ領域には接着剤はない)、離脱剤および裏打ちからなる。
工程2:印を備えた不浸透性層の調製。
【0064】
a)ポリエチレン、アクリル接着剤、離脱剤およびグラシン(glassine)裏打ちからなる不浸透性層材料上に、すべての印、指示書など、1つの色を一度にプリントする。
【0065】
b)2のa)の構造中にプリントされた「Q」の中央に、領域、例えば、円または楕円を型抜きする。
【0066】
c)得られる構造は、すべての印刷/印、ポリエチレン、アクリル接着剤、離脱剤および上記Qの中央に型抜きされた穴を備えたグラシン裏打ちからなる。
工程3:併合構造1および2
a)1のc)の構造をとり、離脱剤およびグラシン裏打ちを、印刷/印、ポリエチレン、上記Qの中央に型抜き穴を備えたアクリル接着剤からなる残りの構造から剥がす。離脱剤/グラシン裏打ちを処分する。
【0067】
b)3のa)の構造に1のd)を積層し、印刷/印、ポリエチレン、アクリル接着剤、1のd)のストライプと整列するQの中央にある型抜き穴、インジケータストライプを備えた紙、パターン化接着剤(インジケータストライプ領域に接着剤がない)、離脱剤および裏打ちの構造を得る。
【0068】
d)離脱裏打ちまで下方に矩形ラベルを型抜きする。
(等価物)
当業者は、慣用の実験以外を用いないで、本明細書中に記載される詳細な手順の多くの等価物を認識し、または確認し得る。このような等価物は、本発明の範囲内であると考えられる。種々の置換、改変、および修飾が、本発明の思想および範囲から逸脱することなく本発明に対してなされ得る。その他の局面、利点、および修飾は、本発明の範囲内である。本出願の全体で引用された、すべての参考文献、発行された特許、および公開された特許出願は、本明細書によって参考として援用される。これらの特許、出願およびその他の書類の適切な構成要素、プロセス、および方法は、本発明およびその実施形態のために選択され得る。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】図1は、FQI材料に隣接して見える参照領域とともに本発明によるFQIの平面図を示す概略である。
【図2】図2は、多孔性基板層を除く複数の層を通る円また楕円の切断ともに本発明によるFQIの平面図を示す概略である。
【図3】図3は、エンドユーザーがパッケージ上で本発明によるFQIを見るときのその絵である。
【図4】図4は、エンドユーザーがパッケージ上で本発明によるFQIを見るとき、「新しい」FQI(図4A)および「使用済」FQI(図4B)を示す絵である。
【図5】図5は、エンドユーザーがパッケージ上で本発明によるFQIを見るとき、「新しい」FQI(図5A)および「使用済」FQI(図5B)を示す別の絵である。
【図6】図6は、本発明の別のFQIの絵であり、使用におけるFQIの進行を示し、「新鮮」食品(図6A)、および「保証されない」質の食物(図6B)、および廃棄されるべき食物(図6C)上のFQIを示す。
【図7】図7は、本発明の図6とは異なる実施形態を示す絵であり、ここで、棒型の比較表示が取り囲まれた参照「Q」領域に代わって用いられる。
【図1A】

【図1B】

【図1C】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つの不浸透性でない領域を有する不浸透性層;
b)分解する食物の特徴である化合物に応答して色を変化するインジケータ組成物を含む少なくとも1つの領域を有する多孔性基板層;および
c)該多孔性基板層を通じて流体連通を可能にする少なくとも1つの領域を有する接着剤層を順に備えるFQIであって、
ここで、少なくとも1つの不浸透性でない領域、インジケータ領域および該接着剤層の1つの領域が、互いの上に横たわる流体連通が、該多孔性基板を横切る流体連通を可能にするインジケータ領域を形成することを可能にし、該インジケータ領域が腐敗の状態の視覚指標を可能にする、FQI。
【請求項2】
前記接着剤層に接着する離脱シートをさらに含む、請求項1に記載のFQI。
【請求項3】
前記インジケータ組成物が、キャベツ粉末抽出物、ビート抽出物、アントシアニン、アントシアニジン、フラボノイド、ベタラインおよびベタライン誘導体からなる群から選択される、請求項1に記載のFQI。
【請求項4】
前記インジケータ組成物が、アミンの存在について感色性である、請求項1に記載のFQI。
【請求項5】
前記接着剤層が、パターン化された接着剤である、請求項1に記載のFQI。
【請求項6】
前記パターン化された接着剤の層が、プリントされたドットパターンである、請求項5に記載のFQI。
【請求項7】
前記パターン化された接着剤の層が、交互するストライプパターンである、請求項5に記載のFQI。
【請求項8】
前記パターン化された接着剤の層が、縁または同心円形パターンである、請求項5に記載のFQI。
【請求項9】
前記不浸透性でない領域が、前記不浸透性層中に開口部を備える、請求項1に記載のFQI。
【請求項10】
前記インジケータ組成物が、酸の存在について感色性である、請求項1に記載のFQI。
【請求項11】
前記多孔性基板が、セルロース材料およびポリマー膜からなる群から選択される、請求項1に記載のFQI。
【請求項12】
前記多孔性基板が、7未満のpHを有する、請求項1に記載のFQI。
【請求項13】
前記多孔性基板のpHが、6と7との間である、請求項1に記載のFQI。
【請求項14】
前記多孔性基板が、前記インジケータと酸塩基反応を行わない、請求項1に記載のFQI。
【請求項15】
前記パターン化された接着剤が、感圧接着剤、アクリルベースの接着剤および紫外線硬化接着剤からなる群から選択される、請求項1に記載のFQI。
【請求項16】
前記不浸透性組成物が、ポリエチレン、ホリオレフィン、ポリエステル、ポリプロピレンおよびアクリルからなる群から選択される、請求項1に記載のFQI。
【請求項17】
前記不浸透性組成物が、前記インジケータ領域の色との比較のための参照色を提供するために該インジケータ領域と協働する印をさらに備える、請求項1に記載のFQI。
【請求項18】
前記印が、使用のための指示をさらに含む、請求項17に記載のFQI。
【請求項19】
前記印が、前記インジケータが活性化されたか否かをさらに示す、請求項17に記載のFQI。
【請求項20】
前記不浸透性層と前記多孔性基板との間に差し挟まれる連続的接着剤層をさらに備える、請求項1に記載のFQI。
【請求項21】
前記不浸透性層の上に除去可能なカバー層をさらに備える、請求項1に記載のFQI。
【請求項22】
前記不浸透性層の上に、疎水性の呼吸可能またはガス透過性カバー層をさらに備える、請求項1に記載のFQI。
【請求項23】
前記除去可能なカバー層が、前記デバイスが活性化されていないことを示す印を表示し、そして前記不浸透性層が、該デバイスが活性化されることを示す印を表示し、ここで、該不浸透性層上の印が、該不浸透性層がその場にあるとき、少なくとも部分的に見えない、請求項21に記載のFQI。
【請求項24】
食物製品;ならびにガス透過性ラップおよびそれに固定された請求項1に記載のFQIを備える、食物パッケージ。
【請求項25】
シールされたパッケージ中の食物品質をモニターする方法であって:
a)食物製品;およびガス透過性ラップを含む食物パッケージを提供する工程;
b)FQIを該ガス透過性ラップに固定する工程であって;ここで、該FQIが、少なくとも1つの不浸透性でない領域を有する不浸透性層;分解する食物の特徴である化合物に応答して色を変化するインジケータ組成物を含む少なくとも1つの領域を有する多孔性基板層;該多孔性基板層を通る流体連通を可能にする少なくとも1つの領域を有する接着剤層を備え、ここで、少なくとも1つの不浸透性でない領域、インジケータ領域および該接着剤層の1つの領域が、互いの上に横たわる流体連通が、該多孔性基板を横切る流体連通を可能にするインジケータ領域を形成することを可能にし、該インジケータ領域が腐敗の状態の視覚指標を可能にする、工程;および
c)該FQIの色を基に、該食物製品の質を決定するために該FQIを視覚によって検査する工程、を包含する、方法。
【請求項26】
前記視覚検査工程が、前記不浸透性層上に表示された色領域を参照して、前記FQIの色を比較することをさらに包含する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
積層FQIを製造する方法であって:
a)多孔性基板層を提供する工程;
b)該多孔性基板層の1つの表面に接着剤パターンを積層する工程であって、ここで、該パターンが、接着剤が付与されない領域を含む、工程;
c)該多孔性基板層の非接着表面への積層のための不浸透性層を提供する工程であって、該不浸透性層が、少なくとも1つの不浸透性でない領域を有する、工程;
d)該多孔性基板層の非接着表面に不浸透性層を積層する工程であって、該不浸透性でない領域が、工程b)の多孔性基板層の非接着剤領域の上に位置される、工程;
e)該多孔性基板層の非接着剤領域に、分解する食品の特徴である化合物に応答して色を変化するインジケータ組成物を付与する工程;および
f)前記多孔性基板層の接着表面に離脱シートを積層する工程、を包含する方法。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−513739(P2008−513739A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−531486(P2007−531486)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【国際出願番号】PCT/US2005/033157
【国際公開番号】WO2006/032025
【国際公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(507079046)フード クオリティー センサー インターナショナル, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】