説明

食物脂肪複合化剤を含む組成物およびそれらの利用法

【課題】現在の薬物治療の不快な副作用が無く、食物脂肪の吸収を低減する物質の提供。
【解決手段】本発明は、α−シクロデキストリンを有する脂肪含有消費可能食品に関する。前記食品は、生物利用可能な脂肪のレベルは低いが、α−シクロデキストリンを含まない類似の食物と同じ脂肪、コレステロールおよびカロリー含有量を有する。本発明は、又、ボンブ熱量計測法によって測定されるカロリー摂取量を低減させることなく脂肪含有食品中の脂肪の生物利用可能性を低減させる方法と、本発明の前記食品を与えることによって対象体の高密度リポタンパク質を増加させる方法、体重を低減又はコントロールする方法とにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、ここにそれら全部を参考文献として合体させる2003年7月14日出願の米国仮特許出願第60/486,440号、2003年4月11日出願の第60/461,847号および2002年8月19日出願の第60/404,366号に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、消費可能製品、特に、α−シクロデキストリンを有する脂肪含有消費可能製品と、それらの利用法に関する。本発明は、又、脂肪含有消費可能製品に含まれる脂肪中の生物利用可能性を低減する方法と、脂肪含有消費可能製品の官能特性を高める方法とにも関する。
【背景技術】
【0003】
ダイエット、運動および薬品によって体重をコントロールする努力の成功は限られてきた。肥満は米国において流行病的比率であり続けている。2000年において、米国の成人人口の64.5%以上が体重過多又は肥満であり、米国全土で、人口の30.5%が肥満であることが報告された(フリーガル(Flegal)他,JAMA 288:1723-1727(2002))。又、米国人口の7.3%が糖尿病であり、糖尿病が米国において流行病であると考えられる(モクダッド(Mokdad)他,JAMA 286:1195-1200(2001))。医師は、体重増加、肥満および糖尿病と闘っているその患者に対して運動すること、そして、食べる食物の量と質を管理することを薦めるが、人口の大半は、彼らの体重を減らすために必要であるかもしれないライフスタイルの大きな変更を行うことができないか、行いたくないと考えていることが証明されている。
【0004】
体重を維持および/又は減少させるためにヘルスケア提供者によって推奨されている戦略は、多くの場合、ライフスタイルの変更を伴うものであり、いくつかの場合において、薬物又はダイエット・サプリメントの追加使用を伴うものである。体重減少(一年後における最初の体重の>10%以下として定義される)を維持することが出来る個人は、一般に、これらの戦略の全部又は少なくともそのいくつかの組み合わせを適用している(マクガイア(McGuire)他,“Behavioral strategies of individual who have maintained long-term weight losses(長期間体重減少を維持できる個人の行動上戦略)”Obes Res 7:344-341(1999))。しかし、肥満した個人および政府によってなされる全ての努力にもかかわらず、体重の減少を維持する成功率は失望するほど低い。メタ分析は、「自己治癒」の成功率は、一年後で9%から43%であることを示している(バートレット(Bartlett)他,“Is the prevalence of successful weight loss and maintenance higher in the general community than the research clinic?(体重減と維持の成功率は研究機関においてよりも一般社会で高いか?)”Obes Res7:407-413(1999))。国立体重矯正登録局(National Weight Control Registry)の報告によれば、47−49%の肥満患者は、一年後に少なくとも10%の体重減を維持し、25−27%が、この量の体重減を5年間以上に亘って維持している(マクガイア(McGuire)他,“The prevalence of weight loss maintenance among American adults”(アメリカの成人における体重減維持率)Int J Obes MetabDisord 23:1314-1319(1999))。しかしながら、5−15年後では、僅かに5%の肥満患者しか体重減を維持できていなかった(ドレニック(Drenick)およびジョンソン(Johnson),“Weight reduction by fasting and semistarvation in morbid obesity: long term follow-up(病的肥満における絶食および半飢餓による体重減少:長期間の経時観察)”,Int. J. Obes. 2:25-34(1978)および、サーリオ‐ラーテーンコルヴァ(Sarlio-Lahteenkorva)およびリッサネン(Rissanen),“A descriptive study of weight loss maintenance: 6 and 15 years follow-up of initially overweight adults(体重減少維持の記述的研究:初期過体重成人の6および15年経過観察)”Int. J. Obes 24:116-125(2000))。
【0005】
肥満の薬剤治療法も開発されているが、それらの使用には限界がある。現在、食品医薬品局(FDA)によって認可されている肥満予防薬は、オーリスタット(Orlistat)とシブトラミン(Sibutramine)の僅かに二つである。オーリスタットは、小腸の膵リパーゼ活性を抑制する。膵リパーゼはトリグリセリドを脂肪酸とモノグリセリドとに分解し、その後、これらが体内に吸収される。従って、リパーゼ活性を抑制することによって脂肪の吸収を効果的に減少させる。しかし、患者がこの薬物治療中に推奨される低脂肪食に従わない場合には、脂肪は腸内細菌によって代謝され、浸透性変化とガス生成を引き起こし、これによって、この薬物治療にかなり不快な副作用、下痢、鼓腸が生じる。従って、この薬剤は、中程度の体重減とダイエットのみよりも良好な体重維持をもたらし得るものではあるが、大きな食事変化がない場合には、胃腸の不快感、下痢、および鼓腸によってその使用は限られてきた(ヘック(Heck)他,“Orlistat, a new lipase inhibitor for the management of obesity(オーリスタット、肥満管理のための新しいリパーゼ阻害剤”,Pharmacotherapy 20:270-279(2000))。
【0006】
シブトラミンは、セロトニンとノルエピネフリンの再摂取抑制剤であり、食欲を減少させることによって体重を減らす(ブレイ,ジー(Bray G.),“Drug treatment of obesity(肥満の薬物療法)”,Rev. Endocr Metab Disord 2:403-418(2001))。FDAは、それを2年間以内の肥満の治療用に認可している。しかし、シブトラミンは、ノルエピネフリンの再摂取を抑制するものであり、従って、血圧を上げる可能性がある。従って、この薬物は、一部の肥満患者の使用のためには禁忌とされている(ブレイ(Bray)2001前出、およびスラメック(Sramek)他“Efficacy and safety of sibutraminefor weight loss in obese patients with hypertension well controlled by beta-adrenergic blocking agent: a placebo-controlled, double-blind, randomized trial(ベータ受容体阻害剤で良く制御された高血圧症を有する肥満患者における体重減少のためのシブトラミンの効果および安全性:二重盲検、無作為試験)”J Hum Hypertens 16:13-19(2002))。シブトラミンのその他の副作用としては、心拍数の増加、不眠、便秘、頭痛、腹痛、等がある。正常血圧の肥満患者のためには、シブトラミンをダイエットと行動の改変と組み合わせることが有益な作用を有することが示されている(アストラップ(Astrup)およびトゥブロ(Toubro)“When, for whom and how to use sibutramine?(いつ、誰のために、そして、どのようにシブトラミンを使用する?)”Int J Obes RelatMetab Disord 25 (suppl4):S2-S7(2001))、が、今日まで、シブトラミンだけを、即ち、ライフスタイルをなんら変更することなく、使用したヒトの研究はまだ無い。更に、ある動物研究において、シブトラミンの食欲抑制作用は、複数日の投与において次第に低下した(ストラック(Strack)他“Regulation of body weight and carcass composition by sibutramine in rats(ラットにおけるシブトラミンによる体重および死体成分の調節)。”Obes Res 10:173-181(2002))。
【0007】
体重増加を減少させ、体重を維持し、肥満に関連する代謝異常の一部を治療するために、食事サプリメントも使用されてきた。例えば、オメガ3−脂肪酸とリノレン酸とは、体重増加を減少させ、トリグリセリドレベルおよび/又はインスリン耐性に影響を与えることが示されている。オメガ3−脂肪酸は、正常な、高脂血症および糖尿症のヒトにおいて血中脂質レベルを低下させ、体重を減少させることが示されている。高脂血症を有さない糖尿病患者に、オメガ3−脂肪酸の含有率が高いことが知られているフィッシュオイルを与えたところ、これらの血圧は下がったが、血中脂質レベルの低下は示されなかった。しかしながら、高脂血症を有する糖尿病患者では、オメガ3−脂肪酸フィッシュオイルの摂食後、血中トリグリセリドレベルが大幅に低下し血圧も低下していた(カスミン(Kasmin)他 J. Clin Endocrinol Metab 67:1-5(1988))。遺伝的に肥満のツッカーラット(Zucker Rat)とそれらの痩せた対応体とにフィッシュオイルを有する食餌を与えたところ、肥満ラットと正常ラットとの両方が、コントロールと比較して、体重と血中脂質レベルとが低下した(ジェン(Jen)他, Nutrition Research 9:1217-1228(1989))。フィッシュオイルを有する高脂肪食餌は、その他のオイルで作られた高脂肪食餌と比較して、最も少量の体重増加とインスリン耐性をもたらした(ペッリッゾン(Pellizzon)他,Obesity Res. 10:947-955(2002))。オメガ3脂肪酸は、又、インスリン耐性に対しても有用な作用を有するものと考えられている。フィッシュオイルを含む高脂肪食餌を与えられたラットは、他のオイル、例えば、ラード、コーン・オイル、又は、中鎖トリグリセリドを含む食餌を与えられたラットよりもインスリン耐性が低かった(ヒル(Hill)他 Int. J. Obesity, 17:223-236(1993))。
【0008】
食事に添加されたリノレン酸も、体脂肪率を低下させ、肝臓の脂肪酸β−酸化を促進することが示されている(タカダ(Takada)他, J. Nutr. 124:469-474(1994))。高齢のラットに、種々の脂肪酸、即ち、α−リノレン酸(n−3 PUFA)又はγ−リノレン酸(n−6 PUFA)(10%w/w)で、コレステロールを添加して、調理した食餌を15週間与えたところ、αとγとの両方のリノレン酸が、高コレステロール食餌を与えられたラットにおいて、血中総コレステロール、VLDL+IDL+LDLコレステロールレベルの増加を抑制することが判った(フクシマ(Fukushima)他 Lipids 36:261-266(2001))。γ−リノレン酸を毎日強制飼養させて体重と体脂肪を減少させておいたツッカーラット(Zucker Rat)でも類似の結果が見られた(フィニー(Phinney)他 Metabolism 42:1127-1140(1993))。ヒトでは、n−3 PUFAとγ−リノレン酸の混合物も、約28日間の投与後の女性において血中脂質および脂肪酸プロファイルを好都合に変化させた(Laidlaw and Holub, Am J. Clin. Nutr. 77:37-42 (2003))。
【0009】
体重減とその他の有用な健康作用を促進するライフスタイルの変化としては、たとえば、運動量の増加、カロリー摂取量の減少、食物脂肪摂取量の減少がある。米国では、食物脂肪の摂取率が1965年の43.7%から1995年の33.1%に低下した(ケネディ(Kennedy)他,“Dietary-fat intake in the US population(米国住民における食事脂肪摂取)”J Am CollNutr 18:207-212(1999))、が、食べられるカロリーの平均数値は、脂肪消費の増加よりも増大している。従って、食物脂肪摂取率は低下したが、総脂肪摂取量は1995年から100.6g(男性)に増加している。食物脂肪は比較的容易に脂肪組織に変換されるので、たとえカロリー摂取量が同等のものであったとしても、脂肪含有率の高い食事は低脂肪の食事と比較してより大きな体重増加をもたらす。この現象は、ヒトとラットとの両方で起こることが報告されている(アストラップ(Astrup)他,“Obesity as an adaptation to a high-fat diet: evidence from a cross-sectional study(高脂肪食への適応としての肥満: 横断調査からの証拠)”Am J Clin Nutr: 59;350-355(1994));(ジェン(Jen)“Effects of diet composition on food intake and carcass composition in rats(ラットにおける食糧摂取量と死骸成分における食事構成の効果)”Physiol Behav 42:551-556(1988); および;ジェン(Jen)他“Long-term weight cycling reduces body weight and fat free mass, but not fat mass in female Wistar rats(雌のウィスターラットにおいて、長期のウェイトサイクリングは脂肪の量ではなく、体重と無脂肪の量を減少させる)”Int J Obesity 19:699-708(1995))。
【0010】
体重減の促進、又は体重増加の抑制の努力において様々な低脂肪および/又は低カロリー食品が開発されてきた。多く「低脂肪」食品は、食品中の脂肪の比率を低下させることによって作られるが、脂肪により提供される味と食感の劣化を補うことによってその食品をより美味にするために、炭水化物の含有量は増加される。食品中の炭水化物、例えば、糖、を増加させると、その食品は「低脂肪」にはなるが、カロリー含有量は減少せず、多くの場合、実際には増加する。多くの低カロリー食品は、単純に、食品のカロリー成分を、ノンカロリー賦形物、例えば、食物繊維、によって置き換えることによって作られている。しかしながら、炭水化物の多くの部分を、繊維賦形物によって置き換えると、多くの場合、その食品の味および食感が変化し、消費者の一部にとってその食品は味の落ちるものとなってしまう。更に、多量の食物繊維を消費すると、鼓腸等の望ましくない副作用が起こることが多く、約60g以上の賦形物を含む食事は、カルシウム、鉄分、亜鉛の欠乏や、腸障害のリスクの増加、が生じる可能性がある。約25〜35g/dの高繊維食は有用な作用、例えば、血中トリグリセリドおよびコレステロールレベルの低下、を有することが知られているが、多くの人々、例えば、高齢者、成長期の子供、特定の医療状態、例えば、急性又は亜急性の憩室炎、および急性期のある種の腸の炎症状態、例えば、潰瘍性大腸炎やクローン氏病、を患う人々、は高レベルの繊維を摂取すべきではない。いくつかのタイプの腸手術、たとえば人工肛門形成術や回腸造瘻術、の後は、低繊維、低残渣食が、通常の食事への移行食として好適である。従って、消費者が望む味と食感を有しながら、体重増加と血中トリグリセリドおよびコレステロールレベルを低下させ、しかも、必ずしも高繊維性である必要のない食品を開発することが望まれている。
【0011】
シクロデキストリンは、コーンスターチの、シクロデキストリン・グリセリルトランスフェラーゼによる酵素消化によって作り出されるグルコースの環状ポリマーのファミリである。α、βおよびγ−シクロデキストリンは、それぞれ、6,7および8個のグルコース分子を有し、水溶液中で環状体(toroid)又は円錐台構造をとる。前記分子は、疎水性の内側と内部孔を形成する親水性の外側を有する。ポリマーの長さの違いによって孔径が異なる。
【0012】
βおよびγ−シクロデキストリンのユニークな特性が様々な分野において研究されてきた。例えば、それらは、薬物の安定化、および可溶化、更に、食品の風味を高めるためにも使用されてきた。βおよびγ−シクロデキストリンは、製薬および食品産業においてかなり利用されてきたが、α−シクロデキストリンは、これらの産業において比較的僅かにしか使用されていない。その理由は、その孔径が小さいことと、更に、それは膵臓アミラーゼ又は腸管内菌叢によって代謝されるように思えないことによる(スズキ(Suzuki)およびサトウ(Sato),“Nutritional significance of cyclodextrins: indigestibility and hypolipemic effect of α−cyclodextrin(シクロデキストリンの栄養上の意義: α−シクロデキストリンの非消化性と血中脂肪低下効果)”J Nutr SciVitaminol (Tokyo) 1985; 31:209-223)、後者の点については、その物質の製造業者の1つによって反論されている(Antlsperger GSG“Toxicological comparison of cyclodextrins(シクロデキストリンの毒性学的比較)”ブタペストでの第8回国際シクロデキストリンシンポジウムにて提出:1996:1-7)。α−シクロデキストリンは、溶液中で遊離脂肪酸(FFA)と効率的に複合体を形成し(マクゴーワン(McGowan)他“A peroxidase-coupled method for the colorimetric determination of serum triglycerides(血清トリグリセリドの比色分析測定のためのペルオキシダーゼ結合法)”Clin. Chem. 29(3): 538-542(1983))、多くの臨床診断試薬中においてFFAによって起こる混濁を除去するために使用されている(モーガン(Morgan),アーティス(Artiss)およびザック(Zak)“A study of turbidity in hypertriglyceridemic specimens(高トリグリセリド血症検体における混濁度の研究)”Microchem. J. 65; 147-154(2000))。α−シクロデキストリンは、又、調理用オイルから遊離脂肪酸を特異的かつ選択的に除去するためにも使用されている(米国特許第5,560,950号)。
【0013】
従来の研究によって、α−シクロデキストリンは、実質的に不消化性であり、それが、ラットモデルでの測定において、一日の総食事摂取量の約20%を超える場合にのみ、体重増加に対して作用することが可能である、ことが示されている。日本特許出願第05−298849号(公開番号07115934号)は、ラットの体重増加に対するリノレン酸とα−シクロデキストリンとの作用について報告している。この出願は、16%のα−シクロデキストリン又は1%のリノレン酸のいずれかを含む食餌を与えられたラットは、コントロール食を与えられたラットとほぼ同じ体重増加することを報告している。これに対して、この日本出願は、14%のα−シクロデキストリンと2%リノレン酸のいずれかを含む食餌を与えられたラットは、大幅に体重が減少することを報告している。日本特許出願S60−149752も、α−シクロデキストリンと組み合わせたリノレン酸のラットの体重増加に対する作用について開示している。この出願は、14%w/wのα−シクロデキストリンを含む食餌は、ラットの体重増加に対してほとんど影響しないのに対して、14%w/wのα−シクロデキストリンと0.5%w/wのリノレン酸との組み合わせは、大幅な体重減をもたらすことを報告している。日本特許出願H5−298850号は、リノレン酸(1.5〜2%/ww)とα−シクロデキストリン(14%w/w)と麦緑素成分(barley green element)を含む食餌の作用について分析している。この出願は、14%w/wのα−シクロデキストリンを1.5〜2%w/wのリノレン酸と組み合わせて含む食餌は体重減に僅かな作用しかないが、リノレン酸とシクロデキストリンとに麦緑素成分を添加することによって体重増加において大幅な減少が得られることを報告している。追加成分としてα−シクロデキストリンのみを含む食餌の作用は報告していない。これらの出願のいずれも、それらの食餌の脂肪含有量は開示しておらず、それらは、追加成分の重要性および/又はα−シクロデキストリンのみの無効果、を教示している。
【0014】
日本特許出願H4−33375号は、ラットに、0.9%w/wのリノレン酸のみ、9%w/wのα−シクロデキストリンのみ、又は100%w/w/の大分子量タンパク質の低分子量加水分解物の組成物、又は、前記三種類の成分の組み合わせを有する小麦粉組成物のラットへの腸管栄養によって、ラットの食餌に、特定の総量のリノレン酸および/又はα−シクロデキストリンおよび/又はペプチド加水分解物を添加した。これらの食餌の脂肪含有量は記載されなかった。リノレン酸と、α−シクロデキストリンとペプチド加水分解物とを含む食餌のみが、経時的に、体重増加率の大きな変化を示した。
【0015】
日本出願05−113603号(公開番号08187060号)と日本出願05−164024号(公開番号06343419号)は、ヒトの体重増加に対する、約15%のα−シクロデキストリンと1.5%のリノレン酸との混合物の作用について評価している。これらの出願は、α−シクロデキストリン/リノレン酸組成物を、自分の体重に基づく量、例えば、その組成物の一日の量が約0.015g/kg体重を一日に三回、これは一日に3回 1.37g/91kg(200lb)個体である、これは一日当たり4.11gの総組成物量、又は、一日当たり0.62gのα−シクロデキストリン(0.21g/毎食)と一日当たり0.068gのリノレン酸(0.023g/毎食)とに相当、を摂取した対象体が、前記組み合わせを摂取しなかった対象体と比較して大幅な体重減の増加を示すことを開示している。しかしながら、これらの出願は、α−シクロデキストリンのみ、又はリノレン酸のみ、の作用は評価せず、又は、前記食餌の脂肪含有量も評価していない。リノレン酸は、動物の研究とヒトの研究との両方において体重および脂肪増加を低減させることがよく知られており(ジェン(Jen)他,Nutri, Res. 9:1217-1228(1989)およびタカダ(Takada)他,J. Nutri, 124;469-474(1994)およびクート(Couet)他,Int. J. Obes. 21:637-643(1997))、おそらく、これらの出願において報告されている観察された体重減を実際に促進した組成物である。
【0016】
米国特許第4,880,573号は、ラード、スエット、又はバターなどの動物由来の脂肪物質からコレステロールを除去する方法を開示している。この方法は、非酸化雰囲気でβ−シクロデキストリンを液化された脂肪物質と組み合わせ、次に、コレステロールとシクロデキストリンとの複合体を除去し、シクロデキストリンが無く、コレステロール含有率が低下した脂肪物質を残す。
【0017】
米国特許第5,189,149号は、シクロデキストリンと長鎖脂肪酸、それらの塩およびエステル、フィッシュおよびベジタブルオイルグリセリドを含む、の複合体を使用して、長鎖脂肪酸を対象体に提供し、フィッシュおよびベジタブルオイルグリセリドおよびそれらの不快な味や臭いに関連する油っぽい特性を避けることを開示している。
【0018】
米国特許第5,232,725号は、シクロデキストリンとコレステロール又は遊離脂肪酸の複合体の形成を容易にする、水中油型の「微細な」エマルジョンを形成するのに適した条件下で、水と、脂肪含有材料と、シクロデキストリンとを、組み合わせることによって、脂肪含有材料、例えば、フレッシュクリーム、中のコレステロールおよび遊離脂肪酸を低減させる方法に関する。次に、前記複合体は、物理的に分離されて、コレステロールと遊離脂肪酸レベルの低い脂肪含有材料を作る。米国特許第5,232,725号は、トリグリセリドとα−シクロデキストリンとの複合体を有し、ここに記載されているように食品中の脂肪の生物利用可能性が低減された食品は記載していない。
【0019】
米国特許第5,560,950号は、使用済みのオイルの遊離脂肪酸含有量を、この使用済みオイルをシクロデキストリンと、好ましくは吸収剤、例えば、シリカ、と、シクロデキストリン/吸収剤および脂肪酸の集塊体を形成する条件下で混合し、その後、このシクロデキストリン集塊体をオイルから除去する方法に関する。この方法によって、シクロデキストリンが無く、遊離脂肪酸レベルが低下したオイルが作り出される。
【0020】
米国特許第5,571,554号は、卵黄と水、又は塩溶液の混合物を調製し、この混合物をシクロデキストリンと組み合わせ、その後、シクロデキストリンと、添加した水又は塩溶液を除去することによって卵黄中のトリグリセリドを減少させる方法に関する。この方法によって、低トリグリセリドレベルのシクロデキストリンを含まない卵黄製品が作り出される。
【0021】
米国特許第5,738,898号は、pHが7.5〜12での卵黄と水とシクロデキストリンの混合物を調製することによって卵黄中のコレステロールを低減する方法に関する。シクロデキストリン−コレステロール複合体が除去され、pHはpH6〜7に調節される。この方法によって、低コレステロールのシクロデキストリンを含まない卵黄が作り出される。
【0022】
肥満した個人を含む、多くの消費者は、高脂肪含有率の食品を好むようである(メラ(Mela)およびサッチェッティ(Sacchetti),“Sensory preferences for fats: relationships with diet and body composition(脂肪に対する感覚性優先度:食事と身体組成)”Am J ClinNutr 1991;53-908-915)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
従って、多くの個人、特に肥満した個人にとって、自分の体重と、体重増加に関連する健康に悪い作用を減少させるために、脂肪摂取量を減らすことは困難である。従って、現在の薬物治療の不快な副作用が無く、食物脂肪の吸収を低減する物質が非常に望まれている。そのような物質は、肥満およびそれに関連するII型糖尿病(NIDDM)等の疾患、を減少させるのに大きな健康上の利点を有するであろう。体重減を促進し、脂質レベルを低下させ、体重増加/肥満に関連するその他の疾患の症候を減らし、しかも、望ましい官能性を有する食品を開発することが望まれる。ここには、消費者が望む、味、食感、およびしっとり感などの感覚受容性を有するものでありながら、体重減およびその他の健康上の利点を促進する脂肪含有消費可能食品が記載される。
【課題を解決するための手段】
【0026】
発明の要旨
本発明は、α−シクロデキストリンと脂肪とを含み、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が約1:20w/w〜1:3w/wである脂肪含有消費可能食品に関する。好ましくは、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率は約1:13w/w〜1:5w/w、最も好ましくは、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率は約1:9w/wである。本発明の食品中の総シクロデキストリン量は、約9〜10%w/w以下、好ましくは、約6%以下、より好ましくは3%w/w未満、そして本発明の脂肪含有消費デンプン質食品の場合は、総シクロデキストリン量は、約3%w/w未満である。好ましくは、本発明の前記脂肪含有食品は、カロリー含有率で、約7%〜約80%の脂肪、好ましくは約20%〜約70%の脂肪、より好ましくは約40%〜約70%の脂肪、又は重量比で、5%〜約50%w/wの脂肪、好ましくは約5〜30%w/wの脂肪、より好ましくは、約7〜25%w/wの脂肪を含む。ここで「脂肪」とは、トリグリセリドのことをさす。シクロデキストリンは、α,β,γ−シクロデキストリンとn−デキストリンとの混合物として市販されていることが多い。好ましくは、本発明の製品および方法に使用可能なα−シクロデキストリン組成物は、少なくとも約95%のα−シクロデキストリン、好ましくは、少なくとも98%のシクロデキストリンを含む、実質的に純粋なシクロデキストリンである。本発明の食品中のα−シクロデキストリンは、その他の有用な作用に加えて、繊維源を提供することができる。前記消費可能製品は、デンプン質食品、又は、非デンプン質食品、例えば、乳製品、調理野菜製品、または、調理肉製品、例えば、調理ビーフ、ラム、ポーク、家禽又は魚介食品、とすることができる。本発明の前記消費可能食品は、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ネコ、イヌ、およびヒト、但し好ましくはヒト、による消費に適している。
【0027】
シクロデキストリンは、従来、食品中の遊離脂肪酸、コレステロール又はトリグリセリドのレベルを低減させる方法に使用されてきたが、本発明の食品と異なり、それらの方法で作られる製品は、実質的にシクロデキストリンを含まず、かつ、処理されていない類似の食品と比較して低いレベルの遊離脂肪酸、コレステロールおよびトリグリセリドを含有する。ボンブ熱量計測法によって評価した場合、それらの方法によって作られた製品は、コレステロールとトリグリセリドのレベルが低いことにより、カロリー含有量が低いものとなる。本発明の消費可能食品は、α−シクロデキストリンを含み、α−シクロデキストリンを添加しない類似の食品と比較して、脂肪酸、コレステロール又はトリグリセリドのレベルが低くない。従って、本発明の消費可能製品は、α−シクロデキストリンを含まない類似の製品と比較して、ボンブ熱量計測法での評価で、実質的に低下したカロリー含有率を有するものでないにも拘わらず、本発明の食品は、体重増加率を抑制し、体重減を促進し、その他の健康上の利点を提供するものである。従って、本発明の消費可能食品は、体重増加率を抑制し、体重減を促進し、その他の健康上の利点を提供するダイエット食品である。
【0028】
シマダ(Shimada)他(シマダ(Shimada)他“Structure of inclusion complexes of cyclodextrins with triglyceride at vegetable oil/water interface(ベジタブルオイル/水境界におけるトリグリセリドとシクロデキストリンの含有複合体の構造)”J. Food Sci. 1992;57(3):655-656)は、2分子のα−シクロデキストリンが1つの脂肪酸(FFA)と複合体を形成することを報告したが、これに対して、スゼイトリ(Szejtli)(スゼイトリ,ジェイ(Szejtli J.)“Utilization of cyclodextrins in industrial products and processes(工業的生産物および工程におけるシクロデキストリンの利用)”J. Mater. Chem. 1997;7:575-587)は、この現象は、脂肪酸の鎖長に依存するものであり、3〜4の分子のα−シクロデキストリンがトリグリセリド分子の三つの脂肪酸のそれぞれと複合体を形成することが可能であり、これは、1つの分子のトリグリセリドと完全に複合体を形成するには9〜12の分子のα−シクロデキストリンが必要であることを示唆している。もしもそうであるならば、体重を大きく変化させるために、十分な量のトリグリセリドと複合体を形成するために動物に対して十分なα−シクロデキストリンを供給可能であることを想像することは困難となる。
【0029】
スズキ(Suzuki)他 下記、とケープラサート(Kaewprasert)他 下記は、共に、シクロデキストリン組成物のみを食物に混合しても、たとえ、総食物摂取量の20%w/wの濃度でも、体重減は大幅に促進されないことを報告している。詳しくは、スズキ(Suzuki)他,Denpun Kagaku 30(2):240-246(1983)は、20%のシクロデキストリンを含む食餌の、ラットの体重増加に対する作用を分析し、20%シクロデキストリン食餌を与えられたラットと20%のデンプン食餌を与えられたラットとの間に体重増加の違いがなかったことを報告している。同様に、ケープラサート(Kaewprasert)他 J. Nutri. Sci. Vitaminol, 47:335-339(2001)は、5%α−シクロデキストリンの食餌を与えられたラットの体重増加は、コントロール食を与えられたラットと大きな差がなかったと報告している。ケープラサート(Kaewprasert)は、シクロデキストリンと脂肪を約1:1.4の比率で含む食餌を開示している。スズキ(Suzuki)は、実験された食餌の脂肪含有量は開示しておらず、また、その食餌中の脂肪に対するシクロデキストリンの比率も開示していない。比較的多量のシクロデキストリンのこの作用は、日本出願S60−094912号にも記載されている。S60−094912号は、シクロデキストリンは、体重増加率を抑制し、肝臓と細胞質中の中性脂肪(トリアシルグリセリド)を減少させることができるが、但し、これは、シクロデキストリンが20%w/w以上のレベルで投与された場合に限られることを示唆している。シクロデキストリンが総食事摂取量の20%以下の場合は、S60−094912号は、コントロール食餌と比較して体重減の大きな違いは無いと報告している。同様に、スズキ(Suzuki)とサトウ(Sato), J. Nutri. Sci. Vitaminol. 31;209-223(1985)は、n−デキストリンとα−,β−およびγ−シクロデキストリン(50:30:15:5%w/w)の混合物を含む食餌を与えられたラットは、その食餌の少なくとも58.5%が前記シクロデキストリン混合物から成る場合にのみ、コントロールグループと大きく異なる体重減を示したことを報告している。これに対して、われわれは、もしも対象体が脂肪含有食餌を消費し、その食餌中の摂取される脂肪に対する摂取されるα−シクロデキストリンの率が、脂肪とシクロデキストリンとの複合体を形成するのに十分なものであるならば、遥かに低いレベルのα−シクロデキストリンによって対象体において大幅な体重減を得ることができることを見出した。体は、リパーゼが脂肪の加水分解に対して触媒作用を与えるのに必要な、水中で脂肪の微細なエマルジョンを自然に形成する。理論によって限定されることを望むものではないが、ここに記載される本発明は、このプロセスを、リパーゼが脂肪に作用することが出来ないα−シクロデキストリンと脂肪との大きな複合体を形成することによって打ち破る。従って、本発明の脂肪含有食品中の脂肪は、リパーゼ活性に対して耐性を有するα−シクロデキストリン/脂肪複合体の形態であるために、生物利用可能ではない。
【0030】
本発明の食品中のシクロデキストリンのレベルは、S60−94912号およびスズキ(Suzuki)およびサトウ(Sato)(J Nutri Sci Vitaminol1985前出)が体重減のために必要であると示しているレベルよりもはるかに低い。本発明の食品中の総シクロデキストリンは、約9%w/w以下、好ましくは、約6%w/w以下、そして、特に、本発明の消費デンプン質食品の場合には、より好ましくは3%w/w未満である。本発明のα−シクロデキストリン含有食品、好ましくは、ここに開示されるα−シクロデキストリンの量を含み、脂肪に対するα−シクロデキストリンの率がここに開示される比率以内である、食品を含む食餌を与えられた対象体は、特に、体重減、HDLレベルの増加、そして血中トリグリセリドの低下、を示す。
【0031】
理論によって限定されることを望むものではないが、ここに提供される結果は、α−シクロデキストリンが、食品組成物中の脂肪と複合体を形成し、それによって脂肪の生物利用可能性を低減させるのに特に適しているということを示唆している。適当な量のα−シクロデキストリンを、脂肪含有食とともに摂取する、又は、脂肪含有食の摂取の少し前、又は、後に摂取することによって、対象体は、摂取した脂肪と複合体を形成し、体によるその吸収を抑制することができる。α−シクロデキストリンの量は、脂肪との複合体を形成し、それによって、脂肪の生物利用可能性を減少させるのに十分なものとすべきであり、好ましくは、α−シクロデキストリンの量は、脂肪とシクロデキストリンとのそのような複合体が形成されるように、脂肪に対するα−シクロデキストリンの1:20〜1:3、好ましくは、1:13〜1:5、より好ましくは、約1:9の比率を得るのに十分なものとされる。理論によって限定されることを望むものではないが、観察される体重減、HDLコレステロールの増加、レプチンレベルの低下、および血清トリグリセリドの減少、等をもたらすのは、摂取された脂肪の生物利用可能性(吸収されて体によって利用可能となる摂取脂肪の量)の減少である。
【0032】
本発明は、更に、摂取される食品、特に、高脂肪食品、中に含まれる脂肪と複合体を形成し、それによって摂取された脂肪の生物利用可能性を減少させる方法にも関する。この方法は、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が約1:20〜約1:3w/w、好ましくは、約1:13〜約1:5w/w、最も好ましくは約1:9w/wとなるように、一定量のシクロデキストリンを食品と摂取する工程を含む。前記α−シクロデキストリンは、前記食品の摂取の前、同時、又は後、に摂取することができる。それらの比率において、脂肪は、α−シクロデキストリンと複合体を形成し、摂取された脂肪の生物利用可能性は減少する。或いは、前記α−シクロデキストリンは、消費の前に、前記食品と、摂取される食品中における脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が約1:20〜約1:3w/w、好ましくは、約1:13〜約1:5w/w、最も好ましくは約1:9w/wとなるように、組み合わせることができ、α−シクロデキストリンと脂肪とを含むこの食品が摂取される。
【0033】
本発明は、更に、その食品中にα−シクロデキストリンと脂肪との複合体を形成することによって生物利用可能性の低い脂肪を含む食品、特に、高脂肪食品、を作る方法にも関する。この方法は、脂肪とα−シクロデキストリンとの複合体の形成に適した条件下で、α−シクロデキストリンを食品と組み合わせる工程を含み、前記条件は、前記食品内における脂肪の微細なエマルジョンの形成を回避するものである。α−シクロデキストリンの量は、前記食品が、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が約1:20〜約1:3w/w、好ましくは、約1:13〜約1:5w/w、最も好ましくは約1:9w/wとなるように構成される。これらの比率およびこれらの条件において、脂肪はα−シクロデキストリンと複合体を形成し、摂取された脂肪の生物利用可能性は減少される。前記食品は、デンプン質食品、例えば、スナックバー、朝食シリアル、パンケーキ、ワッフル、マフィン、フルーツ入りペーストリー、トルティーヤ、コーンチップス、トルティーヤチップス、スナッククラッカー、パン、ケーキ、クッキー、又はパイ、または、非デンプン質食品、例えば野菜、乳、肉食品、例えば、フレンチフライ、てんぷら、ベジバーガー、フライビーン、ホムス、タヒニ、マーガリン、およびナッツバター(例えば、ピーナッツ、カシューナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ)、マジパン、ポテトチップス、ミルク、クリーム、プディング、バター、アイスクリーム、およびチーズおよびプロセスチーズ製品、調整ビーフ、ラム、ポーク、家禽又は魚介製品、例えば、フランクフルト、デリスライス(deli slice)、ソーセージ、フィッシュスティック、チキンフィンガー、およびミンチ肉、例えば、ミートローフ、ミートボール、およびハンバーガー、ヨーグルト、ヨーグルト製品、および卵製品、とすることができる。
【0034】
従って、本発明は、更に、対象体の体重減を促進、又は体重増加を抑制する方法であって、それを必要とする対象体に、α−シクロデキストリンを、体重減を得る又は体重増加を抑制するのに十分な量と時間、与える工程を有する方法にも関する。好ましくは、前記α−シクロデキストリンは、平均的な脂肪食(約100g/脂肪/日、約33g脂肪/食)を消費する対象体に投与され、この対象体に対する投与量は、前記対象体によって一回の食事毎、又は一日に摂取される脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が、約1:20〜約1:3w/w、好ましくは、約1:13〜約1:5w/w、より好ましくは約1:9w/wとなるように構成される。一旦、所望の体重が減少すると、前記α−シクロデキストリンを、体重増加を抑制、好ましくは、防止する量、前記食餌中に含ませることができる。その食事摂取量が100g脂肪/日(約33g脂肪/食)である対象体の場合、一週間で約1〜1.5lbsの減量のために、与えられる前記α−シクロデキストリンの量は、好ましくは、約2g/食、とされ、これによって、一日当たり約54gの脂肪の生物利用可能性を減少させる。
【0035】
血清コレステロールは、血中にタンパク質との組み合わせで見いだされる。特に注目されるのは、高密度(HDL善玉コレステロール)と低密度リポタンパク質(LDL、悪玉コレステロール)である。本発明は、対象体の高密度リポタンパク質のレベルを増加させる方法であって、それを必要とする対象体に、α−シクロデキストリンを、HDLレベルを増加させるのに十分な量と時間、与える工程を含む方法にも関する。好ましくは、対象体に与えられるα−シクロデキストリンの量は、一日当たり約4〜約11グラムである。好ましくは、前記α−シクロデキストリンは、一回の食事毎、又は一日に摂取される脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が、約1:20〜1:3w/w、より好ましくは、1:13〜1:5w/w、最も好ましくは約1:9w/wとなるように構成される。前記α−シクロデキストリンは、様々な形態、例えば、タブレット、カプセル、ピル、エリキシル、ウェハ、飲料、として、又は、食品、例えば、パン製品、例えば、バンズ、ロール、ビスケット、および、朝食用シリアル、例えば、オートミール、小麦粉クリーム、レーズンブラン、コーンフレーク、或いは、その他の即席シリアル、肉製品、および、乳製品、そして、特に、本発明の消費可能食品、に含ませて与えることができる。好ましくは、前記タブレット、ピル、カプセル、エリキシル、ウェハ、飲料又は消費可能食品は、主としてα−シクロデキストリンであるシクロデキストリン、例えばシクロデキストリンを、少なくとも約90〜98%である、を含む。
【0036】
LDLのレベルが低下するならば、たとえHDLのレベルが上昇しても、血中の総コレステロールレベルが一定に維持されることは可能である。好ましくは、総コレステロールレベルは、本発明の方法によって実質的に低下されるか、若しくは、変化されない。従って、本発明は、更に、本発明は、対象体のコレステロール/HDL比を減少させる方法であって、それを必要とする対象体に、α−シクロデキストリンを、コレステロール/HDL比を減少させるのに十分な量と時間、与える工程を含む方法にも関する。前記α−シクロデキストリンは、様々な形態、例えば、タブレット、カプセル、ピル、エリキシル、ウェハ、飲料、として、又は、食品として、例えば、パン製品、バンズ、ロール、ビスケット、および朝食用シリアル、例えば、オートミール、小麦粉クリーム、レーズンブラン、コーンフレーク、或いは、その他の即席シリアル、肉製品、および乳製品、そして、特に、本発明の消費可能食品、に含ませて与えることができる。前記タブレット、ピル、カプセル、エリキシル、ウェハ、飲料又は食品は、α−シクロデキストリンを、その他のシクロデキストリン、例えば、βおよび/又はγシクロデキストリン、又はn−デキストリン、と組み合わせて含むことができる。好ましくは、前記タブレット、ピル、カプセル、エリキシル、ウェハ、飲料又は食品中のシクロデキストリンは、主としてα−シクロデキストリンであり、例えば前記シクロデキストリンは、少なくとも約90〜98%がα−シクロデキストリンである。
【0037】
本発明は、又、対象体のトリグリセリドレベルを減少させる方法であって、それを必要とする対象体に、α−シクロデキストリンを、トリグリセリドレベルを減少させるのに十分な量、与える工程を含む方法にも関する。対象体に与えられる前記α−シクロデキストリンの量は、一回の食事毎、又は一日に対象体によって摂取される脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が、約1:20〜約1:3w/w、好ましくは、約1:13〜約1:5w/w、より好ましくは約1:9w/wとなるように構成される。対象体に与えられる前記α−シクロデキストリンは、様々な形態、例えば、タブレット、カプセル、ピル、エリキシル、ウェハ、飲料、として、又は、食品として、例えば、パン製品、例えば、バンズ、ロール、ビスケット、および、朝食用シリアル、例えば、オートミール、小麦粉クリーム、レーズンブラン、コーンフレーク、或いは、その他の即席シリアル、そして、特に、本発明の消費可能食品、に含ませて与えることができる。前記タブレット、ピル、カプセル、エリキシル、ウェハ、飲料又は食品は、α−シクロデキストリンを、その他のシクロデキストリン、例えば、βおよび/又はγシクロデキストリン、又はn−デキストリン、と組み合わせて含むことができるが、好ましくは、前記タブレット、ピル、カプセル、エリキシル、ウェハ、飲料又は食品中のシクロデキストリンは、主としてα−シクロデキストリンであり、例えば前記シクロデキストリンは、少なくとも約90〜98%がα−シクロデキストリンである。
【0038】
本発明は、又、対象体のレプチンレベルを減少させる方法であって、それを必要とする対象体に、α−シクロデキストリンを、対象体のレプチンレベルを減少させるのに十分な量と時間、与える工程を含む方法にも関する。前記α−シクロデキストリンは、様々な形態、例えば、タブレット、カプセル、ピル、エリキシル、ウェハ、飲料、として、又は、食品として、例えば、パン製品、例えば、バンズ、ロール、ビスケット、および、オートミール、小麦粉クリーム、レーズンブラン、コーンフレーク、或いは、その他の即席シリアル、そして、特に、本発明の消費可能食品、に含ませて与えることができる。前記タブレット、ピル、カプセル、エリキシル、ウェハ、飲料又は食品は、α−シクロデキストリンを、その他のシクロデキストリン、例えば、βおよび/又はγシクロデキストリン、又はn−デキストリン、と組み合わせて含むことができる。好ましくは、前記タブレット、ピル、カプセル、エリキシル、ウェハ、飲料又は食品中のシクロデキストリンは、主としてα−シクロデキストリンであり、例えば前記シクロデキストリンは、少なくとも約90〜98%がα−シクロデキストリンである。
【0039】
本発明は、更に、食欲を抑制する方法であって、それを必要とする対象体に、α−シクロデキストリンを、対象体の食欲を抑制するのに十分な量と時間、与える工程を有する方法にも関する。前記対象体に対するα−シクロデキストリンの投与量は、前記対象体によって一回の食事毎、又は一日に摂取される脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が、約1:20〜約1:3w/w、好ましくは、約1:13〜約1:5w/w、より好ましくは約1:9w/wとなるように構成される。前記α−シクロデキストリンは、様々な形態、例えば、タブレット、カプセル、ピル、エリキシル、ウェハ、飲料、として、又は、食品として、例えば、パン製品、例えば、バンズ、ロール、ビスケットや、朝食用シリアル、例えば、オートミール、小麦粉クリーム、レーズンブラン、コーンフレーク、或いは、その他の即席シリアル、そして、特に、本発明の消費可能食品、に含ませて与えることができる。前記タブレット、ピル、カプセル、エリキシル、ウェハ、飲料又は食品は、α−シクロデキストリンを、その他のシクロデキストリン、例えば、βおよび/又はγシクロデキストリン、又はn−デキストリン、と組み合わせて含むことができる。好ましくは、前記タブレット、ピル、カプセル、エリキシル、ウェハ、飲料又は食品中のシクロデキストリンは、主としてα−シクロデキストリンであり、例えば前記シクロデキストリンは、少なくとも約90〜98%がα−シクロデキストリンである。
【0040】
本発明は、更に、対象体のインスリンレベルおよびインスリン耐性を低減させる方法であって、それを必要とする対象体に、対象体のインスリンレベルおよびインスリン耐性を低減させるのに十分な量と時間、α−シクロデキストリンを与える工程を含む方法にも関する。好ましくは、前記対象体に対するα−シクロデキストリンの投与量は、前記対象体によって一回の食事毎、又は一日に摂取される脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が、約1:20〜約1:3w/w、好ましくは、約1:13〜約1:5w/w、より好ましくは約1:9w/wとなるように構成される。前記α−シクロデキストリンは、様々な形態、例えば、タブレット、カプセル、ピル、エリキシル、ウェハ、飲料、として、又は、食品として、例えば、パン製品、例えば、バンズ、ロール、ビスケットや、朝食用シリアル、例えば、オートミール、小麦粉クリーム、レーズンブラン、コーンフレーク、或いは、その他の即席シリアル、そして、特に、本発明の消費可能食品、に含ませて与えることができる。好ましくは、前記タブレット、ピル、カプセル、エリキシル、ウェハ、飲料又は食品中のシクロデキストリンは、主としてα−シクロデキストリンであり、例えば前記シクロデキストリンは、少なくとも約90〜98%がα−シクロデキストリンである。
【0041】
本発明は、更に、対象体の下痢を減少させる方法であって、それを必要とする対象体に、α−シクロデキストリンを、対象体の下痢を減少させるのに十分な量と時間、与える工程を有する方法にも関する。好ましくは、前記対象体に対するα−シクロデキストリンの投与量は、前記対象体によって一回の食事毎、又は一日に摂取される脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が、約1:20〜約1:3w/w、好ましくは、約1:13〜約1:5w/w、最も好ましくは約1:9w/wとなるように構成される。前記α−シクロデキストリンは、様々な形態、例えば、タブレット、カプセル、ピル、エリキシル、ウェハ、飲料、として、又は、食品として、例えば、バンズ、ロール、ビスケットや、朝食用シリアル、例えば、オートミール、小麦粉クリーム、レーズンブラン、コーンフレーク、或いは、その他の即席シリアル、そして、特に、本発明の消費可能食品、に含ませて与えることができる。好ましくは、前記タブレット、ピル、カプセル、エリキシル、ウェハ、飲料又は食品中のシクロデキストリンは、主としてα−シクロデキストリンであり、例えば前記シクロデキストリンは、少なくとも約90〜98%がα−シクロデキストリンである。
【0042】
本発明は、更に、食品中の脂肪の含有率又はボンブ熱量計測法による評価での、脂肪によるカロリー含有率を減少させることなく、脂肪含有食品の官能性を高める方法にも関する。この方法は、α−シクロデキストリンを前記脂肪含有食品に対して、それが処理中および最終摂取食品中に存在するように添加する工程を含む。前記食品に添加されるα−シクロデキストリンの量は、最終消費製品中の脂肪の量に基づくものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】4つのグループのラットによって消費された食物の累積総量を図示し、これらの種々のグループによって消費された食物の量に大きな違いが無かったことを示している。
【図2】前記4グループのラットの累積カロリー摂取量を図示し、二対のラット(低脂肪と高脂肪)が消費した食品のカロリーに大きな違いが無かったことを示している。
【図3】全研究期間中の前記4グループの成体ラットの体重の変化を示している。
【図4】4グループのラットの排泄物の脂肪含有率を図示している。同じ上付き符号を共有するグループは大きな違いがない。
【図5】犠牲にした4グループのラットの血漿パラメータを図示している。血漿グルコース、コレステロールおよびトリグリセリド濃度がそれらすべての動物について測定された。
【図6】前記4グループのラットから得られた血漿レプチン値を比較している。
【図7】一晩の絶食後、高脂肪朝食を与えられたボランティアの血清トリグリセリドレベルを示している。
【図8】約6ヶ月の期間に亘る、ヒトのボランティアの体重の変化を図示している。
【図9A】ベジタブルオイル(4g)、水(6g)(対比のために食品着色剤を添加)の、α−シクロデキストリン(100−2,000mg,右から左)、の量を異ならせた、イン・ヴィトロ研究の結果を図示している。試験管中において、油相と水相との間に層形成された「ワックス様」物質のバンドが明らかである。このバンドのサイズは、10%の表示のある試験管中においてα−シクロデキストリンの量を最大量(400mg α−シクロデキストリン/4gオイル)にまで増加させるにつれて増加する。試験管の底における未反応のα−シクロデキストリンの白い層の大きさが増加することに注目。この物質を、オイル又はα−シクロデキストリン−オイル複合体のいずれかによって溶液から移す。層の解像力を改善するべく、これらの試験管を遠心分離にかけた。前記「ワックス様」複合体は、最も右側の二つを除いて前記全ての試験管が、その複合体の回りの水層が洩出することなく、反転することができるほどの堅さ(consistency)を有するものである。
【図9B】ベジタブルオイル(4g)、水(6g)(対比のために食品着色剤を添加)の、β−シクロデキストリン(100−2,000mg,右から左)の量を異ならせた、イン・ヴィトロ研究の結果を図示している。試験管中において、油相と水相との間に層形成された「ワックス様」物質のバンドが明らかである。このバンドのサイズは、10%の表示のある試験管中においてα−シクロデキストリンの量を最大量(400mg α−シクロデキストリン/4gオイル)にまで増加させるにつれて増加する。試験管の底における未反応のα−シクロデキストリンの白い層の大きさが増加することに注目。この物質を、オイル又はα−シクロデキストリン−オイル複合体のいずれかによって溶液から移す。層の解像力を改善するべく、これらの試験管を遠心分離にかけた。前記「ワックス様」複合体は、最も右側の二つを除いて前記全ての試験管が、その複合体の回りの水層が洩出することなく、反転することができるほどの堅さ(consistency)を有するものである。
【図9C】ベジタブルオイル(4g)、水(6g)(対比のために食品着色剤を添加)の、γ−シクロデキストリン(100−2,000mg,右から左)の量を異ならせた、イン・ヴィトロ研究の結果を図示している。試験管中において、油相と水相との間に層形成された「ワックス様」物質のバンドが明らかである。このバンドのサイズは、10%の表示のある試験管中においてα−シクロデキストリンの量を最大量(400mg α−シクロデキストリン/4gオイル)にまで増加させるにつれて増加する。試験管の底における未反応のα−シクロデキストリンの白い層の大きさが増加することに注目。この物質を、オイル又はα−シクロデキストリン−オイル複合体のいずれかによって溶液から移す。層の解像力を改善するべく、これらの試験管を遠心分離にかけた。前記「ワックス様」複合体は、最も右側の二つを除いて前記全ての試験管が、その複合体の回りの水層が洩出することなく、反転することができるほどの堅さ(consistency)を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
発明の説明
本発明は、α−シクロデキストリンを含有する脂肪含有消費可能食品と、その利用法とに関する。前記消費可能食品は、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、類人猿、又はヒトによる消費に適し、従って、ネコ、イヌ、又はウマ用のペットフード、又はヒトの消費可能食品を含む。本発明の前記消費可能食品は、α−シクロデキストリンと脂肪とを含み、脂肪に対するα−シクロデキストリンの量は、約1:20〜1:3w/w、好ましくは、約1:13〜1:5w/w、より好ましくは、約1:9w/wである。好ましくは、前記消費可能食品中の総シクロデキストリン量は、約9w/w以下、より好ましくは、前記消費可能食品中の総シクロデキストリン量は、約6w/w以下、最も好ましくは、前記消費可能食品中の総シクロデキストリン量は、約3w/w以下である。好ましくは、前記食品全体に亘って、シクロデキストリンと脂肪との複合体が均一に分布している。好ましくは、本発明の前記消費可能食品は、カロリー含有率で、約7%〜約80%の脂肪、好ましくは約20%〜約70%の脂肪、より好ましくは約40%〜約70%の脂肪、又は重量比で、約5%〜約50%w/wの脂肪、好ましくは約5〜30%w/wの脂肪、より好ましくは、約7%w/w〜約25%w/wの脂肪を有する高脂肪含有食品である。食品中の脂肪の量を測定又は計算する方法は、周知である。例えば、ここに参考文献として合体させるソフトウエアプログラム“Food Processor”by ESHA Research,セーラム、オレゴン州、を参照。好ましくは、本発明の前記食品は、2%以下のリノレン酸、より好ましくは、0.2%以下のリノレン酸を含んで作られる。より好ましくは、本発明の前記食品は、検出可能なレベルのリノレン酸無しで作られる。リノレン酸は、体重減を促進することが証明されているが、体重減を促進するのに必要なレベル、約2%、では、リノレン酸を含有する製品の貯蔵寿命は、その油焼けする傾向のために、低下する。更に、高純度のリノレン酸は、非常に高価である。従って、リノレン酸は、好ましくは、本発明の食品に対して、その調製の前、調製中、又は調製後において添加されない。
【0045】
種々の形態のシクロデキストリンが市販されている。例えば、Wacker-Chemie GmbHは、種々の天然および改変シクロデキストリンを製造している。シクロデキストリンは、多くの場合、α−,β−およびγ−シクロデキストリンの混合物として販売されており、様々な方法によって製造することができる。一般に、シクロデキストリンは、デンプン、例えばポテトやコーン、を、Bacillus macerans等の種々の生物によって作り出されるシクロデキストリントランスフェラーゼによって処理することによって作られる。シクロデキストリンは、濃縮、分画、ろ過、噴霧乾燥、造粒、等を組み合わせる様々な方法を使用して処理されたデンプンから分離することができる。シクロデキストリンの製造および分離の方法のより完全な記載については、例えば、ここに参考文献として合体させるシュミット(Schmid)“Preparation and industrial production of cyclodextrins(シクロデキストリンの調製と工業的生産)”,Comprehensive Supramolecular Chemistry (1996), 3:41-56. Eds Szejitli, Jozef,; Osa, Tetsuo. Elsevier, Oxford, UKを参照。
【0046】
本発明の前記脂肪含有消費可能食品は、デンプン質食品、例えば、スナックバー、朝食シリアル、パンケーキ、ワッフル、マフィン、フルーツ入りペーストリー、トルティーヤ、コーンチップス、トルティーヤチップス、スナッククラッカー、パン、ケーキ、クッキー、又はパイ、或いは、非デンプン質食品、例えば、調理野菜製品(ここで野菜とは野菜、果物および木の実を含む)、特には、脂肪成分で作られたもの、例えば、フレンチフライ、てんぷら、ベジバーガー、フライビーン、ホムス、タヒニ、マーガリン、およびナッツバター(例えば、ピーナッツ、カシューナッツ、アーモンド、ヘーゼルナッツ)、マジパン、ポテトチップス:乳製品、例えば、ミルク、クリーム、プディング、バター、アイスクリーム、およびチーズおよびプロセスチーズ製品:ヨーグルト及びヨーグルト製品、卵製品及び肉製品、例えば、調理ビーフ、ラム、ポーク、家禽又は魚介製品、例えば、フランクフルト、デリスライス、ソーセージ、フィッシュスティック、チキンフィンガー、およびミンチ肉、例えば、ミートローフ、ミートボール、およびハンバーガー、とすることができる。好ましくは、前記乳製品は、好ましくは、プディング、バター、アイスクリーム、チーズおよびプロセスチーズ製品、およびヨーグルト等の固形又は半固形乳製品、α−シクロデキストリン/脂肪複合体が、その製品、に渡って分布しているものであり、好ましくは、その製品の官能性が悪影響を受けないものである。本発明の前記食品は、更に、とりわけ、事前包装されたデンプン質食品、例えば、事前包装された調理パスタディッシュ、例えば、ラザーニャ、マニコッティ、スパゲッティのソース付、ラビオリ、トルテリーニ、又はマカロニとチーズ、又は、包装された乳製品、包装された調理野菜製品、又は、事前包装された調理肉製品、とすることができ、前記食品は、α−シクロデキストリンと脂肪を、ここに記載の比率で含む。好ましくは、前記事前包装製品一食分によって、約160mg〜11g α−シクロデキストリン/食、好ましくは約1g〜約7g/食、より好ましくは約2〜4g/食、最も好ましくは約2〜3/g食、が提供される。事前包装食品は、プラスチック、紙、ボール紙、又は、金属、例えば、スズやアルミホイル(flexifoil)内に封入することができる。前記事前包装製品は、バルクで、複数食のパッ
ケージ、又は個々の食事分として包装することができる。
【0047】
本発明は、更に、菓子製品、例えば、ハードキャンディー、例えば、棒付きキャンディーやブレスミント、又は、アフターディナーミント、そして、調味料、例えば、グレービー、ソース、サラダドレッシング、マヨネーズ等の、α−シクロデキストリンを含むものにも関する。好ましくは、前記菓子製品は、例えばチョコレート等の脂肪含有製品である。
【0048】
前記α−シクロデキストリンは、調理済み、例えば、焼いた、ローストした、又はフライされた消費可能食品、又は、未調理の消費可能食品、例えば、ミルク、クリーム、泡立てクリーム、乳製品不使用の泡立てトッピング又はフィリング(filling)、ヨーグルト又は飲料、例えば、ミルクシェーク、エッグノッグ、またはスムージー(フルーツとヨーグルト飲料)に添加することができる。α−シクロデキストリンは、前記食品に対して、その調製の任意の段階で添加することができ、例えば、α−シクロデキストリンは、成分と、それが食品全体に亘って分布されるようにミックスすることができ、その後、この製品を加熱調理することができる。しかし、いくつかの場合においては、α−シクロデキストリンは、脂肪に対するα−シクロデキストリンの所望のレベルを達成するように、食品の表面、例えば、その上塗り又はコーティングとして、塗布することができる。
【0049】
本発明は、更に、対象体の体重減を促進又は体重増加を減少させる方法であって、それを必要とする対象体に、体重増加を減少させる又は体重減を促進するのに十分な量のα−シクロデキストリンを与える工程を含む方法にも関する。好適な方法は、体重減を促進、体重増加を減少、又は体重を維持するために、脂肪含有食中の所望の量の脂肪、又は所望の一日当たりの脂肪の量を、複合体を形成するのに十分な量のα−シクロデキストリンを摂取する工程を含む。好ましくは、ヒトの場合、前記体重減は、約1〜1.5lbs/週である。本発明の1つの態様は、一回の食事又は一日当たりに対象体が吸収することを望む量を超える脂肪と複合体を形成するのに十分な量のα−シクロデキストリンを摂取する方法である。この方法は、対象体が一回の食事又は一日当たりに吸収することを望む脂肪の量を測定する工程と、この対象体が吸収することを望む量を超過する摂取脂肪の量を測定する工程と、その後、その所望の量の脂肪のみが吸収されるように、前記過剰分の脂肪と複合体を形成するのに十分なα−シクロデキストリンを摂取する工程、とを含む。例えば、約1gのα−シクロデキストリンは、約9gの脂肪と複合体を形成することが可能であるという開示に基づくと、2500g/日で、約100g脂肪/日を含む日々の食事を消費する対象体において1〜1.5lbs/週の体重減を促進するのに十分な量、摂取されるα−シクロデキストリンの好適な量は、一日三食で、約2g/食である。好ましくは、一日に摂取されたる総α−シクロデキストリンは、一日当たり約500mg〜約33g、より好ましくは、約5g〜約20g/日、最も好ましくは、約6〜11g/日である。好ましくは、前記α−シクロデキストリンは、食事ともに、対象体がその体によって吸収されることを回避することを望む摂取脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が、約1:20〜約1:3、好ましくは、約1:13〜約1:5、より好ましくは、約1:9、となるように与えられる。それを必要とする対象体は、体重減又は体重増加の抑制、を必要とする、又は、それを望む対象体、例えば、体重増加の傾向のある、又は、既に体重過多、又は肥満である対象体である。前記対象体は、又、カロリーで約30%以上の脂肪を含む日々の食事を消費する対象体とすることも可能である。前記α−シクロデキストリンは、前記対象体に対して、粉末、タブレット、カプセル、飲料又はその他の消費に適した投与媒体、好ましくは、リノレン酸を含まないもの、の形態で与えることができる。α−シクロデキストリンは脂肪含有食の摂取の前、または、その摂取と同時に、または、摂取に続いて、与えられる。好ましくは、α−シクロデキストリンは、脂肪含有食の摂取の、直前又はその摂取と同時に与えられる。もっとも好ましくは、α−シクロデキストリンは脂肪含有食の消費中にヒト対象体に与えられる。α−シクロデキストリンは、食品、例えば、パン製品、例えば、バンズ、ロール又はビスケット、又は朝食シリアル、例えば、オートミール、小麦のクリーム、レーズンブラン、コーンフレーク、等、又は、その他の即席シリアルの形態で、又は、好ましくは、本発明の前記食品の形態で与えることができる。前記対象体は、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、類人猿、又はヒト、但し好ましくはヒトとすることができ、そして、前記哺乳動物に対して与えられるα−シクロデキストリンの総量を、所望の量の体重減を達成するのに十分な脂肪と複合体を形成するものに調節することは当業者の技量の範囲内である。例えば、毎食2gのα−シクロデキストリンは、一回の食事当たり約18gの脂肪、又は一日当たり約54gの脂肪の生物利用可能性を低下させる。これは、一週間当たり1〜1.5lbsの体重に相当する。この脂肪の量は、平均的な北米人の正常な一日の脂肪消費量の約1/2である。
【0050】
本発明は、更に、脂肪含有食品中の脂肪の生物利用可能性を低減させる方法であって、一定量のα−シクロデキストリンを食品と、その食品が、約1:20〜約1:3、好ましくは、約1:13〜約1:5、最も好ましくは、約1:9の脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有するように組み合わせる工程を有する方法に関する。好ましくは、本発明の前記食品中の総シクロデキストリン量は、約9%w/w以下、より好ましくは約6%w/w以下、最も好ましくは約3%w/w以下である。この方法は、種々の脂肪含有食品、例えば、デンプン質食品、調理野菜製品、乳製品、調理肉又は魚介製品、グレービー、ソース、サラダドレッシング、等に適用することができる。例えば、前記デンプン質食品は、例えば、スナックバー、朝食シリアル、パンケーキ、ワッフル、マフィン、トルティーヤ、コーンチップス、トルティーヤチップス、スナッククラッカー、パン、ケーキ、クッキー、ドーナッツ、zeppoliおよびパイ、等とすることができる。本発明の乳製品は、例えば、ミルク、クリーム、乾燥又は濃縮ミルク、プディング、バター、アイスクリーム、ミルクシェーク、ヨーグルト、ヨーグルトを含む飲料、例えば、フルーツやヨーグルト「スムージー(smoothie)」、チーズ又はプロセスチーズ製品又は卵製品、例えば、オムレツ又はエッグヌードル、等とすることができる。前記野菜製品は、クリームベースの野菜スープ、肉ベースストックのスープ、ベジタブルバーガー、等の成分の1つとして脂肪を含んで作られるもので、或いは、前記野菜製品は、フレンチフライ、ポテトチップス、又はファラーフェル(falafel)、等の脂肪含有材料でフライされるものの一つとすることができ、その製品中のα−シクロデキストリン量が、最終製品中に吸収される脂肪含有材料の量の推定に基づくものとすることができる。前記肉製品は、調理ビーフ、ラム、ポーク、家禽類、又は魚介製品、例えば、フランクフルト、デリスライス、ソーセージ、フィッシュスティック、チキンフィンガー、および、例えばハンバーガーやミートローフにされるひき肉、として作ることができる。前記方法は、又、衣がついた若しくはコーティングされた製品、例えば、フレンチフライ、フィッシュスティック、チキンフィンガー、又はてんぷら等に適用可能であり、それはフライされ、そして、脂肪含有材料中にフライされる製品のコーティングに使用される衣にも適用可能である。衣でコーティングされた製品の衣中のシクロデキストリンの量は、その衣でコーティングされた製品によって吸収される脂肪含有材料の量の推定に基づく。この方法は、又、チョコレート、ソース、マヨネーズ、およびサラダドレッシングなどの、キャンディーや調味料にも適用可能である。
【0051】
前記α−シクロデキストリンは、前記消費可能食品に対してその製造の任意の段階で添加することができ、α−シクロデキストリンと脂肪との複合体がその消費可能食品中に均一に分布するように、この複合体の形成に有利な条件下で添加することができる。或いは、α−シクロデキストリンは、脂肪含有食品と、それが消費される時に、それが食品中の脂肪の概算量を測定し、その後、摂取される脂肪に対する摂取されるα−シクロデキストリンの1:20〜約1:3、好ましくは、1:13〜約1:5、より好ましくは、約1:9の比率を得るのに十分な量のα−シクロデキストリンを摂取することによって、組み合わせることができる。好ましくは、前記消費脂肪含有食品は、カロリー含有率で、7〜80%の脂肪、より好ましくは20〜70%の脂肪、そして最も好ましくは40〜70%の脂肪、或いは、重量比で、5〜50%の脂肪、好ましくは7〜25%の脂肪を含むものとすることができる。
【0052】
本発明は、又、高コレステロール/HDL比、高トリグリセリドレベル、高レプチンレベル、高インスリンレベル及びインスリン耐性等の、多く肥満および体重過多と関連する病的状態を、この肥満および体重過多と関連する病的状態を低減するのに十分な量と時間、α−シクロデキストリンを、それを必要とする対象体に与えることによって低減する方法にも関する。
【0053】
血清コレステロールは、血中タンパク質との組み合わせで見られる。特に注目されるのは、高密度(HDL)および低密度リポタンパク質(LDL)である。本発明は、又、対象体の高密度リポタンパク質コレステロール(HDL)のレベルを増加させる方法であって、α−シクロデキストリンを、それを必要とする対象体に、HDLレベルを増加させるのに十分な量と時間、与える工程を含む方法にも関する。好ましくは、前記対象体に与えられるα−シクロデキストリンの量は、一日当たり約500mg〜約33g、好ましくは一日当たり約3〜21g、より好ましくは、一日当たり約6〜11gである。α−シクロデキストリンは、脂肪含有食の摂取の前、同時、又は、後に、与えることができる。前記対象体は、約100g脂肪/日を消費するものとすることができる。好ましくは、α−シクロデキストリンは脂肪含有食と共に対象体に与えられる。α−シクロデキストリンの十分な量は、約165mg〜11g/食、約1〜7g/食、より好ましくは、約2〜3.3g食、である。α−シクロデキストリンは、いずれかの適当な形態で、例えば、タブレット、ピル、カプセル、液体、その他ヒトの消費に適当な供給媒体、或いは、食品の形態で、例えば、パン製品、バンズ、ロール、ビスケット、朝食シリアル、例えば、オートミール、小麦のクリーム、レーズンブラン、コーンフレーク、又は、その他のインスタントシリアル食、特に、本発明の前記食品、等で与えることができる。好ましくは、この方法に使用される前記食品の一食分は、約165mg〜11g/食、好ましくは約1〜7g/食、より好ましくは、約2〜3.3g食、のα−シクロデキストリンを含有する。好ましくは、α−シクロデキストリンは、前記対象体に対して、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が、約1:20〜約1:3、好ましくは、約1:13〜約1:5、最も好ましくは、約1:9となる量、前記対象体に与えられる。
【0054】
LDLのレベルが低下するならば、たとえHDLのレベルが上昇しても、血中の総コレステロールレベルが一定に維持されることは可能である。そこで、本発明の別の態様は、HDLレベルを増加させ、および、LDLレベルを低下させ、コレステロール/HDL比を低下させ、および/又は、コレステロールを低下させるのに十分な量と時間、α−シクロデキストリンを、それを必要とする対象体に与えることによって、HDLレベルを増加させ、そして、LDLレベルを低下させ、コレステロール/HDL比を低下させ、および/又はコレステロールレベルを低下させる方法に関する。LDLの低下と、HDLレベルの増加によって、HDLに対するコレステロールの総比率が低下される。好ましくは、総コレステロールレベルは、実質的に低下されないか、もしくは、増加される。
【0055】
α−シクロデキストリンは、前記対象体に対して、粉体、タブレット、カプセル、飲料、又は、消費に適したその他の供与媒体、好ましくは、リノレン酸を含まないもの、として与えることができる。十分な量のα−シクロデキストリンは、約165mg〜11g/食、好ましくは約1〜7g/食、より好ましくは、約2〜3.3g食である。好ましくは、一日に摂取される総α−シクロデキストリンは、約500mg〜約33g/日、より好ましくは約5g〜約20g/日、最も好ましくは約6〜11g/日である。好ましくは、α−シクロデキストリンは、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比が、約1:20w/w〜約1:3w/wとなるように食事とともに投与され、前記比率は、好ましくは約1:13w/w〜約1:5w/w、より好ましくは、前記比率は約1:9w/w食である。
【0056】
HDLレベルの増加および/又はLDLレベルの低下、コレステロール/HDL比の低下、又はコレステロールレベルの低下を必要とする対象体は、HDLに対する総コレステロールの高いレベルを有する、又は、その素因を有する者である。血中コレステロール、HDLおよびLDLレベルを測定する方法は当業者に周知であり、ここで詳述する必要はない。しかし、コレステロールレベルと、コレステロール、HDLおよびLDLレベルを測定する方法の記載については、例えば、Expert Program on detection, evaluation, and treatment of high blood cholesterol in adults. Executive Summary of the Third Report of the National Cholesterol Education Panel on Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults(大人における高血中コレステロール値の検出、評価および治療における専門プログラム。大人における高血中コレステロール値の検出、評価、治療における国立コレステロール教育パネルの第3次レポートの要約)“Adult Treatment Panel III(大人の治療パネルIII)”,JAMA 285(19); 2486-97:2001とHandbook of Lippoprotein Testing(リポプロテインテストのハンドブック),Rifai N, Warnick GR and Dominiczak MH, eds. 第9、11および12章、AACC Press, Washington DC, 2000年、ここにその両方を参考文献として合体させる)を参照。
【0057】
本発明は、又、それを必要とする対象体に対して、対象体のトリグリセリドレベルを低下させるのに十分な量のα−シクロデキストリンを与えることによって対象体のトリグリセリドを低下させる方法にも関する。それを必要とする対象体は、高トリグリセリドレベルを有する者、高トリグリセリドレベルの素因を有する者、又は、高トリグリセリドレベルの家族歴を有する者である。高トリグリセリドレベルは、様々な病的状態に関連している。従って、本発明は、更に、心臓血管系疾患、急性膵臓炎、インスリン耐性、および無制御糖尿病および、高トリグリセリドレベルに関連する種々のdislipidemias、等の病的状態を、それを必要とする対象体に対して、この対象体のトリグリセリドのレベルを低下させるのに十分な量のα−シクロデキストリンを与えることによって治療する方法にも関する。当業者は、対象体のトリグリセリドレベルを測定する方法を周知している。血中トリグリセリドレベルの測定方法については、例えば、Handbook of Lippoprotein Testing(リポプロテインテストのハンドブック),Rifai N, Warnick GR and Dominiczak MH, eds. 第9、11、および12章、AACC Press, Washington DC, 2000年、ここに参考文献として合体させる)を参照。α−シクロデキストリンは、前記脂肪含有食の摂取の前、同時、又は後、に与えることができる。より好ましくは、前記α−シクロデキストリンは、対象体に対して、脂肪含有食と共に与えられる。十分な量のα−シクロデキストリンは、好ましくは約165mg〜11g/食、好ましくは約1〜7g/食、より好ましくは、約2〜4g食である。好ましくは、一日に摂取される総α−シクロデキストリンは、約500mg〜約33g/日、より好ましくは約5g〜約20g/日、最も好ましくは約6〜11g/日である。好ましくは、一日又は一食当たりに摂取される、α−シクロデキストリン:脂肪の比は、約1:20w/w〜約1:3w/wであり、前記比率は、好ましくは約1:13w/w〜約1:5w/w、より好ましくは、前記比率は約1:9w/wである。α−シクロデキストリンは、前記対象体に対して、粉体、タブレット、カプセル、飲料、又は、消費に適したその他の供与媒体、好ましくは、リノレン酸を含まないもの、として与えることができる。α−シクロデキストリンは、食品の形態、特に、本発明の食品の形態で対象体に与えることができる。
【0058】
本発明は、更に、対象体のレプチンレベルを低下させる方法であって、それを必要とする対象体に対してその対象体のレプチンレベルを低下させるのに十分な量のα−シクロデキストリンを与える方法にも関する。α−シクロデキストリンは、脂肪含有食の摂取の前、同時又は後に与えることができる。より好ましくは、α−シクロデキストリンは、前記対象体に対して、脂肪含有食と共に与えられる。毎食摂取されるα−シクロデキストリンの量は、好ましくは約165mg〜11g/食、より好ましくは1〜7g/食、最も好ましくは2〜3.3g/食である。好ましくは、一日に摂取される総α−シクロデキストリンは、約500mg〜約33g/日、より好ましくは約5g〜約20g/日、最も好ましくは約6〜11g/日である。好ましくは、前記対象体に対して一日に与えられるα−シクロデキストリンと対象体によって一日に摂取される脂肪の量は、約1:20〜約1:3w/wであり、好ましくは、前記比率は約1:13〜約1:5w/wであり、より好ましくは、前記比率は約1:9w/wである。レプチンを低減する必要のある対象体は、高レプチンレベルを有し、レプチン耐性の素因を有する者である。レプチンレベルは、レプチンレベル測定のための任意の公知の方法とすることができる。レプチン耐性の測定の様々なアッセイについては、例えば、ここに参考文献として合体させるマッフェイ(Maffei)他,Nature Med 1:1155-1161(1995)を参照。α−シクロデキストリンは、前記対象体に対して、粉体、タブレット、カプセル、飲料、又は、ヒトの消費に適したその他の供与媒体の形態、好ましくは、2%以下のリノレン酸を含むもの、より好ましくは、0.2%以下のリノレン酸を含むもの、そして最も好ましくはリノレン酸を含まないもの、として与えることができる。α−シクロデキストリンは、対象体に対して食品の形態、特に、本発明の食品の形態で対象体に与えることができる。
【0059】
本発明は、更に、対象体の血中インスリンレベルおよびインスリン耐性を低減させる方法であって、それを必要とする対象体に対して、血中インスリンレベルを低減させるのに十分な量のα−シクロデキストリンを与える工程を含む方法に関する。インスリン耐性は、通常は、II型糖尿病の原因である。インスリン耐性は、トリグリセリド/HDL−コレステロール比およびグルコース/インスリン比によって推定することができる。それを必要とする対象体は、高インスリンレベルを示し、II型糖尿病を有する者、又は、II型糖尿病を発病する素因を有する者、又は高インスリンレベル又はII型糖尿病の家族歴を有する者である。インスリンレベルの測定のために通常用いられる任意の方法を、ここで、インスリンレベルと耐性をアッセイしモニターするために使用することができる。例えば、インスリンレベルの測定のためのアッセイの説明については、ここに参考文献として合体させる、バーソン(Berson)他(Eds) Methods in Investigative and Diagnostic Endocrinology, ch 3, Part III, Vol. 28. American Elesevier Publishing Co., New York, 1973を参照。α−シクロデキストリンは、脂肪含有食の摂取の前、同時又は後に与えることができる。好ましくは、α−シクロデキストリンは、脂肪含有食の摂取の直前、又は同時に与えられる。より好ましくは、α−シクロデキストリンは、前記対象体に、脂肪含有食と共に与えられる。毎食に摂取されるα−シクロデキストリンの量は、好ましくは、約165mg〜11g/食、より好ましくは約1〜7g/食、最も好ましくは約2〜3.3g/食である。一日に摂取される総α−シクロデキストリンは、約500mg〜約33g/日、より好ましくは約5g〜約20g/日、最も好ましくは約6〜11g/日である。好ましくは、前記対象体に対して一日に与えられるα−シクロデキストリンは、対象体によって一日に摂取される脂肪の量に基づき、約1:20w/w〜1:3w/wの比率であり、前記比率は、好ましくは約1:13w/w〜1:5w/w、より好ましくは、前記比率は約1:9w/wである。α−シクロデキストリンは、前記対象体に対して、粉体、タブレット、ゲル、カプセル、飲料、又は、ヒトの消費に適したその他の供与媒体の形態で、好ましくは、リノレン酸を含まないもの、として与えることができる。α−シクロデキストリンは、食品の形態、特に、本発明の食品の形態で対象体に与えることができる。
【0060】
本発明は、又、それを必要とする対象体の下痢を減少させる方法であって、それを必要とする対象体に対して、下痢を減少させるのに十分な量と時間、α−シクロデキストリンを与える工程を含む方法にも関する。前記対象体は、哺乳動物、例えば、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、サル、類人猿又はヒトとすることができる。そのような対象体は、下痢をしやすい、または現在、下痢を有する胆嚢切除患者、脂肪悪化した(fat aggravated)下痢を患っている患者、または、急性または亜急性の憩室炎を有する患者、急性期の腸のある種の炎症状態、例えば、潰瘍性大腸炎、又はクローン氏病、ある種の腸の手術、例えば、人工肛門形成術や回腸造瘻術、の後の患者、とすることができる。α−シクロデキストリンは、食品の形態、好ましくは本発明の食品、例えば、本発明のデンプン質又は非デンプン質食品の形態で与えることができる。α−シクロデキストリンは、又、対象体に対して、粉体、タブレット、カプセル、ゲル、液体、又は消費に適したその他の送達媒体の形態で与えることができる。α−シクロデキストリンは、食事とともに、例えば、約165mg〜11g/食、好ましくは約1〜7g/食、より好ましくは約2〜3.3g/食で与えることができる。好ましくは、一日に摂取される総α−シクロデキストリンは、約500mg〜約33g/日、より好ましくは約5g〜約20g/日、最も好ましくは6〜11g/日である。一食又は一日、好ましくは一食、に摂取される脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率は、約1:20w/w〜1:3w/wであり、前記比率は、好ましくは約1:13w/w〜1:5w/w、より好ましくは、前記比率は約1:9w/wである。α−シクロデキストリンは、脂肪含有食の摂取の前、同時又は後に与えることができる。より好ましくは、α−シクロデキストリンは、脂肪含有食の摂取の直前、又は同時に与えられる。
【0061】
ペットフードに対するα−シクロデキストリンの添加によって、ペットの良好な糞便質が促進又は維持、および/又はペットの糞便の質が改善される。良質のペット糞便は、それは、一般に美的に好ましいのみならず、良好なペットの健康の指標である点において、そのペットの所有者によって認知される非常に望ましい特徴である。従って、本発明は、更に、ペットの良好な糞便質が促進又は維持、および/又はペットの糞便の質が改善されるのに十分な量のα−シクロデキストリンを含むペットフード製品にも関する。良質の糞便は、しっかりしており、その良好な形状でその形状を維持する。湿分を含み、その形状が維持されない糞便(軟便又は下痢)、又は、便が固く乾燥した便は良質の糞便ではない。前記ペットフードは、好ましくは、包装されたペットフードである。その包装は、プラスチック、紙、ダンボール又は、スズやアルミホイル(flexifoil)等の金属製とすることができる。前記ペットフードは、缶やアルミホイルなどに包装された湿性ペットフード、又は、ギブルやビスケットなどの紙やダンボールに包装されるものなどの乾燥ペットフードとすることができる。好ましくは、前記ペットフードは、ネコ、イヌ、ウシ、又はウマ用に開発された食品である。本発明は、更に、ペット、好ましくは、それを必要とするペットに、α−シクロデキストリンを、そのペットの良好な糞便質が維持又は促進、および/又はペットの糞便の質が改善されるのに十分な量と時間、与えることによって、ペットの良好な糞便質を維持又は促進、および/又はペットの糞便の質を改善する方法にも関する。α−シクロデキストリンは、食事とともに、例えば、165mg〜11g/食、好ましくは約1〜7g/食、より好ましくは約2〜3.3g/食で与えることができる。好ましくは、一日に摂取される総α−シクロデキストリンは、約500mg〜約33g/日、より好ましくは約5g〜約20g/日、最も好ましくは6〜11g/日である。一食又は一日、好ましくは一食、に摂取される脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率は、約1:20w/w〜1:3w/wの比率であり、前記比率は、好ましくは約1:13w/w〜1:5w/w、より好ましくは、前記比率は約1:9w/wである。α−シクロデキストリンは、脂肪含有食の摂取の前、同時又は後に与えることができる。より好ましくは、α−シクロデキストリンは、脂肪含有食の摂取の直前、又は同時に与えられる。α−シクロデキストリンは、ピル、ウエハ、タブレットカプセル、等の形態で、又は、缶やアルミホイルに包装された湿性ペットフードや、キブルやビスケットなどの紙又はボール紙の容器に包装された乾燥ペットフードを含む、ペットフードの形態、特に、本発明のペットフードとして、与えることができる。それを必要とするペットは、形状不良の糞便、又は形状不良糞便となる傾向があるペット、例えば、下痢、又は下痢傾向のあるペットである。
【0062】
本発明の前記諸方法において、α−シクロデキストリンは、実質的にα−シクロデキストリンから成る単一用量単位形態で与えることができる。この単一用量単位は、粉末、タブレット、カプセル、ゲル、ペレット、液体、等の形態とすることができ、α−シクロデキストリンは粉末、タブレット、カプセル、ゲル、ペレット、液体等の形態とすることができ、当該技術において普通に使用されている任意の手段によって、組み込むことができる。α−シクロデキストリンは、例えば、その他の、一般に使用される添加剤、例えば、着色料、抗酸化剤、賦形剤、デンプン、糖、抗菌、又は抗真菌剤、保存料、安定化剤、乳化剤と共に、粉末、タブレット、ゲル、カプセル、液体に組み込まれる。α−シクロデキストリンは、経口投与用に許容可能な任意の薬用キャリアと組み合わせことができ、例えば、それを、硬質又は軟質のシェルゼラチン(shell gelatin)カプセルに封入したり、タブレットに圧縮したり、或いは、その個人の食事に直接含ませることができる。具体的には、α−シクロデキストリンは、賦形剤と合わせて、消化可能なタブレット、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエハ、等の形態で使用することができる。α−シクロデキストリンは、その他の食品形態および薬用的に許容可能な風味賦活剤と混合することができる。適用な薬用キャリアおよび製剤は、例えば、ここに参考文献として合体させるRemington's Pharmaceutical Sciences (第19版)(Genarro, ed.(1995) Mack Publishing Co., イーストン, ペンシルバニア)に記載されている。好ましくは、前記製剤は、α−シクロデキストリンが胃中で放出されて摂取された食物と混合されて、α−シクロデキストリンと脂肪との複合体が形成され、粥状液が空腸に押し込まれ、炭酸水素塩とリパーゼと混合される時には、α−シクロデキストリン/脂肪複合体が既に形成されているように構成される。
【0063】
前記脂肪に対する所望のα−シクロデキストリンの比率を達成するために、食品に対して比較的少ない総量のシクロデキストリン(例えば、約9%w/w以下、好ましくは約6%w/w以下、より好ましくは約3%w/w以下)が添加されるので、α−シクロデキストリンは、この食品中の同量の乾燥成分を置換するための賦形物として使用するのではなく、食品組成物に添加することができる。従って、ボンブ熱量計測法(bomb calorimetry) による測定で、本発明の食品のカロリー含有量は、全部のα−シクロデキストリンの添加によって実質的に変化しない。たとえ、食品に添加される比較的少量(約9%w/w以下、好ましくは約6%w/w以下、より好ましくは約3%w/w以下)のシクロデキストリンを補うべく食品から乾燥成分を除去したとしても、食品のカロリー含有量は実質的に減少しない。
【0064】
本発明は、更に、脂肪含有消費可能食品の官能特性を、この食品中のカロリー含有量(ボンブ熱量計測法による測定)を実質的に低減することなく、又は、その脂肪の含有率を実質的に低減することなく、高める方法にも関する。この方法は、前記脂肪含有食品に対して、この食品の調製中に、α−シクロデキストリンを添加する工程を含む。食品に添加されたα−シクロデキストリン量は最終製品における脂肪量に基づく。本発明の前記食品は、通常、約1:20w/w〜1:3w/w、好ましくは約1:13w/w〜1:5w/w、より好ましくは、前記比率は約1:9w/wの、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有する。前記製品に対して添加されるシクロデキストリンの総量は、通常は、9%w/w以下、好ましくは6%w/w以下、より好ましくは3%w/w以下である。わずか0.7%w/wのα−シクロデキストリンしか含まずに製造された製品でも、増強された官能特性、例えば、甘味や滑らかな食感、を有する。前記消費脂肪含有食品は、カロリー含有率で、7〜80%の脂肪、好ましくは20〜70%の脂肪、より好ましくは40〜70%の脂肪、又は、重量比で5〜50%w/wの脂肪、又は好ましくは7〜25%w/wの脂肪を含むことができる。この方法は、種々の脂肪含有食品、例えば、デンプン質食品、調理野菜製品、乳製品、調理肉、家禽又は魚介製品、スープ、および、調味料、例えば、グレービー、ソース、マヨネーズ、およびサラダドレッシングなど、に適用可能である。例えば、前記デンプン質食品は、例えば、スナックバー、朝食シリアル、パンケーキ、ワッフル、マフィン、トルティーヤ、コーンチップス、トルティーヤチップス、スナッククラッカー、パン、ケーキ、クッキー、ドーナッツ、zeppoli、およびパイ又はその他のフルーツやナッツ入りのパン製品、とすることができる。本発明の乳製品は、例えば、ミルク、クリーム、エバポレーティッド又はコンデンスミルク、プディング、バター、アイスクリーム、ミルクシェーク、クリームベースのソースやスープ、ヨーグルトやヨーグルトで調製された飲料、例えば、フルートおよびヨーグルト「スムージー(smoothie)」、チーズ又はプロセスチーズ製品、或いは、卵製品、例えば、オムレツや卵ヌードルとすることができる。前記野菜製品は、その成分の1つとして脂肪と共に製造されるもの、例えば、ホムス、タヒニ、マーガリン、およびナッツバター、とすることができ、或いは、脂肪含有材料中でフライされたもの、例えば、フレンチフライ、野菜てんぷら、ファラーフェルで、そのフライ製品中のα−シクロデキストリンの量が、フライ後にそのフライ製品中に含まれていると推定される脂肪含有材料の量に基づくもの、とすることができる。前記肉製品は、調理ビーフ、ラム、ポーク、家禽又は魚介製品、例えば、フランクフルト、デリスライス、ソーセージ、フィッシュスティック、チキンフィンガー、例えば、ハンバーガー、ミートボール、ミートローフに調理されるミンチ肉、とすることができる。前記方法は、更に、ラードやオイル等の脂肪含有材料中でフライするための、フレンチフライやてんぷら等の、製品をコーティングするのに使用される衣(batters)、にも適用可能である。更に、この方法は、スープおよび調味料類、例えば、グレービー、ソース、サラダドレッシングであって、上述した脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率によって、その製品の生地および/又は風味を高めることができるものにも適用可能である。本発明の前記製品は、多くの場合、α−シクロデキストリン無しで作られた類似の製品に匹敵する味、および/又は、それよりも滑らかなきめとより甘い味、を有する。更に、エバポレーティッド又はコンデンスミルク中にα−シクロデキストリンを加えることによって、α−シクロデキストリンを含まない類似の製品よりも白い製品が作り出される。
【0065】
本発明は、更に、泡立てクリームを調合するのに必要な時間を減少させる方法であって、泡立ての前、又は泡立て中に、α−シクロデキストリンをクリームに添加する工程を含む方法にも関する。α−シクロデキストリンは、泡立てクリームを形成するのに必要な時間を減少させるのに十分な量、添加される。好ましくは、α−シクロデキストリンの量は、約1:20w/w〜1:3w/w、好ましくは約1:13w/w〜1:5w/w、より好ましくは、約1:9w/wのクリーム中の脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を達成するのに十分なものとされる。泡立てクリームを形成するのに必要な時間を低減することによって、ミキサーを動かすのに必要な動力量が減少し、これによって、商業規模での計算で、電気と労力との両方における大きなコスト節約が得られる。泡立てされたクリームは、ソフトですくい取り(scoop)可能な状態を維持し、乳清がその他の成分と分離することがない。
【0066】
ここで、前記α−シクロデキストリン含有泡立てクリームは、α−シクロデキストリンを含有又は非含有可能な他の脂肪含有材料上のトッピングとして使用し、その泡立てクリーム中のα−シクロデキストリンの量は、消費時においてその他の脂肪含有材料中の脂肪と複合体を形成し、それによって、その生物利用可能性を低減させるのに十分なように構成することが可能である。
【実施例】
【0067】
例1
図9A〜9Cは、ベジタブルオイル(4g)、水(6g)(対比のために食品着色料を添加)の、(A)α−シクロデキストリン(100〜2,000mg、右から左)、(B)β−シクロデキストリン又は(C)γ−シクロデキストリン、の量を変化させたイン・ヴィトロ実験の結果を図示している。試験管中において、油相と水相との間で層をなす「ワックス様」物質の層のバンドが明白である。このバンドのサイズは、α−シクロデキストリンの量を、10%(400mg α−シクロデキストリン/4gオイル)と表示された試験管における最大値にまで増加させるに従って増加する。試験管の底部における未反応α−シクロデキストリンの白い層の増加するサイズ(右から左)に注目。この物質は、オイル又はα−シクロデキストリン−オイル複合体のいずれかによって溶液から置換される。層の解像度を改善するためにこれらの試験管を遠心分離した。前記「ワックス様」複合体は、右側の端の二つを除いて9Aの試験管のすべてが、前記複合体の周囲の水相を洩出すること無く反転することができる堅さ(consistency)である。
【0068】
α−シクロデキストリンの孔径は、β−シクロデキストリンとγ−シクロデキストリンの孔径よも遥かに小さい。従って、α−シクロデキストリンがトリグリセリド分子と複合体を形成することは予想しなかったであろう。というのは、その分子はα−シクロデキストリンの孔の中に納まることがないであろうからである。しかしながら、オイル/β−シクロデキストリン(図9B)とオイル/γ−シクロデキストリン混合物(図9C)を含む試験管中の複合化された脂肪の量は、前記オイル/α−シクロデキストリン混合物(図9A)を含む試験管に見られるよりも遥かに少ない。この差は、図9Cにおいて更に劇的であり、ここでは、ワックス様物質のバンドはかろうじて見えるにすぎない。試験管の底部の白い物質は、沈殿したシクロデキストリンである。
【0069】
例2 動物実験
高脂肪食と低脂肪食をそれぞれ給餌された動物の体重増加と血漿脂質レベルに対するα−シクロデキストリンの効果を調べるために、われわれは、ウィスターラットを使用した短期給餌実験を行った。10週齢の42匹のオスウィスターラットをHarlan−Sprague Dawleyから入手した。コントロール低脂肪食(LE)を給餌しながらの1週間の調整後、それらを、二つのグループ、一つは低脂肪(LF)食のグループ、他方は高脂肪(HF)食のグループに均等に分けた。これらの二つのグループを、更に、二つのサブグループに分けた。二つのグループには、LF又はHF食を給餌し、食物中の脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率が1:10w/wであるようなα−シクロデキストリン量を含有するLF又はHF食を給餌された他の二つのテストグループに対するコントロールとした。前記LF食は、AIN−93M食に従って調製され、その脂肪源として4%(w/w)の大豆オイルを含有している。前記HF食は、40%の大豆オイルを含有する前記LF食を改変したものであった。したがって、α−シクロデキストリンを受けた前記LFグループ(LFシクロデキストリン)は、0.4gのα−シクロデキストリン/100gの食事を摂取し、α−シクロデキストリンを受けた前記HFグループ(HF−シクロデキストリン)は、4gのα−シクロデキストリン/100gの食事を摂取した。前記4種類の食事のカロリー密度は、LF:3.96kcal/g;LF−シクロデキストリン:3.66kcal/g;HF:5.70kcal/g;HF−シクロデキストリン:5.59kcal/gであった。
【0070】
前記ラットをペアで、5週間収容し、その後、実験の第6週目に、個々の代謝ケージに収納した。これらラットの糞便の全てを、実験の最後の三日間に収集した。実験期間の第6週目の終わりに、ラットを、二酸化炭素ガスに対する短い露出後に、斬首によって犠牲にした。各動物について、体躯の血液と肝臓を収集した。その体の残りの部分から内臓を摘出し、内腔からの目に見える全ての脂肪を収集し、計量した。後日の体組成分析のために死体を冷凍した。
【0071】
食物およびエネルギ摂取:
前記動物によって摂取された食物の量を、実験の最初の5週間、モニターし、これらのデータから、カロリー摂取量を計算した。これらのデータを、各グループ±SDの平均として、表1と図1および2に示す。
【0072】
【表1】

【0073】
いかなるグループ間においても、摂取された食物の量(g)に関しては統計的な相違は無かった。HF食の高いカロリー含有量により、2つのHFグループは、2つのLFを給餌されたグループよりも遥かに多くのカロリーを消費した。尚、2つのHFグループ又は2つのLFグループ間のカロリー摂取は、α−シクロデキストリンの摂取によって影響を受けなかったことを銘記しなければならない。これらのデータは、(1)前記ラットのすべてが、摂取された食物の量によって満腹となったこと、そして(2)α−シクロデキストリンが脂肪の一部と複合体を形成して脂肪がラットによって摂取されることを妨げていた場合にも、ラットは、それを埋め合わせるためにより多くの食物を消費していなかったこと、を示している。水の消費に関しては、グループ間に統計的相違は無い。
【0074】
体重の変化:
図1は、全実験期間中の4グループの成長するラットの体重の変化を図示している。われわれが以前に示したように(ここに参考文献として合体させる、ジェン(Jen)、Physiol Behav 42:551-556(1988)、ジェン(Jen)、Int J Obesity 19:699-708(1985))、前記HF食を受けた動物は、LF食を受けた動物よりもより多くの体重増加があった。興味深いことに、図3は、1:10w/wの比率のα−シクロデキストリンと脂肪を含む食餌を受けた動物は、それらのそれぞれのコントロールグループに対してより低い速度で体重増加したことを示している。HF食のコントロールグループは、まだ、かなりの速度で体重増加しているように見えるが、他の3グループの体重増加速度は、プラトーに到達したように見える。この例において、α−シクロデキストリン/高脂肪食を給餌された動物は、α−シクロデキストリン無しの低脂肪食(4%w/w)を受けた動物とほぼ同じ速度で体重増加したように見える。従って、動物の食事に、α−シクロデキストリンの量がその食事中の脂肪の量に基づくα−シクロデキストリン量である(この例では、4%w/w α−シクロデキストリンおよび40%w/w脂肪)、α−シクロデキストリンを添加することによって、体重増加の速度は大幅に抑制される。これは、ラットの食餌に添加されたシクロデキストリン組成物が、食餌中のこのシクロデキストリン組成物の比率が少なくとも58.5%w/wになるまでは、体重増加の速度に対して影響がなかった、従来の実験と明白な対比をなしている。
【0075】
体組成:
体組成分析は、LF食にα−シクロデキストリンを添加することによって体脂肪含有率は影響を受けなかったことを示している。しかしながら、α−シクロデキストリンをHF食に添加した場合には、それによって、体脂肪量は大幅に低減した(LF:48.3±2.4g;LF−シクロデキストリン:51±6.5g;HF:71.3±5.8g;HF−シクロデキストリン:55.6±2.4g,平均±SE)。このことは、α−シクロデキストリンが、食餌の脂肪が高い場合に、体脂肪を減らすのに非常に有効であるということを暗に意味している。
【0076】
化学量論:
シマダ(Shimada)他(シマダ(Shimada)“Structure of inclusion complexes of cyclodextrins with triglyceride at vegetable oil/water interface(ベジタブルオイル/水境界でのトリグリセリドとシクロデキストリンの含有複合体の構造)”J. Food Sci.1992; 57(3):655-656)は、2つの分子のα−シクロデキストリンが1つの遊離脂肪酸(FFA)と複合体を形成するということを報告しており、これに対してスゼイトリ(Szejtli)(スゼイトリ,ジェイ(Szejtli J.)“Utilization of cyclodextrins in industrial products and processes(工業製品および工程におけるシクロデキストリンの利用)”J. Mater. Chem. 1997; 7:575-587)は、この現象が脂肪酸の鎖長に依存すること、そして、3〜4の分子のα−シクロデキストリンがトリグリセリド分子の三つの脂肪酸のそれぞれと複合体を形成することが可能であること、を示している。これらの結果は、1つの分子のトリグリセリドと完全に複合体を形成するには9〜12の分子のα−シクロデキストリンが必要であることを示唆している。もしもそうであるならば、トリグリセリドとα−シクロデキストリンは同じような分子量を有することから、体重を大きく変化させるために、十分な量のトリグリセリドと複合体を形成するために動物に十分なα−シクロデキストリンを給餌可能であることを想像することは困難となる。しかしながら、4%のα−シクロデキストリンと40%の脂肪とを含む食事によって、体重増加が抑制され、体脂肪量が減少するというここに開示されるデータから、その分子量が非常に類似しているので、われわれは、1つのα−シクロデキストリン分子が、約9つの分子のトリグリセリド、つまり、27の遊離脂肪酸の均等物、と複合体を形成することが出来る、計算した。従って、われわれは、これを、1グラムのα−シクロデキストリンが約9グラムのトリグリセリドと複合体を形成すると直接的に、換算できる。理論的に限定されることは望まないが、シマダ(Shimada)又はスゼイトリ(Szejtli)の開示に基づく、トリグリセリドと複合体を形成するのに必要なα−シクロデキストリン分子の比率と、ここに開示される脂肪と複合体を形成する脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率との相違は、α−シクロデキストリンは、非常に安定的なミセルの形態のシクロデキストリンによってコーティングされたトリグリセリドの大きな分子の形成を触媒し、それによって、それらの粒子中に脂肪の生物利用可能性を減少させるということを示唆している。われわれは、精製オリーブオイルが予めα−シクロデキストリンと混合されるならば、ブタの膵リパーゼの脂肪分解活性が大幅に低減されることを証明することができた。これらの粒子は、非常に複雑な「スープ(soup)」である粥状液中に形成されるので、前記粒子は、血流のリポタンパク質粒子に例えることができる。このことによって、更に、なぜ細菌叢が小腸から来るα−シクロデキストリン脂肪複合体を代謝させることができるようには見えないかも説明されるであろう。
【0077】
排便脂肪含有量:
標準技術、参考文献として合体させるフォルチ(Folch)他 J. Biol. Chem 226:497-509(1957)を使用して、収集した排便に対して総脂質測定を行った。その結果(図4)は、HF−シクロデキストリン(p<0.05)における排便脂肪の大幅な増加を示しているが、LF−シクロデキストリン給餌ラットには増加が見られないことを示している。この平均増加は約25%であった。これらのデータは、α−シクロデキストリンが、脂肪摂取量が高い時に、脂肪が吸収されることを妨げ、そして、更に、それが動物の大腸の腸管内菌叢によって代謝されることを妨げることによって、脂肪の生物利用可能性を低減させたこと、を示している。後者の観察は、排便を視覚的に検査することによって確認された。収集された物質の全部が、正常な形状、堅さであるように見え、下痢の徴候は無かった。
【0078】
血漿グルコース、コレステロールおよびトリグリセリドレベル
ここに参考文献として合体させるTietz Textbook of Clinical Chemistry, 第2版、Burtis CA and AshwoodER eds., W.B. Sanders Company A Division of Harcourt Brace & Company, 1994、フィラデルフィア、に見られる標準臨床実験技術を使用して、犠牲にした全部の動物における血漿コレステロールおよびトリグリセリド濃度を測定した(図5)。平均で、α−シクロデキストリンは、血漿総コレステロールレベルを約10%減少させたようであった。この減少は、この短い実験期間では統計的に有意なものではなかったが、われわれは、給餌期間を長くすれば、コレステロールレベルは低下し続けるものと予想している。HDLコレステロールも、より小さな程度ではあるが、約6〜8%低下した。前記全ての動物のLDLコレステロールレベルは、ラットにおいて、コレステロールの大半は、HDLコレステロール分画中に担持され、LDL−コレステロール分画中には非常に僅かにしか担持されないことから、確実に測定するにはあまりにも低かった。トリグリセリドレベルは、α−シクロデキストリンを受けた動物において、大幅に、約30%減少した(p<0.05)。グルコースレベルは、高レベルのシクロデキストリン(19.5%,39%,58.5%又は78%w/w CD:総食物)によって血中グルコースが大幅に低下したとする日本特許出願S60−94912において報告されている結果とはコントロール的に、HF又はα−シクロデキストリン給餌によって大きく影響されなかった。
【0079】
インスリン耐性:
インスリン耐性の増加、血中トリグリセリドレベルの上昇、そしてHDLコレステロールレベルの低下は、すべて、症候群Xのリスクファクタである。インスリン/グルコース比、そしてトリグリセリド/HDL比もが、インスリン耐性と症候群Xのリスクに関する指標を提供するために計算された(スゼイトリ ジェイ(Szejtli J.)Mater. Chem. 1997; 7:575-587、ここに参考文献として合体させる)。実験の期間が短いため、HF給餌によってインスリン耐性が有意には誘発されなかったが、その方向に向かう傾向は見られた。同様に、HF−シクロデキストリンを給餌された動物は、インスリン耐性が低下に向かう傾向を示した。われわれは、下記に示すヒトのデータに基づき、給餌期間が延長された場合は、インスリン耐性が有意となり、α−シクロデキストリンは、HF給餌ラットに見られるインスリン耐性を大幅に低減することができる、と予想している。α−シクロデキストリンによるトリグリセリド/HDLコレステロール比の低下は、症候群Xのリスクの大幅な減少を示した。
【0080】
レプチン:
レプチンは、体重、代謝および生殖機能の調節において重要な作用を持つタンパク質ホルモンである。レプチンは、主に脂肪細胞によって分泌され、このことは、体重が体内における脂肪の総量として知覚されるという考えを支持している。従って、われわれは、標準技術を使用して、LFおよびHF食±α−シクロデキストリンを給餌された動物の血漿レプチンレベルを分析した。
【0081】
図6は、4つのグループのラットから得た血漿レプチン値を比較しており、ここで、レプチンレベルは、ここに参考文献として合体させる製造業者の指示に従ってRIAラットレプチンキット(Linco Research, セント チャーチル、ミズリー州)を使用して測定された。HFラットの血漿中に存在するレプチンの量(18.1±3.2ng/mL)は、LFラットのそれ(7.5±1.9ng/mL)よりも統計的に高い(p<0.001)。HF−シクロデキストリンラットの血漿レプチン濃度(9.6±1.8ng/mL)は、前記LFラットのそれから統計的に相違は無い。脂肪(adipose)がレプチンのソース組織であるので、前記データは、HFラットにおいては、他の三つのグループと比較して、より多くの体脂肪があるということを示している。レプチンは食物摂取量と体重を減少させるので、レプチンレベルが高いことは、これらのHF給餌ラットにおけるレプチン耐性の状態を示すものである。しかしながら、α−シクロデキストリンをHF食に添加したとき、この食事を消費したラットのレプチンレベルは大幅に低下した。このことは、HF−シクロデキストリンラットにおいて体脂肪量が減少したこと、を示し、これらのラットのレプチンレベルが低下していることを示唆している。これらの結果は、これらのラットがレプチンの作用に対してより敏感であり、従って、将来、体重が増加することがより困難になりうることを示唆している。脂肪組織1グラム当たりのレプチンを計算した時、食物脂肪とα−シクロデキストリンの両方が、血中レプチンレベルに対してそれぞれ独立した作用を与えたことが明らかになった(LF:0.11±0.02ng/mL/gの脂肪組織;LF−CD:0.075±0.01;HF:0.24±0.03;HF−CD:0.17±0.03;食餌効果p<0.001;CD作用p<0.001)。α−シクロデキストリンを添加したHF食を給餌されたラットにおいて、血中レプチンレベルの低下は、体脂肪量の減少によって説明可能である低下以上のものであった。従って、α−シクロデキストリンは血中レプチンレベルを低下させ、体重/脂肪の減少によって誘発されるものに加えて、レプチン耐性を低下させる。ヒトの実験でも同様に結果が得られた(例4を参照)。
【0082】
例3: 初期臨床データ
血清トリグリセリドレベルに対するα−シクロデキストリンの作用
トリグリセリドレベルに対するα−シクロデキストリンの作用を測定するために、8名のボランティアに、一晩の断食後、二日間連続で、2個の卵のチーズ(54g)オムレツと、ミルクセーキ、総量47gの脂肪を含む、とを与えた。第1日目、食事は、更に、約5gのα−シクロデキストリンを含んでいた。各ボランティアから、食事の直前(ゼロ時間)と、食事を消費した後の1時間、2時間および3時間とに、それぞれ、留置静脈カテーテルによって血液サンプル(10ml)を採取し、これらの血清トリグリセリドレベルを評価した。前記ゼロ時間サンプルを、1時間、2時間および3時間での前記ヒトボランティアの血液血清トリグリセリドレベルおける変化率を計算するためのベースラインとして使用した。図7は、前記ボランティアから収集されたデータを示している。個人間の大きな変動と、この実験に含まれる個人の人数が少ないことから、その差は有意水準(p<0.08)には達しなかったものの、α−シクロデキストリンが食事に混合された時、それが混合されない時よりも、血清トリグリセリドレベルの予想増加が少ないことが注目される。
【0083】
図7は、更に、それより前の、より少ない食事での2時間の実験において前記ボランティアの三名からのデータ(・狽ナ示す)も含んでいる。この前の二時間の実験も、α−シクロデキストリンが食事に含まれる場合に、トリグリセリドレベルの変化が小さいということを示している。
【0084】
体重減作用:
高脂肪食に対して添加されるα−シクロデキストリンによって体重が減少するか否かを調べるために、α−シクロデキストリンを、試験対象体、即ち、50歳の男性のヒトボランティア、身長5フィート7インチ、初期体重267ポンド、の高脂肪食に添加した。α−シクロデキストリンは、前記対象体の食事に、対象体によって消費されることが推定される9グラムの脂肪毎に1グラムのα−シクロデキストリンの割合で添加された。図8は、200日間、約6ヶ月間の期間に亘る前記対象体の体重の変化を示している。6ヶ月間の内に、対象体の体重は32ポンド減少した。体重減に加えて、実験の最初の二週間以内に、対象体の高い血圧は、対象体が自分の処方されたβ遮断薬を1/3減少させざるを得なくなるところまで低下した。この期間中、彼の血中トリグリセリドレベルも分析したが、彼の血液血清トリグリセリドレベルは、最初の1ヶ月間以内に23%減少し、6ヶ月間の終わりには46%減少した。種々のパラメータに対するα−シクロデキストリンの作用を表2に示す。
【0085】
【表2】

【0086】
α−シクロデキストリンは、更に追加の二名のボランティアの食事にも添加された。α−シクロデキストリンは、各食事が約2gのα−シクロデキストリンを含む比率で添加された。表3は、コレステロールレベル、LDL、コレステロール/HDL比、および血清トリグリセリドの低下に対するα−シクロデキストリンの作用を示している。尚、これらのボランティアは、前記最初のボランティアと同様、彼らの血液血清コレステロールを低下させるために、まだスタチン薬剤の1つを服用し続けていた。三名のボランティア全員が、異なるスタチンを服用していた。更に、ボランティア“FK”は、3g/dのナイアシンを服用しており、彼は、この薬剤の不快な副作用から、実験の最初の2週間でそれを50%減少させた。
【0087】
【表3】

【0088】
例4: インスリンおよびレプチンレベル
例3の追加二名の対象体から、種々の時点で血液サンプルを採取し、それらのインスリンレベルとレプチンレベルを、ヒトインスリンおよびレプチンラジオイムノアッセイを使用したLinco Research (セント チャールズ、ミズリー州)の方法によって分析した。
【0089】
表4に示すこの分析の結果は、インスリンとレプチンのレベル低下が、体重の減少によって説明可能であるよりも大きなものであることを示している。
【0090】
【表4】

【0091】
例5
慢性の下痢を有する親子関係が未知である18ヶ月の去勢されたオスイヌを、二回駆虫し、下痢を調節するべく:低アレルギー性の餌を与えた。しかし、慢性下痢は緩和せず、イヌは二、三回、別々の時に、1〜2日間、食べるのを止めた。
【0092】
次に、前記イヌを、以下のようにα−シクロデキストリンによって治療した。イヌを、2.5週間、一日に二回、2カップの乾燥食に小さじ一杯(2.5g)のα−シクロデキストリンを混合させた餌を与えた。食事中の脂肪含有量に基づく、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率は約1:9であった。この期間中、イヌの慢性下痢は無くなった、但し、一日川で泳いだ後に軟便の急性発症があったが、その便はそれ以降、堅くなった。
【0093】
次に、イヌに、4日間、α−シクロデキストリンを含まない以外は同じ餌を与えた。イヌは、急速に食欲を失い、自ら自分の食事摂取量を約1/2制限し、草を食べ始め、草はイヌの便を結合させるのに役立った。下痢が戻った。
【0094】
その後、α−シクロデキストリン(5g)をイヌの餌に導入したところ、下痢は再び排除された。
【0095】
例6: 食品
本発明の食物中に組み込まれるα−シクロデキストリンの量は、食品に含まれる脂肪の量に基づく。以下、本発明に従って、α−シクロデキストリンが添加された様々な定型の脂肪含有食品を記載する。表5は、これらの食品の総重量、他の参考文献に記載されている製品との比較におけるこの例に記載される製品中のα−シクロデキストリン、脂肪、および炭水化物の量を示している。
【0096】
A.チョコレートチョコレートチップエスプレッソクッキー
260g ペストリー小麦粉
75g ココア粉末
3.8g ベーキング粉末
2.8g 塩
226g マーガリン
150g 砂糖
180ml 糖蜜又はブラウンシュガー
(165g)
28g α−シクロデキストリン
5g バニラエキス
22g エスプレッソ(室温)
2個 卵
115g チョコレートチップ
【0097】
小麦粉、ココア、ベーキング粉末と塩を混合し、次に、この混合物に、マーガリン、砂糖、糖蜜(又はブラウンシュガー)、α−シクロデキストリン、バニラ、およびエスプレッソを加えた。強くかき混ぜた卵を前記生地(batter)に攪拌しながら入れて、チョコレートチップを入れて混ぜ合わせた。前記生地の大さじサイズのかたまりを、油を引いたクッキーシート上に置き、その後、定型のオーブンで約15分間、又は、華氏375に予熱しておいた対流式オーブンで、10〜12分間、焼いた。調理したクッキーを、ワイヤラック上で冷ました。
【0098】
大半の盲検者は、焼かれたクッキーは、α−シクロデキストリンを添加せずに同じレシピで調理されたものと区別がつかないと言った。違いが判った人は、α−シクロデキストリンを含むものを、α−シクロデキストリンを含まないクッキーよりも、もっとリッチで、滑らかで、味が良く、しっとりとして口の中での食感が良好であるとして好んだ。
【0099】
B.ハニーオートミールクッキー
42g バター
110g ブラウンシュガー
85g 蜂蜜
1個 卵
15g 水
58g 小麦粉
2.5g 塩
0.75g 重曹
81g ロールドオーツ
4g α−シクロデキストリン
【0100】
ミキサー、好ましくはパドルアタッチメント付き、で、湿性成分、バター、ブラウンシュガー、蜂蜜、卵、水を混合した。ロールドオーツを除く残りの乾燥成分をボウルに篩い入れた。次に、これらの乾燥成分にロールドオーツを加えた。その後、湿性成分と乾燥成分とを混合し、その生地のアリコットを、油を引いたクッキーシート上に置き、華氏375に予熱しておいた定型のオーブンで、10〜12分間、又は対流式オーブンで8〜10分間焼いた。調理したクッキーを、ワイヤラック上で冷ました。
【0101】
大半の盲検者は、焼かれたクッキーは、α−シクロデキストリンを添加せずに同じレシピで調理されたものと区別がつかないと言った。違いが判った人は、α−シクロデキストリンを含むものを、α−シクロデキストリンを含まないクッキーよりも、もっとリッチで、滑らかで、味が良く、しっとりとして口の中での食感が良好であるとして好んだ。
【0102】
C.五層バー
69g コーンフレーク粉
100g 砂糖
113g バター又はマーガリン
115g チョコレートチップ
115g バタースコッチチップ
124g ココナッツフレーク
63g ナッツ小片
1缶 (14oz,400g)加糖コンデンスミルク
36g α−シクロデキストリン
【0103】
コーンフレーク粉、砂糖、溶かしたバター、そして18gのα−シクロデキストリンを、13x9x2インチのパン焼き用のパン(baking pan)内で混合し、攪拌した。この混合物をパンの底で均等にかつしっかりとプレスしてクラストを形成した。
【0104】
前記クラスト上に、チョコレートチップ、バタースコッチチップ、ココナッツ、ナッツ小片を、均等にクラスト上の複数の層に広げ、18gのα−シクロデキストリンを混合した14oz(400g)の加糖コンデンスミルクを前記5つの層の上に均等に注ぎ、その後、華氏350度で23分間、又は、縁の周りが軽くこげるまで焼いた。この製品を完全に冷やして、24の片にカットした。
【0105】
大半の盲検者は、焼かれたバーは、α−シクロデキストリンを添加せずに同じレシピで調理されたものと区別がつかないと言った。違いが判った人は、α−シクロデキストリンを含むものを、α−シクロデキストリンを含まないバーよりも、もっとリッチで、滑らかで、味が良く、しっとりとして口の中での食感が良好であるとして好んだ。尚、前記加糖コンデンスミルクは、α−シクロデキストリンとの混合された時、すぐに大きな変化を受ける。通常、加糖コンデンスミルクは、非常に濃くて、注ぐのが困難であり、魅力のないオフホワイト色である。α−シクロデキストリンと混合されると、それは、はるかに滑らかでより流動的になるばかりか、その外観は非常に明るい白色になる。
【0106】
D.チーズ入りマカロニ
98g バター
29g 小麦粉
484g ハーフアンドハーフクリーム
4g 塩
0.53g 挽き白コショー
6g チリソース
106g おろしパルメザンチーズ
57g おろしチェダーチーズ
50g おろしフォンティーナチーズ
50g おろしグルイエルチーズ
450g マカロニ
3g 刻みにんにく
25g 生パン粉
3g 調味料
33g α−シクロデキストリン
小匙1/2 調味料
33g α−シクロデキストリン
【0107】
29gの小麦粉と33gのα−シクロデキストリンとを56gの溶かしたバターに加え、3分間調理した。ハーフアンドハーフを溶かしたバターと小麦粉との混合物にゆっくりと加え、その後、約4−5分間、どろどろになるまでかき混ぜながら調理した。この混合物を熱源から取り外し、この混合物に、塩、コショー、ホットソース、およびおろしパルメザンの半分を添加し、チーズが溶けるまで攪拌した。
【0108】
マカロニを沸騰水中で調理し、調理されたマカロニをバターと刻みにんにくと合わせた。前記チーズ混合物をこのマカロニに加えた。その残りのチーズを混合し、マカロニ混合物に加え、パン粉をマカロニとチーズ上に層状にふりかけ、40〜45分間焼いた。
【0109】
盲検者は、α−シクロデキストリンを加えて作った食物のほうがα−シクロデキストリン無しで作った同じ食物よりもクリーミーでしっとりしているといった。
【0110】
【表5】

【0111】
体重増加、肥満と、種々の疾患、例えば、糖尿病、インスリン耐性、心臓血管系疾患、血中脂質レベル上昇、睡眠無呼吸、関節炎、ある種のガン、および死亡率の上昇、との間には明白な関係が存在する(ソロモン(Solomon)およびマンソン(Manson),“Obesity and mortality: a review of the epidemiological data(肥満と死亡率: 疫学データのレビュー)”Am J Clin Nutr 1997; 66:1044S-1050S)。肥満関連疾患のヘルスケアと生産性コストの喪失は、2000年において1170億ドルに達した(Overweight and obesity: At a glance. Office of the Surgeon General, 2001)。肥満指数(BMI)の変化が糖尿病の発症に先立つことが報告されており(レスニック(Resnick)他,“Relation of weight gain and weight loss on subsequent diabetes risk in overweight adults(太った大人における糖尿病のリスクにおける体重増加と体重減少の関係)”J Epidemiol Community Health 2000; 54:596-602)、体重が1kg増加する毎に、糖尿病の有症率が9%増加する(モクダッド(Mokdad)他“Diabetes trends in the U.S.: 1990-1998.(アメリカ合衆国における糖尿病の傾向)”Diabetes Care 2000; 23:1278-1283)。II型糖尿病は、過剰な体重に関連しているが、肥満において観察されるその他の代謝異常がII型糖尿病の発症に寄与しているかもしれない。肥満した個人は、高脂血症、高インスリン血症、およびインスリン耐性の傾向があり、これらすべてが、II型糖尿病になるリスクを増加させることが示されている(キッセバー(Kissebah)他 Health risks of obesity. Med ClinNorth Am 1989; 73:111-138; クライスバーグ(Kreisberg)他,Insulin secretion in obesity. N Engl J Med 1967; 276:314-319、およびオレフスキー,ジェイ(Olefsky J.)Insulin resistance and insulin action: an in vitro and in vivo perspective. Diabetes 1981: 30:148-162)。従って、これらの異常のいずれかの重症度を軽減することは、II型糖尿病を発症するリスクを減らすことにもなる。本発明の製品は、消費者に望まれる官能性を有するのみならず、体重減およびその他の健康上の利益を促進する。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、食物脂肪複合化剤を含む組成物およびそれらの利用法を提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象体の高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールのレベルを増加させるための組成物であって、前記組成物は、前記対象体のHDLレベルを増加させるのに十分な量のα−シクロデキストリンを含む、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールのレベルを増加させるための組成物。
【請求項2】
前記対象体に、脂肪含有食と共に与えられ、前記α−シクロデキストリンを一食当たり165mg〜11g与える量で含む請求項1の組成物。
【請求項3】
前記対象体が、一日に100gの脂肪を消費する場合に用いられる請求項1の組成物。
【請求項4】
前記α−シクロデキストリンを、前記対象体によって一日に摂取される脂肪の1:20〜1:3の比率となる量で含む請求項1の組成物。
【請求項5】
前記対象体の総コレステロールレベルを増加させるものではない請求項1の組成物。
【請求項6】
タブレット、粉末、カプセル、液体および糖菓から成るグループから選択される形態である請求項1の組成物。
【請求項7】
前記対象体に、α−シクロデキストリンと脂肪とを含む消費可能デンプン質食品であって、前記食品は、前記食品の1:20w/w〜:3w/wの脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有し、前記食品は、%w/w以下の総シクロデキストリンを含む消費可能デンプン質食品の形態として与えるために使用される請求項1の組成物。
【請求項8】
高密度リポタンパク質(HDL)を増加させるため、前記α−シクロデキストリンを、それを必要とする前記対象体に一日当たり500mg〜33g与える量で含む請求項4の組成物。
【請求項9】
対象体のコレステロール/HDL比を低減させるための組成物であって、前記組成物は、前記対象体に与えられるα−シクロデキストリン量と前記対象体によって一日に摂取される脂肪が、1:20〜1:3w/wの比率となる量のα−シクロデキストリンを含む、対象体のコレステロール/HDL比を低減させるための組成物。
【請求項10】
タブレット、粉末、カプセル、液体および糖菓から成るグループから選択される形態である請求項9の組成物。
【請求項11】
前記対象体に、α−シクロデキストリンと脂肪とを含む消費可能デンプン質食品であって、前記食品は、前記食品の1:20w/w〜:3w/wの脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有し、前記食品は、%w/w以下の総シクロデキストリンを含む消費可能デンプン質食品の形態として与えるために使用される請求項9の組成物。
【請求項12】
コレステロール/ HDL比を低減させるために、前記α−シクロデキストリンを、それを必要とする前記対象体に一日当たり500mg〜33g与える量で含む請求項9の組成物。
【請求項13】
それを必要とする対象体の体重減を促進するための組成物であって、前記組成物は、前記対象体に与えられるα−シクロデキストリン量と前記対象体によって吸収が阻止されることを望む摂取脂肪の量が、1:20〜1:3w/wの比率となる量のα−シクロデキストリンを含む、対象体の体重減を促進するための組成物。
【請求項14】
前記対象体が、カロリー含有率で少なくとも30%の脂肪を含む一日の食事を消費する場合に使用される請求項13の組成物。
【請求項15】
タブレット、粉末、カプセル、液体および糖菓から成るグループから選択される形態である請求項13の組成物。
【請求項16】
前記対象体に、α−シクロデキストリンと脂肪とを含む消費可能デンプン質食品であって、前記食品は、前記食品の1:20w/w〜:3w/wの脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有し、前記食品は、%w/w以下の総シクロデキストリンを含む消費可能デンプン質食品の形態として与えるために使用される請求項13の組成物。
【請求項17】
体重減を促進するため、前記α−シクロデキストリンを、それを必要とする前記対象体に一日当たり500mg〜33g与える量で含む請求項13の組成物。
【請求項18】
対象体のトリグリセリドレベルを低減させるための組成物であって、前記組成物は、前記対象体に与えられるα−シクロデキストリン量と前記対象体よって一日に摂取される脂肪が、1:20〜1:3w/wの比率となる量のα−シクロデキストリンを含む、対象体のトリグリセリドレベルを低減させるための組成物。
【請求項19】
タブレット、粉末、カプセル、液体および糖菓から成るグループから選択される形態である請求項18の組成物。
【請求項20】
前記対象体に、α−シクロデキストリンと脂肪とを含む消費可能デンプン質食品であって、前記食品は、前記食品の1:20w/w〜:3w/wの脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有し、前記食品は、%w/w以下の総シクロデキストリンを含む消費可能デンプン質食品の形態として与えるために使用される請求項19の組成物。
【請求項21】
前記α−シクロデキストリンを、それを必要とする前記対象体に一日当たり500mg〜33g与える量で含む請求項18の組成物。
【請求項22】
対象体のレプチンレベル、インスリンレベル又はインスリン耐性を低減させるための組成物であって、前記組成物は、それを必要とする前記対象体のレプチンレベル、インスリンレベル又はインスリン耐性を低減させるのに十分な量のα−シクロデキストリンを含む、レプチンレベル、インスリンレベル又はインスリン耐性を低減させるための組成物。
【請求項23】
前記対象体に与えられるα−シクロデキストリン量と前記対象体によって一日に摂取される脂肪が、1:20〜1:3w/wの比率となる量のα−シクロデキストリンを含む請求項22の組成物。
【請求項24】
タブレット、粉末、カプセル、液体、および糖菓から成るグループから選択される形態である請求項22の組成物。
【請求項25】
前記対象体に、α−シクロデキストリンと脂肪とを含む消費可能デンプン質食品であって、前記食品は、前記食品の1:20w/w〜:3w/wの脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有し、前記食品は、%w/w以下の総シクロデキストリンを含む消費可能デンプン質食品の形態として与えるために使用される請求項22の組成物。
【請求項26】
前記α−シクロデキストリンを、それを必要とする前記対象体に一日当たり500mg〜33g与える量で含む請求項22の組成物。
【請求項27】
前記対象体に、α−シクロデキストリンと脂肪との複合体を含む消費可能非デンプン質食品であって、前記非デンプン質食品は、前記食品の1:20w/w〜1:3w/wの、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有し、3%w/w以下の総シクロデキストリンを含む消費可能非デンプン質食品の形態として与えるために使用される請求項1の組成物。
【請求項28】
前記対象体に、α−シクロデキストリンと脂肪との複合体を含む消費可能非デンプン質食品であって、前記非デンプン質食品は、前記食品の1:20w/w〜1:3w/wの、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有し、3%w/w以下の総シクロデキストリンを含む消費可能非デンプン質食品の形態として与えるために使用される請求項9の組成物。
【請求項29】
前記対象体に、α−シクロデキストリンと脂肪との複合体を含む消費可能非デンプン質食品であって、前記非デンプン質食品は、前記食品の1:20w/w〜1:3w/wの、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有し、3%w/w以下の総シクロデキストリンを含む消費可能非デンプン質食品の形態として与えるために使用される請求項13の組成物。
【請求項30】
前記対象体に、α−シクロデキストリンと脂肪との複合体を含む消費可能非デンプン質食品であって、前記非デンプン質食品は、前記食品の1:20w/w〜1:3w/wの、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有し、3%w/w以下の総シクロデキストリンを含む消費可能非デンプン質の形態として与えるために使用される請求項18の組成物。
【請求項31】
前記対象体に、 α−シクロデキストリンと脂肪との複合体を含む消費可能非デンプン質食品であって、前記非デンプン質食品は、前記食品の1:20w/w〜1:3w/wの、脂肪に対するα−シクロデキストリンの比率を有し、3%w/w以下の総シクロデキストリンを含む消費可能非デンプン質食品の形態として与えるために使用される請求項22の組成物。
【請求項32】
前記消費可能食品が、40%〜70%脂肪w/w/又はカロリーを含む請求項31の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【公開番号】特開2009−298820(P2009−298820A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225737(P2009−225737)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【分割の表示】特願2004−529193(P2004−529193)の分割
【原出願日】平成15年7月29日(2003.7.29)
【出願人】(505037741)アート・ジェン・コンプレクサス・インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】