説明

食用廃油からバイオ燃料を生産するバイオ燃料生産方法およびバイオ燃料生産装置、ならびに混合燃料生産装置。

【課題】安価で且つ低いランニングコストで食用廃油からバイオ燃料を生産することができるバイオ燃料生産装置を提供する。
【解決手段】バイオ燃料生産装置1,1Aは、食用廃油を貯留して処理する廃油処理タンク10で不要物の除去処理をした食用廃油からフィルター手段20が夾雑物の微粒子を除去してバイオ燃料とするものであり、廃油処理タンク10では、上部に設けられた注入口11から注入された食用廃油をストレーナー13が受けて夾雑物等を取り除き、静置して底部17に溜まった水と沈殿物を底部17に設けられた沈殿物排出口18から排出し、残った食用廃油を撹拌手段14で撹拌しながら加熱手段15で加熱して、油分から分離させた水蒸気を水蒸気排出口12から排気し、処理済みの食用廃油を食用廃油送出口16からフィルター手段20に送出して夾雑物の微粒子を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用廃油からバイオ燃料を生産するバイオ燃料生産方法およびバイオ燃料生産装置、さらに、生産されたバイオ燃料とA重油とを混合して混合燃料を生産する混合燃料生産装置に関する。
【背景技術】
【0002】
省資源、リサイクル等が叫ばれるようになって久しいが、現在、外食産業、食品製造業、家庭等より排出される食用廃油は、年間、約60万トンと推定される。この食用廃油の内、レストランやホテル等から回収業者によって回収される量はおよそ25万トンであり、軽油代替燃料としてバイオディーゼル燃料として利用されるものは約1万トンである。
【0003】
そして、残りの約34万トンの大部分が燃えるゴミとして処分されている。すなわち、食用廃油の多くが無駄になっている。その中で、有効利用として食用廃油を原料にバイオディーゼル燃料を生産することが行われているが、バイオディーゼル燃料の原料に使用されている割合は食用廃油全体の2%にも満たない。この割合を大きくすることは、資源の有効利用によって省資源化と地球温暖化防止とに大きく貢献することになる。
【0004】
しかしながら、食用廃油は、脂肪酸とグリセリンが結合している。このため、この結合をアルカリ触媒である苛性ソーダなどとメタノールでエステル交換反応させている。これにより、バイオディーゼル燃料は脂肪酸とメタノールが結合した物質となり、グリセリンは苛性ソーダと結合してグリセリン残滓としての副産物が発生する。グリセリンは石鹸にするか堆肥として利用されるが、大量に排出されるため廃棄されている。
【0005】
従来の技術の一例として食用廃油をバイオディーゼル燃料等の生産に利用するものには、例えば特許文献1に開示されているようなものがある。すなわち、廃食用油をメタノールとエステル交換反応を行い、ディーゼル燃料を分離した後、その副産物から、メタノールを分離蒸留回収し、精製したグリセリンを分離し、さらにその残部について、高級脂肪酸を再度メタノールとエステル化反応および中和反応を行わせ、重油バーナー燃料として有効な副産物を分離精製しようとする方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3028282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の技術では、前記したように副産物としてグリセリン廃棄物が発生するのでその処理が必要であり、また、メタノールを使用するので生産設備が複雑になり、高価な生産設備となるという問題点があった。また、グリセリンの分離は、例えば100リットルの食用廃油から約20〜30リットルが分離されるため、分離したグリセリンの処分もさることながら、グリセリンを分離した後の油分の収率が大幅に減ることも業界では問題になっている。
【0008】
さらに、バイオディーゼル燃料は、石油系溶剤を化学反応させるため危険物第3石油類に該当して、工業専用地域での生産しか認められていない。このため、高価な生産設備となる以外に消防法、建築基準法、下水道法、労働安全衛生法、廃棄物処理法、品質確認などの規制にかかる上、食用廃油の回収コストなどを合わせると食用廃油からバイオディーゼル燃料を生産するためには膨大な設備と投資が必要となるという問題点がある。
【0009】
また、バイオディーゼル燃料は、軽油に混合して利用した場合、1リットルにつき32円10銭の石油税がかかるので、市場の軽油価格と比較してバイオディーゼル燃料の生産は、費用対効果が悪い。さらに、1リットルを38円のコストを掛けて生産しても石油税を加算すると設備の原価償却もできないため、民間では事業として成り立たせることが極めて困難であるという現実がある。
【0010】
また、バイオディーゼル燃料100%で利用する場合は、食用廃油の膨潤効果によるガスケット、パッキン、Oリング、ホースなどが劣化するため、バイオディーゼル燃料に接触する燃料系は全てシリコン系に取り替える必要性が有る。また、エンジンオイルがバイオディーゼル燃料で薄まり、エンジンが焼付きを起こし易くなるため1ヶ月に一度という頻繁なオイル交換が必要であるという問題点がある。
【0011】
このように、バイオディーゼル燃料の生産に係る課題は多く、したがって現状では食用廃油からバイオディーゼル燃料を生産して食用廃油の有効利用度を高めることは困難である。
【0012】
本発明は、このような従来の技術が有する問題点に着目してなされたもので、バイオディーゼル燃料ではないバイオ燃料を食用廃油から安価で且つ低いランニングコストで生産することができるバイオ燃料生産装置およびバイオ燃料生産方法ならびに、生産したバイオ燃料にA重油を混合して混合燃料を生産する混合燃料生産装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
[1] 食用廃油からバイオ燃料を生産するバイオ燃料生産装置(1,1A)であって、
食用廃油を貯留して処理する廃油処理タンク(10)と、該廃油処理タンク(10)で処理した食用廃油から夾雑物を除去してバイオ燃料とするフィルター手段(20)とを備え、
前記廃油処理タンク(10)は、上部に設けられた食用廃油の注入口(11)と、該注入口(11)から注入された食用廃油を受けて固形物を取り除くストレーナー(13)と、前記廃油処理タンク(10)内部の食用廃油を加熱する加熱手段(15)と、前記廃油処理タンク(10)内部の食用廃油を撹拌する撹拌手段(14)と、前記廃油処理タンク(10)の上部に設けられた水蒸気排出口(12)と、底部(17)に設けられ、底部(17)に溜まった水と沈殿物を外部に排出するための沈殿物排出口(18)と、下部に設けられた、処理済みの食用廃油を前記フィルター手段(20)に送出する食用廃油送出口(16)と、を有し、
前記廃油処理タンク(10)内部の食用廃油を静置して前記廃油処理タンク(10)の底部(17)に溜まった水と沈殿物を前記沈殿物排出口(18)から排出し、残った食用廃油を前記加熱手段(15)によって加熱して流動性を向上させるとともに前記撹拌手段(14)によって撹拌して水分を蒸発させ、該蒸発した水分を前記水蒸気排出口(12)から排出してから、食用廃油を前記食用廃油送出口(16)から前記フィルター手段(20)に通して夾雑物の微粒子を除去してバイオ燃料とするバイオ燃料生産装置(1,1A)。
【0014】
[2] 前記フィルター手段(20)に通して夾雑物の微粒子を除去されたバイオ燃料を貯蔵するバイオ燃料タンク(30A)と、該バイオ燃料タンク(30A)からのバイオ燃料に引火点向上剤を添加する引火点向上剤添加部(50)と、前記引火点向上剤が添加されたバイオ燃料を貯蔵する貯蔵タンク(60)と、を備え、
前記引火点向上剤添加部(50)は、前記バイオ燃料タンク(30A)からのバイオ燃料を加熱する加熱手段(52)と、該加熱手段(52)によって加熱されたバイオ燃料に添加する引火点向上剤が貯留される引火点向上剤タンク(51)と、前記加熱手段(52)によって加熱されたバイオ燃料に前記引火点向上剤タンク(51)からの引火点向上剤が添加される添加部(53)とから成り、
前記貯蔵タンク(60)は、貯蔵したバイオ燃料を加熱する加熱手段(62)と、貯蔵したバイオ燃料を撹拌する撹拌手段(61)と、を有することを特徴とする項[1]に記載のバイオ燃料生産装置(1A)。
【0015】
[3] 食用廃油から生産したバイオ燃料とA重油との混合燃料を生産する混合燃料生産装置(2)であって、
[2]に記載のバイオ燃料生産装置(1)と、該バイオ燃料生産装置(1)の前記フィルター手段(20)に通して夾雑物の微粒子を除去されたバイオ燃料を貯蔵するバイオ燃料タンク(30A)と、A重油を貯留するA重油タンクと、前記バイオ燃料と前記A重油とを混合する混合部(71)と、該混合部(71)で混合された混合燃料を貯蔵する混合燃料貯蔵タンク(90)と、を備え、
前記混合燃料貯蔵タンク(90)は、貯蔵した混合燃料を加熱する加熱手段(92)と、貯蔵した混合燃料を撹拌する撹拌手段(91)と、を有する混合燃料生産装置(2)。
【0016】
[4] 食用廃油からバイオ燃料を生産するバイオ燃料生産方法であって、
食用廃油をストレーナー(13)を介して夾雑物を除去しながら廃油処理タンク(10)に注入し、
前記廃油処理タンク(10)に貯留した食用廃油を所定時間静置して前記廃油処理タンク(10)の底に溜まった水と沈殿物を前記廃油処理タンク(10)の底に設けた沈殿物排出口(18)から排出させ、
その後、前記廃油処理タンク(10)に残った食用廃油を加熱するとともに撹拌して食用廃油の流動性を向上させるとともに水分を蒸発させて油水を分離してから、前記廃油処理タンク(10)から前記廃油処理タンク(10)の外部に設けたフィルター手段(20)に通して夾雑物の微粒子を除去してバイオ燃料とするバイオ燃料生産方法。
【0017】
前記本発明は次のように作用する。
食用廃油は、大きな流れでいうと、廃油処理タンク(10)で処理されてからフィルター手段(20)に送り出され、フィルター手段(20)によって夾雑物の微粒子を除去されてバイオ燃料となる。
【0018】
食用廃油は、廃油処理タンク(10)の上部に穿設された注入口(11)から内部に注入される。注入された食用廃油は、注入口(11)の廃油処理タンク(10)内側に設けられたストレーナー(13)を通る際に、大きな夾雑物や混入した異物等の固形物が取り除かれる。このストレーナー(13)は、1mm目程度の大きさのものである。
【0019】
夾雑物や異物等が除去されて廃油処理タンク(10)に貯留された食用廃油は、所定時間を静置しておくと廃油処理タンク(10)の底に油分と分離した水と沈殿物が溜まるので、廃油処理タンク(10)の底に設けた沈殿物排出口(18)からこれらを排出させる。これにより、ストレーナー(13)で除去できなかった夾雑物や異物等の固形物や水分を排除することができる。
【0020】
次に、食用廃油は、加熱手段(15)によって加熱されるとともに撹拌手段(14)によって撹拌される。これにより、食用廃油の流動性が向上するとともに油中に残留していた水分が蒸発する。蒸発した水分は、廃油処理タンク(10)の上部に設けられた水蒸気排出口(12)から廃油処理タンク(10)の外部に放出される。これにより、廃油分から水分をより一層に排除することができる。
【0021】
このようにして、食用廃油から水分と夾雑物や異物等を除去したものを廃油処理タンク(10)の外部に設けたフィルター手段(20)に通す。これにより、食用廃油中に残留している夾雑物の微粒子と水分を除去する。フィルターは、例えば1μmの大きさの微粒子を除去することができるようなものである。このようにしてバイオ燃料を生産することができる。
【0022】
このようにして生産したバイオ燃料は、成分が食用廃油なので、前記の段落0007で説明したような法規制がかからず、バイオ燃料タンク(30)に貯蔵して通常の食用油と同様に扱うことができる。
【0023】
また、生産したバイオ燃料をバイオ燃料タンク(30A)に貯蔵し、該バイオ燃料タンク(30A)から流されてくるバイオ燃料を加熱して、該加熱したバイオ燃料に引火点向上剤タンク(51)からの引火点向上剤を引火点向上剤添加部(50)で添加したものを貯蔵タンク(60)に貯蔵しても良い。貯蔵タンク(60)に貯蔵されたバイオ燃料は、必要に応じて加熱手段(62)によって加熱したり、撹拌手段(61)によって撹拌したりすることができる。
【0024】
また、生産したバイオ燃料をバイオ燃料タンク(30A)に貯蔵し、該バイオ燃料タンク(30A)から流されてくるバイオ燃料をA重油タンク(70)から流されてくるA重油に混合部(71)で混合して混合燃料として混合燃料貯蔵タンク(90)に貯蔵するようにしても良い。混合燃料貯蔵タンク(90)に貯蔵されたバイオ燃料は、必要に応じて加熱手段(92)によって加熱したり、撹拌手段(91)によって撹拌したりすることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかるバイオ燃料生産装置によれば、装置自体は、安価に製造でき且つランニングコストも低い上に、生産したバイオ燃料は消防法等の法規制に掛からないため、取り扱いが容易であり、食用廃油の有効利用を促進することができる。
【0026】
また、バイオ燃料に引火点向上剤を添加することによって消防法や建築基準法等の法規制に掛かるものの場合でも、装置自体は、安価に製造でき且つランニングコストも低く、食用廃油の有効利用を促進することができる。
【0027】
さらに、バイオ燃料をA重油に添加する混合燃料生産装置であっても、装置自体は、安価に製造でき且つランニングコストも低く、例えば1リットルの生産コストを2円未満にすることができるので、食用廃油の有効利用を促進することができ、また、バイオ燃料とA重油との比を7:3程度にしても燃料として十分の実用性があるので、ボイラー、焼却炉、乾燥機、発電機などの燃料として広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置を示すブロック図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置を示すブロック図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る混合燃料生産装置を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面に基づき本発明の好適な各種の実施の形態を説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置を示すブロック図である。
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置1は、食用廃油からバイオ燃料を生産するものであり、食用廃油を貯留して処理する廃油処理タンク10と、該廃油処理タンク10で処理した食用廃油から夾雑物の微粒子を除去してバイオ燃料とするフィルター手段20とから成り、さらに、生産されたバイオ燃料を貯蔵するためのバイオ燃料タンク30が配設されている。
【0030】
廃油処理タンク10は、天井部を形成する上部に食用廃油の注入口11と、廃油処理タンク10の内部から水蒸気を排出するための水蒸気排出口12とがそれぞれ穿設されている。注入口11には、開閉可能な蓋11aが取り付けられている。水蒸気排出口12にも不図示の開閉可能な蓋が取り付けられている。
【0031】
注入口11から廃油処理タンク10の内部に入った所には、注入された食用廃油を受けるストレーナー13が着脱可能に装着されている。注入口11から注入された食用廃油は、全てこのストレーナー13を通過してから廃油処理タンク10の内部に貯留される。ストレーナー13は、1mm以上の大きさの夾雑物や異物などの廃油内固形物を取り除くためのものであり、1mm目のメッシュ状のものである。この目の大きさは、単に例示した数値であり、1mmに限定されるものではない。
【0032】
また、天井部には、廃油処理タンク10内に貯留される食用廃油の量を計測するためのレベル計LSと、モータMから延びる回転軸の下端に設けたブレードBをモータMの駆動力で回転させて、貯留した食用廃油を撹拌する撹拌手段14とが配設されている。
【0033】
廃油処理タンク10内部の下部には貯留した食用廃油を加熱するための加熱手段としてシーズーヒーター15が配設されている。このシーズーヒーター15よりも下方で、廃油処理タンク10の底部17に近い側壁には、廃油処理タンク10内で処理された食用廃油をフィルター手段20に送出する食用廃油送出口16が貫通している。
【0034】
廃油処理タンク10の底部17は傾斜している。その傾斜は、食用廃油送出口16が穿設されている付近から略反対側に向かって低くなっている。この底部17の最も低くなっている所の近傍には、底部17に沈殿した水と沈殿物を外部に排出するために底部17を貫通する小さい沈殿物排出口18が穿設されている。この沈殿物排出口18に接続された排出管にはバルブV1が設けられており、このバルブV1の操作によって沈殿物排出口18からの沈殿物の排出可否を操作することができる。このバルブV1は手動バルブで良いが電動バルブであっても良い。廃油処理タンク10の外部には、保温材19が全面的に施工されている。これは、シーズーヒーター15によって加熱された食用廃油から熱が放散してしまうことを防ぐためのものである。
【0035】
食用廃油送出口16に接続された送出管は、ポンプP1に接続されており、該ポンプP1と食用廃油送出口16との間にはバルブV2が介装されている。このバルブV2は電動バルブが好ましい。ポンプP1は、フィルター手段20に連通している。
【0036】
フィルター手段20は、ポンプP1から送られて来る食用廃油を流すための同一構成の2系統に分岐した配管を備えている。一方の配管には電動バルブV3が設けられており、その下流にはフィルター21が設けられている。このフィルター21は、1μm程度の大きさの夾雑物の微粒子を除去することができるものである。なお、1μmという大きさは例示であり、これに限られるものではない。このフィルター21の下流には、電動バルブV4が設けられている。
【0037】
フィルター21が設けられているメイン配管210からは、電動バルブV3とフィルター21との間でバイパス211が分岐している。このバイパス211には、微圧計22が設けられている。バイパス211は、メイン配管210のフィルター21と電動バルブV4との間でメイン配管210に合流している。微圧計22は、メイン配管210を流れる食用廃油の圧力を計測するものであり、フィルター21の上流側と下流側との圧力差を計測するものである。
【0038】
このように構成された配管と同様に構成されたもう一方の配管では、メイン配管220が前記配管のメイン配管210に相当し、バイパス221がバイパス211に相当する。また、電動バルブV5が前記配管の電動バルブV3に相当し、フィルター23がフィルター21に相当し、微圧計24が微圧計22に相当し、電動バルブV6が電動バルブV4に相当する。
【0039】
このように構成されるフィルター手段20は、一方の配管を通して食用廃油を流すものであり、同時に双方の配管を通して食用廃油を流すことはない。例えば、メイン配管210側を通して食用廃油を流しているときはメイン配管220側には食用廃油を流さない。そして、メイン配管210のフィルター21に食用廃油中の夾雑物の微粒子固形分が吸着されて飽和状態になると、食用廃油をメイン配管210には流さずにメイン配管220側に流すようになっている。
【0040】
すなわち、フィルター21の上流側と下流側とでメイン配管210を流れる食用廃油の圧力差を計測することによってフィルター21に吸着している夾雑物の微粒子固形分の状態が分かるので、その状態が飽和状態を示す圧力差、あるいは予め設定したフィルター21を交換すべき状態となったときの圧力差となったときに、自動的に電動バルブV3と電動バルブV4とを閉じるとともにメイン配管220側の電動バルブV5と電動バルブV6とを開いて食用廃油がメイン配管220側を流れるようになっている。これにより、バイオ燃料の生産を中断することなく継続させることができる。
【0041】
なお、この説明は例示であり、先にメイン配管220に食用廃油を流し、メイン配管220側のフィルター23が飽和状態あるいは交換すべき状態となったときに食用廃油をメイン配管210側に流すように切り換えてもよい。このように、一方のフィルターが飽和状態あるいは交換すべき状態となったときに、それを報知するための警報音を発したり、警報ランプが点灯するようにしたりしておくことにより、迅速なフィルター交換ができるようにすることができる。
【0042】
このように、バイオ燃料生産装置1では、最後にフィルター手段20によって夾雑物の微粒子固形分を除去することにより、バイオ燃料を生産することができる。フィルター手段20の下流の配管には電動バルブV7が設けられており、電動バルブV7の下流にはバイオ燃料を貯蔵するバイオ燃料タンク30が設けられている。
【0043】
バイオ燃料タンク30には、廃油処理タンク10の撹拌手段14と同様の撹拌手段31が設けられている。この撹拌手段31は、バイオ燃料タンク30にバイオ燃料が貯蔵されている間、駆動が継続される。
【0044】
また、バイオ燃料タンク30には、貯蔵したバイオ燃料をタンクローリーに移すためのタンクローリー用排出口32がバイオ燃料タンク30の天井部に設けられており、バイオ燃料を取り出して使用するための取出し口33が傾斜した底部の最下部に設けられている。取出し口33に接続された配管には、手動バルブV8が設けられている。
【0045】
電動バルブV7とバイオ燃料タンク30との間には、酸化防止剤を貯留する酸化防止剤タンク40からの配管が合流している。この配管には、酸化防止剤タンク40内の酸化防止剤を送り出してバイオ燃料に添加するためのポンプP2が配設されている。なお、バイオ燃料への酸化防止剤の添加は必ずしも必要ではないので、酸化防止剤タンク40およびポンプP2は省略することもできる。
【0046】
次に、第1の実施の形態にかかるバイオ燃料生産装置1の作用を説明する。
食用廃油は、先ず、廃油処理タンク10で処理され、その後にフィルター手段20のフィルター21によって食用廃油中の夾雑物の微粒固形分が除去されてバイオ燃料となる。
【0047】
食用廃油は、廃油処理タンク10の上部に穿設された注入口11から注入する。注入された食用廃油は、廃油処理タンク10内側に設けられたストレーナー13を通る際に略1mmよりも大きい夾雑物や異物等の廃油内固形分が取り除かれる。
【0048】
廃油処理タンク10に貯留される食用廃油は、所定量が貯留される。貯留された食用廃油の量はレベル計LSによって判断される。
【0049】
注入された食用廃油は、所定時間を静置しておく。所定時間とは、例えば30分程度である。これにより、食用廃油に残存している水分や1mm以下の夾雑物等の固形分が底部17に沈殿して、これらを油分から自然分離させることができる。沈殿した水分と固形分とは、バルブV1を開くことによって廃油処理タンク10の底に設けた沈殿物排出口18から廃油処理タンク10の外部に排出させる。これにより、食用廃油から異物等の固形分と水分とを取り除くことができる。
【0050】
次に、シーズーヒーター15によって食用廃油を110℃〜120℃程度となるように加熱するとともに撹拌手段14によって撹拌する。これにより、食用廃油の流動性を向上させるとともに食用廃油に混合して残存している水分を蒸発させることができる。廃油処理タンク10は、その外部を保温材19によって全面的に覆われているので、110℃〜120℃程度に加熱された食用廃油は、長時間にわたって保温される。
【0051】
加熱によって食用廃油から蒸発して分離した水分は、廃油処理タンク10の上部に設けられた水蒸気排出口12から廃油処理タンク10の外部に放出される。なお、食用廃油から分離した水分には臭気が有るので、水蒸気排出口12から排出する水蒸気に脱臭処理を施してもよい。脱臭処理には、水蒸気を加熱して臭気成分を分解する方法や、その他、活性炭を通して臭気成分を吸着させる方法等の一般的な脱臭技術を使用すればよい。
【0052】
以上のようにして廃油処理タンク10内での主たる処理は終了する。次に食用廃油はフィルター手段20へ送られる。この際、前記のようにシーズーヒーター15によって加熱された食用廃油は、A重油に近い流動性を持っている。この状態で、バルブV2が開かれてポンプP1が駆動すると、廃油処理タンク10内の食用廃油は、食用廃油送出口16から排出されてバルブV2およびポンプP1を介してフィルター手段20に送られる。
【0053】
フィルター手段20は、電動バルブV3と電動バルブV4が開いており、電動バルブV5と電動バルブV6が閉じている。また、電動バルブ7はメンテナンス時以外は開いているので、食用廃油はメイン配管210を流れ、フィルター21によって夾雑物の微粒子固形分が除去される。除去される微粒子固形分は1μm以上の大きさのものである。メイン配管210を流れる食用廃油は、フィルター21の上流側と下流側との圧力差が微圧計22によって計測されており、フィルター21に微粒子固形分が吸着して飽和状態になると、電動バルブV3と電動バルブV4が閉じて、電動バルブV5と電動バルブV6が開く。これにより、食用廃油は、フィルター手段20による微粒子固形分の除去が中断されることなく、メイン配管220を流れてフィルター23によって微粒子固形分が除去されたバイオ燃料となる。
【0054】
バイオ燃料は、フィルター手段20よりも下流の配管に設けられた電動バルブV7が開いているので、バイオ燃料タンク30に送られる。バイオ燃料には、バイオ燃料タンク30に貯蔵される以前に、ポンプP2によって酸化防止剤タンク40から送り出された酸化防止剤が添加される。なお、このとき界面活性剤を定量供給してもよい。バイオ燃料タンク30では、撹拌手段31を駆動させておくことによってバイオ燃料に酸化防止剤が均一に混合される。
【0055】
このようにして生産されたバイオ燃料は、バイオディーゼル燃料と異なってメタノールを使用することもなく、成分は食用油であるので消防法等が適用されることがなく、通常の食用油と同様に扱うことができる。このため、消防法等の規制対象となっているものに必要な設備にする必要がなく、また、バイオ燃料生産装置自体も安価に構築することができる。
【0056】
したがって、バイオ燃料を安価に提供することができる。食用廃油の有効利用を促進することができる。
【0057】
なお、フィルター手段20の構成は、原料となる食用廃油が性状の安定した種類のものであれば、予めテスト運転によってフィルター21,23の交換時期を定めておき、交換時期に至ったときにフィルターを交換することにより、微圧計22,24を不要とする簡易な構成にすることもできる。
【0058】
なお、廃油処理タンク10に貯留した食用廃油を加熱する手段としては、廃油処理タンク10内に配設したシーズーヒーター15に限らず、廃油処理タンク10内に投入しておくだけの投げ込みヒーターでも良いし、廃油処理タンク10の外部から加熱するようなものであっても良い。
【0059】
また、フィルター手段20にフィルター21の飽和状態を検知する微圧計22と、フィルター23の飽和状態を検知する微圧計24とを設け、飽和状態を検知したときには、電動バルブV3,V4または電動バルブV5,V6を自動的に開閉したり、飽和状態を検知したことを報知する警報音を発したり、警報ランプが点灯したりするような警報手段を設けたものでは、迅速なフィルター交換ができる。
【0060】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図2は、本発明の第2の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置を示すブロック図である。
図2に示すように、本発明の第2の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置1Aは、第1の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置1において生産されたバイオ燃料を貯蔵するバイオ燃料タンク30Aと、該バイオ燃料タンク30Aからのバイオ燃料に引火点向上剤を添加する引火点向上剤添加部50と、引火点向上剤が添加されたバイオ燃料を貯蔵する貯蔵タンク60と、を備えている。
【0061】
バイオ燃料生産装置1Aは、バイオ燃料生産装置1に連通させたバイオ燃料タンク30をバイオ燃料タンク30Aとして、引火点向上剤添加部50および貯蔵タンク60をバイオ燃料生産装置1と同一敷地内に連続して設けたものであっても良いが、バイオ燃料タンク30A、引火点向上剤添加部50および貯蔵タンク60をバイオ燃料生産装置1から別の場所に施設してもよい。
【0062】
例えば、図1に示したバイオ燃料生産装置1は病院やホテルやフランチャイズ店等に設けておき、バイオ燃料タンク30A、引火点向上剤添加部50および貯蔵タンク60をフランチャイズ店などの食材工場に設置したものとしてもよい。この場合、バイオ燃料タンク30に貯蔵したバイオ燃料は、例えば手動バルブV8を開いて取出し口33から一斗缶やペール缶に小分けしてバイオ燃料タンク30Aに運んでも良いし、タンクローリー用排出口32からタンクローリーに移してバイオ燃料タンク30Aを設置してあるフランチャイズ店などの食材工場等まで運搬するようにしても良い。なお、手動バルブV8は、電動バルブであっても良い。
【0063】
バイオ燃料タンク30Aの下流には、引火点向上剤添加部50が配設されており、引火点向上剤添加部50の下流には貯蔵タンク60が配設されている。バイオ燃料タンク30Aには、その上部にバイオ燃料を注入するための開閉可能な注入口34が設けられている。また、底部には、貯蔵してあるバイオ燃料を送り出すバイオ燃料送出口35が設けられている。
【0064】
バイオ燃料タンク30Aと引火点向上剤添加部50とを連通する配管には、上流側に種動バルブV9が設けられ、手動バルブV9の下流にポンプP3が設けられている。バイオ燃料タンク30Aに貯蔵されたバイオ燃料を引火点向上剤添加部50に流すときには、手動バルブV9が開かれ、ポンプP3が駆動される。なお、手動バルブV9は、電動バルブであっても良い。
【0065】
引火点向上剤添加部50は、イソプロピルアルコールのような引火点向上剤を貯留しておく引火点向上剤タンク51と、引火点向上剤タンク51に貯留してある引火点向上剤を送り出すための定量ポンプP4と、引火点向上剤が添加される以前にバイオ燃料を加熱して昇温する加熱手段52と、バイオ燃料が流れてくる配管と引火点向上剤が流れてくる配管とが合流する添加部53とから成る。
【0066】
引火点向上剤添加部50の下流には、貯蔵タンク60が配設されており、添加部53で引火点向上剤を添加されたバイオ燃料は貯蔵タンク60に貯蔵される。貯蔵タンク60には、バイオ燃料生産装置1の廃油処理タンク10のレベル計LSおよび撹拌手段14と同様のレベル計LSおよび撹拌手段61が設けられている。この撹拌手段61は、バイオ燃料に混合した引火点向上剤が分離するのを防ぐためのものである。また、貯蔵タンク60の底部寄りには、廃油処理タンク10のシーズーヒーター15と同様の加熱手段62が設けられている。また、貯蔵タンク60の外部には、保温材63が全面的に施工されている。
【0067】
貯蔵タンク60からはバーナー80にバイオ燃料を供給するための配管64が延設されている。また、バーナー80からは、燃焼に使用されない余分のバイオ燃料を貯蔵タンク60に戻すための戻り配管81が貯蔵タンク60まで延設されている。バーナー80は、不図示のポンプを装備しているものであり、そのポンプによって貯蔵タンク60からバイオ燃料がバーナー80に供給され、また、使用されなかった余分なバイオ燃料は貯蔵タンク60に戻される。
【0068】
次に、第2の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置1Aの作用を説明する。
バイオ燃料タンク30Aに貯蔵されたバイオ燃料は、手動バルブV9を開いてポンプP3を駆動することによって引火点向上剤添加部50に供給される。引火点向上剤添加部50では、移動中のバイオ燃料が加熱手段52によって60℃〜70℃に加熱される。一方、引火点向上剤タンク51に貯留された引火点向上剤は、定量ポンプP4によって定量が添加部53に送られる。
【0069】
添加部53では、加熱されたバイオ燃料に定量の引火点向上剤が添加されて貯蔵タンク60に送られる。貯蔵タンク60に送られて貯蔵されたバイオ燃料は、引火点向上剤をより均一に混合するために撹拌手段61が駆動している。また、バイオ燃料は、略100℃となるように加熱手段62によって加熱される。
【0070】
貯蔵タンク60に貯蔵されたバイオ燃料80は、バーナー80に装備されているポンプにより、配管64を通り、バーナーの燃料として利用される。燃料に用いられない余分な混合燃料は、戻り配管81を通って貯蔵タンク60に戻される。
【0071】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図3は、第3の実施の形態に係る混合燃料生産装置を示すブロック図である。
図3に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る混合燃料生産装置2は、第2の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置1AにA重油を貯留するA重油タンク70を混合部71に連結し、A重油にバイオ燃料を混合するようにしたものである。A重油タンク70と混合部71との間の配管には、ポンプP5が介装されている。
【0072】
バイオ燃料タンク30Bは、第2の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置1Aにおけるバイオ燃料タンク30Aと同様のものである。バイオ燃料を混合したA重油は、混合燃料貯蔵タンク90に貯蔵されるが、この混合燃料貯蔵タンク90は、第2の実施の形態における貯蔵タンク60と同様のものであり、レベル計LS、撹拌手段91および加熱手段92は、第2の実施の形態におけるレベル計LS、撹拌手段61および加熱手段62と同様のものである。その他、第2の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置1Aと同じ構成部材には同一の符号を付してある。なお、混合燃料生産装置2においては、引火点向上剤添加部50における引火点向上剤タンク51と定量ポンプP4とは不要であるが、設けておいても良い。
【0073】
次に、第3の実施の形態に係る混合燃料生産装置2の作用を説明する。
バイオ燃料タンク30Bに貯蔵されているバイオ燃料は、手動バルブV9を開いてポンプP3を駆動することによって混合燃料貯蔵タンク90へ向けて送られる。ポンプP3の下流では、配管中を流れるバイオ燃料が加熱手段52によって60℃〜70℃に加熱される。一方、A重油タンク70に貯留されたA重油は、ポンプP5によって混合部71に送られる。
【0074】
混合部71では、バイオ燃料とA重油とが所定の混合比になるように混合される。例えばバイオ燃料:A重油=7:3である。この混合比は、5:5、3:7であってもよい。このような混合比にされた混合燃料は、混合燃料貯蔵タンク90に貯蔵される。なお、この混合比の混合燃料の実用性は、燃焼テストで良好であることが確認されている。混合燃料は、前記した混合比以外の混合比でバイオ燃料とA重油とを混合したものとすることができる。
【0075】
混合燃料貯蔵タンク90では、貯蔵した混合燃料が加熱手段92や撹拌手段91によって必要に応じて適宜に加熱したり、撹拌したりされる。例えば、混合燃料貯蔵タンク90に貯蔵された混合燃料をバーナー80の燃料として供給するときには、撹拌手段91によって撹拌しながら加熱手段92によって約100℃に加熱する。
【0076】
加熱された混合燃料は、配管94を通り、バーナー80の燃料として供給される。バーナー80で燃料に用いられない余分な混合燃料は、戻り配管81を通って混合燃料貯蔵タンク90に戻される。
【0077】
以上のように、本発明により、食用廃油から安価で且つ低いランニングコストでバイオ燃料を生産したり、バイオ燃料とA重油等との混合燃料を生産したりすることができるので、食用廃油の有効利用率を著しく向上させることができる。
【0078】
また、食用廃油全てがA重油としての代替燃料として再利用できることも大きなメリットである。バイオディーゼル燃料は、その生産工程中に副産物を排出しないメタノールと反応させるので、バイオディーゼル燃料のカロリーはメタノールに助けられるがメタノールを入れるとカーボンニュートラルとは言わず、燃焼させるとCOが発生する。これに対して、本発明に係るバイオ燃料生産装置によって生産されるバイオ燃料は、カーボンニュートラルであるから、燃焼させても地球温暖化の一因とされるCOが発生せず、従って、地球温暖化防止に貢献できることとなる。
【0079】
また、食用廃油からバイオディーゼル燃料を生産するときに必ず排出されるグリセリン副産物や料理からの動物性油脂等は、分離等の処理をする必要がなく、バイオ燃料を単独燃焼させたり(図2)、バイオ燃料とA重油との混合燃料を燃焼させることができる(図3)。
【0080】
本発明に係るバイオ燃料生産装置1,1Aおよび混合燃料生産装置2の実際の実施を具体的に例示すれば、外食産業のフランチャイズ店などの各店舗は、図1に示す第1の実施の形態に係るバイオ燃料生産装置1を設置し、酸化防止剤の添加によって保存可能なバイオ燃料を各店舗で生産する。生産したバイオ燃料は一斗缶などの容器に入れる。
【0081】
この一斗缶などの容器に入ったバイオ燃料を食材の配達車が回収し、各店舗より食材工場に持ち込む。食材工場では、バイオ燃料を100%バイオ燃料として図2に示したバイオ燃料生産装置1Aを経て、ボイラー、焼却炉、乾燥機、発電機などの燃料として使用する。
【0082】
このような利用形態は、外食産業の各店舗で食用廃油をバイオ燃料化せずとも各店舗から収集された食用廃油を食材工場などに食材配達車が持ち込み、大型のバイオ燃料生産施設としてプラント化することも可能である。
【0083】
図3に示したような混合燃料生産装置2は、バイオ燃料とA重油とを所定の混合比に混合して混合燃料を生産するものであるが、この混合燃料もボイラー、焼却炉、乾燥機、発電機などの燃料として有効利用することができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明は食用廃油をバイオ燃料の原料とするものであるが、食用廃油に限られず、様々な廃油の有効利用に適用することができる。
【符号の説明】
【0086】
B…ブレード
LS…レベル計
M…モータ
P1…ポンプ
P2…ポンプ
P3…ポンプ
P4…定量ポンプ
P5…ポンプ
V1…バルブ
V2…バルブ
V3…電動バルブ
V4…電動バルブ
V5…電動バルブ
V6…電動バルブ
V7…電動バルブ
V8…手動バルブ
V9…手動バルブ
1…バイオ燃料生産装置
1A…バイオ燃料生産装置
2…混合燃料生産装置
10…廃油処理タンク
11…注入口
11a…蓋
12…水蒸気排出口
13…ストレーナー
14…撹拌手段
15…シーズーヒーター
16…食用廃油送出口
17…底部
18…沈殿物排出口
19…保温材
20…フィルター手段
21…フィルター
22…微圧計
23…フィルター
24…微圧計
30…バイオ燃料タンク
30A…バイオ燃料タンク
30B…バイオ燃料タンク
31…撹拌手段
32…タンクローリー用排出口
33…取出し口
34…注入口
35…バイオ燃料送出口
40…酸化防止剤タンク
50…引火点向上剤添加部
51…引火点向上剤タンク
52…加熱手段
53…添加部
60…貯蔵タンク
61…撹拌手段
62…加熱手段
63…保温材
64…配管
70…A重油タンク
71…混合部
80…バーナー
81…戻り配管
90…混合燃料貯蔵タンク
91…撹拌手段
92…加熱手段
94…配管
210…メイン配管
211…バイパス
220…メイン配管
221…バイパス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用廃油からバイオ燃料を生産するバイオ燃料生産装置であって、
食用廃油を貯留して処理する廃油処理タンクと、該廃油処理タンクで処理した食用廃油から夾雑物を除去してバイオ燃料とするフィルター手段とを備え、
前記廃油処理タンクは、上部に設けられた食用廃油の注入口と、該注入口から注入された食用廃油を受けて固形物を取り除くストレーナーと、前記廃油処理タンク内部の食用廃油を加熱する加熱手段と、前記廃油処理タンク内部の食用廃油を撹拌する撹拌手段と、前記廃油処理タンクの上部に設けられた水蒸気排出口と、底部に設けられ、底部に溜まった水と沈殿物を外部に排出するための沈殿物排出口と、下部に設けられた、処理済みの食用廃油を前記フィルター手段に送出する食用廃油送出口と、を有し、
前記廃油処理タンク内部の食用廃油を静置して前記廃油処理タンクの底部に溜まった水と沈殿物を前記沈殿物排出口から排出し、残った食用廃油を前記加熱手段によって加熱して流動性を向上させるとともに前記撹拌手段によって撹拌して水分を蒸発させ、該蒸発した水分を前記水蒸気排出口から排出してから、食用廃油を前記食用廃油送出口から前記フィルター手段に通して夾雑物の微粒子を除去してバイオ燃料とするバイオ燃料生産装置。
【請求項2】
前記フィルター手段に通して夾雑物の微粒子を除去されたバイオ燃料を貯蔵するバイオ燃料タンクと、該バイオ燃料タンクからのバイオ燃料に引火点向上剤を添加する引火点向上剤添加部と、前記引火点向上剤が添加されたバイオ燃料を貯蔵する貯蔵タンクと、を備え、
前記引火点向上剤添加部は、前記バイオ燃料タンクからのバイオ燃料を加熱する加熱手段と、該加熱手段によって加熱されたバイオ燃料に添加する引火点向上剤が貯留される引火点向上剤タンクと、前記加熱手段によって加熱されたバイオ燃料に前記引火点向上剤タンクからの引火点向上剤が添加される添加部とから成り、
前記貯蔵タンクは、貯蔵したバイオ燃料を加熱する加熱手段と、貯蔵したバイオ燃料を撹拌する撹拌手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載のバイオ燃料生産装置。
【請求項3】
食用廃油から生産したバイオ燃料とA重油との混合燃料を生産する混合燃料生産装置であって、
請求項2に記載のバイオ燃料生産装置と、該バイオ燃料生産装置の前記フィルター手段に通して夾雑物の微粒子を除去されたバイオ燃料を貯蔵するバイオ燃料タンクと、A重油を貯留するA重油タンクと、前記バイオ燃料と前記A重油とを混合する混合部と、該混合部で混合された混合燃料を貯蔵する混合燃料貯蔵タンクと、を備え、
前記混合燃料貯蔵タンクは、貯蔵した混合燃料を加熱する加熱手段と、貯蔵した混合燃料を撹拌する撹拌手段と、を有する混合燃料生産装置。
【請求項4】
食用廃油からバイオ燃料を生産するバイオ燃料生産方法であって、
食用廃油をストレーナーを介して夾雑物を除去しながら廃油処理タンクに注入し、
前記廃油処理タンクに貯留した食用廃油を所定時間静置して前記廃油処理タンクの底に溜まった水と沈殿物を前記廃油処理タンクの底に設けた沈殿物排出口から排出させ、
その後、前記廃油処理タンクに残った食用廃油を加熱するとともに撹拌して食用廃油の流動性を向上させるとともに水分を蒸発させて油水を分離してから、前記廃油処理タンクから前記廃油処理タンクの外部に設けたフィルター手段に通して夾雑物の微粒子を除去してバイオ燃料とするバイオ燃料生産方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−202014(P2011−202014A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70435(P2010−70435)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000148368)株式会社前川製作所 (2)
【出願人】(500561665)
【Fターム(参考)】