説明

食用生地の冷風による冷却装置及び冷却方法

【課題】空調装置内に霜が付着しない範囲の気体を生地の冷却熱源として用いることで冷却装置のデフロストを行う必要がなく、そのため冷却装置を複数系列設ける必要がなくなり、装置の大型化や導入コストの高額化を防止することができる食用生地の冷却装置及び冷却方法を提供する。
【解決手段】ミキサー内に投入される生地材料の配合、環境温度を含む捏ね上げ条件における捏ね上げ時の食用生地の時間的変化を過去のデータを元に予測して、目標となる時間と生地温度の関係を設定し、食用生地捏ね上げ中の一定時間毎に食用生地温度を実測するとともに、前記目標の生地温度と比較して何れが高温であるか判定し、前記食用生地温度の実測値が目標値よりも高い場合に、次の判定時間における目標生地温度に一致させるために必要であり、且つ前記冷却装置における熱交換器に霜が付着しない範囲で送風量、送風温度及び送風時間を計算し、該計算で得られた送風量、送風温度及び送風時間の気体を前記ミキサー内に送風する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品生地の冷風による冷却装置及びその方法に関するものであり、詳しくは製パン、製菓等の工程において食用生地を捏ね上げる際に生地を冷却するための冷却装置及び冷却方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製パン、製菓等の工程においては、小麦粉、酵母、食塩、水やその他の原料を混練機(ミキサー)に投入し、捏ね上げる食用生地の混捏工程が必要である。
混捏工程では、原料の小麦粉が捏ね上げ中に水分を吸収することで発生する水和熱や、ミキサーの捏ね上げによって発生する摩擦熱によって温度が上昇する。食用生地はある一定温度以上になると生地の発酵が過度に促進されて生成製品に悪影響を及ぼし、製品価値を著しく低下させる。そのため、パン生地等の発酵を伴う食用生地を捏ね上げる際には、食品生地の温度が上がり過ぎないように冷却して厳密に温度管理を行うことが要求されている。
【0003】
また、ミキサーに投入する材料の配合、環境温度を含む捏ね上げ条件と、生地温度が一定にすれば、捏ね上げ後の生地の性状は、捏ね上げ時間に影響されることが知られている。特に食用生地を工業的に大量に生産する場合には、生産計画上捏ね上げ時間を一定にすることが重要であり、そのためにも食品生地を冷却して厳密に温度管理を行うことは重要である。
【0004】
食用生地を捏ね上げる際に、生地を冷却して温度管理を行う技術は、例えば特許文献1に開示されており、これは食用生地を捏ね上げる際に、温度及び風量、並びに湿度を100%に調整した空気を食用生地に送風するものであり、目標生地温度T0℃より低温である吹き始め温度T1℃及び該T1℃より低温である吹き終わり温度T3℃を設定し、生地温度がT1℃に達したら送風を始め、該送風により生地が冷却され生地温度がT3℃まで下がると送風を停止することで、生地温度をT0℃とT3℃の間に管理するものである。
さらに、特許文献1に開示された技術では、事前に捏ね上げる食用生地と十分な温度差を持たせた低温空気を準備し、該低温空気をミキサーをバイパスするバイパスラインに循環させておき、生地温度が前記吹き始め温度T1℃に達したらミキサー中の食用生地に送風するように構成することで、生地温度の急激な変動に対してもすばやく対応できるようにしている。さらに、生地の冷却に使用した空気を系外に放出せずに再度空調装置に送り循環して繰り返し使用することにより、熱回収を行い、コスト低減を図るとともに、機器周辺の有人の作業環境に悪影響を及ぼすことがないようにしている。さらにまた、長時間に渡って空調装置で低温の冷却空気を供給し続けると、空調装置の空気冷却部分に着霜が生じ一定時間毎にデフロスト(霜取り)を行う必要があるが、空調装置を複数系列設けて切り替え運転することで連続運転に支障が出ないようにしている。
【0005】
【特許文献1】特許第3225032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、生地の冷却を行うために送風をどの時点で開始しどの時点で終了するかは、前記の予め設定した吹き始め温度T1℃及び吹き終わり温度T3℃によって制御されており、即ち生地の実温がT1℃まで上がった場合に送風し、生地の実温がT3℃まで下がると送風を停止するというフィードバック制御となっている。
【0007】
よって、生地の急激な温度変化、穏やかな温度変化の何れにも対応することができるようにするため、初期材料混合温度〜最終捏ね上げ終了生地温度の温度域から大きく外れた、マイナス温度の冷風を冷却熱源温度とする必要がある。生地の捏ね上げは、捏ね上げ初期段階でミキサーを低速回転させて捏ねた後に、回転速度を上げて高速回転で捏ね上げることが多く行われており、また捏ね上げ途中で材料を追添することも多く、生地の急激な温度変化は避けられないため、特許文献1に開示された技術ではマイナス温度の冷風を冷却熱源温度とすることは避けられない。
そのため、空調装置の空気冷却部分に着霜が生じるので、ミキサーの運転に支障をもたらすことなくデフロストを行うために空調装置を複数系列設けて切り替え運転を行っているが、このことにより装置が大型化するとともに導入コストが高額となり、さらにデフロストのためのランニングコストもかかってしまう。
従って、本発明はかかる従来技術の問題に鑑み、空調装置(冷却装置)内に霜が付着しない範囲の気体を生地の冷却熱源として用いることで冷却装置のデフロストを行う必要がなく、そのため冷却装置を複数系列設ける必要がなくなり、装置の大型化や導入コストの高額化を防止することができる食用生地の冷却装置及び冷却方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明においては、食用生地を捏ね上げるミキサーと、該ミキサー内に気体を送風する送風手段と、該送風手段に前記食用生地の温度より低温に調節された冷風を発生供給する冷却手段とを有する食用生地の冷風による冷却装置において、
前記食用生地の温度より低温に調節された冷風を発生供給する冷却手段にて、気体側が着霜、着氷しない温度、即ち冷却熱源の温度が0℃以上の熱源にて発生供給された冷風によって食用生地を冷却することを特徴とする。
前記冷却手段にて、気体側が着霜、着氷しない温度、即ち冷却熱源の温度が0℃以上の熱源にて発生供給された冷風を用いるため、冷却手段のデフロストを行う必要がなく、そのため冷却装置を複数系列を設けて、切り換えて使用する必要がない。
【0009】
また、ミキサー内に投入される生地材料の配合、環境温度を含む捏ね上げ条件における捏ね上げ時の食用生地温度の時間的変化を過去のデータを元に予測して、目標となる時間と生地温度の関係を予め設定する目標生地温度設定手段と、捏ね上げ時の食用生地温度を検知する温度検知手段とを備えるとともに、食用生地捏ね上げ中の一定時間毎に前記検知手段による検知温度と前記目標生地温度設定手段による目標生地温度とを比較し、何れが高温であるか判定する判定部と、前記判定部において検知温度が高温であると判定された場合に、次の判定時間における目標生地温度に一致させるために必要な送風量、送風温度及び送風時間を決定する計算部と、前記計算部で決定された送風量、送風温度及び送風時間に制御された気体をミキサー内に送風する制御部とから構成される制御装置を設け、
前記制御装置を構成する計算部には、前記ミキサー内に送風する気体の送風量及び送風温度が予め初期設定値として入力され、前記計算部では、前記判定部において検知温度が高温であると判定された場合に、前記次の判定時間における目標生地温度に一致させるために必要な前記初期設定値の送風量及び送風温度における送風時間を決定することを特徴とする。
【0010】
前記捏ね上げ条件は、前記ミキサー内に投入される生地材料の配合、環境温度以外にもミキサー内温度、捏ね上げ工程等その他の生地温度に影響を与える因子を含めることができる。前記目標生地温度設定手段では、前記捏ね上げ条件をパラメータとして、過去の実績を元にして例えば多変量解析等の統計的手法を用いることで、食用生地温度の時間的変化を予測することができる。
【0011】
また、食用生地温度を一定時間毎に前記検知手段で検知して、該検知温度と前記検知目標生地温度設定手段による目標生地温度を比較し、生地温度が高い場合には将来である次の判定時間における目標生地温度に一致させるように送風量、送風温度、送風時間を制御した気体を送風するフィードフォワード制御である。従って、前記目標生地温度設定手段で急激な生地の温度変化も予測することができ、予測で得られた目標生地温度から逸脱したときに送風を開始し、予測値に修正されれば送風を停止するという穏やかな温度制御を行うため、生地温度域から大きく離れたマイナス温度の気体を送風する必要はなく、前記ミキサーに送風する気体を冷却するための冷媒を冷却装置における熱交換器の気体側に霜が付着しない範囲に保持しても、生地温度を予測で得られた目標生地温度に追随させることができる。
従って、前記ミキサーに送風する気体を冷却するための冷媒を、冷却装置における熱交換器の気体側に霜が付着しない範囲に保持することができるため、デフロストを行う必要がなく、そのため冷却装置を複数系列を設けて、切り換えて使用する必要がない。
【0012】
さらに、前記送風量及び送風温度を初期設定することで、前記ミキサー内へ送風する気体は送風時間のみを前記判定時間毎に変更すればよい。従って送風量、送風温度及び送風時間の3つを変更する場合と比較して、前記計算部で計算が完了してから必要な送風状態にするまでの時間が短時間となり、そのため生地温度を前記予測で得られた目標温度に一致させる時間も短時間となる。
前記初期設定の送風量及び送風温度は、ミキサーに送風する気体を冷却するための冷媒を冷却装置における熱交換器に霜が付着しない範囲であれば特に限定されるものではなく、捏ね上げ条件に応じて決定すればよい。
【0013】
また、前記制御装置を構成する計算部は、前記初期設定の送風量及び送風温度では前記次の判定時間で生地の温度を目標生地温度に一致させることが出来ない場合に、前記送風量又は送風温度の少なくとも一の初期設定値を、前記次の判定時間で生地の検知温度を目標生地温度に一致させることが出来るような送風時間が得られるように変更して、送風時間を再計算することを特徴とする。
例えば初期設定の送風量及び送風温度の気体を送風した場合に、生地温度を目標生地温度に一致させるために非常に長時間がかかる場合には、生地温度が目標生地温度から外れた状態が長時間続いてしまうこととなり、捏ね上げ後の生地性状が目的と異なってしまう可能性がある。そのため、生地温度を目標生地温度に一致させるために、次の判定時間を越えるような長時間が必要である場合には、送風量及び送風温度の初期設定値を変更して生地温度と目標生地温度の一致までの時間を短時間化することで、捏ね上げ後の生地性状を一定に保つことができる。
なお、送風量、送風温度は両方同時に変更してもよいが、どちらか一方のみ変更してもよく、一般に送風量を変更する方が、送風温度を変更するよりも短時間で行うことができるため、まず送風量を変更し、それでも送風時間の短時間化が難しい場合に送風温度を変更するようにしておくとより好ましい。
【0014】
また、冷風を発生供給する冷却手段は、気体を0℃以上の冷水と直接接触させて冷却する直接接触式クーラーであることを特徴とする。
【0015】
前記ミキサーで生地を捏ね上げる際にはミキサー内で粉が舞い、該ミキサー内に送風された冷風は該粉を同伴して排気される。該粉を同伴した空気を例えばシェルチューブ式熱交換器を用いて冷却して再度冷風として使用する場合、熱交換器の冷却管に前記粉が付着するため、熱効率及び衛生面の観点から定期的に熱交換器を開放して洗浄をすることが欠かせないが、シェルチューブ式熱交換器を開放することは容易ではなく、時間及びコストの面での負担が大きい。
直接接触式クーラーは空気と水を直接接触するため、空気に同伴された粉を水側に移して除去することができる。さらに、水中に冷風を吹き込むので、前記粉ばかりではなく環境中の塵埃も除去することが出来る。
また、直接接触式クーラーは開放することが容易であり洗浄性が高く、しかも循環冷水を常時オーバーフローさせると同時にスクリーン装置等を用いて前記水側に移った粉を排除することでさらに洗浄が容易となる。
【0016】
また直接接触式クーラーは、空気と冷水が直接接触するため熱交換率が高い。ミキサー内に送風される冷風は低温(2〜6℃)が望ましいが、熱源が0℃以下になると、冷却面が結露では済まされず、氷結が発生し、デフロストを行わないと熱効率の低下が避けられない。前記シェルチューブ式熱交換器のような通常のクーラーでは空気と冷水(冷却媒体)の温度差ΔT≒5〜8℃を要するに対して、直接接触式クーラーはΔT≒2〜3℃で処理できるため、例えば0℃の冷水供給で2℃の空気を作り出すことができ、気体側が着霜、着氷しない温度、即ち冷却熱源の温度が0℃以上の熱源でミキサー内に送風される冷風として望ましい低温の冷風を作り出すことができる。
【0017】
また、直接接触式クーラーは、空気を冷却する熱源が水であるため、その熱容量から空気温度に大きな変動は見られず、ゆっくりとした温度変動となり、ミキサー(熱負荷)の制御が容易となる。
【0018】
また、課題を解決するための方法の発明として、
食用生地をミキサーで捏ね上げ時に、冷却手段で前記食用生地の温度よりも低温に調節した冷風を前記ミキサー中に送風して食用生地を冷却する食用生地の冷却方法において、
前記食用生地の温度より低温に調節された冷風を発生供給する冷却手段にて、気体側が着霜、着氷しない温度、即ち冷却熱源の温度が0℃以上の熱源にて温度調節された気体によって食用生地を冷却することを特徴とする。
【0019】
また、ミキサー内に投入される生地材料の配合、環境温度を含む捏ね上げ条件における捏ね上げ時の食用生地の時間的変化を過去のデータを元に予測して、目標となる時間と生地温度の関係を設定し、食用生地捏ね上げ中の一定時間毎に食用生地温度を実測するとともに、前記目標の生地温度と比較して何れが高温であるか判定し、前記食用生地温度の実測値が目標値よりも高い場合に、前記冷却装置における熱交換器の気体側に霜が付着しない範囲で予め初期設定された送風量及び送風温度で、次の判定時間における目標生地温度に一致させるために必要である送風時間を計算し、前記初期設定された送風量及び送風温度の冷風を前記計算で得られた送風時間だけ前記ミキサー内に送風することを特徴とする。
【0020】
前記初期設定の送風量及び送風温度では前記次の判定時間で生地の温度を目標生地温度に一致させることが出来ない場合に、前記送風量又は送風温度の少なくとも一の初期設定値を、前記次の判定時間で生地の検知温度を目標生地温度に一致させることが出来るような送風時間が得られるように変更して、送風時間を再計算することを特徴とする。
【0021】
気体を0℃以上の冷水と直接接触させて冷却する直接接触式クーラーによって冷却した冷風によって食用生地を冷却することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
以上記載のごとく本発明によれば、捏ね上げ条件を用いて生地温度を予測し、生地温度を将来の予測温度に一致させるように送風量、送風温度、送風時間を制御した気体を送風するフィードフォワード制御を用いるため、生地温度域から大きく離れたマイナス温度の気体を送風する必要はなく、前記ミキサーに送風する気体を冷却するための冷媒を冷却装置における熱交換器の気体側に霜が付着しない範囲に保持しても、生地温度を予測で得られた目標生地温度に追随させることができる。従って、前記ミキサーに送風する気体を冷却するための冷媒を冷却装置における熱交換器の気体側に霜が付着しない範囲に保持することができるため、デフロストを行う必要がなく、そのため冷却装置を複数系列を設ける必要がない。
また、気体温度をマイナス温度まで冷却する必要がないため、気体を冷却するための冷却装置は従来よりもCOP(エネルギー消費効率)の高い運転が可能となり、ランニングコストを低減することが出来る。
さらに、前記目標生地温度設定手段を用いることで急激な温度変化も予測することができるため、従来必要であったミキサーをバイパスさせるラインも必要なく、極めて簡便なシステム構成とすることができ、導入コストを低減することができる。
さらにまた、従来よりも生地温度と近い温度の気体を送風するため、従来よりもミキサー内の相対湿度を高く維持することができ、冷風冷却による生地の乾燥が生じにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但しこの実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
【実施例1】
【0024】
図1は、実施例1に係る食用生地を捏ね上げる混捏工程の概略構成図である。
混捏工程において、食用生地を捏ね上げる際には、まず目的の生地の性状に応じた捏ね上げ条件を決定する。捏ね上げ条件は例えばミキサー内に投入される生地材料の配合、環境温度、ミキサー内温度、捏ね上げスケジュール、ミキサーの羽根の回転速度等の捏ね上げ中の生地温度に影響を与える因子をいう。また前記生地材料の配合とは、例えば材料中の小麦の割合や、小麦と水の割合のことをいい、前記環境温度はミキサー周囲の温度、前記ミキサー内温度は捏ね上げ前のミキサー内部の温度を意味する。また、捏ね上げスケジュールとは、捏ね始めから捏ね終わりまでの時間、捏ね上げ中に材料を追添する場合はその時間、ミキサーの羽根の回転速度を途中で変更する場合はその時間等のことをいう。
【0025】
前記捏ね上げ条件を決定すると、該捏ね上げ条件を制御盤2を構成する目標生地温度設定手段22に入力する。
制御盤2は目標生地温度設定部22、及び判定部、計算部並びに制御部(何れも図示せず)からなる制御装置21から構成され、さらに前記制御部は送風温度制御部と送風量制御部と送風時間制御部(何れも図示せず)から構成される。
前記目標生地温度設定部22には過去に様々な捏ね上げ条件において捏ね上げを行った際の実績値が蓄積されており、前記捏ね上げ条件が目標生地温度設定部22に入力されると、入力された捏ね上げ条件をパラメータとし、前記蓄積された過去の実績値を元にして多変量解析等の統計的手法を用いることで、食用生地温度の時間的変化を予測して目標となる時間と生地温度の関係を設定する。前記目標生地温度設定部22で設定された目標となる時間と生地温度の関係のグラフを図8に示す。図8は縦軸は生地温度T、横軸は捏ね時間tを表しており、実線は目標となる時間と生地温度の関係を表しており、例えば時間tでは目標生地温度Tt1、時間tでは目標生地温度Tt2であることを意味している。また、本実施例1においては時間tで捏ね上げ中のミキサー内に塩を投入し、時間tでミキサーの羽根の回転数を上げてミキサー負荷上げを行うこととしているが、これらの捏ね上げを行う際のスケジュールも前記捏ね上げ条件の1つとして目標生地温度設定部22に入力されているため、図8から明らかであるように、生地の状態が大きく変わるt、tでの急激な温度変化も予測されている。
なお、t〜tは後述する測定時間である。
【0026】
前記目標生地温度設定部22で、図8に示したような目標となる時間と生地温度関係の設定が終わると、前記捏ね上げ条件の1つとして入力した通りに配合した材料をミキサー1に投入する。
図3はミキサー1周辺の材料投入前及び材料投入後の側面図、図4はミキサー1周辺の材料投入中の側面図であり、図3とは別方向から見た側面図である。また、図5はミキサー1の上平面図である。図3、図4及び図5を用いてミキサー1周辺の構成及び材料のミキサー1への投入について説明する。
ミキサー1は上部に蓋部1aを有しており、材料投入時以外には図3に示したように蓋部1aを閉じている。蓋部1aには、後述する熱交換器36(冷却手段)で冷却された空気をミキサー1内に供給する給気ライン38の先端部38aと、ミキサー1内に前記給気ライン38より供給された空気を排出する排気ライン39の先端部39aと、フック13と、ミキサー1内の生地温度を検知するための放射温度計11が設けられている。また、前記給気ラインの先端部38aと、排気ラインの先端部39aは蛇腹状で伸縮可能に構成されている。
ミキサー1内に材料を投入するときには、前記蛇腹状の給気ラインの先端部38aと、排気ラインの先端部39aを縮ませて蓋部1aを持ち上げてミキサー1の上部を開放し(図4参照)、該開放部から材料を投入する。材料の投入が終了すると再び給気ラインの先端部38aと、排気ラインの先端部39aを伸ばしてミキサー1の上部を蓋部1aを閉じる(図3参照)。なおフック13は生地を捏ねるための金属製のフックであり、ミキサー1内でフック13を回転させることで生地を捏ねることができる。
【0027】
材料のミキサー1への投入が終了すると、ミキサー1で捏ね上げを行う。捏ね上げ時には後述するステップでフィードフォワード制御を行い前記制御装置21を構成する制御部からの指示により送風量、送風温度及び送風時間を制御した空気をミキサーに投入しながら捏ね上げを行う。
図1を用いて、送風量、送風温度及び送風時間の制御方法について説明する。
後述するステップによるフィードフォワード制御により、前記制御装置21を構成する計算部で送風量、送風温度及び送風時間が算出されると、その決定した値は制御装置21を構成する制御部へ送られる。前記制御部はさらに送風温度制御部と送風量制御部と送風時間制御部から構成されており、前記計算部で算出された送風量、送風温度及び送風時間にそれぞれ制御している。
【0028】
まず、送風温度を制御するための冷媒であるブライン及び送風される空気の流れについて図1を用いて説明する。
熱源ユニット31は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器から主に構成される、一般的な冷凍サイクルを形成する冷却装置である。前記熱源ユニット31を構成する蒸発器で冷却されたブラインは、ポンプ32で蓄熱タンク33へ送液され、一部は熱源ユニット31に戻り、残りは蓄熱タンク33に貯留される。蓄熱タンク33に貯留されたブラインは、ポンプ35によって熱交換器36に送られ、熱交換器36でミキサー1に供給される空気と熱交換した後に蓄熱タンク33に戻される。熱交換器36でミキサー1に供給される空気と熱交換したブラインを蓄熱タンク33に戻さずに制御弁34を介して再度ポンプ35で熱交換器36へ送る蓄熱タンク33をバイパスするラインも設けられている。
一方、ミキサー1に送風される空気は、熱交換器36で前記ブラインと熱交換しブロアー37によって吸引され給気ライン38を経てミキサー1内へ供給される。ミキサー1内へ供給され生地を冷却して温度が上がった空気は、前記ブロアー37でさらに吸引されて熱交換器36へ戻り再度前記ブラインと熱交換してミキサー1へ供給される。
【0029】
次に送風温度の制御について説明する。
前記制御装置21内であり、送風温度を制御する温度制御部では前記給気ライン38中に設けられた温度計38bで検知された実際の送風温度と、前記計算部で計算された送風温度を比較する。その後、該温度制御部では以下のようにして送風温度の調整を行う。
実際の送風温度が計算の送風温度よりも低い場合には、まず制御弁34の開度を大きくするように調整する。制御弁34の開度を大きくすることで、熱交換器36で空気と熱交換して温度が上がったブラインが熱交換器36へ多く送られるようになるため熱交換器36へ送液されるブラインの温度が上がり、該ブラインと熱交換する空気温度も上がるためである。制御弁34の開度調整をしても実際の送風温度が計算の送風温度まで上がらない場合には、ポンプ35の回転数を下げ熱交換器36に供給するブライン量を下げる。それでも実際の送風温度が計算の送風温度まで上がらない場合には熱源ユニット31を調整してブライン温度を上げることで、送風温度の調整を行う。
一方、実際の送風温度が計算の送風温度よりも高い場合には、まず制御弁34の開度を小さくなるように調整する。制御弁34を全閉にしても実際の送風温度が計算の送風温度まで下がらない場合には、ポンプ35の回転数を上げ熱交換器36に供給するブライン量を上げる。それでも実際の送風温度が計算の送風温度まで下がらない場合には熱源ユニット31を調整してブライン温度を下げることで、送風温度の調整を行う。但し、ブライン温度は熱交換器36に霜が付着しない範囲で調整する。
【0030】
次に送風量の制御について説明する。
前記制御装置21内であり送風量を制御する送風量制御部では、前記計算部で計算された送風量の空気をミキサー1に供給するようにブロアー37の回転数を制御する。ブロアー37の回転数制御は、予め回転数と送風量の関係を求めておき、それに従って回転数を制御してもよく、また給気ライン38又は排気ライン39に風量計を取り付け、該風量計の検知値が前記計算された送風量と一致するようにブロアー37の回転数を制御してもよい。
【0031】
次に送風時間の制御について説明する。
前記制御盤2内であり送風時間を制御する送風時間制御部では、前記計算部で計算された送風時間だけ前記ブロアー37が駆動したら、ブロアー37を停止させる。
【0032】
また、送風温度を制御するための冷媒(冷水)及び送風される空気の流れの別の例について図2を用いて説明する。なお図2において図1と同一符号は同一物を表し、その説明は省略する。
直接接触式クーラー41は、ダクト42、チャンバー44及びパンチング穴を有し前記ダクト42とチャンバー44を仕切るパンチング穴板43から主に構成される冷却装置である。前記直接接触式クーラー41外部に設けられた冷水熱源装置49で生成された冷水は、直接接触式クーラー41を構成するパンチング穴板43上へ送液され、該パンチング穴板43上を流れながら後述する空気と直接接触して該空気を冷却する。空気を冷却し温度が上がった水は、容器45内へ流下され貯留される。該容器45は、内部にスクリーン装置46が設けられており、該スクリーン装置46上部に溜まった水はオーバーフローして外部に排出されるように構成されている。前記容器45内に貯留された水はポンプ47で前記冷水熱源装置49に戻されて再度冷却され、冷水として再使用される。
【0033】
一方、ミキサー1に送風される空気は、前記直接接触式クーラー41下方よりチャンバー44内に供給され、前記パンチング穴板43に設けられたパンチング穴を通り抜けてパンチング穴板43上を流れる前記冷水中を泡状に通過して直接接触することで冷却される。該冷却された空気は、ファン48によって吸引され給気ライン38を経てミキサー1内へ供給される。ミキサー1内へ供給され生地を冷却して温度が上がった空気は、前記ファン48でさらに吸引されて直接接触式クーラー41へ戻り再度前記冷水と直接接触して冷却されてミキサー1へ供給される。
【0034】
前記ミキサー1で生地を捏ね上げる際にはミキサー1内で粉が舞い、該ミキサー1内に送風される空気は該粉を同伴して前記直接接触式クーラー41内で冷水中に供給され、前記粉と冷水が接触することでグルテンが発生し粘土状の物質が生成される。該粘土状物質は、前記容器45中のスクリーン装置46で除去されオーバーフロー水に同伴されて排出される。つまり、ミキサー1内に送風される空気を直接接触式クーラー41を用いて冷却することで、ミキサー1から同伴される粉を除去し、粉を含まない空気としてミキサー1へ再度送風することができる。さらに、ミキサー1から同伴される粉だけでなく、前記急気ライン38、排気ライン39を含む環境中の塵埃も除去することができる。
【0035】
さらに、直接接触式クーラー1は開放することが容易であり洗浄性が高く、しかも循環冷水を常時オーバーフローさせると同時にスクリーン装置46を用いて粉を排除することでさらに洗浄が容易となる。
【0036】
ミキサー内に送風される冷風は低温(2〜6℃)が望ましいが、熱源が0℃以下になると、冷却面が結露では済まされず、氷結が発生し、デフロストを行わないと熱効率の低下が避けられない。直接接触式クーラー1は、空気と冷水が直接接触するため熱交換率が高く、前記熱源ユニット31のような通常のクーラーでは空気と冷水の温度差ΔT≒5〜8℃を要するに対して、ΔT≒2〜3℃で処理できるため、0℃の冷水供給で2℃の空気を作り出すことができ、デフロストを行わずに操業することができる。
【0037】
また、直接接触式クーラー1は、空気を冷却する熱源が水であるため、その熱容量から空気温度に大きな変動は見られず、ゆっくりとした温度変動となり、ミキサー(熱負荷)の制御が容易となる。
【0038】
次に直接接触式クーラー41を使用した場合における送風温度の制御について説明する。
前記制御装置21内であり、送風温度を制御する温度制御部では前記給気ライン38中に設けられた温度計38bで検知された実際の送風温度と、前記計算部で計算された送風温度を比較する。その後、該温度制御部では以下のようにして送風温度の調整を行う。
実際の送風温度が計算の送風温度よりも低い場合には、ポンプ47の回転数を下げ直接接触式クーラー41に供給する冷水量を下げる。それでも実際の送風温度が計算の送風温度まで上がらない場合には冷水熱源装置49を調整して冷水温度を上げることで、送風温度の調整を行う。
一方、実際の送風温度が計算の送風温度よりも高い場合には、ポンプ47の回転数を上げ直接接触式クーラー41に供給する冷水量を上げる。それでも実際の送風温度が計算の送風温度まで下がらない場合には冷水熱源装置49を調整して冷水温度を下げることで、送風温度の調整を行う。但し、冷水温度は0℃以上の範囲で調整する。
【0039】
次に直接接触式クーラー41を使用した場合における送風量の制御について説明する。
前記制御装置21内であり送風量を制御する送風量制御部では、前記計算部で計算された送風量の空気をミキサー1に供給するようにファン48の回転数を制御する。ファン48の回転数制御は、予め回転数と送風量の関係を求めておき、それに従って回転数を制御してもよく、また給気ライン38又は排気ライン39に風量計を取り付け、該風量計の検知値が前記計算された送風量と一致するようにファン48の回転数を制御してもよい。
【0040】
次に直接接触式クーラー41を使用した場合における送風時間の制御について説明する。
前記制御盤2内であり送風時間を制御する送風時間制御部では、前記計算部で計算された送風時間だけ前記ファン48が駆動したら、ファン48を停止させる。
【0041】
また、図1で説明した圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器から主に構成される一般的な冷凍サイクルを形成する冷却装置である熱源ユニット31を用いて冷風を作り出す場合においても、図2で説明した直接接触式クーラー41を用いて冷風を作り出す場合においても、ミキサー1に送風した冷風(空気)を排気ライン39によって冷却手段(熱交換器36、直接接触式クーラー41)に戻して循環再利用しているが、生地冷却後の冷風(空気)を循環せずに排気ライン39から外部へ排出するようにも出来る。このとき、冷却手段(熱交換器36、直接接触式クーラー41)へは外気を導入する。
この場合、冷却手段(熱交換器36、直接接触式クーラー41)に導入される空気温度が空気を循環再利用する場合と比べて高いので冷却手段(熱交換器36、直接接触式クーラー41)による熱負荷は大きくなるが、ミキサーから粉を冷却手段(熱交換器36、直接接触式クーラー41)に同伴することがなくなるため、熱負荷増加と洗浄負荷を考慮して状況に応じて空気を循環利用するか否かを使い分けることができる。
【0042】
次に、捏ね上げ中のミキサー1内の生地温度のフィードフォワード制御について図1、図2、図7及び図8を参照しながら、図6に示したフローチャートを用いて説明する。
なお、フィードフォワード制御については図1で説明した熱源ユニット31を用いて冷風を作り出す場合においても、図2で説明した直接接触式クーラー41を用いて冷風を作り出す場合においても同じである。
【0043】
まずステップ1で処理開始すると、ステップ2で捏ねを開始する。
前記制御装置21に入力された捏ね上げ条件のうち、ミキサーの羽根の回転速度を制御盤2からミキサー制御盤12へ伝達し、ミキサー制御盤12でミキサー1の羽根の回転速度を制御する。
本実施例1においては、図8に示したように、捏ね上げ開始(時間t)から時間tまでと、時間t以降ではミキサーの羽根の回転速度を変えるように制御をしている。
【0044】
ステップS2で捏ねを開始し、図8に示した捏ね時間tに達すると、ステップS3で生地温度Tr1を検出する。
生地温度Tr1は、捏ね時間tにおける生地の実温であり、放射温度計11で検出する。該検出されたTr1は前記制御装置21を構成する判定部へ送られる。
【0045】
ステップS3で生地温度Tr1を検出すると、ステップS4で時間tにおける目標生地温度Tt1と生地温度Tr1を比較する。
前記制御装置21を構成する判定部では、目標生地温度Tt1と生地温度Tr1を比較し何れが高温であるか判定する。
【0046】
ステップS4で、目標生地温度Tt1が高い、即ちTt1>Tr1と判定された場合、ステップS10に進み処理を終了する。
【0047】
ステップS4で、生地温度Tr1が高い、即ちTr1>Tt1と判定された場合、ステップS5で初期設定の風量及び温度の空気を生地に吹き付けたときに、生地温度が目標生地温度に達するまでの時間tを計算する。
なお、前記初期設定の風量及び温度は熱交換器36に霜が付着しない範囲であれば特に限定されるものではなく、捏ね上げ条件に応じて自由に決定することができ、予め制御装置21を構成する計算部に入力しておく。初期設定の風量及び温度の空気は熱交換器36で冷却され、給気ライン38を通じてミキサー1内に導入される。風量及び温度の制御については前述した通りである。
生地温度が目標生地温度に達するまでの時間tの計算は前記制御装置21を構成する計算部で行われる。
算出方法の一例として、テーブルを用いた算出方法がある。図7に示したようなテーブルを生地温度と目標生地温度の温度差毎に複数個用意しておき、まず生地温度と目標温度の差に応じて前記複数のテーブルから適切なテーブルを選択する。そして、例えば前記初期設定の風量がF、初期設定の風温がTである場合には、図7に示したテーブルから時間t=t22としてtを算出するものである。本実施例においては、テーブルを用いたが時間tを算出する方法はテーブルを用いる方法に限定するものではない。
例えばt=t22=(t´−t)と算出された場合には、図8に示すように捏ね時間t´で生地温度は目標生地温度に達することとなる。
【0048】
ステップS5で初期設定の風量及び温度の空気を生地に吹き付けたときに、生地温度が目標生地温度に達するまでの時間tが計算されると、ステップS6でtから次の温度測定時間tまでの時間(t−t)と前記tを比較する。
つまり、生地温度が目標生地温度に達する時間t´がtの次の温度測定時間tより前であるか後であるかを比較するということである。この比較も前記制御盤2を構成する計算部で行われる。
【0049】
ステップS6で、t<(t−t)、即ち生地温度が目標温度に達する時間t´がtよりも前であると判断された場合、前記送風温度制御部及び送風量制御部で前記初期設定の温度及び風量に制御された空気を、前記送風時間制御部で時間tだけミキサーに供給して生地に吹き付けるように制御し、ステップS10で処理を終了する。
【0050】
ステップS6で、t>(t−t)、即ち生地温度が目標温度に達する時間t´がtよりも後であると判断された場合、ステップS7で生地温度が目標生地温度に達するまでの時間t´がt´<t−tとなるように、前記初期設定の風量及び温度を変更する。生地温度が目標生地温度に達するまでの時間を短くするためには、風量を上げるか空気の温度を下げればよい。図7において初期設定の風量がF、風温がTであり、算出されたt(=t22)>(t−t)であった場合には、風量を上げ風温を下げる方向、即ち図7の表において左下から右上方向に風量又は風温の少なくとも一を変更して、新たに算出される生地温度が目標温度に達するまでの時間t´がt´<(t−t)となるようにする。
こうして変更した新たな設定の風量及び風温に前記送風温度制御部及び送風量制御部で制御した空気を、前記送風時間制御部で時間t´だけミキサーに供給して生地に吹きつけるように制御し、ステップ10で処理を終了する。
【0051】
ステップS10で処理が終了した後、次の測定時間tに達すると、図6におけるAに戻りステップS3以降を再度行う。これを測定時間t1〜t7まで繰り返すことで、将来である次の判定時間までに生地温度を目標生地温度に一致させるフィードフォワード制御で生地を冷却し、温度管理をすることができる。また、このような制御を繰り返すことで、予測精度も上がる。
【0052】
なお、本実施例においてはミキサー1に供給する気体として空気を用いたが、食品生地に悪影響を及ぼす気体でなければ他の気体を用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
空調装置(冷却装置)内に霜が付着しない範囲の気体を生地の冷却熱源として用いることで冷却装置のデフロストを行う必要がなく、そのため冷却装置を複数系列設ける必要がなくなり、装置の大型化や導入コストの高額化を防止することができる食用生地の冷却装置及び冷却方法として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施例1に係る食用生地を捏ね上げる混捏工程の概略構成図である。
【図3】ミキサー1周辺の材料投入前及び材料投入後の側面図である。
【図4】ミキサー1周辺の材料投入中の側面図であり、図3とは別方向から見た側面図である。
【図5】図5はミキサー1の上平面図である。
【図6】ミキサー1に投入する空気の送風量、送風温度及び送風量を制御するためのフローチャートである。
【図7】送風時間を計算するためのテーブルの一例である。
【図8】目標となる時間と生地温度の関係のグラフである。
【図2】実施例1に係る食用生地を捏ね上げる混捏工程の別の概略構成図である。
【符号の説明】
【0055】
1 ミキサー
2 制御盤(制御装置)
11 放射温度計(温度検知手段)
21 制御装置
22 目標生地温度制御部
36 熱交換器(冷却手段)
37 ブロアー(送風手段)
38 給気ライン
39 排気ライン
41 直接接触式クーラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用生地を捏ね上げるミキサーと、該ミキサー内に気体を送風する送風手段と、該送風手段に前記食用生地の温度より低温に調節された冷風を発生供給する冷却手段とを有する食用生地の冷風による冷却装置において、
前記食用生地の温度より低温に調節された冷風を発生供給する冷却手段にて、気体側が着霜、着氷しない温度、即ち冷却熱源の温度が0℃以上の熱源にて発生供給された冷風によって食用生地を冷却することを特徴とする食用生地の冷風による冷却装置。
【請求項2】
ミキサー内に投入される生地材料の配合、環境温度を含む捏ね上げ条件における捏ね上げ時の食用生地温度の時間的変化を過去のデータを元に予測して、目標となる時間と生地温度の関係を予め設定する目標生地温度設定手段と、
捏ね上げ時の食用生地温度を検知する温度検知手段とを備えるとともに、
食用生地捏ね上げ中の一定時間毎に前記検知手段による検知温度と前記目標生地温度設定手段による目標生地温度とを比較し、何れが高温であるか判定する判定部と、
前記判定部において検知温度が高温であると判定された場合に、次の判定時間における目標生地温度に一致させるために必要な送風量、送風温度及び送風時間を決定する計算部と、
前記計算部で決定された送風量、送風温度及び送風時間に制御された気体をミキサー内に送風する制御部とから構成される制御装置を設け、
前記制御装置を構成する計算部には、前記ミキサー内に送風する気体の送風量及び送風温度が予め初期設定値として入力され、
前記計算部では、前記判定部において検知温度が高温であると判定された場合に、前記次の判定時間における目標生地温度に一致させるために必要な前記初期設定値の送風量及び送風温度における送風時間を決定することを特徴とする請求項1記載の食用生地の冷風による冷却装置。
【請求項3】
前記制御装置を構成する計算部は、前記初期設定の送風量及び送風温度では前記次の判定時間で生地の温度を目標生地温度に一致させることが出来ない場合に、前記送風量又は送風温度の少なくとも一の初期設定値を、前記次の判定時間で生地の検知温度を目標生地温度に一致させることが出来るような送風時間が得られるように変更して、送風時間を再計算することを特徴とする請求項2記載の食用生地の冷風による冷却装置。
【請求項4】
冷風を発生供給する冷却手段は、気体を冷水と直接接触させて冷却する直接接触式クーラーであることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載の食用生地の冷風による冷却装置。
【請求項5】
食用生地をミキサーで捏ね上げ時に、冷却手段で前記食用生地の温度よりも低温に調節した冷風を前記ミキサー中に送風して食用生地を冷却する食用生地の冷却方法において、
前記食用生地の温度より低温に調節された冷風を発生供給する冷却手段にて、気体側が着霜、着氷しない温度、即ち冷却熱源の温度が0℃以上の熱源にて温度調節された気体によって食用生地を冷却することを特徴とする食用生地の冷風による冷却方法。
【請求項6】
ミキサー内に投入される生地材料の配合、環境温度を含む捏ね上げ条件における捏ね上げ時の食用生地の時間的変化を過去のデータを元に予測して、目標となる時間と生地温度の関係を設定し、
食用生地捏ね上げ中の一定時間毎に食用生地温度を実測するとともに、前記目標の生地温度と比較して何れが高温であるか判定し、
前記食用生地温度の実測値が目標値よりも高い場合に、前記冷却手段における熱交換器の気体側に霜が付着しない範囲で予め初期設定された送風量及び送風温度で、次の判定時間における目標生地温度に一致させるために必要である送風時間を計算し、
前記初期設定された送風量及び送風温度の冷風を前記計算で得られた送風時間だけ前記ミキサー内に送風することを特徴とする食用生地の冷風による冷却方法。
【請求項7】
前記初期設定の送風量及び送風温度では前記次の判定時間で生地の温度を目標生地温度に一致させることが出来ない場合に、
前記送風量又は送風温度の少なくとも一の初期設定値を、前記次の判定時間で生地の検知温度を目標生地温度に一致させることが出来るような送風時間が得られるように変更して、送風時間を再計算することを特徴とする請求項6記載の食用生地の冷風による冷却方法。
【請求項8】
気体を冷水と直接接触させて冷却する直接接触式クーラーによって冷却した冷風によって食用生地を冷却することを特徴とする請求項5〜7何れかに記載の食用生地の冷風による冷却方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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