飲料供給装置
【課題】フィルタの目詰まりの状態を検知し、フィルタの洗浄動作を実行できる飲料供給装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、粉末原料Pが供給される抽出室56と、この抽出室56へ加圧された湯を給湯経路32aを通じて供給する給湯装置32と、前記抽出室56から流出される抽出液を濾すフィルタ55と、このフィルタ55を通過した抽出液が流出する抽出液流出経路と、前記給湯装置32から抽出液流出経路の末端に至るまでの経路中に設けられたフィルタの目詰まり検知手段35とを備えた飲料供給装置1である。
【解決手段】本発明は、粉末原料Pが供給される抽出室56と、この抽出室56へ加圧された湯を給湯経路32aを通じて供給する給湯装置32と、前記抽出室56から流出される抽出液を濾すフィルタ55と、このフィルタ55を通過した抽出液が流出する抽出液流出経路と、前記給湯装置32から抽出液流出経路の末端に至るまでの経路中に設けられたフィルタの目詰まり検知手段35とを備えた飲料供給装置1である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の抽出工程を経て飲料を抽出する飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種、飲料供給装置として飲料をカップに入れて提供するものでは、原料としてコーヒー豆を挽いたコーヒー粉末を使用してレギュラーコーヒーを抽出する場合、コーヒー粉末を収納する原料供給部から所定量のコーヒー粉末を供給し、このコーヒー粉末と湯とを抽出室に供給し、この抽出室で所定の抽出工程を経てコーヒー液を抽出している。
【0003】
例えば、特許文献1に示すように、シリンダと上側ピストン及び下側ピストンとで形成された抽出室にコーヒー粉末を供給し、このコーヒー粉末を圧縮し、その後、抽出室に所定圧力の湯を上側ピストンに設けられたフィルタを通じて供給する。そして、所定圧力の湯が圧縮されているコーヒー粉末を通過するするとともに、抽出液が下側ピストンの上面に設けられたフィルタで濾されて流出し、カップに注がれる。このような飲料供給装置では、主としてフィルタの目詰まりを解消するため、原料としてのコーヒー粉末をセットすることなく、湯又は水のみを流して抽出動作と同様な動作を行い、フィルタを洗浄している。いわゆるブルワリンスを実行しており、このブルワリンスは、コントローラに時間や抽出回数を設定することにより、設定した時間や抽出回数が到来すると、自動的に実行されるようになっている。
【特許文献1】特許第4084369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように時間や抽出回数を設定する場合には、実際のフィルタの目詰まりの状態にかかわらずリンスが行われるもので、目詰まりが発生していないのにリンスが実行され、水が無駄に使用されたり、また、逆に、目詰まりが発生しているのにリンスが行われないまま飲料が抽出され、その結果、抽出量が減少したりする不具合が生じる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、フィルタの目詰まりの状態を検知し、フィルタの洗浄動作を実行できる飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の飲料供給装置は、粉末原料が供給される抽出室と、この抽出室へ加圧された湯を給湯経路を通じて供給する給湯装置と、前記抽出室から流出される抽出液を濾すフィルタと、このフィルタを通過した抽出液が流出する抽出液流出経路と、前記給湯装置から抽出液流出経路の末端に至るまでの経路中に設けられたフィルタの目詰まり検知手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は次による。抽出室は、例えば、抽出過程におけるシリンダとピストン等の動作によって形成される形態であっても、抽出過程にかかわらず予め独立して形成されているものであってもよい。給湯装置から抽出液流出経路の末端に至るまでの経路とは、給湯装置から湯が流れて通過する給湯経路から、湯が粉末原料を通過し抽出液となった後、その抽出液を例えば、カップに注ぐところの注出口に至るまでの全経路を意味する。したがって、この経路中に目詰まり検知手段を備えていればよい。また、目詰まり検知手段は、ポンプに接続されたモータの負荷を検知するものや経路中の圧力を検知する圧力センサ等を適用でき、フィルタの目詰まりを検知できればよく、その手段は、格別限定されるものではない。
【0008】
請求項2に記載の飲料供給装置は、請求項1に記載の飲料供給装置において、前記給湯経路中には湯を加圧して抽出室へ供給するモータに接続されたポンプが設けられており、前記目詰まり検知手段は、前記モータの回転を検知する回転検知手段であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の飲料供給装置は、請求項2に記載の飲料供給装置において、前記回転検知手段は、制御手段に接続されており、回転検知手段は、モータの回転に対応してパルスを出力し、制御手段は、この出力されたパルスを受信してパルスの平均時間幅を演算することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の飲料供給装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の飲料供給装置において、前記目詰まり検知手段の検知出力により、フィルタの洗浄動作が開始されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィルタの目詰まりの状態を検知し、フィルタの洗浄動作を実行できる飲料供給装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る飲料供給装置ついて図1乃至図11を参照して説明する。図1は、飲料供給装置として給茶機を示す正面図、図2は、同扉体を開き外筐部材の一部を取外して示す斜視図、図3は、同上部の外筐部材を取外して示す平面図、図4は、飲料抽出ユニットを示す斜視図、図5は、飲料抽出ユニットと給湯装置との接続関係を示すブロック図、図6及び図7は、飲料抽出ユニットの抽出動作を模式的に示す断面図、図8は、洗浄動作を示すブロック図、図9は、抽出動作における送出ポンプと電磁弁の駆動状態を示すタイムチャート、図10は、コントローラを示す平面図、図11は、洗浄動作を示すフローチャートである。
【0013】
図1に示すように、飲料供給装置1は、給茶機であり、この給茶機は、飲料としてお茶とコーヒーを供給できるもので、箱状の外筐部材を備えた本体2とこの本体2の前面開口部に開閉可能に取付けられた扉体3とを備えている。本体2内には、飲料抽出装置10及び給茶装置20が配設されている。扉体3前面のパネルにはお茶、コーヒーやホット、コールド等の飲料選択ボタン3aが設けられており、また、カップの取出口3bが形成されており、取出口3bの前方にはカップ置台3dが設けられている。なお、飲料選択ボタン3aはLEDで表示されるようになっている。
【0014】
図2及び図3に示すように、本体2内の前面側には、飲料抽出装置10及び給茶装置20が並んで配設されており、これらの下側には、飲料が供給されるカップを載置するカップステーション30が配設されている。一方、本体2内の背面側には、冷水供給装置31と給湯装置32とが配設されている。冷水供給装置31は、飲料抽出装置10と対向するように、後ろ側に配置されている。また、給湯装置32は、冷水供給装置31と横に並列し、かつ給茶装置20と対向するように、後ろ側に配置されている。冷水供給装置31は、冷却ユニットを用いて冷却水を貯留する冷却タンクを有し、この冷却タンクに貯留された冷却水を供給する。給湯装置32は、湯タンクを有し、ヒータや電磁弁等を備えており、ヒータで所定の湯温に沸かして湯タンクに貯留された湯を供給する。なお、扉体3の背面には、各種モータや電磁弁等、装置全体を制御するコントローラCが取付けられている。
【0015】
飲料抽出装置10は、原料としてコーヒー豆を挽いたコーヒー粉末を用いてレギュラーコーヒーを抽出するブルワであり、原料としてコーヒー粉末を供給する原料供給ユニット11と、原料及び湯を用いて飲料を抽出する飲料抽出ユニット12とを備えている。原料供給ユニット11は、コーヒー粉末を収納するキャニスタを有し、キャニスタには、コーヒー粉末を繰り出すことができる繰出機構が配設されている。したがって、原料供給ユニット11からは、原料としてのコーヒー粉末が飲料抽出ユニット12に供給される。
【0016】
図4に示すように、飲料抽出ユニット12は、一対のフレーム12a、12bを有し、これらフレーム12a、12b間には、原料供給ユニット11から原料を受け、また、抽出済みの原料を排出する原料供給排出機構40及び原料を湯で抽出する抽出機構50が配設されている。さらに、これらフレーム12a、12b内には原料供給排出機構40及び抽出機構50を動作させるモータ、ギヤ等の駆動機構が配設されている。抽出機構50の上部には、給湯装置32から所定圧力の湯を供給するホース12cが接続され、下部には、抽出した飲料をカップに注ぐ注出口12dが接続されている。
【0017】
図2に示す給茶装置20は、原料として緑茶等の粉末原料を供給する給茶用原料供給ユニットと、原料及び湯又は冷水を用いて飲料を提供する給茶用ユニットとを備えている。また、給茶用ユニットには、原料と湯又は冷水とを撹拌混合するミキシングボールが設けられており、このミキシングボールの下部には、飲料をカップに注ぐ注出口が接続されている。そして、給茶用の飲料選択ボタン3aが操作されると、選択された原料が給茶用原料供給ユニットからミキシングボールに供給されるとともに、給湯装置32から湯又は冷水供給装置31から冷水が供給され、これら原料と湯又は冷水が撹拌混合される。所定時間撹拌混合した後、ミキシングボールから注出口を経由して飲料がカップステーション30に載置されたカップに注がれる。
【0018】
図5に示すように、飲料抽出ユニット12は、給湯装置32と送出ポンプ33を介して給湯経路32aによって接続されている。具体的には、抽出機構50に送出ポンプ33によって所定の圧力に加圧された湯が供給されるようになっている。送出ポンプ33には、このポンプ33を駆動するモータ34が接続されており、さらに、モータ34には、モータ34の回転を検知する回転検知手段としてエンコーダ35が接続されている。エンコーダ35は、モータ1回転に対し1パルスを出力するもので、後述するフィルタの目詰まり検知手段としての機能を有する。また、給湯装置32には、湯の供給を制御する電磁弁32bが設けられている。
【0019】
図6に示すように、飲料抽出ユニット12における抽出機構50は、一対のフレーム12a、12b間に上下方向に移動可能な円筒状のシリンダ51と、このシリンダ51に対し上下方向に移動可能な上側ピストン52及びシリンダ51内に位置し固定的に配設されている下側ピストン53とを備えている。上側ピストン52は、略円盤状のピストン部52aと、このピストン部52aに一体的に連結された円筒状のロッド部52bを有している。これらピストン部52a及びロッド部52bの内部には、給湯装置32から送出される湯が通過するように前記給湯経路32aの一部をなす湯供給通路52cが形成されており、この湯供給通路52cの一端側、すなわち、ピストン部52a側には湯の出口である供給口52dが形成されている。また、ピストン部52aの下面には供給口52dから送出される湯が通過するフィルタ54が取付けられている。さらに、湯供給通路52cの他端側、すなわち、ロッド部52bの上部には、給湯経路32a(図5参照)として、接続継手を介してホース12c(図4参照)が接続されるようになっている。
【0020】
下側ピストン53は、略円盤状のピストン部53aと、このピストン部53aに一体的に連結された円筒状のロッド部53b及びこれらピストン部53a、ロッド部53bをフレーム12a、12bに対して位置固定的に取付ける支持部53eを有している。これらピストン部53a、ロッド部53b及び支持部53eの内部には、抽出液が通過するように抽出液流出経路の一部をなす抽出液流出通路53cが形成されており、この抽出液流出通路53cの一端側、すなわち、支持部53e側には抽出液の出口である流出口53dが形成されている。また、ピストン部53aの上面には抽出液を濾すフィルタ55が着脱可能に取付けられている。
【0021】
次に、図6及び図7を参照して抽出機構50の基本的な動作を説明する。なお、これらの動作はフレーム12a、12b内に配設された図示しない駆動機構によって実行される。図6に示す初期状態においては、シリンダ51が下降しており、シリンダ51の上面が下側ピストン53の上面、すなわち、フィルタ55面と同一面に位置され、上側ピストン52は上昇した位置にある。そして、下側ピストン53のフィルタ55面には、原料供給ユニット11から原料供給排出機構40を通じて供給された原料としてのコーヒー粉末Pが1回の抽出分セットされている。
【0022】
続いて、図7に示す抽出状態においては、シリンダ51が上昇し、このシリンダ51内に上側ピストン52が嵌合して係合し、シリンダ51、下側ピストン53及び上側ピストン52との間にコーヒー粉末Pが収納された抽出室56が形成される。次いで上側ピストン52がシリンダ51内を下降し、下側ピストン53との間でコーヒー粉末Pが圧縮状態とされる。このコーヒー粉末Pが圧縮状態とされるに伴い、給湯装置32から送出ポンプ33によって加圧された湯が湯供給通路52c、供給口52d、フィルタ54を経由して抽出室56に供給される。加圧された湯が圧縮されたコーヒー粉末Pを通過する間に抽出された抽出液は、フィルタ55によって濾され、抽出液流出通路53c、流出口53dを経由して抽出液流出経路の末端の注出口12d(図4参照)に流れ、カップに注がれる。以上で1回の抽出動作は終了するが、次の抽出動作にあたっては、原料供給排出機構40によって抽出済みのコーヒー粉末Pは排出廃棄され、再び前述の初期状態に戻り動作するようになっている。なお、ここで抽出液流出経路とは、湯がコーヒー粉末Pを通過し抽出液となった後から注出口12dに至るまでの経路を意味する。
【0023】
次に、図8乃至図11を参照して抽出機構50の洗浄動作について説明する。抽出機構50の洗浄動作は、主としてフィルタ55の目詰まりを解消するため、原料としてのコーヒー粉末Pをセットすることなく、湯のみを抽出機構50に流してフィルタ55を洗浄するものである。いわゆるブルワリンスと呼ばれる洗浄である。
【0024】
図8において、扉体3の背面に設けられたコントローラCは、マイコン等から構成された制御手段60と、この制御手段60に接続された操作パネルからなる入力手段61を備えている。制御手段60は、飲料供給装置1全体の制御を司るものであり、入力手段61は、各種制御データを入力するものである。また、制御手段60には、フィルタ55の目詰まり検知手段、具体的には、前記エンコーダ35が接続されている。さらに、制御手段60には、制御手段60からの出力信号を受信して動作するリンス実行手段62及び警告手段63が接続されている。リンス実行手段62は、電磁弁やポンプ等から構成されており、所定のプログラムで洗浄を実行するものである。警告手段63は、扉体3前面のパネルに設けられ、LEDで表示する飲料選択ボタン3a等から構成されている。
【0025】
コーヒーを抽出する場合、給湯装置32から送出ポンプ33によって湯がコーヒー粉末Pを通過し抽出される。図9に示すように、例えば、1回分の抽出量100mlの場合、送出ポンプ33は、まず、T1の期間駆動し、全量の5%、すなわち、5mlを抽出するように湯を供給する。T2の期間は、原料を蒸らすため停止している。次に、T3の期間駆動し、95%、すなわち、95ml抽出するように湯を供給する。以後T4の期間は、送出ポンプ33は駆動しているが、電磁弁32bが閉じているので、抽出は行われず、抽出経路を乾燥するためにエアーブローが行われる。なお、図示のように、電磁弁32bは、抽出期間に伴って開弁するように駆動する。
【0026】
ここで、エンコーダ35は、モータ34の回転を検知、つまり、モータ34の1回転に対し1パルスを出力しているので、制御手段60は、T3の期間のエンコーダ35からの出力パルスによって、T3の期間のパルスの平均時間幅(パルスとパルスの間隔)を演算するようになっている。したがって、例えば、フィルタ55に目詰まりが生じると、湯を供給するにあたり、送出ポンプ33の負荷が増大し、ひいてはモータ34の負荷が増大し回転数が低下することになる。その結果、エンコーダ35は、モータ34の回転を検知しているので、T3の期間におけるパルス数が減少し、パルスの平均時間幅が長くなる。本実施形態では、このようなパルスの平均時間幅のデータを用いてフィルタ55の目詰まりを検知し、洗浄動作を実行するものである。
【0027】
図10を参照してコントローラCによる洗浄動作の設定操作について説明する。図10(a)は、コントローラCの操作パネル64を示し、パネル64には、LCD等の表示部65、入力スイッチとして複数のメンブレンスイッチ66が配設されている。図10(b)は、表示部65における一表示態様を示しており、「ドウサ」「ケイコク」と表示されている。この「ドウサ」又は「ケイコク」は選択できるようになっており、「ドウサ」を選択した場合には、洗浄動作条件(フィルターの目詰まり状態)になったときに洗浄動作(リンス動作)を実行する。一方、「ケイコク」を選択した場合には、洗浄動作条件になったときに警告を行う。
【0028】
続いて、図10(c)のように表示され、「ジカン」「パルス」「リョウ」が設定可能となり、これが洗浄動作の条件となる。「ジカン」は、抽出後、その設定時間が到来した場合に洗浄動作を実行するものである。「240」と設定すれば、飲料抽出後、240分後に洗浄動作が実行される。「パルス」は、前記T3の期間におけるパルスの平均時間幅の伸び率を設定するもので、例えば、「20」と設定すれば、第1回目の抽出のパルスの平均時間幅を基に、これに対する第2回目以降のパルスの平均時間幅を比較し、伸び率が20%以上であれば洗浄動作又は警告が行われる。伸び率が増大するということは、それだけ目詰まり状態が進んでいることを意味する。因みに、設定範囲は、「0、20〜90」であり、「0」と設定されている場合は、パルスの平均時間幅による洗浄動作又は警告は行われない。なお、「ジカン」の設定に対し、「パルス」の設定による動作が優先して行われるようになっている。「リョウ」は、洗浄に費やす湯の量を設定するものであり、「0〜50」の範囲で設定できる。また、「カイスウ」という表示がなされるようにし、抽出回数を設定できるようにしてもよい。この場合は、設定した抽出回数に達したときに洗浄動作が実行される。前記と同様に、「カイスウ」の設定に対し、「パルス」の設定による動作が優先して行われるようにすればよい。さらにまた、これら「ジカン」「パルス」「カイスウ」による洗浄動作条件の優先順位を設定できるようにしてもよい。
【0029】
次に、具体例を図8及び図11を参照して説明する。まず、洗浄動作を実行する「ドウサ」を選択し、「パルス」の設定を「50」とする(S1)。第1回目の抽出において、制御手段60は、目詰まり検知手段、すなわち、エンコーダ35の前記T3の期間における出力パルスを受信し、パルスの平均時間幅を演算し、メモリに記憶する(S2)。このときのパルスの平均時間幅を20msとする。次に、第2回目以降の抽出においても第1回目と同様に、制御手段60は、パルスの平均時間幅を演算する(S3)。そして、第1回目のパルスの平均時間幅と第2回目以降のパルスの平均時間幅とを比較し、伸び率を演算し、伸び率が50%以上、すなわち、第2回目以降のパルスの平均時間幅が30ms以上になっているか否かを判定する(S4)。パルスの平均時間幅が30ms以上になっていれば、伸び率が50%以上であるため、制御手段60は、リンス実行手段62に出力信号を送信する。これを受け、リンス実行手段62は、洗浄動作を実行する(S5)。具体的には、給湯装置32から湯が抽出機構50へ流出され、これによりフィルタ55が洗浄される。また、伸び率が50%以上になっていなければ、洗浄動作は実行されず、再び次の抽出時にパルスの平均時間幅を演算する。
【0030】
なお、「ケイコク」が選択されている場合には、洗浄動作条件になったときに、警告手段63としての飲料選択ボタン3aが点滅し、この点滅している飲料選択ボタン3aを5秒以上押し続けると洗浄動作が実行される。なお、前記伸び率が90%以上になった場合には、点滅している飲料選択ボタン3aを操作しても飲料が抽出されないようになっている。フィルタの目詰まりによって抽出量が不足し、所定の量に至らない等の不都合が生じるためである。
【0031】
以上のように本実施形態によれば、フィルタの目詰まり検知手段として送出ポンプ33に接続されたモータ34の回転を検知するエンコーダ35を設けたので、フィルタ55の目詰まりの状態を検知し、フィルタの洗浄動作を実行できる飲料供給装置を提供することができる。
【0032】
本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、抽出室は、抽出過程におけるシリンダとピストン等の動作によって形成されるものではなく、抽出過程にかかわらず、予め独立して形成されている形態でもよい。また、目詰まり検知手段としては、圧力センサ等を適用できる。また、飲料抽出装置は、コーヒー豆を挽くミルを備えているものであってもよく、さらに、本発明は、カップ式飲料自動販売機等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る飲料供給装置を示す正面図である。
【図2】同扉体を開き外筐部材の一部を取外して示す斜視図である。
【図3】同上部の外筐部材を取外して示す平面図である。
【図4】同飲料抽出ユニットを示す斜視図である。
【図5】同飲料抽出ユニットと給湯装置との接続関係を示すブロック図である。
【図6】同飲料抽出ユニットの抽出動作を模式的に示す断面図である。
【図7】同じく飲料抽出ユニットの抽出動作を模式的に示す断面図である。
【図8】同洗浄動作を示すブロック図である。
【図9】同抽出動作における送出ポンプと電磁弁の駆動状態を示すタイムチャートである。
【図10】同コントローラを示す平面図である。
【図11】同洗浄動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
1・・・飲料供給装置、32・・・給湯装置、32a・・・給湯経路、
33・・・ポンプ(送出ポンプ)、34・・・モータ、
35・・・目詰まり検知手段、回転検知手段(エンコーダ)、55・・・フィルタ、
56・・・抽出室、P・・・粉末原料
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の抽出工程を経て飲料を抽出する飲料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種、飲料供給装置として飲料をカップに入れて提供するものでは、原料としてコーヒー豆を挽いたコーヒー粉末を使用してレギュラーコーヒーを抽出する場合、コーヒー粉末を収納する原料供給部から所定量のコーヒー粉末を供給し、このコーヒー粉末と湯とを抽出室に供給し、この抽出室で所定の抽出工程を経てコーヒー液を抽出している。
【0003】
例えば、特許文献1に示すように、シリンダと上側ピストン及び下側ピストンとで形成された抽出室にコーヒー粉末を供給し、このコーヒー粉末を圧縮し、その後、抽出室に所定圧力の湯を上側ピストンに設けられたフィルタを通じて供給する。そして、所定圧力の湯が圧縮されているコーヒー粉末を通過するするとともに、抽出液が下側ピストンの上面に設けられたフィルタで濾されて流出し、カップに注がれる。このような飲料供給装置では、主としてフィルタの目詰まりを解消するため、原料としてのコーヒー粉末をセットすることなく、湯又は水のみを流して抽出動作と同様な動作を行い、フィルタを洗浄している。いわゆるブルワリンスを実行しており、このブルワリンスは、コントローラに時間や抽出回数を設定することにより、設定した時間や抽出回数が到来すると、自動的に実行されるようになっている。
【特許文献1】特許第4084369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように時間や抽出回数を設定する場合には、実際のフィルタの目詰まりの状態にかかわらずリンスが行われるもので、目詰まりが発生していないのにリンスが実行され、水が無駄に使用されたり、また、逆に、目詰まりが発生しているのにリンスが行われないまま飲料が抽出され、その結果、抽出量が減少したりする不具合が生じる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたもので、フィルタの目詰まりの状態を検知し、フィルタの洗浄動作を実行できる飲料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の飲料供給装置は、粉末原料が供給される抽出室と、この抽出室へ加圧された湯を給湯経路を通じて供給する給湯装置と、前記抽出室から流出される抽出液を濾すフィルタと、このフィルタを通過した抽出液が流出する抽出液流出経路と、前記給湯装置から抽出液流出経路の末端に至るまでの経路中に設けられたフィルタの目詰まり検知手段とを具備することを特徴とする。
【0007】
本発明及び以下の発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は次による。抽出室は、例えば、抽出過程におけるシリンダとピストン等の動作によって形成される形態であっても、抽出過程にかかわらず予め独立して形成されているものであってもよい。給湯装置から抽出液流出経路の末端に至るまでの経路とは、給湯装置から湯が流れて通過する給湯経路から、湯が粉末原料を通過し抽出液となった後、その抽出液を例えば、カップに注ぐところの注出口に至るまでの全経路を意味する。したがって、この経路中に目詰まり検知手段を備えていればよい。また、目詰まり検知手段は、ポンプに接続されたモータの負荷を検知するものや経路中の圧力を検知する圧力センサ等を適用でき、フィルタの目詰まりを検知できればよく、その手段は、格別限定されるものではない。
【0008】
請求項2に記載の飲料供給装置は、請求項1に記載の飲料供給装置において、前記給湯経路中には湯を加圧して抽出室へ供給するモータに接続されたポンプが設けられており、前記目詰まり検知手段は、前記モータの回転を検知する回転検知手段であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の飲料供給装置は、請求項2に記載の飲料供給装置において、前記回転検知手段は、制御手段に接続されており、回転検知手段は、モータの回転に対応してパルスを出力し、制御手段は、この出力されたパルスを受信してパルスの平均時間幅を演算することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の飲料供給装置は、請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の飲料供給装置において、前記目詰まり検知手段の検知出力により、フィルタの洗浄動作が開始されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フィルタの目詰まりの状態を検知し、フィルタの洗浄動作を実行できる飲料供給装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態に係る飲料供給装置ついて図1乃至図11を参照して説明する。図1は、飲料供給装置として給茶機を示す正面図、図2は、同扉体を開き外筐部材の一部を取外して示す斜視図、図3は、同上部の外筐部材を取外して示す平面図、図4は、飲料抽出ユニットを示す斜視図、図5は、飲料抽出ユニットと給湯装置との接続関係を示すブロック図、図6及び図7は、飲料抽出ユニットの抽出動作を模式的に示す断面図、図8は、洗浄動作を示すブロック図、図9は、抽出動作における送出ポンプと電磁弁の駆動状態を示すタイムチャート、図10は、コントローラを示す平面図、図11は、洗浄動作を示すフローチャートである。
【0013】
図1に示すように、飲料供給装置1は、給茶機であり、この給茶機は、飲料としてお茶とコーヒーを供給できるもので、箱状の外筐部材を備えた本体2とこの本体2の前面開口部に開閉可能に取付けられた扉体3とを備えている。本体2内には、飲料抽出装置10及び給茶装置20が配設されている。扉体3前面のパネルにはお茶、コーヒーやホット、コールド等の飲料選択ボタン3aが設けられており、また、カップの取出口3bが形成されており、取出口3bの前方にはカップ置台3dが設けられている。なお、飲料選択ボタン3aはLEDで表示されるようになっている。
【0014】
図2及び図3に示すように、本体2内の前面側には、飲料抽出装置10及び給茶装置20が並んで配設されており、これらの下側には、飲料が供給されるカップを載置するカップステーション30が配設されている。一方、本体2内の背面側には、冷水供給装置31と給湯装置32とが配設されている。冷水供給装置31は、飲料抽出装置10と対向するように、後ろ側に配置されている。また、給湯装置32は、冷水供給装置31と横に並列し、かつ給茶装置20と対向するように、後ろ側に配置されている。冷水供給装置31は、冷却ユニットを用いて冷却水を貯留する冷却タンクを有し、この冷却タンクに貯留された冷却水を供給する。給湯装置32は、湯タンクを有し、ヒータや電磁弁等を備えており、ヒータで所定の湯温に沸かして湯タンクに貯留された湯を供給する。なお、扉体3の背面には、各種モータや電磁弁等、装置全体を制御するコントローラCが取付けられている。
【0015】
飲料抽出装置10は、原料としてコーヒー豆を挽いたコーヒー粉末を用いてレギュラーコーヒーを抽出するブルワであり、原料としてコーヒー粉末を供給する原料供給ユニット11と、原料及び湯を用いて飲料を抽出する飲料抽出ユニット12とを備えている。原料供給ユニット11は、コーヒー粉末を収納するキャニスタを有し、キャニスタには、コーヒー粉末を繰り出すことができる繰出機構が配設されている。したがって、原料供給ユニット11からは、原料としてのコーヒー粉末が飲料抽出ユニット12に供給される。
【0016】
図4に示すように、飲料抽出ユニット12は、一対のフレーム12a、12bを有し、これらフレーム12a、12b間には、原料供給ユニット11から原料を受け、また、抽出済みの原料を排出する原料供給排出機構40及び原料を湯で抽出する抽出機構50が配設されている。さらに、これらフレーム12a、12b内には原料供給排出機構40及び抽出機構50を動作させるモータ、ギヤ等の駆動機構が配設されている。抽出機構50の上部には、給湯装置32から所定圧力の湯を供給するホース12cが接続され、下部には、抽出した飲料をカップに注ぐ注出口12dが接続されている。
【0017】
図2に示す給茶装置20は、原料として緑茶等の粉末原料を供給する給茶用原料供給ユニットと、原料及び湯又は冷水を用いて飲料を提供する給茶用ユニットとを備えている。また、給茶用ユニットには、原料と湯又は冷水とを撹拌混合するミキシングボールが設けられており、このミキシングボールの下部には、飲料をカップに注ぐ注出口が接続されている。そして、給茶用の飲料選択ボタン3aが操作されると、選択された原料が給茶用原料供給ユニットからミキシングボールに供給されるとともに、給湯装置32から湯又は冷水供給装置31から冷水が供給され、これら原料と湯又は冷水が撹拌混合される。所定時間撹拌混合した後、ミキシングボールから注出口を経由して飲料がカップステーション30に載置されたカップに注がれる。
【0018】
図5に示すように、飲料抽出ユニット12は、給湯装置32と送出ポンプ33を介して給湯経路32aによって接続されている。具体的には、抽出機構50に送出ポンプ33によって所定の圧力に加圧された湯が供給されるようになっている。送出ポンプ33には、このポンプ33を駆動するモータ34が接続されており、さらに、モータ34には、モータ34の回転を検知する回転検知手段としてエンコーダ35が接続されている。エンコーダ35は、モータ1回転に対し1パルスを出力するもので、後述するフィルタの目詰まり検知手段としての機能を有する。また、給湯装置32には、湯の供給を制御する電磁弁32bが設けられている。
【0019】
図6に示すように、飲料抽出ユニット12における抽出機構50は、一対のフレーム12a、12b間に上下方向に移動可能な円筒状のシリンダ51と、このシリンダ51に対し上下方向に移動可能な上側ピストン52及びシリンダ51内に位置し固定的に配設されている下側ピストン53とを備えている。上側ピストン52は、略円盤状のピストン部52aと、このピストン部52aに一体的に連結された円筒状のロッド部52bを有している。これらピストン部52a及びロッド部52bの内部には、給湯装置32から送出される湯が通過するように前記給湯経路32aの一部をなす湯供給通路52cが形成されており、この湯供給通路52cの一端側、すなわち、ピストン部52a側には湯の出口である供給口52dが形成されている。また、ピストン部52aの下面には供給口52dから送出される湯が通過するフィルタ54が取付けられている。さらに、湯供給通路52cの他端側、すなわち、ロッド部52bの上部には、給湯経路32a(図5参照)として、接続継手を介してホース12c(図4参照)が接続されるようになっている。
【0020】
下側ピストン53は、略円盤状のピストン部53aと、このピストン部53aに一体的に連結された円筒状のロッド部53b及びこれらピストン部53a、ロッド部53bをフレーム12a、12bに対して位置固定的に取付ける支持部53eを有している。これらピストン部53a、ロッド部53b及び支持部53eの内部には、抽出液が通過するように抽出液流出経路の一部をなす抽出液流出通路53cが形成されており、この抽出液流出通路53cの一端側、すなわち、支持部53e側には抽出液の出口である流出口53dが形成されている。また、ピストン部53aの上面には抽出液を濾すフィルタ55が着脱可能に取付けられている。
【0021】
次に、図6及び図7を参照して抽出機構50の基本的な動作を説明する。なお、これらの動作はフレーム12a、12b内に配設された図示しない駆動機構によって実行される。図6に示す初期状態においては、シリンダ51が下降しており、シリンダ51の上面が下側ピストン53の上面、すなわち、フィルタ55面と同一面に位置され、上側ピストン52は上昇した位置にある。そして、下側ピストン53のフィルタ55面には、原料供給ユニット11から原料供給排出機構40を通じて供給された原料としてのコーヒー粉末Pが1回の抽出分セットされている。
【0022】
続いて、図7に示す抽出状態においては、シリンダ51が上昇し、このシリンダ51内に上側ピストン52が嵌合して係合し、シリンダ51、下側ピストン53及び上側ピストン52との間にコーヒー粉末Pが収納された抽出室56が形成される。次いで上側ピストン52がシリンダ51内を下降し、下側ピストン53との間でコーヒー粉末Pが圧縮状態とされる。このコーヒー粉末Pが圧縮状態とされるに伴い、給湯装置32から送出ポンプ33によって加圧された湯が湯供給通路52c、供給口52d、フィルタ54を経由して抽出室56に供給される。加圧された湯が圧縮されたコーヒー粉末Pを通過する間に抽出された抽出液は、フィルタ55によって濾され、抽出液流出通路53c、流出口53dを経由して抽出液流出経路の末端の注出口12d(図4参照)に流れ、カップに注がれる。以上で1回の抽出動作は終了するが、次の抽出動作にあたっては、原料供給排出機構40によって抽出済みのコーヒー粉末Pは排出廃棄され、再び前述の初期状態に戻り動作するようになっている。なお、ここで抽出液流出経路とは、湯がコーヒー粉末Pを通過し抽出液となった後から注出口12dに至るまでの経路を意味する。
【0023】
次に、図8乃至図11を参照して抽出機構50の洗浄動作について説明する。抽出機構50の洗浄動作は、主としてフィルタ55の目詰まりを解消するため、原料としてのコーヒー粉末Pをセットすることなく、湯のみを抽出機構50に流してフィルタ55を洗浄するものである。いわゆるブルワリンスと呼ばれる洗浄である。
【0024】
図8において、扉体3の背面に設けられたコントローラCは、マイコン等から構成された制御手段60と、この制御手段60に接続された操作パネルからなる入力手段61を備えている。制御手段60は、飲料供給装置1全体の制御を司るものであり、入力手段61は、各種制御データを入力するものである。また、制御手段60には、フィルタ55の目詰まり検知手段、具体的には、前記エンコーダ35が接続されている。さらに、制御手段60には、制御手段60からの出力信号を受信して動作するリンス実行手段62及び警告手段63が接続されている。リンス実行手段62は、電磁弁やポンプ等から構成されており、所定のプログラムで洗浄を実行するものである。警告手段63は、扉体3前面のパネルに設けられ、LEDで表示する飲料選択ボタン3a等から構成されている。
【0025】
コーヒーを抽出する場合、給湯装置32から送出ポンプ33によって湯がコーヒー粉末Pを通過し抽出される。図9に示すように、例えば、1回分の抽出量100mlの場合、送出ポンプ33は、まず、T1の期間駆動し、全量の5%、すなわち、5mlを抽出するように湯を供給する。T2の期間は、原料を蒸らすため停止している。次に、T3の期間駆動し、95%、すなわち、95ml抽出するように湯を供給する。以後T4の期間は、送出ポンプ33は駆動しているが、電磁弁32bが閉じているので、抽出は行われず、抽出経路を乾燥するためにエアーブローが行われる。なお、図示のように、電磁弁32bは、抽出期間に伴って開弁するように駆動する。
【0026】
ここで、エンコーダ35は、モータ34の回転を検知、つまり、モータ34の1回転に対し1パルスを出力しているので、制御手段60は、T3の期間のエンコーダ35からの出力パルスによって、T3の期間のパルスの平均時間幅(パルスとパルスの間隔)を演算するようになっている。したがって、例えば、フィルタ55に目詰まりが生じると、湯を供給するにあたり、送出ポンプ33の負荷が増大し、ひいてはモータ34の負荷が増大し回転数が低下することになる。その結果、エンコーダ35は、モータ34の回転を検知しているので、T3の期間におけるパルス数が減少し、パルスの平均時間幅が長くなる。本実施形態では、このようなパルスの平均時間幅のデータを用いてフィルタ55の目詰まりを検知し、洗浄動作を実行するものである。
【0027】
図10を参照してコントローラCによる洗浄動作の設定操作について説明する。図10(a)は、コントローラCの操作パネル64を示し、パネル64には、LCD等の表示部65、入力スイッチとして複数のメンブレンスイッチ66が配設されている。図10(b)は、表示部65における一表示態様を示しており、「ドウサ」「ケイコク」と表示されている。この「ドウサ」又は「ケイコク」は選択できるようになっており、「ドウサ」を選択した場合には、洗浄動作条件(フィルターの目詰まり状態)になったときに洗浄動作(リンス動作)を実行する。一方、「ケイコク」を選択した場合には、洗浄動作条件になったときに警告を行う。
【0028】
続いて、図10(c)のように表示され、「ジカン」「パルス」「リョウ」が設定可能となり、これが洗浄動作の条件となる。「ジカン」は、抽出後、その設定時間が到来した場合に洗浄動作を実行するものである。「240」と設定すれば、飲料抽出後、240分後に洗浄動作が実行される。「パルス」は、前記T3の期間におけるパルスの平均時間幅の伸び率を設定するもので、例えば、「20」と設定すれば、第1回目の抽出のパルスの平均時間幅を基に、これに対する第2回目以降のパルスの平均時間幅を比較し、伸び率が20%以上であれば洗浄動作又は警告が行われる。伸び率が増大するということは、それだけ目詰まり状態が進んでいることを意味する。因みに、設定範囲は、「0、20〜90」であり、「0」と設定されている場合は、パルスの平均時間幅による洗浄動作又は警告は行われない。なお、「ジカン」の設定に対し、「パルス」の設定による動作が優先して行われるようになっている。「リョウ」は、洗浄に費やす湯の量を設定するものであり、「0〜50」の範囲で設定できる。また、「カイスウ」という表示がなされるようにし、抽出回数を設定できるようにしてもよい。この場合は、設定した抽出回数に達したときに洗浄動作が実行される。前記と同様に、「カイスウ」の設定に対し、「パルス」の設定による動作が優先して行われるようにすればよい。さらにまた、これら「ジカン」「パルス」「カイスウ」による洗浄動作条件の優先順位を設定できるようにしてもよい。
【0029】
次に、具体例を図8及び図11を参照して説明する。まず、洗浄動作を実行する「ドウサ」を選択し、「パルス」の設定を「50」とする(S1)。第1回目の抽出において、制御手段60は、目詰まり検知手段、すなわち、エンコーダ35の前記T3の期間における出力パルスを受信し、パルスの平均時間幅を演算し、メモリに記憶する(S2)。このときのパルスの平均時間幅を20msとする。次に、第2回目以降の抽出においても第1回目と同様に、制御手段60は、パルスの平均時間幅を演算する(S3)。そして、第1回目のパルスの平均時間幅と第2回目以降のパルスの平均時間幅とを比較し、伸び率を演算し、伸び率が50%以上、すなわち、第2回目以降のパルスの平均時間幅が30ms以上になっているか否かを判定する(S4)。パルスの平均時間幅が30ms以上になっていれば、伸び率が50%以上であるため、制御手段60は、リンス実行手段62に出力信号を送信する。これを受け、リンス実行手段62は、洗浄動作を実行する(S5)。具体的には、給湯装置32から湯が抽出機構50へ流出され、これによりフィルタ55が洗浄される。また、伸び率が50%以上になっていなければ、洗浄動作は実行されず、再び次の抽出時にパルスの平均時間幅を演算する。
【0030】
なお、「ケイコク」が選択されている場合には、洗浄動作条件になったときに、警告手段63としての飲料選択ボタン3aが点滅し、この点滅している飲料選択ボタン3aを5秒以上押し続けると洗浄動作が実行される。なお、前記伸び率が90%以上になった場合には、点滅している飲料選択ボタン3aを操作しても飲料が抽出されないようになっている。フィルタの目詰まりによって抽出量が不足し、所定の量に至らない等の不都合が生じるためである。
【0031】
以上のように本実施形態によれば、フィルタの目詰まり検知手段として送出ポンプ33に接続されたモータ34の回転を検知するエンコーダ35を設けたので、フィルタ55の目詰まりの状態を検知し、フィルタの洗浄動作を実行できる飲料供給装置を提供することができる。
【0032】
本発明は、上記実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、抽出室は、抽出過程におけるシリンダとピストン等の動作によって形成されるものではなく、抽出過程にかかわらず、予め独立して形成されている形態でもよい。また、目詰まり検知手段としては、圧力センサ等を適用できる。また、飲料抽出装置は、コーヒー豆を挽くミルを備えているものであってもよく、さらに、本発明は、カップ式飲料自動販売機等にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係る飲料供給装置を示す正面図である。
【図2】同扉体を開き外筐部材の一部を取外して示す斜視図である。
【図3】同上部の外筐部材を取外して示す平面図である。
【図4】同飲料抽出ユニットを示す斜視図である。
【図5】同飲料抽出ユニットと給湯装置との接続関係を示すブロック図である。
【図6】同飲料抽出ユニットの抽出動作を模式的に示す断面図である。
【図7】同じく飲料抽出ユニットの抽出動作を模式的に示す断面図である。
【図8】同洗浄動作を示すブロック図である。
【図9】同抽出動作における送出ポンプと電磁弁の駆動状態を示すタイムチャートである。
【図10】同コントローラを示す平面図である。
【図11】同洗浄動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
1・・・飲料供給装置、32・・・給湯装置、32a・・・給湯経路、
33・・・ポンプ(送出ポンプ)、34・・・モータ、
35・・・目詰まり検知手段、回転検知手段(エンコーダ)、55・・・フィルタ、
56・・・抽出室、P・・・粉末原料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末原料が供給される抽出室と、この抽出室へ加圧された湯を給湯経路を通じて供給する給湯装置と、前記抽出室から流出される抽出液を濾すフィルタと、このフィルタを通過した抽出液が流出する抽出液流出経路と、前記給湯装置から抽出液流出経路の末端に至るまでの経路中に設けられたフィルタの目詰まり検知手段とを具備することを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記給湯経路中には湯を加圧して抽出室へ供給するモータに接続されたポンプが設けられており、前記目詰まり検知手段は、前記モータの回転を検知する回転検知手段であることを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記回転検知手段は、制御手段に接続されており、回転検知手段は、モータの回転に対応してパルスを出力し、制御手段は、この出力されたパルスを受信してパルスの平均時間幅を演算することを特徴とする請求項2に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記目詰まり検知手段の検知出力により、フィルタの洗浄動作が開始されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の飲料供給装置。
【請求項1】
粉末原料が供給される抽出室と、この抽出室へ加圧された湯を給湯経路を通じて供給する給湯装置と、前記抽出室から流出される抽出液を濾すフィルタと、このフィルタを通過した抽出液が流出する抽出液流出経路と、前記給湯装置から抽出液流出経路の末端に至るまでの経路中に設けられたフィルタの目詰まり検知手段とを具備することを特徴とする飲料供給装置。
【請求項2】
前記給湯経路中には湯を加圧して抽出室へ供給するモータに接続されたポンプが設けられており、前記目詰まり検知手段は、前記モータの回転を検知する回転検知手段であることを特徴とする請求項1に記載の飲料供給装置。
【請求項3】
前記回転検知手段は、制御手段に接続されており、回転検知手段は、モータの回転に対応してパルスを出力し、制御手段は、この出力されたパルスを受信してパルスの平均時間幅を演算することを特徴とする請求項2に記載の飲料供給装置。
【請求項4】
前記目詰まり検知手段の検知出力により、フィルタの洗浄動作が開始されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一に記載の飲料供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−82046(P2010−82046A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252442(P2008−252442)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000221269)東芝機器株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000221269)東芝機器株式会社 (125)
【Fターム(参考)】
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