説明

飲料充填システム

【課題】 個々の容器にそれぞれ種類や分量、混合比等の異なる飲料を充填し、注文者、消費者の嗜好に対応した容器入り飲料を効率よく正確かつ迅速に充填する。
【解決手段】 複数の容器を順次搬送する容器搬送手段と、種類の異なる飲料を貯留した複数の飲料タンクを備え、容器搬送手段により搬送される複数の各容器に所定の飲料を注入する飲料供給手段と、複数の各容器に対応する所定の飲料情報が書き込まれた識別タグと、識別タグに書き込まれる飲料情報に基づき、飲料供給手段を制御して複数の各容器に所定の飲料を注入させる制御手段と、を備え、制御手段の制御により、複数の各容器に1又は2以上の飲料タンクの飲料が注入される構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PET樹脂等からなる樹脂製のカップ容器やボトル容器、アルミニウム缶やスチール缶等の金属製容器等に飲料を充填・密封して容器入り飲料を製造するための飲料充填システムに関し、より詳しくは、個々の容器にそれぞれ種類や分量、混合比等の異なる飲料を充填し、注文者、消費者の嗜好に対応した容器入り飲料を効率よく正確かつ迅速に充填することができる飲料充填システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、コーヒーや紅茶、緑茶、ミネラルウォーター、ジュース、ビール、コーラ、サイダー等の飲料は、PET樹脂等からなる樹脂製の容器や、アルミニウム缶やスチール缶等の金属製容器に充填・密封されて、容器入り飲料として製造、販売されている。
この種の容器入り飲料の製造工程は、殺菌・洗浄等された空の容器がコンベア等の搬送手段で搬送され、その搬送過程において、所定の飲料が所定量だけ各容器に充填され、その後、容器が蓋材等により密封されて容器入り飲料として出荷される。
【0003】
ここで、このような容器入り飲料の製造工程では、製造ラインの効率化を図るために、同一種類・同一分量の容器入り飲料が大量に製造されるようになっている。
すなわち、容器入り飲料の製造ラインでは、搬送されてくる大量の空容器に対して、同じ種類の飲料が同じ分量だけ充填されて密封等され、同一の容器入り飲料が大量に生産されるようになっている。例えばコーヒー飲料であれば、同じ成分のコーヒー飲料が同じ分量だけ各容器に充填・密封されて、例えば1000個単位で同一種類の容器入り飲料が製造されるようになっている。
【0004】
このため、例えば、同じコーヒー飲料であっても、ミルク・砂糖の入っていないブラックコーヒー、少量の砂糖が入った微糖コーヒー、ミルク・砂糖が入ったミルクコーヒー、ミルクが多めに入ったカフェオレ等の種類があるが、これらはコーヒー飲料という点では共通しても、それぞれ別の飲料として扱われ、それぞれが例えば1000個等のオーダーで製造されるようになっている。
従って、この種の容器入り飲料を注文する販売者、消費者も、同一の飲料をまとまった数だけ注文することになり、上記のようなコーヒー飲料としてブラックコーヒー、微糖コーヒー、ミルクコーヒー、カフェオレを注文する場合にも、それぞれ一定数量を同じ数だけ注文しなければならなかった。
【0005】
なお、カップ容器にその都度コーヒーや紅茶等を注入して販売する自動販売機においては、消費者の好みに応じて、上記のようなブラックコーヒー、微糖コーヒー、ミルクコーヒー、カフェオレ等を適宜選択でき、指定された数量だけ販売することが一般的に行われている。例えば、特許文献1には、消費者が自らのカップにバーコード等を貼付しておき、それを自動販売機が読み取ることで、予め登録されたその消費者の好みの成分のコーヒーを混合してカップに注入する自動販売機に関する発明が提案されている。
しかしながら、このような自動販売機でのコーヒー飲料等の提供・販売は、消費者のボタン操作やバーコード情報等に応じて、一杯ずつ飲料を選択・混合等して提供するものであって、これを大規模な製造ラインにおいて大量の容器入り飲料を製造する工程に当てはめることは不可能であった。
【0006】
【特許文献1】特開平9−267845号公報(第2−3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年は、消費者の嗜好の多様性やこだわり等により、容器入り飲料に対しても様々なニーズがあり、容器入り飲料の製造者、販売者にきめ細やかな商品提供が望まれる傾向にある。
また、商品販売経路の多様化や、売れ行き情報のリアルタイムな収集・分析等により、地域や季節、時間帯等に応じて、多種類の容器入り飲料を一定数ずつ販売することが要請されるようになっている。
【0008】
例えば、ある地域のコンビニエンスストアにおいて、同じコーヒー飲料であっても、ミルクコーヒーが最も売れ行きが良いが、少量ながらブラックコーヒーや微糖コーヒーも必ず売れる、という傾向があるとする。この場合に、ミルクコーヒーとブラックコーヒーと微糖コーヒーを、同じ数だけ仕入れて販売しては、ブラックコーヒーと微糖コーヒーが常に売れ残ってしまうことになる。一方、コーヒー飲料をすべてミルクコーヒーにしてしまうと、少量ながら確実なニーズのあるブラックコーヒーや微糖コーヒーの消費者の嗜好に対応できないことになる。
また、最終消費者の立場からも、例えば大規模な集会やパーティ向けに、一定のまとまった数の容器入り飲料を注文したい場合があり、その場合に、すべて同一の飲料よりも、参加者・出席者等の要望や嗜好等に応じて、種類の異なる飲料を一定量ずつ注文することができれば、非常に喜ばしいことになる。
【0009】
しかしながら、容器入り飲料を製造する製造者側からすれば、中身の異なる容器入り飲料を、一定の数だけ誤りなく製造することは非常に煩雑であり、また、そのような個別の注文を受け付け、注文通りの容器入り飲料を製造し、それを注文単位で誤りなく包装・配送等することは現実には至難の業であり、特に容器入り飲料の製造工程は一般に大規模であるため、現実にはそのようなニーズに対応することは不可能であった。
【0010】
本発明は、以上のような従来の技術が有する課題を解決するために提案されたものであり、樹脂製のカップ容器やボトル容器、缶容器等に飲料を充填・密封して容器入り飲料を製造するための飲料充填システムにおいて、個々の容器にそれぞれ種類や分量、混合比等の異なる飲料を充填し、注文者、消費者の嗜好に対応した容器入り飲料を効率よく正確かつ迅速に充填・製造することができる、少量かつ多種類の注文にも対応可能な飲料充填システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の飲料充填システムは、複数の容器を順次搬送する容器搬送手段と、前記容器搬送手段により搬送される複数の各容器に、所定の飲料を注入する飲料供給手段と、前記複数の各容器に対応する所定の飲料情報が書き込まれた識別タグと、前記識別タグに書き込まれる前記飲料情報に基づき、前記飲料供給手段を制御して、前記複数の各容器に所定の飲料を注入させる制御手段と、を備える構成としてある。
【0012】
より具体的には、本発明の飲料充填システムは、前記識別タグに前記飲料情報を書き込む情報書き込み手段を備え、前記制御手段が、前記情報書き込み手段により前記識別タグに書き込まれる前記飲料情報に基づいて、前記飲料供給手段を制御して、前記複数の各容器に所定の飲料を注入させる構成とすることができる。
また、本発明の飲料充填システムは、前記識別タグに書き込まれた前記飲料情報を読み込む情報読み込み手段を備え、前記制御手段が、前記情報読み込み手段により読み込まれた前記飲料情報に基づいて、前記飲料供給手段を制御して、前記複数の各容器に所定の飲料を注入させる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の飲料充填システムによれば、樹脂製のカップ容器やボトル容器、缶容器等に飲料を充填・密封して容器入り飲料を製造するための飲料充填システムにおいて、個々の容器にそれぞれ種類や分量、混合比等の異なる飲料を充填することができる。
従って、少量かつ多種類の注文にも対応可能となり、注文者、消費者の嗜好に対応した容器入り飲料を効率よく正確かつ迅速に充填・製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る飲料充填システムの好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
[第一実施形態]
まず、図1〜図9を参照して、本発明の飲料充填システムの第一実施形態について説明する。
図1は、本発明の第一実施形態に係る飲料充填システムの全体構成を模式的に示す説明図である。
同図に示すように、本実施形態の飲料充填システム1は、複数の容器2を順次搬送し、搬送される複数の各容器2に所定の飲料を注入して封印・出荷するための飲料充填システムである。
【0015】
具体的には、飲料充填システム1は、複数の容器2を順次搬送する容器搬送装置10と、容器搬送装置10により搬送される複数の各容器2に、所定の飲料を注入する飲料供給装置20と、飲料供給装置20を制御して複数の各容器2に所定の飲料を注入させる制御装置30、飲料が注入された複数の各容器2に蓋材3を取り付けて密封する容器シール装置40、密封された容器2を所定の包装単位で包装する包装装置50(図7〜8参照)等を備えている。
そして、本実施形態の飲料充填システム1では、複数の各容器2に対応して識別タグ4が備えられ、搬送経路の適所に配設された情報書き込み手段60(リーダライタ装置61、62)によって、各識別タグ4に各容器2に対応する所定の飲料情報が書き込まれるようになっており、この識別タグ4に書き込まれる飲料情報に基づいて、制御装置30が飲料供給装置20を制御して、複数の各容器2に所定の飲料を注入させるようになっている。
【0016】
[容器搬送装置]
容器搬送装置10は、複数の容器2を整列させた状態で順次搬送経路に沿って搬送させる容器搬送手段であり、所定のタイミングで駆動されるベルトコンベア等により構成される。
具体的には、容器搬送装置10は、図1に示すように、搬送経路の上流側(図面左側)から空の容器2が供給されると、この空の容器2を整列させた状態で順次下流側(図面右側)に搬送させ、搬送経路に沿って配設された飲料供給装置20、容器シール装置40、包装装置50へと容器2を搬送させていく。
本実施形態では、容器搬送装置10に供給されて搬送される容器2は、カップ型の容器となっており、上面に開口したカップ型の容器2が順次搬送され、容器上面の開口から飲料供給装置20により所定の飲料が注入され、その後、容器2の上面開口が容器シール装置40により蓋材3により覆われて封止・密封されるようになっている。
【0017】
[受け台]
本実施形態では、容器搬送装置10のベルトコンベアには受け台11が備えられており、複数の容器2が2次元方向に複数整列された状態で搬送されるようになっている。
図2は、本実施形態に係る受け台11を示す斜視図である。
同図に示すように、受け台11は、容器2が一つずつ係合・装着される孔が2次元方向に形成された枠体からなり、この受け台11に装着された容器2は、転倒、脱落等することなく整列された状態で搬送されることになる。
受け台11の孔は、孔上方からカップ型の容器2が底面側から挿入可能で、容器2の上部が通過不能に係止する大きさに形成されており、この孔が搬送方向(図2に示す矢印方向)に沿った縦横の二次元方向に複数形成されている。
本実施形態では、図2に示すように、受け台11には、搬送方向に対して横1列に4個の容器2が配設できるように4個の孔が形成され、この1列4個の孔が搬送方向に沿って複数列設されている。
【0018】
なお、受け台11の枠体の構成や容器を装着する孔の配列や数、構成等については、本実施形態で示すものに限られない。
例えば、本実施形態では、受け台11には横1列4個ずつの孔が形成されているが、孔の数は4個以上であっても4個以下であってもよい。
従って、1列1個の孔を備え、容器2を一次元状に装着・整列されるものであってもよい。
また、受け台11の孔は、容器2の底面側が突出・露出するようになっているが、孔自体を容器形状に形成することもできる。このようにすると、容器2の底面側が露出することなく受け台11によって覆われることになり、搬送時の容器2の姿勢をより堅固に維持でき、また、容器2の全体が覆われることで、容器2を保護することができるようになる。
【0019】
[受け台タグ]
そして、本実施形態では、上記のような受け台11に、容器2に対応する所定の飲料情報が書き込まれる識別タグ4(受け台タグ4a)が備えられている。
具体的には、受け台11の搬送方向側面に、容器2が配設される横1列毎に、所定の飲料情報が書き込まれていない識別タグ4(受け台タグ4a)が備えられている(図2参照)。
そして、この受け台タグ4aに、各受け台タグ4aに対応する各列に配設される複数(例えば4個)の容器2についての所定情報(飲料情報)が書き込まれるようになっている。
【0020】
これによって、受け台11の各列に属する容器2について、個々の容器2毎の飲料情報が受け台11の位置とともに管理・制御されることになる。これにより、例えば、いずれかの容器2の破損や飲料漏れ、飲料不足等の不良が発生した場合、受け台タグ4aに書き込まれている受け台11の位置情報を参照することにより、いずれの製造ラインに不具合等が発生したかを直ちに特定することが可能となる。
なお、以上のような受け台11を備えず、ベルトコンベア等に直接容器2を搭載して搬送することも可能である。その場合には、ベルトコンベア上の各容器2と対応する位置に受け台タグ4aに相当する識別タグ4を備えるようにする。
【0021】
受け台11に備えられる受け台タグ4aは、所定のリーダライタ装置との間で無線によるデータの読み書きが可能なICタグにより構成されている。
ICタグは、非接触ICタグ、RFID(RadioFrequencyIdentification)タグ、RFIDチップ、RFタグ等とも呼ばれ、ICチップと無線アンテナを樹脂やガラス等で封止してタグ(荷札)状に形成した超小型(例えば40mm×20mm等)の通信端末で、ICチップに所定の情報を記録して対象物にタグを取り付け、記録した情報を無線通信により読取装置(リーダ・ライタ)側でピックアップすることにより、ICチップに記録された情報を認識、表示するものである。
【0022】
ICタグは、ICチップのメモリに数百バイト〜数キロバイトのデータが記録可能であり、十分な情報等を記録でき、また、読取装置側と非接触であるため接点の磨耗や傷、汚れ等の心配もなく、さらに、タグ自体は無電源にすることができるため対象物に合わせた加工や小型化・薄型化が可能となる。
このようなICタグを用いることで、複数の各容器2に対応する種々の情報、例えば容器2の位置情報や、その容器2に注入する飲料の種類や分量、製造年月日、賞味期限、注文者の氏名・名称、配送先等の種々の情報が記録可能となる。
なお、この種のICタグは、電源を内蔵した能動型(アクティブタイプ)と電源を内蔵しない受動型(パッシブタイプ)があり、また、使用する交信周波数によって、135kHzや13.56MHzの周波数帯を使用する電磁誘導方式や、UHF帯や2.45GHz等の周波数帯を使用する電波方式などに分けられる。
【0023】
本実施形態では、受け台タグ4aに書き込まれる飲料情報として、受け台11の各列を特定する情報(例えば1列目、2列目等)、各列における各容器2を特定する識別情報(例えば右から1番目、2番目等)、各容器2に注入される飲料の種類及び分量を示す情報、その飲料の注文者を示す識別情報等が書き込まれるようになっている。
また、この受け台タグ4a(及び後述する容器タグ4b)に上記のような飲料情報を書き込むための情報書き込み手段60として、本実施形態では、搬送経路上の適切な位置にICタグ用のリーダライタ装置61、62が配設されている(図1参照)。このリーダライタ装置61、62が、制御装置30の書き込み制御により、各容器2に飲料が注入される前又は注入と同時、あるいは注入された後に、その注入される飲料に対応する所定の飲料情報を識別タグ4(受け台タグ4a、容器タグ4b)に書き込むようになっている。
【0024】
具体的には、本実施形態では、図1に示すように、飲料供給装置20の近傍に、受け台タグ4aを構成するICタグへのデータの書き込みを行う第一のリーダライタ装置61が備えられている。この第一のリーダライタ装置61には、制御装置30から飲料供給装置20に出力される制御信号と同様の内容の飲料情報が送出され、各容器2への飲料の注入前後のタイミングで、対応する受け台タグ4aに書き込まれるようになっている(図1に示す破線参照)。
ここで、この第一のリーダライタ装置61による受け台タグ4aへの書き込みは、飲料供給装置20と同期を取ることにより行われる。例えば、飲料供給装置20により飲料が供給された容器2が、何サイクル目(何番目)に第一のリーダライタ装置61の書き込みタイミングに搬送されるかをカウントすることで、その容器2に注入された飲料に対応する飲料情報を、当該容器2に対応する受け台タグ4aに書き込ませることができる。
【0025】
さらに、図1に示すように、容器シール装置40の下流に、後述する蓋材3に貼付された容器タグ4bを構成するICタグへのデータの書き込みを行う第二のリーダライタ装置62が備えられている。
この第二のリーダライタ装置62も、第一のリーダライタ装置61と同様、制御装置30から飲料供給装置20に出力される制御信号と同様の内容の飲料情報が送出され、飲料が注入された各容器が蓋材3により密封・シールされたタイミングで、対応する各容器の蓋材3に貼付された容器タグ4bに書き込まれるようになっている(図1に示す一点鎖線参照)。
【0026】
[飲料供給装置]
飲料供給装置20は、容器搬送装置10により搬送される複数の各容器2に、所定の飲料を注入する飲料供給手段である。
具体的には、飲料供給装置20は、空の容器2が供給された容器搬送装置10の下流側(図1の図面右側)に位置しており、種類の異なる飲料を貯留した複数の飲料タンク21と、各飲料タンクに対応した複数のノズル22を備えている。そして、飲料供給装置20は、制御装置30の制御により、容器搬送装置10によって搬送されてくる空の容器2に対して、1又は2以上の飲料タンクの飲料を注入するようになっている。
複数の飲料タンク21には、コーヒーや紅茶、日本茶、ジュース、コーラ等のそれぞれ種類の異なる飲料が貯留されており、各タンクの飲料が、そのまま、あるいは二以上のタンクの飲料が混合されて、各容器2に注入されるようになっている。
【0027】
本実施形態では、飲料タンク21に貯留される飲料として、濃度や成分の異なる3種類のコーヒー(例えば、濃いめ、薄め、エスプレッソ)を入れた調合タンク1〜3(調合タンク1:レギュラーコーヒー濃いめ、調合タンク2:レギュラーコーヒー薄め、調合タンク3:エスプレッソ)と、ミルクのタンク、糖液のタンクの5つの飲料タンク21a〜21eが備えられている。
このように複数の飲料タンクを備えることにより、同じコーヒー飲料であっても、味の異なる任意のコーヒーを調合して容器2に注入することができ、注文者の細かい注文内容に対応することができるようになっている。
【0028】
図3に、注文内容に対応した飲料タンク21の調合の具体例を示す。
同図に示すように、同じコーヒー飲料、例えばミルクコーヒーであっても、カフェオレ、ラテ、深炒り、浅炒り・・・と、味や嗜好により濃度や成分が異なる。
ここで、図3に示すように、注文者(Iさん)からの注文として、「カフェオレ:3カップ、ブラック:1カップ、エスプレッソ:1カップ、エスプレッソ+カフェオレ:3カップ」という注文があったとする。
この場合、飲料タンク21は、調合タンク1(レギュラーコーヒー濃いめ)、調合タンク2(レギュラーコーヒー薄め)、調合タンク3(エスプレッソ)、ミルクタンク、糖液タンクの5つの飲料タンク21a〜21eを備えているので、上記注文に対応する各飲料タンク21の組み合わせは、図3に示すように以下のようになる。
【0029】
カフェオレ+エスプレッソ=調合タンク2+調合タンク3+ミルクタンク
エスプレッソ=調合タンク3
カフェオレ=調合タンク2+ミルクタンク
ブラックコーヒー=調合タンク1
【0030】
以上のようにして、複数の飲料タンク21の飲料を組み合わせることにより、多種類の飲料を調合・製造することができ、注文者、消費者の多様な嗜好や細かな注文に対応することができるようになる。このような飲料タンク21の組み合わせ制御は、制御装置30からの制御信号により行われる。
なお、飲料タンク21にどのような飲料を貯留・充填しておくか、飲料タンク21の数をいくつ設けるか等については、注文量や注文内容の傾向等に応じて任意に設定することができる。
例えば、上記図3の例で示すように、コーヒー飲料でカフェオレの注文が多い場合には、調合タンク2に「レギュラーコーヒー薄め+ミルク」を調合したカフェオレ飲料を貯留しておくことができる。このようにすると、複数タンクの調合を行う必要がなくなり、より簡単な制御・動作により飲料の注入が行えるようにある。
また、この場合、「レギュラーコーヒー薄め+ミルク」の飲料タンクと、「カフェオレ」の飲料タンクをそれぞれ設けておくことも勿論可能である。
【0031】
各飲料タンク21に対応するノズル22は、図1に示すように、制御装置30と接続されており、制御装置30から出力される制御信号により開閉制御され、容器搬送装置10によって搬送される所定の容器2に対して、各飲料タンク21の飲料を所定量注入するようになっている。
ここで、各ノズル22を制御する制御信号は、上述した受け台タグ4aに書き込まれる飲料情報に対応した内容となっており、注文内容に応じた所定の飲料が各容器2に注入されるようになっている。
そして、この飲料供給装置20から各容器2に注入される飲料の内容・成分・分量等が、その容器2に対応する受け台タグ4aに飲料情報として書き込まれることになる。これにより、各容器2に注入される飲料と、その飲料の内容を示す飲料情報とを、誤りなく一対一で対応させて管理・制御することが可能となる。
【0032】
[制御装置]
制御装置30は、飲料供給装置20を制御して複数の各容器2に所定の飲料を注入させるための本飲料充填システム1の制御手段である。
具体的には、制御装置30は、上述した容器搬送経路上の情報書き込み手段60(リーダライタ装置61、62)及び飲料供給装置20のノズル22に接続されたコンピュータにより構成されている。
すなわち、制御装置30は、プロセッサ(CPU)、データ記憶手段(RAM、ROM、ハードディスク等)、入出力インタフェース、データ入力手段(キーボード、マウス、スキャナ等)、データ出力手段(ディスプレイ、プリンタ等)等を備えたコンピュータ装置により構成されている。
【0033】
そして、制御装置30は、データ入力部31から入力される入力データに基づいて、リーダライタ装置61を介して受け台タグ4aへの所定の飲料情報の書き込みを行うとともに、飲料供給装置20のノズル22の開閉駆動制御を行う。これによって、各容器2に注文内容に応じた所定の飲料を注入させることができるとともに、各容器2に注入される飲料と、その飲料の内容を示す飲料情報とを、誤りなく一対一で対応させて管理することが可能となる。
また、制御装置30は、リーダライタ装置62を介して、飲料が注入された蓋材で密閉された容器2に備えられた識別タグ4(容器タグ4b)に、その容器2に対応する受け台タグ4aに書き込まれているのと同様の飲料情報を書き込む。これによって、注入が完了した飲料情報が容器側に書き込まれることになり、包装・出荷される各容器2について、中身の飲料の内容・成分・分量や注文者等の情報が、容器タグ4bの飲料情報が読み込まれることで得られることになる。
【0034】
制御装置30に入力される情報は、図1に示すように、データ入力部31を介して入力され、制御装置30に備えられた図示しない記憶手段に記憶・格納される。
ここで、データ入力部31は、制御装置30に接続されたキーボードやディスプレイ、スキャナ装置等、コンピュータにデータ入力可能な任意のデータ入力手段により構成することができる。
また、本実施形態では、データ入力部31として、図3に示すように、飲料情報を含む所定の注文情報をネットワークを介して受信する受信部31aを備えている。すなわち、受信部31aは、図4に示すように、ネットワーク200を介して外部の情報処理装置100とデータ送受信可能に接続されており、外部の任意の装置100からの情報を受信して、制御装置30に入力・記憶させるようになっている。
【0035】
この受信部31aとネットワーク200を介して通信可能に接続される外部の情報処理装置100としては、図4に示すように、例えば、コンビニエンスストアやスーパー等の小売り業者のオフィスに設置される情報処理装置(例えばワークステーションやデスクトップコンピュータ)100aや、注文者個人の自宅等に設置される情報処理装置(例えばノート型コンピュータ)100b、また、注文者が携帯・所持する無線通信端末(例えば携帯電話機)100cなどがあり、これら一又は二以上の各装置100が、インターネット等のネットワーク200を介して、受信部31、制御装置30とデータの送受信可能に接続されている。
このように、本実施形態の飲料充填システム1を、制御装置30の受信部31を介して外部の任意の装置100と通信可能に接続することによって、コンビニエンスストアやスーパー等の小売業者や個人の注文者が、自らのコンピュータや携帯電話機等を使用して、制御装置30に所定の飲料情報を含む飲料の注文情報を送信することができる。
そして、制御装置30では、受信部31aを介して受信した注文情報から所定の製造条件情報、飲料情報を抽出し、飲料供給装置20を制御し、また、情報書き込み手段60を介して識別タグ4(受け台タグ4a、容器タグ4b)に飲料情報の書き込みを行うことができる。
【0036】
ここで、ネットワーク200を介して外部の情報処理装置100から制御装置30に入力され、あるいは、データ入力部31から直接制御装置30に入力される注文情報は、上述した受け台タグ4a(及び容器タグ4b)に書き込まれる飲料情報及び飲料供給装置20の制御信号のベースとなる情報であり、注文に係る飲料の種類、数量、その飲料の注文者を示す情報等が含まれる。
図5(a)に、制御装置30に対して直接に又はネットワークを介して間接に入力される情報の一例を示す。
同図に示すように、制御装置30に入力される情報は、注文者(Aさん)単位で入力・記憶され、注文者単位・飲料の種類単位で与えられる識別情報(I−1〜I−6)、飲料の種類(コーヒーの濃さ、ミルク及び砂糖の有無と程度)、各飲料の数量を示す情報が含まれている。その他、図示しないが、注文者(Aさん)の住所や連絡先、飲料の配送先、配送日時、支払い方法等、発注及び納品に必要な情報も注文情報に含むことができる。
【0037】
この図5(a)に示す注文情報では、注文者Aさんが6種類の飲料を合計18個注文し、その内訳として、I−1「コーヒー:濃いめ、ミルク:なし、砂糖:無糖」×2個、I−2「コーヒー:濃いめ、ミルク:なし、砂糖:微糖」×3個、I−3「コーヒー:薄い、ミルク:少なめ、砂糖:微糖」×1個、I−4「コーヒー:濃いめ、ミルク:中、砂糖:無糖」×5個、I−5「コーヒー:濃いめ、ミルク:多め、砂糖:甘め」×4個、I−6「コーヒー:薄い、ミルク:少なめ、砂糖:甘め」×3個、であることが示されている。
【0038】
以上のような注文情報が、例えば、注文者Aさんが経営するコンビニエンスストアやスーパー等のコンピュータや自宅のコンピュータ、携帯電話機からインターネットを介して送信され、制御装置30に受信・入力されて記憶手段に記憶される。
また、以上のような注文情報が記載された文書(注文書)がFAXや郵便で制御装置30側に送られ、その注文書の記載内容がオペレータ等によってキーボード入力されたり、スキャナ装置等で読み取られてテキスト変換されて、制御装置30に入力・記憶される。
このようにして、飲料の注文者は、自分の店の売れ筋飲料や好みの飲料を注文情報として細かく指定して注文することができ、少量多種類の注文であっても容易かつ正確に本飲料充填システム1に対して飲料の発注をすることができる。
【0039】
制御装置30では、以上のような注文情報が受信・入力されると、その注文情報に基づいて、飲料の製造条件を示す所定の製造条件情報が生成され、記憶手段に記憶されるようになっている。
図5(b)に、入力された図5(a)に示した注文情報に基づいて制御装置30で生成・保持される飲料の製造条件情報の一例を示す。
同図に示すように、制御装置30で生成される製造条件情報は、注文者(Aさん)単位で生成・記憶され、注文者単位・飲料の種類単位で与えられる識別情報(I−1〜I−6)、飲料の種類(コーヒーの濃さ、ミルク及び砂糖の有無と程度)に応じた各飲料タンクの指定と注入分量、各飲料の数量を示す情報が含まれている。
【0040】
この図5(b)に示す製造条件情報では、注文者Aさんの注文飲料6種類合計18個についての製造条件が示されており、I−1「調合タンク1:180ml、ミルクタンク:なし、糖液タンク:0ml」×2個、I−2「調合タンク1:175ml、ミルクタンク:なし、糖液タンク:5ml」×3個、I−3「調合タンク1:173ml、ミルクタンク:2ml、糖液タンク:5ml」×1個、I−4「調合タンク1:175ml、ミルクタンク:5ml、糖液タンク:0ml」×5個、I−5「調合タンク1:150ml、ミルクタンク:10ml、糖液タンク:20ml」×4個、I−6「調合タンク1:158ml、ミルクタンク:2ml、糖液タンク:20ml」×3個、となっている。
【0041】
以上のような注文情報及びそれに対応する飲料の製造条件情報に基づいて、制御装置30は、リーダライタ装置61を介して受け台タグ4aへの所定の飲料情報の書き込みを行うとともに、飲料供給装置20のノズル22の開閉駆動制御を行う。また、制御装置30は、リーダライタ装置62を介して、飲料が注入された蓋材で密閉された容器2に備えられた容器タグ4bに、その容器2に対応する受け台タグ4aに書き込まれているのと同様の飲料情報を書き込む。
さらに、制御装置30は、以上のような飲料の注文情報及び製造条件情報を、例えば、日単位や月単位、飲料の種類単位、注文者単位等の任意の項目に基づいて集計・編集等できるようになっている。
【0042】
図6に、製造条件情報を集計・編集した一例を示す。
同図に示す例では、本飲料充填システム1のある一日における製造結果を集計したもので、飲料の種類単位で与えられる識別情報(A−1〜B−10)、飲料の種類に応じた各飲料タンクの注入分量、各飲料の製造数量を示す情報が含まれている。
この図6に示す集計情報では、ある日の1日の製造結果として、飲料A−1(調合タンク1:180ml、ミルクタンク:なし、糖液タンク:0ml)は総数1005個、飲料A−2(調合タンク1:175ml、ミルクタンク:なし、糖液タンク:5ml)は総数264個・・・、飲料B−10(調合タンク2:155ml、ミルクタンク:5ml、糖液タンク:20ml)は総数4643個が製造されたことがわかる。
このようにして、制御装置30では、製造された飲料について、任意の項目でデータを集計・編集等することができ、本飲料充填システム1の管理・運営等に有用な情報を得ることができる。
【0043】
[容器シール装置]
容器シール装置40は、飲料が注入された複数の各容器2に蓋材3を取り付けて封止・密封する容器封止手段である。
具体的には、密封シール装置40は、図1に示すように、飲料供給装置20の搬送経路下流側(図1の図面右側)に備えられ、飲料の注入・充填が完了した各容器2に、1個ずつ蓋材3を取り付けて容器を密封・封止するようになっている。
密封シール装置40は、図1に示すように、蓋材3となるロール状に巻かれた樹脂製フィルム材が搬送経路に沿って掛け渡されており、搬送されてくる容器2の上端面にフィルム上の蓋材3が熱溶着等によって固着・シールされた後、フィルム材が各容器2の外形に合わせて裁断されて容器2を1つずつ密封・封止するようになっている。
また、この密封シール装置40により密封された各容器2は、図1に示すように、搬送経路の最下流に備えられたピックアップ装置41によって搬送経路(受け台11)から取り上げられ、さらに下流の包装装置50(図7参照)へと送られることになる。
【0044】
[容器タグ]
本実施形態では、以上のような蓋材3に、飲料が注入された各容器2に対応する所定の飲料情報が書き込まれる識別タグ4(容器タグ4b)が備えられている。
具体的には、上述したロール状に巻かれた蓋材3には、所定間隔、すなわち、搬送経路上の各容器の間隔毎に、所定の飲料情報が書き込まれていない識別タグ4(容器タグ4b)が備えられている(図1参照)。
そして、この容器タグ4bに、対応する容器2の受け台タグ4aに書き込まれたのと同様の飲料情報が書き込まれるようになっている。
【0045】
このように蓋材3に識別タグ4(容器タグ4b)が備えられることにより、容器2の天面部に識別タグ4が配設されることになり、タグとリーダライタ装置との間の無線通信が確実に行われ、読み取りエラー等のない確実なタグの読み書きが行えるようになる。
但し、容器タグ4bの配設位置は、蓋材3に限定されず、容器2の他の部位であってもよい。例えば、容器タグ4bを空の容器2の底面部や側面部に貼付しておくことも可能である。すなわち、容器タグ4bは、容器2の飲料の注入等に影響を与えず、リーダライタ装置との間で確実な無線通信が行える限り、容器2のどのような部分に取り付けることも可能である。
このような容器タグ4bを備えることによって、飲料が注入され封止・密封された各容器2について、その容器2の内容物や注文者、製造ライン、製造履歴等を示す飲料情報が付与されることになり、後述する包装装置50による包装工程や出荷工程、検品工程等の際に、容器タグ4bの情報が読み出されて作業が行われることになる。
【0046】
ここで、蓋材3に備えられる容器タグ4bは、上述した受け台タグ4aと同様の構成となっており、所定のリーダライタ装置との間で無線によるデータの読み書きが可能なICタグにより構成されている。
本実施形態では、容器タグ4bに書き込まれる飲料情報は、上述した受け台タグ4aに書き込まれた情報と同様となっており、受け台11の各列を特定する情報、各列における各容器2を特定する識別情報、各容器2に注入される飲料の種類及び分量を示す情報、その飲料の注文者を示す識別情報等が書き込まれるようになっている。
【0047】
また、この容器タグ4bに飲料情報を書き込むための情報書き込み手段60として、上述したように、搬送経路上の適切な位置にICタグ用のリーダライタ装置62が配設されており(図1参照)、制御装置30の書き込み制御により、各容器2に飲料が注入された後に、その注入される飲料に対応する所定の飲料情報が容器タグ4bに書き込まれるようになっている。
具体的には、本実施形態では、図1に示すように、容器シール装置40の下流に、蓋材3に貼付された容器タグ4bを構成するICタグへのデータの書き込みを行う第二のリーダライタ装置62が備えられている。この第二のリーダライタ装置62は、第一のリーダライタ装置61と同様、制御装置30から飲料供給装置20に出力される制御信号と同様の内容の飲料情報が送出され、飲料が注入された各容器が蓋材3により密封・シールされた後のタイミングで、対応する各容器2の蓋材3に貼付された容器タグ4bに書き込まれるようになっている(図1に示す一点鎖線参照)。
【0048】
なお、この第二のリーダライタ装置62による対応する容器2への書き込みは、飲料供給装置20と同期を取ることにより行われる。
例えば、飲料供給装置20により飲料が供給された容器2が、何サイクル目(何番目)に第二のリーダライタ装置62の書き込みタイミングに搬送されるかをカウントすることで、その容器2に注入された飲料に対応する飲料情報を、当該容器2に付された容器タグ4bに書き込ませることができる。
【0049】
また、上記のような第二のリーダライタ装置62による容器タグ4bへのデータの書き込みは、容器2への飲料の注入が完了した後に行われるので、書き込み情報として、各容器2に正しく飲料の注入が行われたことを示す情報を含めることができる。
例えば、飲料供給装置20や容器シール装置40の搬送経路下流側に、飲料の注入が終わった各容器の重量を検出する重量検出手段と、この重量検出手段で検出された重量と、当該容器2に対応する飲料情報に基づいて、当該容器2に注入された飲料の分量を照合する照合手段を備えることで、各容器2に正しく飲料の注入が行われたか否かを判定・検出することができる。
【0050】
具体的には、本実施形態では、容器シール装置40の下流側に備えられる上述したピックアップ装置41に、密封が完了した容器2の重量を計測する図示しない計量手段を備え、この計量手段で計量された重量が制御装置30に入力されるようになっている。
そして、制御装置30では、入力された容器2の重量を、その容器2に注入されるべき飲料の分量と比較・照合し、所定の範囲で一致していれば各容器2に正しく飲料の注入が行われたと判定し、それ以外の場合には不良と判定することができる。このようにして、制御装置30を照合手段として機能させることで、各容器2への飲料の供給エラーや、容器2の飲料漏れなどの不具合を出荷前の工程で発見することができる。
【0051】
これにより、不良のある製品が出荷されるのを防止できるとともに、包装工程や出荷工程等において、製品の破損や飲料漏れ等が発見された場合に、少なくとも容器タグ4bへのデータ書き込みの段階ではそのような不良がなかったことが分かり、不良の発生原因等の調査に有用な情報となる。
また、不良と判定された製品は、容器搬送装置10から取り上げられて良品とは別に分別することができ、これによって、不良品が出荷されることが未然に防止することができる。
【0052】
[包装装置]
包装装置50は、密封された容器2を所定の包装単位で包装する包装手段である。
具体的には、図7に示すように、本実施形態の包装装置50は、容器搬送路51、タグ読み取り機52、分配装置53及び集合包装装置54を備えている。
容器搬送路51は、密封済みの容器2を所定の搬送方向に沿って搬送する搬送手段であり、上述した容器搬送装置10を構成するベルトコンベア等と同様の構成となっている。
本実施形態では、容器搬送路51は、図7に示すように、密封済みの容器2を一列に整列させた状態で搬送させるようになっており、その搬送経路上にタグ読み取り機52が配置され、さらに、その下流には複数の分岐路51a、51b、51c・・・が備えられ、各分岐路に対応して分配装置53及び集合包装装置54が備えられている。
【0053】
なお、図7では、三つの分岐路51a、51b、51cと、それに対応するそれぞれ三つの分配装置53及び集合包装装置54を示してあるが、分岐路及び分配装置、集合包装装置の数は三つに限定されず、四つ以上であっても二つ以下であっても良い。
また、容器搬送路51に分岐路を設けず、単一の集合包装装置54を備えるようにしても良い。その場合には、分配装置53も省略することができる。
【0054】
タグ読み取り機52は、上述した容器シール装置40のピックアップ装置41を介して容器搬送路51上を搬送・移動する密封済みの容器2に付された識別タグ4(容器タグ4b)に書き込まれた飲料情報を読み込む情報読み取り手段である。
具体的には、タグ読み取り機52は、容器搬送路51の上方に配設され、容器搬送路51によって移動・通過する容器2の蓋材3に貼付された容器タグ4bの書き込まれた飲料情報を読み取るようになっている。そして、このタグ読み取り機52で読み取られた飲料情報に含まれる注文者の情報に基づいて、同じ注文者に属する容器2が同じ分岐路で分岐して同じ集合包装装置54に集められるように、分配装置53に信号が出力される。
【0055】
分配装置53は、タグ読み取り機52の読み取り結果に応じて、各容器2を所定の出荷単位(包装単位)に振り分ける容器振り分け手段である。
具体的には、本実施形態の分配装置53は、容器搬送路51の複数の分岐路51a、51b、51c・・・に対応して、各分岐路上に位置するアームを備えており、このアームの駆動により、容器搬送路51上を移動・搬送される各容器2が、いずれかの分岐路51a、51b、51c・・・に振り分けられ、各分岐路の先にある各集合包装装置54に搬送される。
【0056】
このような分配装置53を備えることで、タグ読み取り機52で読み取られた各容器2の情報に基づいて、複数の容器2を所定の出荷単位、包装単位に自動的に振り分けることができ、誤りなく正確な包装・製品出荷を効率よく行うことができる。
なお、分配装置53の構成としては、搬送される容器2を所定の分岐路や集合包装装置に分配できる限り、どのような構成であってもよい。
例えば、本実施形態で示したアーム方式のもの以外にも、例えば、ロール自体が左右に移動して容器を振り分けるチャネライザーにより構成することもできる。
【0057】
集合包装装置54は、分配装置53により振り分けられた容器2を所定の出荷単位で包装する包装手段である。
具体的には、集合包装装置54は、分配装置53によって集められた一又は二以上の密封済みの容器2を、集められた単位で一括して集合包装する装置であり、例えば、複数の容器2を二次元状に整列させて全体に透明な樹脂フィルム等を被せて包装し、熱溶着等により包装フィルムをシールするようになっている。
【0058】
図8に、このような複数の容器2が集合包装装置54で包装された集合包装品2aの外観を示す。
同図に示す例では、6個の密封済み容器2が2列3個ずつに整列された状態で透明な樹脂フィルムによって包装されている。
この状態で飲料製品は完成し、集合包装品2aは出荷可能となる。
このような集合包装装置54により、所定の出荷単位に分配された容器2は、その出荷単位で自動的に包装されるので、誤りなく正確な包装及び製品出荷を効率よく行うことができる。
【0059】
[出荷製品タグ]
また、本実施形態では、以上のように集合包装装置54により集合包装された集合包装品2aには、識別タグ4(出荷製品タグ4c)が付されるようになっている。
出荷製品タグ4cは、集合包装された集合包装品2aの包装表面等に付される識別タグ4であり、出荷単位を示す所定の出荷情報が書き込まれるようになっている。
この出荷製品タグ4cは、上述した受け台タグ4a、容器タグ4bと同様、所定のリーダライタ装置との間で無線によるデータの読み書きが可能なICタグにより構成されている。
【0060】
この出荷製品タグ4cに書き込まれる出荷情報としては、集合包装された集合包装品2aの注文者、集合包装品2aに含まれる各容器2の飲料の種類、数量、価格等の情報が含まれ、また、上述した受け台タグ4a、容器タグ4bに書き込まれたのと同様の飲料情報を書き込むことができる。
また、この出荷製品タグ4cへの出荷情報の書き込みは、集合包装品2aに情報の書き込まれていない識別タグ4を貼付し、その後にリーダライタ装置によって情報の書き込みを行ってもよく、また、予め所定の出荷情報を書き込んだ出荷製品タグ4cを用意しておき、該当する集合包装品2aに貼付するようにしてもよい。
また、出荷製品タグ4cの集合包装品2aへの貼付は、集合包装装置54により容器2の集合包装工程において行ってもよく、また、集合包装品2aが出来上がった後に、集合包装工程より後の工程(例えば出荷工程)において行ってもよい。
【0061】
[容器入り飲料の製造方法]
次に、以上のような構成からなる本実施形態の飲料充填システムにおける容器入り飲料の製造方法について、図9を参照しつつ説明する。
図9は、本実施形態の飲料充填システムにおける容器入り飲料の製造方法を示すフローチャートである。
同図に示すように、まず、データ入力部31を介して、制御装置30に注文者の注文情報が入力される(ステップ901)。
この注文情報の入力は、制御装置30に接続されたキーボードやディスプレイ、スキャナ装置等を介して行われ、また、図4に示したように、制御装置30にネットワーク200を介して外部の情報処理装置100から送信される。
【0062】
この注文情報は、例えば、図5(a)に示すように、注文者(Aさん)単位で入力・記憶され、注文者単位・飲料の種類単位で与えられる識別情報(I−1〜I−6)、飲料の種類(コーヒーの濃さ、ミルク及び砂糖の有無と程度)、各飲料の数量を示す情報が含まれ、注文者Aさんが6種類の飲料を合計18個注文し、その内訳として、I−1「コーヒー:濃いめ、ミルク:なし、砂糖:無糖」×2個、I−2「コーヒー:濃いめ、ミルク:なし、砂糖:微糖」×3個、I−3「コーヒー:薄い、ミルク:少なめ、砂糖:微糖」×1個、I−4「コーヒー:濃いめ、ミルク:中、砂糖:無糖」×5個、I−5「コーヒー:濃いめ、ミルク:多め、砂糖:甘め」×4個、I−6「コーヒー:薄い、ミルク:少なめ、砂糖:甘め」×3個、であることを示す注文情報が制御装置30に入力される。
【0063】
次に、制御装置30では、入力された注文情報に基づいて、注文に係る飲料の製造条件を示す製造条件情報が生成される(ステップ902)。
この製造条件情報は、例えば、図5(b)に示すように、注文者(Aさん)単位で生成・記憶され、注文者単位・飲料の種類単位で与えられる識別情報(I−1〜I−6)、飲料の種類(コーヒーの濃さ、ミルク及び砂糖の有無と程度)に応じた各飲料タンクの指定と注入分量、各飲料の数量を示す情報が含まれる。
具体的には、図5(b)の例では、注文者Aさんの注文飲料6種類合計18個について、I−1「調合タンク1:180ml、ミルクタンク:なし、糖液タンク:0ml」×2個、I−2「調合タンク1:175ml、ミルクタンク:なし、糖液タンク:5ml」×3個、I−3「調合タンク1:173ml、ミルクタンク:2ml、糖液タンク:5ml」×1個、I−4「調合タンク1:175ml、ミルクタンク:5ml、糖液タンク:0ml」×5個、I−5「調合タンク1:150ml、ミルクタンク:10ml、糖液タンク:20ml」×4個、I−6「調合タンク1:158ml、ミルクタンク:2ml、糖液タンク:20ml」×3個、の製造条件が生成される。
【0064】
次いで、制御装置30は、上記製造条件情報に基づいて飲料供給装置20に制御信号を出力し、また、上記製造条件情報に基づく所定の飲料情報をリーダライタ装置61に出力する。
まず、制御装置30から制御信号が入力された飲料供給装置20は、容器搬送手段10によって搬送されてくる空の容器2に、上記製造条件情報に従った所定の飲料を所定分量だけ注入する(ステップ903)。
また、リーダライタ装置61は、受け台タグ4aに所定の飲料情報を書き込む(ステップ904)。この受け台タグ4aに書き込まれる飲料情報は、各容器2が搭載される受け台11の各列を特定する情報(例えば1列目、2列目等)、各列における各容器2を特定する識別情報(例えば右から1番目、2番目等)、各容器2に注入される飲料の種類及び分量を示す情報、その飲料の注文者を示す識別情報等が書き込まれる。
【0065】
次いで、容器シール装置40は、飲料が注入された各容器2に、識別タグ4(容器タグ4b)を備えた蓋材3を配設し、ヒートシール等によって蓋材3で容器2を密封・封止する(ステップ905)。
その後、リーダライタ装置62が、容器タグ4bに所定の飲料情報を書き込む(ステップ906)。
この容器タグ4bに書き込まれる飲料情報は、対応する受け台タグ4aに書き込まれているのと同様の飲料情報が書き込まれる。
【0066】
また、容器タグ4bに書き込まれる情報には、飲料の注入が正しく行われたか否かの判定結果を含めることができる。すなわち、飲料の注入が終わった各容器の重量を検出し、その重量と当該容器2に注入されるべき飲料の分量を照合することで、各容器2に正しく飲料の注入が行われたか否かを判定することができ、その結果を容器タグ4bに書き込むことができる。
そして、容器タグ4bに飲料情報が書き込まれた密封済みの容器2は、ピックアップ装置41により容器搬送装置10から取り上げられ、包装装置50へと送られる(ステップ907)。
なお、容易重量の照合により不良と判定された容器2は、容器搬送装置10から取り上げられて良品と判定された容器2とは分別され、包装装置50へは送られない。
【0067】
包装装置50に送られた容器2は、まず、容器搬送路51上を搬送されながら、タグ読み取り機52により密封済みの容器2に付された容器タグ4bに書き込まれた飲料情報が読み取られる(ステップ908)。
次いで、タグ読み取り機52で読み取られた飲料情報に含まれる注文者の情報に基づいて分配装置53が駆動制御され、同じ注文者に属する容器2が同じ集合包装装置54に集められるように分配される(ステップ909)。
分配された容器2は、集合包装装置54に集められ、集められた単位で一括して集合包装される(ステップ910)。この集合包装は、例えば、複数の容器2を二次元状に整列させた状態で全体に透明な樹脂フィルム等を被せて包装し、熱溶着等により包装フィルムをシールすることで行われる(図8参照)。
【0068】
最後に、集合包装された集合包装品2aに、所定の出荷情報が書き込まれた出荷製品タグ4cが付される(ステップ911)。
この出荷製品タグ4cに書き込まれる出荷情報は、例えば、集合包装された集合包装品2aの注文者、集合包装品2aに含まれる各容器2の飲料の種類、数量、価格等の情報が含まれる。
これにより、集合包装品2aは出荷可能な状態となる(図8参照)。
【0069】
以上説明したように、本実施形態に係る飲料充填システム1によれば、各容器2に注入すべき飲料情報を制御装置30に入力し、その飲料情報に基づいて飲料供給装置20を制御し、かつ、その飲料情報を各容器2に対応する識別タグ4(受け台タグ4a、容器タグ4b)に書き込むようにしてあるので、個々の容器2と一対一で備えられる識別タグ4によって当該容器2に注入される飲料の情報を管理することが可能となる。
これによって、一つ一つの容器単位で飲料の注入・封止・包装について正確な管理が可能となり、個々の容器にそれぞれ種類や分量、混合比等の異なる飲料を充填し、それを注文別に包装・出荷することが可能となる。
【0070】
また、個々の容器に注入すべき飲料情報は、ネットワークを介して制御装置30にダイレクトに注文情報として送信・入力することができるので、例えば、コンビニエンスストア等の販売業者や個人の消費者が、自らの店舗や自宅に居ながらにして注文情報を送信し、本飲料充填システム1に発注することが可能となる。
従って、本実施形態に係る飲料充填システム1によれば、少量かつ多種類の注文にも対応可能となり、注文者、消費者の嗜好の多様性やリアルタイムな売れ筋情報等に対応した容器入り飲料を効率よく正確かつ迅速に製造・供給することが可能となる。
【0071】
[第二実施形態]
次に、図10〜図12を参照して、本発明の飲料充填システムの第二実施形態について説明する。
図10は、本発明の第二実施形態に係る飲料充填システムの全体構成を模式的に示す説明図である。
同図に示す本実施形態の飲料充填システムは、上述した第一実施形態の変形実施形態であり、第一実施形態において搬送工程で飲料情報を書き込んでいた識別タグ4(受け台タグ4a、容器タグ4b)に代えて、予め所定の飲料情報を書き込んだ識別タグ4(容器タグ4d)と、その識別タグ4(容器タグ4d)から飲料情報を読み込む情報読み込み手段70を備えその情報読み込み手段70で読み込んだ飲料情報に基づいて飲料供給装置20を制御するようにしたものである。
従って、その他の構成部分は、第一実施形態とほぼ同様となっており、同様の構成部分については、図中で第一実施形態と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0072】
すなわち、本実施形態では、上述した第一実施形態における容器タグ4bと同様に、容器2を密封・封止する蓋材3に、所定の飲料情報を書き込み可能な識別タグ4として容器タグ4dが備えられている。
そして、本実施形態では、この容器タグ4dには、予め各容器2に注入する飲料に対応する飲料情報が書き込まれており、この容器タグ4dの飲料情報が情報読み込み手段(リーダライタ装置)70で読み取られ、その読み取られて飲料情報に基づいて、制御装置30を介して飲料供給装置20が制御されるようになっている。
【0073】
具体的には、第一実施形態の場合と同様、ロール状に巻かれた蓋材3には、所定間隔、すなわち、搬送経路上の各容器の間隔毎に、識別タグ4として容器タグ4dが備えられている(図10参照)。
この容器タグ4dは、第一実施形態で示した受け台タグ4aや容器タグ4bと同様の構成となっており、所定のリーダライタ装置との間で無線によるデータの読み書きが可能なICタグにより構成されている。
そして、この容器タグ4dには、予め各容器2に注入すべき飲料についての所定の飲料情報が書き込まれるようになっている。容器タグ4dに書き込まれる飲料情報については、上述した第一実施形態と同様である。
【0074】
ここで、ロール状の蓋材3に予め所定の飲料情報が書き込まれた容器タグ4dを貼付するには、例えば、図11に示すような装置を用いることができる。
図11は、本実施形態に係る飲料充填システムで用いられる識別タグの書き込み装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
同図に示すように、識別タグの書き込み装置80は、所定の飲料情報を識別タグ4(容器タグ4d)に書き込み可能な情報書き込み手段(リーダライタ装置)81が備えられている。リーダライタ装置81には、制御装置30に入力・受信される飲料情報が入力され、このリーダライタ装置81に、ロール状に巻かれた情報が書き込まれていない容器タグ4dが順次送られ、所定の飲料情報が書き込まれていく。情報が書き込まれた容器タグ4dは、裁断装置(カッター)82で裁断されて、ロール状に巻かれた蓋材3に順次配設・貼付されていき、最終的に、飲料情報が書き込まれた容器タグ4dが貼付された蓋材3が、ロール状に巻き取られて形成される。
【0075】
そして、この蓋材ロールが、図10に示す容器シール装置40にセットされ、飲料を注入された容器2に蓋材3として溶着・封止されることになる。
また、このような容器タグ4dを備えたロール状の蓋材3が配設される容器シール装置40の近傍には、図10に示すように、容器タグ4dに書き込まれている飲料情報を読み取り可能な情報読み取り手段(リーダライタ装置)70が備えられている。
リーダライタ装置70は、制御装置30と接続されており、容器2に取り付けられる前の段階のロール状の蓋材3に貼付されている各容器タグ4dから所定の飲料情報を読み出すようになっている。
【0076】
このリーダライタ装置70で読み出された飲料情報が制御装置30に入力され、その飲料情報に基づいて飲料供給装置20が制御されて、各容器2に飲料情報に対応した所定の飲料が注入されるようになっている。
そして、飲料供給装置20により所定の飲料が注入された容器2には、その容器2に対応する飲料情報が書き込まれている容器タグ4dを備えた蓋材3が取り付けられ、密封・封止されるようになっている。
なお、容器タグ4dを備えた蓋材3の対応する容器2への装着・封止は、飲料供給装置20と同期を取ることにより行われる。
例えば、飲料供給装置20により飲料が供給された容器2が、何サイクル目(何番目)に容器シール装置40の蓋材3の封止タイミングに搬送されるかをカウントすることで、その容器2に注入された飲料に対応する飲料情報が書き込まれた容器タグ4dを備えた蓋材3を、当該容器2に装着・封止することができる。
【0077】
ここで、本実施形態においては、上述した第一実施形態と同様に、容器2の天面部となる蓋材3の表面に識別タグ4(容器タグ4d)を配設して、タグとリーダライタ装置との間の無線通信が確実に行われるようにしてあるが、容器タグ4dの配設位置は、蓋材3に限定されず、容器2の他の部位であってもよい。
例えば、容器タグ4dを空の容器2の底面部や側面部に貼付しておくことも可能である。
この場合には、容器タグ4dの書き込み情報を読み取るリーダライタ装置70も、容器底面側に配設されることになる(図10参照)。
【0078】
また、本実施形態では、容器タグ4dに予め飲料情報が書き込まれるため、第一実施形態で示したような、飲料注入後に飲料情報を書き込むための容器タグ4b及びリーダライタ装置62は必ずしも必要ない。
但し、本実施形態においても、第一実施形態で示したように、容器2への飲料の注入が正しく行われたか否かを判定し、その判定結果を容器タグ4dに書き込むことができ、その場合には、第一実施形態と同様の第二のリーダライタ装置62を備えることができる。
【0079】
次に、以上のような構成からなる本実施形態の飲料充填システムにおける容器入り飲料の製造方法について、図12を参照しつつ説明する。
図12は、本実施形態の飲料充填システムにおける容器入り飲料の製造方法を示すフローチャートである。
同図において、ステップ1201、1202は、第一実施形態におけるステップ901、902と同様である。
【0080】
次に、制御装置30に入力・受信され生成された所定の注文情報・製造条件情報に基づいて、容器タグ4dへの飲料情報の書き込みが行われる(ステップ1203)。この容器タグ4dへの飲料情報の書き込みは、容器入り飲料の製造工程とは別に、上述した図11に示す識別タグの書き込み装置80などで行われ、書き込みが行われた容器タグ4dを備えた蓋材ロールが、容器シール装置40にセットされて容器入り飲料の製造工程に使用される。
そして、この蓋材ロールに貼付された各容器タグ4dの飲料情報がリーダライタ装置70で読み込まれ(ステップ1204)、制御装置30に入力される。
【0081】
制御装置30では、リーダライタ装置70で読み込まれた各容器タグ4dの飲料情報に基づいて飲料供給装置20に制御信号を出力し、各容器2に所定の飲料を注入させる(ステップ1205)。
次いで、容器シール装置40が、飲料が注入された各容器2に、対応する容器タグ4dを備えた蓋材3を配設し、ヒートシール等によって蓋材3で容器2を密封・封止し(ステップ1206)、容器入り飲料が完成する。
その後の包装装置50での包装・出荷工程(ステップ1207〜1211)は、第一実施形態におけるステップ907〜911と同様である。
【0082】
以上説明したように、本実施形態に係る飲料充填システムによれば、所定の飲料情報を、容器2に貼付する前の識別タグ4に書き込んで、その識別タグ4の飲料情報を読み込んで飲料の注入を実行させるようにしてあるので、タグへの情報書き込み工程を容器入り飲料の製造工程と分離することができ、容器入り飲料の製造工程におけるタグへの情報書き込みを不要とし、製造工程を簡素化・高速化することができる。
また、本実施形態では、第一実施形態で示した受け台タグ4aについても省略することが可能となり、受け台タグ4aへの情報書き込みも不要とすることができ、これによる製造工程の簡素化・高速化を図ることもできる。
【0083】
[第三実施形態]
さらに、図13を参照して、本発明の飲料充填システムの第三実施形態について説明する。
図13は、本発明の第三実施形態に係る飲料充填システムの全体構成を模式的に示す説明図である。
同図に示す本実施形態の飲料充填システムは、上述した第二実施形態の変形実施形態であり、第二実施形態において所定の飲料情報が予め書き込まれていた識別タグ4(容器タグ4d)に代えて、飲料情報が書き込まれていない識別タグ4(容器タグ4e)を備え、その識別タグ4(容器タグ4e)に容器2の搬送工程で飲料情報を書き込み、飲料供給装置20にもその書き込み情報に対応した制御信号を出力するようにしたものである。
従って、その他の構成部分は、第一、第二実施形態とほぼ同様となっており、同様の構成部分については、図中で第一、第二実施形態と同一符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0084】
すなわち、本実施形態では、容器シール装置40に備えられるロール状の蓋材3に備えられる容器タグ4eを備えており、この容器タグ4eは、第一実施形態で示した容器タグ4bと同様、飲料情報が書き込まれていないブランクの識別タグとなっている。
制御装置30は、このブランクの容器タグ4eに、第一実施形態と同様のリーダライタ装置61を介して、注文内容に対応した所定の飲料情報を書き込ませるとともに、容器タグ4eに書き込まれる飲料情報に対応した制御信号を飲料供給装置20に出力し、当該飲料情報に対応した飲料を各容器2に注入させるようにしてある。
その他の構成については、第一、第二実施形態と同様である。
【0085】
そして、飲料供給装置20により所定の飲料が注入された容器2には、その容器2に対応する飲料情報が書き込まれている容器タグ4eを備えた蓋材3が取り付けられ、密封・封止されるようになっている。
なお、容器タグ4eを備えた蓋材3の対応する容器2への装着・封止は、上述した第一、第二実施形態と同様、飲料供給装置20と同期を取ることにより行われる。
例えば、飲料供給装置20により飲料が供給された容器2が、何サイクル目(何番目)に容器シール装置40の蓋材3の封止タイミングに搬送されるかをカウントすることで、その容器2に注入された飲料に対応する飲料情報が書き込まれた容器タグ4eを備えた蓋材3を、当該容器2に装着・封止することができる。
【0086】
次に、以上のような構成からなる本実施形態の飲料充填システムにおける容器入り飲料の製造方法について、図14を参照しつつ説明する。
図14は、本実施形態の飲料充填システムにおける容器入り飲料の製造方法を示すフローチャートである。
同図において、ステップ1401、1402は、第一実施形態におけるステップ901、902と同様である。
【0087】
次に、制御装置30に入力・受信され生成された所定の注文情報・製造条件情報に基づいて、第一実施形態と同様のリーダライタ装置61を介して容器タグ4eへの飲料情報の書き込みが行われる(ステップ1403)。この容器タグ4eへの飲料情報の書き込みは、容器シール装置40にセットされたロール状の蓋材3に貼付された容器タグ4eに対して、各容器2に蓋材3が装着される前に行われる。
同時に、制御装置30は、容器タグ4eに書き込まれる飲料情報に基づいて飲料供給装置20に制御信号を出力し、各容器2に所定の飲料を注入させる(ステップ1404)。
次いで、容器シール装置40が、飲料が注入された各容器2に、対応する容器タグ4eを備えた蓋材3を配設し、ヒートシール等によって蓋材3で容器2を密封・封止し(ステップ1405)、容器入り飲料が完成する。
その後の包装装置50での包装・出荷工程(ステップ1406〜1410)は、第一実施形態におけるステップ907〜911と同様である。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る飲料充填システムによれば、所定の飲料情報を、容器2に貼付する前の識別タグ4に書き込み、かつ、書き込まれる飲料情報に基づいて飲料の注入を実行させるようにしてあるので、タグへの情報の書き込みと飲料の注入を同時並行して行うことができ、容器入り飲料の製造工程を簡素化・高速化することができる。
また、本実施形態では、上述した第二実施形態と同様、第一実施形態で示した受け台タグ4aについても省略することが可能となり、受け台タグ4aへの情報書き込みも不要とすることができ、これによる製造工程の簡素化・高速化を図ることもできる。
【0089】
以上、本発明の飲料充填システムについて、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明に係る飲料充填システムは、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、上述した実施形態では、本発明の飲料充填システムで製造される飲料容器として、樹脂製のカップ容器を例にとって説明したが、本発明の飲料充填システムを適用できる飲料容器としては、特に樹脂製のカップ型容器に限定されるものではなく、樹脂製や金属製の容器であって、飲料を充填・密封できるようきであれば、どのような材質、形状、大きさ等の容器であってもよく、また、容器に充填される飲料はどのようなものであってもよい。
【0090】
また、上述した実施形態では、本発明の飲料充填システムで用いられる識別タグとして、UHF帯や2.45GHz帯を使用する電波方式のICタグを例にとって説明したが、本発明で用いられる識別タグは、所定の飲料情報が読み書き可能なタグであれば、どのようなタグ構成であってもよく、例えば、上記実施形態で示した以外の周波数帯を使用するICタグや、電波方式以外の方式のICタグ等であっても好適に使用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0091】
以上説明した本発明の飲料充填システムは、例えば、PETボトル容器、アルミニウム缶やスチール缶等の金属缶(ラベル缶)、パウチ容器等の任意の樹脂容器、金属容器に充填・密封される容器入り飲料の製造に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第一実施形態に係る飲料充填システムの全体構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る飲料充填システムに備えられる受け台を示す斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る飲料充填システムにおける飲料の注文内容に応じた飲料タンクの組み合わせの具体例を示す説明図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る飲料充填システムとネットワークを介して接続される外部の情報処理装置を模式的に示す説明図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る飲料充填システムに入力・集計される情報の一例を示す図であり、(a)は制御装置に入力される注文情報を示し、(b)は制御装置において注文情報から生成される製造条件情報を示している。
【図6】本発明の第一実施形態に係る飲料充填システムに入力・集計される情報の一例を示す図であり、ある一日における製造結果を集計したものである。
【図7】本発明の第一実施形態に係る飲料充填システムの包装装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係る飲料充填システムにより製造・包装された容器を示す斜視図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係る飲料充填システムにおける容器入り飲料の製造方法を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第二実施形態に係る飲料充填システムの全体構成を模式的に示す説明図である。
【図11】本発明の第二実施形態に係る飲料充填システムで用いられる識別タグの書き込み装置の全体構成を模式的に示す説明図である。
【図12】本発明の第二実施形態に係る飲料充填システムにおける容器入り飲料の製造方法を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第三実施形態に係る飲料充填システムの全体構成を模式的に示す説明図である。
【図14】本発明の第三実施形態に係る飲料充填システムにおける容器入り飲料の製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0093】
1 飲料充填システム
2 容器
3 蓋材
4 識別タグ
10 容器搬送手段
11 受け台
20 飲料供給手段
21 飲料タンク
22 ノズル
30 制御手段
31 データ入力部
40 容器シール手段
50 包装手段
60 情報書き込み手段
70 情報読み込み手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容器を順次搬送する容器搬送手段と、
前記容器搬送手段により搬送される複数の各容器に、所定の飲料を注入する飲料供給手段と、
前記複数の各容器に対応する所定の飲料情報が書き込まれた識別タグと、
前記識別タグに書き込まれる前記飲料情報に基づき、前記飲料供給手段を制御して、前記複数の各容器に所定の飲料を注入させる制御手段と、を備える
ことを特徴とする飲料充填システム。
【請求項2】
前記飲料供給手段が、種類の異なる飲料を貯留した複数の飲料タンクを備え、
前記制御手段の制御により、前記複数の各容器に、1又は2以上の前記飲料タンクの飲料を注入する
ことを特徴とする請求項1記載の飲料充填システム。
【請求項3】
前記識別タグに前記飲料情報を書き込む情報書き込み手段を備え、
前記制御手段が、前記情報書き込み手段により前記識別タグに書き込まれる前記飲料情報に基づいて、前記飲料供給手段を制御して、前記複数の各容器に所定の飲料を注入させる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の飲料充填システム。
【請求項4】
前記識別タグに書き込まれた前記飲料情報を読み込む情報読み込み手段を備え、
前記制御手段が、前記情報読み込み手段により前記識別タグから読み込まれた前記飲料情報に基づいて、前記飲料供給手段を制御して、前記複数の各容器に所定の飲料を注入させる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の飲料充填システム。
【請求項5】
前記複数の容器を一次元又は二次元に配列させる受け台と、
飲料が注入された前記複数の各容器を蓋材により封止する容器封止手段を備え、
前記識別タグが、前記飲料情報が書き込まれていない第一及び第二の識別タグからなり、前記第一の識別タグが前記受け台に備えられるとともに、前記第二の識別タグが前記蓋材に備えられ、
前記情報書き込み手段が、前記受け台に備えられた前記第一の識別タグに、前記複数の各容器に対応する前記飲料情報を書き込むとともに、
前記制御手段が、前記情報書き込み手段により書き込まれる前記飲料情報に基づいて、前記飲料供給手段を制御して、前記複数の各容器に所定の飲料を注入させ、
前記情報書き込み手段が、前記蓋材に備えられた前記第二の識別タグに、対応する前記第一の識別タグに書き込まれた前記飲料情報を書き込む
ことを特徴とする請求項3記載の飲料充填システム。
【請求項6】
前記複数の容器を一次元又は二次元に配列させる受け台と、
前記識別タグが、前記飲料情報が書き込まれていない第一及び第二の識別タグからなり、前記第一の識別タグが前記受け台に備えられるとともに、前記第二の識別タグが前記複数の各容器に備えられ、
前記情報書き込み手段が、前記受け台に備えられた前記第一の識別タグに、前記複数の各容器に対応する前記飲料情報を書き込むとともに、
前記制御手段が、前記情報書き込み手段により書き込まれる前記飲料情報に基づいて、前記飲料供給手段を制御して、前記複数の各容器に所定の飲料を注入させ、
前記情報書き込み手段が、所定の飲料が注入された前記複数の各容器に備えられた前記第二の識別タグに、対応する前記第一の識別タグに書き込まれた前記飲料情報を書き込む
ことを特徴とする請求項3又は5記載の飲料充填システム。
【請求項7】
飲料が注入された前記複数の各容器を蓋材により封止する容器封止手段を備え、
前記識別タグが、前記蓋材に備えられた、前記飲料情報が書き込まれた識別タグからなり、
前記情報読み込み手段が、前記複数の各容器に取り付けられる前の前記蓋材に備えられた前記識別タグから前記飲料情報を読み込むとともに、
前記制御手段が、前記情報読み込み手段により読み込まれた前記飲料情報に基づいて、前記飲料供給手段を制御して、前記複数の各容器に所定の飲料を注入させ、
前記容器封止手段が、飲料が注入された前記複数の各容器に、当該容器に対応する前記識別タグを備えた蓋材を取り付ける
ことを特徴とする請求項4記載の飲料充填システム。
【請求項8】
前記識別タグが、前記複数の各容器に備えられた、前記飲料情報が書き込まれた識別タグからなり、
前記情報読み込み手段が、前記複数の各容器に備えられた前記識別タグから前記飲料情報を読み込むとともに、
前記制御手段が、前記情報読み込み手段により読み込まれた前記飲料情報に基づいて、前記飲料供給手段を制御して、前記複数の各容器に所定の飲料を注入させる、
ことを特徴とする請求項4又は7記載の飲料充填システム。
【請求項9】
前記識別タグに書き込まれた前記飲料情報を読み込んで、飲料が注入された前記複数の各容器を、所定の出荷単位に振り分ける容器振り分け手段を備える
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項記載の飲料充填システム。
【請求項10】
前記容器振り分け手段により振り分けられた容器を前記所定の出荷単位で包装する包装手段を備える
ことを特徴とする請求項9記載の飲料充填システム。
【請求項11】
前記包装手段による包装が、前記出荷単位を示す所定の出荷情報が書き込まれた識別タグを備える
ことを特徴とする請求項10記載の飲料充填システム。
【請求項12】
前記飲料情報が、前記複数の各容器を特定する識別情報、当該容器に注入される飲料の種類及び分量情報、当該飲料の注文者を示す識別情報を含む
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項記載の飲料充填システム。
【請求項13】
前記飲料情報が、前記飲料供給手段による飲料供給情報を含む
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項記載の飲料充填システム。
【請求項14】
飲料が注入された前記複数の各容器の重量を検出する重量検出手段と、
前記重量検出手段で検出された重量と、当該容器に対応する前記飲料情報に基づいて、当該容器に注入された飲料の分量を照合する照合手段と、を備える
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項記載の飲料充填システム。
【請求項15】
前記制御手段が、前記飲料情報を含む所定の注文情報をネットワークを介して受信する受信手段を備える
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項記載の飲料充填システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−70250(P2010−70250A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242894(P2008−242894)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】