説明

飲料冷却装置

【課題】水槽内に設けた電極間の電位差に基づいて冷凍装置をオンオフ制御させるときに、冷却水の幅広い電気伝導度に対応したオン設定値を用いられるようにする。
【解決手段】水槽11内の蒸発管14の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も薄く形成されたときに冷却水に露出する第1電極21とアース電極23との間の電位差がオン設定値以下になると冷凍装置を作動させ、水槽11内の蒸発管14の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も厚く形成されたときに氷に覆われる第2電極22とアース電極23との間の電位差がオフ設定値以上になると冷凍装置の作動を停止させる飲料冷却装置10において、第1または第2電極21、22が蒸発管14の周囲に形成される氷に覆われる前に第1または第2電極21、22とアース電極23との間の電位差とオフ設定値との間の中間値をオン設定値とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水槽内に立設させたコイル状の蒸発管の周囲に氷を形成させることにより飲料を冷却する飲料冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、冷却用水の貯留された冷水タンク内に冷凍装置と接続された冷却器が装備され、この冷却器の内側に設けられた一対の電極を備えた貯氷センサによる氷の有無の検知に基づいて冷凍装置の駆動を制御して冷却器の周りに所定厚さの氷層を形成しつつ冷却用水を冷却し、冷却用水中に浸漬された注出管に飲料を流通させることにより冷飲料を冷却して供給するようにした冷飲料供給装置が開示されている。この冷飲料供給装置は、冷却器の周りの氷が注出管内を通過する飲料を凍結させることなく飲料を冷却することができるよう、冷却器の周りの氷層の厚さが制御されている。この飲料冷却装置においては、所定厚さの氷層が形成されて貯氷センサの一対の電極が氷に覆われて、この一対の電極間の抵抗値が上基準値に上がると冷凍装置の圧縮機が停止され、この氷層が溶けて貯氷センサの一対の電極が冷却用水に露出して、この一対の電極間の抵抗値が下基準値に下がると冷凍装置の圧縮機を駆動させるように制御されている。
【0003】
このような冷飲料供給装置においては、冷却用水として用いられる水道水の水質が地域等により異なり、貯氷センサの一対の電極間の抵抗値は水道水中に含まれる導電物質の含有量によって異なっていた。そのために、この冷飲料供給装置においては、圧縮機の駆動と停止を制御する基準値として、通常の水道水用の第1基準値と、導電物質の含有量が多い水用の第2基準値との2パターンが記憶部に格納されている。この冷飲料供給装置の冷却用水に通常の水を用いたときには、操作部の切替スイッチの操作または水質検知手段による冷却用水の水質の検知に基づいて、第1基準値を比較回路に取り込んで、貯氷センサの一対の電極間の抵抗値が第1基準値の上基準値に上がると冷凍装置の圧縮機を停止させ、第1基準値の下基準値に下がると冷凍装置の圧縮機を駆動させるように制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−176970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような冷飲料供給装置においては、貯氷センサの一対の電極間の抵抗値が上基準値に上がると冷凍装置の圧縮機を停止させ、下基準値に下がると冷凍装置の圧縮機を駆動させるように制御されている。このとき、貯氷センサの一対の電極間の抵抗値を比較するための基準値は冷却用水として用いられる水道水の水質に応じて2パターン用意されているが、これらの基準値は水道水の水質によっては必ずしも適切な値でないときがある。あらゆる水道水の水質に対応させようとすると、多数のパターンの基準値を記憶部に格納しておく必要があってコストが高くなる問題があった。本発明はこのような問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するため、冷却水を貯留した水槽の内部に立設したコイル状の飲料供給管の周囲に冷凍装置を構成するコイル状の蒸発管を離間して立設させ、冷凍装置を作動させたときに蒸発管の周囲に所定の厚みの氷層を形成するようにして飲料冷却管を通過する飲料を冷却するようにした飲料冷却装置において、水槽内の蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も薄く形成されたときに冷却水に露出する第1電極と、水槽内の蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も厚く形成されたときに氷に覆われる第2電極と、水槽内にて蒸発管から離れた位置の氷の形成されない位置に設けられたアース電極と、第1電極が蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われずに冷却水に露出して第1電極とアース電極との間の電位差がオン設定値以下になると冷凍装置を作動させ、第2電極が蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われて第2電極とアース電極との間の電位差がオフ設定値以上になると冷凍装置の作動を停止させることで蒸発管の周囲に所定の厚みの氷を形成させるように制御する制御装置を備え、制御装置は蒸発管の周囲に形成される氷に覆われる前の第1または第2電極とアース電極との電位差とオフ設定値との間の中間値をオン設定値としたことを特徴とする飲料冷却装置を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した飲料冷却装置においては、水槽内の蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も薄く形成されたときに冷却水に露出する第1電極と、水槽内の蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も厚く形成されたときに氷に覆われる第2電極と、水槽内にて蒸発管から離れた位置の氷の形成されない位置に設けられたアース電極と、第1電極が蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われずに冷却水に露出して第1電極とアース電極との間の電位差がオン設定値以下になると冷凍装置を作動させ、第2電極が蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われて第2電極とアース電極との間の電位差がオフ設定値以上になると冷凍装置の作動を停止させることで蒸発管の周囲に所定の厚みの氷を形成させるように制御する制御装置を備え、制御装置は蒸発管の周囲に形成される氷に覆われる前の第1または第2電極とアース電極との電位差とオフ設定値との間の中間値をオン設定値としたので、冷却水の電気伝導度に応じて複数のオン設定値を予めメモリ等の記憶部に設定しておくことなく、冷却水の幅広い電気伝導度に対応したオン設定値を用いて冷凍装置の作動を制御することができる。
【0008】
本発明は上記課題を解決するための他の実施形態においては、冷却水を貯留した水槽の内部に立設したコイル状の飲料供給管の周囲に冷凍装置を構成するコイル状の蒸発管を離間して立設させ、冷凍装置を作動させたときに蒸発管の周囲に所定の厚みの氷層を形成するようにして飲料冷却管を通過する飲料を冷却するようにした飲料冷却装置において、水槽内の蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も薄く形成されたときに冷却水に露出する第1電極と、水槽内の蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も厚く形成されたときに氷に覆われる第2電極と、水槽内の蒸発管から離れて氷層の形成されない位置に設けられた第3電極とアース電極と、第1電極が蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われずに冷却水に露出して第1電極とアース電極との間の電位差がオン設定値以下になると冷凍装置を作動させ、第2電極が蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われて第2電極とアース電極との間の電位差がオフ設定値以上になると冷凍装置の作動を停止させることで蒸発管の周囲に所定の厚みの氷を形成させるように制御する制御装置を備え、制御装置は第3電極とアース電極との間の電位差とオフ設定値との間の中間値をオン設定値としたことを特徴とする飲料冷却装置を提供するものである。
【0009】
上記のように構成した飲料冷却装置においては、水槽内の蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も薄く形成されたときに冷却水に露出する第1電極と、水槽内の蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も厚く形成されたときに氷に覆われる第2電極と、水槽内の蒸発管から離れて氷層の形成されない位置に設けられた第3電極とアース電極と、第1電極が蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われずに冷却水に露出して第1電極とアース電極との間の電位差がオン設定値以下になると冷凍装置を作動させ、第2電極が蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われて第2電極とアース電極との間の電位差がオフ設定値以上になると冷凍装置の作動を停止させることで蒸発管の周囲に所定の厚みの氷を形成させるように制御する制御装置を備え、制御装置は第3電極とアース電極との間の電位差とオフ設定値との間の中間値をオン設定値としたので、上記のように冷却水の電気伝導度に応じて複数のオン設定値を予めメモリ等の記憶部に設定しておくことなく、冷却水の幅広い電気伝導度に対応したオン設定値を用いて冷凍装置の作動を制御することができる。さらに、蒸発管の周囲に氷層が第1及び第2電極を覆った後に冷却水の電気伝導度が変化したときであっても、氷層の形成されない位置に設けられた第3電極とアース電極との間の電位差を用いることによって、冷却水の電気伝導度の変化に対応したオン設定値を用いて冷凍装置の作動を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による飲料冷却装置の概略図である。
【図2】制御装置のブロック図である。
【図3】検出回路を示す図である。
【図4】冷却水の電気伝導度が高いときの各電極間の電位差を示す図である。
【図5】冷却水の電気伝導度が低いときの各電極間の電位差を示す図である。
【図6】本発明による他の実施形態の飲料冷却装置の概略図である。
【図7】他の実施形態の制御装置のブロック図である
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明による飲料冷却装置の一実施形態を図面を参照して説明する。本発明による飲料冷却装置10は冷却水を貯える水槽11を備えており、この水槽11内にはコイル状の飲料冷却管12が冷却水に浸漬された状態で立設している。飲料冷却管12は導入端側に図示しないビア樽等の飲料供給源に接続され、導出端側に図示しない注出コックが接続されており、飲料供給源の飲料は飲料冷却管12を通過する際に冷却水により冷却されてから注出コックからグラスなどの容器に注出される。また、水槽11の内周壁には飲料冷却管12を囲むようにして冷凍装置13の蒸発管14がコイル状に巻回されている。冷凍装置13を作動させると、圧縮機により圧縮された冷媒ガスが凝縮器により冷却されて液化され、この液化冷媒はキャピラリーチューブを通して水槽11内の蒸発管14に導かれて水槽11内の冷却水と熱交換されて気化してから再び圧縮機に還流する。この冷凍装置13の作動により、水槽11内の冷却水は蒸発管14で気化する冷媒によって冷却されて蒸発管14の周囲で凍結して所定の厚みの氷層となる。
【0012】
水槽11の上部にはモータ15が設けられており、コイル状の飲料冷却管12の内周側に延出したモータ15の出力軸の先端には冷却水を撹拌する撹拌羽根16が固定されている。モータ15により撹拌羽根16を回転させることで、水槽11内の冷却水は撹拌され、飲料冷却管12を通過する飲料を効率よく熱交換させて冷却するとともに、蒸発管14の周囲に均一に氷層を形成させるようにしている。
【0013】
水槽11内には、蒸発管14の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に後述する第1検出回路31を構成する第1電極21と第2検出回路32を構成する第2電極22とが設けられている。第1電極21と第2電極22は蒸発管14の内周側に配置されてコイル状の蒸発管14の中心側に突出している。第1電極21は蒸発管14の周囲に形成される氷層が最も薄く形成されたときに先端部が冷却水に露出する長さとなっている。第2電極22は蒸発管14の周囲に形成される氷層が最も厚く形成されたときに先端部が氷層に覆われる長さとなっている。また、水槽11内には、蒸発管14から離れた位置の氷の形成されない位置に後述する第1及び第2検出回路31、32を構成するアース電極23が設けられている。なお、金属製の飲料冷却管12をアース電極23として用いて部品点数を減らしてもよい。
【0014】
第1電極21とアース電極23との間の抵抗は水槽11内の冷却水の電気伝導度に反比例しており、第1電極21とアース電極23との間の抵抗は水槽11内の冷却水の電気伝導度が低くなるに従って高くなる。同様に、第2電極22とアース電極23との間の抵抗は水槽11内の冷却水の電気伝導度に反比例しており、第2電極22とアース電極23との間の抵抗は水槽11内の冷却水の電気伝導度が低くなるに従って高くなる。また、第1電極21が冷却水に露出しているときに比べて第1電極21が蒸発管14の周囲の氷層に覆われると、第1電極21とアース電極23との間の抵抗は大きくなる。同様に、第2電極22が冷却水に露出しているときに比べて第2電極22が蒸発管14の周囲の氷層に覆われると、第2電極22とアース電極23との間の抵抗は大きくなる。
【0015】
飲料冷却装置10は制御装置30を備えており、図2に示すように、この制御装置30には冷凍装置13、第1及び第2検出回路31、32に接続されている。制御装置30はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。
【0016】
第1検出回路31は第1電極21とアース電極23との間の電位差を検出するものである。図3に示すように、第1検出回路31は、入力端子31aと第1電極21との間に接続された固定抵抗31bと、第1電極21とアース電極23との間に接続されてこの電位差を検出する第1電圧計31cとを設けたものである(図中の2点鎖線は第1電極21とアース電極23とを冷却水に浸漬する水槽11を示す)。入力端子31aに所定の電圧(例えば5Vの電圧)を印可すると、第1電圧計31cにより検出される電位差は所定の範囲内(例えば0V〜1V)で第1電極21とアース電極23との間の抵抗が高くなるに従って高くなる。このように、第1検出回路31は、第1電圧計31cにより検出される電位差によって第1電極21とアース電極23との間の抵抗を検出する。
【0017】
第2検出回路32は第2電極22とアース電極23との間の電位差を検出するものである。図3に示すように、第2検出回路32は、入力端子32aと第2電極22との間に接続された固定抵抗32bと、第2電極22とアース電極23との間に接続されてこの電位差を検出する第2電圧計32cとを設けたものである(図中の2点鎖線は第2電極22とアース電極23とを冷却水に浸漬する水槽11を示す)。入力端子32aに所定の電圧(例えば5Vの電圧)を印可すると、第2電圧計32cにより検出される電位差は所定の範囲内(例えば0V〜1V)で第2電極22とアース電極23との間の抵抗が高くなるに従って高くなる。このように、第2検出回路32は、第2電圧計32cにより検出される電位差によって第2電極22とアース電極23との間の抵抗を検出する。
【0018】
制御装置30は第1及び第2検出回路31、32による検出に基づいて水槽11内の蒸発管14の周囲に形成される氷層の厚さを制御する氷厚制御手段を有している。この氷厚制御手段は蒸発管14の周囲に形成される氷層によって飲料冷却管12を通過する飲料を凍結させることなく冷却するためのものである。この氷厚制御手段は、第1電極21が蒸発管14の周囲の氷層に覆われずに冷却水に露出して、第1検出回路31の第1電圧計31cにより検出される第1電極21とアース電極23との間の電位差がオン設定値以下になると冷凍装置13(の圧縮機)を作動させ、第2電極22が蒸発管14の周囲に形成される氷層に覆われて、第2検出回路32の第2電圧計32cにより検出される第2電極22とアース電極23との間の電位差がオフ設定値以上になると冷凍装置13(の圧縮機)の作動を停止させるように制御するものである。この氷厚制御手段において、オン設定値が適切でないと、第1電極21とアース電極23との間の電位差がオン設定値以下とならずに、冷凍装置13を作動させることができなくなり、その結果、蒸発管14の周囲の氷層の厚さが所定の厚さより薄くなる。また、この氷厚制御手段において、オフ設定値が適切でないと、第2電極22とアース電極23との間の電位差がオフ設定値以上とならずに、冷凍装置13の作動を停止させることができなくなり、その結果、蒸発管14の周囲の氷層の厚さが所定の厚さより厚くなる。
【0019】
次に、この氷厚制御手段における冷凍装置13の作動をするためのオン設定値及び作動停止をするためのオフ設定値について説明する。第2電極22が蒸発管14の周囲の氷層に覆われたときに第2電圧計32cにより検出される第2電極22とアース電極23との間の電位差は、冷却水の電気伝導度に関わらず、急激に上限値(例えば1V)に近づくように高くなる。よって、冷凍装置13の作動を停止させるオフ設定値はこの上限値に近い値として例えば0.9Vに設定されている。
【0020】
これに対し、第1電極21が蒸発管14の周囲の氷層に覆われることなく冷却水に露出しているときの第1電極21とアース電極23との間の電位差は水槽11内の冷却水の電気伝導度によって異なってくる。例えば、水槽11内の冷却水が電気伝導度が高いとき(例えば180μS/cm)には、図4の電源をオンにしたタイミング(図中の0時間)にあるように、第1電圧計31cによって検出される電位差は0.1Vと低い値を示す。これに対し、水槽11内の冷却水の電気伝導度が低いとき(例えば5μS/cm)には、図5の電源をオンにしたタイミング(図中の0時間)にあるように、第1電圧計31cによって検出される電位差は0.7Vと高い値を示す。このように、第1電極21とアース電極23との間の電位差は冷却水の電気伝導度によって大きく異なり、冷凍装置13を作動させるオン設定値を一定とすることができないために、以下のようにオン設定値を算出する。
【0021】
制御装置30は、第1電極21が蒸発管14の周囲に形成される氷層に覆われていないときとして、飲料冷却装置10の電源がオンされたときに第1電圧計31cにより検出される第1電極21とアース電極23との間の電位差を用い、この検出された電位差とオフ設定値として規定された0.9Vとの中間値としてこれらの平均値をオン設定値としてメモリに記憶させ、このオン設定値を用いて冷凍装置13の作動を制御する。なお、このオン設定値を求めるときには、第1電圧計31cにより検出される第1電極21とアース電極23との間の電位差に代えて、第2電圧計32cにより検出された第2電極22とアース電極23との間の電位差を用いてもよい。
【0022】
上述した飲料冷却装置10の冷凍装置13の作動について、先ず冷却水の電気伝導度が高いとき(180μS/cm)について説明する。飲料冷却装置10の電源をオンする前は、水槽11内の冷却水は蒸発管14の周囲で氷層が形成されていない。飲料冷却装置10の電源をオンすると、制御装置30は、第1電圧計31cにより検出された第1電極21とアース電極23との間の電位差である0.1Vと予め設定されたオフ設定値である0.9Vとの平均値である0.5Vをオン設定値としてメモリに記憶する。次に、制御装置30は冷凍装置13を作動させると、水槽11内の冷却水は蒸発管14で気化する冷媒によって冷却されて蒸発管14の周囲で凍結する。蒸発管14の周囲の氷は第1電極21を覆う範囲に形成されてからさらに第2電極22を覆う範囲に形成される。第2電極22の全体が氷に覆われて、第2検出回路32の第2電圧計32cにより検出される第2電極22とアース電極23との間の電位差がオフ設定値である0.9V以上に上がると、制御装置30は冷凍装置13の作動を停止させる。これにより、蒸発管14の周囲の氷層が所定の厚みの範囲を超えないように冷凍装置13の作動が制御される。
【0023】
冷凍装置13の作動が停止すると、蒸発管14の周囲に形成された氷層の厚みが徐々に薄くなる。第1電極21の先端部が蒸発管14の周囲の氷層に覆われずに冷却水に露出し、第1検出回路31の第1電圧計31cにより検出される第1電極21とアース電極23との間の電位差がオン設定値である0.5V以下に下がると、制御装置30は冷凍装置13を作動させる。これにより、蒸発管14の周囲の氷層が所定の厚みの範囲より薄くならないように冷凍装置13の作動が制御される。
【0024】
次に、水槽11内の冷却水の電気伝導度が低いとき(5μS/cm)について説明する。飲料冷却装置10の電源をオンする前は、水槽11内の冷却水は蒸発管14の周囲に氷層が形成されていない。飲料冷却装置10の電源をオンすると、制御装置30は、第1電圧計31cにより検出された第1電極21とアース電極23との間の電位差である0.7Vと予め設定されたオフ設定値である0.9Vとの平均値である0.8Vをオン設定値としてメモリに記憶する。次に、制御装置30は冷凍装置13を作動させると、水槽11内の冷却水は蒸発管14で気化する冷媒によって冷却されて蒸発管14の周囲で凍結する。蒸発管14の周囲の氷は第1電極21を覆う範囲に形成されてからさらに第2電極22を覆う範囲に形成される。第2電極22の全体が氷に覆われて、第2検出回路32の第2電圧計32cにより検出される第2電極22とアース電極23との間の電位差がオフ設定値である0.9V以上に上がると、制御装置30は冷凍装置13の作動を停止させる。これにより、蒸発管14の周囲の氷層が所定の厚みの範囲を超えないように冷凍装置13の作動が制御される。
【0025】
冷凍装置13の作動が停止すると、蒸発管14の周囲に形成された氷層の厚みが徐々に薄くなる。第1電極21の先端部が蒸発管14の周囲の氷層に覆われずに冷却水に露出し、第1検出回路31の第1電圧計31cにより検出される第1電極21とアース電極23との間の電位差がオン設定値である0.8V以下に下がると、制御装置30は冷凍装置13を作動させる。これにより、蒸発管14の周囲の氷層が所定の厚みの範囲より薄くならないように冷凍装置13の作動が制御される。
【0026】
上記のように構成した飲料冷却装置10においては、第1電極21が蒸発管14の周囲に形成される氷層に覆われずに冷却水に露出して、第1電圧計31cにより検出される第1電極21とアース電極23との間の電位差がオン設定値以下になると冷凍装置13を作動させ、第2電極22が蒸発管14の周囲に形成される氷層に覆われて、第2電極22とアース電極23との間の電位差がオフ設定値以上になると冷凍装置13の作動を停止させることで蒸発管14の周囲に所定の厚みの氷を形成させるように制御されている。この飲料冷却装置10において、蒸発管14の周囲に形成される氷に覆われる前に第1電圧計31c(または第2電圧計32c)により検出される第1電極21(または第2電極22)とアース電極23との電位差とオフ設定値との間の中間値としてこれらの平均値をオン設定値とした。これにより、第1電極21が氷に覆われることなく冷却水に露出したときの第1電極21とアース電極23との間の電位差は水槽11内の冷却水の水質(電気伝導度)によって変わるが、氷に覆われる前の第1電極21(または第2電極22)とアース電極23との電位差を用いることで広範囲な冷却水の水質(電気伝導度)に対応してオン設定値を求めることができる。これにより、冷却水の水質(電気伝導度)に応じて複数のオン設定値を予めメモリ等の記憶部に設定しておくことなく、冷却水の幅広い電気伝導度に対応したオン設定値を用いて冷凍装置13の作動を制御することができる。
【0027】
なお、この実施形態においては、水槽11内に冷却水の水温を検出する温度センサをさらに設け、この温度センサによる検出温度が例えば所定温度として5℃以上を所定時間連続して検出したときに第1電圧計31c(または第2電圧計32c)により検出される第1電極21(または第2電極22)とアース電極23との電位差とオフ設定値との間の中間値をオン設定値としてもよい。このようにしたときには、蒸発管14の周囲に所定の厚さの氷層が形成された後に停電等により一時的に電源が切断された後でも、水槽11内の冷却水が例えば5℃以上であれば、蒸発管14の周囲の氷層が第1電圧計31c(または第2電圧計32c)が冷却水に露出する程度に融解するようになり、冷却水の露出した状態の第1電極21(または第2電極22)とアース電極23との電位差を第1電圧計31c(または第2電圧計32c)により検出して、この検出値とオフ設定値との中間値からオン設定値を求めることができる。
【0028】
本実施形態においては、蒸発管14の周囲に形成される氷に覆われる前に第1電圧計31c(または第2電圧計32c)により検出される第1電極21(または第2電極22)とアース電極23との電位差とオフ設定値との間の中間値としてこれらの平均値をオン設定としたが、本発明はこれに限られるものでなく、第1電極21(または第2電極22)とアース電極23との電位差とオフ設定値との間の値であればこれらの平均値に近い範囲で変更することも可能である。
【0029】
上述した実施形態においては、蒸発管14の周囲に形成される氷に覆われる前の第1電極21(または第2電極)とアース電極23との電位差とオフ設定値との間の中間値をオン設定値としたものであるが、図6に示す他の実施形態の飲料冷却装置10Aに示すように、上述した飲料冷却装置10の構成に加えて、水槽11内の蒸発管14から離れて氷層の形成されない位置でアース電極23と離間した位置に第3電極24をさらに設けるとともに、図7に示すように、制御装置30Aに第3電極24とアース電極23との間の抵抗を検出する第3検出回路33とを接続した。
【0030】
第3検出回路33は第3電極24とアース電極23との間の電位差を検出するものである。図3に示すように、第3検出回路33は、入力端子33aと第3電極24との間に接続された固定抵抗33bと、第1電極21とアース電極23との間に接続されてこの電位差を検出する第3電圧計33cとを設けたものである(図中の2点鎖線は第3電極24とアース電極23とを冷却水に浸漬する水槽11を示す)。入力端子33aに所定の電圧(例えば5Vの電圧)を印可すると、第3電圧計33cにより検出される電位差は第3電極24とアース電極23との間の抵抗に比例して高くなる。このように、第3検出回路33は、第3電圧計33cにより検出される電位差によって第3電極24とアース電極23との間の抵抗を検出する。
【0031】
この飲料冷却装置10Aにおいては、第3電圧計33cにより検出される常に氷に覆われることのない第3電極24とアース電極23との間の電位差を用い、この検出された電位差とオフ設定値として規定された0.9Vとの中間値としてこれらの平均値をオン設定値としてメモリに記憶させ、このオン設定値を用いて冷凍装置13の作動を制御する。なお、このオン設定値を例えば所定時間として例えば1時間毎、数時間毎、1日毎または数日毎に求めるようにしてもよいし、連続して求めるようにしてもよい。
【0032】
このように構成した飲料冷却装置10Aにおいては、上述した作用効果を得ることができるとともに、水槽11内の冷却水が純水化することでその電気伝導度が下がったり、冷却水が汚れる等してその電気伝導度が上がったりするような後発的な要因で電気伝導度が変化したときでも、この変化に対応したオン設定値を求めて、これに基づいて冷凍装置13の作動を制御することができる。また、上述した飲料冷却装置10を用いて、例えば停電等により一時的に電源が切断されてから再び電源をオンにしたときに、第1または第2電極21、22が蒸発管14の周囲の氷に覆われていたときには、第1または第2電圧計31c、32cにより検出される第1または第2電極21、22とアース電極23との間の電位差は冷却水に露出しているときより高くて、適切なオン設定値を求めることができないが、この飲料冷却装置10Aを用いたときには、例えば停電等により一時的に電源が切断されたときであっても、第3電極は常に氷に覆われることがないので、蒸発管14の周囲の氷の厚さに関係なく常に適切なオン設定値を求めて、これに基づいて冷凍装置13の作動を制御することができる。
【0033】
本実施形態においては第3電圧計33cにより検出される第3電極24とアース電極23との電位差とオフ設定値との間の中間値としてこれらの平均値をオン設定としたが、本発明はこれに限られるものでなく、第3電極22とアース電極23との電位差とオフ設定値との間の値であればこれらの平均値に近い範囲で変更することも可能である。
【0034】
なお、本実施形態の各電極21〜24は互いに電気的に接続されていない状態で図示しない絶縁部材よりなる支持部材により水槽11に固定されている。
【符号の説明】
【0035】
10…飲料冷却装置、11…水槽、12…飲料冷却管、13…冷凍装置、14…蒸発管、21…第1電極、22…第2電極、23…アース電極、24…第3電極、30…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水を貯留した水槽の内部に立設したコイル状の飲料供給管の周囲に冷凍装置を構成するコイル状の蒸発管を離間して立設させ、前記冷凍装置を作動させたときに前記蒸発管の周囲に所定の厚みの氷層を形成するようにして前記飲料冷却管を通過する飲料を冷却するようにした飲料冷却装置において、
前記水槽内の前記蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も薄く形成されたときに前記冷却水に露出する第1電極と、前記水槽内の前記蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も厚く形成されたときに氷に覆われる第2電極と、前記水槽内にて前記蒸発管から離れた位置の氷の形成されない位置に設けられたアース電極と、前記第1電極が前記蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われずに冷却水に露出して前記第1電極と前記アース電極との間の電位差がオン設定値以下になると前記冷凍装置を作動させ、前記第2電極が前記蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われて前記第2電極と前記アース電極との間の電位差がオフ設定値以上になると前記冷凍装置の作動を停止させることで前記蒸発管の周囲に所定の厚みの氷を形成させるように制御する制御装置を備え、
前記制御装置は前記蒸発管の周囲に形成される氷に覆われる前の前記第1または第2電極と前記アース電極との電位差と前記オフ設定値との間の中間値を前記オン設定値としたことを特徴とする飲料冷却装置。
【請求項2】
冷却水を貯留した水槽の内部に立設したコイル状の飲料供給管の周囲に冷凍装置を構成するコイル状の蒸発管を離間して立設させ、前記冷凍装置を作動させたときに前記蒸発管の周囲に所定の厚みの氷層を形成するようにして前記飲料冷却管を通過する飲料を冷却するようにした飲料冷却装置において、
前記水槽内の前記蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も薄く形成されたときに前記冷却水に露出する第1電極と、前記水槽内の前記蒸発管の周囲の所定の厚みの氷層が形成される範囲に設けられてこの氷層が最も厚く形成されたときに氷に覆われる第2電極と、前記水槽内の前記蒸発管から離れて氷層の形成されない位置に設けられた第3電極とアース電極と、前記第1電極が前記蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われずに冷却水に露出して前記第1電極と前記アース電極との間の電位差がオン設定値以下になると前記冷凍装置を作動させ、前記第2電極が前記蒸発管の周囲に形成される氷層に覆われて前記第2電極と前記アース電極との間の電位差がオフ設定値以上になると前記冷凍装置の作動を停止させることで前記蒸発管の周囲に所定の厚みの氷を形成させるように制御する制御装置を備え、
前記制御装置は前記第3電極と前記アース電極との間の電位差と前記オフ設定値との間の中間値を前記オン設定値としたことを特徴とする飲料冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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