説明

飲料容器の開栓装置

【課題】飲料容器のスクリューキャップを片手で容易に開栓し得るようにする。
【解決手段】開栓装置10は、スクリューキャップ12付きの飲料容器20が挿入される筒状中空部14を有するハウジング16と、ハウジング16の内側に設けられて勾配が付された突出部18aからなるスロープ部18と、ハウジング16内に昇降自在に配設されて飲料容器20の底部を支持し、スロープ部18に当接する倣い片22を有する中間支持部材24と、常には中間支持部材24を上方へ付勢する付勢手段26とから構成されている。中間支持部材24に載置した飲料容器20を押し下げることで、突出部18aに沿って倣い片22が移動することに伴って該中間支持部材24が旋回しながら降下し、これにより該飲料容器20の容器本体46に回転を付与されてスクリューキャップ12が緩むようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、飲料容器の開栓装置に関し、更に詳細には、ペットボトル等の飲料容器に設けられたスクリューキャップを容易に開栓する飲料容器の開栓装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、清涼飲料等の飲料容器としては、ペットボトルやアルミボトル等に代表されるように、開栓後に何度でも開閉可能なスクリューキャップを有したタイプのものが主流となっている。このようなスクリューキャップを有する飲料容器(以後、飲料容器とする)は、従来のプルタブ式やステイオンタブ式のアルミ缶等と比較して持ち運びに適しており、また走行中の自動車内に載置しても内容物がこぼれることがなく、安心してドリンクホルダー等に載置しておくことができる。
【0003】
ところで、前記飲料容器のスクリューキャップを開栓する際には、通常、該容器の本体を一方の手で把持すると共に、他方の手で該スクリューキャップを捻って行なうが、例えば子供や老人等の該キャップを捻る力が弱い人にとっては、この開栓が困難な場合が生じていた。このような問題を解決するため、スクリューキャップの開栓を補助する装置として、例えば特許文献1および特許文献2等に開示されているように、種々のものが提案されている。
【特許文献1】特開2003−112795号公報
【特許文献2】特開2001−58696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1および特許文献2で示したような従来の開栓装置は、何れも飲料容器の本体を一方の手で固定しつつ、他方の手で該装置をスクリューキャップに係止させながら回動させることで開栓を図るものであり、基本的には両手を使った操作によって開栓を行なうものであった。従って、例えば自動車を運転中のドライバーが、この開栓装置を使用することは、両手操作を必要とするためステアリングから手を離さなければならなかった。
【0005】
そこで本発明は、前述した従来の技術に内在している前記課題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、飲料容器のスクリューキャップを片手で容易に開栓し得る飲料容器の開栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため本発明は、
スクリューキャップ付きの飲料容器が挿入される筒状中空部を有するハウジングと、
前記ハウジングの内側に設けられたスロープ部と、
前記ハウジング内に昇降自在に配設されて前記飲料容器の底部を支持し、前記スロープ部に当接する倣い片を有する中間支持部材と、
常には前記中間支持部材を上方へ付勢する付勢手段とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る飲料容器の開栓装置によれば、スクリューキャップを把持しながら飲料容器を押し下げることで、該飲料容器に回転が付与されて該スクリューキャップの開栓操作を行ない得る構成したので、片手での開栓操作を行ない得るという極めて有益な効果を奏する。また、飲料容器に対して、その縦方向へ力を加えるだけで開栓操作を行なうことが可能となり、力を加え易いので開栓を容易に行なうことができる。従って、捻る力の弱い老人・子供等や運転中のドライバーも容易に飲料容器を開栓することができる等の利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明に係る飲料容器の開栓装置につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例】
【0009】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例に係る飲料容器の開栓装置10を示す分解斜視図である。第1実施例に係る開栓装置10は、スクリューキャップ12付きの飲料容器20が挿入される筒状中空部14を有するハウジング16と、ハウジング16の内壁面(内側)に設けられたスロープ部18と、ハウジング16の筒状中空部14に昇降自在に配設されて飲料容器20の底部を支持し、スロープ部18に当接する倣い片22を有する中間支持部材24と、常には中間支持部材24を上方へ付勢する付勢手段26とから基本的に構成されている。
【0010】
開栓装置10の外面を形成するハウジング16は、前述の筒状中空部14を画成して該ハウジング16の側部をなす円筒状の筒部材28と、この筒部材28に取付けられて該ハウジング16の底部をなす基台30とから構成された有底円筒体である。また、図2に示すように、ハウジング16の上部開口32は、その全周に亘ってひさし状に延出して上部開口32の内径寸法が中間支持部材24の外形寸法より小さくなっているため、付勢手段26によって上方へ付勢される該中間支持部材24が上部開口32の内側に当接して上方へ飛び出さないようになっている。なお、このハウジング16の外面形状は第1実施例の如き円筒形状に限定されるものでなく、例えば多角筒状等に変更することも可能である。
【0011】
ハウジング16の底部をなして開栓装置10を支持する基台30は、筒部材28の外郭寸法と一致する所要の厚みを有した円盤状に形成されている。また、その下面には、合成樹脂や両面テープ等の摩擦係数が高い材質からなるノンスリップ材34が貼着され、開栓装置10が置かれる載置面とハウジング16との滑りを防止して、開栓操作を確実に行ない得るようになっている。従って、開栓装置10を摩擦力の小さい机等に置いたり、車内に設けた容器ホルダー等の底部に置いたりして使用することが可能となっている。
【0012】
なお、図1に示すように、基台30の上面中央位置には筒状の支持筒部36が設けられ、中間支持部材24の下面中央に対応的に設けられる後述の回動支軸38が挿入されることで、該中間支持部材24の安定的な旋回昇降が得られるようになっている。更に、基台30の所要位置に下端係止片40が設けられ、後述する上端係止片42と共に付勢手段26の上下の端部と係止して、該付勢手段26を所定の位置に固定するようになっている。
【0013】
スロープ部18は、ハウジング16の底部をなす基台30に突設されて同心でかつ同一の円周上にあり、夫々が同一方向への勾配が付されている複数(第1実施例では3つ)の突出部である円弧片18a,18a,18aからなっている。すなわち、各円弧片18aは、図1に示すように、所要高さを有した最高位置Phから最低位置Plに向けて時計回り方向への勾配が付されている。また図3に示すように、基台30の中心点Oに対する円弧片18aの中心角θが120°ずつに設定されている。この円弧片18aの中心角θの値によって、中間支持部材24の回転量が決定されるので、該中心角θを変更することで、飲料容器20の開栓レベルを調節することができる。更に、この円弧片18aの上面には、滑らかに加工された案内面44が形成されており、後述する中間支持部材24の倣い片22が対応的に当接すると共に、該倣い片22を当て受けながら案内し得るようになっている。
【0014】
そして、これら3つの円弧片18a,18a,18aは、基台30を筒部材28に取付けた際に、ハウジング16内の底部内側において筒状中空部14に臨むようになる。なお第1実施例では、円弧片18aを基台30に3つ配設した場合を示したが、この円弧片18aの中心角θを変更することで、その設定数を2または4以上にすることも可能である。
【0015】
中間支持部材24は、スロープ部18における各円弧片18aの案内面44に当接する各倣い片22を介して筒状中空部14に昇降自在に配設され、筒状中空部14へ挿入された飲料容器20の底部を支持するようになっている。すなわち中間支持部材24は、図2に示すように、筒状中空部14の断面寸法より僅かに小さく設定された円盤形状をなしており、その上面は飲料容器20を載置し得る容器載置面56が形成されている。そして、筒状中空部14の内部に昇降自在に配設されると共に、前述した付勢手段26によって上方に付勢されて、常にはハウジング16の上部開口32に臨むようになっている。また、中間支持部材24の下面における所要位置には、基台30に設けた前述の下端係止片40と同一形態の上端係止片42が設けられている。なお、図1に示す如く、前述した支持筒部36と対応する回動支軸38が中間支持部材24の下面中央位置に突設されており、これらの部材によって中間支持部材24が安定的に昇降し得る。
【0016】
更に、中間支持部材24の容器載置面56には、スクリューキャップ12の開栓操作を確実に行ない得るように、飲料容器20の底部の滑りを防止するノンスリップ材48が貼着されている。このノンスリップ材48の材質としては、前述した基台30の底部に貼着されるノンスリップ材34と同様に、例えば、合成樹脂やゴム等の摩擦係数の高いものが好適に採用される。
【0017】
第1実施例に係る倣い片22,22,22は、中間支持部材24の下面において、前述した複数(3つ)の円弧片18a,18a,18aの案内面44と対応的に当接可能に設けられ、該中間支持部材24を支持するよう構成されている。すなわち各倣い片22は、図4に示すように、中間支持部材24から垂直下方に突設される垂直支持部50と、該垂直支持部50の内部に回転自在に収容されると共に、その一部を外方へ露出させて円弧片18aの案内面44に当接する球体52と、同じく垂直支持部50の内部に配設されて該球体52を常に外方へ付勢するバネ体54とから構成されている。
【0018】
これら倣い片22,22,22は、図2(a)に示すように、前述した付勢手段26の付勢力により、常には対応する各円弧片18aの最高位置Phに位置して中間支持部材24が上部開口32に臨むよう支持している。そして、中間支持部材24に載置した飲料容器20を押し下げると、各倣い片22が対応の円弧片18aの案内面44に沿ってその最低位置Plまで移動することに伴い、該中間支持部材24に対して旋回運動を発現させるようになる。また、図2(b)に示すように、各倣い片22が隣接する円弧片18aの側面に当接することで、中間支持部材24の旋回降下を停止させるようになる。
【0019】
なお、倣い片22,22,22の構造については、前述したものに限定されることはなく、例えば、垂直支持部50の下端部と案内面44とを、摩擦が小さくかつ耐摩耗性が良好な材質で形成することで、球体52を省略することもできる。また、第1実施例における倣い片22,22,22は、図2(a)に示すように、中間支持部材24が上部開口32の内側に当接したところで案内面44の最高位置Phに位置するよう設定されており、付勢手段26の付勢力により該案内面44から隣接する円弧片18aの最低位置Plへ転落しないようになっている。但し、案内面44の最高位置Phに規制突部または規制部材を設けて、倣い片22が転落しないよう構成してもよい。
【0020】
中間支持部材24を上方へ付勢する付勢手段26は、図1に示すように、例えば公知の圧縮捻りバネであって、該中間支持部材24と基台30との間に形成される空間に配設され、その上端部が前述した上端係止片42に係止されている一方、下端部が前述した下端係止片40に係支されている。このような付勢手段26は、縦方向への弾性的な圧縮変形および周方向への弾性的な捻り変形が可能であるから、常には中間支持部材24を上部開口32に臨ませるように弾力付勢する。また付勢手段26は、旋回しながら降下した中間支持部材24に対する飲料容器20の押し下げを解除することに伴い、該中間支持部材24を反対方向へ逆旋回させながら上昇させ得る。
【0021】
次に、前述した第1実施例に係る飲料容器の開栓装置10の作用について説明する。
【0022】
飲料容器20の開栓操作を行なう際には、図5(a)に示すように、飲料容器20を筒状中空部14へ挿入し、上部開口32に臨んでいる中間支持部材24の容器載置面56に載置させる。そして同図(b)に示すように、スクリューキャップ12を手で把持したもとで、飲料容器20を下方へ力強く押し下げる。これにより、各円弧片18aに沿って対応の倣い片22が移動することに伴って中間支持部材24が旋回しながら筒状中空部14内を降下するようになるため、該飲料容器20に対して回転が付与されるようになる。この時、スクリューキャップ12が回転しないように把持していることにより、容器本体46だけが中間支持部材24と共に回転するようになるため、該容器本体46に対してスクリューキャップ12が回転して開栓が行なわれるに至る。
【0023】
なお、飲料容器20におけるスクリューキャップ12の開栓操作が完了した後、飲料容器20に対する押し下げを解除すると、付勢手段26の捻り付勢力に基づいて中間支持部材24は反対方向(反時計方向)へ逆旋回しながら上昇するようになり、図2(a)に示した元の位置に復帰するようになる。
【0024】
このように、第1実施例に係る飲料容器の開栓装置10は、スクリューキャップ12を把持しながら飲料容器20を押し下げることで、該飲料容器20に回転が付与されて該スクリューキャップ12の開栓操作を行ない得る構成としたので、片手での開栓操作を行ない得るという極めて有益な効果を奏する。また、飲料容器20に対して、縦方向へ力を加えるだけで開栓操作を行なうことが可能となり、力を加え易いので開栓を容易に行なうことができる。これにより、捻る力の弱い人や運転中のドライバーも容易に飲料容器20を開栓することができる。
【0025】
また、ハウジング16の下面にノンスリップ材34が貼着されるので、開栓の際にハウジング16が滑ることがなく安定し、机等の上でも開栓装置10を使用することができる。更に、第1実施例に係る開栓装置10は、中間支持部材24の容器載置面56に、飲料容器20の滑りを防止するノンスリップ材48が貼着されているので、該飲料容器20が確実に回動して安定的に開栓を行なうことができる。
【0026】
(第1実施例の変更例)
前述した第1実施例の開栓装置10では、スロープ部18が、ハウジング16の底部をなす基台30上に突設されて同心でかつ同一の円周上にある3つの円弧片18a,18a,18aから構成されていたが、このスロープ部18の態様は、例えば図12に示すように変更することが可能である。この変更例に係る開栓装置10のスロープ部18は、ハウジング16の底部をなす基台30に突設されて同心でかつ異なる円周上にあり、夫々が同一方向への勾配が付されている複数(この変更例では3つ)の突出部である円弧片18b,18b,18bからなっている。すなわち、変更例に係る各円弧片18bは、第1実施例における円弧片18aの中心角θよりも大きく設定されており、基台30の中心点Oを中心にして、異なる円周上に夫々がオーバーラップした状態で配設したものである。また各倣い片22は、中間支持部材24の下面において、各円弧片18bの夫々と対応的に当接し得るように突設されている。このように円弧片18b,18b,18bを、異なる円周上で夫々がオーバーラップした状態で基台30に配設すれば、各円弧片18bの中心角θを最大360°まで大きくすることが可能となり、飲料容器20に付与される回転量を増大させることが可能となる。
【0027】
(第2実施例)
図6は、第2実施例に係る飲料容器の開栓装置60を示すものである。なお、第1実施例の開栓装置10の説明に際して既出の部材、部位と同一のものについては同じ符号を付し、以下説明は省略する。
【0028】
第2実施例に係る飲料容器の開栓装置60は、スクリューキャップ12付きの飲料容器20が挿入される筒状中空部14を有するハウジング62と、このハウジング62の内壁面(内側)に設けられたスロープ部64と、ハウジング62の筒状中空部14に昇降自在に配設されて飲料容器20の底部を支持し、スロープ部64に当接する倣い片22を有する中間支持部材24と、常には中間支持部材24を上方へ付勢する付勢手段26とから基本的に構成されている。
【0029】
開栓装置60の外面を形成するハウジング62は、該ハウジング62の側部をなす有底筒体状の筒部材82と、この筒部材82の上部に取付けられて上部開口32を有する蓋部材80とから形成されており、その内部に飲料容器20が挿入される筒状中空部14を有している。そして筒部材82の内壁面に、該内壁面に沿ってスロープ部64が突設されている。また筒部材82の底部には、載置面との滑りを防止するノンスリップ材34が貼着されている。なお第2実施例においては、前述の如く有底筒状を呈するハウジング62を採用したが、該ハウジング62は上下が開放した中空状を呈するものも採用可能である。
【0030】
スロープ部64は、ハウジング62の側部をなす前述の筒部材82の内壁面に沿って突設されて螺旋の一部をなす複数(第2実施例では2つ)の突出部である円弧片64a,64aからなっている。各円弧片64aは、ハウジング62の上部開口32近辺から所要の深さまで時計回りの方向へ下降傾斜しており、筒状中空部14の内壁面の略半面(中心角θ=180°)に亘り螺旋の一部をなして突設されている。そしてその上面には、中間支持部材24に設けられた前述の倣い片22,22が対応的に当接する所要幅の案内面44が形成されており、該倣い片22,22を当て受けながら案内するようになっている。
【0031】
これにより、中間支持部材24に載置した飲料容器20を押し下げると、各倣い片22が対応の円弧片64aの案内面44に沿ってその最低位置P1まで移動することに伴い、該中間支持部材24に対して約180°の旋回運動が発現されるようになり、該飲料容器20に回転を付与し得るようになる。なお、第2実施例に係る倣い片22,22は、図6に示すように、中間支持部材24の下面から半径方向外方へ延出するように設けられている。また、第2実施例においても、第1実施例で示した支持筒部36および回動支軸38等の部材を設け、中間支持部材24が水平姿勢に保持されながら安定的に旋回し得るよう構成されている。但し、筒状中空部14の内側面に沿って突出成形される円弧片64a,64aの数は、1つだけに設定することも可能である。
【0032】
従って、第2実施例に係る飲料容器の開栓装置60においても、スクリューキャップ12を把持しながら飲料容器20を押し下げることで、該飲料容器20に回転が付与されて該スクリューキャップ12の開栓操作を行ない得る構成としたので、片手での開栓操作を行ない得るという極めて有益な効果を奏する。また、飲料容器20に対して、縦方向へ力を加えるだけで開栓操作を行なうことが可能となり、力を加え易いので開栓を容易に行なうことができる。これにより、捻る力の弱い人や運転中のドライバーも容易に飲料容器20を開栓することができる。
【0033】
(第2実施例の変更例)
前述した第2実施例の開栓装置60では、スロープ部64が、ハウジング62の側部をなす筒部材82の内壁面に沿って螺旋の一部をなす半円状(回転角:180°)に突設された2つの円弧片64a,64aから構成されていたが、このスロープ部64の態様は、例えば図13に示すように変更することが可能である。この変更例に係る開栓装置60のスロープ部64は、筒部材82の内壁面に沿って数周に亘って突設されて螺旋状をなす突出部である突出片64bからなっている。このように突出片64bを螺旋状に突設することで、中間支持部材24を数回転させることが可能となるので飲料容器20に付与される回転量が大幅に増加し、スクリューキャップ12を容器本体46から完全に取り外し得るようになる。なお、中間支持部材24が水平姿勢で旋回し得るよう第1実施例で示した支持筒部36および回動支軸38が設けられているので、突出片64bに当接する倣い片22は、中間支持部材24の下面から外方へ延出するよう1つだけ設けてもよい。また変更例に係る開栓装置60は、スロープ部64の配設スペースの増大に合わせて、ハウジング62は縦方向に延長されている。
【0034】
(第3実施例)
図8は、第3実施例に係る飲料容器の開栓装置66を示す断面図である。なお、第1,第2実施例で説明した同一の部材、部位については、同じ符号を付し、以下説明は省略する。
【0035】
第3実施例に係る飲料容器の開栓装置66は、スクリューキャップ12付きの飲料容器20が挿入される筒状中空部14を有するハウジング62と、このハウジング62の内壁面(内側)に設けられたスロープ部68と、ハウジング62の筒状中空部14に昇降自在に配設されて飲料容器20の底部を支持し、スロープ部68に当接する倣い片70を有する中間支持部材24と、常には中間支持部材24を上方へ付勢する付勢手段26とから基本的に構成されている。
【0036】
スロープ部68は、ハウジング62の側部をなす前述の筒部材82の内壁面に沿って凹設されて螺旋の一部をなす複数(第3実施例では2つ)の凹溝部である円弧溝68a,68aからなっている。すなわち第3実施例のスロープ部68は、第2実施例において示した突片状のスロープ部64を溝状に変更した形態となっている。また倣い片70,70は、中間支持部材24の外側縁から外方へ突設され、対応する円弧溝68a,68aへ挿入されるようになっている。すなわち倣い片70,70は、図9に示すように、中間支持部材24から水平に突設される水平支持部72と、その内部に回転自在に配設される球体52と、該球体52を常に下方へ付勢するバネ体54とから構成されている。こ
【0037】
これにより、中間支持部材24に載置した飲料容器20を押し下げると、各倣い片70が対応の円弧溝68aに沿ってその最低位置P1まで移動することに伴い、該中間支持部材24に対して旋回運動が発現されるようになり、該飲料容器20に回転を付与し得るようになる。なお、第3実施例においても、第1実施例で示した支持筒部36および回動支軸38等の部材を設け、中間支持部材24が水平姿勢で旋回し得るよう構成とするのが望ましい。
【0038】
従って、第3実施例に係る飲料容器の開栓装置66においても、スクリューキャップ12を把持しながら飲料容器20を押し下げることで、該飲料容器20に回転が付与されて該スクリューキャップ12の開栓操作を行ない得る構成としたので、片手での開栓操作を行ない得るという極めて有益な効果を奏する。また、飲料容器20に対して、縦方向へ力を加えるだけで開栓操作を行なうことが可能となり、力を加え易いので開栓を容易に行なうことができる。これにより、捻る力の弱い人や運転中のドライバーも容易に飲料容器20を開栓することができる。
【0039】
(第3実施例の変更例)
前述した第3実施例の開栓装置66は、スロープ部68が、ハウジング62の側部をなす筒部材82の内壁面に沿って螺旋の一部をなす半円状(回転角:180°)に凹設された2つの円弧溝68a,68aから構成されていたが、このスロープ部68の形態は、例えば図14に示すように変更することが可能である。この変更例に係る開栓装置66のスロープ部68は、筒部材82の内壁面に沿って数周に亘って凹設されて螺旋状をなす凹溝部である螺旋溝68bからなっている。このように螺旋溝68bを数周に亘って凹設することで、中間支持部材24を数回転させることが可能となるので飲料容器20に付与される回転量が大幅に増加し、スクリューキャップ12を容器本体46から完全に取り外し得るようになる。なお、中間支持部材24が水平姿勢で旋回し得るよう第1実施例で示した支持筒部36および回動支軸38が設けられているので、螺旋溝68bに突入して当接する倣い片70は、中間支持部材24の下面から外方へ延出するよう1つだけ設けてもよい。また変更例に係る開栓装置66は、スロープ部68の配設スペースの増大に合わせて、ハウジング62は縦方向に延長されている。
【0040】
なお、前述した第1〜第3の各実施例および夫々の変更例に係る開栓装置10,60,66は、例えば図10に示すように、自動車等の乗員室内に設置されるフロアコンソール74等に設けた容器ホルダー76に設置することも可能である。すなわち、フロアコンソール74等の安定した車両内装部材に設けられた容器ホルダー76の内部に開栓装置10,60,66を挿入して設置し、該容器ホルダー76の底部に設置した状態で該開栓装置10,60,66を使用することができる。これにより、飲料容器20を開栓した後に、そのまま容器ホルダー76に収容して保持することができる。
【0041】
そして、ハウジング16,62を上部開口32より上方へ延出成形して高さ寸法を大きく設定すれば、この開栓装置10,60,66自体を容器ホルダーとして機能させることも可能である。
【0042】
また、図11に示したように、本発明に係る飲料容器の開栓装置10,60,66を上下逆向きにして使用することで、スクリューキャップ12を開栓することもできる。すなわち、スクリューキャップ12が挿入し得る程度のサイズに変更した開栓装置10,60,66を上下逆向きにした状態で、該キャップ12に対して上方から被せる。そして、飲料容器20の容器本体46を適宜の固定手段78で固定した状態で開栓装置10,60,66を押し下げることで、旋回する中間支持部材24によりスクリューキャップ12に回転が付与されて開栓が可能となる。従って、このような開栓装置10,60,66を、例えば固定手段78とセットにして、コンビニエンス・ストアや自動販売機等に設置しておけば、ひねる力の弱い老人や子供等でも容易にスクリューキャップ12を開栓することができる。更に、荷物等によって片方の手が塞がれた人でも、片手で飲料容器20を開栓することができる。
【0043】
また、前述した第1〜第3の各実施例および夫々の変更例に係る開栓装置10,60,66は、中間支持部材24に対する旋回力を付与する付勢手段26を圧縮捻れバネとした場合を例示したが、この付勢手段26はこれに限定されるものではなく、該中間支持部材24を常には上方へ付勢しながら旋回させ得るものであればよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1実施例に係る飲料容器の開栓装置を示す分解斜視図である。
【図2】第1実施例に係る開栓装置の一部破断斜視図であって、(a)は中間支持部材が最上位置に上昇して上部開口に臨んだ状態を示し、(b)は中間支持部材が旋回して最下位置に降下した状態を示している。
【図3】中間支持部材が回動する状態を示した説明平面図であって、(a)は図2(a)の状態を示し、(b)は図2(b)の状態を示すものである。
【図4】倣い片の先端構造を示した概略断面図である。
【図5】第1実施例に係る開栓装置を用いて飲料容器を開栓する様子を示した説明断面図であって、(a)は飲料容器を開栓装置に載置した場合を示し、(b)は飲料容器を押し下げることでスクリューキャップを開栓させた場合を示している。
【図6】第2実施例に係る飲料容器の開栓装置を示す分解斜視図である。
【図7】第2実施例に係る開栓装置の説明断面図であって、(a)は中間支持部材が最上位置に上昇して上部開口に臨んだ状態を示し、(b)は中間支持部材が旋回して最下位置に降下した状態を示している。
【図8】第3実施例に係る飲料容器の開栓装置の説明断面図であって、(a)は中間支持部材が最上位置に上昇して上部開口に臨んだ状態を示し、(b)は中間支持部材が旋回して最下位置に降下した状態を示している。
【図9】第3実施例の開栓装置に実施されている倣い片を示す概略断面図である。
【図10】前述した各実施例の開栓装置を、車両内装部材の容器ホルダーに設置した状態を示す斜視図である。
【図11】開栓装置を上下逆向き姿勢で使用して、スクリューキャップを開栓する状態を示した説明図である。
【図12】第1実施例の変更例に係る開栓装置を示す説明平面図である。
【図13】第2実施例の変更例に係る開栓装置の説明断面図である。
【図14】第3実施例の変更例に係る開栓装置の説明断面図である。
【符号の説明】
【0045】
12 スクリューキャップ
14 筒状中空部
16 ハウジング
18 スロープ部
18a 円弧片(突出部)
18b 円弧片(突出部)
20 飲料容器
22 倣い片
24 中間支持部材
26 付勢手段
30 基台
62 ハウジング
64 スロープ部
64a 円弧片(突出部)
64b 突出片(突出部)
68 スロープ部
68a 円弧溝(凹溝部)
68b 螺旋溝(円弧溝)
70 倣い片
82 筒部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューキャップ(12)付きの飲料容器(20)が挿入される筒状中空部(14)を有するハウジング(16,62)と、
前記ハウジング(16,62)の内側に設けられたスロープ部(18,64,68)と、
前記ハウジング(16,62)内に昇降自在に配設されて前記飲料容器(20)の底部を支持し、前記スロープ部(18,64,68)に当接する倣い片(22,70)を有する中間支持部材(24)と、
常には前記中間支持部材(24)を上方へ付勢する付勢手段(26)とからなる
ことを特徴とする飲料容器の開栓装置。
【請求項2】
前記スロープ部(18)は、前記ハウジング(16)の底部をなす基台(30)に突設されて同心の円周上にあり、同一方向への勾配が付されている複数の突出部(18a,18b)からなり、前記中間支持部材(24)に載置した前記飲料容器(20)を押し下げることで、各突出部(18a,18b)に沿って前記倣い片(22)が移動することに伴って該中間支持部材(24)が旋回しながら降下し、これにより該飲料容器(20)に回転を付与し得る請求項1記載の飲料容器の開栓装置。
【請求項3】
前記スロープ部(64)は、前記ハウジング(62)の側部をなす筒部材(82)の内壁面に沿って突設されて螺旋または螺旋の一部をなす突出部(64a,64b)からなり、前記中間支持部材(24)に載置した前記飲料容器(20)を押し下げることで、各突出部(64a,64b)に沿って前記倣い片(22)が移動することに伴って該中間支持部材(24)が旋回しながら降下し、これにより該飲料容器(20)に回転を付与し得る請求項1記載の飲料容器の開栓装置。
【請求項4】
前記スロープ部(68)は、前記ハウジング(62)の側部をなす筒部材(82)の内壁面に沿って凹設されて螺旋または螺旋の一部をなす凹溝部(68a,68b)からなり、前記中間支持部材(24)に載置した前記飲料容器(20)を押し下げることで、各凹溝部(68a,68b)に沿って前記倣い片(70)が移動することに伴って該中間支持部材(24)が旋回しながら降下し、これにより該飲料容器(20)に回転を付与し得る請求項1記載の飲料容器の開栓装置。
【請求項5】
前記付勢手段(26)は、旋回しながら降下した前記中間支持部材(24)に対する前記飲料容器(20)の押し下げを解除することに伴い、該中間支持部材(24)を反対方向へ逆旋回させながら上昇させ得る請求項1〜4の何れかに記載の飲料容器の開栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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