説明

飲料水用の成形部品を製造するための成形化合物

本発明は、以下の構成物質から構成される成形化合物の特定の新規の使用に関する:(A) (A1)及び(A2)を含む、30〜100質量%のポリアミド混合物;
(A1) 50〜95質量%の脂肪族半結晶ホモポリアミド若しくは脂肪族半結晶コポリアミド、又は、これらのポリアミドの混合物、
(A2) 5〜50質量%の透明ホモポリアミド若しくは透明コポリアミド、又は、これらのポリアミドの混合物、
及び、
(B) 0〜70質量%のフィラー及び強化剤(助剤及び添加剤を含んでもよい)。本発明に従って、成形化合物は、目的通りに使用する過程で、少なくとも加工される成形材料の領域が、本質的に直接飲料水に曝される、飲料水用の成形品、特に、容器又は導管を、製造するために使用されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料水分野でのポリアミドベースの成形材料の使用、すなわち、目的通りに使用する場合に、加工される成形材料が飲料水と接触状態になる成形品を製造するためのポリアミドベースの成形材料の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
到達水準
我々の最も重要な生きる源であるため、飲料水は、それが消費者に供給される時まで、許容できない品質低下が起こってはならない。また、飲料水の設備(消耗品)の材料は、特に重要視される。DIM1988に従って、全てのプラント部品は、許容できない飲料水の質の劣化が起こらないように設計されなければならない。
ドイツ連邦健康機関(Bundesgesundheitsamt, BGA)のプラスチック委員会のワーキンググループによる「飲料水に関する論点(Drinking Water issues)」は、飲料水分野で使用されることが予定されたプラスチック及び他の非金属材料から作られた消耗品の健康アセスメントに関する。該アセスメントは、食品と接触状態になるプラスチックについてのBGA勧告に基づく。この研究の結果は、「飲料水で使用されうるプラスチックと他の非金属材料についての勧告」(プラスチック/飲料水についての勧告は、ドイツにてKTW勧告と略記される)に対する基礎となる。それらは、いずれの場合にも、認識水準及び技術水準に相当する。
出発材料がKTW勧告の主題であり、製造補助剤及び添加剤が、タイプ、量及び純度に関してそこで設けられた要件を満たす場合に、基礎的要件及び追加要件のコンプライアンスは、最終製品(成形品)で実証されなければならない。
【0003】
具体的には、飲料水に接触する有機材料の衛生アセスメントのガイドライン(KTWガイドライン、発行:05.16.2007)は、(60±2)℃での温水試験及び(85±2)℃での熱水試験の仕様(DIN EN 12873−1:2004及び−2:2005に従った移行試験の実施)として、以下の方法であり、本発明にとって極めて重要な特徴となる点である:
a)試験前の試験片の消毒前処理(高塩素処理)を行わない。
b)前処理は、以下の順番でなされる:
−1時間の水道水でのすすぎ、
−24時間、試験温度((60±2)℃又は(85±2)℃)で停滞した試験水との接触、
−1時間の水道水でのすすぎ、
−試験水でのすすぎ落とし。
c)使用される試験水は、5.1.2 DIN EN 12873−1に従った水である。
d)少なくとも、2つの同じ接触試験及び2つのブランク試験が同時に行われる。
e)80mm未満の内径のパイプは、充填することによって試験される。300mm未満のDN80内径のパイプは、おおよそ5dm-1のS/V比(表面/容積比、ここで、Sは試験片の表面積であり、Vは試験水の容積である)で、ガラス円筒を挿入することによって試験される。300mmの内径のパイプは、5dm-1のS/V比で、ガラス円筒を挿入することによって、又は、パイプセグメントを充填することによって試験されうる。容器コーティングは、おおよそ5dm-1のS/V比で、被覆プレートとして試験される。装置の部品及びシールは、おおよそ5dm-1のS/V比で、製品を浸漬することによって試験される。
f)材料組成物における相違、及び、パイプ、装置の部品及びシールの生産工程における相違がない場合には、最も小さい直径の製品シリーズで試験したので差し支えない。
g)試験片の充填又は浸漬は、試験温度で、試験水を用いて、又は、試験水中でなされる。試験設定は、温蔵庫又は温度自動調節器中でこの温度に維持されなければならない。
h)前処理は、試験温度にて、7移行期間で行われる(付録2のガイドライン:高温での移行試験の実施のスキーム参照のこと)。最初の3回の、及び、最後の2回の試験期間(夫々24時間の接触時間)の試験水は、別の研究で使用される。
i)TOC(全有機炭素)は、DIN EN 1484に従って5移行サンプル中のNPOC(不揮発性(nonpurgeable)有機炭素)として測定される。
j)個々の物質の特定移行量は、第1、第6、及び第7回目の期間の移行サンプルにおいて測定される。
【0004】
重要な別の要件は、飲料水と接触した状態の「炭素放出」(移行率)である。第7回目の抽出における指針値である12.5mg C/m2dを超えてはならない。移行率の基礎をなす炭素濃度は、ここで測定され、第7回目の抽出サイクル後の溶存有機炭素の全濃度(全有機炭素又は略してTOC)に対応する。
一般的に、抽出可能材料の量、従ってTOCは、温度が上がるのに応じて上昇するので、同じポリマー材料で、23℃(冷水)、60℃(温水)及び85℃(熱水)において、異なる抽出値に達する。例えば、いくらかのプラスチックは、室温でKTWに適合する低いTOCを有するが、60℃又は85℃で、高いTOCを有するので、それらは温水分野及び熱水分野で承認されない。
【0005】
US 2005/67514 A1は、異なる材料中のポリアミドからなりうる、飲料水供給のための使用が予定されている蛇管を示す。
DE 19945106 A1は、飲料水プラントに設置されてもよい圧力容器を示す。当該容器は、いわゆるスピン-キャスティング法でポリアミドから製造される。PA6は、例として言及される。
US 6511724は、内層がPEからなり、外層がPA12からなる、飲料水供給のための多層のプラスチック導管を示す。PA12層は、土から飲料水への炭化水素の拡散を予防することが予定される。PE内層なしで済ますことは実際には不可能で、又は、そのようにすることは予定されず、PA12が飲料水供給に適していないことを示唆する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
従って、飲料水用の成形品を製造するための改良された成形材料、特に、高温における飲料水用に承認もされうる改良された成形材料を提供することが、本発明の目的である。
この目的は、以下の構成物質から構成される成形材料を提供することで達成される:
目的通りに使用する過程で、少なくとも加工される成形材料の領域が、本質的に直接飲料水に曝される、飲料水用の成形品、特に、容器又は導管、ハウジング、接極子、バルブ等を、製造するための
(A) (A1)及び(A2)を含む、30〜100質量%のポリアミド混合物;
(A1) 50〜95質量%の脂肪族半結晶ホモポリアミド若しくは脂肪族半結晶コポリアミド、又は、これらのポリアミドの混合物、
(A2) 5〜50質量%の透明ホモポリアミド若しくは透明コポリアミド、又は、これらのポリアミドの混合物、
及び、
(B) 0〜70質量%のフィラー及び強化剤(助剤及び添加剤を含んでもよい)。
本発明の核心は、従って、提案される特定の混合物が、予想外に、高温で、非常に低いTOCを実際には有しうるという認識にある。
【0007】
原則として、全く異なる用途に関連するものではあるが、様々なポリアミドの混合物は、先行技術で明らかに知られている。
例えば、DE3200428は、5〜20質量%(全成形材料を基準にする)の少なくとも1種のアモルファスの透明ポリアミドを含む半結晶ポリアミドをベースとする、ガラス繊維-強化成形材料を記載している。当該記載及び実施例は、半結晶ポリアミドとして、PA6及びPA66のみに言及している。アモルファスポリアミドは、TPS及びトリメチルヘキサメチレンジアミン、又は、IPS及びHMDA、又は、ラウロラクタム、IPS及びMACMをベースとする。その目的は、強化成形品の表面の質を向上することであり、その使用は、「射出成形工程で製造された部品は視覚的に良好な表面を有するべきである」との極めて一般的に記載されているに過ぎない。飲料水分野への適合性についての指摘はない。
【0008】
DE60209862T2は、5〜40質量%のアモルファスポリアミド、60〜95質量%の半結晶ポリアミド、並びに、自由選択的にポリアミドエラストマー、相溶化剤及び軟質変性剤を含む透明組成物を記載している。好適な態様において、半結晶ポリアミドPA12が言及されており、アモルファスポリアミドは、シクロ脂肪族ジアミン イソホロンジアミンをベースとする。請求される物品は透明であるべきなので、ガラス繊維は、可能な構成成分として言及されない。この文献は、スキーコーティングの材料に関し、飲料水分野又は低TOCを達成することについての当該成形品の使用に関する指摘はない。
DE10009756は、耐応力亀裂性を改良した無色透明のブレンド、及び、ブレンド構成成分(少なくとも1種のリン化合物を含む)を記載している。ポリマー混合物は、1〜99%の透明ポリアミド(A)及び99〜1%の半晶質ポリアミド(B)からなる。好ましい組成範囲において、10〜90%のポリアミドA及び90〜10%のポリアミドBが混合される。慣用的なフィラー及び強化剤が、混合物に添加されうる。飲料水分野での使用は、言及されていない。実施例で詳述される混合物は、単に30質量%の半晶質ポリアミドだけを含む。
【0009】
EP0523445は、25〜75質量%の半晶質ポリアミド、及び、モノマーとして二量化脂肪酸を必然的に含む75〜25質量%のアモルファスポリアミドを含む、ブレンドを記載している。自由選択的な添加剤に加えて、慣用的なフィラー及び強化剤が、成形材料に存在することも可能である。半晶質ポリアミドとしてPA12は言及されておらず、飲料水分野での使用も言及されていない。
EP0408390は、半晶質ポリアミド及びアモルファスポリアミドをベースにした熱成形フィルムに関し、ここで、混合物は、好ましくは、PA6T/6Iタイプの、5〜15%の、アモルファスポリアミドを含む。PA12は、半晶質ポリアミドとして提案されていない。
US2003/0125481は、半晶質及び半芳香族のアモルファスポリアミド、及び、無機の強化剤の溶融混練によって得られる強化ポリアミド成形材料を記載している。混合物の結晶化温度は、180℃以下にするべきである。アモルファスポリアミドの芳香族構造ユニットは、以下のモノマーをベースとする:IPS、TPS、MXD。成形材料は、自動車分野における外装部品の製造、特に、バックミラーのハウジングに使用されることが提案されている。
【0010】
US5250604は、強化ポリアミド成形材料の良好な機械的特性及び良好な表面品質の組合せが、特に吸水性について、脂肪族半晶質ポリアミド、芳香族半晶質コポリアミド、及び、アモルファスポリアミドの混合物からなる重合マトリクスによって得られる方法を記載している。
これらの文献は、飲料水分野の成形品の分野のための当該ポリアミド成形材料の使用については、記載しておらず、これらの文献中での全く異なる用途もこのような使用を示唆できていない。より詳細には、それらは、「提案される成形材料が当該適用で著しく低いTOCを達成することができる」ことを本分野の当業者が考える動機にはなりえない。
【0011】
本発明でベースとされる成形材料は、大部分は脂肪族半晶質ポリアミド(A1)及び少量のアモルファス又は微晶質のポリアミド(A2)をベースとし、好ましくは、強化形態である。より詳細には、該マトリクスは、PA12及びPA MACM12又はPA MACMI/12から構成される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
構成成分(A)の例としてのPA12単独では、冷水及び温水におけるTOCに関する追加要件を満たすが、熱水においては満たさない。15〜35質量%の濃度範囲でのアモルファスポリアミド又は微晶質ポリアミドの添加によってのみ、要求される指針値に達するか、それより低い当該範囲にTOCを下げることができる。使用されるアモルファスポリアミド又は微晶質ポリアミド(これらは透明であることが共通する)自体のTOCは低い。達成されるTOCの減少は、選択された濃度範囲において、構成成分の混合比から理論上生じる値を有意に超えている。この結果では、驚くことに、PA12及び透明ポリアミドの混合物は、特に、62〜85%の(A1)/38〜15%の(A2)の組成範囲において、熱い飲料水とでさえ接触に関する要件を満たす。
興味深いことに、強化成形材料のガラス繊維含有量は、個々の抽出段階のTOCにおけてごくわずかに影響するだけである。言い換えると、例えば、50質量%のガラス繊維(構成成分B)を添加することによって、TOCを半分にすることはできない。それどころか、非強化及び強化成形材料は、実際に、等しいTOCを有するか、又は、強化成形材料であっても一層高いTOCを有することが分かっている。
【0013】
脂肪族半結晶ポリアミド(A1)及び透明ポリアミド(A2)から構成されるブレンドは、上述のように、すでに実質的に先行技術である。しかしながら、今日までに、上述の特定された混合比で、構成成分A1及びA2(及び自由選択的にB)の混合物が、有意にTOCを減少させた成形材料をもたらすことは示されておらず、示唆もされていない。飲料水分野における当該成形材料の使用は、今日まで一度も言及されていない。飲料水の認可が、当該ブレンドに存在することは知られていない。
【0014】
第一の好ましい態様において、構成成分(A1)は、少なくとも1種の、メチレン/アミド比が5〜12、好ましくは7〜12である、ポリアミド又はコポリアミドを含む。構成成分(A1)は、好ましくはPA6、PA8、PA10、PA11、PA12、PA66、PA1212、PA46、PA69、PA610、PA611、PA612、PA614、PA810、PA812、PA1010、PA1012、PA1210、PA1014、PA1018、PA1214若しくはPA1218、又は、これらの混合物である。構成成分(A1)は、最も好ましくはPA12である。
更に好ましい態様において、構成成分(A1)は、特にそれがPA12に選択された場合に、1.5〜3.0のηrel範囲、好ましくは1.6〜2.6のηrel範囲、特に1.6〜2.0のηrel範囲の溶液粘度(m−クレゾール中、0.5質量%、20℃)を有する。構成成分(A1)が好ましくはPA12であり、そしてこれは、50質量%以下の割合の1.8〜2.0の溶液粘度ηrel(m−クレゾール中、0.5質量%、20℃)を有するガラス繊維で存在し、一層高度な強化成形材料のために、1.6〜1.8の溶液粘度ηrelを有する。
【0015】
更に好ましい態様は、構成成分(A1)中で使用されるポリアミドが、釣合った末端基比を有するか、又は、カルボキシル末端基が過剰に存在する(ここで、アミノ末端基の濃度は、好ましくは5〜70mmol/kgの範囲、更に好ましくは5〜50mmol/kgの範囲、特に5〜30mmol/kgの範囲であり、及び/又は、カルボキシル末端基の濃度は、好ましくは50〜150mmol/kgの範囲、更に好ましくは60〜120mmol/kgの範囲、最も好ましくは60〜90mmol/kgの範囲である)ことを特徴とする。
構成成分(A2)は、好ましくは、脂肪族の、脂環式の、又は、芳香族の、ジアミン、ジカルボン酸、ラクタム、及び/又は、アミノカルボン酸(好ましくは、6〜40個の炭素原子、特に好ましくは8〜36個の炭素原子を有する)をベースとした透明ポリアミドであるか、又は、これらのホモポリアミド及び/又はコポリアミドの混合物である。例えば、脂環式ジアミンは、MACM、MXDA、IPD、及び/又は、PACM(付加置換基を含んでいても含まなくてもよい)でありうる。更に、脂肪族のジカルボン酸は、直鎖状で、又は、分岐状で、2〜36個の炭素原子、好ましくは8〜20個の炭素原子、特に好ましくは10、12、14、16又は18個の炭素原子を有する、脂肪族のジカルボン酸であってもよい。
【0016】
更に好ましい態様において、透明ポリアミドは、MXDI、MXDI/61、MXD6/MXDI、MACM12、MACM14、MACM16、MACM18、PACM12、PACM14、PACM16、PACM18の群から選択されるホモポリアミド、及び/又は、MACM12/PACM12、MACM14/PACM14、MACM16/PACM16、MACM18/PACM18、MACM9〜18、PACM9〜18、MACMI/12、6I/6T/MACMI/MACMT/12、3−6T、6I/6T、TMDT、6I/MACMI/MACMT、6I/PACMI/PACMT、MACMI/MACMT/12、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36、6I、12/PACMI、12/MACMT、6I/PACMT、6/6I、6/IPDTの群から選択されるコポリアミド、又は、これらのポリアミドの混合物である。特に好ましい透明ポリアミドは、MACM12、MACM14、MACM18、PACM12/MACM12、MACMI/12、MACMI/MACMT/12、及び、6I/6Tである。
【0017】
透明ポリアミド(特に、アモルファス又は微晶質のホモポリアミド及び/又はコポリアミドの形態)は、好ましくは1.3〜2.0、特に好ましくは1.40〜1.85の溶液粘度(ηrel)、及び/又は、90℃より高い、好ましくは110℃より高い、特に好ましくは130℃より高いガラス転移温度Tgを有する。
透明ポリアミドが、4〜40J/gの範囲、特に4〜25J/gの範囲の融解エンタルピーを有する、微晶質ポリアミド及び/又は微晶質コポリアミドである場合が、更に好ましい。
非常に特に好ましい態様において、構成成分(A2)の透明ポリアミドは、MACM12−18及び/又はMACMI/12及び/又はMACMI/MACMT/12である。
【0018】
好適な使用は、高温、好ましくは60℃より高い温度での飲料水の保存又は輸送用の成形材料にあり、特に好ましいのは、第7回目の抽出における溶存有機炭素の総濃度は、12.5mgC/m2dの値を超えないことである。
更に特別には、当該成形品は80℃より高い温度、好ましくは、85℃±2℃より高い温度での飲料水の保存又は輸送用でさえ適していることが分かっており、特に好ましいのは、第7回目の抽出における溶存有機炭素の総濃度は、12.5mgC/m2dの値を超えないことである。
開発研究の更なる結果により、PA12成形材料の架橋は、同様にTOCを有意に減少させることができることが分かった。しかしながら例えば、PA12単独の架橋は、TOCの要求される指針値を達成するのには不十分である。しかしながら、放射線誘導架橋の併用で、必要とされる透明ポリアミド(構成成分A2)の濃度は低くなりうる。さらに、成形品の熱変性耐性は架橋によって改良されうることが期待される。言い換えると、成形品(パイプ、付属部品)は、機械的影響、例えば高内圧への更なる耐性を示す。架橋されたパイプ又は付属部品の破裂圧力は、特に高温(熱水)において一層高いレベルでなければならない。成形材料へ架橋添加剤を添加する可能性及び最終成形品を架橋する可能性は、従って、同様に、本出願の要旨の一部を形成する。
【0019】
更に好ましい態様は、対応して、本発明の使用のために、好ましくは架橋添加剤(特に好ましくは、放射線誘導架橋用)の添加によって、少なくとも部分的に構成成分(A)を架橋することであり、該添加剤は、好ましくは、TAIC(トリアリル イソシアヌラート)、より好ましくはTMPTMA(トリメチロールプロパン トリメタクリラート)、及び/又は、TMPTA(トリメチロールプロパン トリアクリラート)であり、特に1〜5%の割合で存在する。更に好適な架橋添加剤は、エチレングリコール ジメタクリラート、エチレングリコール ジアクリラート、又は、ジビニルベンゼンである。この系は、例えば、WO2007/074086で説明されたとおりでありうる。架橋及びそのために使用されうる添加剤に関して、この文献に開示された内容は、本発明の開示の内容に明確に組み込まれる。変形において、架橋は、特に、放射線誘導架橋(例えば電子ビーム、ガンマ線)は、架橋添加剤を添加せずに達成されてもよい。本発明に従って使用される放射線ドースは、50kGyより大きく、好ましくは60〜125kGy、又は60〜100kGyのドースで作用することが選択される。
【0020】
架橋添加剤のTAIC及び/又はTMPTMA(ポリアミドマトリックスを基準に2質量%)及び、50kGyより高い放射線ドースを用いた放射線架橋は、たとえTAICにおける低分子量物質(a low molecular weight agent)がポリアミド成形材料へ添加されたとしても、既にTOCを有意に減少させることができる。架橋添加剤は、構成成分A及び/又はBへの架橋添加剤のドラム施与(drum application)の間に、又は、架橋添加剤を含み、構成要素A及び/又はBをベースにする、マスターバッチの使用の際に、又は、構成成分A〜Eの混合の過程で、純粋架橋添加剤若しくは溶解した架橋添加剤の計量添加によって、添加される。
更に、成形材料は、70質量%以下のフィラー及び強化剤(構成成分(B)例えばガラス及び/又はカーボン繊維)で変更されうる。強化剤は、短繊維(例えば、2〜50mmの長さのチョップトガラス)又はエンドレス繊維(長ガラス又は粗紡糸)でもたらされる。
【0021】
本発明に従って粗紡糸(フィラー構成成分C)として使用されるガラス繊維は、10〜20μm、好ましくは12〜17μmの直径を有する。使用されるガラス繊維は、好ましくは長ガラス繊維である。更に特別には、Eガラス繊維は、本発明において使用される。好ましいEガラス繊維に加えて、Sガラス繊維が特に使用される。なぜなら、それらの引張強度は、Eガラス繊維より30%高いためである。しかしながら、全てのほかのガラス繊維のタイプ、例えば、A、C、D、M、Rガラス繊維、又はそれらの任意の混合物、又はE及び/又はSガラス繊維との混合物を使用することも可能である。
長繊維強化成形材料において、15〜19μmの直径を有する慣用的なエンドレスガラス繊維の代わりに、10〜14μmの直径を有する繊維、特に、10〜12μmの直径を有する繊維が使用される場合に、一層高い靱性、従って、一層の金属様特性が得られる。
【0022】
好ましくは、円形の断面積を有するか、又は、断面の主軸対断面の短軸の寸法比が2未満である繊維である、ガラス繊維が使用される。好ましい態様において、本発明に従って使用されるガラス繊維は、7〜20μm、好ましくは9〜12μmの範囲の直径を有する短ガラス繊維である。ガラス繊維は、2〜50mmの長さのチョップトガラスの形態で存在する。より詳細には、E及び/又はSガラス繊維が、本発明に従って使用される。しかしながら、全てのほかのガラス繊維のタイプ、例えば、A、C、D、M、Rガラス繊維、又はそれらの任意の混合物、又はE及び/又はSガラス繊維との混合物を使用することもできる。ポリアミドの慣習的なサイズが使用され、例えば様々なアミノシランのサイズ、好ましくは高温でも安定なサイズが選択される。
【0023】
本発明のポリアミド成形材料は、長繊維-強化ペレット化材料を製造するための公知の方法、特に、エンドレス繊維ストランド(粗紡糸)に、溶解したポリマーを完全に含浸させて、次いで冷却し、切断する、引抜成形法によって製造されうる。
引抜成形法で使用されるエンドレスカーボン繊維は、5〜10μm、好ましくは6〜8μmの直径を有する。
この方法で得られた長繊維-強化ペレット化材料は、好ましくは3〜25mm、特に4〜12mmのペレット長を有し、慣用的な製造方法(例えば、射出成形、圧縮成形)によって更に成形品に製造されうる。特に、成形品の優れた特性は、穏やかな製造方法で得られる。この状況において、「穏やか」は、特に、過剰な繊維破断、及び、これに伴う繊維長の有意な減少が、実質的に回避されることを意味する。射出成形において、これは、大きな直径のスクリューが使用されるべきであることを意味する。
【0024】
構成成分(B)は、好ましくは本質的に、好ましくは本質的に完全に、好ましくは、ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、及び、玄武岩繊維の群から選択される強化剤から形成される。
さらに好ましい態様において、構成成分(B)は、ポリアミド成形材料の10〜65質量%、特に、15〜60質量%の範囲、好ましくは、少なくとも20質量%を構成し、ここで、この割合は、好ましくは、主に、或いはもっぱらガラス繊維で形成される。ガラス繊維に加えて、更なる強化剤が0〜30質量%の割合で存在してもよい。
【0025】
自由選択的に、更なるフィラー及び強化剤を、0〜30質量%で成形材料に添加することが可能である。好ましい更なる強化剤の例は、炭素繊維(グラファイト繊維を含む)、ボロン繊維、アラミド繊維(p−又はm−アラミド繊維(例えば、Kevlar(登録商標)又はNomex(登録商標)、デュポン)、及びそれらの混合物)及び、玄武岩繊維を含み、短繊維又は長繊維として挙げられる強化繊維を、或いは、様々な繊維の混合物の形態で、使用することが可能である。更に、本発明の別の態様において、本発明に従って使用されるガラス繊維は、カーボン繊維(グラファイト繊維を含む)との混合物として存在してもよい。このようにガラス繊維の一部をカーボン繊維に換えることで、純ガラス繊維と比較して、剛性が増加したハイブリッド繊維強化化合物が得られる。ガラス繊維及びカーボン繊維の混合物は、70/30から97/3、特に、80/20から95/5のガラス繊維/カーボン繊維の質量比を有しうる。
【0026】
さて、調査によって、異なるGFのタイプは、成形材料の実測TOCに関して全く異なって寄与することが示されている。第2に、非強化成形材料は、その他の点では同じマトリクス組成を有するガラス繊維強化成形材料と比較して一層低いTOCを有する傾向がある。従って、明らかに、独立したTOC(GF−TOC)は、ガラス繊維(GF)によるものである。GF−TOCは、ポリアミドスラブの代わりにガラス繊維自体を抽出サイクルに供することで測定された。慣用的なテストの比較されうる意義のある値を得るために、強化ポリアミドスラブ中の濃度に対応してガラス繊維の量が(50%強化の場合に)抽出された。こうして、Bayer GF(ガラス繊維タイプA)に関して測定されたGF−TOCは、45mgC/dであり、一方で90mgC/dのTOCがVetrotex GFに関して測定される。単位は、表面積への言及を意図的に省いて報告される。なぜなら、このテストにおけるガラス繊維の実際の表面積は、正確に言って1m2に対応せず、その上、表面積の標準化は、上記考察のために異なる強化に基づいている。従って、GF−TOCは、強化繊維が成形品における合計TOCに明らかに寄与していることを表す。この発見に基づいて、本発明に従って、50mgC/dより小さいGF−TOCを有するガラス繊維を使用することが選択される。
【0027】
構成成分(B)は、以下の群及びこの群からの要素の混合物から選択される、フィラー(自由選択的に表面処理済みの形態であってもよい)を更に含む:タルク、雲母、シリケート、石英、二酸化チタン、ケイ灰石、カオリン、アモルファスシリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、生石灰、長石、硫酸バリウム、固体ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、すりガラス、特に、つやなしのすりガラス繊維、永久磁石、及び、磁化可能な金属化合物及び合金。特に好ましいフィラーは、平均直径が5〜100μmの範囲のガラスマイクロビーズである。なぜなら、これらは、成形品に等方性を与える傾向があるので、従って、低反りでの成形品の製造を可能にするためである。
【0028】
フィラー及び強化剤のような、本発明の熱可塑性成形材料は、従って、好ましくは、1種類の微粒子のフィラー、又は、2種以上の異なるフィラーの混合物で構成され、また、強化剤と組み合わせてもよい。
有機物安定化は、KTWガイドラインに従ったTOC測定について可能性のある炭素源を構成するので、比較的高い濃度の安定剤は避けられなければならない。従って、最大濃度0.5質量%(ポリアミドマトリクスを基準にする)の安定化添加物が、好ましくは、遵守される。従って、これ以上望まない炭素源がポリアミド成形材料中に確実に存在しないように、例えば、最大0.5質量%の別の添加剤、好ましくは安定化添加剤を含むポリアミド成形材料のために、添加剤の割合は最小に抑えられる場合が有利であることが分かっている。好ましい安定剤は、フェノール及び/又はホスファイト化合物、例えば、Irganox245、Irganox1010、Irganox1098、HostanoxPAR 24、又は、Irgafos168である。特に、0.5質量%以下の濃度でのIrganox1010が選択される。
【0029】
構成成分(A1)は、好ましくは65〜85質量%の範囲で、特に好ましくはPA12の形態で存在し、この場合において、構成成分(A2)は、15〜35質量%の範囲で、特に好ましくはMACM12−18又はMACMI/12又はMACMI/MACMT/12の形態で存在し、そして、この場合において、構成成分(A)は、30〜90又は30〜85質量%の範囲で存在し、そしてこの場合において、構成成分(C)は、10〜70又は50〜70質量%のフィラー及び強化剤であり、特に好ましくは、ガラス繊維の形態であり、自由選択的に更に0〜10質量%の助剤を併用しても良い。
更に好ましい態様は、ポリアミド成形材料中の構成成分(A1)対構成成分(A2)の比が、1〜10の範囲であり、好ましくは1.5〜7の範囲であり、特に好ましくは1.6〜5.7の範囲であることを特徴とする。
【0030】
構成成分(A2)の設定において、透明度は、一般的に、透過率を600nmの波長でUV/VIS分光計によって測定した場合に、構成成分(A2)で製造された厚み2mmのスラブの光透過率が、少なくとも88%で、好ましくは少なくとも90%であることを意味すると理解される。構成成分(A2)は、一般的に好ましくは、微晶質であり、及び/又は、アモルファスである。
【0031】
本発明は、更に、特に、高温、好ましくは80℃かそれより高い領域での飲料水の輸送及び/又は保存用の成形品であって、上記で特徴付けられたポリアミド成形材料を用いて製造される成形品に関する。当該成形品は、特に、接極子、ハウジング、ミキサー、水量計、水量計構成部品(軸受、プロペラ、ペデスタル)、バルブ、バルブ構成部品(ハウジング、遮断ボール、羽根、シリンダー)、カートリッジ、ポンプ、ポンプ構成部品(例えば、ペダル車輪、羽根車)、導管(例えば、太陽熱分野における)又は容器、又は、これらの構成要素又は要素である。
機械的及び熱的性質を改善するために、成形品は、自由選択的にその後放射線架橋されうる。
本発明の更に好ましい態様は、従属請求項に記載されている。
【実施例】
【0032】
本発明の実施方法
表1及び2に従った本実施例及び比較例において、以下の特定された材料を使用した:
・PA タイプA:ナイロン12(ηrel=1.65)、エムスケミー(EMS-CHEMIE)AG、スイス
・PA タイプB:ナイロン12(ηrel=1.88)、エムスケミー(EMS-CHEMIE)AG、スイス
・PA タイプC:ポリアミドMACMI/12(ηrel=1.55)、エムスケミーAG、スイス
・PA タイプD:ポリアミドMACM12(ηrel=1.74)、エムスケミーAG、スイス
・PA タイプE:ポリアミドMACMI/MACMT/12(ηrel=1.55)、エムスケミーAG、スイス
・イルガノックス(Irganox)1010:ペンタエリトリトール テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオナート]、立体障害フェノールをベースにする抗酸化物質
・ガラス繊維 タイプA:CS7928、4.5mm長、10μm直径、バイエル(BAYER)AG、ドイツ
【0033】
表1及び表2における組成物の成形材料は、Werner&Pfleiderer ZSK 30二軸押出機で製造された。タイプA〜Eのペレットを計量し、取込ゾーンに入れた。ガラス繊維を、計量し、溶融ポリマーの中に、ノズルの3ハウジングユニット上流のサイドフィーダーを介して、入れた。
ハウジング温度を、最高280℃までの上昇プロファイルで設定した。150〜200rpmで、10kgの押出量を達成した。ペレット化は、溶融ポリマーがダイを通して押出され、ダイから離れてから直接動翼で水流の中でペレット化される水中ペレット化(すなわち水中ホットカット)によってなされた。ペレット化して、100℃で24時間乾燥させた後に、ペレットの特性を計測し、試験片を製造した。
試験片を、220℃〜280℃に設定されたシリンダー温度で、かつ、15m/分のスクリュー周速設定で、アルバーグ(Arburg)射出成形機において製造した。成形温度を40〜90℃に選択した。
【0034】
測定は、以下の標準に従っておよび以下の試験片において行われた。
・引張弾性率:ISO527、1mm/分の引張速度、ISO引張試験片、標準:ISO/CD3167、A1タイプ、170×20/10×4mm、温度23℃。
・破断強さ及び破断点伸び:ISO527(強化成形材料で5mm/分の引張速度、及び、強化されない成形材料で50mm/分の引張速度)、ISO引張試験片、標準:ISO/CD3167、A1タイプ、170×20/10×4mm、温度23℃。
・シャルピー耐衝撃性:ISO179/*eU、ISO試験片、標準:ISO/CD3167、B1タイプ、80×10×4mm、温度23℃、*1=非計装化、2=計装化。
・シャルピーノッチ付耐衝撃性:ISO179/*eA、ISO試験片、標準:ISO/CD3167、B1タイプ、80×10×4mm、温度23℃、*1=非計装化、2=計装化。
・ガラス転移温度(Tg)、融解エンタルピー(△H):ISO標準11357−1/−2、ペレット
・示差走査熱量測定(DSC)は、20℃/分の加熱速度で行われた。
・相対粘度:DIN EN ISO 307、0.5質量%のm−クレゾール溶液、温度20℃。
・MVR(メルトボリュームフローレイト):ISO1133(275℃で5kgの荷重)
【0035】
・破裂圧:片側を閉じたシリンダー射出成形品(内径27.2mm;壁厚:4mm)は、水で満たされ、速流体継ぎ手によって破裂圧試験台に取り付けられ、10バール/秒の圧上昇で破裂圧試験を受けた(破壊されるまでの短期の内圧ストレス)。表には、到達した最大圧力を記載する。水保存を受けた試験片は、保存が終了したのちに、直ちに破裂圧試験を受けた。
・TOC測定(第7回目の移行):飲料水と接触する有機材料の衛生アセスメントのガイドライン(KTWガイドライン、発行:05.16.2007)に従う。(85±2)℃での熱水試験(DIN EN 12873−1:2004及び−2:2005に従う移行試験の実施);2つの同じ接触試験及びブランク試験は、夫々の場合において平行して行われた;実測値及びブランク値の平均値の差は、求められる炭素濃度を与える;使用された試験片は、2.5dm-1のS/V比で、移行試験につき350mlの試験水で夫々抽出される87.5cm2の表面積を有するスラブだった;TOCは、島津TOC−V CPH装置を用いたNPOC法によって測定された。
【0036】
・長期の内圧性能:32mmの直径と3mmの壁厚を有するパイプで、60℃の温度で、ISO9080に従って測定され、チューブは内部及び外部を水に接触させた。測定されるバルブにより、50年までの長期性能の補外の基準が構築された。表に50年までの補外された試験圧力を記載する。
特に明記されない限り、表又は説明において、試験片は乾燥状態で使用される。このために、試験片は、射出成形後、乾燥環境で、室温で、少なくとも48時間保存される。
【0037】
表1:GF強化なしのブレンド、CE=比較例(本発明に従わない)、E=本発明に従った実施例

【0038】

【0039】
表2:GF強化ありのブレンド、CE=比較例(本発明に従わない)、E=本発明に従った実施例

実施例E13及びE15に示されたとおり、破裂圧は、熱水(80又は95℃の水)中の保存後であっても、高いレベルを保っていた。
【0040】
表3:GF強化剤を含むブレンドをベースにした架橋成形品(引張試験片及び衝撃試験片、破裂圧試験用のシリンダー、及び、スラブ)、CE=比較例(本発明に従わない)、E=本発明に従った実施例

【0041】
比較例CE7の成形材料、及び実施例E16、E17及びE19の成形材料から製造された成形品は、電子を用いた放射線によって架橋された(放射線量:66kGy)。
移行率(TOC)は、架橋によって有意に低下されうる。しかしながら、N12マトリックス単独での架橋は、要求される低い移行率を達成するのに不十分である。これは、比較例CE6及びCE7から示される。架橋と透明ポリアミドの添加との組み合わせのみが、TOCに関する記載された問題を解決する。しかしながら、低い移行値は、架橋成形品中の低濃度の透明ポリアミドにより既に達成されている。これは、実施例E10及びE16の比較によって示される。同じ割合の透明ポリアミド(PAタイプD)のために、架橋されていない成形材料(E10)は、12mg C/m2dの第7回目の移行におけるTOCを有する。その一方で、架橋成形材料(E17)の移行率は、たった6mg C/m2dであり、すなわち、移行率は、架橋によって半分になる。
実施例E18とE9との比較は、本発明の成形品の架橋が内圧ストレス下での長期の性能を十分に改良することを示す(2倍以上の試験ストレスを可能にする)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構成物質から構成される成形材料の使用であって、
目的通りに使用する過程で、
少なくとも加工される成形材料の領域が、本質的に直接飲料水に曝される、飲料水用の成形品、特に、容器又は導管を、製造するための使用:
(A) (A1)及び(A2)を含む、30〜100質量%のポリアミド混合物;
(A1) 50〜95質量%の脂肪族半結晶ホモポリアミド若しくは脂肪族半結晶コポリアミド、又は、これらのポリアミドの混合物、
(A2) 5〜50質量%の透明ホモポリアミド若しくは透明コポリアミド、又は、これらのポリアミドの混合物、
及び、
(B) 0〜70質量%のフィラー及び強化剤(助剤及び添加剤を含んでもよい)。
【請求項2】
構成成分(A1)が、
メチレン/アミド比が5〜12、好ましくは7〜12である、少なくとも1種のポリアミド又はコポリアミドを含む、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
構成成分(A1)が、
PA6、PA8、PA10、PA11、PA12、PA66、PA1212、PA46、PA69、PA610、PA611、PA612、PA614、PA810、PA812、PA1010、PA1012、PA1210、PA1014、PA1018、PA1214若しくはPA1218、又は、これらの混合物である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
構成成分(A1)が、PA12である、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
構成成分(A2)が、
脂肪族の、脂環式の、又は、芳香族の、
ジアミン、ジカルボン酸、ラクタム、及び/又は、アミノカルボン酸(好ましくは、6〜40個の炭素原子、特に好ましくは8〜36個の炭素原子を有する)をベースとした透明ポリアミドであるか、
又は、
これらのホモポリアミド及び/又はコポリアミドの混合物である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
脂環式のジアミンが、
MACM、MXDA、IPD、及び/又は、PACM(付加置換基を含んでいても含まなくてもよい)である、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
脂肪族のジカルボン酸が、
直鎖状で、又は、分岐状で、2〜36個の炭素原子、好ましくは8〜20個の炭素原子、特に好ましくは10、12、14、16又は18個の炭素原子を有する、脂肪族のジカルボン酸である、請求項5又は6に記載の使用。
【請求項8】
構成成分(A2)の透明ポリアミドが、
MXDI、MXDI/61、MXD6/MXDI、MACM12、MACM14、MACM16、MACM18、PACM12、PACM14、PACM16、PACM18の群から選択されるホモポリアミド、
及び/又は、
MACM12/PACM12、MACM14/PACM14、MACM16/PACM16、MACM18/PACM18、MACM9〜18、PACM9〜18、MACMI/12、6I/6T/MACMI/MACMT/12、3−6T、6I/6T、TMDT、6I/MACMI/MACMT、6I/PACMI/PACMT、MACMI/MACMT/12、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36、6I、12/PACMI、12/MACMT、6I/PACMT、6/6I、6/IPDTの群から選択されるコポリアミド、
又は、
これらのポリアミドの混合物である、請求項5〜7のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
構成成分(A2)の透明ポリアミド(特に、アモルファス又は微晶質のホモポリアミド及び/又はコポリアミドの形態)が、
1.3〜2.0、特に好ましくは1.40〜1.85の溶液粘度(ηrel)、及び/又は、90℃より高い、好ましくは110℃より高い、特に好ましくは130℃より高いガラス転移温度Tgを有する、請求項1〜8のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
透明ポリアミドが、
4〜40J/gの範囲、特に4〜25J/gの範囲の融解エンタルピーを有する、微晶質ポリアミド及び/又は微晶質コポリアミドである、請求項1〜9のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
構成成分(A2)の透明ポリアミドが、
MACM12−18、好ましくはMACM12、MACM14及び/又はMACM18、及び/又は、MACMI/12及び/又はPACM12/MACM12及び/又はMACMI/MACMT/12及び/又は6I/6Tである、請求項1〜10のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
成形品が、
高温、好ましくは60℃より高い温度での飲料水の保存又は輸送用のものであり、
その場合、第7回目の抽出における溶存有機炭素の総濃度が、好ましくは12.5mgC/m2dの値を超えない、
請求項1〜11のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
成形品が、
80℃より高い温度、好ましくは、85℃±2℃より高い温度での飲料水の保存又は輸送用のものであり、
その場合、第7回目の抽出における溶存有機炭素の総濃度が、特に好ましくは12.5mgC/m2dの値を超えない、
請求項1〜12のいずれかに記載の使用。
【請求項14】
構成成分(A)が、
好ましくは、架橋添加剤を添加して、又は、添加しないで、特に放射線誘導架橋で、少なくとも部分的に架橋され、
ここで、架橋添加剤は、好ましくはTAIC、及び/又は、TMPTMA、及び/又は、TMPTAであり、特に、1〜5%の範囲の割合である、請求項1〜13のいずれかに記載の使用。
【請求項15】
構成成分(B)が、
好ましくは、ガラス繊維、カーボン繊維、ボロン繊維、アラミド繊維、及び玄武岩繊維の群から選択される強化剤から、
主に、好ましくは本質的に、形成される、請求項1〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
構成成分(B)が、
ポリアミド成形材料の10〜65質量%、特に、15〜60質量%の範囲、好ましくは、少なくとも20質量%を構成し、
この割合は、好ましくは、ガラス繊維単独で形成される、請求項1〜15のいずれかに記載の使用。
【請求項17】
さらなる強化剤が、ガラス繊維に加えて、0〜30質量%の割合で存在する、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
構成成分(B)が、
以下の群及びこの群からの要素の混合物から選択される、フィラー(表面処理済みの形態であってもよい)を更に含む、請求項1〜17のいずれかに記載の使用:
タルク、雲母、シリケート、石英、二酸化チタン、ケイ灰石、カオリン、アモルファスシリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、生石灰、長石、硫酸バリウム、固体ガラスビーズ、中空ガラスビーズ、すりガラス、特に、つやなしのすりガラス繊維、永久磁石、及び、磁化可能な金属化合物及び合金。
【請求項19】
構成成分(A1)が、
1.5〜3.0のηrel範囲、好ましくは1.6〜2.6のηrel範囲、特に1.6〜2.0のηrel範囲の溶液粘度を有する、PA12である、請求項1〜18のいずれかに記載の使用。
【請求項20】
構成成分(A1)がPA12であり、
50質量%以下の割合のガラス繊維が、
1.8〜2.0の溶液粘度ηrelを有し、
一層高度な強化成形材料のために、1.6〜1.8の溶液粘度ηrelを有する、
請求項1〜19のいずれかに記載の使用。
【請求項21】
構成成分(A1)中で使用されるポリアミドが、
釣合った末端基比を有するか、又は、
カルボキシル末端基が過剰に存在する(ここで、アミノ末端基の濃度は、好ましくは5〜70mmol/kgの範囲、更に好ましくは5〜50mmol/kgの範囲、特に5〜30mmol/kgの範囲であり、及び/又は、カルボキシル末端基の濃度は、好ましくは50〜150mmol/kgの範囲、更に好ましくは60〜120mmol/kgの範囲、最も好ましくは60〜90mmol/kgの範囲である)、請求項1〜20のいずれかに記載の使用。
【請求項22】
ポリアミド成形材料が、
最大0.5質量%の更なる添加剤、好ましくは安定化添加剤を含む、請求項1〜21のいずれかに記載の使用。
【請求項23】
構成成分(A)が、30〜90質量%の範囲で存在し、構成成分(A1)が、65〜85質量%の範囲で、特に好ましくはPA12の形態で存在し、構成成分(A2)が、15〜35質量%の範囲で、特に好ましくはMACM12−18又はMACMI/12又はMACMI/MACMT/12の形態で存在し、
存在する構成成分(B)が、10〜70質量%のフィラー及び強化剤で、特に好ましくは、ガラス繊維の形態であり、
更に0〜10質量%の助剤を併用しても良い、
請求項1〜22のいずれかに記載の使用。
【請求項24】
ポリアミド成形材料中の構成成分(A1)対構成成分(A2)の比は、2〜5の範囲であり、好ましくは2.5〜4の範囲である、請求項1〜23のいずれかに記載の使用。
【請求項25】
構成成分(A2)から製造される厚み2mmのスラブの600nmの波長で測定される光透過率が、
少なくとも88%であり、好ましくは少なくとも90%である、請求項1〜24のいずれかに記載の使用。
【請求項26】
構成成分(A2)が、微晶質及び/又はアモルファスである、請求項1〜25のいずれかに記載の使用。
【請求項27】
請求項1〜26のいずれかに定義された成形材料を使用して製造される、
接極子、ハウジング、バルブ、カートリッジ、導管又は容器の形態の
高温、好ましくは80℃かそれより高い温度領域での、飲料水の輸送及び/又は保存用の成形品。

【公表番号】特表2011−503250(P2011−503250A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531392(P2010−531392)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000445
【国際公開番号】WO2009/055948
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(510022808)エーエムエス−パテント アクチェンゲゼルシャフト (12)
【Fターム(参考)】