説明

飲料用ストロー付飲料容器及び飲料用ストロー

【課題】ストロー先端部分は従前公知のストローと同様な斜めに傾斜する傾斜部として、この先端部分に特別に細かい構成の加工をしなくても、飲料容器の刺し込み孔のフイルム部分が異物として飲料内に落下することがないようにした新規な飲料用ストロー付飲料容器及び飲料用ストローを提供する。
【解決手段】飲料用ストロー12の先端部13を先細りのテーパー形状に構成してあり、該先端部13の先端を斜めに形成して先端傾斜部14としてあり、該先端部13の先端傾斜部14の直径外径寸法を飲料容器1のストロー差し込み孔3の直径寸法より小さくしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料用ストロー付の飲料容器及び飲料用ストローに関する。
【背景技術】
【0002】
市販の紙製飲料容器には、容器側面または裏面に飲料用ストローが付着され、容器内飲料を飲用する際には、付着のストローを容器側面又は裏面から外して、これを紙製飲料容器の上面に設けたストロー刺し込み孔に刺し込み、内容飲料を飲用している。
図6乃至図9に、従来の飲料用ストローと飲料容器の刺し込み孔との関係を示してあり、飲料用ストロー先端の直径と飲料容器の刺し込み孔の直径が略等しく、図6及び図8,9に示すように飲料用ストローを垂直方向から刺し込んだり、図7に示すように飲料用ストローを斜め方向より刺し込み孔に刺し込むと、飲料容器上面の刺し込み孔のフイルム部分が図9に示すように飲料容器上面から切り離されて、異物として飲料内に落下することがあった。
この刺し込み孔の切断フイルム部分の飲料内への落下は、飲料内への異物の混入という衛生上好ましくないという課題がある。さらに、飲料用ストローで容器内飲料を吸入する際に、該異物を飲用してしまうという課題がある。
【0003】
上記飲料容器上面の刺し込み孔のフイルム部分が異物として飲料内に落下しても、この異物を飲用することがないようにした飲料用ストローが知られている(例えば特許文献1)。
また、飲料用ストローを飲料容器の上面の刺し込み孔に刺し込んでも、この刺し込み孔のフイルム部分が異物として飲料内に落下することがないようにした飲料用ストローも知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002‐253415号公報
【特許文献2】特開2004‐275596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の先行例は、ストロー先端に十字形の管内壁を設けて、異物の吸引を防止している。また、ストローの先端を尖塔状又は円錐状に形成し、この尖塔状又は円錐状の尖塔面又は円錐面に多数の小孔を形成してある。
次に,上記特許文献2の先行例は、飲料用ストローの先端の傾斜した傾斜面に、種々の構成からなる切断防止部を形成してある。
上記何れの先行例においても、飲料用ストローを飲料容器の上面の刺し込み孔に刺し込んでもこの刺し込み孔のフイルム部分が異物として飲料内に落下することがないようにする効果がある。
しかし、何れにしてもストロー先端部分の細かい構成から、この細かい構成の加工が必要であるという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、ストロー先端部分は従前公知のストローと同様な斜めに傾斜する傾斜部として、この先端部分に特別に細かい構成の加工をしなくても、飲料容器の刺し込み孔のフイルム部分が異物として飲料内に落下することがないようにした新規な飲料用ストロー付飲料容器及び飲料用ストローを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明飲料用ストロー付飲料容器は、飲料用ストローの先端部を先細りのテーパー形状に構成してあり、該先端部の先端を斜めに形成して先端傾斜部としてあり、該先端部の先端傾斜部の直径外径寸法を飲料容器のストロー差し込み孔の直径寸法より小さくしてある。
上記先端部の先端の直径外径寸法Bと飲料容器のストロー差し込み孔の直径寸法Dとの差、即ちD−B≧1.7mmとするとよい。
また、上記先端部の先端傾斜部の長手方向の直径外径寸法L2と上記飲料容器のストロー差し込み孔の直径寸法Dとの差、即ちD−L2≧0.25mmとするとよい。
【0007】
また、本発明飲料用ストローは、飲料用ストローの先端を先細りのテーパー形状に構成してあり、該先端部の先端を斜めに形成して先端傾斜部としてある。
上記先端部の先端傾斜部の直径外径寸法を、上記飲料用ストローが付着する飲料容器のストロー差し込み孔の直径寸法より小さくしてある。
上記先端部の先端の直径外径寸法Bと、上記飲料用ストローが付着する飲料容器のストロー差し込み孔の直径外径寸法Dとの差、即ちD−B≧1.7mmとするとよい。
上記先端部の先端傾斜部の長手方向の直径外径寸法L2と上記飲料容器のストロー差し込み孔の直径寸法Dとの差、即ちD−L2≧0.25mmとするとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の飲料用ストロー付飲料容器は、飲料用ストローの先端部を先細りのテーパー形状に構成してあり、該先端部の先端を斜めに形成して先端傾斜部としてあり、該先端部の先端傾斜部の直径外径寸法を飲料容器のストロー差し込み孔の直径寸法より小さくしてあるから、飲料用ストローを飲料容器のストロー刺し込み孔に刺し込む際、ストローの先端傾斜部の先端が該ストロー刺し込み孔の縁より必ず内側に位置して差し込まれるから、切断された切断縁が、飲料容器上面に繋がったままの状態で切断され、刺し込み孔のフイルム部分が飲料容器の上面から切り離されることなく、異物として飲料内に落下することはない。
そして、本発明では飲料用ストローの先端部を先細りのテーパー形状に構成するから、該先端部の加工に細かい加工が必要なく、簡単なテーパー加工でよいという効果がある。
【0009】
また、本発明飲料用ストローは、飲料用ストローの先端を先細りのテーパー形状に構成してあり、該先端部の先端を斜めに形成して先端傾斜部としてあるから、この飲料用ストローを飲料容器のストロー刺し込み孔に刺し込む際、ストローの先端傾斜部の先端が該ストロー刺し込み孔の縁より必ず内側に位置して差し込まれるから、切断された切断縁が、飲料容器上面に繋がったままの状態で切断され、刺し込み孔のフイルム部分が飲料容器の上面から切り離されることなく、異物として飲料内に落下することはない。
そして、本発明では飲料用ストローの先端部を先細りのテーパー形状に構成するから、該先端部の加工に細かい加工が必要なく、簡単なテーパー加工でよいという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明飲料用ストロー付飲料容器の斜面図。
【図2】本発明飲料用ストローの平面図。
【図3】本発明飲料用ストローの要部の拡大図。
【図4】本発明飲料用ストローを飲料容器の刺し込み孔に刺し込む直前の状態を示す説明図。
【図5】本発明飲料用ストローを飲料容器の刺し込み孔に刺し込んだ状態を示す説明図。
【図6】従前の飲料用ストローと飲料容器であって飲料用ストローを刺し込む前に垂直方向より刺し込む状態の説明図。
【図7】従前の飲料用ストローと飲料容器であって飲料用ストローを刺し込み孔に斜め方向より刺し込む状態の説明図。
【図8】図6に示す状態の飲料用ストローを飲料容器の刺し込み孔に刺し込む直前の状態の説明図。
【図9】図6に示す状態の飲料用ストローを飲料容器の刺し込み孔に刺し込んだ状態の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面に示した実施例により本発明の詳細を説明する。
図中符号1が紙製飲料容器で、その上面2にストロー刺し込み孔3が形成してある。該上面2は、その上面からPE層4、印刷層5、原紙層6、LDPE層7、Al層8、接着性樹脂層9及びLDPE層10の積層構造からなっており、ストロー刺し込み孔3の部分は原紙層6と印刷層5が切除され、最上層のPE層4が、LDPE層の上層に接着されている。そして飲料容器1の側壁11にフイルム包装された飲料用ストロー12が付着してある。
【0012】
図示した実施例では、この飲料用ストロー12に2段式の伸縮ストローを示したが、この飲料用ストロー12は一本物ストローであっても3段式以上の伸縮ストローであってもよい。
本発明では、この飲料用ストロー12の先端部13を先細りのテーパー形状に構成してあり、この先端部13の先端を斜めに形成して先端傾斜部14としてある。
そして本発明では、該先端部13の先端傾斜部14の直径外径寸法Bをストロー刺し込み孔3の直径寸法Dより小さくしてある。
【0013】
図6乃至図9に従前の飲料用ストロー付飲料容器とその説明図が示してあり、各部分については、図1乃至図5に示した符号と同一符号を付してある。
従前市販されている紙製飲料容器1のストロー刺し込み孔3は、その直径寸法が6.2mmのものが多く、この容器に対応して出願人は以下の規格にて2段式伸縮ストローを提供していた。
1. 外ストロー直径外径 6.0mm
2. 内ストロー直径外径 4.8mm(肉厚0.28mm)
3. 先端傾斜部のカット角度α 50度
4. カット斜めL2寸法 6.27mm
この規格品にあっては、飲料用ストロー12を容器1の上面2に垂直方向に刺す際は、内ストローの直径外径が4.8mmのため、刺し込み孔3の直径寸法6.2mmより細いため、比較的先端傾斜部14の先端を刺し込み孔3の縁より内側、中央よりに刺すことができ、刺し込み孔3のフイルム部分が異物として落下することは少ないが、図7に示すように飲料用ストロー12を斜めから刺すときは、カット斜めL2寸法が6.27mmと刺し込み孔3の孔径6.2mmより大きいから、突き刺し強度が必要となり、刺し込み孔3のフイルム部分が異物として落下する現象が発生していた。
【0014】
上記従来品に比し、本発明の飲料用ストローの規格は次の通りである。
1. 外ストロー直径外径 6.0mm
2. 内ストロー直径外径 4.8mm(肉厚0.28mm)
先端傾斜部の直径外径 4.2〜4.4mm
3. 先端傾斜部のカット角度α 46〜49度
4. カット斜めL2寸法 5.6〜5.9mm
本発明飲料用ストローではその先端部13をテーパー形状にし、さらにその先端を斜めに形成して、先端傾斜部14としたから、従前製品に比し、容器1の刺し込み孔3の中央近くに突き刺しやすくした。さらに、斜めから刺し込むときでも刺し込み孔3の孔径より細くしてあるから、刺し込み孔3の円周部端のフイルム部を切断することがなく、落下物になることはない。
本発明で斜め刺しを実施した結果フイルム切れ結果は0/150本であった。
従来品での切れは6/150本であった。
【0015】
また、先端部のカット角度について、現状50度としているが、先端部を絞ったことから突き刺し強度を低下させないため角度を46〜49度が望ましい条件となった。先端部を細くしたことにより飲み口での吸引については、現状品ストローと全く変化なく使用できる。
参考として、出願人は現行品と本発明品サンプルでストロー突き刺し強度を検証した。
測定方法は、プッシュプルゲージにてストローを突き刺して100mm/minのスピードで、6.2mmのストロー刺し込み孔に突き刺して貫通するまでの強度(N)を測定した。下記の強度はサンプル数20個における平均値である。
1. 現行品ストロー 9.0N
2. 本発明品ストロー 6.5N
【符号の説明】
【0016】
1 飲料容器
2 上面
3 ストロー刺し込み孔
4 PE層
5 印刷層
6 原紙層
7 LDPE層
8 Al層
9 接着性樹脂層
10 LDPE層
11 側壁
12 飲料用ストロー
13 先端部
14 先端傾斜部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層フイルムからなる略円形状のストロー刺込孔を有する飲料用ストロー付飲料容器であって、
前記ストローは、
略円筒形状を有する刺し込み側の先端部が先細りのテーパー形状に構成され、
当該先端部の開口端面が円筒軸に垂直な面に対して角度をなすように形成されており、
前記先端部の開口端の外周径L2が前記ストロー刺込孔の直径Dよりも小さい寸法であり、かつ、
前記先端部の開口端を円筒軸に垂直な面に投射した円の外周径Bが前記ストロー刺込孔の直径Dよりも小さい寸法であることを特徴とする飲料用ストロー付飲料容器。
【請求項2】
前記先端部開口端の投射円の外周径Bと前記ストロー刺込孔の直径Dとが、
D−B≧1.7mm
となるように前記ストローが構成されていることを特徴とする請求項1に記載のストロー付飲料容器。
【請求項3】
前記先端部開口端の外周径L2と前記ストロー刺込孔の直径Dとが、
D−L2≧0.25mm
となるように前記ストローが構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のストロー付飲料容器。
【請求項4】
前記ストローは、吸い込み側の外ストローと刺し込み側の内ストローからなる2段式伸縮ストローであり、
前記外ストローの外径Xと前記ストロー刺込孔の直径Dとが、
D−X≦0.2mm
となっていることにより、前記ストローの外ストロー部分まで飲料容器内に刺し込んだ状態で、飲料容器内が気密に保たれることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のストロー付飲料容器。
【請求項5】
前記ストローの、前記先端部開口端面の長軸及び円筒軸に沿った断面において、
前記先端部開口端面の長軸と、テーパー形状に構成された部分がなす2断面線のうち長い方の断面線とがなす角度αが
α=46〜49°
となるように前記ストローが構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のストロー付飲料容器。
【請求項6】
積層フイルムからなる略円形状のストロー刺込孔を有する飲料容器に用いられる飲料用ストローであって、
略円筒形状を有する刺し込み側の先端部が先細りのテーパー形状に構成され、
当該先端部の開口端面が円筒軸に垂直な面に対して角度をなすように形成されており、
前記先端部の開口端の外周径L2が前記ストロー刺込孔の直径Dよりも小さい寸法であり、かつ、
前記先端部の開口端を円筒軸に垂直な面に投射した円の外周径Bが前記ストロー刺込孔の直径Dよりも小さい寸法であることを特徴とする飲料用ストロー。
【請求項7】
前記先端部開口端の投射円の外周径Bと前記飲料容器のストロー刺込孔の直径Dとが、
D−B≧1.7mm
となるように前記ストローが構成されていることを特徴とする請求項6に記載の飲料用ストロー。
【請求項8】
前記先端部開口端の外周径L2と前記飲料容器のストロー刺込孔の直径Dとが、
D−L2≧0.25mm
となるように前記ストローが構成されていることを特徴とする請求項6又は7に記載の飲料用ストロー。
【請求項9】
前記ストローは、吸い込み側の外ストローと刺し込み側の内ストローからなる2段式伸縮ストローであり、
前記外ストローの外径Xと前記ストロー刺込孔の直径Dとが、
D−X≦0.2mm
となっていることにより、前記ストローの外ストロー部分まで飲料容器内に刺し込んだ状態で、飲料容器内が気密に保たれることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の飲料用ストロー。
【請求項10】
前記先端部開口端面の長軸及び円筒軸に沿った断面において、
前記先端部開口端面の長軸と、テーパー形状に構成された部分がなす2断面線のうち長い方の断面線とがなす角度αが
α=46〜49°
となるように前記ストローが構成されていることを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の飲料用ストロー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−168340(P2011−168340A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−93580(P2011−93580)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【分割の表示】特願2006−175995(P2006−175995)の分割
【原出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000177209)日本ストロー株式会社 (19)
【Fターム(参考)】