説明

飲料用容器

【課題】片手で握持操作し易いジョッキタイプの飲料用容器にして、閉塞蓋の開放操作を極めて容易に行うことができ、且つ開放した閉塞蓋が飲料を飲む時に顔の正面前方になく飲み易い実用性に優れた飲料用容器を提供するものである。
【解決手段】容器本体1の側部に枢着部5を配設し、この枢着部5の反対側に握持柄9を配設し、この飲み口部2の、飲み口部2と枢着部5と握持柄9とを結ぶ直線Lの両側に位置する部位を上方へ延設して口付部13とし、握持柄9は、容器本体1の上部外周面から外方へ突設する突設部10に、片手12で握持可能な上下方向に長い形状の握り部11を垂設した構成とし、この突設部10の上部であって且つ握り部11を握持した手12の親指12Aが届く位置に前記解除操作部8を設けた飲料用容器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉塞蓋がワンタッチで開いて飲み口部が露出し、この飲み口部に直接口を付けて飲むことができる飲料用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器本体の上部にカップ形状(有底筒状)の飲み口部を有する栓体が設けられると共に、この飲み口部の底部に注出孔が貫通形成され、この栓体に前記飲み口部を覆う閉塞蓋が起伏回動開閉自在に設けられると共に、この閉塞蓋は開放起動する方向に回動付勢されるように構成され、この閉塞蓋に係止して閉塞蓋を閉塞状態に保持する係止部が前記栓体に設けられ、この係止部の閉塞蓋への係止状態を解除する解除操作部が栓体に設けられ、この解除操作部を解除操作すると閉塞蓋が自動開放起動して、前記閉塞蓋を開放することで露出した前記飲み口部に直接口を付けて飲料を飲むことができるようにした飲料用容器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、出願人は、容器脇に握持部を備えたジョッキタイプの飲料用容器にして、片手で握持部を握持しこの握持動作に続く一連の片手操作により容易に閉塞蓋を開いて飲料を飲むことができる特開2011−178420号(特許文献2)の飲料用容器を開発した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4796679号
【特許文献2】特開2011−178420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記特許文献2のようなジョッキタイプの飲料用容器の改良に係るもので、片手で握持部を握持してこの握持動作に続く一連の片手操作により容易に閉塞蓋を開いて飲料を飲むことができ、且つ開放した閉塞蓋が飲料を飲む時に顔の正面前方になく、非常に飲み易い飲料用容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
容器本体1の上部にカップ形状の飲み口部2を設けると共に、この飲み口部2の底部3に前記容器本体1内と連通する飲料注出孔14を設け、この飲み口部2を覆う閉塞蓋4を容器本体1の上部に枢着部5を介して起伏回動開閉自在に設けると共に、この閉塞蓋4を開放起動する方向に回動付勢する付勢機構6を前記容器本体1若しくは前記閉塞蓋4若しくは前記枢着部5に設け、この閉塞蓋4に係止して閉塞蓋4を閉塞状態に保持する係止部7を前記容器本体1に設け、この係止部7の閉塞蓋4への係止状態を解除する解除操作部8を備えて、この解除操作部8を解除操作することにより閉塞蓋4が自動開放起動する構成とし、前記容器本体1の側部に、片手で握持可能な上下方向に長い形状の握持柄9を突設した飲料用容器において、前記容器本体1の側部に前記枢着部5を配設し、この枢着部5の、前記飲み口部2を挟んだ反対側の容器本体1の側部に前記握持柄9を配設し、この飲み口部2の、この飲み口部2と前記枢着部5と前記握持柄9とを結ぶ直線Lの両側に位置する部位を上方へ延設してこの上方延設部13を口付部13とし、この各口付部13に使用者が口を付けた際に開放状態の前記閉塞蓋4と前記握持柄9とが使用者の顔の正面前方に位置せず、正面側方に位置するように構成し、前記握持柄9は、前記容器本体1の上部外周面から外方へ突設する突設部10に、片手12で握持可能な上下方向に長い形状の握り部11を垂設した構成とし、この突設部10の上部であって且つ握り部11を握持した手12の親指12Aが届く位置に前記解除操作部8を設けて、この解除操作部8を、握り部11を握持した手12の親指12Aで解除操作し得るように構成したことを特徴とする飲料用容器に係るものである。
【0008】
また、前記飲み口部2の底部3に、この飲み口部2と前記枢着部5と前記握持柄9とを結ぶ直線Lの両側に位置するようにして前記飲料注出孔14を設け、前記直線Lの一側に存する前記口付部13に口を付けて飲料を飲む際には、前記直線Lの一側に存する飲み口部13から前記容器本体1内の飲料が注出されると共に直線Lの他側に存する前記飲料注出孔14が通気孔として機能し、前記直線Lの他側に存する口付部13に口を付けて飲料を飲む際には、前記直線Lの他側に存する飲料注出孔14から前記容器本体1内の飲料が注出されると共に直線Lの一側に存する前記飲料注出孔14が通気孔として機能するように構成したことを特徴とする請求項1記載の飲料用容器に係るものである。
【0009】
また、前記握持柄9の前記握り部11は、手12の人差し指12Bと中指12Cと薬指12Dと小指12Eを同時に掛けて握持可能な上下方向に長い形状に形成し、前記解除操作部8は、前記握持柄9の突設部10に対して没動可能に設けて握り部11を握持した手12の親指12Aで押動操作し得るように構成すると共に、この解除操作部8の没動作動に連動して前記係止部7の前記閉塞蓋4への係止状態が解除されるように構成したことを請求項1,2のいずれか1項に記載の飲料用容器に係るものである。
【0010】
また、前記解除操作部8は、前記握持柄9の前記突設部10の上面より上方へ突出状態に設け、この解除操作部8を突設部10に対し下方へ没動可能に設けて前記握り部11を握持した手12の親指12Aで押動操作し得るように構成すると共に、この解除操作部8の没動作動に連動して前記係止部7の前記閉塞蓋4への係止状態が解除されるように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料用容器に係るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成したから、飲料を飲む時に片手で握持部を握持して容易に容器本体を扱うことができ、しかも、握持部を手で握持する動作に続く一連の動作のうちに、この握持部を握持した手の親指で解除操作部を解除操作して露出した飲み口部の口付部を口元へと運ぶことができるので、あたかも片手でジョッキを扱うかのようにして容易に且つ迅速に飲料を飲むことができ、その上、飲み口部の口付部に口を付けることによって、使用者の顔の正面側方に開放状態の閉塞蓋と握持柄とが位置することになるので、握持柄を握持した手が飲む時の邪魔にならず、容器本体を傾けても閉塞蓋が顔に当たって邪魔になることもないので飲み易く、また、口付部は、飲み口部と枢着部と握持柄とを結ぶ直線の両側に位置するように設けたため、右利きの使用者も左利きの使用者も口付部に口を付けて飲むことができ、尚且つこの口付部は、飲み口部の他の部位より上方へ延設しているため、これが使用者への口付場所の目安となって使用者は容易に口付部を口元へと運ぶことができるなど、極めて実用性に優れた飲料用容器となる。
【0012】
また、請求項2記載の発明においては、飲み口部と枢着部と握持柄とを結ぶ直線の両側に飲料注出孔を設けたから、使用しない口付部側の飲料注出孔が通気孔として機能して飲料注出孔からの飲料注出がスムーズに行われると共に、各口付部に対応する数の飲料注出孔を設けたことで飲料注出孔は一つの大きな孔とせずに可及的に小さく設計することができ、これにより容器本体を倒しても飲料がこぼれにくい構成を設計実現可能となるなど、一層実用性に優れた飲料用容器となる。
【0013】
また、請求項3記載の発明においては、握持部を極めて安定的に握持でき、容器本体を確実にジョッキのようにして扱うことができ、しかも、握持部を片手で握持したままその手の親指で解除操作部を押動操作して容易に閉塞蓋の閉塞状態を解除操作することができる一層実用性に優れた飲料用容器となる。
【0014】
また、請求項4記載の発明においては、解除操作部が握持柄の突設部の上面より上方へ突設しているため、この解除操作部を握持部を握持した手の親指で押動操作(解除操作)することが一層容易に行われる極めて実用性に優れた飲料用容器となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例の閉塞蓋の開放状態を示す斜視図である。
【図2】本実施例の閉塞蓋の開放状態を示す平面図である。
【図3】本実施例の閉塞蓋の閉塞状態を示す正面断面図である。
【図4】本実施例の解除操作部を押動操作して閉塞蓋を開放させた状態を示す側断面図である。
【図5】本実施例の解除操作部の動作説明図である。
【図6】本実施例の閉塞蓋の開放状態を示す説明側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0017】
容器本体1の上部に枢着部5を介して起伏回動開閉自在に設けられた閉塞蓋4は、容器本体1の上部に伏動回動すると、容器本体1上部のカップ状の飲み口部2を覆うことができ(閉塞蓋4によって飲み口部2が閉塞状態となり)、閉塞蓋4に係止部7を係止することでこの閉塞状態を維持できる。
【0018】
容器本体1内の飲料を飲む場合は、握持柄9を手12で握持して容器本体1(飲み口部2)を口元へと運ぶが、この際、上下方向に長い形状の握持柄9は、片手で握持して容易に容器本体1を携帯操作可能である。
【0019】
また、握持柄9を手12で握持した際、この握持柄9を握持した手12の親指12Aが届く位置にある解除操作部8を、握持柄9を握持したまま親指12Aで解除操作することができ、この解除操作部8の解除操作により係止部7の閉塞蓋4への係止状態を解除すると、閉塞蓋4が付勢機構6により自動開放起動してカップ形状の飲み口部2が露出するので、この飲み口部2を口元へと運び容器本体1を傾けると、飲料注出孔14から飲み口部2へと飲料が注出されて飲料を飲むことができる。
【0020】
従って、握持柄9を手12で握持する動作に続いて簡単に解除操作部8を解除操作して飲み口部2を露出させることができ、引き続いて露出させた飲み口部2を口元へと運んで(口に付けて)飲料を飲む動作を行うことができるので、この動作を一連の動作のうちにしかも片手で容易に行うことが可能である。
【0021】
また、この際、飲み口部2と、この飲み口部2を挟んで反対側に配設している枢着部5と握持柄9とを結ぶ直線Lの両側に位置する飲み口部2の口付部13に口を付けるようにすると、使用者の顔の正面前方に開放状態の閉塞蓋4と握持柄9とが位置せず、双方とも顔の正面側方に位置することになるので飲み易い。
【0022】
即ち、これまでのこの種飲料用容器は、口を付ける場所の正面前方に閉塞蓋が開放しているものが多く、飲料を飲みながら容器本体1を傾けていくと開放状態の閉塞蓋4が顔に当たってしまうようなものもあったが、本発明によれば、口付部13に口を付けることによって開放状態の閉塞蓋4が顔の正面側方に位置することになるので上記のような不都合がなく飲み易い。また、握持柄9も顔の正面側方に、即ち握持柄9が口を付ける場所の側方に位置するので、握持柄9が口付部13に口を付ける際の邪魔にならず、非常に飲み易い。
【0023】
しかも、口付部13は、飲み口部2と枢着部5と握持柄9とを結ぶ直線Lの両側に位置するように設けたため、例えば握持柄9を右利きの使用者が右手で握持する場合と、左利きの使用者が左手で握持する場合とで両側の口付部13を使い分け可能で汎用性に優れると共に、利き手にかかわらず、飲料用容器に近い方の手12で握持柄9を握持した際などにも都合の良い口付部13を使用できて便利である。
【0024】
また、この口付部13は、飲み口部2の他の部位より上方へ延設しているため、これが口付場所の目安として視覚的に認識され易く、使用者は見誤ることなく口付部13を容易に口元へと運ぶことが可能である。
【0025】
従って、例えばビールジョッキを持つようにして、使用者が握持柄9を片手で握持操作でき、飲み口部2の口付部13に口を付けて飲料を飲むようにすると閉塞蓋4も握持柄9も邪魔にならず、非常に飲み易い。
【0026】
また、カップ形状の飲み口部2は、この飲み口部2に飲料を溜めることができる。従って、例えば、飲料が熱くて飲みにくい場合に、カップ形状の飲み口部2に飲料を溜め置いて冷ましてから飲むようにすることもできる。
【実施例】
【0027】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0028】
本実施例は、例えば、オフィスや、ドライブ中や、老人の介護などに使用可能な携帯型の水筒に適用したもので、図1に示すように、上部開口型の金属製真空二重容器を採用した円筒状の容器本体1の上部開口部に、カップ形状に低く立ち上がり突出する飲み口部2を有する樹脂製の栓体Sを付設している。
【0029】
また、この栓体Sには枢着部5を設け、この枢着部5を介して前記飲み口部2を上方から覆う閉塞蓋4を栓体Sに起伏回動開閉自在に設けると共に、この閉塞蓋4を開放起動する方向に回動付勢する付勢機構6を前記枢着部5に設け、この閉塞蓋4に係止して閉塞蓋4を閉塞状態に保持する係止部7を栓体Sに設け、この係止部7の閉塞蓋4への係止状態を解除する解除操作部8を栓体Sに設けて、この解除操作部8を解除操作すると閉塞蓋4が自動開放起動するように構成している。
【0030】
即ち、本実施例では、飲み口部2と閉塞蓋4と枢着部5と係止部7と解除操作部8とを有する栓体Sを容器本体1の上部に付設することで、この栓体Sを介して飲み口部2と閉塞蓋4と枢着部5と係止部7と解除操作部8とを容器本体1の上部に間接的に設けた場合を示している。尚、栓体Sを有しない構成として、飲み口部2と閉塞蓋4と枢着部5と係止部7と解除操作部8とを容器本体1の上部に直接的に設けても良い。
【0031】
また、本実施例の栓体Sについて更に具体的に説明すると、短円筒形状に構成し、この栓体Sの天面部には、この栓体Sの外径寸法よりやや径小な円筒状の立ち上がり壁部15を一体成形し、この立ち上がり壁部15とこの立ち上がり壁部15に周囲を囲まれた栓体Sの天面部(上面部)でなる底部3(底壁部3)とで有底円筒状(カップ形状)の前記飲み口部2を構成しており、このカップ形状の飲み口部2の立ち上がり壁部15の一部に口を付けて容器本体1内の飲料を飲むことができ、この飲み口部2内に飲料を一時的に溜め置くこともできるようにしている。
【0032】
また、この栓体S上部の側部に前記枢着部5を設け、この枢着部5に前記閉塞蓋4を起伏回動開閉自在に枢着している。更に、枢着部5の枢着軸16には、前記付勢機構6として採用したトーションバネ6を巻回装着して、このトーションバネ6により閉塞蓋4が常時開放起動する方向に回動付勢される構成としている。尚、前記付勢機構6は、栓体Sや閉塞蓋4に設けても良いし、トーションバネ6を採用する構成以外の構成、例えば閉塞蓋4に設けた密閉栓17が閉塞時に圧縮されてその復帰付勢力により閉塞蓋4が自動開放起動するような構成を採用しても良い。
【0033】
また、この栓体Sの下部に前記容器本体1の外径より径小な取付筒部31を垂設し、この取付筒部31の外周面に雄螺子を形成し、この雄螺子を容器本体1の上部開口部に挿入すると共に容器本体1の上部内周面に形成した雌螺子に螺着することで、栓体Sを容器本体1の上部に取付した構成としている。
【0034】
また、本実施例では、前記枢着部5の、前記飲み口部2を挟んだ反対側の栓体Sの側部に握持柄9を突設し、この飲み口部2の、この飲み口部2と前記枢着部5と前記握持柄9とを結ぶ直線Lの両側に位置する部位を上方へ延設してこの上方延設部13を使用者が口を付けるのに好適な口付部13としている。即ち、この各口付部13に使用者が口を付けると、開放状態の前記閉塞蓋4と前記握持柄9とが使用者の顔の正面前方に位置せず、正面側方に位置する構成として、閉塞蓋4が飲料を飲む時に顔に当たったり、握持柄9が口付部13に口を付ける時に邪魔にならず、非常に飲み易くなる構成としている。
【0035】
また、この各口付部13は、口を付け易いように上縁部を上方へ凸となる凸湾曲縁に形成して上方へ延設し、背高く突設(延設)したことでこの上方延設部13が口を付ける場所としての視覚的な目印にもなるようにしている。
【0036】
また、この飲み口部2は、平面視で立ち上がり壁部15が楕円形状となるように形成すると共に、この飲み口部2の対向位置に存する前記口付部13部位の曲率が大きくなる楕円形状に形成している。即ち、本実施例では、各口付部13の曲率を大きくすることで幅を狭く形成し、これにより幅狭で背高く突設する各口付部13に口を付けて飲み易くしている。
【0037】
また、この飲み口部2は、前記底壁部3の、前記直線Lの両側位置に夫々前記容器本体1内と連通する飲料注出孔14を貫通形成し、前記直線Lの一側に存する前記口付部13に口を付けて飲料を飲む際には、前記直線Lの一側に存する飲み口部13から前記容器本体1内の飲料が注出されると共に直線Lの他側に存する前記飲料注出孔14が通気孔として機能し、前記直線Lの他側に存する口付部13に口を付けて飲料を飲む際には、前記直線Lの他側に存する飲料注出孔14から前記容器本体1内の飲料が注出されると共に直線Lの一側に存する前記飲料注出孔14が通気孔として機能するように構成している。
【0038】
また、この各飲料注出孔14は、飲み口部2の最小外径(前記直線Lに沿った外径)に対して1/2以下程度の径を有する小径孔に形成して、容器本体1が倒れてもこの飲料注出孔14から飲料がこぼれ出にくい構成としている。
【0039】
また、飲み口部2の底壁部3は、各飲料注出孔14位置が他の部位より低くなる底面形状に形成して、飲み口部2内に残った飲料が各飲料注出孔14を介して容器本体1内に戻り易い構成としている。
【0040】
ここで、本実施例の前記握持柄9について説明すると、片手で握持可能な上下方向に長い形状に形成し、この握持柄9を片手で握持して容器本体1を傾けることにより、前記飲み口部2の口付部13を口に付けて飲料を飲むことができるように構成している。
【0041】
具体的には、前記栓体Sの外周面に外方へ向けて握持柄9を突設している。
【0042】
また、この握持柄9は、栓体Sの外周面から水平方向に突出する角形棒状の突設部10と、この突設部10の突出先端部から下方へ垂下する角形棒状の握り部11とからなるL字形体で構成している。
【0043】
即ち、本実施例の握持柄9は、栓体Sに一体的に設けてこの栓体Sを介して間接的に容器本体1の上部に設けた場合を示している。尚、握持柄9を容器本体1から突設する構成としても良い。また、本実施例では、握持柄9の下部(握り部11の下端)が容器本体1の側面から離間した柄形状に形成しているが、例えば、握持柄9が側面視コ字状を呈して、下端部が容器本体1の外周面に連設する形状に形成しても良いし、握持柄9の握り部11がその下部側ほど容器本体1の外周面に接近するようにカーブする形状に形成しても良い。
【0044】
また、この握持柄9の握り部11は、手12の親指12A(第一指12A)と人差し指12B(第二指12B)を上にした状態で、人差し指12Bと中指12C(第三指12C)と薬指12D(第四指12D)と小指12E(第五指12E)とを同時に掛けて握持可能な上下方向に長い形状に形成している。
【0045】
また、この握持柄9の握り部11は、手12で握持した際に容器本体1並びに栓体Sの外周面との間に手12の指を入れることができる間隔を有するように前記突設部10の長さ寸法を設定構成している。
【0046】
即ち、この握持柄9は、ビールジョッキの取手を持つようにして片手で握持して操作可能な構成としている。
【0047】
また、本実施例の前記閉塞蓋4は、栓体Sと同等の外径寸法を有し且つ飲み口部2を上方から覆うように被嵌して隠蔽し得る下部開口型の短円筒体とし、この閉塞蓋4の下部周縁部の所定位置を前記枢着部5に枢着することで栓体Sに対して起伏開閉回動自在に設けると共に、閉塞状態でこの閉塞蓋4の外周面と栓体Sの外周面とが略面一状態となるように構成している。
【0048】
また、この閉塞蓋4の内部(下面)には、前記飲料注出孔14に向けて二本の筒状の栓取付部32を垂下突設し、この各栓取付部32に密閉栓17を付設して、閉塞蓋4が閉塞状態となった際にこの各密閉栓17が各飲料注出孔14を密閉するように構成している。
【0049】
この閉塞蓋4に係止して閉塞蓋4を閉塞状態に保持する本実施例の前記係止部7は、前記栓体Sの天面部であって、前記枢着部5と反対側の側部寄りに設けている。
【0050】
更に詳しくは、係止部7は、帯板状の係止部本体20の一端に係止爪部18を設けると共に、他端に傾動軸19を設けた構成としている。
【0051】
この係止部7の栓体Sへの取付構造は、前記栓体Sの前記飲み口部2より外側位置であって、この飲み口部2と枢着部5と握持柄9とを結ぶ直線L上の天面部を下方へ穿設して上部開口型の取付穴21を形成し、この取付穴21に前記傾動軸19を下にして係止部7(帯板状部材20)を縦設状態に収容すると共に、傾動軸19を取付穴21の下部に軸着した構造としている。
【0052】
即ち、この係止部7は、傾動軸19を介して栓体Sの内外方向に傾動回動可能に設け、更にこの縦設状態の係止部7の上端に存する前記係止爪部18は、取付穴21より上方へ突出状態に配設して、この係止爪部18が栓体Sの天面部より露出する構成としている。
【0053】
また、この係止部7と取付穴21には、板バネ22を採用した係止付勢用弾性体22を介在してこの係止付勢用弾性体22により係止部7が常時栓体Sの外方へ付勢されるように構成し、この係止部7(帯板状部材20)の外側板面には後述する押圧部25が圧接するテーパ面23を形成している。
【0054】
一方、前記閉塞蓋4の前記枢着部5と反対側の周縁部に、前記係止部7の係止爪部18が係合係止する係合部24(係合爪部24)を垂設状態に一体成形し、閉塞蓋4を伏動回動させて口付部2を覆った際に(閉塞蓋4を閉塞状態とした際に)、この係合部24と係止部7の係止爪部18とが係合係止可能となるように係合部24の垂設長並びに係止爪部18の前記取付穴21からの突出長さを設定構成し、この閉塞蓋4の閉塞状態では、係止部7を付勢する前記係止付勢用弾性体22によって係止爪部18が係合部24に係合係止した状態が維持される(閉塞蓋4の閉塞状態がロックされる)構成としている。
【0055】
即ち、閉塞蓋4を閉塞状態とすると、係止付勢用弾性体22により自動的に係止爪部18が係合部24に係合係止して閉塞蓋4が閉塞ロック状態となる構成としている。
【0056】
この係止部7の閉塞蓋4への係止状態を解除する本実施例の前記解除操作部8は、前記握持柄9の突設部10の上部であって且つ握り部11を握持した手12の親指12Aが届く位置に設けている。
【0057】
具体的には、解除操作部8は、平面視帯状の操作部本体27の一端に押圧部25を設けると共に、他端に側面視山形状の押しボタン26を設けた構成としている。
【0058】
この解除操作部8の突設部10への取付構造は、突設部10の上面を下方へ穿設して上部開口型の装着用穴28を形成し、この装着用穴28は前記取付穴21と連通状態に設け、この取付穴21と連通する装着用穴28に、前記押圧部25を前記係止部7のテーパ面23に臨設させると共に押しボタン26を突設部10の突出先端側に位置させて前記操作部本体27を横設状態に収容し、この操作部本体27の中ほどを回動軸29により突設部10(装着用穴28)に枢着した構造としている。
【0059】
即ち、押しボタン26を下方へ押動(伏動)すると、反対側の押圧部25が起動して前記テーパ面23を押圧し、これにより係止部7が前記係止付勢用弾性体22の付勢力に抗して栓体S内方へと傾動し、係止爪部18が係合部24から係脱して閉塞蓋4の閉塞ロック状態が解除される構成としている。
【0060】
また、この解除操作部8は、付勢体30により前記押しボタン26が常に突設部10より上方へ突出状態となるように付勢される構成としている。
【0061】
更に詳しくは、押圧部25がテーパ面23を押圧せずに押圧部25が装着用穴28内で伏動した状態となるように解除操作部8(操作部本体27)を付勢保持するトーションバネ30を採用した前記付勢体30を装着用穴28内に内装した構成とし、この付勢体30により常態では押圧部25が係止部7(のテーパ面23)を押圧せず閉塞蓋4が閉塞ロック状態の時はその状態が保持され、この付勢体30の付勢力に抗して解除操作部8の押しボタン26を下方へ押動操作すると閉塞蓋4のロック状態を解除して閉塞蓋4を自動起動回動でき、押しボタン26を放せば、付勢体30の付勢力により解除操作部8が自動的に元の位置に復帰する構成としている。
【0062】
従って、前記係止付勢用弾性体22並びに付勢体30の付勢力により係止部7の係合部24への係止状態が勝手に解除されるようなことなく、解除操作部8を押動操作しない限りは閉塞蓋4よる閉塞ロック状態が常に保持される構成としている。
【0063】
また、本実施例では、前記栓体Sの下部に茶葉収納部33を着脱自在に設けている。
【0064】
この茶葉収納部33は、上部に茶葉を投入する茶葉投入口を設けた有底筒状体であって、周壁部に網状通水部34を設けて、茶葉収納部33に好みの茶葉を入れ、容器本体1内で煎じることで簡単に好みの飲料を飲むことができるようにしている。図中符号35は、茶葉収納部33の茶葉投入口を閉塞する蓋体である。
【0065】
この茶葉収納部33の栓体Sへの取付構造は、茶葉収納部33の茶葉投入口を前記取付筒部31の下部に適宜な着脱手段を介して被嵌装着する構造としている。
【0066】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0067】
1 容器本体
2 飲み口部
3 底部
4 閉塞蓋
5 枢着部
6 付勢機構
7 係止部
8 解除操作部
9 握持柄
10 突設部
11 握り部
12 手
12A 親指
12B 人差し指
12C 中指
12D 薬指
12E 小指
13 口付部・上方延設部
14 飲料注出孔
L 直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の上部にカップ形状の飲み口部を設けると共に、この飲み口部の底部に前記容器本体内と連通する飲料注出孔を設け、この飲み口部を覆う閉塞蓋を容器本体の上部に枢着部を介して起伏回動開閉自在に設けると共に、この閉塞蓋を開放起動する方向に回動付勢する付勢機構を前記容器本体若しくは前記閉塞蓋若しくは前記枢着部に設け、この閉塞蓋に係止して閉塞蓋を閉塞状態に保持する係止部を前記容器本体に設け、この係止部の閉塞蓋への係止状態を解除する解除操作部を備えて、この解除操作部を解除操作することにより閉塞蓋が自動開放起動する構成とし、前記容器本体の側部に、片手で握持可能な上下方向に長い形状の握持柄を突設した飲料用容器において、前記容器本体の側部に前記枢着部を配設し、この枢着部の、前記飲み口部を挟んだ反対側の容器本体の側部に前記握持柄を配設し、この飲み口部の、この飲み口部と前記枢着部と前記握持柄とを結ぶ直線の両側に位置する部位を上方へ延設してこの上方延設部を口付部とし、この各口付部に使用者が口を付けた際に開放状態の前記閉塞蓋と前記握持柄とが使用者の顔の正面前方に位置せず、正面側方に位置するように構成し、前記握持柄は、前記容器本体の上部外周面から外方へ突設する突設部に、片手で握持可能な上下方向に長い形状の握り部を垂設した構成とし、この突設部の上部であって且つ握り部を握持した手の親指が届く位置に前記解除操作部を設けて、この解除操作部を、握り部を握持した手の親指で解除操作し得るように構成したことを特徴とする飲料用容器。
【請求項2】
前記飲み口部の底部に、この飲み口部と前記枢着部と前記握持柄とを結ぶ直線の両側に位置するようにして前記飲料注出孔を設け、前記直線の一側に存する前記口付部に口を付けて飲料を飲む際には、前記直線の一側に存する飲み口部から前記容器本体内の飲料が注出されると共に直線の他側に存する前記飲料注出孔が通気孔として機能し、前記直線の他側に存する口付部に口を付けて飲料を飲む際には、前記直線の他側に存する飲料注出孔から前記容器本体内の飲料が注出されると共に直線の一側に存する前記飲料注出孔が通気孔として機能するように構成したことを特徴とする請求項1記載の飲料用容器。
【請求項3】
前記握持柄の前記握り部は、手の人差し指と中指と薬指と小指を同時に掛けて握持可能な上下方向に長い形状に形成し、前記解除操作部は、前記握持柄の突設部に対して没動可能に設けて握り部を握持した手の親指で押動操作し得るように構成すると共に、この解除操作部の没動作動に連動して前記係止部の前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成したことを請求項1,2のいずれか1項に記載の飲料用容器。
【請求項4】
前記解除操作部は、前記握持柄の前記突設部の上面より上方へ突出状態に設け、この解除操作部を突設部に対し下方へ没動可能に設けて前記握り部を握持した手の親指で押動操作し得るように構成すると共に、この解除操作部の没動作動に連動して前記係止部の前記閉塞蓋への係止状態が解除されるように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飲料用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−112349(P2013−112349A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257951(P2011−257951)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(510189134)
【Fターム(参考)】