説明

飲料組成物

【課題】アンセリンは、マグロ、カツオ等の回遊魚の筋肉に多く含まれるアラニンとヒスチジンからなるジペプチドである。アンセリンは、尿酸値抑制作用等を有することが知られている。しかしながら、市販されているアンセリンやこれを含有するペプチドは、魚類を原料としていることから、魚臭や畜肉臭等の不快臭が感じられ、消費者の嗜好にそぐわず、改善が求められていた。
【解決手段】水を溶媒とし、該溶媒1000mlあたりイソフムロン類を5mg〜60mgおよびアンセリンを10mg〜10gの割合で含有してなる飲料組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アンセリンは、マグロ、カツオ等の回遊魚の筋肉に多く含まれるアラニンとヒスチジンからなるジペプチドである。アンセリンは、尿酸値抑制作用等を有することが知られている。
しかしながら、市販されているアンセリンやこれを含有するペプチドは、魚類を原料としていることから、魚臭や畜肉臭等の不快臭が感じられ、消費者の嗜好にそぐわず、改善が求められていた。
【0003】
上記課題を解決するため、例えば特許文献1には、アンセリン含有ペプチドと、以下の(a)〜(e)、
(a)茶葉の不発酵物、半発酵物または発酵物
(b)茶葉の不発酵物の焙煎物
(c)ハト麦、玄米および大麦からなる群から選ばれる穀物の焙煎物
(d)ドクダミまたはクマザサの乾燥物
(e)ゴマ、ソバ、ダイズおよびケツメイシからなる群から選ばれる種子の焙煎物
からなる群から選ばれる植物の加工物の抽出物および香料の少なくとも1種とを配合することを特徴とする飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−112302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、アンセリンまたはこれを含有するペプチドを含む飲料組成物における魚臭および畜肉臭等の不快臭を改善し、風味を大幅に良化した飲料組成物の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、水を溶媒とし、該溶媒1000mlあたりイソフムロン類を5mg〜60mgおよびアンセリンを10mg〜10gの割合で含有してなる飲料組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、アンセリンまたはこれを含有するペプチドを含む飲料組成物における魚臭および畜肉臭等の不快臭を改善(マスキング)し、風味を大幅に良化した飲料組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明に使用されるイソフムロン類は、公知の化合物であり、イソフムロン、イソアドフムロン、イソコフムロンおよびこれらの組み合わせ等を挙げることができる。またイソフムロン類は、市販されているものを利用することができる。さらにイソフムロン類は、公知の方法に従って製造することができ、例えばホップのルプリン部に由来する抽出物を積極的に異性化することにより得ることができる。ホップのルプリン部は、ビール醸造原料として知られている。当該製造方法は、例えば特開2005−104951号公報等に例示されている。
【0009】
本発明に使用されるアンセリンは、公知の化合物であって、マグロ、カツオ等の回遊魚の筋肉から得られるアラニンとヒスチジンが結合したジペプチドである。なお本発明でいうアンセリンとは、アラニンとヒスチジンが結合したジペプチドを含むペプチドを包含するものとする。アンセリンは、市販されているものを利用することもでき、例えば焼津水産化学工業社製、マリンアクティブ等が挙げられる。
【0010】
本発明における飲料組成物は、水を溶媒とし、該溶媒1000mlあたりイソフムロン類を5mg〜60mgおよびアンセリンを10mg〜10gの割合で含有するものである。イソフムロン類が5mg未満であると、添加量が少なすぎて本発明の効果を奏することができない。逆に60mgを超えると、イソフムロン類自体が発する不快味を強く感じ、好ましくない。
イソフムロン類の前記添加量は、10mg〜45mgが好ましく、10〜30mgがさらに好ましく、10〜25mgがとくに好ましい。
また、本発明の飲料組成物において、アンセリンの上記添加量が10mg未満では、アンセリンの不快臭をそもそも感じない。また、10gを超えると、アンセリンの不快臭が強すぎてイソフムロン類を添加しても不快臭の低減に効果が生じない。
アンセリンの前記添加量は、10mg〜5gが好ましく、20mg〜1gがさらに好ましく、100mg〜1gがとくに好ましい。
【0011】
本発明の飲料組成物は、上記有効成分以外にも、一般的な各種飲料に含まれる各種成分を含有してもよいことは勿論である。また、本発明の飲料組成物はアルコール飲料であってもよい。例えば麦芽発酵飲料、例えばビール飲料が挙げられる。
本発明の飲料は上記のように溶媒である水を主成分とするものであり、そこに溶解される溶質は例えば20質量%以下であるのが望ましい。
本発明の飲料組成物の製法はとくに制限されず、公知技術に基づき製造することができる。
【実施例】
【0012】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は下記例に限定されるものではない。
【0013】
水1000mlにマリンアクティブ10(商品名:焼津水産化学工業株式会社製:アンセリンを10%含む)を25g添加し、攪拌した。さらに下記表に示す割合でイソフムロン類(イソフムロン48質量%、イソコフムロン37質量%、イソアドフムロン15質量%の割合を有する)を添加し、攪拌し、これらをガラス容器に充填し、キャップを施し、飲料組成物(1〜11)とした。これら飲料組成物を65℃の恒温槽にて1日保管後、専門パネラー5〜6名により、下記の評価基準にて不快臭(魚臭および畜肉臭)を評価した。結果を表1に示した。
【0014】
<官能評価の基準>
不快臭を非常に感じる :0点
不快臭をかなり感じる :1点
不快臭を感じる :2点
不快臭をやや感じる :3点
不快臭を僅かに感じる :4点
不快臭を感じない :5点
【0015】
【表1】

【0016】
*1:アンセリンの不快臭は感じないが、苦味を強く感じる。
*2:アンセリンの不快臭は感じないが、苦味を非常に強く感じる。
【0017】
なお、上記実施例において、水の替わりに炭酸水を使用しても上記と同様の結果を得た。また、上記実施例において、水の替わりにエチルアルコールを0.1〜10%、例えば約5%含む炭酸水を使用しても上記と同様の結果を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を溶媒とし、該溶媒1000mlあたりイソフムロン類を5mg〜60mgおよびアンセリンを10mg〜10gの割合で含有してなる飲料組成物。

【公開番号】特開2009−291216(P2009−291216A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−219321(P2009−219321)
【出願日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(707000691)辻堂化学株式会社 (104)
【Fターム(参考)】