説明

飲食品の塩味増強方法

【課題】効果的で官能上も好ましい塩味増強方法の提供。
【解決手段】4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンを飲食品における濃度が20ppm以上500ppm未満となるように含有させる工程及び/又は4−エチル−2−メトキシフェノールを飲食品における濃度が9ppmを超え100ppm以下となるように含有させる工程を含む、食塩を含有する飲食品の塩味増強方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び/又は4−エチル−2−メトキシフェノールを含有させる工程を含む、食塩を含有する飲食品の塩味増強方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食塩は飲食品を調味する基本調味料として広く用いられている一方で、その過剰摂取が高血圧及び心疾患などの循環器疾患に対して悪影響を与えることが知られている。これらの背景から、食塩以外の物質で飲食品の塩味を補完又は増強し、おいしさを維持・増強する技術の開発が望まれている。
【0003】
一般に食塩以外の物質を用いて飲食品の塩味を補完又は増強する方法としては、食塩代替物質を使用する方法と塩味増強物質を使用する方法とがある。ここで「食塩代替物質」とは、それ自身が塩味もしくは塩味に類似した味質を有している物質をいう。また、「塩味増強物質」とは、それ自身は塩味を呈しないが食塩と共存させることによりその塩味を増強する物質をいう。
【0004】
食塩代替物質としては、塩化カリウム、リン酸塩類及びアミノ酸等の調味料等が知られているが、これらは好ましくない苦味や異味を伴う等の課題を有している。
【0005】
一方、塩味増強物質としては、タンパク加水分解物やシソ科植物抽出物等の多くの食品素材が知られているが、これらはその食品素材特有の風味等により使用する飲食品によっては好ましくない官能特性をもたらすなどの問題を生じる。このため、より広範な食塩含有飲食品に対して利用可能な様々な官能上の特性を有する塩味増強物質の拡充が望まれている。
【0006】
ところで、塩味増強方法として、飲食品中に含まれる香気成分を利用した方法が従来より報告されている。飲食品中に含まれる香気成分を利用した塩味増強方法の利点としては、(1)食経験のある物質をごく微量用いているという安全面での優位性と、(2)苦味などの好ましくない呈味の発生を伴わない官能面での優位性とが挙げられる。例えば、醤油の香りを鼻で嗅ぎながら0.056M食塩水(およそ0.32重量%食塩水相当)を味わうと塩味がわずかに強く感じられることが報告されているが、具体的にどのような香気成分が関与しているかは解明されておらず、また、食塩水の食塩濃度が0.32M(およそ1.9重量%食塩水相当)になると、塩味増強効果は認められなくなることが報告されている(非特許文献1)。
【0007】
また、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び4−エチル−2−メトキシフェノールは醤油の主要香気成分として報告されているが(非特許文献2)、各々単独あるいは混合して飲食品に添加し、その飲食品を口中で味わった時の塩味増強効果についての報告はこれまでになされていない。
【0008】
4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンについては、フルフリルアルコールとの混合物とすることによって、各々の単独状態での匂いとは質が異なる「塩辛い匂い」を呈することが報告されているが、これはあくまでも混合物とした場合の匂いの質に関する報告であり、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンを単独で飲食品に添加し、その飲食品を口中で味わった時の塩味増強効果についての報告ではない(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平3−272662号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Exp. Brain Res, 2004. Vol.159, 405-408
【非特許文献2】Journal of Agriculture and Food Chemistry, 2007, Vol.55, 6262-6269
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
先行技術の中で食塩代替効果や塩味増強効果が既に報告されている物質を飲食品に添加した場合に、当該飲食品に好ましくない酸味や苦味などがしばしば付与されるという問題がある。また、共存するその他の呈味成分及び/又は香気成分により塩味代替効果や塩味増強効果が減弱されるという問題もある。このため既に報告されている食塩代替物質や塩味増強物質に加えて、更に効果的で官能上も好ましい飲食品由来の食塩代替物質や塩味増強物質の拡充が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、食塩を含有する飲食品に4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び/又は4−エチル−2−メトキシフェノールを特定濃度となるように含有させることで、当該飲食品の塩味を増強できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下の各発明を包含する。
【0013】
[1]4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンを飲食品における濃度が20ppm以上500ppm未満となるように含有させる工程及び/又は4−エチル−2−メトキシフェノールを飲食品における濃度が9ppmを超え100ppm以下となるように含有させる工程を含む、食塩を含有する飲食品の塩味増強方法。
[2]4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び/又は4−エチル−2−メトキシフェノールを含有させる方法が、添加である、上記[1]に記載の方法。
[3]飲食品の食塩濃度が、0.2重量%以上10重量%未満である、上記[1]又は[2]に記載の方法。
[4]飲食品が減塩醤油であることを特徴とする、上記[1]から[3]のいずれかに記載の方法。
【0014】
尚、本発明はこれらの各構成の任意の組み合わせや、本発明の表現を方法、装置などの間で置き換えたものを含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、塩味増強効果が高く、且つ、酸味や苦味などの余分な味を付与しない、優れた塩味増強方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンとは、CAS番号27538−09−6で示される化合物であり、4−エチル−2−メトキシフェノールとは、CAS番号2785−89−9で示される化合物である。
【0017】
本発明において用いられる4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び4−エチル−2−メトキシフェノールは、飲食品に使用できるものであれば特に限定は無く、例えば、合成品、抽出品、発酵品やその処理品(例、各種食品素材を加熱処理したもの等)等、様々な製造方法により得られるものを用いることができる。
【0018】
本発明において、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンは、喫食時の飲食品における濃度が、通常20ppm以上500ppm未満、好ましくは20ppm以上300ppm未満、より好ましくは25ppm以上150ppm未満となるように含有させる。4−エチル−2−メトキシフェノールは、喫食時の飲食品における濃度が、通常9ppmを超え100ppm以下、好ましくは9ppmを超え50ppm未満、より好ましくは9.5ppm以上40ppm未満、特に好ましくは9.7ppm以上30ppm未満、最も好ましくは10ppm以上20ppm未満となるように含有させる。4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び4−エチル−2−メトキシフェノールが上記濃度範囲の最低濃度以下では、塩味増強効果が弱い傾向があり、上記濃度範囲の最高濃度以上では、各物質が有する香りが強くなり過ぎ、飲食品の味、風味の官能上の好ましさを低下させる傾向があるため好ましくない。
また、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンと4−エチル−2−メトキシフェノールとを併用する場合においては、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンは、喫食時の飲食品における濃度が、通常20ppm以上500ppm未満、好ましくは20ppm以上300ppm未満となるように含有させ、4−エチル−2−メトキシフェノールは、喫食時の飲食品における濃度が、通常9ppmを超え100ppm以下、好ましくは9ppmを超え50ppm未満、より好ましくは9.5ppm以上40ppm未満となるように含有させる。
【0019】
本発明において、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び/又は4−エチル−2−メトキシフェノールは、味・風味が強い飲食品には、より高濃度となるよう含有させることができ、味・風味が弱い飲食品ではより低濃度となるよう含有させても塩味増強効果が発現する。
【0020】
ここで、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンの飲食品における濃度は、以下の方法により測定される。
即ち、飲食品をバイアル瓶に5から10mL程度充填してSPMEヘッドスペースGC−MS法に供し、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンの特徴イオン(m/zが142のイオン)を検出、定量することにより求められる。この時のSPMEヘッドスペースGC−MS法の条件であるが、まず、用いる固相マイクロファイバーはCar/Dvb/PDMS、ファイバーへの吸着は40℃で30分間、ファイバーからの脱着は250℃で3分間、分離用カラムは60m×250μm×0.25μmのWAXカラムを用いる。カラムオーブンは試料導入後の最初の5分間は40℃に保持、その後は5℃/分の昇温速度で200℃まで上昇させ、200℃に達温後は15分間保持する条件に設定する。このような条件下では前述の4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンの特徴イオン(m/zが142のイオン)は保持時間31.3分付近のピークとして検知することが可能であり、そのピーク面積はイオンの濃度に比例するため定量が可能となる。
【0021】
また、4−エチル−2−メトキシフェノールの飲食品における濃度は、以下の方法により測定される。
即ち、飲食品をバイアル瓶に5から10mL程度充填してSPMEヘッドスペースGC−MS法に供し、4−エチル−2−メトキシフェノールの特徴イオン(m/zが137のイオン)を検出、定量することにより求められる。この時のSPMEヘッドスペースGC−MS法の条件であるが、まず、用いる固相マイクロファイバーはCar/Dvb/PDMS、ファイバーへの吸着は40℃で30分間、ファイバーからの脱着は250℃で3分間、分離用カラムは60m×250μm×0.25μmのWAXカラムを用いる。カラムオーブンは試料導入後の最初の5分間は40℃に保持、その後は5℃/分の昇温速度で200℃まで上昇させ、200℃に達温後は15分間保持する条件に設定する。このような条件下では前述の4−エチル−2−メトキシフェノールの特徴イオン(m/zが137のイオン)は保持時間25.5分付近のピークとして検知することが可能であり、そのピーク面積はイオンの濃度に比例するため定量が可能となる。
【0022】
本発明が適用される飲食品は食塩を含有するものであれば特に制限されないが、好適な食塩濃度は、通常0.2重量%以上10重量%未満である。食塩濃度が0.2重量%未満の場合、食塩の味覚の閾値は0.2重量%であることから、本発明の塩味増強効果を感じにくい傾向がある。また、本発明の塩味増強効果がより好ましく感じられる食塩濃度は、10重量%未満である。特に、食塩濃度が2重量%以上であると、口中で塩味の強さが持続して感じやすくなる点で、好ましい。
【0023】
本発明が適用される飲食品は、食塩濃度を低減した飲食品(具体的には、食塩濃度が8重量%以下の飲食品)が、減塩の点から好ましい。また、かかる飲食品は半製品でも良い。
【0024】
本発明の塩味増強方法は、好適には、喫食時の食塩濃度が0.2重量%以上10重量%未満である飲食品に、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンが、喫食時の飲食品における濃度が20ppm以上500ppm未満となるように含有させる工程、及び/又は、4−エチル−2−メトキシフェノールが、喫食時の飲食品における濃度が9ppmを超え100ppm以下となるように含有させる工程を含む。
【0025】
本発明が適用される飲食品の具体例としては、例えば、白飯、おにぎり、野菜、漬け物、天ぷら、ゆで卵、スナック、シリアル、炒め物や、調味料類(調味塩、風味調味料、味噌、醤油(例、減塩醤油等)、つゆ、たれ、ソース、ドレッシング、マヨネーズ等)、スープ類(カップスープ、即席めんのスープ等)、ルー等の加工食品、蒲鉾、ちくわ、さつま揚げ、ハム、ソーセージ等の水産・畜肉加工製品が挙げられる。
【0026】
本発明が適用される飲食品は、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び/又は4−エチル−2−メトキシフェノールを予め含有するものであっても、あるいは、それらを予め含有しないものであってもよいが、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び/又は4−エチル−2−メトキシフェノールを予め含有することが好ましい。本発明が適用される飲食品が4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンを予め含有する場合、その濃度は、通常1ppm以上100ppm以下、好ましくは5ppm以上50ppm以下、より好ましくは10ppm以上20ppm以下、特に好ましくは10ppm以上18ppm以下である。また、本発明が適用される飲食品が4−エチル−2−メトキシフェノールを予め含有する場合、その濃度は、通常10ppb以上50ppm以下、好ましくは50ppb以上20ppm以下、より好ましくは0.5ppm以上15ppm以下、特に好ましくは1ppm以上9ppm以下である。
【0027】
本発明の塩味増強方法は、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び4−エチル−2−メトキシフェノールを含有させる時の形態に特に制限はなく、調味料形態として飲食品に含有させてもよく、また、原料形態として粉末調味料、固形調味料、液体調味料又は加工食品等に含有させてもよい。
【0028】
食塩を含有する飲食品に4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び/又は4−エチル−2−メトキシフェノールを含有させる方法は、特に制限されないが、添加によって含有させることが好ましい。
【0029】
本発明において用いられる4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び4−エチル−2−メトキシフェノールの飲食品への含有時期は特に限定されず、飲食品の製造前に原料として含有させる場合だけでなく、製造中、製造後、喫食直前、喫食中など、いつ含有させても、飲食品の塩味を増強することができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明について実施例で更に説明するが、本発明の技術範囲はこれら実施例によって制限されるものではない。なお、本実施例の官能評価は全て、食品業務に従事し、充分に訓練された専門パネラーにより実施された。
【0031】
(減塩醤油における塩味増強効果)
丸大豆減塩醤油(食塩濃度:7.5重量%、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンの濃度:16ppm、4−エチル−2−メトキシフェノールの濃度:9ppm、キッコーマン社製)に、表1又は2に記載の各濃度になるよう4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン(シグマ アルドリッチ社製)又は4−エチル−2−メトキシフェノール(シグマ アルドリッチ社製)を添加、混合し、専門パネラー4名にて、それぞれの塩味強度について官能評価を行った。
かかる官能評価は、化合物未添加の丸大豆醤油(食塩濃度:15重量%、キッコーマン社製)の塩味強度を3点とし、1点から5点までの評点で評価した。
【0032】
4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンの濃度は、以下の方法により測定した。
即ち、飲食品をバイアル瓶に5から10mL程度充填してSPMEヘッドスペースGC−MS法に供し、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンの特徴イオン(m/zが142のイオン)を検出、定量することにより求めた。この時のSPMEヘッドスペースGC−MS法の条件であるが、まず、用いる固相マイクロファイバーはCar/Dvb/PDMS、ファイバーへの吸着は40℃で30分間、ファイバーからの脱着は250℃で3分間、分離用カラムは60m×250μm×0.25μmのWAXカラムを用いた。カラムオーブンは試料導入後の最初の5分間は40℃に保持、その後は5℃/分の昇温速度で200℃まで上昇させ、200℃に達温後は15分間保持する条件に設定した。このような条件下では前述の4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンの特徴イオン(m/zが142のイオン)は保持時間31.3分付近のピークとして検知することが可能であり、そのピーク面積はイオンの濃度に比例するため、かかるピーク面積より4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンの濃度を定量した。
【0033】
また、4−エチル−2−メトキシフェノールの濃度は、以下の方法により測定した。
即ち、飲食品をバイアル瓶に5から10mL程度充填してSPMEヘッドスペースGC−MS法に供し、4−エチル−2−メトキシフェノールの特徴イオン(m/zが137のイオン)を検出、定量することにより求めた。この時のSPMEヘッドスペースGC−MS法の条件であるが、まず、用いる固相マイクロファイバーはCar/Dvb/PDMS、ファイバーへの吸着は40℃で30分間、ファイバーからの脱着は250℃で3分間、分離用カラムは60m×250μm×0.25μmのWAXカラムを用いた。カラムオーブンは試料導入後の最初の5分間は40℃に保持、その後は5℃/分の昇温速度で200℃まで上昇させ、200℃に達温後は15分間保持する条件に設定した。このような条件下では前述の4−エチル−2−メトキシフェノールの特徴イオン(m/zが137のイオン)は保持時間25.5分付近のピークとして検知することが可能であり、そのピーク面積はイオンの濃度に比例するため、かかるピーク面積より4−エチル−2−メトキシフェノールの濃度を定量した。
【0034】
結果を表1又は2に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
表1及び表2に示す結果から明らかなとおり、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン又は4−エチル−2−メトキシフェノールが未添加の場合(丸大豆減塩醤油そのもの)の塩味強度は2.2点であったが、4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン又は4−エチル−2−メトキシフェノールの添加により塩味強度が0.2点上昇した。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の塩味増強方法は、効果的で官能上も好ましく、且つ、安全に飲食品の塩味を増強し得ることから、減塩食品等の塩味増強に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノンを飲食品における濃度が20ppm以上500ppm未満となるように含有させる工程及び/又は4−エチル−2−メトキシフェノールを飲食品における濃度が9ppmを超え100ppm以下となるように含有させる工程を含む、食塩を含有する飲食品の塩味増強方法。
【請求項2】
4−ヒドロキシ−2(5)−エチル−5(2)−メチル−3(2H)−フラノン及び/又は4−エチル−2−メトキシフェノールを含有させる方法が、添加である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
飲食品の食塩濃度が、0.2重量%以上10重量%未満である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
飲食品が減塩醤油であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。

【公開番号】特開2012−70636(P2012−70636A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215901(P2010−215901)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】