説明

飾り窓

【課題】装飾物の枠体に対する取付部の露出を抑えると共に奥行き感を持たせて意匠性の向上を図り、またモルタルとのずれも防止することのできる飾り窓を提供する。
【解決手段】ブロック塀55に形成した開口部56に取付けられる略方形状の枠体2内に装飾材3を設けてなり、枠体2はブロック塀55を構成するブロック50よりやや大きいまたはそれより小さい奥行き方向幅を有し、内周面の奥行き方向中央から片側に偏った位置に装飾材3をのみ込んで固定するのみ込み部15が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック塀の開口部に設けられ装飾パネルを内部に納めた飾り窓に関し、特に装飾パネルを奥行き方向に偏心させて配置してなる飾り窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅などの建物の周囲に設けられるブロック塀においては、装飾性を向上させると共に風通しをよくするために、穴の開いた透かしブロックを用いることがあった。この透かしブロックは、ブロック塀の閉塞感を排除する点でも有効である。近年、ブロック塀は意匠性を高めるために、ブロック塀の表面全体をモルタル等で覆い、ブロックの地肌を露出させないような施工が行われることがある。この場合には、透かしブロックの代わりに、ブロック塀の一部に開口部を設け、その開口部に装飾物を取付けることで装飾性の向上を図ることとしていた。また、装飾物を枠体内に納め、この枠体を開口部に納めるようにした飾り窓も知られていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ブロック塀の開口部に直接、装飾物を取付けた場合、ブロック塀の表面を覆うモルタルの仕上げに高度な技術が要求されることとなっていた。また、飾り窓を用いた場合には、枠体をブロックの表面より若干突出させることで、モルタルの仕上げの際にコテのあたりとなる面を形成することができ、これによってモルタルの仕上げを容易にすることもできる。しかし、枠体を用いる場合には装飾物を枠体に対してグレチャン等を介して取付ける必要があり、その取付部分が露出することで意匠性を損なうと共に、奥行き感を持たせることもできなかった。また、枠体を取付ける際において、モルタルとのずれが生じやすいという問題もあった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、装飾物の枠体に対する取付部の露出を抑えると共に奥行き感を持たせて意匠性の向上を図り、またモルタルとのずれも防止することのできる飾り窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明に係る飾り窓は、ブロック塀に形成した開口部に取付けられる略方形状の枠体内にパネルまたは格子材からなる装飾材を設けてなる飾り窓であって、
前記枠体は前記ブロック塀を構成するブロックよりやや大きいまたはそれより小さい奥行き方向幅を有し、内周面の奥行き方向中央から片側に偏った位置に前記装飾材をのみ込んで固定するのみ込み部が形成されることを特徴として構成されている。
【0006】
また、本発明に係る飾り窓は、前記装飾材はパネルからなると共に、その周縁部が前記のみ込み部に対してグレチャンを介して固定されることを特徴として構成されている。
【0007】
さらに、本発明に係る飾り窓は、前記枠体は前記ブロック塀の少なくとも一面より若干突出するように配置されることを特徴として構成されている。
【0008】
さらにまた、本発明に係る飾り窓は、前記枠体は外周面に幅広の位置ずれ防止凹部を長手方向に沿って有することを特徴として構成されている。
【0009】
そして、本発明に係る飾り窓は、前記のみ込み部は一側面が前記位置ずれ防止凹部の一側面と一直線状となるように配置されたことを特徴として構成されている。
【0010】
また、本発明に係る飾り窓は、前記枠体を構成する枠材は端部がそれぞれ傾斜状に形成されると共に、各端部に挿入される接合部材を介して突き合わせ接合してなり、前記接合部材は突き合わされた前記枠材の各端面に当接する鍔部を有し、該鍔部は前記位置ずれ防止凹部の長手方向端面を構成すると共に、外周部に切欠部が形成されてなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る飾り窓によれば、枠体はブロック塀を構成するブロックよりやや大きいまたはそれより小さい奥行き方向幅を有し、内周面の奥行き方向中央から片側に偏った位置に装飾材をのみ込んで固定するのみ込み部が形成されることにより、ブロック塀の一方から見て装飾材を奥まった位置に配置することができるので、装飾材の枠体に対する取付部の露出を抑えることができると共に、装飾材に奥行き感を持たせて意匠性の向上を図ることができる。
【0012】
また、本発明に係る飾り窓によれば、装飾材は周縁部がのみ込み部に対してグレチャンを介して固定されることにより、装飾材をグレチャンによって四周に渡り強固に固定できると共に、グレチャンを外側から見えにくくすることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る飾り窓によれば、枠体はブロック塀の少なくとも一面より若干突出するように配置されることにより、突出した枠体の外周面をモルタルを施工する際におけるコテのあたりの面とすることができるので、ブロック塀の表面に塗布されるモルタルの仕上げを容易にすることができる。
【0014】
さらにまた、本発明に係る飾り窓によれば、枠体は外周面に幅広の位置ずれ防止凹部を長手方向に沿って有することにより、枠体をブロック塀の開口部に配置した際に、モルタルが位置ずれ防止凹部内に入り込んで、枠体が奥行き方向にずれることを防止することができる。
【0015】
そして、本発明に係る飾り窓によれば、のみ込み部は一側面が位置ずれ防止凹部の一側面と一直線状となるように配置されたことにより、のみ込み部の一方の強度を向上させることができ、装飾パネルの取付強度を強固にすることができる。
【0016】
また、本発明に係る飾り窓によれば、枠体を構成する枠材は端部がそれぞれ傾斜状に形成されると共に、各端部に挿入される接合部材を介して突き合わせ接合してなり、接合部材は突き合わされた枠材の各端面に当接する鍔部を有し、該鍔部は位置ずれ防止凹部の長手方向端面を構成すると共に、外周部に切欠部が形成されてなることにより、位置ずれ防止凹部内に入り込んだモルタルにより、枠体の左右方向の位置ずれも防止することができ、また切欠部によって奥行き方向のずれもさらに防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態における飾り窓を取付けたブロック塀の正面図を示している。この図に示すように、本実施形態の飾り窓1は、格子状に積まれた複数のブロック50からなるブロック塀55において、1つのブロック50aを半分の大きさとすることで形成された開口部56に対し、方形状に形成された枠体2を納め、この枠体2内にパネルからなる装飾材3を納めて構成される。
【0018】
ブロック塀55は、住宅などの建物を囲むように設けられるもので、一方の面が建物側、すなわち敷地の内側に面し、他方の面が道路など敷地の外側に面するように配置される。図1は、敷地の外側から見た正面図を示している。ブロック塀55の表面は、ブロック50の地肌が露出しないように、表面モルタル52が一面に塗布されている。この表面モルタル52は、飾り枠1を構成する枠体2の外周位置まで塗布されており、枠体2の見込面には表面モルタル52がかからないように施工される。
【0019】
図2には、本実施形態における飾り窓1の正面図を示している。この図に示すように、枠体2は上下左右4つの枠材10を方形状に枠組みして形成されている。各枠材10は、端部が傾斜状に形成されており、各端部には端面から接合部材17が挿入され、この接合部材17を介してそれぞれが突き合わせ接合されることで連結されている。接合部材17には、各枠材10に挿入される挿入部17aが互いに直交するように2つ設けられると共に、それらの間には各枠材10の端面と当接する鍔部17bが形成されている。鍔部17bは、枠体2の角部から外方に若干はみ出す面を有するように形成されており、したがって枠体2の角部において枠材10の外方に向かってやや突出した突出部17cを有している。
【0020】
図3には、飾り窓1の横断面図を示している。この図に示すように、枠体2を構成する枠材10は、断面中空状に形成されており、敷地の外側に面する外側面11と、敷地の内側に面する内側面12とが、見付方向幅が略同じとなるように形成されている。また、外側面11から内側に向かって延びる外側内周面13が、内側に向かう上り傾斜状に形成され、内側面12から外側に向かって延びる内側内周面14が、外側に向かう上り傾斜状に形成される。そして、枠体2の奥行き方向において中央より敷地の内側に偏した位置に、装飾材3をのみ込んで固定するのみ込み部15が形成されている。外側内周面13及び内側内周面14は、それぞれ外側面11及び内側面12からのみ込み部15までに渡って傾斜面として形成されている。したがって、外側内周面13の方が内側内周面14よりも奥行き方向に大きく形成される。
【0021】
のみ込み部15は断面略コ字型の溝形状に形成されており、2つの対向する側面15a、15b及び底面15cによって構成される。また、側面15a、15bの開口端部には、溝の内部に向かって突出する挟持部15dがそれぞれ形成され、この挟持部15dによって内部に装飾材3の周縁部を納めたグレチャン4を挟持することで、装飾材3を枠体2内に固定するようにしている。
【0022】
このように、枠体2の奥行き方向において中央より敷地の内側に偏した位置にのみ込み部15を形成し、こののみ込み部15に装飾材3をグレチャン4を介して固定するようにしたので、飾り窓1を敷地の外側から見た場合に、装飾材3を枠体2の奥側に配置することができ、装飾材3の取付部分、特にグレチャン4が外側から見えにくくなるために、意匠性の低下を防ぐことができると共に、装飾材3が奥まった位置にあることで飾り窓1に奥行き感を持たせることができて、意匠性を良好にすることができる。
【0023】
また、枠材10の外周面には、中央部に幅広な位置ずれ防止凹部16が長手方向に沿って形成されている。位置ずれ防止凹部16には、枠体2をブロック塀55の開口部56に対して取付ける際にモルタルが入り込むことによって、枠体2の奥行き方向のずれを防止することができる。また、位置ずれ防止凹部16の長手方向端部には、前述した接合部材17の鍔部17bに形成された突出部17cが配置されており、これによって枠体2の横方向のずれを防止することができる。さらに、突出部17cの外周部は切り欠かれて切欠部17dを形成しており、これによって枠体2の奥行き方向のずれをさらに防止することができる。
【0024】
位置ずれ防止凹部16を構成する側面のうち、敷地の内側(奥側)の側面16aは、のみ込み部15における敷地の内側の側面15aと一直線状となるように配置されている。すなわち、のみ込み部15の側面15aと位置ずれ防止凹部16の側面16aは、同一面によって構成されている。これにより、枠体10のうち装飾材3より敷地の内側の部分が一体的となって装飾材3の一方の面を挟持することができるので、装飾パネルの取付強度を向上させることができる。
【0025】
なお、枠材10は、枠体1の四周に渡って同じ形状を有するように形成されている。すなわち、図3には飾り窓1の横断面図を示したが、縦断面においても同様の形状を有している。
【0026】
図4には、ブロック塀55に取付けられた飾り窓1の横断面図について示している。この図に示すように、ブロック塀55を構成するブロック50間には、鉄筋53が配置されると共に、充填モルタル51が充填されて、ブロック50同士を接着させると共に、ブロック50と鉄筋53を一体化している。また、ブロック50の両側の表面には、前述のようにそれぞれ表面モルタル52が塗布されている。
【0027】
飾り窓1を構成する枠体2とブロック50との間にも、適宜鉄筋53が配置されると共に、充填モルタル51が充填されて、ブロック50と枠体2とを接着させている。ここで、前述のように充填モルタル51は、枠体2の外周面に形成された位置ずれ防止凹部16と接合部材17に形成された突出部17cとに囲まれた領域に入り込むことにより、飾り窓1の取付時において枠体2が奥行き方向及び横方向に位置ずれすることを防止する。
【0028】
また、枠体2の外側面11は、ブロック50の表面よりも外側に若干突出するように配置され、また枠体2の内側面12も、ブロック50の表面よりも外側に若干突出するように配置される。これらの突出幅は、モルタルの施工に用いるコテのあたりの面として必要な大きさとされる。そして、ブロック50の表面に設けられる表面モルタル52は、枠体2のうちブロック50の表面よりも突出した外周面の位置まで設けられる。このように枠体2がブロック50の表面よりも若干突出するように配置されたことにより、突出した外周面が表面モルタル52を施工する際に、コテのあたりの面となるために、モルタルの仕上げを容易にすることができる。
【0029】
次に、飾り窓1を図4とは異なるサイズのブロック50によって構成されたブロック塀55に取付けた場合について説明する。図5には、枠体2よりも奥行きの大きいブロック50によって構成されたブロック塀55に取付けられた飾り窓1の横断面図について示している。このブロック塀55においても、ブロック50間には鉄筋53が配置されると共に、充填モルタル51が充填される。また、ブロック50の両側の表面には、それぞれ表面モルタル52が塗布されている。
【0030】
飾り窓1を構成する枠体2の奥行き方向幅は、ブロック50の奥行き方向幅より小さいため、枠体2は開口部56の奥行き方向中央より敷地の外側に偏して配置されている。また、枠体2の外側面11側は、図4の場合と同様にブロック50の表面よりも若干突出するように配置されており、表面モルタル52の施工の際に、突出した枠体2の外周面がコテのあたりの面となるようにしている。
【0031】
枠体2の内側面12は、開口部56の内周面内に配置される。このため、ブロック塀55の敷地の内側面に塗布される表面モルタル52は、開口部56の内周面のうち、枠体2の内側面12の位置まで連続して塗布される。枠体2の内側面12は、開口部56の内周面に対して鉛直状に配置されているので、表面モルタル52の施工の際にコテのあたりの面となることができる。したがって、枠体2の外側面11側と同様に、モルタルの施工を容易にすることができる。
【0032】
枠体2は、図5に示す配置に限らず、開口部56の奥行き方向中央より敷地の内側に偏して配置してもよいし、開口部56の奥行き方向中央に配置してもよい。枠体2を開口部56の奥行き方向中央より敷地の内側に偏して配置する場合は、枠体2の内側面12をブロック50の表面よりも若干突出するように配置することで、突出した枠体2の外周面を表面モルタル52の施工の際におけるコテのあたりの面とすることができる。一方、枠体2を開口部56の奥行き方向中央に配置する場合は、枠体2の奥行き方向両側において、表面モルタル52を開口部56の内周面まで連続して塗布し、外側面11と内側面12をそれぞれ表面モルタル52の施工の際におけるコテのあたりの面とする。
【0033】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用は本実施形態に限られるものではなく、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。例えば、本実施形態では、ブロック塀55にブロック50の半分の大きさの開口部56を設け、この開口部56の大きさに適合する枠体2を有した飾り窓1としたが、飾り窓1の大きさはこれに限られず、例えばブロック1個分の開口部に適合する大きさとしてもよいし、また複数のブロックに渡る大きさの開口部に適合する大きさとしてもよい。
【0034】
また、本実施形態では装飾材3は単純な平板状のパネルとしているが、草花をモチーフとした装飾性を持たせるなど、様々に装飾を施すことができる。また、装飾材3は、ぱねるからなるものには限られず、細長い棒状に形成された部材を格子状に組合せてなる格子材とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態における飾り窓を取付けたブロック塀の正面図である。
【図2】本実施形態における飾り窓の正面図である。
【図3】飾り窓の横断面図である。
【図4】ブロック塀に取付けられた飾り窓の横断面図である。
【図5】枠体よりも奥行きの大きいブロックによって構成されたブロック塀に取付けられた飾り窓の横断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 飾り窓
2 枠体
3 装飾パネル
4 グレチャン
10 枠材
11 外側面
12 内側面
13 外側内周面
14 内側内周面
15 のみ込み部
16 位置ずれ防止凹部
17 接合部材
17a 挿入部
17b 鍔部
17c 突出部
17d 切欠部
50 ブロック
51 充填モルタル
52 表面モルタル
55 ブロック塀
56 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック塀に形成した開口部に取付けられる略方形状の枠体内にパネルまたは格子材からなる装飾材を設けてなる飾り窓であって、
前記枠体は前記ブロック塀を構成するブロックよりやや大きいまたはそれより小さい奥行き方向幅を有し、内周面の奥行き方向中央から片側に偏った位置に前記装飾材をのみ込んで固定するのみ込み部が形成されることを特徴とする飾り窓。
【請求項2】
前記装飾材はパネルからなると共に、その周縁部が前記のみ込み部に対してグレチャンを介して固定されることを特徴とする請求項1記載の飾り窓。
【請求項3】
前記枠体は前記ブロック塀の少なくとも一面より若干突出するように配置されることを特徴とする請求項1または2記載の飾り窓。
【請求項4】
前記枠体は外周面に幅広の位置ずれ防止凹部を長手方向に沿って有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の飾り窓。
【請求項5】
前記のみ込み部は一側面が前記位置ずれ防止凹部の一側面と一直線状となるように配置されたことを特徴とする請求項4記載の飾り窓。
【請求項6】
前記枠体を構成する枠材は端部がそれぞれ傾斜状に形成されると共に、各端部に挿入される接合部材を介して突き合わせ接合してなり、前記接合部材は突き合わされた前記枠材の各端面に当接する鍔部を有し、該鍔部は前記位置ずれ防止凹部の長手方向端面を構成すると共に、外周部に切欠部が形成されてなることを特徴とする請求項4または5記載の飾り窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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