説明

養殖用はさみ綱

【課題】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み提案されたもので、繰り返し養殖に使用しても、狭窄性が低下することなく、長期間安定して使用できる狭窄回復性の良い養殖用はさみ綱を提供すること目的とする。
【解決手段】。
本発明に係る狭窄回復性の良い養殖用はさみ綱は、合成繊維からなるロープ糸条において、ロープ糸条3の芯部に直径が0.5mmから2.0mmのポリエステルモノフィラメント2を1から5本挿入してなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かき、ほや、わかめ、ナマコ、ホタテ、コンブなどの養殖に用い、かき原盤やわかめの種糸などを挟み込んで海中に垂らして養殖される垂下方式に使用される養殖用はさみ綱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、わが国で行われているカキの養成法の例で述べると、(1)地まき式、(2)ひび建て式、および(3)垂下式に大別され、垂下式はさらに簡易垂下式、いかだ式、延縄式に分けられる。
そしてこのうち、簡易垂下式養成法は、干潮時2〜4mの水深の海底に木または竹を1〜2列に建て、干潮線上30cmくらいのところに横木を水平に渡して棚を作り、これに垂下連を垂下して養成するものである。垂下連は1.5mくらいの針金に原盤6〜10枚を15〜20cmの竹管と交互に通したものと、はさみ綱と呼ばれるロープに種付けされたかき原盤を長さ約10m程度のはさみ綱に約40cm間隔で挟み込み、木枠や筏や、延縄などに取り付け海中に吊るす方法とがある。
ここで、はさみ綱は一般にポリプロピレン繊維を使用し、ヨリ構成は2×2の2子ロープが一般に使用されている。また、その太さは6mm程度から20mm程度が使用されている。
【0003】
【非特許文献1】かき類養殖(www.nn.iij4u.or.jp/~ookatou/net602/y220.htm)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のはさみ綱は、初期の狭窄性は繊維の太さや繊維の硬さあるいはヨリ構成などを工夫して製造されており、養殖に供されていた。
しかながら、繊維の硬さを増すと、確かに反発性が高くなり、狭窄性は向上するが、外部との擦過などにより、繊維が毛羽立ち結果的にロープのへたりが早く、はさみ綱の強力が低下が早く、極端な場合はロープは切断する。
また、このような現象を少なくするために、硬いポリプロピレン繊維を芯側にしてロープ製造をするなど工夫されているが、この場合でも、初期の狭窄性は良好となるが、繰り返しの使用によって、狭窄性の回復が悪くなり、結果的にかき原盤などを挟む力が弱くなったり、ヨリの回復が無くなる為、極端な場合ははさみ綱に穴が開いた状態となる欠点を有している。
本発明は、かかる従来の問題点に鑑み提案されたもので、繰り返し養殖に使用しても、狭窄性が低下することなく、長期間安定して使用できる養殖用はさみ綱を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る養殖用はさみ綱は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。
即ち、本発明に係る養殖用はさみ綱は、合成繊維からなるロープ糸条において、ロープ糸条の芯部に、ポリエステルモノフィラメントを挿入してなることを特徴とする。
また、芯部のポリエステルモノフィラメントの直径が0.5mmから2.0mmであることが好ましく、挿入するポリエステルモノフィラメントの数量は1本から5本程度であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ロープ糸条の芯部にポリエステルモノフィラメントを挿入して製綱することで、狭窄性を最適に製造でき、狭窄性の回復性が良い養殖用はさみ綱を提供することが出来長期間使用しても、狭窄性が大きく低下することがないので、極端にはロープが破断するまで使用が可能である。
またポリエステルモノフィラメントの太さと挿入本数を適正に使用することにより、各種の養殖用に使用できる。
更に、芯部のポリエステルモノフィラメントの周りに通常の合成繊維からなるロープ糸条を囲むように配置することより、ポリエステルモノフィラメントは合成繊維により保護され、外部との擦過などによる傷がつくことが無く、長期間の使用に耐えることが出来る効果を有する。
また、本発明の製造に関して、従来のロープ製綱機をそのまま使用して製造することが出来、安価に製造することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を参照して、本発明に係る養殖用はさみ綱の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る養殖用はさみ綱を示す断面模式図、図2は本発明の実施形態に係る養殖用はさみ綱に係る外観説明図、図3は使用状態を示す模式図である。
【0008】
本発明の実施形態に係る養殖用はさみ綱1は、図1に示すように、ロープ糸条の芯部にポリエステルモノフィラメント2を挿入して製綱される。
芯部のポリエステルモノフィラメントの直径は0.5mmから2.0mmが好ましく使用でき、目的の養殖により芯部に挿入する本数は1本から5本程度が好ましく使用できる。
ここで、ポリエステルモノフィラメントの直径が0.5mm以下とした場合には、芯部に挿入する本数を多くしても満足する狭窄性が得られないばかりか、コストが高くなる。また、2.0mm以上では、はさみ綱が硬くなりすぎるため、挟む作業が困難になり、作業者の負担が多大となるからである。
【0009】
次に、養殖用はさみ綱1は、前述の芯部に有するポリエステルモノフィラメント2を中心として、その周りに外周ロープ糸条3を形成している。この外周ロープ糸条3は、前記したポリエステルモノフィラメントを外部との擦過などから保護する役割を有するものであることより、特に狭窄性の回復性に主眼をおく必要がなくコスト、品質等を総合的に判断して選定する。従って、外周ロープ糸条3を構成する合成繊維は、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ビニロン繊維、高機能繊維(たとえば、超高分子量ポリエチレン、アラミド繊維、ポリアリレート繊維)等を使用するが、特にコスト、品質面からポリプロピレン繊維が好ましい。
【0010】
なお、本発明の狭窄回復性の良い養殖用はさみ綱1は、通常のロープ製綱機で芯部にポリエステルモノフィラメントを配したロープである。すなわち、原糸を引きそろえて撚りをかけてヤーンをとり、このヤーンを必要本数引きそろえてストランドを作成する。ストランド作成の時、芯部にポリエステルモノフィラメントとなるように製綱し、これを2本×2本撚りあわせて養殖用はさみ綱を製造する。
なお、2×2子が好ましいが、3×2子、4×2子なども採用できる。
そして、本発明にかかる養殖用はさみ綱1は、図3に示すように、通常の養殖用はさみ綱1と同様に、一定間隔ごとに撚りを戻して、稚貝等の原盤4をはさみこむことによって行う。
【0011】
次に、具体的な実施例に基づいて、本発明に係る養殖用はさみ綱を説明する。
<実施例1>
ロープ糸条としてポリプロピレン繊維3000デニールを25本と芯部にポリエステルモノフィラメント1.0mmを2本として、ロープ製綱機で2×2子撚の2つ打ちロープを得た。
<比較例1>
実施例1で使用したポリプロピレン繊維3000デニールを34本とし、芯部のポリエステルモノフィラメントを使用しなかった以外は実施例1と同様の方法で製綱した。
<比較結果>
実施例1と比較例1のはさみ綱の性能結果を表1に示した。
【0012】
【表1】

【0013】
上述のように、本発明にかかるはさみ綱では、3年使用したものであっても、十分な狭窄性を最適に維持することが判った。これに対し通常のポリプロピレン繊維のみを用いたものにあっては、初年度のみ狭窄性が良好であり、3年度には狭窄性が悪くなっていた。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の拡大断面である。
【図3】本発明の具体的な使用の形態を示すを示す説明図である。
【符号の説明】
【0015】
1 はさみ綱
2 ポリエステルモノフィラメント
3 ロープ糸条
4 原盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成繊維からなるロープ糸条において、ロープ糸条の芯部にポリエステルモノフィラメントを挿入してなることを特徴とする狭窄回復性の良い養殖用はさみ綱。
【請求項2】
芯部のポリエステルモノフィラメントの直径が0.5mmから2.0mmであることを特徴とする請求項1の狭窄回復性の良い養殖用はさみ綱。
【請求項3】
挿入するポリエステルモノフィラメントの数量は1本から5本であることを特徴とする請求項1又は2記載の狭窄回復性の良い養殖用はさみ綱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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