養毛化粧料
【課題】養毛化粧料は育毛効果が重要視されるため、使用時のコンディションにまで十分に配慮されていない場合が多く、配合成分によるベタツキ感、各種有効成分を溶解させるために配合されているアルコールに起因したキシミ感や使用後のパサツキ感等が問題点として挙げられる。このような使用時の不快感がなく、頭皮および毛髪に良好なコンディションを与え、且つ、優れた育毛効果を発揮する養毛化粧料の提供。
【解決手段】ビワ葉の抽出物を配合し、さらに、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を配合することにより、ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感を改善し、さらにイソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を含有する養毛化粧料。
【解決手段】ビワ葉の抽出物を配合し、さらに、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を配合することにより、ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感を改善し、さらにイソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を含有する養毛化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
養毛化粧料は、育毛効果が重要視されるため、使用時のコンディションにまで十分に配慮されていない場合が多い。例えば、「配合成分によるベタツキ感」、「各種有効成分を溶解させるために配合されているアルコールに起因したキシミ感」や「使用後のパサツキ感」等が問題点として挙げられる。
【０００２】
本発明は、優れた育毛効果を発揮すると共に、上記のような使用時の不快感（ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感）がなく、頭皮および毛髪に良好なコンディションを与える養毛化粧料に関するものである。
【背景技術】
【０００３】
社会環境の変化や高齢者の増加に伴い、薄毛、脱毛で悩む人が増えている。薄毛、脱毛は一般的に遺伝的要因が大きいと言われている。その要因としては「男性ホルモンと女性ホルモンのバランスの不均衡」、「日常の頭皮ケア不足」、「過度のストレス」、「急激なダイエット」、「偏った食生活」等も原因として挙げられている。また、男女を問わず加齢による毛髪のハリコシ感やツヤ感の低下で悩む人も増えている。
【０００４】
毛髪は毛母細胞が分裂を繰り返し、角化することにより成長する。毛母細胞が正常に分裂を繰り返すためには、周囲の毛細血管から栄養分を吸収する必要がある。しかしながら、上記のような加齢や社会環境の変化等が一因となり、頭皮の毛細血管が細くなり、血流量が低下すると、毛母細胞に十分な栄養分が届かず、その結果、「薄毛」、毛髪の「ハリコシ感」や「ツヤ感」の低下といった現象が起こる。従って、一般的に育毛剤、養毛剤、発毛剤（以下、これらを総称して「養毛化粧料」と呼ぶことがある）は、「細胞賦活効果」のある成分や「血行促進効果」のある成分を含有し、毛母細胞の分裂を促進する作用を有するものとなる。
【０００５】
また、毛髪が健やかに成長するためには、頭皮（毛穴）環境を清潔に保つ必要があるため、養毛化粧料には、「殺菌、静菌効果」のある成分や「抗炎症効果」のある成分も配合される。このように、養毛化粧料とは、「細胞賦活」、「血行促進」、「殺菌、静菌」、「抗炎症」等の効果のある成分を有効成分として含有するものが一般的である。
【０００６】
「薄毛」、「脱毛」、毛髪の「ハリコシ感」や「ツヤ感」の低下で悩む人は、毛髪の量を増やし、「ハリコシ感」や「ツヤ感」を付与することを強く望んでおり、それらの要望に対応するため、これまでにも様々な育毛剤、養毛剤、発毛剤が開発されている（例えば、非特許文献１〜４）。
【０００７】
これまでに、優れた育毛効果を有するイソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩が育毛剤、養毛剤、発毛剤等に使用され、この成分と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分とを有効成分として含有する育毛剤については、提案されている（例えば、特許文献１）。しかしながら、上記イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩は、使用時のベタツキ感が改善課題として挙げられていた。
【０００８】
また、一般的に養毛化粧料は、各種有効成分を溶解させるためにアルコールが配合されており、そのアルコールにより発生するキシミ感やパサツキ感が問題点として挙げられる。
このように、養毛化粧料は育毛効果が重要視されるため、使用時のコンディションにまで十分に配慮されていない場合が多く、使用時の不快感（ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感、バリバリ感）は、しばしば改善課題として挙げられ、良好な使用感を実現することも養毛化粧料として重要な要件となる。
【０００９】
また、キシミ感やパサツキ感を抑制する効果を発揮する養毛化粧料についても、これまでに各種のものが提案されている。例えば、特許文献２には、茶葉の抽出物とゲンチアナの抽出物の混合液は、毛髪のキシミ感を低減させることが開示されている。
【非特許文献１】「毛髪ドクター」Ｉｒｗｉｎ Ｉ Ｌｕｂｏｗｅ著、白揚社発刊、『上手な髪の手入れとハゲの退治法』、１９６２年発行、第１８５〜２１８頁
【非特許文献２】「ハゲは治る」稲葉益巳著、毎日新聞社発刊、『ハゲの実際と治療法』、１９７７年発行、第９７〜１２３頁
【非特許文献３】「発毛・育毛に何が効くか」武田克之著、青春出版社発刊、『育毛剤・養毛剤・発毛促進剤・・・優劣チェック』、１９８８年発行、第７５〜１１５頁
【非特許文献４】「ＴＯＭＯＴＯＭＯ １０月号」鷲家真吾著、新美容出版社発刊、『抜け毛に悩んでいるお客様・・・。どんなアドバイスをしてあげたらいい』、２００５年発刊、第７５〜７７頁
【特許文献１】特許第３２４７７６４号公報 特許請求の範囲等
【特許文献２】特開平０９−０７７６３９号公報 特許請求の範囲等
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
養毛化粧料は、育毛効果が重要視されるため、使用時のコンディションにまで十分に配慮されていない場合が多い。例えば、「配合成分によるベタツキ感」、「各種有効成分を溶解させるために配合されているアルコールに起因したキシミ感」や「使用後のパサツキ感」等が問題点として挙げられる。従って、上記のような使用時の不快感（ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感）がなく、頭皮および毛髪に良好なコンディションを与え、且つ、優れた育毛効果を発揮する養毛化粧料が必要とされていた。
【００１１】
本発明は上記の様な実情に着目してなされたものであって、その目的は、優れた育毛効果を発揮すると共に、使用時の不快感（ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感）がなく、頭皮および毛髪に良好なコンディションを与える養毛化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記目的を達成することのできた本発明の養毛化粧料とは、ビワ葉の抽出物を０．００００１〜０．２質量％配合し、さらに、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を０．０００００９〜０．０８質量％配合することにより、ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感を改善し、イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を含有することで優れた育毛効果を発揮する特徴を有する。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、ビワ葉の抽出物を配合し、さらに、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を配合することにより、ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感を改善し、イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を含有することで、優れた育毛効果も持ち合わせた養毛化粧料が実現できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
発明者は、上記の課題を解決するために、様々な角度から検討した。その結果、ビワ葉の抽出物、必要によって、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を配合し、イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を配合することによって、優れた育毛効果を維持しながら、ベタツキ感やキシミ感、パサツキ感を改善できることを見出し、本発明を完成した。
【００１５】
なお、ビワ葉の抽出物とは、ビワの葉から水、エタノール、１，３−ブチレングリコールまたはこれらの混合液もしくは無水エタノールで抽出して得られるものと定義し、シラカバの抽出物とは、ヨーロッパシラカバまたはその他同属植物の葉、樹皮または木部から水、エタノール、プロピレングリコール、１，３−ブチレングリコールまたはこれらの混合液で抽出して得られるものと定義し、サンショウの抽出物とは、サンショウまたはその他同属植物の果皮から、エタノール溶液にて抽出して得られるものと定義する。
【００１６】
本発明に用いているビワ葉の抽出物はビワ葉エキスの蒸発残留物換算として１．０重量％、シラカバの抽出物はシラカバエキスの蒸発残留物換算として０．８重量％、サンショウの抽出物はサンショウエキスの蒸発残留物換算として０．１８重量％の試料である。
【００１７】
上記のような効果を有効に発揮させるためには、ビワ葉の抽出物を０．００００１質量％以上配合することが好ましい。ビワ葉エキスを０．００００１質量％以上配合することにより、キシミ感やパサツキ感を抑制することができる。しかしながら、ビワ葉の抽出物の配合量が過剰になると、エキス特有のバリバリ感が生じてしまうため、０．２質量％以下とすることが好ましい。
【００１８】
さらに、本発明の養毛化粧料には、必要に応じて、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を含有させることも有用である。シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を配合することにより、ベタツキ感抑制効果を高めることができる。シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を効果的に作用させるためには、０．０００００９〜０．０８質量％の範囲で配合することが好ましい。さらにイソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を含有することで優れた育毛効果を維持することができる。
【００１９】
ビワ葉の抽出物、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物、イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分が必須成分であるが、その他、養毛化粧料に含まれる通常の有効成分や添加剤を含むものであっても良い。こうした有効成分としては、細胞賦活剤、血行促進剤、抗炎症剤、殺菌剤、静菌剤等を挙げることができる。
【００２０】
上記有効成分としての細胞賦活剤としては、パントテン酸およびその誘導体（パントテニルエチルエーテル）、Ｎ−アセチル−Ｌ−メチオニン、セファランチン（タマサキツヅラフジアルカロイド）、アデノシン三リン酸ジナトリウム、アスパラギン酸カリウム、感光素３０１号、ニンジンエキス、ビオチン、モノニトログアヤコール、アラントイン、ペンタデカングリセリド、酵母エキス、ニンニク成分、真珠蛋白抽出液、タイソウエキス、プラセンタエキス、ローヤルゼリー等が挙げられる。
【００２１】
血行促進剤としては、塩化カルプロニウム、センブリエキス、トウガラシチンキ、セファランチン、ニコチン酸ベンジル、ニンニクエキス、トウキエキス、γ−オリザノール、カンゾウ、ミノキシジル、センキュウ、チクセツニンジン、オタネニンジン、ショウガ、ジオウ、アロエ、スピロノラクトン、Ｄ−カンフル、ＤＬ−カンフル、ＤＬ−α−トコフェロール、ヨウ化ニンニクエキス、ＤＬ−α−トコフェロールリノレイン酸エステル、イノシトールヘキサニコチン酸エステル、ニコチン酸、ＤＬ−α−トコフェロールニコチン酸エステル、ニコチン酸ブトキシエチル、ニコチン酸メチル、ノナン酸バニリルアミド、コハク酸ＤＬ−α−トコフェロール、酢酸ＤＬ−α−トコフェロール、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ等が挙げられる。
【００２２】
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸およびその誘導体、脂溶性グリチルレチン酸類、甘草エキス、アズレン、グアイアズレン、ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、シコンエキス、エイジツエキス、オウゴンエキス、カミツレエキス、クマザサエキス、シラカバエキス、ゼニアオイエキス、桃葉エキス、セイヨウノコギリソウエキス、キキョウエキス、ボダイジュエキス、酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン等が挙げられる。
【００２３】
殺菌剤、静菌剤としては、イソプロピルメチルフェノール、レゾルシン、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、イオウ、感光素２０１号、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ジンクピリチオン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、サリチル酸、ピロクトンオラミン、ヒノキチオール、ソルビン酸カリウム、ビタミンＢ６塩酸塩（塩酸ピリドキシン）、フェノール等が挙げられる。
【００２４】
養毛化粧料の添加剤としては、保湿剤、色素、香料、防腐剤、角質溶解剤、抗酸化剤、ｐＨ調整剤・酸・アルカリ剤等を適宜配合することができる。
【００２５】
上記保湿剤としては、１，３−ブチレングリコ−ル、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、コラーゲン、コラーゲン分解ペプチド、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、シルク蛋白分解ペプチド、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、カゼイン分解ペプチド等の蛋白質・ペプチド類およびその誘導体、アルギニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、トリメチルグリシン等のアミノ酸類、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス等の植物抽出成分類、ヒアルロン酸ナトリウム、クエン酸塩、コンドロイチン硫酸、乳酸ナトリウム、２−ピロリドン−５−カルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
【００２６】
防腐剤としては、ｐ−ヒドロキシ安息香酸エステル類、安息香酸塩類、フェノキシエタノール、四級アンモニウム塩類等が挙げられる。
【００２７】
ｐＨ調整剤・酸・アルカリ剤としては、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、炭酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、塩酸、硫酸、硝酸若しくはそれらの塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アルギニン、アンモニア水、アミノメチルプロパノール若しくはそれらの塩類等が挙げられる。
【００２８】
本発明の養毛化粧料を溶解する溶剤類としては、水、エタノールやデカメチルシクロペンタシロキサンが一般的であるが、これらの他にも、２−プロパノール等の低級アルコール類等を使用することができる。また、本発明の養毛化粧料の剤型は、液状が有用である。
【実施例】
【００２９】
次に、実施例によって本発明を具体的に示すが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
【００３０】
［実施例１］
（ベタツキ感抑制効果の官能評価方法：ベタツキ感抑制効果の確認試験１）
化学的処理（例えば、パーマ処理、ヘアカラー処理）を受けていない毛束に下記表１〜５に示す各試料（処方例１〜２７）を浴比１：１になるよう塗布した。毛束を自然乾燥させた後、毛束のベタツキ感を専門のパネラー１０名で以下の３段階（評価点：１〜３点）で官能評価し、その合計を求め下記の評価基準で評価した。その際、処方例１で処理した毛束を基準とし、処方例１で処理した毛束に対して、他の処方例で処理した毛束のベタツキ感抑制効果について評価した。その結果を表１〜５に併記した。
【００３１】
３点…処方例１と比較し、ベタツキ感が明らかに抑制された。
【００３２】
２点…処方例１と比較し、ベタツキ感が抑制された。
【００３３】
１点…処方例１と比較し、ベタツキ感に変化はなかった。
［ベタツキ感抑制効果の評価基準１］
◎：２６〜３０点
○：２１〜２５点
△：１６〜２０点
×：１０〜１５点
（摩擦係数の変動値における測定方法：ベタツキ感抑制効果の確認試験２）
（Ａ）対象毛髪
化学的処理を受けていない毛髪を用いて、摩擦感測定用固定ヘアピース（以下、「測定用毛束」と呼ぶ）を作製した。
【００３４】
（Ｂ）測定および評価
（１）毛髪の処理：処方例１〜２７を浴比１：１で測定用毛束に塗布した。
【００３５】
（２）毛髪の調湿：測定用毛束を（２０°Ｃ、湿度６０％）で２４時間以上調湿した。
【００３６】
（３）測定機器と条件：測定には、摩擦感テスター「ＫＥＳ−ＳＥ」（カトーテック株式会社製）を用いた。
【００３７】
（４）「ＫＥＳ−ＳＥ」により、摩擦係数の変動値（ＭＭＤ：μ）を算出した。
【００３８】
得られた摩擦係数の変動値を下記評価基準により評価した。その結果を表１〜５に併記した。
【００３９】
［ベタツキ感（摩擦係数の変動値μ）の評価基準２］
◎：摩擦係数の変動値μが７６ｘ１０-4以上８０ｘ１０-4未満
○：摩擦係数の変動値μが７０ｘ１０-4以上７６ｘ１０-4未満、８０ｘ１０-4以上８６ｘ１０-4未満
△：摩擦係数の変動値μが６４ｘ１０-4以上７０ｘ１０-4未満、８６ｘ１０-4以上９２ｘ１０-4未満
×：摩擦係数の変動値μが６４ｘ１０-4未満、９２ｘ１０-4以上
［実施例２］
（キシミ感抑制効果）
化学的処理を受けていない毛束に、下記表１〜５に示す各試料（処方例１〜２７）を浴比１：１になるよう塗布した。毛束へ塗布している際の毛束のキシミ感を専門のパネラー１０名で以下の３段階（評価点：１〜３点）で官能評価し、その合計を求め下記の評価基準で評価した。その結果を表１〜５に併記した。その際、処方例１で処理した毛束を基準とし、処方例１で処理した毛束に対して、他の処方例で処理した毛束のキシミ感抑制効果について評価した。その結果を表１〜５に併記した。
【００４０】
３点…処方例１と比較し、キシミ感が明らかに抑制された。
【００４１】
２点…処方例１と比較し、キシミ感が抑制された。
【００４２】
１点…処方例１と比較し、キシミ感に変化はなかった。
【００４３】
［毛髪のキシミ感抑制効果の評価基準］
◎：２６〜３０点
○：２１〜２５点
△：１６〜２０点
×：１０〜１５点
［実施例３］
（パサツキ感抑制効果）
化学的処理を受けていない毛束に下記表１〜５に示す各試料（処方例１〜２７）を浴比１：１になるよう塗布した。毛束を自然乾燥させた後、毛束のパサツキ感を専門のパネラー１０名で以下の３段階（評価点：１〜３点）で官能評価し、その合計を求め下記の評価基準で評価した。その結果を表１〜５に併記した。その際、処方例１で処理した毛束を基準とし、処方例１で処理した毛束に対して、他の処方例で処理した毛束のパサツキ感抑制効果について評価した。その結果を表１〜５に併記した。
【００４４】
３点…処方例１と比較し、パサツキ感が明らかに抑制された。
【００４５】
２点…処方例１と比較し、パサツキ感が抑制された。
【００４６】
１点…処方例１と比較し、パサツキ感に変化はなかった。
【００４７】
［パサツキ感抑制効果の評価基準］
◎：２６〜３０点
○：２１〜２５点
△：１６〜２０点
×：１０〜１５点
【００４８】
【表１】
【００４９】
【表２】
【００５０】
【表３】
【００５１】
【表４】
【００５２】
【表５】
【００５３】
これらの結果から明らかなように、ビワ葉の抽出物を０．００００１〜０．２質量％（処方例２、８〜１１）含み、さらに、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を０．０００００９〜０．０８質量％（処方例１３〜１５、１７〜１８、２１〜２２、２５〜２６）配合すれば、ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感を抑制できることが認められた。３種の抽出物ともに、配合量が過少であれば、効果が得られず、また、過剰であれば、塗布後の毛髪がバリバリするという新たな問題点を生じることになる。従って、ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感を抑制するためには、上記範囲内であることが好ましい。
【００５４】
［実施例４］
（育毛効果の評価方法）
試験動物として、６週令のＣ３Ｈ／Ｈｅ雄性マウス（１群１０〜１５匹）を１週間予備飼育し、試験実施の前日、エーテル麻酔下で動物の背部約８ｃｍ2の皮膚表面を、動物用電気バリカン（夏目製作所株式会社製）で皮膚を傷つけないように剪毛した。除毛した動物の各背部皮膚に、下記表６に示す試料（処方例２８〜３０）を１日１回、土、日曜日を除く連日塗布した。１回の塗布量は１５０μＬ／回とし、マイクロピペットにて滴下後、フッ素樹脂製の棒にて部位全体に塗り広げた。毛再生の評価は、除毛部に対する毛再生部の面積比（発毛面積（％））の経日変化より行った。
【００５５】
発毛面積（％）は以下の手順で求めた。発毛が確認された時点から、連日デジタルカメラを用い、塗布部位の写真を撮影した。その後、画像処理ソフト「Ｉｍａｇｅ Ｊ」で画像を読み込み、ペンタブレットを用いて塗布部位全体と発毛部位とを選択し、各部位の面積をピクセル数にて測定した。発毛部位のピクセル数（ｓ）と塗布部位全体のピクセル数（Ｓ）より、下記（１）式を用いて発毛面積（％）を算出した。その結果を表６に示す。
【００５６】
発毛面積（％）＝ｓ／Ｓ×１００ …（１）
［育毛効果の評価基準］
○：塗布後２７日の発毛面積が３０％以上
×：塗布後２７日の発毛面積が３０％未満
【００５７】
【表６】
【００５８】
表６に示している結果からも判断できるように、今回の３種の抽出物およびイソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分とを配合した処方例２８は、既知の特許処方例である処方例２９と同程度の高い育毛効果を示すことがわかった。また、３種の抽出物のみを配合した処方例３０では、育毛効果が発揮できないことが分かった。
【技術分野】
【０００１】
養毛化粧料は、育毛効果が重要視されるため、使用時のコンディションにまで十分に配慮されていない場合が多い。例えば、「配合成分によるベタツキ感」、「各種有効成分を溶解させるために配合されているアルコールに起因したキシミ感」や「使用後のパサツキ感」等が問題点として挙げられる。
【０００２】
本発明は、優れた育毛効果を発揮すると共に、上記のような使用時の不快感（ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感）がなく、頭皮および毛髪に良好なコンディションを与える養毛化粧料に関するものである。
【背景技術】
【０００３】
社会環境の変化や高齢者の増加に伴い、薄毛、脱毛で悩む人が増えている。薄毛、脱毛は一般的に遺伝的要因が大きいと言われている。その要因としては「男性ホルモンと女性ホルモンのバランスの不均衡」、「日常の頭皮ケア不足」、「過度のストレス」、「急激なダイエット」、「偏った食生活」等も原因として挙げられている。また、男女を問わず加齢による毛髪のハリコシ感やツヤ感の低下で悩む人も増えている。
【０００４】
毛髪は毛母細胞が分裂を繰り返し、角化することにより成長する。毛母細胞が正常に分裂を繰り返すためには、周囲の毛細血管から栄養分を吸収する必要がある。しかしながら、上記のような加齢や社会環境の変化等が一因となり、頭皮の毛細血管が細くなり、血流量が低下すると、毛母細胞に十分な栄養分が届かず、その結果、「薄毛」、毛髪の「ハリコシ感」や「ツヤ感」の低下といった現象が起こる。従って、一般的に育毛剤、養毛剤、発毛剤（以下、これらを総称して「養毛化粧料」と呼ぶことがある）は、「細胞賦活効果」のある成分や「血行促進効果」のある成分を含有し、毛母細胞の分裂を促進する作用を有するものとなる。
【０００５】
また、毛髪が健やかに成長するためには、頭皮（毛穴）環境を清潔に保つ必要があるため、養毛化粧料には、「殺菌、静菌効果」のある成分や「抗炎症効果」のある成分も配合される。このように、養毛化粧料とは、「細胞賦活」、「血行促進」、「殺菌、静菌」、「抗炎症」等の効果のある成分を有効成分として含有するものが一般的である。
【０００６】
「薄毛」、「脱毛」、毛髪の「ハリコシ感」や「ツヤ感」の低下で悩む人は、毛髪の量を増やし、「ハリコシ感」や「ツヤ感」を付与することを強く望んでおり、それらの要望に対応するため、これまでにも様々な育毛剤、養毛剤、発毛剤が開発されている（例えば、非特許文献１〜４）。
【０００７】
これまでに、優れた育毛効果を有するイソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩が育毛剤、養毛剤、発毛剤等に使用され、この成分と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分とを有効成分として含有する育毛剤については、提案されている（例えば、特許文献１）。しかしながら、上記イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩は、使用時のベタツキ感が改善課題として挙げられていた。
【０００８】
また、一般的に養毛化粧料は、各種有効成分を溶解させるためにアルコールが配合されており、そのアルコールにより発生するキシミ感やパサツキ感が問題点として挙げられる。
このように、養毛化粧料は育毛効果が重要視されるため、使用時のコンディションにまで十分に配慮されていない場合が多く、使用時の不快感（ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感、バリバリ感）は、しばしば改善課題として挙げられ、良好な使用感を実現することも養毛化粧料として重要な要件となる。
【０００９】
また、キシミ感やパサツキ感を抑制する効果を発揮する養毛化粧料についても、これまでに各種のものが提案されている。例えば、特許文献２には、茶葉の抽出物とゲンチアナの抽出物の混合液は、毛髪のキシミ感を低減させることが開示されている。
【非特許文献１】「毛髪ドクター」Ｉｒｗｉｎ Ｉ Ｌｕｂｏｗｅ著、白揚社発刊、『上手な髪の手入れとハゲの退治法』、１９６２年発行、第１８５〜２１８頁
【非特許文献２】「ハゲは治る」稲葉益巳著、毎日新聞社発刊、『ハゲの実際と治療法』、１９７７年発行、第９７〜１２３頁
【非特許文献３】「発毛・育毛に何が効くか」武田克之著、青春出版社発刊、『育毛剤・養毛剤・発毛促進剤・・・優劣チェック』、１９８８年発行、第７５〜１１５頁
【非特許文献４】「ＴＯＭＯＴＯＭＯ １０月号」鷲家真吾著、新美容出版社発刊、『抜け毛に悩んでいるお客様・・・。どんなアドバイスをしてあげたらいい』、２００５年発刊、第７５〜７７頁
【特許文献１】特許第３２４７７６４号公報 特許請求の範囲等
【特許文献２】特開平０９−０７７６３９号公報 特許請求の範囲等
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
養毛化粧料は、育毛効果が重要視されるため、使用時のコンディションにまで十分に配慮されていない場合が多い。例えば、「配合成分によるベタツキ感」、「各種有効成分を溶解させるために配合されているアルコールに起因したキシミ感」や「使用後のパサツキ感」等が問題点として挙げられる。従って、上記のような使用時の不快感（ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感）がなく、頭皮および毛髪に良好なコンディションを与え、且つ、優れた育毛効果を発揮する養毛化粧料が必要とされていた。
【００１１】
本発明は上記の様な実情に着目してなされたものであって、その目的は、優れた育毛効果を発揮すると共に、使用時の不快感（ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感）がなく、頭皮および毛髪に良好なコンディションを与える養毛化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
上記目的を達成することのできた本発明の養毛化粧料とは、ビワ葉の抽出物を０．００００１〜０．２質量％配合し、さらに、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を０．０００００９〜０．０８質量％配合することにより、ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感を改善し、イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を含有することで優れた育毛効果を発揮する特徴を有する。
【発明の効果】
【００１３】
本発明によれば、ビワ葉の抽出物を配合し、さらに、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を配合することにより、ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感を改善し、イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を含有することで、優れた育毛効果も持ち合わせた養毛化粧料が実現できた。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１４】
発明者は、上記の課題を解決するために、様々な角度から検討した。その結果、ビワ葉の抽出物、必要によって、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を配合し、イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を配合することによって、優れた育毛効果を維持しながら、ベタツキ感やキシミ感、パサツキ感を改善できることを見出し、本発明を完成した。
【００１５】
なお、ビワ葉の抽出物とは、ビワの葉から水、エタノール、１，３−ブチレングリコールまたはこれらの混合液もしくは無水エタノールで抽出して得られるものと定義し、シラカバの抽出物とは、ヨーロッパシラカバまたはその他同属植物の葉、樹皮または木部から水、エタノール、プロピレングリコール、１，３−ブチレングリコールまたはこれらの混合液で抽出して得られるものと定義し、サンショウの抽出物とは、サンショウまたはその他同属植物の果皮から、エタノール溶液にて抽出して得られるものと定義する。
【００１６】
本発明に用いているビワ葉の抽出物はビワ葉エキスの蒸発残留物換算として１．０重量％、シラカバの抽出物はシラカバエキスの蒸発残留物換算として０．８重量％、サンショウの抽出物はサンショウエキスの蒸発残留物換算として０．１８重量％の試料である。
【００１７】
上記のような効果を有効に発揮させるためには、ビワ葉の抽出物を０．００００１質量％以上配合することが好ましい。ビワ葉エキスを０．００００１質量％以上配合することにより、キシミ感やパサツキ感を抑制することができる。しかしながら、ビワ葉の抽出物の配合量が過剰になると、エキス特有のバリバリ感が生じてしまうため、０．２質量％以下とすることが好ましい。
【００１８】
さらに、本発明の養毛化粧料には、必要に応じて、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を含有させることも有用である。シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を配合することにより、ベタツキ感抑制効果を高めることができる。シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を効果的に作用させるためには、０．０００００９〜０．０８質量％の範囲で配合することが好ましい。さらにイソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を含有することで優れた育毛効果を維持することができる。
【００１９】
ビワ葉の抽出物、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物、イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分が必須成分であるが、その他、養毛化粧料に含まれる通常の有効成分や添加剤を含むものであっても良い。こうした有効成分としては、細胞賦活剤、血行促進剤、抗炎症剤、殺菌剤、静菌剤等を挙げることができる。
【００２０】
上記有効成分としての細胞賦活剤としては、パントテン酸およびその誘導体（パントテニルエチルエーテル）、Ｎ−アセチル−Ｌ−メチオニン、セファランチン（タマサキツヅラフジアルカロイド）、アデノシン三リン酸ジナトリウム、アスパラギン酸カリウム、感光素３０１号、ニンジンエキス、ビオチン、モノニトログアヤコール、アラントイン、ペンタデカングリセリド、酵母エキス、ニンニク成分、真珠蛋白抽出液、タイソウエキス、プラセンタエキス、ローヤルゼリー等が挙げられる。
【００２１】
血行促進剤としては、塩化カルプロニウム、センブリエキス、トウガラシチンキ、セファランチン、ニコチン酸ベンジル、ニンニクエキス、トウキエキス、γ−オリザノール、カンゾウ、ミノキシジル、センキュウ、チクセツニンジン、オタネニンジン、ショウガ、ジオウ、アロエ、スピロノラクトン、Ｄ−カンフル、ＤＬ−カンフル、ＤＬ−α−トコフェロール、ヨウ化ニンニクエキス、ＤＬ−α−トコフェロールリノレイン酸エステル、イノシトールヘキサニコチン酸エステル、ニコチン酸、ＤＬ−α−トコフェロールニコチン酸エステル、ニコチン酸ブトキシエチル、ニコチン酸メチル、ノナン酸バニリルアミド、コハク酸ＤＬ−α−トコフェロール、酢酸ＤＬ−α−トコフェロール、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキ等が挙げられる。
【００２２】
抗炎症剤としては、グリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸およびその誘導体、脂溶性グリチルレチン酸類、甘草エキス、アズレン、グアイアズレン、ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン剤、シコンエキス、エイジツエキス、オウゴンエキス、カミツレエキス、クマザサエキス、シラカバエキス、ゼニアオイエキス、桃葉エキス、セイヨウノコギリソウエキス、キキョウエキス、ボダイジュエキス、酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン等が挙げられる。
【００２３】
殺菌剤、静菌剤としては、イソプロピルメチルフェノール、レゾルシン、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、イオウ、感光素２０１号、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ジンクピリチオン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、サリチル酸、ピロクトンオラミン、ヒノキチオール、ソルビン酸カリウム、ビタミンＢ６塩酸塩（塩酸ピリドキシン）、フェノール等が挙げられる。
【００２４】
養毛化粧料の添加剤としては、保湿剤、色素、香料、防腐剤、角質溶解剤、抗酸化剤、ｐＨ調整剤・酸・アルカリ剤等を適宜配合することができる。
【００２５】
上記保湿剤としては、１，３−ブチレングリコ−ル、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、コラーゲン、コラーゲン分解ペプチド、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、シルク蛋白分解ペプチド、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、カゼイン分解ペプチド等の蛋白質・ペプチド類およびその誘導体、アルギニン、セリン、グリシン、グルタミン酸、トリメチルグリシン等のアミノ酸類、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス等の植物抽出成分類、ヒアルロン酸ナトリウム、クエン酸塩、コンドロイチン硫酸、乳酸ナトリウム、２−ピロリドン−５−カルボン酸ナトリウム等が挙げられる。
【００２６】
防腐剤としては、ｐ−ヒドロキシ安息香酸エステル類、安息香酸塩類、フェノキシエタノール、四級アンモニウム塩類等が挙げられる。
【００２７】
ｐＨ調整剤・酸・アルカリ剤としては、リン酸、リンゴ酸、酒石酸、炭酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、塩酸、硫酸、硝酸若しくはそれらの塩類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸水素二ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アルギニン、アンモニア水、アミノメチルプロパノール若しくはそれらの塩類等が挙げられる。
【００２８】
本発明の養毛化粧料を溶解する溶剤類としては、水、エタノールやデカメチルシクロペンタシロキサンが一般的であるが、これらの他にも、２−プロパノール等の低級アルコール類等を使用することができる。また、本発明の養毛化粧料の剤型は、液状が有用である。
【実施例】
【００２９】
次に、実施例によって本発明を具体的に示すが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
【００３０】
［実施例１］
（ベタツキ感抑制効果の官能評価方法：ベタツキ感抑制効果の確認試験１）
化学的処理（例えば、パーマ処理、ヘアカラー処理）を受けていない毛束に下記表１〜５に示す各試料（処方例１〜２７）を浴比１：１になるよう塗布した。毛束を自然乾燥させた後、毛束のベタツキ感を専門のパネラー１０名で以下の３段階（評価点：１〜３点）で官能評価し、その合計を求め下記の評価基準で評価した。その際、処方例１で処理した毛束を基準とし、処方例１で処理した毛束に対して、他の処方例で処理した毛束のベタツキ感抑制効果について評価した。その結果を表１〜５に併記した。
【００３１】
３点…処方例１と比較し、ベタツキ感が明らかに抑制された。
【００３２】
２点…処方例１と比較し、ベタツキ感が抑制された。
【００３３】
１点…処方例１と比較し、ベタツキ感に変化はなかった。
［ベタツキ感抑制効果の評価基準１］
◎：２６〜３０点
○：２１〜２５点
△：１６〜２０点
×：１０〜１５点
（摩擦係数の変動値における測定方法：ベタツキ感抑制効果の確認試験２）
（Ａ）対象毛髪
化学的処理を受けていない毛髪を用いて、摩擦感測定用固定ヘアピース（以下、「測定用毛束」と呼ぶ）を作製した。
【００３４】
（Ｂ）測定および評価
（１）毛髪の処理：処方例１〜２７を浴比１：１で測定用毛束に塗布した。
【００３５】
（２）毛髪の調湿：測定用毛束を（２０°Ｃ、湿度６０％）で２４時間以上調湿した。
【００３６】
（３）測定機器と条件：測定には、摩擦感テスター「ＫＥＳ−ＳＥ」（カトーテック株式会社製）を用いた。
【００３７】
（４）「ＫＥＳ−ＳＥ」により、摩擦係数の変動値（ＭＭＤ：μ）を算出した。
【００３８】
得られた摩擦係数の変動値を下記評価基準により評価した。その結果を表１〜５に併記した。
【００３９】
［ベタツキ感（摩擦係数の変動値μ）の評価基準２］
◎：摩擦係数の変動値μが７６ｘ１０-4以上８０ｘ１０-4未満
○：摩擦係数の変動値μが７０ｘ１０-4以上７６ｘ１０-4未満、８０ｘ１０-4以上８６ｘ１０-4未満
△：摩擦係数の変動値μが６４ｘ１０-4以上７０ｘ１０-4未満、８６ｘ１０-4以上９２ｘ１０-4未満
×：摩擦係数の変動値μが６４ｘ１０-4未満、９２ｘ１０-4以上
［実施例２］
（キシミ感抑制効果）
化学的処理を受けていない毛束に、下記表１〜５に示す各試料（処方例１〜２７）を浴比１：１になるよう塗布した。毛束へ塗布している際の毛束のキシミ感を専門のパネラー１０名で以下の３段階（評価点：１〜３点）で官能評価し、その合計を求め下記の評価基準で評価した。その結果を表１〜５に併記した。その際、処方例１で処理した毛束を基準とし、処方例１で処理した毛束に対して、他の処方例で処理した毛束のキシミ感抑制効果について評価した。その結果を表１〜５に併記した。
【００４０】
３点…処方例１と比較し、キシミ感が明らかに抑制された。
【００４１】
２点…処方例１と比較し、キシミ感が抑制された。
【００４２】
１点…処方例１と比較し、キシミ感に変化はなかった。
【００４３】
［毛髪のキシミ感抑制効果の評価基準］
◎：２６〜３０点
○：２１〜２５点
△：１６〜２０点
×：１０〜１５点
［実施例３］
（パサツキ感抑制効果）
化学的処理を受けていない毛束に下記表１〜５に示す各試料（処方例１〜２７）を浴比１：１になるよう塗布した。毛束を自然乾燥させた後、毛束のパサツキ感を専門のパネラー１０名で以下の３段階（評価点：１〜３点）で官能評価し、その合計を求め下記の評価基準で評価した。その結果を表１〜５に併記した。その際、処方例１で処理した毛束を基準とし、処方例１で処理した毛束に対して、他の処方例で処理した毛束のパサツキ感抑制効果について評価した。その結果を表１〜５に併記した。
【００４４】
３点…処方例１と比較し、パサツキ感が明らかに抑制された。
【００４５】
２点…処方例１と比較し、パサツキ感が抑制された。
【００４６】
１点…処方例１と比較し、パサツキ感に変化はなかった。
【００４７】
［パサツキ感抑制効果の評価基準］
◎：２６〜３０点
○：２１〜２５点
△：１６〜２０点
×：１０〜１５点
【００４８】
【表１】
【００４９】
【表２】
【００５０】
【表３】
【００５１】
【表４】
【００５２】
【表５】
【００５３】
これらの結果から明らかなように、ビワ葉の抽出物を０．００００１〜０．２質量％（処方例２、８〜１１）含み、さらに、シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を０．０００００９〜０．０８質量％（処方例１３〜１５、１７〜１８、２１〜２２、２５〜２６）配合すれば、ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感を抑制できることが認められた。３種の抽出物ともに、配合量が過少であれば、効果が得られず、また、過剰であれば、塗布後の毛髪がバリバリするという新たな問題点を生じることになる。従って、ベタツキ感、キシミ感、パサツキ感を抑制するためには、上記範囲内であることが好ましい。
【００５４】
［実施例４］
（育毛効果の評価方法）
試験動物として、６週令のＣ３Ｈ／Ｈｅ雄性マウス（１群１０〜１５匹）を１週間予備飼育し、試験実施の前日、エーテル麻酔下で動物の背部約８ｃｍ2の皮膚表面を、動物用電気バリカン（夏目製作所株式会社製）で皮膚を傷つけないように剪毛した。除毛した動物の各背部皮膚に、下記表６に示す試料（処方例２８〜３０）を１日１回、土、日曜日を除く連日塗布した。１回の塗布量は１５０μＬ／回とし、マイクロピペットにて滴下後、フッ素樹脂製の棒にて部位全体に塗り広げた。毛再生の評価は、除毛部に対する毛再生部の面積比（発毛面積（％））の経日変化より行った。
【００５５】
発毛面積（％）は以下の手順で求めた。発毛が確認された時点から、連日デジタルカメラを用い、塗布部位の写真を撮影した。その後、画像処理ソフト「Ｉｍａｇｅ Ｊ」で画像を読み込み、ペンタブレットを用いて塗布部位全体と発毛部位とを選択し、各部位の面積をピクセル数にて測定した。発毛部位のピクセル数（ｓ）と塗布部位全体のピクセル数（Ｓ）より、下記（１）式を用いて発毛面積（％）を算出した。その結果を表６に示す。
【００５６】
発毛面積（％）＝ｓ／Ｓ×１００ …（１）
［育毛効果の評価基準］
○：塗布後２７日の発毛面積が３０％以上
×：塗布後２７日の発毛面積が３０％未満
【００５７】
【表６】
【００５８】
表６に示している結果からも判断できるように、今回の３種の抽出物およびイソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分とを配合した処方例２８は、既知の特許処方例である処方例２９と同程度の高い育毛効果を示すことがわかった。また、３種の抽出物のみを配合した処方例３０では、育毛効果が発揮できないことが分かった。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ビワ葉の抽出物を配合することを特徴とする養毛化粧料。
【請求項２】
ビワ葉の抽出物を０．００００１〜０．２質量％の割合で配合したものである請求項１に記載の養毛化粧料。
【請求項３】
シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を配合することを特徴とする請求項１または２に記載の養毛化粧料。
【請求項４】
シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を０．０００００９〜０．０８質量％の割合で配合したものである請求項１〜３に記載の養毛化粧料。
【請求項５】
イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を含有することを特徴とする請求項１〜４に記載の養毛化粧料。
【請求項１】
ビワ葉の抽出物を配合することを特徴とする養毛化粧料。
【請求項２】
ビワ葉の抽出物を０．００００１〜０．２質量％の割合で配合したものである請求項１に記載の養毛化粧料。
【請求項３】
シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を配合することを特徴とする請求項１または２に記載の養毛化粧料。
【請求項４】
シラカバの抽出物および／またはサンショウの抽出物を０．０００００９〜０．０８質量％の割合で配合したものである請求項１〜３に記載の養毛化粧料。
【請求項５】
イソステアロイル加水分解コラーゲンまたはその塩と、ｎ−ペンタデシルニコチネート、セファランチンおよびニコチン酸ベンジルから選ばれる成分を含有することを特徴とする請求項１〜４に記載の養毛化粧料。
【公開番号】特開２０１０−１０５９３２（Ｐ２０１０−１０５９３２Ａ）
【公開日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２７７５６０（Ｐ２００８−２７７５６０）
【出願日】平成２０年１０月２９日（２００８．１０．２９）
【出願人】（０００２１３４８２）中野製薬株式会社 (57)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２２年５月１３日（２０１０．５．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１０月２９日（２００８．１０．２９）
【出願人】（０００２１３４８２）中野製薬株式会社 (57)
【Ｆターム（参考）】
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