駆動ユニット
【課題】装置が大型化するのを抑制した上で、出力軸の不釣合力を抑制することができる駆動ユニットを得る。
【解決手段】ロータ16と共に出力軸34が回転すると、偏心軸36が回転する。外歯歯車22が偏心運動しながら公転することで、内歯歯車と外歯歯車22との噛み合い位置が変化する。これにより、出力軸34の回転に対して減速されながら内歯歯車28と共にハブ26が回転する。ロータ16の本体部96を支持するロータブリッジ98A、98B、98Cの質量を夫々変えることで、外歯歯車が偏心運動することにより生じる出力軸34の不釣合力を抑制している。これにより、装置が大型化するのを抑制した上で、出力軸34の不釣合力を抑制することができる。
【解決手段】ロータ16と共に出力軸34が回転すると、偏心軸36が回転する。外歯歯車22が偏心運動しながら公転することで、内歯歯車と外歯歯車22との噛み合い位置が変化する。これにより、出力軸34の回転に対して減速されながら内歯歯車28と共にハブ26が回転する。ロータ16の本体部96を支持するロータブリッジ98A、98B、98Cの質量を夫々変えることで、外歯歯車が偏心運動することにより生じる出力軸34の不釣合力を抑制している。これにより、装置が大型化するのを抑制した上で、出力軸34の不釣合力を抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力を生じさせる駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の実施例2には、遊星歯車減速装置による重心の偏りを補正するため(駆動軸の不釣合力を抑制するため)、バランサー(17)を駆動軸(20)に取り付ける構成や、回転子(19)の外周を削ったバランス修正部(22)を設ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04−327047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構造では、出力軸(駆動軸)の不釣合力を抑制するためにバランサーを駆動軸に取り付けるため、駆動軸にバランサーを取る付けるための新たな取付部が必要となり、装置が大型化されていた。
【0005】
本発明の課題は、装置が大型化するのを抑制した上で、出力軸の不釣合力を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る駆動ユニットは、環状の本体部と、前記本体部の中心線上に設けられた出力軸とを備えたロータと、環状に形成され、前記ロータに備えられた前記本体部の径方向外側に設けられたステータと、前記出力軸に対して偏心して設けられた偏心軸に回転可能に支持され、前記出力軸の回転に伴って前記出力軸の軸線回りに公転する公転要素と、前記公転要素の公転を出力要素の回転に変換する変換要素と、前記ロータの前記本体部と前記ロータの前記出力軸との間に設けられ、前記出力軸の回転に伴って前記公転要素が偏心運動することにより生じる前記出力軸の不釣合力を抑制する不釣合力抑制手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、ステータに対してロータが回転し、ロータに備えられた出力軸が回転する。さらに、出力軸に偏心状態で設けられた偏心軸に回転可能に支持された公転要素が、出力軸の軸線回りに偏心量を維持したまま公転する(偏心運動)。さらに、変換要素が、公転要素の公転を出力要素の回転に変換することで、出力軸の回転速度が減速される。
【0008】
ここで、ロータの本体部とロータの出力軸との間には、出力軸の回転に伴って公転要素が偏心運動することにより生じる出力軸の不釣合力を抑制する不釣合力抑制手段が設けられている。
【0009】
このように、不釣合力抑制手段をロータの本体部とロータの出力軸との間に設けることで、出力軸の不釣合力を抑制するための部材を取り付けるための新たな取付部が必要とならないため、装置が大型化するのを抑制した上で、出力軸の不釣合力を抑制することができる。
【0010】
本発明の請求項2に係る駆動ユニットは、請求項1に記載において、前記ロータは、前記出力軸から前記出力軸の径方向に放射状に延びて前記本体部を支持する複数のロータブリッジを備えており、前記不釣合力抑制手段は、前記出力軸の不釣合力を抑制するように夫々の質量が設定された複数の前記ロータブリッジから構成されることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、出力軸から出力軸の径方向に放射状に延びるロータブリッジが、ロータの本体部を支持している。ここで、不釣合力抑制手段は、出力軸の不釣合力を抑制するように夫々の質量が設定された複数のロータブリッジから構成されている。
【0012】
このように、ロータブリッジが不釣合力抑制手段を構成することで、出力軸の不釣合力を抑制するための特別な部材(バランサー等)を設ける必要が無くなるため、駆動ユニットを安価な構成とすることができる。
【0013】
本発明の請求項3に係る駆動ユニットは、請求項2に記載において、前記ロータブリッジの質量は、前記ロータブリッジの断面形状を変えることで設定されることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、ロータブリッジの断面形状を変えることで夫々のロータブリッジの質量が設定されているため、簡易な構成でロータブリッジの質量を設定する(変える)ことができる。
【0015】
本発明の請求項4に係る駆動ユニットは、請求項1〜3の何れか1項に記載において、不釣合力抑制手段は、前記出力軸の軸方向に対して直交する方向から見て、前記軸方向において前記本体部が配置される範囲内に設けられることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、不釣合力抑制手段は、出力軸の軸方向に対して直交する方向から見て、軸方向において本体部が配置される範囲内に設けられているため、装置が軸方向に大型化するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられたロータを示した正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられたロータ及び外歯歯車を示した斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられたロータを示した斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられた外歯歯車と内歯歯車とを示した正面図である。
【図5】(A)(B)(C)(D)(E)本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられた外歯歯車と内歯歯車との動作を示した動作図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられたロータ及び外歯歯車を示した断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットの全体構成を示した断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットの全体構成を示した分解斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられた内歯歯車とカバー等を示した斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットが電動自転車に取り付けられた状態を示した拡大斜視図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットが電動自転車に取り付けられた状態を示した斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る駆動ユニットに設けられたロータを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットの一例を図1〜図11に従って説明する。
【0019】
(全体構成)
図10、図11に示されるように、駆動ユニット10は、電動自転車100の前輪の回転軸に固定され、電動自転車100の動力源として用いられる。
【0020】
図7に示されるように、駆動ユニット10は、一対の固定軸12,14と、ロータ16と、ステータ18と、モータハウジング20と、公転要素の一例としての外歯歯車22と、キャリア24と、出力要素の一例としてのハブ26と、内歯歯車28とを主要な構成として備えている。
【0021】
一対の固定軸12,14は、互いに同軸上に配置されている。この一対の固定軸12,14には、ネジ部12A,14Aが夫々形成されており、このネジ部12A,14Aには、ナット30,32が夫々締め込まれている。一方の固定軸12は、ナット30を用いて電動自転車100の一方のフレーム100Aに固定され、軸部材の一例としての他方の固定軸14は、ナット32を用いて電動自転車100の他方のフレーム100B(図10、図11参照)に固定されている。
【0022】
ロータ16は、後述するステータ18と共にブラシレスモータを構成している。このロータ16は、環状の本体部96と、一対の固定軸12,14の間であって、この一対の固定軸12,14と同軸上に設けられた出力軸34と、出力軸34から出力軸34の径方向に放射状に延びると共に本体部96を支持する複数のロータブリッジ98(図1参照)とを備えている。なお、ロータ16については詳細を後述する。
【0023】
ステータ18は、環状に形成されており、ロータ16に備えられた本体部96の径方向外側に設けられている。このロータ16及びステータ18を有して構成されたブラシレスモータでは、ステータ18に回転磁界が生じると、ロータ16とステータ18との間に吸引・反発力が作用し、ロータ16が回転するようになっている。
【0024】
モータハウジング20は、一方の固定軸12側からステータ18に取り付けられた第一ハウジング40と、他方の固定軸14側からステータ18に取り付けられた第二ハウジング42とを有している。この第一ハウジング40、ステータ18、及び、第二ハウジング42は、ボルト44により固定されている。さらに、第一ハウジング40及びステータ18は、ボルト45により固定されている。
【0025】
また、第一ハウジング40は、一方の固定軸12側に底板を有する扁平容器状に形成されている。この第一ハウジング40の底板の外側には、カップ状のスペーサ46がボルト48により固定されている。このスペーサ46の中央部には、筒状部50が形成され、この筒状部50には、一方の固定軸12が圧入されて固定されている。
【0026】
一方、第二ハウジング42は、円盤状に形成されている。この第二ハウジング42は、対向壁部の一例であり、後述するキャリア24に備えられたキャリア本体68(図8参照)と出力軸34の軸方向に対向している。この第二ハウジング42には、収容凹部52が形成されている。この収容凹部52は、キャリア24側に開口する凹形状とされており、ステータ18の内側に挿入されている。
【0027】
また、この収容凹部52の底板の中央部には、円環状の軸受収容部54が形成されており、この軸受収容部54には、軸受56が収容されている。同様に、前述の第一ハウジング40の底板の中央部には、軸受収容部58が形成されており、この軸受収容部58には、軸受60が収容されている。この一対の軸受56,60は、出力軸34の軸方向両端部を回転可能に支持している。
【0028】
この出力軸34に対して他方の固定軸14側には、出力軸34に対して偏心量ax(図6参照)だけ偏心した偏心軸36が設けられている。この偏心軸36は、セレーション結合部38により出力軸34と結合されており、出力軸34と軸方向の反対側に突出する軸部36Aを有している。この軸部36Aは、出力軸34と同軸上に形成されている。
【0029】
所謂遊星歯車である外歯歯車22は、軸受62を介して偏心軸36に回転可能に支持されている。図8に示されるように、この外歯歯車22の外周面には、複数の外歯22Aが形成されている。また、この外歯歯車22には、回転方向に並んだ複数の伝導孔64が形成されている。図7に示されるように、この外歯歯車22は、後述する内歯歯車28と共に、収容凹部52に収容されている。
【0030】
キャリア24は、複数の伝導孔64に偏心状態で挿入される複数の所謂キャリアピンである内ピン66と、この複数の内ピン66を支持する円盤状のキャリア本体68とを備えている。さらに、キャリア本体68は、他方の固定軸14と一体に形成されることで、他方の固定軸14は、キャリア本体68に固定されている。
【0031】
図7に示されるように、このキャリア本体68と軸部36Aとの間には、軸受70が設けられている。また、図8に示されるように、このキャリア24には、複数の内ピン66のうちの幾つかの内ピン66と同軸上に、この内ピン66の軸方向に貫通する貫通孔72が形成されている。
【0032】
一方、このキャリア本体68と対向する前述した第二ハウジング42には、複数の内ピン66の夫々の先端部が圧入(軽圧入)される複数の圧入孔74が形成されている。この複数の圧入孔74のうち貫通孔72と同軸上に位置する圧入孔74には、ネジ孔部74A(図7参照)が形成されている。そして、このキャリア本体68及び第二ハウジング42は、貫通孔72にボルト76が挿通されると共に、このボルト76の先端部がネジ孔部74Aに締め込まれることで互いに固定される。なお、貫通孔72は、複数の内ピン66のうち少なくともいずれかに形成されていれば良い。また、複数の圧入孔74の全てにネジ孔部74Aが形成されていても良い。
【0033】
また、このようにしてボルト76の先端部がネジ孔部74Aに締め込まれることに伴って、複数の内ピン66の夫々の先端部が複数の圧入孔74に圧入され、これにより、複数の内ピン66の夫々の先端部が第二ハウジング42に固定される。
【0034】
図7に示されるように、ハブ26は、概略筒状のケース78と、このケース78に形成された開口部のうち他方の固定軸14側に位置する開口部を塞ぐカバー80とを有している。ケース78には、ロータ16、ステータ18、モータハウジング20、キャリア24、外歯歯車22、及び、内歯歯車28等が収容されている。また、このケース78に形成された開口部のうち一方の固定軸12側に位置する開口部には、軸受収容部82が形成されており、この軸受収容部82には、軸受84が収容されている。この軸受84は、一方の固定軸12に固定された前述のスペーサ46に対してケース78を回転可能に支持している。
【0035】
一方、カバー80の中央部には、軸受収容部86が形成されており、この軸受収容部86には、軸受88が収容されている。この軸受88は、他方の固定軸14に一体に形成されたキャリア24に対してカバー80を回転可能に支持している。また、このカバー80は、内歯歯車28の径方向外側に張り出した固定部90において内歯歯車28とボルト92により固定されている。さらに、このカバー80は、ボルト94によりケース78に固定されている。
【0036】
内歯歯車28は、前述した外歯歯車22及びキャリア24と共に減速機構である遊星歯車機構を構成しており、内周面に複数の内歯28A(図9参照)を有している。この内歯歯車28には、外歯歯車22が内接噛合されている。
【0037】
具体的には、図4に示されるように、外歯歯車22の外歯22Aの歯先円の直径は、内歯歯車28の内歯28Aの歯先円の直径よりも大とされている。外歯歯車22における内歯歯車28との噛み合わせ部に対する180°の位置で、外歯22Aの歯先が内歯28Aの歯先に対しわずかに離間する。
【0038】
この外歯歯車22は、出力軸34の軸線AL回りの回転に伴って、この軸線ALに対して偏心量axを維持したまま軸線AL回りに回転、すなわち公転するように、出力軸34に偏心軸36及び軸受62を介して支持されている。
【0039】
したがって、外歯歯車22は、出力軸34の軸線AL回りの回転によって軸線AL回りに公転されると共に、偏心軸36に対して、自軸(偏心軸線EL)回りの回転が許容される。
【0040】
図5(A)〜図5(E)には出力軸34が一回転するときの各部材の動きが示されている。図5(A)〜図5(E)に示されるように、外歯歯車22の伝導孔64には、他方の固定軸14と一体的に形成されたキャリア24(図8参照)に備えられた内ピン66が挿入されている。このため、外歯歯車22は、自転すること無く偏心量ax(図6参照)を維持したまま軸線AL回りに図中矢印E方向に回転、すなわち公転する。外歯歯車22が偏心運動しながら公転することで、内歯歯車28と外歯歯車22との噛み合い位置が変化する。これにより、内歯歯車28が図中矢印E方向に出力軸34の回転に対して減速されながら自転する。詳細には、出力軸34が一回転すると、図5(E)に示すH°(内歯28Aの一ピッチ分)だけ内歯歯車28が回転する。
【0041】
以上説明した駆動ユニット10では、図7に示されるように、ロータ16と共に出力軸34が回転すると、偏心軸36が回転する。外歯歯車22が偏心運動しながら公転することで、内歯歯車28と外歯歯車22との噛み合い位置が変化する。これにより、出力軸34の回転に対して減速されながら内歯歯車28と共にハブ26が回転する。ハブ26が回転することで、ハブ26に取り付けられた電動自転車100の前輪が回転する。これより、外歯歯車22の公転をハブ26の回転に変換する変換要素112は、内歯歯車28及びキャリア24(図7参照)を含んで構成されている。
【0042】
(要部構成)
次に、ロータ16について説明する。
【0043】
図1、図2、図3に示されるように、ロータ16は、環状の本体部96と、本体部96の中心線上に設けられた出力軸34と、出力軸34から出力軸34の径方向に放射状に延びると共に本体部96を支持する複数のロータブリッジ98とを備えている。
【0044】
本体部96は、本体部96の周方向に複数設けられた積層コア106と、積層コア106の周方向に形成された複数の収容孔109に収容された板状磁石108とを備えている。さらに、出力軸34の外周面には、出力軸34に固定された円筒状の支持部材102が設けられている。本体部96を本体部96の内周面側から支持する断面矩形状のロータブリッジ98は、出力軸34からこの支持部材102を介して出力軸34の径方向に放射状に延びるように複数設けられている。
【0045】
つまり、複数のロータブリッジ98は、本体部96と出力軸34との間に設けられた空隙104に配置されている。換言すれば、複数のロータブリッジ98は、出力軸34の軸方向に対して直交する方向から見て、軸方向において本体部96が配置される範囲内に設けられている。
【0046】
本実施形態では、ロータブリッジ98は、8本設けられ、出力軸34の周方向に等ピッチに配置されている。さらに、ロータブリッジ98は、幅寸法(図1に示すC寸法)が異なる(断面形状が異なる)3種類のロータブリッジ98A、98B、98Cに分けられる。
【0047】
具合的には、一番幅寸法が小さい(細い)ロータブリッジ98Aと、一番幅寸法が大きい(太い)ロータブリッジ98Cと、ロータブリッジ98Aの幅寸法とロータブリッジ98Cの幅寸法との間の幅寸法であるロータブリッジ98Bとに分けられる。換言すれば、ロータブリッジ98Aの質量が一番軽く、ロータブリッジ98Cの質量が一番重く、ロータブリッジ98Bの質量は、ロータブリッジ98Aの質量と、ロータブリッジ98Cの質量との間とされる。
【0048】
図1に示されるように、出力軸34の軸方向から見て、出力軸34の軸線ALを挟んで、偏心軸36の偏心軸線ELの反対側には、一番重い2本のロータブリッジ98Cが配置され、この2本のロータブリッジ98Cを挟むように、一対のロータブリッジ98Bが配置されている。そして、出力軸34の軸線ALを挟んで、ロータブリッジ98B、98Cの反対側には、一番軽いロータブリッジ98Aが配置されている。つまり、8本のロータブリッジ98A、98B、98Cは、出力軸34の回転に伴って外歯歯車22が偏心運動することにより生じる出力軸34の不釣合力を抑制するように配置されている。すなわち、出力軸34の回転に伴って外歯歯車22が偏心運動することにより生じる出力軸34の不釣合力を抑制する不釣合力抑制手段110は、ロータブリッジ98A、98B、98Cから構成される。
【0049】
(作用・効果)
このように、不釣合力抑制手段110を、ロータブリッジ98A、98B、98Cで構成させることで、出力軸34の不釣合力を抑制するための特別な部材(バランサー等)を設ける必要が無くなるため、駆動ユニット10を安価な構成とすることができる。
【0050】
また、出力軸34の不釣合力を抑制するための特別な部材を取り付けるための新たな取付部が必要とならないため、装置が大型化するのを抑制した上で、外歯歯車22が偏心運動することにより生じる出力軸34の不釣合力を抑制することができる。
【0051】
また、ロータブリッジ98の幅寸法(断面形状)を変えることでロータブリッジ98の夫々の質量が設定されるため、簡易な構成でロータブリッジ98の質量を設定する(変える)ことができる。
【0052】
また、複数のロータブリッジ98は、出力軸34の軸方向に対して直交する方向から見て、軸方向において本体部96が配置される範囲内に設けられているため、装置が軸方向に大型化するのを抑制することができる。
【0053】
また、出力軸34の不釣合力を抑制することで、稼働する駆動ユニット10の振動を抑制することができる。
【0054】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、他方の固定軸14の回転運動を停止(固定)させることで、内歯歯車28及びハブ26を回転させる構成となっているが、内歯歯車を固定させて他方の軸(固定軸)を回転させる構成としてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、ロータブリッジ98の幅寸法を変えることで、各ロータブリッジ98の質量を設定した(変えた)が、出力軸34の軸方向に沿ったロータブリッジ98の奥行寸法等を変えることで、各ロータブリッジの質量を設定して(変えて)もよい。
【0056】
<第2実施形態>
次ぎに、本発明の第2実施形態に係る駆動ユニットの一例を図12に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図12に示されるように、本実施形態では、ロータブリッジ98の寸法(質量)は、全て同一されており、それに替えて、出力軸34の回転に伴って外歯歯車22が偏心運動することにより生じる出力軸34の不釣合力を抑制する不釣合力抑制手段の一例としてのバランサー130が設けられている。
【0058】
詳細には、円弧状のバランサー130は、本体部96の内周面に沿って取り付けられ、出力軸34の軸方向に対して直交する方向から見て、軸方向において本体部96が配置される範囲内に設けられている。このように、バランサー130を配置することで、装置が軸方向に大型化するのを抑制することができる。
【0059】
その他の作用については、第1実施例と同一である。
【符号の説明】
【0060】
10・・・・駆動ユニット、16・・・・ロータ、18・・・・ステータ、22・・・・外歯歯車(公転要素の一例)、24・・・・キャリア、26・・・・ハブ(出力要素の一例)、28・・・・内歯歯車、34・・・・出力軸、36・・・・偏心軸、96・・・・本体部、98A・・・・ロータブリッジ、98B・・・・ロータブリッジ、98C・・・・ロータブリッジ、110・・・・不釣合力抑制手段、112・・・・変換要素、130・・・・バランサー(不釣合力抑制手段の一例)
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動力を生じさせる駆動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の実施例2には、遊星歯車減速装置による重心の偏りを補正するため(駆動軸の不釣合力を抑制するため)、バランサー(17)を駆動軸(20)に取り付ける構成や、回転子(19)の外周を削ったバランス修正部(22)を設ける構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平04−327047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の構造では、出力軸(駆動軸)の不釣合力を抑制するためにバランサーを駆動軸に取り付けるため、駆動軸にバランサーを取る付けるための新たな取付部が必要となり、装置が大型化されていた。
【0005】
本発明の課題は、装置が大型化するのを抑制した上で、出力軸の不釣合力を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る駆動ユニットは、環状の本体部と、前記本体部の中心線上に設けられた出力軸とを備えたロータと、環状に形成され、前記ロータに備えられた前記本体部の径方向外側に設けられたステータと、前記出力軸に対して偏心して設けられた偏心軸に回転可能に支持され、前記出力軸の回転に伴って前記出力軸の軸線回りに公転する公転要素と、前記公転要素の公転を出力要素の回転に変換する変換要素と、前記ロータの前記本体部と前記ロータの前記出力軸との間に設けられ、前記出力軸の回転に伴って前記公転要素が偏心運動することにより生じる前記出力軸の不釣合力を抑制する不釣合力抑制手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記構成によれば、ステータに対してロータが回転し、ロータに備えられた出力軸が回転する。さらに、出力軸に偏心状態で設けられた偏心軸に回転可能に支持された公転要素が、出力軸の軸線回りに偏心量を維持したまま公転する(偏心運動)。さらに、変換要素が、公転要素の公転を出力要素の回転に変換することで、出力軸の回転速度が減速される。
【0008】
ここで、ロータの本体部とロータの出力軸との間には、出力軸の回転に伴って公転要素が偏心運動することにより生じる出力軸の不釣合力を抑制する不釣合力抑制手段が設けられている。
【0009】
このように、不釣合力抑制手段をロータの本体部とロータの出力軸との間に設けることで、出力軸の不釣合力を抑制するための部材を取り付けるための新たな取付部が必要とならないため、装置が大型化するのを抑制した上で、出力軸の不釣合力を抑制することができる。
【0010】
本発明の請求項2に係る駆動ユニットは、請求項1に記載において、前記ロータは、前記出力軸から前記出力軸の径方向に放射状に延びて前記本体部を支持する複数のロータブリッジを備えており、前記不釣合力抑制手段は、前記出力軸の不釣合力を抑制するように夫々の質量が設定された複数の前記ロータブリッジから構成されることを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、出力軸から出力軸の径方向に放射状に延びるロータブリッジが、ロータの本体部を支持している。ここで、不釣合力抑制手段は、出力軸の不釣合力を抑制するように夫々の質量が設定された複数のロータブリッジから構成されている。
【0012】
このように、ロータブリッジが不釣合力抑制手段を構成することで、出力軸の不釣合力を抑制するための特別な部材(バランサー等)を設ける必要が無くなるため、駆動ユニットを安価な構成とすることができる。
【0013】
本発明の請求項3に係る駆動ユニットは、請求項2に記載において、前記ロータブリッジの質量は、前記ロータブリッジの断面形状を変えることで設定されることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、ロータブリッジの断面形状を変えることで夫々のロータブリッジの質量が設定されているため、簡易な構成でロータブリッジの質量を設定する(変える)ことができる。
【0015】
本発明の請求項4に係る駆動ユニットは、請求項1〜3の何れか1項に記載において、不釣合力抑制手段は、前記出力軸の軸方向に対して直交する方向から見て、前記軸方向において前記本体部が配置される範囲内に設けられることを特徴とする。
【0016】
上記構成によれば、不釣合力抑制手段は、出力軸の軸方向に対して直交する方向から見て、軸方向において本体部が配置される範囲内に設けられているため、装置が軸方向に大型化するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられたロータを示した正面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられたロータ及び外歯歯車を示した斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられたロータを示した斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられた外歯歯車と内歯歯車とを示した正面図である。
【図5】(A)(B)(C)(D)(E)本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられた外歯歯車と内歯歯車との動作を示した動作図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられたロータ及び外歯歯車を示した断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットの全体構成を示した断面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットの全体構成を示した分解斜視図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットに設けられた内歯歯車とカバー等を示した斜視図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットが電動自転車に取り付けられた状態を示した拡大斜視図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットが電動自転車に取り付けられた状態を示した斜視図である。
【図12】本発明の第2実施形態に係る駆動ユニットに設けられたロータを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の第1実施形態に係る駆動ユニットの一例を図1〜図11に従って説明する。
【0019】
(全体構成)
図10、図11に示されるように、駆動ユニット10は、電動自転車100の前輪の回転軸に固定され、電動自転車100の動力源として用いられる。
【0020】
図7に示されるように、駆動ユニット10は、一対の固定軸12,14と、ロータ16と、ステータ18と、モータハウジング20と、公転要素の一例としての外歯歯車22と、キャリア24と、出力要素の一例としてのハブ26と、内歯歯車28とを主要な構成として備えている。
【0021】
一対の固定軸12,14は、互いに同軸上に配置されている。この一対の固定軸12,14には、ネジ部12A,14Aが夫々形成されており、このネジ部12A,14Aには、ナット30,32が夫々締め込まれている。一方の固定軸12は、ナット30を用いて電動自転車100の一方のフレーム100Aに固定され、軸部材の一例としての他方の固定軸14は、ナット32を用いて電動自転車100の他方のフレーム100B(図10、図11参照)に固定されている。
【0022】
ロータ16は、後述するステータ18と共にブラシレスモータを構成している。このロータ16は、環状の本体部96と、一対の固定軸12,14の間であって、この一対の固定軸12,14と同軸上に設けられた出力軸34と、出力軸34から出力軸34の径方向に放射状に延びると共に本体部96を支持する複数のロータブリッジ98(図1参照)とを備えている。なお、ロータ16については詳細を後述する。
【0023】
ステータ18は、環状に形成されており、ロータ16に備えられた本体部96の径方向外側に設けられている。このロータ16及びステータ18を有して構成されたブラシレスモータでは、ステータ18に回転磁界が生じると、ロータ16とステータ18との間に吸引・反発力が作用し、ロータ16が回転するようになっている。
【0024】
モータハウジング20は、一方の固定軸12側からステータ18に取り付けられた第一ハウジング40と、他方の固定軸14側からステータ18に取り付けられた第二ハウジング42とを有している。この第一ハウジング40、ステータ18、及び、第二ハウジング42は、ボルト44により固定されている。さらに、第一ハウジング40及びステータ18は、ボルト45により固定されている。
【0025】
また、第一ハウジング40は、一方の固定軸12側に底板を有する扁平容器状に形成されている。この第一ハウジング40の底板の外側には、カップ状のスペーサ46がボルト48により固定されている。このスペーサ46の中央部には、筒状部50が形成され、この筒状部50には、一方の固定軸12が圧入されて固定されている。
【0026】
一方、第二ハウジング42は、円盤状に形成されている。この第二ハウジング42は、対向壁部の一例であり、後述するキャリア24に備えられたキャリア本体68(図8参照)と出力軸34の軸方向に対向している。この第二ハウジング42には、収容凹部52が形成されている。この収容凹部52は、キャリア24側に開口する凹形状とされており、ステータ18の内側に挿入されている。
【0027】
また、この収容凹部52の底板の中央部には、円環状の軸受収容部54が形成されており、この軸受収容部54には、軸受56が収容されている。同様に、前述の第一ハウジング40の底板の中央部には、軸受収容部58が形成されており、この軸受収容部58には、軸受60が収容されている。この一対の軸受56,60は、出力軸34の軸方向両端部を回転可能に支持している。
【0028】
この出力軸34に対して他方の固定軸14側には、出力軸34に対して偏心量ax(図6参照)だけ偏心した偏心軸36が設けられている。この偏心軸36は、セレーション結合部38により出力軸34と結合されており、出力軸34と軸方向の反対側に突出する軸部36Aを有している。この軸部36Aは、出力軸34と同軸上に形成されている。
【0029】
所謂遊星歯車である外歯歯車22は、軸受62を介して偏心軸36に回転可能に支持されている。図8に示されるように、この外歯歯車22の外周面には、複数の外歯22Aが形成されている。また、この外歯歯車22には、回転方向に並んだ複数の伝導孔64が形成されている。図7に示されるように、この外歯歯車22は、後述する内歯歯車28と共に、収容凹部52に収容されている。
【0030】
キャリア24は、複数の伝導孔64に偏心状態で挿入される複数の所謂キャリアピンである内ピン66と、この複数の内ピン66を支持する円盤状のキャリア本体68とを備えている。さらに、キャリア本体68は、他方の固定軸14と一体に形成されることで、他方の固定軸14は、キャリア本体68に固定されている。
【0031】
図7に示されるように、このキャリア本体68と軸部36Aとの間には、軸受70が設けられている。また、図8に示されるように、このキャリア24には、複数の内ピン66のうちの幾つかの内ピン66と同軸上に、この内ピン66の軸方向に貫通する貫通孔72が形成されている。
【0032】
一方、このキャリア本体68と対向する前述した第二ハウジング42には、複数の内ピン66の夫々の先端部が圧入(軽圧入)される複数の圧入孔74が形成されている。この複数の圧入孔74のうち貫通孔72と同軸上に位置する圧入孔74には、ネジ孔部74A(図7参照)が形成されている。そして、このキャリア本体68及び第二ハウジング42は、貫通孔72にボルト76が挿通されると共に、このボルト76の先端部がネジ孔部74Aに締め込まれることで互いに固定される。なお、貫通孔72は、複数の内ピン66のうち少なくともいずれかに形成されていれば良い。また、複数の圧入孔74の全てにネジ孔部74Aが形成されていても良い。
【0033】
また、このようにしてボルト76の先端部がネジ孔部74Aに締め込まれることに伴って、複数の内ピン66の夫々の先端部が複数の圧入孔74に圧入され、これにより、複数の内ピン66の夫々の先端部が第二ハウジング42に固定される。
【0034】
図7に示されるように、ハブ26は、概略筒状のケース78と、このケース78に形成された開口部のうち他方の固定軸14側に位置する開口部を塞ぐカバー80とを有している。ケース78には、ロータ16、ステータ18、モータハウジング20、キャリア24、外歯歯車22、及び、内歯歯車28等が収容されている。また、このケース78に形成された開口部のうち一方の固定軸12側に位置する開口部には、軸受収容部82が形成されており、この軸受収容部82には、軸受84が収容されている。この軸受84は、一方の固定軸12に固定された前述のスペーサ46に対してケース78を回転可能に支持している。
【0035】
一方、カバー80の中央部には、軸受収容部86が形成されており、この軸受収容部86には、軸受88が収容されている。この軸受88は、他方の固定軸14に一体に形成されたキャリア24に対してカバー80を回転可能に支持している。また、このカバー80は、内歯歯車28の径方向外側に張り出した固定部90において内歯歯車28とボルト92により固定されている。さらに、このカバー80は、ボルト94によりケース78に固定されている。
【0036】
内歯歯車28は、前述した外歯歯車22及びキャリア24と共に減速機構である遊星歯車機構を構成しており、内周面に複数の内歯28A(図9参照)を有している。この内歯歯車28には、外歯歯車22が内接噛合されている。
【0037】
具体的には、図4に示されるように、外歯歯車22の外歯22Aの歯先円の直径は、内歯歯車28の内歯28Aの歯先円の直径よりも大とされている。外歯歯車22における内歯歯車28との噛み合わせ部に対する180°の位置で、外歯22Aの歯先が内歯28Aの歯先に対しわずかに離間する。
【0038】
この外歯歯車22は、出力軸34の軸線AL回りの回転に伴って、この軸線ALに対して偏心量axを維持したまま軸線AL回りに回転、すなわち公転するように、出力軸34に偏心軸36及び軸受62を介して支持されている。
【0039】
したがって、外歯歯車22は、出力軸34の軸線AL回りの回転によって軸線AL回りに公転されると共に、偏心軸36に対して、自軸(偏心軸線EL)回りの回転が許容される。
【0040】
図5(A)〜図5(E)には出力軸34が一回転するときの各部材の動きが示されている。図5(A)〜図5(E)に示されるように、外歯歯車22の伝導孔64には、他方の固定軸14と一体的に形成されたキャリア24(図8参照)に備えられた内ピン66が挿入されている。このため、外歯歯車22は、自転すること無く偏心量ax(図6参照)を維持したまま軸線AL回りに図中矢印E方向に回転、すなわち公転する。外歯歯車22が偏心運動しながら公転することで、内歯歯車28と外歯歯車22との噛み合い位置が変化する。これにより、内歯歯車28が図中矢印E方向に出力軸34の回転に対して減速されながら自転する。詳細には、出力軸34が一回転すると、図5(E)に示すH°(内歯28Aの一ピッチ分)だけ内歯歯車28が回転する。
【0041】
以上説明した駆動ユニット10では、図7に示されるように、ロータ16と共に出力軸34が回転すると、偏心軸36が回転する。外歯歯車22が偏心運動しながら公転することで、内歯歯車28と外歯歯車22との噛み合い位置が変化する。これにより、出力軸34の回転に対して減速されながら内歯歯車28と共にハブ26が回転する。ハブ26が回転することで、ハブ26に取り付けられた電動自転車100の前輪が回転する。これより、外歯歯車22の公転をハブ26の回転に変換する変換要素112は、内歯歯車28及びキャリア24(図7参照)を含んで構成されている。
【0042】
(要部構成)
次に、ロータ16について説明する。
【0043】
図1、図2、図3に示されるように、ロータ16は、環状の本体部96と、本体部96の中心線上に設けられた出力軸34と、出力軸34から出力軸34の径方向に放射状に延びると共に本体部96を支持する複数のロータブリッジ98とを備えている。
【0044】
本体部96は、本体部96の周方向に複数設けられた積層コア106と、積層コア106の周方向に形成された複数の収容孔109に収容された板状磁石108とを備えている。さらに、出力軸34の外周面には、出力軸34に固定された円筒状の支持部材102が設けられている。本体部96を本体部96の内周面側から支持する断面矩形状のロータブリッジ98は、出力軸34からこの支持部材102を介して出力軸34の径方向に放射状に延びるように複数設けられている。
【0045】
つまり、複数のロータブリッジ98は、本体部96と出力軸34との間に設けられた空隙104に配置されている。換言すれば、複数のロータブリッジ98は、出力軸34の軸方向に対して直交する方向から見て、軸方向において本体部96が配置される範囲内に設けられている。
【0046】
本実施形態では、ロータブリッジ98は、8本設けられ、出力軸34の周方向に等ピッチに配置されている。さらに、ロータブリッジ98は、幅寸法(図1に示すC寸法)が異なる(断面形状が異なる)3種類のロータブリッジ98A、98B、98Cに分けられる。
【0047】
具合的には、一番幅寸法が小さい(細い)ロータブリッジ98Aと、一番幅寸法が大きい(太い)ロータブリッジ98Cと、ロータブリッジ98Aの幅寸法とロータブリッジ98Cの幅寸法との間の幅寸法であるロータブリッジ98Bとに分けられる。換言すれば、ロータブリッジ98Aの質量が一番軽く、ロータブリッジ98Cの質量が一番重く、ロータブリッジ98Bの質量は、ロータブリッジ98Aの質量と、ロータブリッジ98Cの質量との間とされる。
【0048】
図1に示されるように、出力軸34の軸方向から見て、出力軸34の軸線ALを挟んで、偏心軸36の偏心軸線ELの反対側には、一番重い2本のロータブリッジ98Cが配置され、この2本のロータブリッジ98Cを挟むように、一対のロータブリッジ98Bが配置されている。そして、出力軸34の軸線ALを挟んで、ロータブリッジ98B、98Cの反対側には、一番軽いロータブリッジ98Aが配置されている。つまり、8本のロータブリッジ98A、98B、98Cは、出力軸34の回転に伴って外歯歯車22が偏心運動することにより生じる出力軸34の不釣合力を抑制するように配置されている。すなわち、出力軸34の回転に伴って外歯歯車22が偏心運動することにより生じる出力軸34の不釣合力を抑制する不釣合力抑制手段110は、ロータブリッジ98A、98B、98Cから構成される。
【0049】
(作用・効果)
このように、不釣合力抑制手段110を、ロータブリッジ98A、98B、98Cで構成させることで、出力軸34の不釣合力を抑制するための特別な部材(バランサー等)を設ける必要が無くなるため、駆動ユニット10を安価な構成とすることができる。
【0050】
また、出力軸34の不釣合力を抑制するための特別な部材を取り付けるための新たな取付部が必要とならないため、装置が大型化するのを抑制した上で、外歯歯車22が偏心運動することにより生じる出力軸34の不釣合力を抑制することができる。
【0051】
また、ロータブリッジ98の幅寸法(断面形状)を変えることでロータブリッジ98の夫々の質量が設定されるため、簡易な構成でロータブリッジ98の質量を設定する(変える)ことができる。
【0052】
また、複数のロータブリッジ98は、出力軸34の軸方向に対して直交する方向から見て、軸方向において本体部96が配置される範囲内に設けられているため、装置が軸方向に大型化するのを抑制することができる。
【0053】
また、出力軸34の不釣合力を抑制することで、稼働する駆動ユニット10の振動を抑制することができる。
【0054】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、他方の固定軸14の回転運動を停止(固定)させることで、内歯歯車28及びハブ26を回転させる構成となっているが、内歯歯車を固定させて他方の軸(固定軸)を回転させる構成としてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、ロータブリッジ98の幅寸法を変えることで、各ロータブリッジ98の質量を設定した(変えた)が、出力軸34の軸方向に沿ったロータブリッジ98の奥行寸法等を変えることで、各ロータブリッジの質量を設定して(変えて)もよい。
【0056】
<第2実施形態>
次ぎに、本発明の第2実施形態に係る駆動ユニットの一例を図12に従って説明する。なお、第1実施形態と同一部材については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図12に示されるように、本実施形態では、ロータブリッジ98の寸法(質量)は、全て同一されており、それに替えて、出力軸34の回転に伴って外歯歯車22が偏心運動することにより生じる出力軸34の不釣合力を抑制する不釣合力抑制手段の一例としてのバランサー130が設けられている。
【0058】
詳細には、円弧状のバランサー130は、本体部96の内周面に沿って取り付けられ、出力軸34の軸方向に対して直交する方向から見て、軸方向において本体部96が配置される範囲内に設けられている。このように、バランサー130を配置することで、装置が軸方向に大型化するのを抑制することができる。
【0059】
その他の作用については、第1実施例と同一である。
【符号の説明】
【0060】
10・・・・駆動ユニット、16・・・・ロータ、18・・・・ステータ、22・・・・外歯歯車(公転要素の一例)、24・・・・キャリア、26・・・・ハブ(出力要素の一例)、28・・・・内歯歯車、34・・・・出力軸、36・・・・偏心軸、96・・・・本体部、98A・・・・ロータブリッジ、98B・・・・ロータブリッジ、98C・・・・ロータブリッジ、110・・・・不釣合力抑制手段、112・・・・変換要素、130・・・・バランサー(不釣合力抑制手段の一例)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の本体部と、前記本体部の中心線上に設けられた出力軸とを備えたロータと、
環状に形成され、前記ロータに備えられた前記本体部の径方向外側に設けられたステータと、
前記出力軸に対して偏心して設けられた偏心軸に回転可能に支持され、前記出力軸の回転に伴って前記出力軸の軸線回りに公転する公転要素と、
前記公転要素の公転を出力要素の回転に変換する変換要素と、
前記ロータの前記本体部と前記ロータの前記出力軸との間に設けられ、前記出力軸の回転に伴って前記公転要素が偏心運動することにより生じる前記出力軸の不釣合力を抑制する不釣合力抑制手段と、
を備えた駆動ユニット。
【請求項2】
前記ロータは、前記出力軸から前記出力軸の径方向に放射状に延びて前記本体部を支持する複数のロータブリッジを備えており、
前記不釣合力抑制手段は、前記出力軸の不釣合力を抑制するように夫々の質量が設定された複数の前記ロータブリッジから構成される請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記ロータブリッジの質量は、前記ロータブリッジの断面形状を変えることで設定される請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
不釣合力抑制手段は、前記出力軸の軸方向に対して直交する方向から見て、前記軸方向において前記本体部が配置される範囲内に設けられる請求項1〜3の何れか1項に記載の駆動ユニット。
【請求項1】
環状の本体部と、前記本体部の中心線上に設けられた出力軸とを備えたロータと、
環状に形成され、前記ロータに備えられた前記本体部の径方向外側に設けられたステータと、
前記出力軸に対して偏心して設けられた偏心軸に回転可能に支持され、前記出力軸の回転に伴って前記出力軸の軸線回りに公転する公転要素と、
前記公転要素の公転を出力要素の回転に変換する変換要素と、
前記ロータの前記本体部と前記ロータの前記出力軸との間に設けられ、前記出力軸の回転に伴って前記公転要素が偏心運動することにより生じる前記出力軸の不釣合力を抑制する不釣合力抑制手段と、
を備えた駆動ユニット。
【請求項2】
前記ロータは、前記出力軸から前記出力軸の径方向に放射状に延びて前記本体部を支持する複数のロータブリッジを備えており、
前記不釣合力抑制手段は、前記出力軸の不釣合力を抑制するように夫々の質量が設定された複数の前記ロータブリッジから構成される請求項1に記載の駆動ユニット。
【請求項3】
前記ロータブリッジの質量は、前記ロータブリッジの断面形状を変えることで設定される請求項2に記載の駆動ユニット。
【請求項4】
不釣合力抑制手段は、前記出力軸の軸方向に対して直交する方向から見て、前記軸方向において前記本体部が配置される範囲内に設けられる請求項1〜3の何れか1項に記載の駆動ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−83298(P2013−83298A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223207(P2011−223207)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(000101352)アスモ株式会社 (1,622)
【Fターム(参考)】
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