説明

駆動力伝達装置

【課題】第1の伝達ギヤの径を小さくすることを可能とする動力伝達装置を提供する。
【解決手段】分配ケース9に回転自在に支持され相互に併設されて第1,第2の伝達ギヤ39,41により連動可能な連結中空軸33及び傾斜伝達軸35と、分配ケース9に回転自在に支持され第1,第2の交差噛合ギヤ43,45により傾斜伝達軸35に対して連動し連結中空軸33に対し増速して出力可能とした後輪側出力軸37とを備え、第2の伝達ギヤ41をテーパー・ギヤで形成して第1の伝達ギヤ39に傾斜噛合いさせ、第1,第2の交差噛合ギヤ43,45の回転軸芯の交角を直角より小さくし、傾斜伝達軸35を、連結中空軸33に対し傾斜を持って併設配置し、第1の交差噛合ギヤ43と連結中空軸33との軸間距離を確保することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスファ装置等に供される動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動力伝達装置の構造として、特許文献1に記載のような4輪駆動車のトランスファ装置がある。
【0003】
このトランスファ装置は、フロント・デファレンシャル装置への入力を後輪側へ配分出力するものであり、ケースに連結中空軸である第2の回転部材と伝動中間軸である第3の回転部材と後輪側出力軸である第4の回転部材とが回転自在に支持されている。第3の回転部材に対して第4の回転部材は直交配置され、第2の回転部材に対して第3の回転部材は平行に配置されている。
【0004】
第2の回転部材及び第3の回転部材間は、平行噛合ギヤである第1,第2のギヤの噛み合いにより駆動力伝達が行われ、第3の回転部材及び第4の回転部材間は、直交噛合ギヤである第3,第4のギヤの噛み合いにより駆動力伝達が行われる。
【0005】
従って、トランスファ装置により後輪側への駆動力配分を行い、4輪駆動走行ができる。
【0006】
しかし、上記トランスファ装置では、増速の必要からドライブ・ギヤである第1のギヤが第2のギヤに対して大径に形成されるため、第1のギヤの外周が、ドライブ・シャフトの軸心に対して前方のエンジン側へ大きく突出し、ケースとエンジンとの間のクリアランスが取り難いという問題があった。
【0007】
これに対し、第1のギヤの径を小さくすると、エンジン側への突出を押さえ、ケースとエンジンとの間のクリアランスが取り易くなる。
【0008】
しかし、第1のギヤが小さくなると第3の回転部材の位置が第2の回転部材側へ寄ることになり、第3の回転部材の第3のギヤが第2の回転部材に干渉するため、第1のギヤの径を単純に小さくすることはできなかった。
【0009】
一方、第1のギヤの径を小さくすると共に、第3の回転部材の第2のギヤの径を増大することで、第3の回転部材の軸心位置の移動を避けることはできる。
【0010】
しかし、第1のギヤの径を小さくすると共に、第2のギヤの径を増大すると、第2の回転部材及び第4の回転部材間全体としての増速比を確保するために、第3のギヤの径を大きくする必要があり、前記同様に第2の回転部材に干渉することになる。
【0011】
このため、第1のギヤの径を単純に小さくすることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2008−208947公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
解決しようとする問題点は、ケースの突出を抑える必要があっても、ドライブ・ギヤの径を単純に小さくすることができなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、ドライブ・ギヤの径を小さくしてケースの突出を抑制することを可能とするため、ケースに回転自在に支持され相互に併設されて第1,第2の伝達ギヤにより連動可能な第1,第2の伝達軸と、前記ケースに回転自在に支持され第1,第2の交差噛合ギヤにより前記第2の伝達軸に対して連動し前記第1の伝達軸に対し増速して出力可能とした第3の伝達軸とを備え、前記第2の伝達軸を、前記第1の伝達軸に対し傾斜を持って併設配置し、前記第1の交差噛合ギヤと前記第1の伝達軸との軸間距離を確保することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の動力伝達装置は、上記構成であり、第1の交差噛合ギヤと前記第1の伝達軸との軸間距離を確保し、第1の伝達軸の第1の伝達ギヤの径を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】4輪駆動車のスケルトン平面図である。(実施例1)
【図2】トランスファ装置の平断面図である。(実施例1)
【図3】エンジンとの関係を示すトランスファ装置の側面図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0017】
ドライブ・ギヤの径を小さくすることを可能とするという目的を、第2の伝達軸を、第1の伝達軸に対し傾斜を持って併設配置することにより実現した。
【実施例1】
【0018】
[四輪駆動車の全体構成]
図1は4輪駆動車のスケルトン平面図である。
【0019】
図1のように、本実施例の動力伝達装置であるトランスファ装置1は、前輪側の中間出力軸3の外周に配置され、フロント・デファレンシャル装置5の後輪出力側に連動結合されている。ケースとしてトランスファ装置1の分配ケース9は、トランス・ミッション11側のベル・ハウジング13に取り付けられている。
【0020】
ベル・ハウジング13内には、前記フロント・デファレンシャル装置5が支持されている。フロント・デファレンシャル装置5は、トランス・ミッション11からリング・ギヤ15へ駆動入力を受ける。トランス・ミッション11の入力軸へは、エンジン17から駆動入力が行われる。
【0021】
トランス・ミッション11の入力軸には、モーター・ジェネレータ19が結合され、加速時等のエンジン17に対するアシスト、或いは減速時等の発電を行わせることができる
フロント・デファレンシャル装置5の出力部である左右のサイド・ギヤには、中間出力軸21,3がそれぞれ結合されている。この各中間出力軸21,3が左右の前輪車軸23,25に結合され、フロント・デファレンシャル装置5と前輪車軸23,25との間を接続する。前輪車軸23,25は、左右の前輪29,31に連動連結されている。
【0022】
従って、各中間出力軸21,3によりフロント・デファレンシャル装置5の駆動出力を前輪車軸23,25を介して左右の前輪29,31へ伝達する。
【0023】
トランスファ装置1の分配ケース9には、前記一方の中間出力軸3が貫通配置されている。分配ケース9内には、第1の伝達軸としての連結中空軸33と、傾斜配置された中実の第2の伝達軸である傾斜伝達軸35と、第3の伝達軸である後輪側出力軸37とが設けられている。
【0024】
連結中空軸33にはドライブ・ギヤである第1の伝達ギヤ39が設けられ、この第1の伝達ギヤ39は、傾斜伝達軸35の一端側に取り付けられた第2の伝達ギヤ41に噛み合っている。傾斜伝達軸35の他端側には第1の交差噛合ギヤ43が取り付けられ、この第1の交差噛合ギヤ43は、後輪側出力軸37に取り付けられた第2の交差噛合ギヤ45に噛み合っている。
【0025】
後輪側出力軸37には、ユニバーサル・ジョイント47を介してプロペラ・シャフト49が結合されている。プロペラ・シャフト49には、ユニバーサル・ジョイント51及び4WD用のオン・デマンドのトルク伝達カップリング53を介してドライブ・ピニオン・シャフト55が結合されている。ドライブ・ピニオン・シャフト55のドライブ・ピニオン・ギヤ57は、リヤ・デファレンシャル装置59のリング・ギヤ61に噛み合っている。
【0026】
リヤ・デファレンシャル装置59は、キャリヤ・ケース63に支持されている。リヤ・デファレンシャル装置59には、左右の後輪車軸65,67を介して左右の後輪69,71が連動連結されている。
【0027】
従って、エンジン17又はエンジン17及びモーター・ジェネレータ19からトランス・ミッション11を介してフロント・デファレンシャル装置5のリング・ギヤ15にトルクが入力されると、一方では中間出力軸21,3及び前輪車軸23,25を介して左右の前輪29,31へトルク伝達が行われ、他方では、連結中空軸33、第1の伝達ギヤ39、第2の伝達ギヤ41を介して傾斜伝達軸35へトルク伝達が行われる。傾斜伝達軸35からは、第1、第2の交差噛合ギヤ43、45を介して後輪側出力軸37へトルク伝達が行われる。
【0028】
後輪側出力軸37からは、ユニバーサル・ジョイント47、プロペラ・シャフト49、ユニバーサル・ジョイント51、トルク伝達カップリング53、ドライブ・ピニオン・シャフト55、ドライブ・ピニオン・ギヤ57を介して、リヤ・デファレンシャル装置59のリング・ギヤ61にトルク伝達が行われる。リヤ・デファレンシャル装置59からは、左右の後輪車軸65,67を介して左右の後輪69,71へトルク伝達が行われる。
【0029】
このトルク伝達による、前後輪29,31,69,71によるオン・デマンドの4輪駆動状態で走行することができる。
[トランスファ装置]
図2はトランスファ装置の平断面図、図3は、エンジンとの関係を示すトランスファ装置の側面図である。
【0030】
トランスファ装置1の分配ケース9は、連結中空軸33及び傾斜伝達軸35を回転自在に支持する第1のケース部分73と後輪側出力軸37を回転自在に支持する第2のケース部分75とからなっている。第1のケース部分73は、ケース本体77及びケース・カバー79からなっている。
【0031】
ケース本体77に合わせ面81が設けられ、この合わせ面81を含む締結部として本体側締結部83が複数設けられている。この複数の本体側締結部83は、連結中空軸33及び傾斜伝達軸35を囲むように配置されている。ケース・カバー79にも対応する合わせ面85及びカバー側締結部87が形成されている。ケース・カバー79の合わせ面85がケース本体77の合わせ面81に突き合わされて締結部83,87がボルト89により締結され、ケース本体77に対するケース・カバー79の固定が行われている。
【0032】
合わせ面81,85は、連結中空軸33側と傾斜伝達軸35側とでそれぞれの軸に直交するように形成され、各軸側相互間で平面視の図2において傾斜するように形成されている。連結中空軸33側端の合わせ面81a,85aに対して傾斜伝達軸35側端の合わせ面81b,85bは、軸方向外側へオフセットするように位置している。
【0033】
前記第1のケース部分73は、第1,第2の収容部89,91を形成するものであり、ケース本体77の外側には、ベル・ハウジング13へ取り付けるための上下の取付ブラケット部93,95が形成されている。この取付ブラケット部93,95には、ケース側取付締結部97が形成されている。
【0034】
取付ブラケット部93のケース側取付締結部97は、傾斜伝達軸35の軸心を跨ぐようにして上部に配置されている。
【0035】
このため、大径の第1の交差噛合ギヤ43及び第2の伝達ギヤ41を取り付けた重量のある傾斜伝達軸35の部分で分配ケース9を支持させることができ、傾斜配置された傾斜伝達軸35の確実な支持により音振動の抑制等を図ることができる。
【0036】
しかも、取付ブラケット部95のケース側取付締結部97は、傾斜伝達軸35の軸心の下部側に配置されている。
【0037】
このため、重量があると共に傾斜配置された傾斜伝達軸35側の支持を取付ブラケット部95により補強することができ、音振動の抑制等を図ることができる。
【0038】
取付ブラケット部93,95は、トランス・ミッション側のベル・ハウジング13の取付部に突き合わされ、ケース側取付締結部97が静止側であるベル・ハウジング13の締結部にボルトなどにより締結されることでトランスファ装置19が取り付けられる。
【0039】
第1の収容部89は、連結中空軸33及び第1の伝達ギヤ39を収容する。第2の収容部91は、傾斜伝達軸35、第2の伝達ギヤ41、及び第1,第2の交差噛合ギヤ43,45を収容する。
【0040】
第1の収容部89では、第1の伝達ギヤ39の軸方向一側において軸受支持部99及びシール支持部101がケース本体77に設けられ、第1の伝達ギヤ39の軸方向他側において軸受支持部103及びシール支持部105がケース・カバー79に設けられている。
【0041】
軸受支持部99,103に、連結中空軸33が、ボール・ベアリング107,109により回転自在に支持されている。ボール・ベアリング107,109間において分配ケース9にギヤ収容部110が形成され、第1の伝達ギヤ39を収容している。ギヤ収容部110の断面は、分配ケース9の外壁が円筒の一部を成すように形成され、このギヤ収容部110の円筒状の外壁9aに、前記複数の本体側締結部83の一部が配置されている。
【0042】
第1の収容部89のシール支持部101及びシール支持部105内周には、シールとしてオイル・シール111a,111b,113が取り付けられ、このオイル・シール111a,111b,113は、連結中空軸33外周に密接し、それぞれ相対摺動可能となっている。第1の収容部89の一端部外周には、シールとしてオー・リング115が支持されている。
【0043】
連結中空軸33の一端側外周には、スプライン部117が形成され、スプライン部117は、フロント・デファレンシャル装置5のデフ・ケースにスプライン係合されている。連結中空軸33の中間部一側には、径方向の凹部33aが形成され、同中間部他側には、第1の伝達ギヤ39が一体に形成されている。第1の伝達ギヤ39は、例えばインボリュート歯型の平行噛合いギヤである。連結中空軸33の他端側内周には、オイル・シール119が設けられ、中間出力軸3外周に密接している。
【0044】
第2の収容部91は、傾斜伝達軸35の一端側においてケース本体77に閉じ壁部121を有し、傾斜伝達軸35の他端側においてケース・カバー79に閉じ壁部123有している。これら閉じ壁部121,123は、連結中空軸33の軸心に対して傾斜している。閉じ壁部121は、第1の収容部89側のシール支持部101外周部に結合されている。閉じ壁部123は、第1の収容部89側の軸受支持部103外周部に結合されている。
【0045】
閉じ壁部121には、シール支持部101に近接して軸受支持部125が形成され、閉じ壁部123には、内側へ突出した軸受支持部127が形成されている。
【0046】
軸受支持部125,127に、傾斜伝達軸35の両端側がテーパー・ローラー・ベアリング129,131を介して回転自在に支持されている。
【0047】
したがって、傾斜伝達軸35は、連結中空軸33に対し傾斜を持って併設配置される。
【0048】
傾斜伝達軸35には、第2の伝達ギヤ41が一体に形成され、第1の交差噛合ギヤ43がスプライン係合している。
【0049】
第2の伝達ギヤ41は、インボリュート歯型のテーパー・ギヤで形成され、前記第1の伝達ギヤ39に傾斜して噛み合っている。第2の伝達ギヤ41は、第1の伝達ギヤ39よりも小径に形成され、連結中空軸33から傾斜伝達軸35への増速ギヤ機構をなしている。
【0050】
第1の交差噛合ギヤ43は、第2の交差噛合ギヤ45と共にハイポイド・ギヤで形成され、第1,第2の交差噛合ギヤ43,45の軸心の交差角は、傾斜伝達軸35の傾斜に応じて直角よりも小さくなっている。第1の交差噛合ギヤ43は、第2の交差噛合ギヤ45よりも大径に形成され、傾斜伝達軸35から後輪側出力軸37への増速ギヤ機構をなしている。
【0051】
傾斜伝達軸35のテーパー・ローラー・ベアリング129による支持は、第1の交差噛合ギヤ43のボス部43aを介して行われている。この支持状態で第1の交差噛合ギヤ45の外周は、連結中空軸33の凹部33aに径方向で対向している。
【0052】
前記第2のケース部分75は、後輪側出力軸37を支持するものであり、一端が第1のケース部分73の開口133に嵌合して組み付けられ、ボルト134により締結固定されている。第2のケース部分75の一端部外周には、オー・リング135が取り付けられ、開口133内周に密接している。
【0053】
この第2のケース部分75には、軸受支持部137,139が設けられ、外端部には、シール支持部141が設けられている。軸受支持部137,139には、テーパー・ローラー・ベアリング143,145を介して前記後輪側出力軸37が回転自在に支持されている。テーパー・ローラー・ベアリング145は、後輪側出力軸37に螺合するナット147によりフランジ部材149を介して締結され、テーパー・ローラー・ベアリング143,145にプリ・ロードが付与されている。フランジ部材149は、後輪側出力軸37にスプライン結合されている。
【0054】
シール支持部141には、オイル・シール151が取り付けられ、このオイル・シール151は、フランジ部材149外周に密接し、相対摺動可能となっている。フランジ部材149には、ダスト・カバー153が取り付けられ、ダスト・カバー153の縁部は、第2のケース部分75の外縁部に形成された凹部155に遊嵌している。
【0055】
[作用効果]
本発明実施例のトランスファー装置1は、分配ケース9に回転自在に支持され相互に併設されて第1,第2の伝達ギヤ39,41により連動可能な連結中空軸33及び傾斜伝達軸35と、分配ケース9に回転自在に支持され第1,第2の交差噛合ギヤ43,45により傾斜伝達軸35に対して連動し連結中空軸33に対し増速して出力可能とした後輪側出力軸37とを備え、第2の伝達ギヤ41をテーパー・ギヤで形成して第1の伝達ギヤ39に傾斜噛合いさせ、第1,第2の交差噛合ギヤ43,45の回転軸芯の交角を直角より小さくしている。
【0056】
そして、傾斜伝達軸35を連結中空軸33に対し傾斜を持って併設配置し、第1の交差噛合ギヤ43と連結中空軸33との軸間距離を確保する。
【0057】
このため、第1の交差噛合ギヤ43と連結中空軸33との軸間距離を確保し、連結中空軸33の第1の伝達ギヤ39の径を小さくすることができる。
【0058】
第1の伝達ギヤ39の径を小さくすると、締結部83,87のエンジン17側への突出寸法も小さくすることが可能となり、図3のように、エンジン17側との間のクリアランスを容易に確保することができる。
【0059】
連結中空軸39に凹部39aを形成しているので、傾斜伝達軸35の傾斜配置と相俟って、第1の伝達ギヤ39の径をより小さくすると共に第1の交差噛合ギヤ43の径を大きくすることができ、連結中空軸33及び後輪側出力軸37間の増速比を確保しながら、締結部83,87のエンジン17側への突出寸法も小さくすることが可能となる。
【0060】
第1の交差噛合ギヤ43の径を大きくすることができるので、ギヤ43の強度を向上させることができる。
【0061】
本願実施例1の説明においては、第2の伝達ギヤ41をテーパー・ギヤとして説明した。
【0062】
第2の伝動軸を、第1の伝動軸に対して傾斜を持って併設配置する場合には、互いの軸間で連動する第1,第2の伝達ギヤは、噛合い可能な歯型形状を各々備える必要がある。
【0063】
実施例1は、それらの歯型形状の一例を示すものであるが、他の実施例も付記しておく。
【0064】
他の一例としては、第1,第2の伝達ギヤを共にテーパー・ギヤとすることもできる。この場合には、第2の伝達ギヤのみで、第2の伝動軸の傾斜に対応した歯型を形成せずに、第1,第2の伝達ギヤのテーパー形状で噛合い歯面を適合させることができる。
【0065】
他に、第1,第2の伝達ギヤを良好に噛合わせるために、それぞれの伝達ギヤの歯すじは、スパー又はヘリカル等から適宜選択して形成され、歯型の転位量を設定したり、歯面にはクラウニングなどの歯当り補正を施たりすることもできる。
【0066】
本願発明においては、「テーパー・ギヤ」を技術用語として用いているが、他に「コニカル・ギヤ」と呼ばれることもある。
【0067】
さらに、本願発明においては、第1の伝動軸に対して傾斜を持って併設配置され第2の伝動軸を備え、第1,第2の伝動軸間に連動配置された第1,第2の伝達ギヤに一対のねじ歯車を用いることもできる。
【符号の説明】
【0068】
1 トランスファ装置(動力伝達装置)
9 分配ケース(ケース)
9a 外壁
33 連結中空軸(第1の伝達軸)
35 傾斜伝達軸(第2の伝達軸)
37 後輪側出力軸(第3の伝達軸)
39 第1の伝達ギヤ
41 第2の伝達ギヤ
83 ケース側締結部(締結部)
87 カバー側締結部(締結部)
110 ギヤ収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに回転自在に支持され相互に併設されて第1,第2の伝達ギヤにより連動可能な第1,第2の伝達軸と、
前記ケースに回転自在に支持され第1,第2の交差噛合ギヤにより前記第2の伝達軸に対して連動し前記第1の伝達軸に対し増速して出力可能とした第3の伝達軸とを備え、
前記第2の伝達軸を、前記第1の伝達軸に対し傾斜を持って併設配置し、
前記第1の交差噛合ギヤと前記第1の伝達軸との軸間距離を確保する、
ことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1記載の動力伝達装置であって、
前記第2の伝達ギヤをテーパー・ギヤとした、
ことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の動力伝達装置であって、
前記第1の交差噛合ギヤの外周で前記第1の伝達軸に凹部を形成した、
ことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項記載の動力伝達装置であって、
前記ケースに、前記第1の伝達ギヤを収容するギヤ収容部を形成し、
このギヤ収容部を、前記ケースの外壁が円筒の一部を成すように形成し、
このギヤ収容部でのケースの外壁に、締結部を形成した、
ことを特徴とする動力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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