説明

駆動回路、電気光学装置及び電子機器

【課題】トランジスターの電気的特性が経時劣化してもシフトレジスターを正常に動作さ
せる。
【解決手段】複数のトランジスターを備え、クロック信号CLKに同期して、開始信号S
TVを順次転送するシフトレジスター100と、クロック信号CLKおよび開始信号ST
Vを含む制御信号を生成するとともに、前記制御信号の振幅を調整可能な制御信号発生回
路140と、前記トランジスターに流れる電流の大きさを示す電流検出信号を出力する電
流検出回路120と、前記電流検出信号に基づいて、前記シフトレジスター100が正常
に動作するように前記制御信号の振幅を設定する設定信号SETを生成し前記制御信号発
生回路140に供給する設定回路130とを駆動回路が備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動回路、電気光学装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶や有機EL等を利用して表示を行なう電気光学装置が広く用いられている。このよ
うな電気光学装置において、走査線駆動回路は、シフトレジスターを備え、複数の走査線
を順次選択する走査信号を生成する。このシフトレジスターには、同一導電型のトランジ
スターで構成され、2相のクロック信号で動作するものがある。特許文献1には、シフト
レジスターをアモルファス薄膜トランジスターで構成する例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4083581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の回路構成では、出力段にNチャネル型のトランジスターを2個直列に
して使用する。そして、高電位側のトランジスターはシフトレジスターの段数に応じた周
期でオン・オフが切り替わる。一方、低電位側のトランジスターのゲートには反転クロッ
ク信号が供給される。よって、低電位側のトランジスターが高電位側のトランジスターに
比較してオン・オフ切替り回数が多くなるとともに動作時間が長くなる。このため、低電
位側のトランジスターの経時劣化が顕著となる。
【0005】
トランジスターは経時劣化に伴ってそのオン抵抗が大きくなる。低電位側のトランジス
ターはオン状態に遷移したときに出力信号をロウレベルに遷移させるように動作するが、
オン抵抗が大きくなると、低電位側のトランジスターはオン状態に遷移しても直ちに出力
信号をロウレベルに下げることができなくなる。この結果、出力信号波形がオン抵抗の上
昇分だけ遅く立ち下がるようになる。
【0006】
シフトレジスターの各段の出力信号は、本来、排他的に有効となるが、低電位側のトラ
ンジスターの経時劣化によって、出力信号が有効となる期間が重複してシフトレジスター
が誤動作するといった問題があった。さらに、このシフトレジスターを表示装置の駆動回
路に用いると、正常な表示ができなくなるといった問題があった。
【0007】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、トランジスターの電気的特性が経
時劣化してもシフトレジスターを正常に動作させ、装置の寿命を延ばすことが可能な駆動
回路などを提供することを解決課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の駆動回路は、複数のトランジスターを備え、
クロック信号に同期して、開始信号を順次転送するシフトレジスターと、クロック信号お
よび開始信号を含む制御信号を生成するとともに、前記制御信号の振幅を調整可能な制御
信号発生回路と、前記トランジスターに流れる電流の大きさを示す電流検出信号を出力す
る電流検出回路と、前記電流検出信号に基づいて、前記シフトレジスターが正常に動作す
るように前記制御信号の振幅を設定する設定信号を生成し前記制御信号発生回路に供給す
る設定回路とを備える。
【0009】
シフトレジスターは開始信号をクロック信号に従って順次転送するが、トランジスター
が劣化してオン抵抗が増加すると、配線の寄生容量や次段のトランジスターの入力容量な
どとオン抵抗によって与えられる時定数が大きくなり転送する信号の波形がなまる。一方
、制御信号の振幅が大きくすれば、転送する信号の波形のなまりを改善できる。この発明
によれば、電流検出回路が、トランジスターに流れる電流の大きさを示す電流検出信号を
出力し、設定回路が、電流検出信号に基づいて、シフトレジスターが正常に動作するよう
に制御信号の振幅を設定する設定信号を生成し制御信号発生回路に供給するので、制御信
号の振幅が適切に調整されてシフトレジスターの誤動作が防止され、シフトレジスターの
寿命を延ばすことが可能となる。
【0010】
前記シフトレジスターは、各々が入力端子と出力端子とを備えた複数の単位回路が縦続
接続され、クロック信号と当該クロック信号を反転した反転クロック信号に同期して初段
の入力端子に供給される開始信号を順次転送するものであって、前記複数の単位回路の各
々は、前記クロック信号が供給される端子と前記出力端子との間に設けられた第1のトラ
ンジスターと、前記出力端子と前記第1のトランジスターのゲートとの間に設けられたコ
ンデンサと、電源電位が供給される電源端子と前記出力端子との間に設けられ、ゲートに
前記反転クロック信号が供給される第2のトランジスターと、前段の出力信号又は前記開
始信号がアクティブになると前段の出力信号又は前記開始信号を前記第1のトランジスタ
ーのゲートに供給し、次段の出力信号がアクティブになると前記コンデンサの電荷を放電
させる制御部とを備え、前記電流検出回路は、前記第2のトランジスターに流れる電流の
大きさを検出すると好ましい。このように構成することで、一連のシフト動作を適切に行
うことが可能となる。
【0011】
なお、前記複数の単位回路のうち、少なくとも一つはダミーの単位回路であり、前記電
流検出回路は、前記ダミーの単位回路において、前記第2のトランジスターに流れる電流
の大きさを検出して前記電流検出信号を出力してもよい。
【0012】
前記設定回路は、基準となる基準電流値を記憶した第1の記憶部と、前記電流検出信号
と前記記憶部から読み出した前記基準電流値とを比較する比較回路と、前記比較回路の比
較結果と前記設定信号とを対応づけて記憶した第2記憶部とを備え、前記比較回路の比較
結果に対応する前記設定信号を前記第2記憶部から読み出すと好ましい。
この場合には、設定回路が、第2のトランジスターに流れる電流の大きさと基準電流値
との比較結果に対応した設定信号を第2記憶部から読み出すので、制御信号の振幅を設定
するために適切な設定信号を設定回路が制御信号発生回路に供給することが可能となる。
【0013】
本発明に係る別の駆動回路は、複数のトランジスターを備え、クロック信号に同期して
、開始信号を順次転送するシフトレジスターと、クロック信号および開始信号を含む制御
信号を生成するともに、前記制御信号の振幅を調整可能な制御信号発生回路と、前記シフ
トレジスターの総駆動時間を計測する総駆動時間計測回路と、計測された総駆動時間に基
づいて、前記シフトレジスターが正常に動作するように前記制御信号の振幅を設定する設
定信号を生成し前記制御信号発生回路に供給する設定回路とを備える。
【0014】
シフトレジスターは開始信号をクロック信号に従って順次転送するが、トランジスター
が劣化してオン抵抗が増加すると、配線の寄生容量や次段のトランジスターの入力容量な
どとオン抵抗によって与えられる時定数が大きくなり転送する信号の波形がなまる。一方
、制御信号の振幅が大きくすれば、転送する信号の波形のなまりを改善できる。
この発明によれば、設定回路が、計測された総駆動時間に基づいて、シフトレジスター
が正常に動作するように制御信号の振幅を設定する設定信号を生成し制御信号発生回路に
供給するので、トランジスターが劣化してトランジスターのオン抵抗が大きくなっても、
制御信号の振幅が適切に調整されてシフトレジスターの誤動作が防止され、シフトレジス
ターの寿命を延ばすことが可能となる。また、総駆動時間に基づいて設定信号を生成する
ので、設定信号の生成のためにトランジスターの劣化の程度を測定する必要がなく、回路
構造を簡易にすることが可能となる。
【0015】
上述した駆動回路において、複数のトランジスターの各々は、アモルファス薄膜トラン
ジスターであると好ましい。
【0016】
上述した駆動回路は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線
との交差に対応して設けられた電気光学素子とを備えた電気光学装置に用いられ、前記開
始信号を転送して生成した前記複数の出力信号に基づいて、前記複数の走査線を排他的に
順次選択する複数の走査信号を生成すると好ましい。
この場合には、誤動作が防止でき寿命が長いシフトレジスターを用いた駆動回路により
、長期間にわたり信頼性の高い走査信号の生成が可能となる。
【0017】
上述した駆動回路は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線
との交差に対応して設けられた電気光学素子とを備えた電気光学装置に用いられ、前記開
始信号を転送して生成した前記複数の出力信号に基づいて、前記複数のデータ線を排他的
に順次選択する複数のデータ線選択信号を生成すると好ましい。
この場合には、誤動作が防止でき寿命が長いシフトレジスターを用いた駆動回路により
、長期間にわたり信頼性の高いデータ線選択信号の生成が可能となる。
【0018】
次に、本発明に係る電気光学装置は、複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線
と前記データ線との交差に対応して設けられた電気光学素子と、上述した駆動回路とを備
える。
この発明によれば、誤動作が防止でき寿命が長いシフトレジスターを用いた駆動回路に
より、長期間にわたり信頼性の高い電気光学装置の提供が可能となる。
【0019】
次に、本発明に係る電子機器は、上述した電気光学装置を備える。このような電子機器
としては、例えば、携帯情報端末、携帯電話機、ノート型コンピューター、ビデオカメラ
、及びプロジェクタなどが該当する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施形態に係る2相のクロック信号で動作するシフトレジスターとその周辺回路の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る単位回路の構成例を示す回路図である。
【図3】本実施形態に係る単位回路の動作を説明するタイミングチャートである。
【図4】本実施形態の信号レベル設定回路および制御信号発生回路140の詳細な構成を示す回路図である。
【図5】プルダウントランジスターの劣化による電気特性の変化を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る2層のクロック信号で動作するシフトレジスターとその周辺回路の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明に係る電気光学装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。
【図9】同装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタのブロック図である。
【図10】同装置を適用した電子機器の一例たるビデオカメラのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<1.第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る2相のクロック信号で動作するシフトレジスターとその周
辺回路の構成を示すブロック図である。本図に示すように、シフトレジスター100Aは
、複数段の単位回路110(110(1)、110(2)…110(m+2))を備えて
おり、各単位回路110には、ロウレベルの基準電位となる電源電位VGLと、クロック
信号CLKとクロック信号CLKを反転した反転クロック信号CLKBとが供給される。
【0022】
初段の単位回路110(1)の入力端子には、スタートパルス信号STVが供給され、
次段以降の単位回路110(n)の入力端子には、前段の単位回路110(n−1)の出
力信号G(n−1)が供給される。なお、nは2≦n≦m+1を満たす任意の自然数であ
る。また、各単位回路110(n)の制御端子には、次段の単位回路110(n+1)の
出力信号G(n+1)が供給される。この構成により、シフトレジスター100Aは、初
段の単位回路110(1)にスタートパルス信号STVが供給されると、出力信号Gを順
次シフトして出力する。
【0023】
図2は、本実施形態に係る単位回路110の構成例を示す回路図である。本図に示すよ
うに単位回路110は、外部端子として、入力端子IT、出力端子OT、クロック入力端
子CT、反転クロック入力端子CbT、制御信号入力端子CtrT、電源端子VTを備え
ている。
また、単位回路110は、プルアップトランジスターPUTr、プルダウントランジス
ターPDTr、コンデンサC1、nodeA制御部112を備えている。プルアップトラ
ンジスターPUTrは、ゲートが入力端子ITに接続され、ドレインがクロック入力端子
CTに接続され、ソースが出力端子OTに接続されており、オン状態でクロック入力端子
CTに供給されたクロック信号CLKを出力端子OTに供給する。なお、以下の説明では
、プルアップトランジスターPUTrのゲートをnodeAと称する。
【0024】
コンデンサC1は、プルアップトランジスターPUTrのソースとゲートとの間に設け
られる。ただし、コンデンサC1の容量は、プルアップトランジスターPUTrの寄生容
量で構成してもよい。さらに、コンデンサC1の容量は、プルアップトランジスターPU
Trの寄生容量と容量素子の容量の組み合わせで構成してもよい。なお、単位回路110
のトランジスターは、アモルファス薄膜トランジスターで構成することができる。
【0025】
プルダウントランジスターPDTrは、ゲートが反転クロック入力端子CbTに接続さ
れ、ドレインが出力端子OTに接続され、ソースが電源端子VTに接続されており、反転
クロックCLKBによりオン状態となり、出力端子OTの電位を基準電位である電源電位
VGLとする。
nodeA制御部112は、トランジスターTr3とトランジスターTr4とを備えて
いる。トランジスターTr4は、ダイオード接続されており、入力端子ITとプルアップ
トランジスターPUTrのゲートとの間に設けられている。
【0026】
トランジスターTr3は、ゲートが制御信号入力端子CtrTに接続され、ドレインが
プルアップトランジスターPUTrのゲートと接続され、ソースが電源端子VTに接続さ
れており、次段の出力信号G(n+1)によりオン状態となり、nodeAの電位を基準
電位である電源電位VGLとする。
【0027】
図3は、単位回路110の動作を説明するタイミングチャートである。本図において、
時刻t0から時刻t1の期間F1は、初期状態であり、プルアップトランジスターPUT
r、プルダウントランジスターPDTrともオフ状態にある。期間F1におけるnode
Aの電位は、基準電位VGLであり、出力信号G(n)もロウレベルを保っている。ここ
では、経時劣化がない場合について説明する。
【0028】
時刻t1で、スタートパルス信号STVまたは前段の単位回路110(n−1)の出力
信号G(n−1)が供給されると、トランジスターTr4がオン状態となる。期間F2に
おいて、反転クロック信号CLKBはハイレベルであるから、プルダウントランジスター
PDTrはオン状態になる。このため、期間F2では、トランジスターTr4→コンデン
サC1→プルダウントランジスターPDTrの順に電流が流れ、コンデンサC1に電荷が
充電され、nodeAの電位が上昇する。nodeAの電位がプルアップトランジスター
PUTrの閾値電圧を上回ると、プルアップトランジスターPUTrがオン状態になる。
また、期間F3において出力信号G(n+1)はロウレベルとなるので、トランジスター
Tr3はオフ状態となる。
【0029】
時刻t2においてスタートパルス信号STVまたは前段の出力信号G(n−1)がロウ
レベルに遷移して期間F3が開始すると、トランジスターTr4はオフ状態となる。この
ため、nodeAの電位がスタートパルス信号STVまたは前段の出力信号G(n−1)
の影響を受けることはない。期間F3において、反転クロック信号CLKBはロウレベル
であるから、プルダウントランジスターPDTrはオフ状態となる。一方、時刻t2にお
いて、nodeAの電位は期間F2より継続してハイレベルであり、プルアップトランジ
スターPUTrはオン状態を継続している。時刻t2に至ると、クロック信号CLKがロ
ウレベルからハイレベルに遷移するから、プルアップトランジスターPUTrを介して電
流が出力端子OTに流れ込み、出力端子OTの電位が上昇する。これに伴って、node
Aの電位がコンデンサC1のブートストラップによって上昇する。このとき、nodeA
の電位は、ドレインの電位を超えて上昇するので、出力信号G(n)の振幅をクロック信
号CLKの振幅と一致させることができる。出力信号G(n)は、次段の入力信号となる

【0030】
時刻t3でクロック信号CLKがロウレベルになり期間F4が開始し、反転クロック信
号CLKBがハイレベルになると、プルダウントランジスターPDTrがオン状態となる
。これによって、出力信号G(n)がロウレベルになる。この期間F4では、制御信号と
して入力される次段の出力信号G(n+1)がハイレベルとなるから、トランジスターT
r3がオン状態になる。これにより、コンデンサC1に蓄積されていた電荷が放電される
ためnodeAの電位はロウレベルとなり、プルアップトランジスターPUTrはオフ状
態となる。
【0031】
このようにシフトレジスター100A一連のシフト動作で、各単位回路110のプルア
ップトランジスターPUTrは、出力信号G(n)をハイレベルにするために1回のオン
・オフ動作を行なう。例えば、シフトレジスター100Aを、320段の単位回路110
で構成した場合には、1/320の割合でオン・オフが切替えられることになる。
【0032】
これに対し、プルダウントランジスターPDTrは、反転クロック信号CLKBに同期
してオン・オフを繰り返す。反転クロック信号CLKB1周期で2段分の出力信号Gが出
力されるため、例えば、シフトレジスター100Aを、320段の単位回路210で構成
した場合には、1/2(=160/320)の割合でオン・オフが切替えられることにな
る。
【0033】
したがって、プルダウントランジスターPDTrは、プルアップトランジスターPUT
rよりも遙かに頻繁にオン・オフが切替えられ、さらにプルダウントランジスターPDT
rの動作時間はプルアップトランジスターPUTrよりも長くなる。このため、プルダウ
ントランジスターPDTrの劣化が早くなる。プルダウントランジスターPDTrが劣化
すると、オン抵抗が増加する。出力信号G(n)の電位は、出力端子OTに接続される負
荷とプルダウントランジスターPDTrのオン抵抗など与えられる時定数に従って変化す
る。このため、経時劣化によりオン抵抗が増加すると、プルダウントランジスターPDT
rが時刻t3においてオンに切り替わる際に、出力信号G(n)が即座にロウレベルに落
ちずに、点線で示すように出力信号G(n)の立ち下がり波形がなまってしまう。
【0034】
この結果、期間F4において、出力信号G(n)と、次段の出力信号G(n+1)の両
方がハイレベルとなる期間dTが生じてしまい、シフトレジスター100Aを適用した装
置における誤動作発生や品質劣化の原因となるおそれがある。
そこで、本実施形態は、プルダウントランジスターPDTrの劣化の程度を計測し、そ
の計測結果に基づいて、クロック信号CLK、反転クロック信号CLKB、スタートパル
ス信号STVなどの制御信号の振幅を調整している。
【0035】
説明を図1に戻す。制御信号発生回路140は、電源電位VGL、クロック信号CLK
、反転クロック信号CLKB、およびスタートパルス信号STVを生成して、m+2個の
単位回路110(1)〜110(m+2)に供給する。出力信号G(1)〜G(m)は表
示用信号であり、G(m+1)およびG(m+2)はダミーの単位回路G(m+1)および
G(m+2)の出力信号である。この例において、単位回路110(m+1)は出力信号G
(m+1)を生成して、単位回路110(m)に供給する。単位回路110(m+2)も
同様に、出力信号G(m+2)を生成して単位回路110(m+1)に供給する。
なお、シフトレジスター100Aを、例えば、走査線駆動回路に用いる場合には、単位
回路110(1)〜110(m)は、m本の走査線の各々に接続する一方、単位回路11
0(m+1)は、走査線と等価的な電気特性を有するダミーの走査線、あるいは、走査線
の等価回路と接続すればよい。
【0036】
電流検出回路120は、単位回路110(m)のトランジスターに流れる電流の大きさ
を示す電流検出信号Idetを出力する。すなわち、表示に用いられる単位回路110(1
)〜110(m)のうちの一つである。信号レベル設定回路130Aは、電流検出信号I
detに基づいて、シフトレジスター100Aが正常に動作するように制御信号の振幅を設
定する設定信号SETを生成し制御信号発生回路140に供給する。
【0037】
図4に、信号レベル設定回路130Aおよび制御信号発生回路140の詳細な構成を示
す。まず、電流検出回路120はプルダウントランジスターPDTrのソースと電源電位
VGLとの間に設けられており、プルダウントランジスターPDTrがオン状態になると
き(反転クロック信号CLKBがハイレベル)、プルダウントランジスターPDTrに流
れる電流の大きさを検出する。例えば、抵抗値の小さな抵抗をプルダウントランジスター
PDTrのソースと電源電位VGLとの間に設け、両端の電位差をを測定し、これをAD
変換して電流検出信号Idetを生成すればよい。
【0038】
図5を参照して、プルダウントランジスターPDTrの経時劣化の一例について説明す
る。この例では、初期状態においてトランジスターPDTrの電気特性が特性曲線X1で
与えられる。時間が経過すると、特性曲線X1から特性曲線X2へと変化する。このよう
なトランジスターPDTrの電気特性の変化に伴って、電圧Vに対応する電流値が、Id
からId’へと変化する。つまり、プルダウントランジスターPDTrのオン抵抗はV/
IdからV/Id’へと増加する。
【0039】
信号レベル設定回路130Aは、比較回路131、メモリー132、及びルックアップ
テーブル133を備える。メモリー132には、比較の基準となる基準電流値が記憶され
ている。基準電流値は、比較の方法によって各種の態様が有りうるが、例えば、個別の回
路について測定した基準検出電流の初期値を記憶することができる。この場合には、事前
に動作させて、初期値をメモリー132に書き込む必要がある。あるいは、量産する場合
には、あるロットについては、その平均値を基準電流値として書き込むようにしてもよい
。この場合には、個々の初期値を計測する必要がないので、製造時間を短縮することが可
能となる。
【0040】
比較回路131は電流検出信号Idetと基準電流値Irefとに基づいて、比較結果Ixを
算出する。例えば、Ix=Idet/Iref、すなわち、電流検出信号Idetと基準電流値Ir
efとの比、Ix=Iref−Idet、すなわち、基準電流値Irefと電流検出信号Idetとの差
分、あるいは、Ix=(Iref−Idet)/Iref、すなわち、差分を基準電流値Irefで正規
化したものを用いることができる。
【0041】
ルックアップテーブル133には、比較結果Ixと設定信号SETとが対応づけられて
記憶されている。設定信号SETは制御信号発生回路140の電源電圧調整回路141に
供給される。電源電圧調整回路141は、設定信号SETの大きさに応じて制御信号生成
回路142に供給する電源電圧Vddの大きさを調整する。制御信号生成回路142は、
電源電圧Vddによって、各種制御信号の振幅を調整する。
【0042】
ここで、信号レベル設定回路130Aはシフトレジスター100Aが正常に動作するよ
うに制御信号の振幅を設定する設定信号SETを生成する。例えば、基準電流値Irefが
図5に示すIdであり電流検出信号がId’であったとする。この場合、基準電流値Id
がプルダウントランジスターPDTrを流れる場合の、クロック信号CLK、反転クロッ
ク信号CLKBの振幅をVとする。つまり、経時劣化によって、振幅Vの制御信号では、
プルダウントランジスターPDTrに流れる電流が「Id」から「Id’」に減少したの
である。現在のプルダウントランジスターPDTrの特性曲線はX2であるから、同じだ
け電流を流すためには(すなわち、電流検出信号が「Id’」から「Id」に変化するた
めには)、制御信号の振幅を「V」から「V’」に変化させ、振幅をΔVだけ増加させる
必要がある。ルックアップテーブル133には、そのような電源電圧Vddが生成できる
ように比較結果Ixと設定信号SETが対応づけられて記憶されている。
【0043】
ところで、上述した制御信号の振幅の調整は、例えば、数千時間に一回といった割合で
動作させればよい。常時動作させることも可能であるが、常時動作させるとプルダウント
ランジスターPDTrに常に基準電流値Irefが流れるようにフィードバック制御がなさ
れるので、プルダウントランジスターPDTrの劣化が加速され、シフトレジスター10
0Aの寿命が却って短くなってしまう。一方、基準電流値Irefが流れなければ誤動作す
るというわけではなく、あるマージンが存在する。その範囲内であれば、プルダウントラ
ンジスターPDTrに流れる電流が減少しても誤動作は発生しない。そこで、誤動作が発
生しない範囲でプルダウントランジスターPDTrの劣化を許容し、間欠的に制御信号の
振幅の調整を実行することが望ましい。
【0044】
具体的には、信号レベル設定回路130Aにタイマーを設け、タイマーによって動作時
間が所定時間に達したことを判断し、経過時に信号レベル設定回路130Aを動作させる
ことが好ましい。この場合、初期状態から第1回目の調整までの時間を第1の時間T1、
第1回目の調整から第2回目の調整までの時間を第2時間T2、第2回目の調整から第3
回目の調整までの時間を第3時間T3…、としたとき、T1,T2、T3…は、T1>T
2>T3>…とすることが好ましい。時間の経過にしたがって、プルダウントランジスタ
ーPDTrの特性は加速度的に劣化するからである。尤も、調整の回数とその時間間隔は
、寿命を最大にできるように決定すればよい。
【0045】
以上説明したように本実施形態によれば、プルダウントランジスターPDTrに流れる
電流を計測し、その計測結果に基づいて、シフトレジスター100Aを制御する制御信号
の振幅を調整したので、プルダウントランジスターPDTrが劣化してもシフトレジスタ
ー100Aの誤動作を防止でき、シフトレジスター100Aの寿命を延ばすことが可能と
なる。
【0046】
尚、本実施形態では、単位回路110(m)で電流を検出したが、単位回路110(1
)〜単位回路110(m)のうち少なくとも一つを用いて電流を検出する。複数の単位回
路110から電流を検出する場合は、複数のプルダウントランジスターPDTrの劣化の
程度を検出できるので、検出の精度を向上させることができる。
また、ダミーの単位回路110(m+1)についてプルダウントランジスターPDTr
の電流を検出してもよい。
【0047】
また、この例では、単位回路110に用いられるプルダウントランジスターPDTrに
よって経時劣化を検出したが、テスト用のトランジスターを別途用意し、これを用いて経
時劣化を検出してもよい。この場合、テスト用のトランジスターのゲート・ソース・ドレ
インには、プルダウントランジスターPDTrと同じ信号で同じ時間だけ駆動し、電流を
検出してもよい。
【0048】
また、プルダウントランジスターPDTrの劣化と一定の割合で劣化するトランジスタ
ーを検出対象としてもよい。例えば、プルアップトランジスターPUTrを検出対象とし
てもよい。この場合は、プルアップトランジスターPUTrのオン電流の大きさを電流検
出回路で検出すればよい。
尚、電流検出回路120を配置する優先順位は、第1順位:表示に寄与する単位回路1
10(1)〜110(m)のプルダウントランジスターPDTr、第2順位:ダミーとし
て機能する単位回路110(m+1)のプルダウントランジスターPDTr、第3順位:
表示に寄与する単位回路110(1)〜110(m)のプルアップトランジスターPUT
r(但し、プルダウントランジスターPDTrの劣化と一定の関係がある場合)、第4順
位:空きスペースに配置したテスト用のプルダウントランジスターPDTr、とすること
が好ましい。
【0049】
<2.第2実施形態>
第1実施形態においてシフトレジスター100Aの周辺回路は、シフトレジスター10
0Aに用いられる素子であるプルダウントランジスターPDTrの経時劣化の程度をオン
状態の電流の大きさを検知し、この電流値に基づいてシフトレジスター100Aを制御す
る制御信号の振幅を調整した。これに対して、第2実施形態の周辺回路は、プルダウント
ランジスターPDTrの経時劣化の程度をシフトレジスター100Bの総駆動時間によっ
て検知し、総駆動時間に基づいてシフトレジスター100Bを制御する制御信号の振幅を
調整する。
【0050】
図6に第2実施形態に係る2相のクロック信号で動作するシフトレジスター100Aと
その周辺回路の構成を示す。
【0051】
また、周辺回路として、信号レベル設定回路130B、制御信号発生回路140、およ
び総駆動時間計測回路150を備える。
総駆動時間計測回路150は、シフトレジスター100Aが動作する累積時間を計測し
て、総駆動時間Txを出力する。
第1実施形態の信号レベル設定回路130Aは、比較回路131やメモリー132を備
えたが、第2実施形態の信号レベル設定回路130Bはこれらを設ける必要はない。信号
レベル設定回路130Bは、ルックアップテーブルで構成されている。このルックアップ
テーブルには、総駆動時間Txと設定信号SETが対応づけられて記憶されている。
【0052】
例えば、図5において、プルダウントランジスターPDTrを流れるオン電流の初期値
、つまり、Tx=0の場合が特性曲線X1であり、このとき、オン電流の大きさが「Id
」であったとする。そして、現在の総駆動時間がTx(>0)であり、プルダウントラン
ジスターPDTrの特性曲線X2であり、このとき、オン電流の大きさが「Id’」であ
ったとする。また、オン電流の大きさが「Id」である場合、クロック信号CLK、反転
クロック信号CLKBの振幅をVとする。
この例では、経時劣化によって、プルダウントランジスターPDTrに流れるオン電流
が「Id」から「Id’」に減少している。現在のプルダウントランジスターPDTrの
特性曲線はX2であるから、同じだけ電流を流すためには(すなわち、電流検出信号が「
Id’」から「Id」に変化するためには)、制御信号の振幅を「V」から「V’」に変
化させ、振幅をΔVだけ増加させる必要がある。ルックアップテーブルには、そのような
電源電圧Vddが生成できるように総駆動時間Txと設定信号SETが対応づけられて記
憶されている。
【0053】
このように第2実施形態は、総駆動時間Txに基づいて、シフトレジスター100Bを
制御する制御信号の振幅を調整したので、プルダウントランジスターPDTrが劣化して
もシフトレジスター100Bの誤動作を防止でき、シフトレジスター100Bの寿命を延
ばすことが可能となる。
【0054】
<3.第3実施形態>
次に、上述したシフトレジスター100Aを駆動回路に用いた電気光学装置について説
明する。
図7は、本発明に係る電気光学装置500の電気的構成を示すブロック図である。この
電気光学装置500は電気光学材料として液晶を用いる。電気光学装置500は、主要部
として液晶パネルAAを備える。液晶パネルAAは、スイッチング素子として薄膜トラン
ジスター(Thin Film Transistor:以下、「TFT」と称する)を形成した素子基板と対
向基板とを互いに電極形成面を対向させて、かつ、一定の間隙を保って貼付し、この間隙
に液晶が挟持されている。
【0055】
また、電気光学装置500は、液晶パネルAA、タイミング発生回路300および画像
処理回路400を備える。液晶パネルAAは、その素子基板上に画像表示領域A、走査線
駆動回路310、データ線駆動回路320、サンプリング回路330および画像信号供給
線Lを備える。この電気光学装置500に供給される入力画像データDは、例えば、3ビ
ットパラレルの形式である。タイミング発生回路300は、入力画像データDに同期して
第1Yクロック信号YCK1、第2Yクロック信号YCK2、第1Xクロック信号XCK
1、第2Xクロック信号XCK2、Y転送開始パルスDY、及びX転送開始パルスDXを
生成して、走査線駆動回路310およびデータ線駆動回路320に供給する。また、タイ
ミング発生回路300は、画像処理回路400を制御する各種のタイミング信号を生成し
、これを出力する。Y転送開始パルスDYは走査線52の選択開始を指示するパルスであ
り、一方、X転送開始パルスDXはデータ線53の選択開始を指示するパルスである。
【0056】
次に、画像処理回路400は、入力画像データDに、液晶パネルの光透過特性を考慮し
たガンマ補正等を施した後、RGB各色の画像データをD/A変換して、画像信号VID
を生成して液晶パネルAAに供給する。
【0057】
次に、画像表示領域Aには、図8に示されるように、m(mは2以上の自然数)本の走
査線52が、X方向に沿って平行に配列して形成される一方、n(nは2以上の自然数)
本のデータ線53が、Y方向に沿って平行に配列して形成されている。そして、走査線5
2とデータ線53との交差付近においては、TFT50のゲートが走査線52に接続され
る一方、TFT50のソースがデータ線53に接続されるとともに、TFT50のドレイ
ンが画素電極56に接続される。そして、各画素は、画素電極56と、対向基板に形成さ
れる対向電極と、これら両電極間に挟持された液晶とによって構成される。この結果、走
査線52とデータ線53との各交差に対応して、画素はマトリクス状に配列されることと
なる。
【0058】
また、TFT50のゲートが接続される各走査線52には、走査信号G1、G2、…、
Gmが、パルス的に線順次で印加されるようになっている。このため、ある走査線52に
走査信号が供給されると、当該走査線に接続されるTFT50がオンするので、データ線
53から所定のタイミングで供給される画像信号X1、X2、…、Xnは、対応する画素
に順番に書き込まれた後、所定の期間保持されることとなる。
【0059】
以上の構成において、走査線駆動回路310及びデータ線駆動回路320に上述した第
1実施形態で説明したシフトレジスター100A,100Bおよび周辺回路を用いること
ができる。走査線駆動回路310に適用する場合には、第1Yクロック信号YCK1及び
第2Yクロック信号YCK2をクロック信号CLK及び反転クロック信号CLKBとして
用い、Y転送開始パルスDYをスタートパルス信号STVとして用いればよい。また、デ
ータ線駆動回路320に適用する場合には、第1Xクロック信号XCK1及び第2Xクロ
ック信号XCK2をクロック信号CLK及び反転2クロック信号CLKBとして用い、X
転送開始パルスDXをスタートパルス信号STVとして用いればよい。
【0060】
なお、上述した電気光学装置500は、電気光学物質に液晶を用いた液晶表示装置であ
り、この液晶表示装置は、透過型、反射型または半透過半反射型のいずれにも適用可能で
ある。また、アクティブ・マトリクス方式のみならず、パッシブ・マトリクス方式にも適
用可能である。さらには、電気光学装置としては、有機EL装置や、蛍光表示管、プラズ
マ・ディスプレイ・パネル、ディジタルミラーデバイスなど種々のものに適用可能である

【0061】
<4.電子機器>
次に、上述した実施形態に係る電気光学装置を用いた電子機器のいくつかについて説明
する。
図8に、電気光学装置500を適用したモバイル型のパーソナルコンピューターの構成
を示す。パーソナルコンピューター1000は、表示ユニットとしての電気光学装置50
0と本体部1010を備える。本体部1010には、電源スイッチ1001及びキーボー
ド1002が設けられている。
【0062】
図9に電気光学装置500を用いたプロジェクタの構成を示す。この図に示されるよう
に、プロジェクタ2000内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニッ
ト2002が設けられている。このランプユニット2002から射出された投射光は、内
部に配置された3枚のミラー2006および2枚のダイクロイックミラー2008によっ
てR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に分離されて、各原色に対応するライトバルブ
510R、510Gおよび510Bにそれぞれ導かれる。ここで、ライトバルブ510R
、510G及び510Bは、上述した実施形態に係る電気光学装置500、即ち、透過型
の液晶表示装置と基本的には同様である。即ち、ライトバルブ510R、510G、51
0Bは、それぞれRGBの各原色画像を生成する光変調器として機能するものである。ま
た、Bの光は、他のRやGの光と比較すると、光路が長いので、その損失を防ぐために、
入射レンズ2022、リレーレンズ2023および出射レンズ2024からなるリレーレ
ンズ系2021を介して導かれる。ライトバルブ510R、510G、510Bによって
それぞれ変調された光は、ダイクロイックプリズム2012に3方向から入射する。そし
て、このダイクロイックプリズム2012において、R及びBの光は90度に屈折する一
方、Gの光は直進する。これにより、各原色画像の合成したカラー画像が、投射レンズ2
014を介して、スクリーン2020に投射されることになる。
【0063】
図10に電気光学装置500を用いたビデオカメラの構成を示す。この図に示されるよ
うに、ビデオカメラ3000の本体には、モニター520として用いられる電気光学装置
500のほか、光学系3012などが設けられる。ここで、電気光学装置500は、軸3
024を中心にして、ヒンジ3016に対し回動自在に取り付けられ、さらに、ヒンジ3
016は、軸3022を中心にして、本体3010に対し開閉する構造となっている。
【0064】
このため、電気光学装置500は、図に示される態様と、撮影者が図の奥側に位置して
ファインダで用いる態様とでは、表示画像の上下左右が反転した関係にさせる必要がある
。このような場合には、シフトレジスター100Aを駆動回路に採用して、走査線駆動回
路310による垂直走査方向、及び、データ線駆動回路320による水平走査方向をそれ
ぞれ互いに逆向きとすれば、表示画像の上下左右を反転させることができる。
【0065】
なお、電気光学装置500が適用される電子機器としては、図8から図10に示すもの
の他、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニター直視型のビデ
オテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセ
ッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等など
が挙げられる。
【符号の説明】
【0066】
100…シフトレジスター、110…単位回路、112…nodeA制御部、120…
電流検出回路、130…信号レベル設定回路、131…比較回路、132…メモリー、1
33…ルックアップテーブル、140…制御信号発生回路、150…総駆動時間計測回路
、210…単位回路、300…タイミング発生回路、310…走査線駆動回路、320…
データ線駆動回路、330…サンプリング回路、400…画像処理回路、500…電気光
学装置、1000…パーソナルコンピューター、2000…プロジェクタ、3000…ビ
デオカメラ、CLK…クロック信号、CLKB…反転クロック信号、PDTr…プルダウ
ントランジスター、PUTr…プルアップトランジスター。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトランジスターを備え、クロック信号に同期して、開始信号を順次転送するシフ
トレジスターと、
クロック信号および開始信号を含む制御信号を生成するとともに、前記制御信号の振幅
を調整可能な制御信号発生回路と、
前記トランジスターに流れる電流の大きさを示す電流検出信号を出力する電流検出回路
と、
前記電流検出信号に基づいて、前記シフトレジスターが正常に動作するように前記制御
信号の振幅を設定する設定信号を生成し前記制御信号発生回路に供給する設定回路と、
を備える駆動回路。
【請求項2】
前記シフトレジスターは、
各々が入力端子と出力端子とを備えた複数の単位回路が縦続接続され、クロック信号と
当該クロック信号を反転した反転クロック信号に同期して初段の入力端子に供給される開
始信号を順次転送するものであって、
前記複数の単位回路の各々は、
前記クロック信号が供給される端子と前記出力端子との間に設けられた第1のトランジ
スターと、
前記出力端子と前記第1のトランジスターのゲートとの間に設けられたコンデンサと、
電源電位が供給される電源端子と前記出力端子との間に設けられ、ゲートに前記反転ク
ロック信号が供給される第2のトランジスターと、
前段の出力信号又は前記開始信号がアクティブになると前段の出力信号又は前記開始信
号を前記第1のトランジスターのゲートに供給し、次段の出力信号がアクティブになると
前記コンデンサの電荷を放電させる制御部とを備え、
前記電流検出回路は、前記第2のトランジスターに流れる電流の大きさを検出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記設定回路は、
基準となる基準電流値を記憶した第1の記憶部と、
前記電流検出信号と前記記憶部から読み出した前記基準電流値とを比較する比較回路と

前記比較回路の比較結果と前記設定信号とを対応づけて記憶した第2記憶部とを備え、
前記比較回路の比較結果に対応する前記設定信号を前記第2記憶部から読み出すことを
特徴とする請求項1または2に記載の駆動回路。
【請求項4】
複数のトランジスターを備え、クロック信号に同期して、開始信号を順次転送するシフ
トレジスターと、
クロック信号および開始信号を含む制御信号を生成するともに、前記制御信号の振幅を
調整可能な制御信号発生回路と、
前記シフトレジスターの総駆動時間を計測する総駆動時間計測回路と、
計測された総駆動時間に基づいて、前記シフトレジスターが正常に動作するように前記
制御信号の振幅を設定する設定信号を生成し前記制御信号発生回路に供給する設定回路と

を備える駆動回路。
【請求項5】
複数のトランジスターの各々は、アモルファス薄膜トランジスターであることを特徴と
する請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項6】
複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設
けられた電気光学素子とを備えた電気光学装置に用いられ、
前記開始信号を転送して生成した前記複数の出力信号に基づいて、前記複数の走査線を
排他的に順次選択する複数の走査信号を生成することを特徴とする請求項1乃至5のうち
いずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項7】
複数の走査線と、複数のデータ線と、前記走査線と前記データ線との交差に対応して設
けられた電気光学素子とを備えた電気光学装置に用いられ、
前記開始信号を転送して生成した前記複数の出力信号に基づいて、前記複数のデータ線
を排他的に順次選択する複数のデータ線選択信号を生成することを特徴とする請求項1乃
至5のうちいずれか1項に記載の駆動回路。
【請求項8】
複数の走査線と、
複数のデータ線と、
前記走査線と前記データ線との交差に対応して設けられた電気光学素子と、
請求項6または請求項7に駆動回路と、
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電気光学装置を備えた電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−204326(P2011−204326A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72346(P2010−72346)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】