説明

駆動機構及びレンズユニット

【課題】アクチュエータの駆動軸と係合した弾性部材のバネ力量のバラツキを小さくできる駆動機構及びレンズユニットを提供する。
【解決手段】駆動機構は、アクチュエータ4、係合部材とを備えている。係合部材は、弾性部材6と、被駆動部材を保持する筒体7とを備えている。弾性部材6は、筒体7を保持した弾性を有する筒体保持部と、筒体保持部の第1端に配設された第1挟持部61と、筒体保持部の第2端に配設された第2挟持部62とを備えている。筒体保持部は、筒体7の外周を巻回するように配設されて筒体保持部の弾性力によって筒体7の外周を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SIDM(Smooth Impact Drive Mechanism(登録商標))から成るアクチュエータ(超音波リニアアクチュエータ)の駆動軸と所定の摩擦力で係合する係合部材を有する駆動機構及びレンズユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話の撮像装置などに用いられる小型のレンズユニットでは、駆動機構として、アクチュエータを用いたものが実用化されている。このアクチュエータは、電気機械変換素子である圧電素子の伸縮を駆動軸に伝え、その駆動軸に所定の摩擦力で係合したレンズを有する被駆動部材を、前記圧電素子の伸張時と縮小時との速度差を利用して駆動させるものである。より詳しくは、このようなアクチュエータでは、例えば駆動軸をゆっくりと伸張させることによって、その駆動軸に摩擦係合している被駆動部材も駆動して移動する一方、前記所定の摩擦力を超える程、駆動軸を瞬時に縮小させると、前記被駆動部材が伸張位置に取り残される。このような駆動軸の伸長と収縮とを繰返し行うことで、アクチュエータは、前記レンズを有する被駆動部材を前記駆動軸の軸方向に駆動させることができる。
【0003】
従来、このような駆動機構として、駆動軸に当接させる軸当接部材と、軸当接部材を固定する固定部材と、駆動軸を挟んで軸当接部材と反対側から駆動軸を付勢する弾性部材とを備えたものが知られている。しかし、この従来の駆動機構は、部品点数が多く、組み付けに時間を要するという問題点を有する。
【0004】
一方、駆動機構の部品点数を少なくしたものとして、例えば特許文献1に提案されたものがある。このものは、長尺板状の弾性部材の第1端に、レンズ保持枠と連結した連結部材を保持する保持部を備え、第2端に、駆動軸をその保持部とで挟持する挟持部を備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−49878号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のものでは、挟持部に弾性力を働かせる弾性部材のバネ長が充分に採れずに短くなっており、バネ力量の敏感性が高くなってしまっている。そのため、弾性部材の寸法誤差によりバネ力量のバラツキが大きくなってしまい、駆動性能を安定させ難いという問題点がある。
【0007】
本発明は、アクチュエータの駆動軸と係合した弾性部材のバネ力量のバラツキを小さくできる駆動機構及びレンズユニットの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、電気機械変換素子の第1端に連結された駆動軸を有するアクチュエータと、前記駆動軸に所定の摩擦力で係合した係合部材とを備え、前記係合部材を駆動軸によって駆動させることにより、前記係合部材に保持された被駆動部材を駆動させる駆動機構であって、前記係合部材は、弾性部材と、前記被駆動部材を保持する筒体とを備え、前記弾性部材は、前記筒体を保持した弾性を有する筒体保持部と、前記筒体保持部の第1端に配設された第1挟持部と、前記筒体保持部の第2端に配設された第2挟持部とを備え、前記筒体保持部は、前記筒体の外周を巻回するように配設されて当該筒体保持部の弾性力によって前記筒体の外周を保持し、前記第1挟持部と第2挟持部とは、前記保持した筒体が前記弾性部材と共に前記駆動軸の軸方向にのみ移動し得るように、前記筒体保持部の弾性力によって前記駆動軸の軸方向に摺動可能且つ径方向に移動不能に前記駆動軸を挟持していることを特徴とする駆動機構を提供する。
【0009】
これによれば、筒体の外周を巻回するように配設された筒体保持部の弾性力によって第1挟持部と第2挟持部とで駆動軸を挟持できる。これにより、第1挟持部と第2挟持部とに弾性力を働かせる筒体保持部の長さを充分長くでき、バネ定数を低くできる。従って、弾性部材の寸法誤差が発生してもバネ力量の敏感性を低く抑えることができ、アクチュエータの駆動軸による駆動のばらつきを抑えることができる。
【0010】
又、1つの弾性部材の両端に配設された第1挟持部と第2挟持部とで駆動軸の軸方向に摺動可能且つ径方向に移動不能に挟持するため、保持した筒体を弾性部材と共に駆動軸の軸方向にのみ移動でき、筒体を案内するための案内軸等を不要にできる。従って、部品点数を少なくでき、組立性を向上できる。
【0011】
他の一態様では、前記駆動機構において、前記筒体は、前記筒体保持部が前記筒体に対して前記筒体の軸方向に移動しないように規制する移動規制部を備えていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、筒体保持部と筒体とが互いに滑りを起こすことのおそれの少ないものにでき、被駆動部材を正確に駆動できる。
【0013】
他の一態様では、前記駆動機構において、前記筒体保持部は、リング状のものであることを特徴とする。
【0014】
これによれば、第1挟持部と第2挟持部とで駆動軸を挟持する際に、筒体保持部全体が有する弾性力を確実にかけることができ、バネ定数を、より一層確実に低くできる。
【0015】
又、本発明は、前述の何れかの駆動機構と、前記被駆動部材とを備え、前記被駆動部材は、レンズを備えていることを特徴とするレンズユニットを提供する。
【0016】
これによれば、第1挟持部と第2挟持部とに弾性力を働かせる筒体保持部の長さを充分長くでき、バネ定数を低くできる。従って、弾性部材の寸法誤差が発生してもバネ力量の敏感性を低く抑えることができ、アクチュエータの駆動軸による駆動のばらつきを抑えることができる。又、1つの弾性部材の両端に配設された第1挟持部と第2挟持部とで駆動軸を挟持できるため、部品点数を少なくでき、組立性を向上できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、弾性部材のバネ力量のバラツキを小さくできる駆動機構及びレンズユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態の駆動機構を有するレンズユニットとしての撮像装置の斜視図である。
【図2】図1の撮像装置の分解斜視図である。
【図3】図1の撮像装置の正面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】(a)は、弾性部材を右前方から見た状態の斜視図、(b)は、弾性部材を左前方から見た状態の斜視図、(c)は、弾性部材の正面図である。
【図6】(a)は、筒体の斜視図、(b)は、図6(a)の正面図である。
【図7】アクチュエータと係合した状態の係合部材の斜視図である。
【図8】(a)は、アクチュエータと係合した状態の係合部材の正面図、(b)は、図7(a)の平面図、(c)は、図7(a)の底面図、(d)は、図7(A)の右側面図、(e)は、図7(a)の左側面図である。
【図9】アクチュエータと係合した係合部材とレンズを保持した保持枠との分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施の形態の駆動機構を有するレンズユニットとしての撮像装置の斜視図、図2は、図1の撮像装置の分解斜視図、図3は、図1の撮像装置の正面図、図4は、図3のIV−IV線断面図である。尚、以下の説明において、図のX方向を前方側として説明する。
【0020】
この撮像装置1は、例えば携帯電話の端末装置に好適に搭載されるもので、図2に示すように、レンズ群21を有する撮像装置本体10と、レンズ群21を駆動させる駆動機構とを備えている。
【0021】
撮像装置本体10は、レンズ群21を保持した被駆動部材としてのレンズ保持枠2と、レンズ保持枠2及び駆動機構を収納した筐体31,32と、カバー4とを備えている。
【0022】
レンズ保持枠2は、円筒状のものから構成され、内周側にレンズ群21を移動不能に保持している。尚、レンズ群21は、1または複数のレンズを備えたものである。
【0023】
筐体は、第1筐体31と、第1筐体31の後方側に配設された第2筐体32とから構成されている。
【0024】
第2筐体32は、合成樹脂から構成されており、外周が正面視で四角形状の筒体からなる。この第2筐体32は、内周側に、レンズ保持枠2を保持する枠保持部32aを備えている。又、第2筐体32は、そのレンズ保持枠2の径外側に、後述の駆動機構のアクチュエータ4の錘43を収納して保持するアクチュエータ保持部32b(図4に図示)を備えている。
【0025】
第1筐体31は、合成樹脂から構成されており、図2に示すように外周が正面視で四角形状の筒体からなる。この第1筐体31は、前壁31aから後方側に延設された4つの側壁31bを備え、それらの側壁31bによってその内部に、レンズ保持枠2を保持した駆動機構の筒体7及び弾性部材6等を収納できるようになっている。
【0026】
又、側壁31bの内の対向する2つには、第2筐体52に係止する係止用孔31cが設けられている(図2では、1つだけが表れている。)。
【0027】
又、前壁31aには、レンズ群21を外部に臨ませる開口31dが形成されている。又、前壁31aにおける開口31dの外周側の1つの隅角部に、後述のアクチュエータ4の駆動軸42の先端部が挿入される孔31eが設けられている。
【0028】
そして、この第1筐体31は、図4に示すように第2筐体32の前方側に配設され、その状態で、図2に示した係止用孔31cが第2筐体32に設けられた第1筐体用係止突片32cに係止される。これにより、第1筐体31と第2筐体32とが連結される。
【0029】
カバー33は、主に電磁ノイズが外に漏れるのを防止する役割を果たすもので、図1、図2に示すように第1〜第4の側壁33aを有する正面視にて外形が四角形状のものから構成されている。
【0030】
第1〜第4の側壁33aは、この実施形態では、十字状の金属製平板における4片をそれぞれ略直角に折り曲げ成形して内部に第1筐体31及び第2筐体32を収納できるように形成されている。
【0031】
又、カバー33は、上記第1〜第4の側壁33aの夫々の端部に、第2筐体32に設けられた係止凹部32eに係脱自在に係止する弾性を有する係止爪33cを備えている。
【0032】
又、カバー33は、前面に、第1筐体31の開口31dに重なるように形成されたカバー用開口33dを備えている。
【0033】
次に、駆動機構について説明する。この駆動機構は、アクチュエータ4と、係合部材6,7とを備えている。
【0034】
アクチュエータ4は、図2に示すように軸方向に伸縮する電気機械変換素子である圧電素子41と、圧電素子41の一方の第1端に連結された円柱状の駆動軸42と、圧電素子41の他方の第2端に連結された錘43とを備えている。
【0035】
錘43は、圧電素子41の伸縮による変位を駆動軸42側のみに発生させるためのものである。この実施形態では、錘43は、外径が圧電素子41の外周から全周に渡って外周方向に突出するように形成された円柱状のものから構成されている。
【0036】
尚、この錘43は、圧電素子41の第2端が筐体に取付けられるなどして、錘43の機能と同様の機能を発揮することができる場合には、錘43は、省略されてもよい。
【0037】
圧電素子41は、複数の圧電層が積層され、図2に示すように一対の側面に各圧電層の電極が引出される。その側面の電極は、個別のリード線44,45を介して外部接続端子46,47にそれぞれ接続されている。尚、この外部接続端子46,47の先端は、図示しないが、前記携帯電話の端末装置側のプリント基板に半田付けされ、或いは前記プリント基板に実装されたコネクタに嵌り込む。尚、図4、図6、図7、図8では、説明の都合上、リード線44,45及び外部接続端子46,47は省略している。
【0038】
このように構成されたアクチュエータ4は、図4に示すように錘43が第2筐体32のアクチュエータ保持部32bに接着剤等を介して保持されている。
【0039】
係合部材は、図2に示すように弾性部材6と、筒体7とを備えている。弾性部材6は、板バネを略リング状に成形することにより形成されている。そして、この弾性部材6は、図5に示すように筒体7を保持する弾性を有するリング状の筒体保持部63と、その筒体保持部63の第1端に配設された第1挟持部61と、その筒体保持部63の第2端に配設された第2挟持部62とを備えている。
【0040】
第1挟持部61は、径外側に突出するように形成されている。一方、第2挟持部62は、径内側に突出するように形成されている。そして、第1挟持部61が第2挟持部62の径外側(外周側)に配設され、これにより、第1挟持部61と第2挟持部62との間に、駆動軸42の軸方向に摺動可能且つ径方向に移動不能に駆動軸42を挟持する挟持部8が区画形成されている。この挟持部8は、駆動軸42を挟持していない状態で、図5(c)に示すように、第1挟持部61の内側面と第2挟持部62の外側面との距離Lが、駆動軸42の外径よりも小さくなるように形成されている。
【0041】
又、この実施形態では、弾性部材6は、上記第1端に、筒体7に係止する第1係止部64を備えている。この第1係止部64は、上記第1端の端面から周方向に所定の長さで凹まされるように形成された溝状のものから構成されている。
【0042】
又、弾性部材6は、上記第2端に、筒体7に係止する第2係止部65及び第3係止部66を備えている。第2係止部65は、上記第2端の端面から周方向に所定の長さで凹まされるように形成された溝状のものから構成されている。
【0043】
第3係止部66は、第2挟持部62を挟んで第2係止部65の周方向の側方側に配設されている。第3係止部66は、4角形状の孔から構成されている。
【0044】
筒体7は、図2、図6及び図7に示すように、この実施形態では、円筒状のものから構成されている。そして、この筒体7は、その外周に、弾性部材6の筒体保持部63に保持される被保持部70と、第2挟持部62を受容する受容凹部71と、弾性部材6の第1係止部64及び第3係止部66と係止する第1係止突片73と、弾性部材6の第2係止部65と係止する第2係止突片74とを備えている。
【0045】
被保持部70は、その外径が、弾性部材6の筒体保持部63に力が付与されていない通常状態の筒体保持部63(図5(c)の一点鎖線で示す状態)の径よりも大きく形成されている。
【0046】
受容凹部71は、この実施形態では、筒体7の外周から径外側に突設された2つの第1凸部71a及び第2凸部71bの間に形成された凹部からなる。
【0047】
第1係止突片73は、第1凸部71aから径外側に突出するように形成されている。第2係止突片74は、第2凸部71bから径内側に出するように形成されている。
【0048】
又、この実施形態の筒体7は、被保持部70を保持した弾性部材6が筒体保持部63が筒体7の軸方向に相対的に移動しないように規制する移動規制部を備えている。この移動規制部は、この実施形態では、弾性部材6が筒体7の軸方向の前方側(一方向側)に相対的に移動しないように規制する第1移動規制部75と、弾性部材6が筒体7の軸方向の後方側(他方向側)に相対的に移動しないように規制する第2移動規制部76とを備えている。
【0049】
第1移動規制部75は、上記受容凹部71と周方向に略180°だけ隔てた位置に、保持された弾性部材6の筒体保持部63を前方側から受けるように形成されている。この実施形態における第1移動規制部75は、筒体7の外周に突設された略四角柱状の突出片75aの後面に形成されている。
【0050】
又、この突出片75aは、第1筐体31に設けられた案内溝(図示せず)に前後方向に摺動可能に嵌挿される。詳しくは、案内溝は、第1筐体31の内周に、突出片75aと同程度の幅で、所定深さで前後方向に沿って形成されている。そして、筒体7が第1筐体31内に収納される際に、筒体7の突出片75aがその案内溝に嵌挿され、これにより、筒体7が第1筐体31に対し、前後方向に移動可能で、筒体7の軸周りに回転しないようになっている。従って、この突出片75aは、第1筐体31に対して筒体7を前後方向に移動可能且つ回転不能に案内する案内部として機能する。
【0051】
第2移動規制部76は、図6(b)に示すように、上記受容凹部71と時計方向側に略90°だけ隔てた位置及び270°だけ隔てた位置、即ち、上記受容凹部71と上記第1移動規制部75との間に、弾性部材6の筒体保持部63を後方側から受けるように形成されている。尚、この第2移動規制部76と第1移動規制部75との軸方向の距離は、弾性部材6の幅と同程度に設定されている。
【0052】
又、筒体7は、その内周に、レンズ群21を保持するレンズ保持部77を備えている。この実施形態のレンズ保持部77は、レンズ保持枠2を介してレンズ群21を保持するようになっており、レンズ保持部77にレンズ保持枠2を嵌挿して接着剤等で固定されるようにして保持する。
【0053】
そして、この筒体7は、次のようにして弾性部材6に保持されている。図7、図8に示すように、筒体7の被保持部70に弾性部材6の筒体保持部63が全周に亘って巻回されるようにして配設される。この状態で、筒体保持部63が上記通常状態よりも径が広がった状態になって弾性力が径内側に働き、その弾性力によって被保持部70を保持する。
【0054】
又、その弾性力によって、筒体7の受容凹部71に弾性部材6の第2挟持部62が入り込こむとともに、第2係止突片74に弾性部材6の第2係止部65が入り込み、更に、第1係止突片73に弾性部材6の第3係止部66が入り込む。これにより、筒体7に対する第2挟持部62の動きが規制され、筒体7に対する第2挟持部62の軸方向及び周方向への移動を規制できる。
【0055】
又、上記弾性力によって、第1係止突片73に弾性部材6の第1係止部64が入り込んだ状態にできる。これにより、筒体7に対する第1挟持部61の軸方向への移動を規制できる。
【0056】
又、この状態で、筒体保持部63が第1移動規制部75と第2移動規制部76とによって、弾性部材6が筒体7の軸方向の前後方向に相対的に移動するようなことが防止される。
【0057】
そして、このようにして筒体7を保持した弾性部材6の第1挟持部61と第2挟持部62との間に形成された上記挟持部7に、図7、図8に示すように第2筐体32に保持されたアクチュエータ4の駆動軸42を筒体保持部63の弾性力に抗して入れる。尚、図7、図8では、第2筐体32は、説明の都合上、省略されている。図9において同じである。
【0058】
これにより、第1挟持部61と第2挟持部62とで筒体保持部63の弾性力によって駆動軸42の軸方向に摺動可能且つ径方向に移動不能に駆動軸42を挟持でき、第1挟持部61と第2挟持部62とは駆動軸42を、筒体7の中心から駆動軸42を結ぶ径方向に挟持できる。この状態で、係合部材6,7は駆動軸42に所定の摩擦力で係合した状態になる。
【0059】
その際、第1挟持部61と第2挟持部62とに弾性力を働かせる筒体保持部63を、筒体7の外周を巻回する形状にしているため、筒体保持部63の長さを充分長くでき、バネ定数を低くできる。従って、弾性部材6の寸法誤差が発生してもバネ力量の敏感性を低く抑えることができ、アクチュエータ4の駆動軸42による駆動のばらつきを抑えることができる。
【0060】
又、1つの弾性部材の両端に配設された第1挟持部と第2挟持部とで駆動軸42の軸方向に摺動可能且つ径方向に移動不能に挟持するため、保持した筒体7は(弾性部材を介して)駆動軸42に支持された状態になり、筒体を弾性部材と共に駆動軸の軸方向に移動でき、筒体を案内するための案内軸等を不要にできる。従って、部品点数を少なくでき、組立性を向上できる。
【0061】
尚、係合部材6,7が駆動軸42と係合した後、上述のように第1筐体51が第2筐体52に連結され、その状態で、カバー33が第1筐体51側から被せられる。
【0062】
以上のように構成された撮像装置1は、アクチュエータ4の圧電素子41への電圧印加に伴って圧電素子41が軸方向に振動してその振動によって駆動軸42が往復移動する。そして、その往復移動によって所定の弾性力で係合した弾性部材6及びそれに保持された筒体7が光軸方向に移動する。
【0063】
より詳しくは、このアクチュエータ4では、圧電素子41に所定のデューティ比の矩形波を与えることによって圧電素子41の変位が三角波状となり、前記矩形波のデューティ比を変えることによって振幅の上昇時と下降時とで傾きの異なる三角波が発生する。アクチュエータ4の駆動メカニズムは、これを利用するものである。
【0064】
例えば、駆動軸42をゆっくりと振動させることで、その駆動軸42に所定の弾性力で摩擦係合している弾性部材6及び筒体7も前記振動に応じて移動し、前記所定の摩擦力を超える程の瞬時に、駆動軸42を振動させると、弾性部材6及び筒体7がそのまま取り残される。このような駆動軸42の軸方向の振動を繰返し行うことで、弾性部材6及び筒体7を駆動軸42の軸方向に移動させることが可能となる。
【0065】
そして、上記弾性部材6及び筒体7の駆動軸42の軸方向への移動に伴い、筒体7に保持されたレンズ群21がレンズ保持枠2を介して筒体7と共に、駆動軸42の軸方向である光軸方向に駆動される。
【符号の説明】
【0066】
1 撮像装置(レンズユニット)
2 レンズ保持枠(被駆動部材)
4 アクチュエータ
6 弾性部材(係合部材)
7 筒体(係合部材)
10 撮像装置本体
41 圧電素子(電気機械変換素子)
42 駆動軸
61 第1挟持部
62 第2挟持部
63 筒体保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械変換素子の第1端に連結された駆動軸を有するアクチュエータと、前記駆動軸に所定の摩擦力で係合した係合部材とを備え、前記係合部材を駆動軸によって駆動させることにより、前記係合部材に保持された被駆動部材を駆動させる駆動機構であって、
前記係合部材は、弾性部材と、前記被駆動部材を保持する筒体とを備え、
前記弾性部材は、前記筒体を保持した弾性を有する筒体保持部と、前記筒体保持部の第1端に配設された第1挟持部と、前記筒体保持部の第2端に配設された第2挟持部とを備え、
前記筒体保持部は、前記筒体の外周を巻回するように配設されて当該筒体保持部の弾性力によって前記筒体の外周を保持し、
前記第1挟持部と第2挟持部とは、前記保持した筒体が前記弾性部材と共に前記駆動軸の軸方向にのみ移動し得るように、前記筒体保持部の弾性力によって前記駆動軸の軸方向に摺動可能且つ径方向に移動不能に前記駆動軸を挟持していることを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記筒体は、前記筒体保持部が前記筒体に対して前記筒体の軸方向に移動しないように規制する移動規制部を備えていることを特徴とする請求項1記載の駆動機構。
【請求項3】
前記筒体保持部は、リング状のものであることを特徴とする請求項1又は2記載の駆動機構。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の駆動機構と、前記被駆動部材とを備え、
前記被駆動部材は、1又は複数のレンズを備えていることを特徴とするレンズユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−62997(P2013−62997A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201488(P2011−201488)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(303000408)コニカミノルタアドバンストレイヤー株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】