説明

駆動装置および方法

【課題】低コスト化かつ画質の向上を実現することができるようにする。
【解決手段】L行の水平期間(図18の例ではLH=2H)を合成した合成期間を単位として、その単位に含まれるL行の部分で閾値補正動作を共通に行った後、そのL行毎に信号書き込み動作を順次行う制御を行うためのスキャナには、閾値補正パルスを生成する第1の生成部分と信号書き込みパルスを生成する第2の生成部分とが設けられる。この第1の生成部分に対するクロックckは、合成期間(2H)を周期として、パルスP1,P2が、イネーブルenと図18の関係を満たすようにそれぞれ配置されて形成される。本発明は、例えば、ELパネルのスキャナに適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置および方法に関し、特に、パネルの低コスト化を実現することができるようにする、そのパネルの駆動装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子として有機EL(Electro Luminescent)デバイスを用いた平面自発光型のパネル(ELパネル)の開発が近年盛んになっている。有機ELデバイスは有機薄膜に電界をかけると発光する現象を利用したデバイスである。有機ELデバイスは印加電圧が10V以下で駆動するため低消費電力である。また有機ELデバイスは自ら光を発する自発光素子であるため、照明部材を必要とせず軽量化及び薄型化が容易である。さらに有機ELデバイスの応答速度は数μs程度と非常に高速であるので、動画表示時の残像が発生しない。
【0003】
有機ELデバイスを画素に用いた平面自発光型のパネルの中でも、とりわけ駆動素子として薄膜トランジスタを各画素に集積形成したアクティブマトリクス型のパネルの開発が盛んである。アクティブマトリクス型平面自発光パネルは、例えば以下の特許文献1乃至5に記載されている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−255856号公報
【特許文献2】特開2003−271095号公報
【特許文献3】特開2004−133240号公報
【特許文献4】特開2004−029791号公報
【特許文献5】特開2004−093682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、先行して普及してきている液晶ディスプレイ(LCD :Liquid Crystal Display)と比較すると、有機ELデバイスを画素に用いた平面自発光型のパネルについては、さらなる低コスト化が要請されている。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、パネルの低コスト化を実現することができる駆動装置やその方法等を提供できるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面の駆動装置は、駆動電流に応じて発光する発光素子と、映像信号をサンプリングするサンプリング用トランジスタと、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動用トランジスタと、所定の信号電位を保持する保持容量とを備える画素回路を行列状に配置するパネルに対する制御として、水平期間における閾値補正動作および信号書き込み動作の駆動を制御する駆動装置である。かかる駆動装置は、L行(Lは2以上の整数値)の水平期間を合成した合成期間を単位として、前記単位に含まれる前記L行の部分で前記閾値補正動作を共通に行った後、前記単位に含まれる前記L行毎に前記信号書き込み動作を順次行う制御を行う駆動方式が採用された駆動装置である。かかる駆動装置は、前記信号書き込み動作の駆動を制御する信号書き込みパルスを生成する第1の生成手段と、前記閾値補正動作の駆動を制御する閾値補正パルスを生成する第2の生成手段とを備えている。そして、前記第1の生成手段に対する第1のクロックは、前記合成期間を周期として、前記閾値補正パルスとほぼ同一時間長の第1のパルスと、前記合成期間を構成する前記L行分の第2のパルスからなるパルス群とが、同一の前記合成期間を構成する前記L行毎の前記信号書き込み動作を制御するために出力される前記信号書き込みパルスの位相差は、第1の位相差となり、隣接する前記合成期間同士の間で出力される前記信号書き込みパルスの位相差は、前記第1の位相差よりも長い第2の位相差となるように、それぞれ配置されて形成されている。
【0008】
前記第1の生成手段に対するイネーブルは、前記合成期間を構成する前記L行分の第3のパルスが前記第1の位相差の間隔で並ぶパルス群が複数存在し、隣接する前記パルス群の間隔が前記第2の位相差となるように形成されており、前記第1のクロックは、前記第2のパルスの立ち上がりまたは立ち下がりのタイミングが、前記イネーブルの前記パルス群を構成する前記L行分の前記第3のパルスのそれぞれの間に存在する第1の関係と、前記第1のパルスと前記第2のパルスとのうちの、一方の立ち上がり若しくは立ち下がりから、他方の立ち上がり若しくは立ち下がりまでの期間が、前記イネーブルの前記パルス群の配置期間よりも長いという第2の関係との関係を満たすように形成されている。
【0009】
前記第2の生成手段に対する第2のクロックが、前記合成期間を周期として、前記第1のクロックとは個別に設けられている。
【0010】
本発明の一側面の駆動方法は、上述した本発明の一側面の駆動装置に対応する方法である。
【0011】
本発明の一側面においては、駆動電流に応じて発光する発光素子と、映像信号をサンプリングするサンプリング用トランジスタと、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動用トランジスタと、所定の信号電位を保持する保持容量とを備える画素回路を行列状に配置するパネルに対する制御として、水平期間における閾値補正動作および信号書き込み動作の駆動が制御される。即ち、L行(Lは2以上の整数値)の水平期間を合成した合成期間を単位として、前記単位に含まれる前記L行の部分で前記閾値補正動作を共通に行った後、前記単位に含まれる前記L行毎に前記信号書き込み動作を順次行う制御が行われる。 詳細には、前記信号書き込み動作の駆動を制御する信号書き込みパルスを生成する第1の生成処理と、前記閾値補正動作の駆動を制御する閾値補正パルスを生成する第2の生成処理とが独立してそれぞれ実行される。そして、前記第1の生成処理に対する第1のクロックは、前記合成期間を周期として、前記閾値補正パルスとほぼ同一時間長の第1のパルスと、前記合成期間を構成する前記L行分の第2のパルスからなるパルス群とが、次の条件を満たすようにそれぞれ配置されている。即ち、同一の前記合成期間を構成する前記L行毎の前記信号書き込み動作を制御するために出力される前記信号書き込みパルスの位相差は、第1の位相差となり、隣接する前記合成期間同士の間で出力される前記信号書き込みパルスの位相差は、前記第1の位相差よりも長い第2の位相差となるといった条件を満たすように、それぞれ配置されて形成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一側面によれば、ELパネルの低コスト化を実現することができる。
【0013】
また、本発明の一側面によれば、画質を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書又は図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書又は図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書又は図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0015】
本発明の一側面の駆動装置は、
駆動電流に応じて発光する発光素子(例えば、図5の発光素子34)と、映像信号をサンプリングするサンプリング用トランジスタ(例えば、図5のサンプリング用トランジスタ31)と、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動用トランジスタ(例えば、図5の駆動用トランジスタ32)と、所定の信号電位を保持する保持容量(例えば、図5の保持容量33)とを備える画素回路を行列状に配置するパネルに対する制御として、水平期間における閾値補正動作および信号書き込み動作の駆動を制御する駆動装置(例えば図19や図22のライトスキャナ104)であって、
L行(Lは2以上の整数値)の水平期間を合成した合成期間を単位として、前記単位に含まれる前記L行の部分で前記閾値補正動作を共通に行った後(例えば、図16の例ではL=2とされており、時刻t22乃至時刻t29までに、K行目とK+1行目の閾値補正動作を共通に行った後)、前記単位に含まれる前記L行毎に前記信号書き込み動作を順次行う(K行目、K+1行目の順に信号書き込みを順次行う)制御を行う駆動方式が採用された駆動装置において、
前記信号書き込み動作の駆動を制御する信号書き込みパルス(例えば図17の信号書き込みパルスPw)を生成する第1の生成手段(例えば図19のPw作成部分201や、図22のPw作成部分301)と、
前記閾値補正動作の駆動を制御する閾値補正パルス(例えば図17の閾値補正パルスPt)を生成する第2の生成手段(例えば図19のPt作成部分202や、図22のPt作成部分302)と
を備え、
前記第1の生成手段に対する第1のクロック(例えば図19や図22のクロックck)は、前記合成期間(例えば図18の例では2H)を周期として、
前記閾値補正パルスとほぼ同一時間長の第1のパルス(例えば図18のパルスP1)と、前記合成期間を構成する前記L行分の第2のパルス(例えば図18のパルスP2)からなるパルス群とが
同一の前記合成期間を構成する前記L行毎の前記信号書き込み動作を制御するために出力される前記信号書き込みパルスの位相差は、第1の位相差(例えば図17や図18の位相差T1)となり、隣接する前記合成期間同士の間で出力される前記信号書き込みパルスの位相差は、前記第1の位相差よりも長い第2の位相差(例えば図17や図18の位相差T2)となるように、
それぞれ配置されて形成されている。
【0016】
前記第1の生成手段に対するイネーブル(例えば図18、図19、図22のイネーブルen)は、前記合成期間を構成する前記L行分の第3のパルス(例えば図18のパルス)が前記第1の位相差の間隔で並ぶパルス群が複数存在し、隣接する前記パルス群の間隔が前記第2の位相差となるように形成されており(例えば図18参照)、
前記第1のクロックは、
前記第2のパルスの立ち上がりまたは立ち下がりのタイミングが、前記イネーブルの前記パルス群を構成する前記L行分の前記第3のパルスのそれぞれの間に存在する第1の関係(例えば図18の関係参照)と、
前記第1のパルスと前記第2のパルスとのうちの、一方の立ち上がり若しくは立ち下がりから、他方の立ち上がり若しくは立ち下がりまでの期間(例えば図18の期間Tp)が、前記イネーブルの前記パルス群の配置期間よりも長いという第2の関係(例えば図18の関係参照)と
の関係を満たすように形成されている。
【0017】
前記第2の生成手段に対する第2のクロック(例えば図19のクロックck2)が、前記合成期間を周期として、前記第1のクロックとは個別に設けられている。
【0018】
以下、図を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
最初に、本発明の理解を容易にし、且つ、背景を明らかにするため、有機ELデバイスを用いたパネル(以下、ELパネルと称する)の基本となる構成と動作について図1乃至図15を参照して説明する。
【0020】
図1は、基本となるELパネルの構成例を示すブロック図である。
【0021】
図1のELパネル100は、N×M個の画素(画素回路)101−(1,1)乃至101−(N,M)が行列状に配置されている画素アレイ部102と、これを駆動する駆動部である水平セレクタ(HSEL)103、ライトスキャナ(WSCN)104、および電源スキャナ(DSCN)105とにより構成されている。
【0022】
また、ELパネル100は、M本の走査線WSL10−1乃至10−M、M本の電源線DSL10−1乃至10−M、およびN本の映像信号線DTL10−1乃至10−Nも有する。
【0023】
なお、以下において、走査線WSL10−1乃至10−M、映像信号線DTL10−1乃至10−N、画素101−(1,1)乃至101−(N,M)、または電源線DSL10−1乃至10−Mのそれぞれを特に区別する必要がない場合、単に、走査線WSL10、映像信号線DTL10、画素101、または電源線DSL10と称する。
【0024】
画素101−(1,1)乃至101−(N,M)のうちの第1行目の画素101−(1,1)乃至101−(N,1)は、走査線WSL10−1でライトスキャナ104と、電源線DSL10−1で電源スキャナ105とそれぞれ接続されている。また、画素101−(1,1)乃至101−(N,M)のうちの第M行目の画素101−(1,M)乃至101−(N,M)は、走査線WSL10−Mでライトスキャナ104と、電源線DSL10−Mで電源スキャナ105とそれぞれ接続されている。画素101−(1,1)乃至101−(N,M)の行方向に並ぶその他の画素101についても同様である。
【0025】
また、画素101−(1,1)乃至101−(N,M)のうちの第1列目の画素101−(1,1)乃至101−(1,M)は、映像信号線DTL10−1で水平セレクタ103と接続されている。画素101−(1,1)乃至101−(N,M)のうちの第N列目の画素101−(N,1)乃至101−(N,M)は、映像信号線DTL10−Nで水平セレクタ103と接続されている。画素101−(1,1)乃至101−(N,M)の列方向に並ぶその他の画素101についても同様である。
【0026】
ライトスキャナ104は、走査線WSL10−1乃至10−Mに水平周期(1H)で順次制御信号を供給して画素101を行単位で線順次走査する。電源スキャナ105は、線順次走査に合わせて電源線DSL10−1乃至10−Mに第1電位(後述するVcc)または第2電位(後述するVss)の電源電圧を供給する。水平セレクタ103は、線順次走査に合わせて各水平期間内(1H)で映像信号となる信号電位Vsigと基準電位Vofsとを切換えて列状の映像信号線DTL10−1乃至10−Mに供給する。
【0027】
図1のように構成されるELパネル100に、ソースドライバおよびゲートドライバとからなるドライバIC(Integrated Circuit)が付加されることによりパネルモジュールが構成され、さらに、パネルモジュールに、電源回路、画像LSI(Large Scale Integration)などを付加したものが表示装置となる。ELパネル100を含む表示装置は、例えば、携帯電話機、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、テレビジョン受像機、プリンタ等の表示部として使用することができる。
【0028】
図2は、図1に示したELパネル100に含まれるN×M個の画素101のうちの1つの画素101を拡大することにより、画素101の詳細な構成を示したブロック図である。
【0029】
なお、図2において画素101と接続されている走査線WSL10、映像信号線DTL10、および電源線DSL10は、図1から明らかなように、画素101−(n,m)(n=1,2,・・・,N,m=1,2,・・・,M)に対して、走査線WSL10−(n,m)、映像信号線DTL10−(n,m)、および電源線DSL10−(n,m)となる。
【0030】
図2に示す画素101の構成は、従来から用いられている構成であり、この構成を有する画素101を画素101aと呼ぶことにする。
【0031】
画素101aは、サンプリング用トランジスタ21、駆動用トランジスタ22、保持容量23、および有機EL素子である発光素子24を含む。ここで、サンプリング用トランジスタ21はNチャネル型トランジスタであり、駆動用トランジスタ22はPチャネル型トランジスタである。サンプリング用トランジスタ21のゲートは走査線WSL10に接続し、サンプリング用トランジスタ21のドレインが映像信号線DTL10に接続し、ソースが駆動用トランジスタ22のゲートgに接続している。
【0032】
駆動用トランジスタ22のソースsは電源線DSL10と接続され、ドレインdは発光素子24のアノードと接続されている。保持容量23は、駆動用トランジスタ22のソースsとゲートgの間に接続されている。また、発光素子24のカソードは接地されている。
【0033】
有機EL素子は電流発光素子であるため、発光素子24に流れる電流値をコントロールすることで、発色の階調を得ることができる。図2の画素101aでは、駆動用トランジスタ22のゲート印加電圧を変化させることで、発光素子24に流れる電流値をコントロールしている。
【0034】
より具体的には、駆動用トランジスタ22のソースsは電源線DSL10に接続されており、常に飽和領域で動作するように設計されているので、駆動用トランジスタ22は、次式(1)で表される電流値Idsを流す定電流源として機能する。
【数1】

【0035】
式(1)において、μは移動度を示し、Wはゲート幅を表し、Lはゲート長を表し、Coxは単位面積あたりのゲート酸化膜容量を示す。また、Vgsは、駆動用トランジスタ22のゲートgとソースs間の電圧(ゲートソース間電圧)であり、Vthは、駆動用トランジスタ22の閾値電圧である。なお、飽和領域とは、(Vgs−Vth<Vds)の条件を満たした状態をいう(Vdsは、駆動用トランジスタ22のソースsとドレインd間の電圧)。
【0036】
図2の画素101aでは、経時劣化により有機EL素子のI−V特性は、図3に示すように変化し、駆動用トランジスタ22のドレイン電圧は変化するが、駆動用トランジスタ22のゲートソース間電圧Vgsを一定に保つことで、発光素子24には一定量の電流Idsが流れる。即ち、電流Idsと、有機EL素子の発光輝度とは比例関係にあるので、輝度自体は経時劣化によってもほぼ変化しない。
【0037】
しかしながら、Pチャネル型トランジスタは、低温ポリシリコンよりも安価に作成できるアモルファスシリコンで作成することができないため、より安価に画素回路を構成しようとする場合には、Nチャネル型トランジスタで構成する方が望ましい。
【0038】
そこで、図4の画素101bに示すように、Pチャネル型である駆動用トランジスタ22をNチャネル型の駆動用トランジスタ25に代えることが考えられる。
【0039】
すなわち、図4の画素101bは、図3に示した画素101aの構成のうち、Pチャネル型の駆動用トランジスタ22をNチャネル型の駆動用トランジスタ25に代えた構成を示している。
【0040】
図4の画素101bの構成では、駆動用トランジスタ25のソースsが発光素子24に接続されてしまうため、有機EL素子の経時変化とともに駆動用トランジスタ25のゲートソース間電圧Vgsが変化してしまう。これにより、発光素子24に流れる電流が変化し、発光輝度は変化してしまう。また、画素101bごとに駆動用トランジスタの閾値電圧Vthおよび移動度μは異なるため、式(1)に応じて電流値Idsにバラツキが生じ、発光輝度も画素ごとに異なることになる。
【0041】
そこで、有機EL素子の経時劣化、駆動用トランジスタの特性バラツキを防止し、かつ、画素101を構成する素子数が少ない回路として、後述する本発明を適用したELパネルにも採用する図5に示す画素101cの構成が、本出願人により提案されている。
【0042】
図5の画素101cは、サンプリング用トランジスタ31、駆動用トランジスタ32、保持容量33、および発光素子34を有する。サンプリング用トランジスタ31のゲートは走査線WSL10と接続され、サンプリング用トランジスタ31のドレインは映像信号線DTL10と接続されるとともに、ソースが駆動用トランジスタ32のゲートgと接続されている。
【0043】
駆動用トランジスタ32のソースs及びドレインdの一方は発光素子34のアノードに接続され、他方が電源線DSL10に接続される。保持容量33は、駆動用トランジスタ32のゲートgと発光素子34のアノードの間に接続されている。また、発光素子34のカソードは所定の電位Vcatに設定されている配線35に接続されている。
【0044】
以上のように構成される画素101cにおいて、サンプリング用トランジスタ31が、走査線WSL10から供給された制御信号に応じてオン(導通)すると、保持容量33は、映像信号線DTL10を介して水平セレクタ103から供給された電荷を蓄積して保持する。駆動用トランジスタ32は、第1電位Vccにある電源線DSL10から電流の供給を受け、保持容量33に保持された信号電位Vsigに応じて駆動電流Idsを発光素子34に流す。発光素子34に所定の駆動電流Idsが流れることにより、画素101cが発光する。
【0045】
画素101cは、閾値補正機能を有する。閾値補正機能とは、駆動用トランジスタ32の閾値電圧Vthに相当する電圧を保持容量33に保持させる機能であり、これにより、ELパネル100の画素毎のばらつきの原因となる駆動用トランジスタ32の閾値電圧Vthの影響をキャンセルすることができる。
【0046】
また、画素101cは、上述した閾値補正機能に加え、移動度補正機能も有する。移動度補正機能とは、保持容量33に信号電位Vsigを保持する際、駆動用トランジスタ32の移動度μに対する補正を信号電位Vsigに加える機能である。
【0047】
さらに、画素101cは、ブートストラップ機能も備えている。ブートストラップ機能とは、駆動用トランジスタ32のソース電位Vsの変動にゲート電位Vgを連動させる機能であり、これにより、駆動用トランジスタ32のゲートgとソースs間の電圧Vgsを一定に維持することが出来る。
【0048】
なお、閾値補正機能、移動度補正機能、およびブートストラップ機能については、後述する図10、図14、および図15などでも説明する。
【0049】
以下では、単に画素101という場合であっても、画素101は、図5に示した画素101cの構成を有しているものとする。
【0050】
図6は、画素101の動作を説明するタイミングチャートである。
【0051】
図6は、同一の時間軸(図面横方向)に対する走査線WSL10、電源線DSL10、および映像信号線DTL10の電位変化と、それに対応する駆動用トランジスタ32のゲート電位Vg及びソース電位Vsの変化を示している。
【0052】
図6において、時刻t1までの期間は、前の水平期間(1H)の発光がなされている発光期間T1である。
【0053】
発光期間T1が終了した時刻t1から時刻t4までは、駆動用トランジスタ32のゲート電位Vg及びソース電位Vsを初期化することで閾電圧補正動作の準備を行う閾値補正準備期間T2である。
【0054】
閾値補正準備期間T2では、時刻t1において、電源スキャナ105が、電源線DSL10の電位を高電位であるVccから低電位であるVssに切換え、時刻t2において、水平セレクタ103が、映像信号線DTL10の電位を信号電位Vsigから基準電位Vofsに切換える。次に、時刻t3において、ライトスキャナ104が、走査線WSL10の電位を高電位に切換え、サンプリング用トランジスタ31をオンさせる。これにより、駆動用トランジスタ32のゲート電位Vgが基準電位Vofsにリセットされ、且つ、ソース電位Vsが映像信号線DTL10の低電位Vssにリセットされる。
【0055】
時刻t4から時刻t5までは、閾値補正動作を行う閾値補正期間T3である。閾値補正期間T3では、時刻t4において、電源スキャナ105により、電源線DSL10の電位が高電位Vccに切換えられ、閾値電圧Vthに相当する電圧が、駆動用トランジスタ32のゲートgとソースsとの間に接続された保持容量33に書き込まれる。
【0056】
時刻t5から時刻t7までの書き込み+移動度補正準備期間T4では、走査線WSL10の電位が高電位から低電位一旦切換えられるとともに、時刻t7の前の時刻t6において、水平セレクタ103が、映像信号線DTL10の電位を基準電位Vofsから階調に応じた信号電位Vsigに切換える。
【0057】
そして、時刻t7から時刻t8までの書き込み+移動度補正期間T5において、映像信号の書き込みと移動度補正動作が行われる。即ち、時刻t7から時刻t8までの間、走査線WSL10の電位が高電位に設定され、これにより、映像信号の信号電位Vsigが閾値電圧Vthに足し込まれる形で保持容量33に書き込まれると共に、移動度補正用の電圧ΔVμが保持容量33に保持された電圧から差し引かれる。
【0058】
書き込み+移動度補正期間T5終了後の時刻t8において、走査線WSL10の電位が低電位に設定され、それ以降、発光期間T6として、信号電圧Vsigに応じた発光輝度で発光素子34が発光する。信号電圧Vsigは、閾値電圧Vthに相当する電圧と移動度補正用の電圧ΔVμとによって調整されているため、発光素子34の発光輝度は駆動用トランジスタ32の閾値電圧Vthや移動度μのばらつきの影響を受けることがない。
【0059】
なお、発光期間T6の最初でブートストラップ動作が行われ、駆動用トランジスタ32のゲート‐ソース間電圧Vgs=Vsig+Vth−ΔVμを一定に維持したまま、駆動用トランジスタ32のゲート電位Vg及びソース電位Vsが上昇する。
【0060】
また、時刻t8から所定時間経過後の時刻t9において、映像信号線DTL10の電位が、信号電位Vsigから基準電位Vofsに落とされる。図6において、時刻t2から時刻t9までの期間は水平期間(1H)に相当する。
【0061】
以上のようにして、画素101として画素101cの構成を有するELパネル100では、駆動用トランジスタ32の閾値電圧Vthや移動度μのばらつきの影響を受けることがなく、発光素子34を発光させることができる。
【0062】
図7乃至図15を参照して、画素101(101c)の動作についてさらに詳細に説明する。
【0063】
図7は、発光期間T1の画素101の状態を示している。
【0064】
発光期間T1では、サンプリング用トランジスタ31がオフ(走査線WSL10の電位が低電位)、かつ電源線DSL10の電位が高電位Vccとなっており、駆動用トランジスタ32が駆動電流Idsを発光素子34に供給している。このとき駆動用トランジスタ32は飽和領域で動作するように設定されているため、発光素子34に流れる駆動電流Idsは、駆動用トランジスタ32のゲートソース間電圧Vgsに応じて式(1)で表される値をとる。
【0065】
そして、閾値補正準備期間T2の最初の時刻t1において、図8に示すように、電源スキャナ105は、電源線DSL10の電位を高電位Vcc(第1電位)から低電位Vss(第2電位)に切換える。このとき電源線DSL10の電位Vssが発光素子34の閾値電圧Vthelとカソード電位Vcatの和よりも小さければ(Vss<Vthel+Vcat)発光素子34は消光し、駆動用トランジスタ32の電源線DSL10と接続された側がソースsとなる。また、発光素子34のアノードは電位Vssに充電される。
【0066】
次に、図9に示すように、時刻t2において、水平セレクタ103が映像信号線DTL10の電位を基準電位Vofsにした後、時刻t3において、ライトスキャナ104が、走査線WSL10の電位を高電位に切換えることより、サンプリング用トランジスタ31をオンにする。これにより、駆動用トランジスタ32のゲート電位VgはVofsとなり、ゲートソース間電圧Vgsは、Vofs−Vssという値をとる。ここで、駆動用トランジスタ32のゲートソース間電圧Vgsである(Vofs−Vss)は、次の閾値補正期間T3で閾値補正動作を行うため、閾値電圧Vthよりも大である(Vofs−Vss>Vth)必要がある。逆に言うと、(Vofs−Vss>Vth)の条件を満たすように、電位VofsおよびVssが設定される。
【0067】
そして、閾値補正期間T3の最初の時刻t4において、図10に示すように、電源スキャナ105が電源線DSL10の電位を低電位Vssから高電位Vccに切換えると、駆動用トランジスタ32の発光素子34のアノードと接続されている側がソースsとなり、図10において1点鎖線で示されるように電流が流れる。
【0068】
ここで、発光素子34は等価的にダイオード34Aと寄生容量をCelとする保持容量34Bで表すことができ、発光素子34のリーク電流が駆動用トランジスタ32に流れる電流よりもかなり小さい(Vel≦Vcat+Vthelを満たす)という条件の下では、駆動用トランジスタ32に流れる電流は保持容量33と34Bを充電するために使用される。発光素子34のアノード電位Vel(駆動用トランジスタ32のソース電位Vs)は、図11に示されるように、駆動用トランジスタ32を流れる電流に応じて上昇する。所定時間経過後、駆動用トランジスタ32のゲートソース間電圧VgsがVthという値をとる。また、このときの発光素子34のアノード電位Velは(Vofs−Vth)である。ここで、発光素子34のアノード電位Velは、発光素子34の閾値電圧Vthelとカソード電位Vcatの和以下となっている(Vel=(Vofs−Vth)≦(Vcat+Vthel))。
【0069】
その後、時刻t5において、図12に示されるように、走査線WSL10の電位が高電位から低電位に切替えられ、サンプリング用トランジスタ31がオフして閾値補正動作(閾値補正期間T3)が完了する。
【0070】
続く書き込み+移動度補正準備期間T4の時刻t6において、水平セレクタ103によって、映像信号線DTL10の電位が、基準電位Vofsから、階調に応じた信号電位Vsigに切換えられた(図12)後、書き込み+移動度補正期間T5に入り、図13に示されるように、時刻t7において、走査線WSL10の電位が高電位に設定されることでサンプリング用トランジスタ31がオンして、映像信号の書き込みと移動度補正動作が行われる。駆動用トランジスタ32のゲート電位Vgは、サンプリング用トランジスタ31がオンしているため信号電位Vsigとなるが、サンプリング用トランジスタ31には電源線DSL10からの電流が流れるため、駆動用トランジスタ32のソース電位Vsは、時間とともに上昇していく。
【0071】
駆動用トランジスタ32の閾値補正動作は既に完了している。よって、式(1)の右辺の閾値補正の項、即ち(Vsig−Vofs)2の項の影響はなくなるので、駆動用トランジスタ32が流す電流Idsは移動度μを反映したものとなる。具体的には、図14に示されるように、移動度μが大きい場合には、駆動用トランジスタ32が流す電流Idsは大きくなり、ソース電位Vsの上昇も早い。一方、移動度μが小さい場合には、駆動用トランジスタ32が流す電流Idsは小さくなり、ソース電位Vsの上昇は遅くなる。換言すると、一定時間経過時点では、移動度μが大きい場合には、駆動用トランジスタ32のソース電位Vsの上昇量△Vμ(電位補正値)は大きくなり、移動度μが小さい場合には、駆動用トランジスタ32のソース電位Vsの上昇量△Vμ(電位補正値)は小さくなる。これによって、各画素101の駆動用トランジスタ32のゲートソース間電圧Vgsのバラツキが、移動度μを反映して小さくなり、一定時間経過後の各画素101のゲートソース間電圧Vgsは、移動度μのバラツキを完全に補正した電圧となる。
【0072】
時刻t8において、走査線WSL10の電位が低電位に設定されることでサンプリング用トランジスタ31がオフして、書き込み+移動度補正期間T5が終了し、発光期間T6となる(図15)。
【0073】
発光期間T6では、駆動用トランジスタ32のゲートソース間電圧Vgsは一定であるので、駆動用トランジスタ32は一定電流Ids’を発光素子34に供給し、発光素子34のアノード電位Velは、発光素子34に一定電流Ids’という電流が流れる電圧Vxまで上昇し、発光素子34は発光する。駆動用トランジスタ32のソース電位Vsが上昇すると、保持容量33のブートストラップ機能により、駆動用トランジスタ32のゲート電位Vgも連動して上昇する。
【0074】
画素101cを採用した画素101においても、発光素子34は、発光時間が長くなると、I−V特性は変化する。そのため、図15に示されるB点の電位も時間とともに変化する。しかしながら、駆動用トランジスタ32のゲートソース間電圧Vgsは一定値に保たれているので、発光素子34に流れる電流は変化しない。したがって、発光素子のI−V特性が経時劣化しても、一定電流Ids’が流れ続けるので、発光素子34の輝度が変化することはない。
【0075】
以上のように、画素101(101c)を備える図5のELパネル100においては、閾値補正機能および移動度補正機能によって画素101ごとの閾値電圧Vth及び移動度μの相違を補正することができる。また、発光素子34の経時変動(劣化)も補正することができる。
【0076】
これにより、図5のELパネル100を用いた表示装置では、高品位な画質を得ることが可能である。
【0077】
ここで、ELパネル100の駆動制御方式として、より高精細化、高速化に対応したタイミングとして、L行(Lは2以上)の水平期間を合成した期間(以下、このような期間、即ちLHを、合成期間と称する)を単位として、その単位に含まれるL行の部分で閾値補正動作を共通に行った後、そのL行毎に信号書き込み動作を順次行う駆動方式(以下、閾値補正合成方式と称する)が提案されている。図16は、L=2の場合の閾値補正合成方式の一例を説明するタイミングチャートである。
【0078】
時刻t21において、電源スキャナ105は、K行目の電源線DSL10−Kに供給する電位を高電位Vccから低電位Vssに切換える。なお、時刻t21においては、K行目の走査線WSL10−Kの電位および映像信号線DTL10−1乃至10−Nの各電位は、低電位側に設定されている。これにより、前フィールドについてのK行目発光期間が終了する。
【0079】
時刻t22において、電源スキャナ105は、K+1行目の電源線DSL10−(K+1)に供給する電位を高電位Vccから低電位Vssに切換える。なお、時刻t22においては、K+1行目の走査線WSL10−(K+1)の電位および映像信号線DTL10−1乃至10−Nの各電位は、低電位側に設定されている。これにより、前フィールドについてのK+1行目発光期間が終了する。
【0080】
時刻t23において、ライトスキャナ104が、供給する電位を走査線WSL10−K,10−(K+1)に対して同時に高電位に切換える。これにより、図9を参照して説明したように、駆動用トランジスタ32のゲート電位VgはVofsとなり、ソース電位VsはVssとなる。その結果、ゲートソース間電圧Vgsが駆動用トランジスタ32の閾値電圧Vthよりも大であるVofs−Vss(>Vth)という値をとることになり、閾値補正を行う前の閾値補正準備動作が行われている。この動作を終了すべく、時刻t24において、ライトスキャナ104が、供給する電位を走査線WSL10−K,10−(K+1)に対して同時に低電位に切換える。即ち、時刻t23から時刻t24までが閾値補正準備期間である。
【0081】
閾値補正の準備が完了すると、時刻t25において、ライトスキャナ104が、供給する電位を走査線WSL10−K,10−(K+1)に対して同時に高電位に切換える。そして、時刻t26において、電源スキャナ105は、電源線DSL10−K,10−(K+1)に供給する電位を低電位Vssから高電位Vccに同時に切換える。これにより、K行目とK+1行目の全画素101で同時に閾値補正動作が開始される。すなわち、図10を参照して説明したように、発光素子34のアノード電位Vel(駆動用トランジスタ32のソース電位)が、駆動用トランジスタ32を流れる電流に応じて上昇し、所定時間後には(Vofs−Vth)に等しくなる。時刻t27には、走査線WSL10−K,10−(K+1)のそれぞれに供給する電位が、ライトスキャナ104により、一斉に低電位に切換えられ、閾値補正動作が終了する。
【0082】
さらに、時刻t28において、ライトスキャナ104が、供給する電位を走査線WSL10−K,10−(K+1)に対して同時に高電位に切換える。このとき、電源線DSL10−K,10−(K+1)の電位は高電位Vccに保たれているので、K行目とK+1行目の全画素101で同時に2回目の閾値補正動作が開始される。そして、時刻t29には、走査線WSL10−K,10−(K+1)のそれぞれに供給する電位が、ライトスキャナ104により、一斉に低電位に切換えられ、2回目の閾値補正動作が終了する。
【0083】
その後、映像信号線DTL10−1乃至10−Nそれぞれの電位が階調に応じた信号電位Vsigに設定されると、時刻t30において、ライトスキャナ104は、走査線WSL10−Kに対して、供給する電位をTs時間だけ高電位に切換える。Ts時間だけ高電位に切換えられたK行の画素101の発光素子34は発光する。
【0084】
その後、映像信号線DTL10−1乃至10−Nそれぞれの電位が階調に応じた信号電位Vsig2(>Vsig)に設定されると、時刻t30からT1時間経過後の時刻t31において、ライトスキャナ104は、走査線WSL10−(K+1)に対して、供給する電位をTs時間だけ高電位に切換える。Ts時間だけ高電位に切換えられたK+1行の画素101の発光素子34は発光する。
【0085】
なお、走査線WSL10−K,WSL10−(K+1)の電位が高電位に設定されるそれぞれのTs時間では、図13を参照して説明したように、駆動用トランジスタ32のソース電位Vsも上昇していくので、映像信号の書き込みとともに移動度補正も行われている。
【0086】
このようにして、同一の合成期間に含まれるK行とK+1行においては、共通の閾値補正期間で閾値補正が行われた後、K行、K+1行の順で、T1時間の間隔を開けて、即ち位相差T1で信号書き込みが順次行われる。
【0087】
このような動作が、その他の行についても行われる。即ち、画面全体を画素単位でみると、行番号1乃至Mの順番に(線順次に)信号書き込みが行われる。ただし、画面全体を合成期間の単位でみると、図17に示されるように、1つの合成期間内では位相差T1で、隣接する合成期間同士の間では位相差T2(>T1)で、信号書き込みが順次行われていくことになる。
【0088】
なお、合成期間を構成する水平期間の数、即ち、同一の合成期間に含まれる行の数は、上述の例では2行とされていたが、特に2行に限定されず、3行以上でも構わない。ただし、3行以上を含む合成期間であっても、合成期間内での各行の位相差は、上述の例と同一の位相差T1で一定に保たれているとする。
【0089】
即ち、閾値補正合成方式では、同一の合成期間内では、閾値補正準備と閾値補正は同一タイミングで行われ、その後、信号書き込みは行毎に位相差T1で順次行われる。また、隣接する合成期間同士の間では位相差T2で、信号書き込みが行われる。
【0090】
よって、このような閾値補正合成方式を適用するライトスキャナ104、即ち、図17のように走査線電位を制御することができるライトスキャナ104を、従来の技術を利用して具現化しようとすると、その構成が難しくかつ煩雑なものとなり、狭額縁化や低コスト化を図ることができない。
【0091】
そこで、本発明人は、閾値補正合成方式を適用するライトスキャナ104、即ち、図17のように走査線電位を制御することができるライトスキャナ104の構成として、次のような構成を発明した。
【0092】
なお以下、図17の記載にあわせて、各走査線電位の各パルスうちの、閾値補正準備動作または閾値補正動作の駆動を制御するパルスを、閾値補正パルスPtと称し、信号書き込み動作の駆動を制御するパルスを信号書き込みパルスPwと称する。
【0093】
この場合、ライトスキャナ104は、信号書き込みパルスPwを作成する部分(以下、Pw作成部分と称する)と、閾値補正パルスPtを作成する部分(以下、Pt作成部分と称する)を個別に有しているとする。
【0094】
このような構成のライトスキャナ104の大きな特徴としては、次の3点が挙げられる。
【0095】
即ち、1点目は、ライトスキャナ104のクロックの周期は、合成期間、即ち、L行分の水平期間となっている点である。
【0096】
2点目は、Pw作成部分のクロックとPt作成部分のクロックが異なっている点である。そこで、以下、前者のクロックを書きクロックckと記述し、後者のクロックをクロックck2と記述する。なお、後述する図22に示されるように、クロックck2は必須ではない。即ち、クロックck2が存在しない場合も含めて、クロックckとクロックck2とは異なっていると表現しているのである。
【0097】
3点目は、クロックckは、その周期内に、閾値補正パルスPtとほぼ同一時間長の第1のパルスと、合成期間に含まれる行数分の第2のパルスを含んでいる点である。
【0098】
具体的には例えば、上述の例にあわせて、合成期間が2Hである場合、即ち、合成期間に2行が含まれる場合について、この3点目について説明する。この場合、クロックckは、図18に示されるように、第1のパルスとしてパルスP1を含み、第2のパルスとしてパルスP2を含むように形成される。
【0099】
ここで、閾値補正合成方式の信号書き込み動作では、上述したように、同一の合成期間内では一定の位相差T1で遷移していくが、隣接する合成期間同士の間の位相差T2は、位相差T1よりも長くなるという特徴を有しいている。かかる特徴を実現すべく、Pw作成部分に対するクロックckは、Pw作成部分に対するイネーブルenとの間に次のような関係を満たすように生成される。
【0100】
即ち、図18に示されるように、イネーブルenは、合成期間に含まれる行数分(ここでは2行分)のパルスが位相差T1の間隔で並び、その後、次のパルスとの間隔が位相差T2となるように形成されている。換言すると、イネーブルenは、位相差T1の間隔で並ぶパルス群を単位として見た場合、各パルス群が位相差T2の間隔で並ぶように形成されている。
【0101】
このようなイネーブルetが存在する場合、クロックctのパルスP2は、次の第1の関係と第2の関係を満たすように配置される。即ち、第1の関係とは、パルスP2の立ち上がり時刻tp2uまたは立ち下がり時刻tp2dが、イネーブルenの位相差T1の間隔で並ぶパルス群の各パルスの間に存在するという関係をいう。また、第2の関係とは、パルスP1とパルスP2とのうちの、一方の立ち上がり若しくは立ち下がりから、他方の立ち上がり若しくは立ち下がりまでの期間Tpが、イネーブルenの位相差T1の間隔で並ぶパルス群の配置期間よりも長いという関係である。
【0102】
以上の3点の特徴を有するライトスキャナ104の構成が、本発明人により発明された構成のひとつである。換言すると、本発明が適用されるライトスキャナ104としては、以上の3点の特徴を有する構成であれば、その実施の形態は特に限定されず、様々な形態を取ることができる。
【0103】
具体的には例えば、図19は、本発明が適用されるライトスキャナ104の構成例であって、合成期間2が2Hである場合、即ち、合成期間に2行が含まれる場合の構成例を示すブロック図である。ただし、便宜上、図19には、ライトスキャナ104のうちの、1つの合成期間であるK行とK+1行についての制御部分、即ち、走査線WSL10−K乃至WSL10−(K+3)の出力電位を図17のように制御する部分のみが図示されている。
【0104】
図19のライトスキャナ104には、Pw作成部分201、Pt作成部分202、および出力制御部分203が設けられている。
【0105】
Pw作成部分201には、シフトレジスタ211−1乃至211−6等が設けられており、スタートパルスspを順次転送すべく、その順番で接続されている。なお、等と記載した理由は、図19には図示せぬシフトレジスタがさらにPw作成部分201に設けられているからである。
【0106】
シフトレジスタ211−1乃至211−6には、スタートパルスspの転送タイミングを制御すべく、クロックckとその反転クロックxckが入力される。
【0107】
また、Pw作成部分201には、AND回路212−1乃至211−5等が設けられている。なお、等と記載した理由は、図19には図示せぬAND回路がさらにPw作成部分201に設けられているからである。
【0108】
なお、図19において、数字kが内部に付された丸印は、信号を示している。そこで、本明細書においては、かかる信号を特定すべく、信号丸kという表現を用いることにする。
【0109】
AND回路212−1には、シフトレジスタ211−1の出力信号丸1、シフトレジスタ211−2の出力信号丸2、および、イネーブルenが入力される。AND回路212−1の出力信号丸6は、後述するOR回路215−1に入力される。
【0110】
AND回路212−2には、シフトレジスタ211−2の出力信号丸2、シフトレジスタ211−3の出力信号丸3、および、イネーブルenが入力される。AND回路212−2の出力信号丸7は、後述するOR回路215−2に入力される。
【0111】
AND回路212−3には、シフトレジスタ211−3の出力信号丸3、シフトレジスタ211−4の出力信号丸4、および、イネーブルenが入力される。なお、AND回路212−3の出力がない点については後述する。
【0112】
AND回路212−4には、シフトレジスタ211−4の出力信号丸4、シフトレジスタ211−5の出力信号丸5、および、イネーブルenが入力される。AND回路212−4の出力信号丸8は、後述するOR回路215−3に入力される。
【0113】
AND回路212−5には、シフトレジスタ211−5の出力信号丸5、シフトレジスタ211−6の出力信号、および、イネーブルenが入力される。AND回路212−5の出力信号は、後述するOR回路215−4に入力される。
【0114】
Pt作成部分202には、シフトレジスタ213−1乃至213−3等が設けられており、スタートパルスsp2を順次転送すべく、その順番で接続されている。なお、等と記載した理由は、図19には図示せぬシフトレジスタがさらにPt作成部分202に設けられているからである。
【0115】
シフトレジスタ213−1乃至213−3には、スタートパルスsp2の転送タイミングを制御すべく、クロックck2とその反転クロックxck2が入力される。
【0116】
また、Pt作成部分202には、AND回路214−1,214−2等が設けられている。なお、等と記載した理由は、図19には図示せぬAND回路がさらにPt作成部分202に設けられているからである。
【0117】
AND回路214−1には、シフトレジスタ213−1の出力信号A、シフトレジスタ213−2の出力信号B、および、イネーブルen2が入力される。AND回路214−1の出力信号Dは、後述するOR回路215−1,215−2に入力される。
【0118】
AND回路214−2には、シフトレジスタ213−2の出力信号B、シフトレジスタ213−3の出力信号C、および、イネーブルen2が入力される。AND回路214−2の出力信号は、後述するOR回路215−3,215−4に入力される。
【0119】
出力制御部分203には、OR回路215−1乃至215−4等、および、バッファ216−1乃至216−4等が設けられている。なお、等と記載した理由は、図19には図示せぬOR回路やバッファがさらに出力制御部分203に設けられているからである。
【0120】
OR回路215−1には、AND回路212−1の出力信号丸6、AND回路214−1の出力信号Dが入力される。OR回路215−1の出力信号Eは、バッファ216−1を介して、K行目の走査線WSL10−Kに出力される。
【0121】
OR回路215−2には、AND回路212−2の出力信号丸7、AND回路214−1の出力信号Dが入力される。OR回路215−2の出力信号Fは、バッファ216−2を介して、K+1行目の走査線WSL10−(K+1)に出力される。
【0122】
OR回路215−3には、AND回路212−4の出力信号丸8、AND回路214−2の出力信号が入力される。OR回路215−3の出力信号は、バッファ216−3を介して、K+2行目の走査線WSL10−(K+2)に出力される。
【0123】
OR回路215−4には、AND回路212−5の出力信号、AND回路214−2の出力信号が入力される。OR回路215−4の出力信号は、バッファ216−4を介して、K+3行目の走査線WSL10−(K+3)に出力される。
【0124】
次に、図20と図21を参照して、図19の構成のライトスキャナ104の動作例について説明する。
【0125】
ただし、図16との対応関係を明確にすべく、図16のK行目の走査線WSL10−KとK+1行目の走査線WSL10−(K+1)の電位制御に関する部分の動作例についてのみ説明する。もっとも、他の行の走査線WSL10の電位制御に関する部分の動作も、以下に説明する動作と基本的に同様となる。
【0126】
また、図19の構成のライトスキャナ104の動作例の説明をしているときに限り、便宜上、各出力信号について、高電位であることを「1」と称し、低電位であることを「0」と称する。
【0127】
図20は、図19の構成のライトスキャナ104内部の各構成要素等の出力信号のタイミングチャートを示している。なお、図20の下方の時刻t23乃至時刻t31は、図16のそれぞれ対応する時刻を示している。
【0128】
少なくとも時刻t23乃至時刻t29までは、Pw作成部分201の出力信号丸6,丸7は「0」であるので、出力制御部分203のOR回路215−1の出力信号EとOR回路225−2の出力信号Fは何れも、Pt作成部分202のAND回路214−1の出力信号Dとなる。
【0129】
ここで、時刻t23乃至時刻t29の間、シフトレジスタ213−1の出力信号Aは「1」であり、シフトレジスタ213−2の出力信号Bも「1」である。よって、イネーブルen2が「1」である期間、即ち、時刻t23乃至時刻t24の期間、時刻t25乃至時刻t27の期間、および、時刻t28乃至時刻t29の期間において、Pt作成部分202のAND回路214−1の出力信号Dは「1」となる。その結果、OR回路215−1の出力信号E、即ち、K行目の走査線WSL10−Kが「1」となるとともに、OR回路225−2の出力信号F、即ち、K+1行目の走査線WSL10−(K+1)も「1」となる。これらの期間は、図16を用いて説明したように、閾値補正準備期間または閾値補正期間となる。このようにして、閾値補正準備や閾値補正動作については、同一の合成期間内の全行(本例では、K行とK+1行)で一斉に行われることになる。
【0130】
次に、時刻t29以降の動作について、図21を参照して説明する。図21は、図20の楕円状の枠の部分の拡大図である。
【0131】
時刻t29になると、Pt作成部分202の出力信号Dは「1」から「0」に切り替わる。よって、時刻t29以降で少なくとも図21に示される期間中においては、出力制御部分203のOR回路215−1の出力信号Eは、Pw作成部分201のAND回路212−1の出力信号丸6となり、また、出力制御部分203のOR回路215−2の出力信号Fは、Pw作成部分201のAND回路212−2の出力信号丸7となる。
【0132】
時刻t30の前後では、シフトレジスタ211−1の出力信号丸1は「1」であり、シフトレジスタ211−2の出力信号丸2も「1」である。ただし、時刻t30の直前では、イネーブルenが「0」で保たれているので、AND回路212−1の出力信号丸6は「0」である。時刻t30になると、イネーブルenが「0」から「1」に切り替わるので、AND回路212−1の出力信号丸6も「0」から「1」に切り替わる。その結果、OR回路215−1の出力信号E、即ち、K行目の走査線WSL10−Kが「1」になる。これにより、図16を用いて説明したように、K行目信号書き込み期間が開始することになる。
【0133】
なお、時刻t30においては、シフトレジスタ211−3の出力信号丸3は「0」であるので、イネーブルenが「0」から「1」に切り替わっても、AND回路212−2の出力信号丸7は「0」を保ち続ける。その結果、OR回路215−2の出力信号F、即ち、K+1行目の走査線WSL10−(K+1)も「0」を保ち続ける。
【0134】
時刻t51になり、シフトレジスタ211−1に入力されるスタートパルスspが「1」から「0」に切り替わる。ただし、この前後において、クロックckは「1」を保ち続けているので、シフトレジスタ211−1の出力信号丸1は「1」を保ち続ける。
【0135】
時刻t52になると、イネーブルenが「1」から「0」に切り替わるので、AND回路212−1の出力信号丸6も「1」から「0」に切り替わる。その結果、OR回路215−1の出力信号E、即ち、K行目の走査線WSL10−Kが「0」になる。これにより、図16を用いて説明したように、K行目信号書き込み期間が終了し、K行目発光期間に移行することになる。
【0136】
時刻t53になると、クロックckが「1」から「0」に切り替わる。これにより、時刻t51にシフトレジスタ211−1に入力されるスタートパルスspが「1」から「0」に切り替わったことを受けて、シフトレジスタ211−1の出力信号丸1が「1」から「0」に切り替わる。また、時刻t29と時刻t30の間にシフトレジスタ211−3に入力される、シフトレジスタ211−2の出力信号丸2が「0」から「1」に切り替わったことを受けて、シフトレジスタ211−3の出力信号丸3が「0」から「1」に切り替わる。
【0137】
その結果、その後の時刻t31の前後では、シフトレジスタ211−2の出力信号丸2は「1」となり、シフトレジスタ211−3の出力信号丸3も「1」となる。ただし、時刻t31の直前までは、イネーブルenが「0」で保たれているので、AND回路212−2の出力信号丸7は「0」である。時刻t31になると、イネーブルenが「0」から「1」に切り替わるので、AND回路212−2の出力信号丸7も「0」から「1」に切り替わる。その結果、OR回路215−2の出力信号F、即ち、K+1行目の走査線WSL10−(K+1)が「1」になる。これにより、図16を用いて説明したように、K+1行目信号書き込み期間が開始することになる。
【0138】
なお、時刻t31においては、シフトレジスタ211−1の出力信号丸1は「0」であるので、イネーブルenが「0」から「1」に切り替わっても、AND回路212−1の出力信号丸6は「0」を保ち続ける。その結果、OR回路215−1の出力信号E、即ち、K行目の走査線WSL10−Kも「0」を保ち続ける。
【0139】
時刻t54になると、イネーブルenが「1」から「0」に切り替わるので、AND回路212−2の出力信号丸7も「1」から「0」に切り替わる。その結果、OR回路215−2の出力信号F、即ち、K+1行目の走査線WSL10−(K+1)が「0」になる。これにより、図16を用いて説明したように、K+1行目信号書き込み期間が終了し、K+1行目発光期間に移行することになる。
【0140】
ここで、時刻t30から時刻t31までの時間は、図18を用いて説明したように、T1時間である。よって、合成期間内の信号書き込み、即ち、本例ではK行目とK+1行目の信号書き込みは、位相差T1で順次行われていくことになる。
【0141】
ところで、時刻t31にイネーブルenが「0」から「1」に切り替わった後、次にイネーブルenが「0」から「1」に切り替わるまでには、図18を用いて説明したように、T2時間が経過する。この時刻t31からT2時間が経過した時点で、シフトレジスタ211−4の出力信号丸4が「1」であり、かつ、シフトレジスタ211−5の出力信号丸5が「1」であれば、AND回路212−4の出力信号丸8も「0」から「1」に切り替わる。その結果、OR回路215−3の出力信号、即ち、K行とK+1行からなる合成期間にとって、次の合成期間に含まれるK+2行目の走査線WSL10−(K+2)が「1」になる。これにより、図17を用いて説明したように、K+2行目信号書き込み期間が開始することになる。即ち、隣接する合成期間同士の間では、位相差T2(>T1)で、信号書き込みが行われることになる。
【0142】
以上の内容を、信号書き込みの点についてまとめると次のようになる。
【0143】
即ち、Pw作成部分201のイネーブルenが「0」から「1」に切り替わった際に、Pw作成部分201のAND回路(図19に図示されている例ではAND回路212−1乃至212−5)のうちの、入力される2つのシフトレジスタ(図19に図示されている例では、シフトレジスタ211−1乃至211−6のうちの何れか2つ)の出力信号が共に「1」であるAND回路の出力は「1」になる。この場合、このAND回路と対応付けられた行(例えばAND回路212−1については、走査線WSL10−Kにより駆動されるK行)の信号書き込みが行われることになる。
【0144】
換言すると、Pw作成部分201のイネーブルenが「0」から「1」に切り替わった際に、書き込み対象の行に対応するAND回路に入力される2つのシフトレジスタの出力信号を共に「1」にしておく必要がある。
【0145】
また、Pw作成部分201のシフトレジスタの信号、即ち、元々はスタートパルスspであった信号は、Pw作成部分201のクロックckの立ち下がりまたは立ち上がりのタイミングで、後段のシフトレジスタに順次転送されていく。
【0146】
そして、信号書き込みの行間の位相差は、書き込み対象の行の直前の行が合成期間内の行であれば位相差T1とするが、書き込み対象の直前の行が、隣接する別の合成期間内の行であれば位相差T2(>T1)とする必要がある。
【0147】
このため、Pw作成部分201では、図18に示される関係を有するクロックckとイネーブルenが利用されるのである。
【0148】
即ち、図17に示されるように、信号書き込みパルスPwは、同一の合成期間内、即ち、図17の例ではK行目とK+1行目の合成期間内、またはK+2行目とK+3行目の合成期間内では、一定の位相差T1をもって遷移する。しかしながら、合成期間と次の別合成期間との間では、その位相差T2は、合成期間内における位相差T1に対して長くなる。
【0149】
また、信号書き込みパルスPwは、Pw作成部分201においてスタートパルスspがシフトレジスタ(図19に図示されている例ではシフトレジスタ211−1乃至211−6)によって順次転送されていくことで作成される。このシフトレジスタの転送タイミングは、Pw作成部分201のクロックckの立ち上がりと立下りで決定される。よって、同一の合成期間内と、隣接する別々の合成期間の間とで、クロックckの立ち上がりや立下りのタイミングを異なるように設定する必要がある。このため、図18に示されるような波形のクロックckを採用し、その立ち上がりや立ち下がりのタイミングを、図18に示されるようなイネーブルenとの関係を考慮して設定することで、隣接する別々の合成期間の間では大きな位相差T2を実現し、逆に合成期間内では小さな位相差T1を実現しているのである。
【0150】
さらに、図19の構成のライトスキャナ104は、Pw作成部分201のシフトレジスタ(図19に図示されている例ではシフトレジスタ211−1乃至211−6)の直後のAND回路(図19に図示されている例ではAND回路212−1乃至212−5)が、合成期間に含まれる行数(本例では2行)+1の周期で外部に出力されない、という特徴を有している。
【0151】
かかる特徴についてさらに説明する。即ち、図19のスキャナ構成を有し、図20や図21のタイミングで動作するライトスキャナ104を採用した場合、より正確に言うと、信号書き込みパルスPwは、シフトレジスタの前段と自段との各出力信号およびイネーブルen(或いは自段と後段とイネーブルen)のANDを取った結果得られる信号によって作成されている。
【0152】
この場合、AND回路212−3の出力、即ち、シフトレジスタ211−3の出力信号丸3、シフトレジスタ211−4の出力信号丸4、およびイネーブルenでANDをとった結果の出力信号は、All Lowとなってしまう。そこで、このAND回路212−3からの出力は外部に出力しないようにしているのである。
【0153】
また、AND回路212−3の存在理由、即ち、シフトレジスタ211−3の出力信号丸3、シフトレジスタ211−4の出力信号丸4、およびイネーブルenでANDをとる理由は、シフトレジスタ211−3やシフトレジスタ211−4から見える負荷を一定としてパルスのなまり等を行毎にそろえるためである。
【0154】
このように、図19の構成のライトスキャナ104は、閾値補正合成方式のスキャナとして最適化が図られたものとなっているのである。
【0155】
さらに、図22を参照して、本発明が適用されるライトスキャナ104の別の実施の形態についても説明する。即ち、図22は、本発明が適用されるライトスキャナ104の構成例であって、図19とは異なる構成例を示すブロック図である。ただし、図22は、図19の例と同様に、合成期間が2Hである場合、即ち合成期間に2行が含まれている場合の構成例を示すブロック図である。また、便宜上、図22には、ライトスキャナ104のうちの、走査線WSL10−(K−5)乃至WSL10−(K+1)の出力電位を図17のように制御する部分のみが図示されている。
【0156】
図22のライトスキャナ104には、Pw作成部分301、Pt作成部分302、および出力制御部分303が設けられている。
【0157】
Pw作成部分301には、シフトレジスタ311−1乃至311−11等が設けられており、スタートパルスspを順次転送すべく、その順番で接続されている。なお、等と記載した理由は、図22には図示せぬシフトレジスタがさらにPw作成部分301に設けられているからである。
【0158】
シフトレジスタ311−1乃至311−11には、スタートパルスspの転送タイミングを制御すべく、クロックckとその反転クロックxckが入力される。
【0159】
また、Pw作成部分301には、AND回路312−1乃至312−10等が設けられている。なお、等と記載した理由は、図22には図示せぬAND回路がさらにPw作成部分301に設けられているからである。
【0160】
AND回路312−1には、シフトレジスタ311−1の出力信号(1)、シフトレジスタ311−2の出力信号(2)、および、イネーブルenが入力される。AND回路312−1の出力信号は、後述するOR回路314−1に入力される。
【0161】
AND回路312−2には、シフトレジスタ311−2の出力信号(2)、およびシフトレジスタ311−3の出力信号(3)が入力される。なお、AND回路312−2には、イネーブルenは入力されない。AND回路312−2の出力信号は、後述するOR回路313−1に入力される。
【0162】
AND回路312−3には、シフトレジスタ311−3の出力信号(3)、シフトレジスタ311−4の出力信号(4)、および、イネーブルenが入力される。AND回路312−3の出力信号は、後述するOR回路314−2に入力される。
【0163】
AND回路312−4には、シフトレジスタ311−4の出力信号(4)、シフトレジスタ311−5の出力信号(5)、および、イネーブルenが入力される。AND回路312−4の出力信号は、後述するOR回路314−3に入力される。
【0164】
AND回路312−5には、シフトレジスタ311−5の出力信号(5)、およびシフトレジスタ311−6の出力信号(6)が入力される。なお、AND回路312−5には、イネーブルenは入力されない。AND回路312−5の出力信号は、後述するOR回路313−2に入力される。
【0165】
AND回路312−6には、シフトレジスタ311−6の出力信号(6)、シフトレジスタ311−7の出力信号(7)、および、イネーブルenが入力される。AND回路312−6の出力信号は、後述するOR回路314−4に入力される。
【0166】
AND回路312−7には、シフトレジスタ311−7の出力信号(7)、シフトレジスタ311−8の出力信号(8)、および、イネーブルenが入力される。AND回路312−7の出力信号は、後述するOR回路314−5に入力される。
【0167】
AND回路312−8には、シフトレジスタ311−8の出力信号(8)、およびシフトレジスタ311−9の出力信号(9)が入力される。なお、AND回路312−8には、イネーブルenは入力されない。AND回路312−8の出力信号は、後述するOR回路313−3に入力される。
【0168】
AND回路312−9には、シフトレジスタ311−9の出力信号(9)、シフトレジスタ311−10の出力信号(10)、および、イネーブルenが入力される。AND回路312−9の出力信号Aは、後述するOR回路314−6に入力される。
【0169】
AND回路312−10には、シフトレジスタ311−10の出力信号(10)、シフトレジスタ311−11の出力信号(11)、および、イネーブルenが入力される。AND回路312−10の出力信号Bは、後述するOR回路314−7に入力される。
【0170】
Pt作成部分302には、OR回路313−1乃至313−3等が設けられている。なお、等と記載した理由は、図22には図示せぬOR回路がさらにPt作成部分302に設けられているからである。
【0171】
OR回路313−1には、Pt作成部301の図示せぬ2つのAND回路の出力信号、および、AND回路312−2の出力信号が入力される。OR回路313−1の出力信号は、後述するOR回路314−2,314−3に入力される。
【0172】
OR回路313−2には、Pt作成部301の図示せぬ1つのAND回路の出力信号、AND回路312−2の出力信号、および、AND回路312−5の出力信号が入力される。OR回路313−2の出力信号は、後述するOR回路314−4,314−5に入力される。
【0173】
OR回路313−3には、AND回路312−2の出力信号、AND回路312−5の出力信号、および、AND回路312−8の出力信号が入力される。OR回路313−3の出力信号Cは、後述するOR回路314−6,314−7に入力される。
【0174】
出力制御部分303には、OR回路314−1乃至314−7等、および、バッファ315−1乃至315−7等が設けられている。なお、等と記載した理由は、図22には図示せぬOR回路やバッファがさらに出力制御部分303に設けられているからである。
【0175】
OR回路314−1には、Pt作成部分302の図示せぬOR回路の出力信号、OR回路312−1の出力信号が入力される。OR回路314−1の出力信号は、バッファ315−1を介して、K−5行目の走査線WSL10−(K−5)に出力される。
【0176】
OR回路314−2には、OR回路313−1の出力信号、OR回路312−3の出力信号が入力される。OR回路314−2の出力信号は、バッファ315−2を介して、K−4行目の走査線WSL10−(K−4)に出力される。
【0177】
OR回路314−3には、OR回路313−1の出力信号、OR回路312−4の出力信号が入力される。OR回路314−3の出力信号は、バッファ315−3を介して、K−3行目の走査線WSL10−(K−3)に出力される。
【0178】
OR回路314−4には、OR回路313−2の出力信号、OR回路312−6の出力信号が入力される。OR回路314−4の出力信号は、バッファ315−4を介して、K−2行目の走査線WSL10−(K−2)に出力される。
【0179】
OR回路314−5には、OR回路313−2の出力信号、OR回路312−7の出力信号が入力される。OR回路314−5の出力信号は、バッファ315−5を介して、K−1行目の走査線WSL10−(K−1)に出力される。
【0180】
OR回路314−6には、OR回路313−3の出力信号C、OR回路312−9の出力信号Aが入力される。OR回路314−6の出力信号Dは、バッファ315−6を介して、K行目の走査線WSL10−Kに出力される。
【0181】
OR回路314−7には、OR回路313−3の出力信号C、OR回路312−10の出力信号Bが入力される。OR回路314−7の出力信号Eは、バッファ315−7を介して、K+1行目の走査線WSL10−(K+1)に出力される。
【0182】
次に、図23と図24を参照して、図22の構成のライトスキャナ104の動作例について説明する。
【0183】
ただし、図16との対応関係を明確にすべく、図16のK行目の走査線WSL10−KとK+1行目の走査線WSL10−(K+1)の電位制御に関する部分の動作例についてのみ説明する。もっとも、他の行の走査線WSL10の電位制御に関する部分の動作も、以下に説明する動作と基本的に同様となる。
【0184】
また、図22の構成のライトスキャナ104の動作例の説明をしているときに限り、便宜上、各出力信号について、高電位であることを「1」と称し、低電位であることを「0」と称する。
【0185】
図23は、図22の構成のライトスキャナ104内部の各構成要素等の出力信号のタイミングチャートを示している。なお、図22の下方の時刻t23乃至時刻t31は、図16のそれぞれ対応する時刻を示している。
【0186】
少なくとも時刻t23乃至時刻t29までは、Pw作成部分301の出力信号A,Bは「0」であるので、出力制御部分303のOR回路314−16の出力信号DとOR回路314−7の出力信号Eは何れも、Pt作成部302のOR回路313−3の出力信号Cとなる。
【0187】
ここで、時刻t23乃至時刻t29の間、スタートパルスspは、クロックckの立ち上がりまたは立ち下がりのタイミングで、シフトレジスタ311−1乃至311−10まで順次転送されていく。これにより、図23に示されるように、時刻t23乃至時刻t24の期間、時刻t25乃至時刻t27の期間、および、時刻t28乃至時刻t29の期間において、Pt作成部分302のOR回路313−3の出力信号Cは「1」となる。その結果、OR回路314−6の出力信号D、即ち、K行目の走査線WSL10−Kが「1」となるとともに、OR回路314−7の出力信号E、即ち、K+1行目の走査線WSL10−(K+1)も「1」となる。これらの期間は、図16を用いて説明したように、閾値補正準備期間または閾値補正期間となる。このようにして、閾値補正準備や閾値補正動作については、合成期間内の全行で一斉に行われることになる。
【0188】
次に、時刻t29以降の動作について、図24を参照して説明する。図24は、図23の楕円状の枠の部分の拡大図である。
【0189】
時刻t29になると、Pt作成部分302の出力信号Cは「1」から「0」に切り替わる。よって、時刻t29以降で少なくとも図24に示される期間中においては、出力制御部分303のOR回路314−6の出力信号Dは、Pw作成部分301のAND回路312−9の出力信号Aとなり、また、出力制御部分303のOR回路314−7の出力信号Eは、Pw作成部分301のAND回路312−10の出力信号Bとなる。
【0190】
時刻t30の前後では、シフトレジスタ311−9の出力信号(9)は「1」であり、シフトレジスタ311−10の出力信号(10)も「1」である。ただし、時刻t30の直前では、イネーブルenが「0」で保たれているので、AND回路312−9の出力信号Aは「0」である。時刻t30になると、イネーブルenが「0」から「1」に切り替わるので、AND回路312−9の出力信号Aも「0」から「1」に切り替わる。その結果、OR回路314−6の出力信号D、即ち、K行目の走査線WSL10−Kが「1」になる。これにより、図16を用いて説明したように、K行目信号書き込み期間が開始することになる。
【0191】
なお、時刻t30においては、シフトレジスタ311−11の出力信号(11)は「0」であるので、イネーブルenが「0」から「1」に切り替わっても、AND回路312−10の出力信号Bは「0」を保ち続ける。その結果、OR回路314−7の出力信号E、即ち、K+1行目の走査線WSL10−(K+1)も「0」を保ち続ける。
【0192】
時刻t61になると、イネーブルenが「1」から「0」に切り替わるので、AND回路312−9の出力信号Aも「1」から「0」に切り替わる。その結果、OR回路314−6の出力信号D、即ち、K行目の走査線WSL10−Kが「0」になる。これにより、図16を用いて説明したように、K行目信号書き込み期間が終了し、K行目発光期間に移行することになる。
【0193】
時刻t62になると、クロックckが「1」から「0」に切り替わる。これにより、時刻t29にシフトレジスタ311−9に入力される、シフトレジスタ311−8の出力信号(8)が「1」から「0」に切り替わったことを受けて、シフトレジスタ311−9の出力信号(9)が「1」から「0」に切り替わる。また、時刻t29にシフトレジスタ311−11に入力される、シフトレジスタ311−10の出力信号(10)が「0」から「1」に切り替わったことを受けて、シフトレジスタ311−11の出力信号(11)が「0」から「1」に切り替わる。
【0194】
その結果、その後の時刻t31の前後では、シフトレジスタ311−10の出力信号(10)は「1」であり、シフトレジスタ311−11の出力信号(11)も「1」である。ただし、時刻t31の直前までは、イネーブルenが「0」で保たれているので、AND回路312−10の出力信号Bは「0」である。時刻t31になると、イネーブルenが「0」から「1」に切り替わるので、AND回路312−10の出力信号Bも「0」から「1」に切り替わる。その結果、OR回路314−7の出力信号F、即ち、K+1行目の走査線WSL10−(K+1)が「1」になる。これにより、図16を用いて説明したように、K+1行目信号書き込み期間が開始することになる。
【0195】
なお、時刻t31においては、シフトレジスタ311−9の出力信号(9)は「0」であるので、イネーブルenが「0」から「1」に切り替わっても、AND回路312−9の出力信号Aは「0」を保ち続ける。その結果、OR回路314−6の出力信号D、即ち、K行目の走査線DSL10−Kも「0」を保ち続ける。
【0196】
時刻t63になると、イネーブルenが「1」から「0」に切り替わるので、AND回路312−10の出力信号Bも「1」から「0」に切り替わる。その結果、OR回路314−7の出力信号E、即ち、K+1行目の走査線WSL10−(K+1)が「0」になる。これにより、図16を用いて説明したように、K+1行目信号書き込み期間が終了し、K+1行目発光期間に移行することになる。
【0197】
ここで、時刻t30から時刻t31までの時間は、図18を用いて説明したように、T1時間である。よって、合成期間内の信号書き込み、即ち、本例ではK行目とK+1行目の信号書き込みは、位相差T1で順次行われていくことになる。
【0198】
なお、詳細な説明は省略するが、図22の構成のライトスキャナ104もまた、図23と図24とから明らかなように、図18の関係を有するクロックckとイネーブルenとが用いられている。これにより、図17を用いて説明したように、隣接する合成期間同士の間では位相差T2(>T1)の信号書き込みが実現される。
【0199】
ここで、ライトスキャナ104の構成として、図19の構成と図22の構成とを比較するに、図19の構成では、Pt作成部分202にシフトレジスタ213−1乃至213−3等が必要であったのに対して、図22の構成では、Pt作成部分302にシフトレジスタは不要となっている。
【0200】
換言すると、図22の構成のライトスキャナ104は、Pw作成部分301のAND回路(図22に図示されている例ではAND回路312−1乃至312−10)の中には、合成期間に含まれる行数(本例では2行)+1の周期毎に、イネーブルenに接続されないAND回路(図22に図示されている例では、AND回路312−2,312−5,312−8)が存在しており、その部分の出力が、共通部分である閾値補正パルスPtの構成に寄与している点である。かかる点が存在するがゆえ、図22の構成では、Pt作成部分302にシフトレジスタは不要となっているのである。
【0201】
さらにまた、図19の構成では、Pw作成部分201には、外部に出力されないAND回路212−3が存在していたのに対して、図22の構成では、Pw作成部分301には、そのようなAND回路は存在しない。
【0202】
このように、図22の構成のライトスキャナ104は、閾値補正合成方式のスキャナとして、図19の構成と比較してより一段と効率的な構成となっていると言えるので、さらなる狭額縁化や低コスト化が期待できる。
【0203】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】基本となるELパネルの構成例を示すブロック図である。
【図2】従来の画素の構成例を示したブロック図である。
【図3】有機EL素子のI−V特性を示す図である。
【図4】従来の画素の構成例を示したブロック図である。
【図5】本発明を適用したELパネルに採用する画素の構成例を示すブロック図である。
【図6】図6の画素の動作を説明するタイミングチャートである。
【図7】図6の画素の動作について詳細に説明する図である。
【図8】図6の画素の動作について詳細に説明する図である。
【図9】図6の画素の動作について詳細に説明する図である。
【図10】図6の画素の動作について詳細に説明する図である。
【図11】図6の画素の動作について詳細に説明する図である。
【図12】図6の画素の動作について詳細に説明する図である。
【図13】図6の画素の動作について詳細に説明する図である。
【図14】図6の画素の動作について詳細に説明する図である。
【図15】図6の画素の動作について詳細に説明する図である。
【図16】本発明を適用した駆動制御方式を説明するタイミングチャートである。
【図17】本発明を適用した駆動制御方式を説明するタイミングチャートである。
【図18】図1のライトスキャナのうちの、本発明を適用したライトスキャナに適用されるクロックとイネーブルを説明するタイミングチャートである。
【図19】図1のライトスキャナのうちの、本発明を適用したライトスキャナの構成例を示すブロック図である。
【図20】図19の構成のライトスキャナの動作を説明するタイミングチャートである。
【図21】図20の枠内を拡大したタイミングチャートである。
【図22】図1のライトスキャナのうちの、本発明を適用したライトスキャナの構成例であって、図19とは異なる例を示すブロック図である。
【図23】図22の構成のライトスキャナの動作を説明するタイミングチャートである。
【図24】図23の枠内を拡大したタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0205】
31 サンプリング用トランジスタ, 32 駆動用トランジスタ, 33 保持容量, 34 発光素子, 101 画素(画素回路), 103 水平セレクタ, 104 ライトスキャナ, 201 Pw作成部分, 202 Pt作成部分, 203 出力制御部分, 301 Pw作成部分, 302 Pt作成部分, 303 出力制御部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電流に応じて発光する発光素子と、映像信号をサンプリングするサンプリング用トランジスタと、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動用トランジスタと、所定の信号電位を保持する保持容量とを備える画素回路を行列状に配置するパネルに対する制御として、水平期間における閾値補正動作および信号書き込み動作の駆動を制御する駆動装置であって、
L行(Lは2以上の整数値)の水平期間を合成した合成期間を単位として、前記単位に含まれる前記L行の部分で前記閾値補正動作を共通に行った後、前記単位に含まれる前記L行毎に前記信号書き込み動作を順次行う制御を行う駆動方式が採用された駆動装置において、
前記信号書き込み動作の駆動を制御する信号書き込みパルスを生成する第1の生成手段と、
前記閾値補正動作の駆動を制御する閾値補正パルスを生成する第2の生成手段と
を備え、
前記第1の生成手段に対する前記第1のクロックは、前記合成期間を周期として、
前記閾値補正パルスとほぼ同一時間長の第1のパルスと、前記合成期間を構成する前記L行分の第2のパルスからなるパルス群とが
同一の前記合成期間を構成する前記L行毎の前記信号書き込み動作を制御するために出力される前記信号書き込みパルスの位相差は、第1の位相差となり、隣接する前記合成期間同士の間で出力される前記信号書き込みパルスの位相差は、前記第1の位相差よりも長い第2の位相差となるように、
それぞれ配置されて形成されている
駆動回路。
【請求項2】
前記第1の生成手段に対するイネーブルは、前記合成期間を構成する前記L行分の第3のパルスが前記第1の位相差の間隔で並ぶパルス群が複数存在し、隣接する前記パルス群の間隔が前記第2の位相差となるように形成されており、
前記第1のクロックは、
前記第2のパルスの立ち上がりまたは立ち下がりのタイミングが、前記イネーブルの前記パルス群を構成する前記L行分の前記第3のパルスのそれぞれの間に存在する第1の関係と、
前記第1のパルスと前記第2のパルスとのうちの、一方の立ち上がり若しくは立ち下がりから、他方の立ち上がり若しくは立ち下がりまでの期間が、前記イネーブルの前記パルス群の配置期間よりも長いという第2の関係と
の関係を満たすように形成されている
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記第2の生成手段に対する第2のクロックが、前記合成期間を周期として、前記第1のクロックとは個別に設けられている
請求項1に記載の駆動回路。
【請求項4】
駆動電流に応じて発光する発光素子と、映像信号をサンプリングするサンプリング用トランジスタと、前記駆動電流を前記発光素子に供給する駆動用トランジスタと、所定の信号電位を保持する保持容量とを備える画素回路を行列状に配置するパネルに対する制御として、水平期間における閾値補正動作および信号書き込み動作の駆動を制御する駆動装置の駆動方法であって、
L行(Lは2以上の整数値)の水平期間を合成した合成期間を単位として、前記単位に含まれる前記L行の部分で前記閾値補正動作を共通に行った後、前記単位に含まれる前記L行毎に前記信号書き込み動作を順次行う制御を行う駆動方法において、
前記信号書き込み動作の駆動を制御する信号書き込みパルスを生成する第1の生成ステップと、
前記閾値補正動作の駆動を制御する閾値補正パルスを生成する第2の生成ステップと
を含み、
前記第1の生成ステップの処理に対する第1のクロックは、前記合成期間を周期として、
前記閾値補正パルスとほぼ同一時間長の第1のパルスと、前記合成期間を構成する前記L行分の第2のパルスからなるパルス群とが
同一の前記合成期間を構成する前記L行毎の前記信号書き込み動作を制御するために出力される前記信号書き込みパルスの位相差は、第1の位相差となり、隣接する前記合成期間同士の間で出力される前記信号書き込みパルスの位相差は、前記第1の位相差よりも長い第2の位相差となるように、
それぞれ配置されて形成されている
駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−2496(P2010−2496A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159346(P2008−159346)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】