説明

駆動装置及び表示装置

【課題】 補助容量線の充放電を精度良く且つ高速度に行える駆動装置、及び、当該駆動装置を搭載した表示装置を提供する。
【解決手段】 マルチ絵素駆動を行う表示装置に用いられる駆動装置1であって、第1閾値電圧vcomphより電圧値の大きい複数の電源電圧avch、vcshからなる電源グループを第1電源グループとし、第2閾値電圧vcomplより電圧値の小さい複数の電源電圧avcl、vcslからなる電源グループを第2電源グループとし、入力信号INの電圧値に基づいて、第1電源グループと第2電源グループの内の1つの電源グループを選択し、補助容量線の電圧値voutと選択された電源グループの閾値電圧の比較結果に基づいて、選択された電源グループから1つの電源電圧を選択して補助容量駆動電圧とし、補助容量駆動電圧を用いて補助容量線を駆動する補助容量線駆動部21を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワードプロセッサやパーソナルコンピュータ、テレビジョン装置などに代表される電子機器に用いられる表示装置に関する。特に、アクティブマトリクス型の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高精細、薄型、軽量及び低消費電力等の優れた特長を有する液晶表示装置が、普及している。液晶表示装置の普及に伴い、様々な課題についての改善が検討されているが、その一つにγ特性(絵素の階調データと表示輝度との関係。以下同じ。)の視野角依存性がある。この課題は、液晶表示装置の正面方向観察時のγ特性と、斜方向観察時のγ特性とが異なることである。具体的には、例えば、正面方向観察時の表示輝度が適正であっても、斜方向観察時の表示輝度が正面方向観察時よりも大きくなることで白っぽく見える(白浮きする)ことであり、写真やテレビ放送等を表示する際に顕著になる。
【0003】
この課題を改善するべく、特許文献1では「マルチ絵素駆動」と呼ばれる技術が提案されている。このマルチ絵素駆動は、1つの絵素を、表示輝度を異ならせることが可能な複数の副絵素で構成することで、斜方向観察時の表示輝度を、正面方向観察時の表示輝度に近づけるものである。具体的には、マルチ絵素駆動は、1つの絵素を構成する複数の副絵素の表示輝度を異ならせるとともに、当該複数の絵素の平均の表示輝度を、目標とする(正面観察時の)表示輝度にするものである。
【0004】
マルチ絵素駆動について、図8を参照して説明する。図8は、液晶表示装置のγ特性を示すグラフである。尚、図8に示すグラフにおいて、横軸は絵素の階調データ(絵素に印加する電圧であり、本例では0〜255の256階調)X、縦軸は輝度比(階調データXの輝度をLとしたとき、(L−L)/(L255−L))である。図8に示すグラフでは、マルチ絵素駆動を行わない液晶表示装置における正面方向観察時のγ特性を実線で示し、当該液晶表示装置における斜方向観察時のγ特性を破線で示している。更に、図8に示すグラフでは、上記のマルチ絵素駆動を行う液晶表示装置における斜方向観察時のγ特性を一点鎖線で示している。
【0005】
図8に示すように、マルチ絵素駆動を行わない液晶表示装置では、斜方向観察時の表示輝度が、正面方向観察時の表示輝度よりも大きくなる(白浮きする)。特に、暗輝度付近(階調データXが、最小値0の付近)及び明輝度(階調データXが、最大値255の付近)から離れた中間調の表示輝度ほど、差が大きくなる(白浮きが顕著になる)。これに対して、マルチ絵素駆動を行う液晶表示装置では、中間調であっても、斜方向観察時の表示輝度が、正面方向観察時の表示輝度に近いものとなる。これは、マルチ絵素駆動では、1つの絵素を構成する複数の副絵素が、表示輝度のズレが小さい明輝度付近及び暗輝度付近の表示を行うとともに、目標とする表示輝度を当該副絵素の表示輝度の平均で表現するためである。
【0006】
図9は、マルチ絵素駆動を行う表示装置を構成する絵素の一構成例を示す回路図である。図9に示すように、絵素PEは、複数の副絵素SPE1、SPE2で構成されている。副絵素SPE1は、液晶容量LS1と補助容量CCS1とを備え、液晶容量LS1の一端及び補助容量CCS1の一端に、TFT(Thin Film Transistor)t1のドレイン電極が接続される。また、液晶容量LS1の他端には対向電極COMが接続され、対向電極電圧(以下、コモン電圧とする)が印加され得る。一方、補助容量CCS1の他端には補助容量線CSL1が接続され、補助容量駆動電圧(以下、CS電圧とする)が印加され得る。同様に、副絵素SPE2は、液晶容量LS2と補助容量CCS2とを備え、液晶容量LS2の一端及び補助容量CCS2の一端に、TFTt2のドレイン電極が接続される。また、液晶容量LS2の他端には対向電極COMが接続され、コモン電圧が印加され得る。一方、補助容量CCS2の他端には補助容量線CSL2が接続され、CS電圧が印加され得る。また、TFTt1、t2のゲート電極には、共通(同一)の走査線GLに接続され、TFTt1、t2のソース電極には、共通(同一)の信号線SLが接続されている。尚、以下の説明において、この図9を随時参照する。
【0007】
絵素PEは、行方向及び列方向に複数整列して(マトリクス状に)配置される。同一行に配置される絵素PEのTFTt1、t2には、同一の走査線GLが接続され、同一の走査線電圧が印加され得る。また、同一列に配置される絵素PEのTFTt1、t2には、同一の信号線SLが接続され、同一の信号線電圧が印加され得る。また、全ての絵素PEの液晶容量LS1,LS2には、同一の対向電極COMが接続され、同一のコモン電圧が印加され得る。
【0008】
これに対して、絵素PEの夫々が備える補助容量CCS1,CCS2には、異なる補助容量線CSL1,CSL2が接続され、異なるCS電圧が印加され得る。ただし、同一行に配置される絵素PEについて、夫々の副絵素SPE1の補助容量CCS1には同一の補助容量線CSL1が接続され、夫々の副絵素SPE2の補助容量CCS2には同一の補助容量線CSL2が接続される。
【0009】
図10は、図9に示す夫々の副絵素に印加される信号線電圧及びCS電圧の波形例を示すグラフである。図中上側のグラフが、図9の副絵素SPE1に印加される信号線電圧及びCS電圧の波形例を示したものであり、図中下側のグラフが、図9の副絵素SPE2に印加される信号線電圧及びCS電圧の波形例を示したものである。また、図10中、実線がソース電圧を示し、破線がCS電圧を示している。尚、図10に示すグラフの縦軸は電圧値を示し、横軸は時間を示している。また、図10に示す例は、所定の期間毎に液晶に印加する電圧の極性を反転する、AC(Alternating Current)駆動を行う場合のものである。
【0010】
上述のように、TFTt1、t2には、同一の信号線電圧及び同一の走査線電圧が印加される。そのため、図10に示すように、TFTt1、t2を介して副絵素SPE1,SPE2に印加される信号線電圧(図10のソース電圧)は、同一となる。しかし、補助容量線CSL1,CSL2を介して補助容量CCS1,CCS2に印加されるCS電圧は、異なり得る。そのため、図10に示すように、副絵素SPE1に印加される電圧Vaと、副絵素SPE2に印加される電圧Vbとは、異なり得る。これにより、副絵素SPE1、SPE2の表示輝度を、異ならせることが可能になる。このとき、マルチ絵素駆動を行わない液晶表示装置において、目標の表示輝度を得るために絵素に印加する電圧をVmとすると、絵素PEが当該目標の表示輝度を得ようとする場合、Vm=(Va+Vb)/2を満たすように電圧Va,Vbを夫々選択すると、好ましい。
【0011】
尚、図10では、副絵素SPE1に印加されるCS電圧と、副絵素SPE2に印加されるCS電圧とが、等しい振幅及び周波数であるが位相が180度異なるものを、例示している。この場合、信号線電圧の反転に同期して、副絵素SPE1,SPE2の夫々に印加するCS電圧を反転させることで、所望の電圧Va,Vbが副絵素SPE1、SPE2に印加されるようにする。
【0012】
ところで、液晶表示装置の課題には、γ特性の視野角依存性等の他、高精細の画像を表示する液晶表示装置における表示輝度ムラがある。具体的には、高精細の画像を表示する液晶表示装置では、水平走査期間(1行の絵素PEを対象として電圧を印加する期間)が短くなり、かつ補助容量CCS1,CCS2の数が多くなる。そのため、CS電圧の波形が、意図した波形から鈍ることが生じ得る。更に、この波形鈍りの程度は、絵素PEの配置場所によって異なる。このため、副絵素SPE1,SPE2に印加される実効的な電圧が、絵素PEの配置場所によって異なることで、表示輝度のムラが発生し得る。
【0013】
この問題に対して、特許文献2では、CS電圧の反転を1水平走査期間よりも長くすることで、上記の表示輝度のムラを低減する方法が提案されている。この方法について、図面を参照して説明する。図11は、表示輝度のムラを低減するCS電圧の波形例を示すグラフである。また、図12は、図11に示すCS電圧が適用される液晶表示装置の構成例を示す回路図である。また、図13は、図12に示す液晶表示装置の各部の配置例を示す回路図である。尚、図11に示すグラフの縦軸は電圧値を示し、横軸は時間を示している。
【0014】
図11は、夫々のCS電圧が、2水平走査期間毎に反転する(即ち、4水平走査期間を1周期とする)場合を例示している。本例の場合、位相が1水平走査期間(90度)ずつずれたCS電圧CSVX1〜CSVX4の、4種類のCS電圧を用意する必要がある。尚、CS電圧CSVX1及びCS電圧CSVX2と、CS電圧CSVX3及びCS電圧CSVX4とは、夫々位相が2水平走査期間(180度)異なる。また、CS電圧CSVX1及びCS電圧CSVX3と、CS電圧CSVX2及びCS電圧CSVX4とは、夫々位相が1水平走査期間(90度)異なる。
【0015】
また、図12に示すように、上記のCS電圧CSVX1〜CSVX4は、補助容量基幹線CSLXと当該補助容量基幹線CSLXから引き出される上述の補助容量線CSL1,CSL2とを介して、各行に配置される絵素PEを構成する副絵素SPE1,SPE2に夫々印加される。ある行に配置される絵素PEが備える副絵素SPE1,SPE2に、CS電圧CSVX1及びCS電圧CSVX2が印加される場合、当該絵素PEと隣接する行の絵素PEが備える副絵素SPE1,SPE2には、CS電圧CSVX3及びCS電圧CSVX4が印加される。尚、補助容量基幹線CSLXの一つにはCS電圧CSVX1が印加され、補助容量基幹線CSLXの一つにはCS電圧CSVX2が印加され、補助容量基幹線CSLXの一つにはCS電圧CSVX3が印加され、補助容量基幹線CSLXの一つにはCS電圧CSVX4が印加される。
【0016】
上述のように、補助容量線CSL1,CSL2は、同一行に配置される絵素PEが備える副絵素SPE1,SPE2の夫々に対して同じCS電圧を印加するべく、行方向に延在する。補助容量基幹線CSLXは、補助容量線CSL1,CSL2が容易に引き出されるようにすべく、補助容量線CSL1,CSL2と直交するように(列方向に延在するように)配置される。また、補助容量基幹線CSLXは、補助容量線CSL1,CSL2の両端に夫々配置される。
【0017】
また、図13に示すように、液晶表示装置100(特に、液晶表示パネル)は、ゲートドライバ110と、ソースドライバ120と、ガラス基板130と、を備える。ガラス基板130には、絵素PEや、走査線GL、補助容量基幹線CSLX、補助容量線CSL1,CSL2、信号線SL、ゲートドライバ110を制御するためのゲートドライバ制御信号が印加されるゲートドライバ制御信号線CGLの夫々が形成される。ゲートドライバ制御信号線CGL及び補助容量基幹線CSLXには、例えば、不図示のコントローラが生成したゲートドライバ制御信号及びCS電圧CSVX1〜CSVX4が印加される。
【0018】
ゲートドライバ110は、ゲートドライバ制御信号線CGLを介して入力されるゲートドライバ制御信号に基づいて、走査線電圧を生成して走査線GLに印加する走査線電圧生成部111を備える。同様に、ソースドライバ120は、入力されるソースドライバ制御信号(例えば、不図示のコントローラが生成)に基づいて、信号線電圧を生成して信号線SLに印加する信号線電圧生成部121を備える。また、ゲートドライバ110は、列方向に沿って複数備えられ得る。図13に示すように、1つの液晶表示装置100にゲートドライバ110が複数備えられる場合、隣接するゲートドライバ110が接続され、前段のゲートドライバ110から後段のゲートドライバ110へと、ゲートドライバ制御信号が順次伝達される。
【0019】
また、液晶表示装置の他の課題としては、額縁部分の狭小化がある。
【0020】
ここで、上記特許文献2に記載の液晶表示装置100では、補助容量基幹線CSLXをガラス基板130上に形成する必要があるが、ガラス基板130上の配線は、配線抵抗が大きくなる。この場合、絵素PEの表示輝度のムラなどを抑制する観点から、補助容量基幹線CSLXの夫々の線幅を大きくして、インピーダンスを低下させる必要がある。すると、ガラス基板130上で、補助容量基幹線CSLXが占める領域が大きくなることから、ガラス基板130の額縁部分(絵素PEが配置された部分を除く周囲の部分。以下同じ。)の狭小化が困難になる。更に、生成及び印加するCS電圧の波形の種類(上述の例では、CSVX1〜CSVX4の4種類)が多くなると、CS電圧生成のための電圧源が多数必要となるため、額縁部分の狭小化が困難になる。
【0021】
額縁部分の狭小化の課題に対して、特許文献3では、CS電圧をゲートドライバに取り込むとともに、ゲートドライバに設けた補助容量線を駆動するためのバッファ部により当該CS電圧の波形を整形(例えば、波形の鈍りや雑音の低減など、補助容量を好適に駆動し得るための処理。以下同じ。)した上で、夫々の補助容量線を介して副絵素に印加する構成が提案されている。この構成によれば、補助容量基幹線を図13に示したように列方向に沿って延在させる必要がなくなり、夫々分割可能になる。したがって、補助容量基幹線の配線抵抗を抑制することで線幅を小さくすることが可能になるため、額縁部分の狭小化が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】特開2004−62146号公報
【特許文献2】特開2005−189804号公報
【特許文献3】特開2009−128533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、上記特許文献3に記載の構成では、バッファ部の電源電圧が不安定になると、バッファ部が補助容量線に印加するCS電圧が不十分となり、表示輝度のムラが生じ得る。この問題について、以下図面を参照して説明する。図14は、バッファ部を用いてCS電圧を補助容量線に印加する液晶表示装置の要部構成例を模式的に示したブロック図である。また、図15は、図14に示すバッファ部が入出力するCS電圧及び当該バッファ部の電源電圧の夫々の状態を示したグラフである。
【0024】
図14に示すように、バッファ部BFには、所定の電源(例えば、上述のコントローラ)から、高圧側の電源電圧である電圧VCSH及び低圧側の電源電圧である電圧VCSLが、夫々供給される。尚、図中のバッファ部BFと夫々の電圧VCSH,VCSLとの間に示す抵抗RLは、電源とバッファ部BFとの間の配線抵抗である。また、バッファ部BFの4つの入力端子IN1〜IN4には、夫々位相が異なる4つのCS電圧CSVY1a〜CSVY4aの夫々が入力され、バッファ部BFの4つの出力端子OUT1〜OUT4の夫々が、バッファ部BFによって波形が整形されたCS電圧CSVY1b〜CSVY4bを出力する。このCS電圧CSVY1b〜CSVY4bは、夫々補助容量線CSL(上述の補助容量線CSL1,CSL2に相当し、これらを特に区別しない場合にこのように称する。以下同じ。)を介して補助容量CCS(上述の補助容量CCS1,CCS2に相当し、これらを特に区別しない場合にこのように称する。以下同じ。)に印加される。尚、図中の補助容量線CSLの夫々の中に示す抵抗RCSLは、補助容量線CSLの配線抵抗である。
【0025】
図15の上段のグラフは、夫々の入力端子IN1〜IN4に入力されるCS電圧CSVY1a〜CSVY4aの波形を示したグラフである。当該グラフにおいて、CS電圧CSVY1aを太い実線で示し、他のCS電圧CSVY2a〜CSVY4aを細い破線で示している。図15の下段のグラフは、上段のグラフに示すCS電圧CSVY1a〜CSVY4aがバッファ部BFの入力端子IN1〜IN4に入力された場合において、出力端子OUT1が出力するCS電圧CSVY1bの状態を太い実線で示し、バッファ部BFに供給される電圧VCSH,VCSLの状態を破線で示したものである。尚、図15に示すグラフの縦軸は電圧値を示し、横軸は時間を示している。
【0026】
図15に示すように、CS電圧CSVY1aが立ち上がろうとすると、それに応じてCS電圧CSVY1bも立ち上がろうとする。しかしながら、CSVY1aに遅れてCS電圧CSVY2a〜CSV4aが順次立ち上がろうとすることで、バッファ部BFに供給される電圧VCSHが不安定になり(降下し)、CS電圧CSVY1bが意図した電圧値(例えば、VCSH)まで立ち上がらないことが生じ得る。このことは、CS電圧CSVY1aの立ち下がりでも同様に生じ得る。即ち、バッファ部BFに供給される電圧VCSLが不安定になり(上昇し)、CS電圧CSVY1bが意図した電圧値(例えば、VCSH)まで立ち下がらないことが生じ得る。このように、CS電圧CSVY1b〜CSVY4bが意図した電圧値に達しない場合、副絵素の輝度が意図したものにならない可能性があり、表示輝度のムラなどの問題が生じ得る。
【0027】
これは、補助容量CCSの容量負荷が大きいことや、狭額縁化のために線幅を小さくした結果として配線抵抗RLが大きくなることなどにより、バッファ部BFが多大な電流を消費することで生じ得る。配線抵抗RLを小さくすることは容易であるが、そのためには線幅を大きくせざるを得ず、狭額縁化が困難になる。
【0028】
以上より、液晶表示装置の課題には、γ特性の視野角依存性や表示輝度ムラ、額縁部分の狭小化があるが、これらを全て満たす駆動装置が求められている。更に、液晶表示装置において、画像の表示速度の高速化が求められており、補助容量線の充放電を高速且つ高精細に実施できることが求められている。
【0029】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、γ特性の視野角依存性や表示輝度ムラ、液晶表示装置の額縁部分の面積の増大を招くことなく、より高精度且つ高速に補助容量線の充放電を行うことができる駆動装置を提供する点にある。また、縁部面積の増大を招くことなく、より高精度且つ高速に駆動装置の補助容量基幹線や補助容量線の充放電を行うことができる表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記目的を達成するための本発明に係る駆動装置は、1つの絵素を構成する複数の副絵素の夫々に設けられた補助容量に夫々接続される異なる補助容量線の一端に接続され、当該補助容量線の夫々に異なる補助容量駆動電圧を印加することで、前記副絵素の表示輝度を異ならせ得る駆動装置であって、所定の第1閾値電圧より電圧値の大きい複数の電源電圧からなる電源グループを第1電源グループとし、所定の第2閾値電圧より電圧値の小さい複数の電源電圧からなる電源グループを第2電源グループとし、入力信号の電圧値に基づいて、前記第1電源グループと前記第2電源グループの内の1つの前記電源グループを選択し、前記補助容量線の電圧値と選択された前記電源グループの前記閾値電圧の比較結果に基づいて、選択された前記電源グループから1つの前記電源電圧を選択して前記補助容量駆動電圧とし、前記補助容量駆動電圧を用いて前記補助容量線を駆動する補助容量線駆動部を備えることを特徴とする。
【0031】
更に好ましくは、上記特徴の駆動装置は、複数の前記入力信号別に、前記補助容量線駆動部を備え、前記補助容量線駆動部の夫々が異なる前記補助容量駆動電圧を出力する。
【0032】
更に好ましくは、上記特徴の駆動装置は、前記第1電源グループが、第1電源電圧と前記第1電源電圧より電圧値の低い第2電源電圧で構成され、前記第2電源グループが、第3電源電圧と前記第3電源電圧より電圧値の低い第4電源電圧で構成され、前記第2閾値電圧が前記第1閾値電圧より小さい値に設定され、前記補助容量線駆動部が、前記補助容量線の電圧値と前記第1閾値電圧を比較する第1コンパレータと、前記第1コンパレータの比較結果に基づいて、前記補助容量線の電圧値が前記第1閾値電圧より小さい場合は前記第1電源電圧を選択して出力し、前記補助容量線の電圧値が前記第1閾値電圧より大きい場合は前記第2電源電圧を選択して出力する第1セレクタと、前記補助容量線の電圧値と前記第2閾値電圧を比較する第2コンパレータと、前記第2コンパレータの比較結果に基づいて、前記補助容量線の電圧値が前記第2閾値電圧より小さい場合は前記第3電源電圧を選択して出力し、前記補助容量線の電圧値が前記第2閾値電圧より大きい場合は前記第4電源電圧を選択して出力する第2セレクタと、前記入力信号の電圧値に基づいて、前記第1セレクタと第2セレクタの何れか一方を選択して前記補助容量線に出力する第3セレクタと、を備える。
【0033】
更に好ましくは、上記各特徴の駆動装置は、マトリクス状に配置される前記絵素の内、前記補助容量線に沿って配列される夫々を構成する複数の前記副絵素に共通して接続され、当該補助容量線と平行に形成される走査線に、走査線電圧を印加する走査線駆動部を更に備える。
【0034】
上記目的を達成するための本発明に係る表示装置は、複数の前記副絵素で構成された前記絵素の複数からなる絵素アレイと、上記何れかの特徴の駆動装置の1または複数と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
上記特徴の駆動装置及び表示装置では、補助容量線の充電量に応じて駆動電源を選択するので、高速且つ高精度に補助容量線を充放電することが可能になる。
【0036】
具体的には、例えば、補助容量線を充電する場合、補助容量線の電圧値が第1閾値電圧値より小さい場合は、電圧値の大きい第1電源を用いて駆動することで、高速な充電動作が可能になり、補助容量線の電圧値が第1閾値電圧値より大きい場合は、第1電源より電圧値の小さい第2電源を用いて駆動することで、高精度な充電動作が可能になる。
【0037】
また、複数の電源を用いることから、補助容量線駆動部の電源電圧が不安定になるのを抑制でき、補助容量線に印加する電圧値をより安定させ、表示輝度にムラが生じるのを抑制できる。これにより、補助容量線駆動部の電源電圧を供給する配線を太くすることなく、補助容量線駆動部が、期待した電圧値の補助容量駆動電圧を補助容量線に印加することが可能になり、結果として、表示装置の狭額縁化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る駆動装置の内部接続構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係る駆動装置の回路構成の一例を示す概略ブロック図である。
【図3】本発明に係る駆動装置の補助容量線駆動部の一構成例を示す概略ブロック図である。
【図4】本発明に係る駆動装置の補助容量線駆動部を構成する電源電圧選択回路の一構成例を示す概略ブロック図である。
【図5】本発明に係る駆動装置の補助容量線駆動部の入力電圧と出力電圧の関係を示すグラフである。
【図6】本発明に係る駆動装置の補助容量線駆動部の動作を説明する表である。
【図7】本発明に係る表示装置における駆動装置及び絵素の配置構成例を示す概略ブロック図である。
【図8】液晶表示装置のγ特性を示すグラフである。
【図9】マルチ絵素駆動を行う表示装置を構成する1つの絵素の一構成例を示す回路図である。
【図10】副絵素の夫々について、印加されるソース電圧及びCS電圧の一波形例を示すグラフである。
【図11】従来技術に係る液晶表示装置のCS電圧の波形例を示すグラフである。
【図12】従来技術に係る液晶表示装置の絵素アレイの一構成例を示す概略部分回路図である。
【図13】従来技術に係る液晶表示装置に搭載される各構成の配置例を示す概略部分回路図である。
【図14】従来技術に係る液晶表示装置におけるCS電圧を補助容量線に印加するバッファ部の一構成例を示す概略ブロック図である。
【図15】従来技術に係る液晶表示装置におけるCS電圧及び補助容量線に印加される電圧の一波形例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明に係る駆動装置及び表示装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0040】
〈駆動装置〉
本発明に係る駆動装置の実施形態について、図1〜図6を基に説明する。尚、本実施形態では、駆動装置として、補助容量線及び走査線の両方に電圧を印加するゲートドライバ1を想定して説明するが、補助容量線にのみ電圧を印加するゲートドライバ1であっても良い。
【0041】
〈ゲートドライバの構成〉
ゲートドライバ1は、マルチ絵素駆動を行う液晶表示装置に搭載される駆動装置であり、図9に示す従来の表示装置と同様に、1つの絵素PEを構成する複数の副絵素SPE1,SPE2の夫々に設けられた補助容量CCS1,CCS2に夫々接続される異なる補助容量線CSL1,CSL2の一端に接続され、当該補助容量線CSL1,CSL2の夫々に異なる補助容量駆動電圧(CS電圧)を印加することで、副絵素SPE1,SP2の表示輝度を異ならせるように構成されている。
【0042】
ここで、図1は、本発明の実施形態に係るゲートドライバ1の接続構成として、各端子、内部配線及び内部回路の概略構成例を示しており、図2は、本発明の実施形態に係るゲートドライバ1の内部回路の概略構成例を示している。
【0043】
ゲートドライバ1は、図1に示すように、種々の配線が形成されるテープ部31と、端子部32と、集積回路部33と、を備えている。
【0044】
端子部32は、図1に示すように、中央部に、端子OG1〜OG272がこの順で配置される。更に、端子OG1からゲートドライバ1の一方の端部に向かって、端子CSVA4b〜CSVA1b、端子GCKOI、端子GSPOI、端子VCSL、端子VCSH、端子VCC、端子LBR、端子GND、端子VGH、端子VGL、端子CSVA4a〜CSVA1aがこの順で配置される。また、端子OG272からゲートドライバ1の他方の端部に向かって、端子CSVB1b〜CSVB4b、端子GCKIO、端子GSPIO、端子VCSL、端子VCSH、端子VCC、端子LBR、端子GND、端子VGH、端子VGL、端子CSVB1a〜CSVB4aがこの順で配置される。
【0045】
尚、この配置例は一例に過ぎず、任意の端子の配置を適宜入れ替えても良い。ただし、後述する図7のように、ゲートドライバ1同士をカスケード接続する場合、前段及び後段のゲートドライバ1(初段のゲートドライバ1においては、前段のゲートドライバに代えてコントローラ等の信号や電圧を出力する装置)に接続する端子を、ゲートドライバ1の端部側に配置すると好ましい。
【0046】
尚、図1では、同名の端子(端子VCSL、端子VCSH、端子VCC、端子LBR、端子GND、端子VGH、端子VGL)同士は、内部配線で接続されている。また、端子GPKOI及び端子GCKIO、端子GPPOI及び端子GCOPIOも、内部配線で夫々接続されている。尚、この配線は、端子間の直接的な接続または間接的な接続(例えば、当該端子間を信号や電圧が伝達される間に、当該信号や電圧に対して何らかの処理が行われる場合の接続)を示したものである。
【0047】
端子CSVA1a〜CSVA4aは、補助容量線駆動部21A,21Bに入力するCS電圧が供給される入力端子である。端子CSVB1a〜CSVB4aは、端子CSVA1a〜CSVA4aに入力されるCS電圧を後段のゲートドライバ1に転送する出力端子である。
【0048】
尚、端子CSVA1aは、端子CSVB1aと接続されており、端子CSVA1aから入力されたCS電圧が、端子CSVB1a及び補助容量線駆動部21A,21Bに入力される。同様に、端子CSVA2aは、端子CSVB2aと接続されており、端子CSVA2aから入力されたCS電圧が、端子CSVB2a及び補助容量線駆動部21A,21Bに入力される。端子CSVA3aは、端子CSVB3aと接続されており、端子CSVA3aから入力されたCS電圧が、端子CSVB3a及び補助容量線駆動部21A,21Bに入力される。端子CSVA4aは、端子CSVB4aと接続されており、端子CSVA4aから入力されたCS電圧が、端子CSVB4a及び補助容量線駆動部21A,21Bに入力される。
【0049】
端子VGL及び端子VGHは、走査線駆動部14が動作するための電源電圧が供給される電源端子である。
【0050】
端子LBRは、双方向シフトレジスタ12のシフト方向を示す制御信号が入力される入力端子である。尚、双方向シフトレジスタ12のシフト方向によって、絵素PEの走査方向が決定される。
【0051】
端子VCCは、ゲートドライバ1全体が動作するための電源電圧が供給される電源端子である。また、端子GNDは接地端子であり、ゲートドライバ1全体に接地電圧を供給する。
【0052】
端子VCSHは、電源電圧vcshを受け付ける電源端子であり、端子VCSLは、電源電圧vcslを受け付ける電源端子である。
【0053】
端子GSPOI及び端子GSPIOは、入出力端子であり、後述するコントロールロジック11A、11Bにより、一方が入力端子として機能する場合、他方が出力端子として機能するように制御される。端子GSPOI及び端子GSPIOの内、入力端子として機能する端子には、双方向シフトレジスタ12の動作を開始させるための走査開始信号が入力される。また、複数のゲートドライバをカスケード接続して用いる場合、後段のゲートドライバが存在すれば、端子GSPOI及び端子GSPIOの内、出力端子となる端子から当該走査開始信号を当該後段のゲートドライバに転送する(後述の図7参照)。
【0054】
端子GCKOI及び端子GCKIOは、端子GSPOI及び端子GSPIOと同様に、入出力端子であり、後述するコントロールロジック11A、11Bにより、一方が入力端子として機能する場合、他方が出力端子として機能するように制御される。端子GCKOI及び端子GCKIOの内、入力端子となる端子は、双方向シフトレジスタ12の駆動クロック信号が入力される。また、複数のゲートドライバをカスケード接続して用いる場合、後段のゲートドライバが存在すれば、端子GCKOI及び端子GCKIOの内、出力端子となる端子から当該駆動クロック信号を当該後段のゲートドライバに転送する(後述の図7参照)。
【0055】
端子CSVA1b〜CSVA4b及び端子CSVB1b〜CSVB4bは、夫々、ゲートドライバ1の外部から補助容量線CSLが接続されており、後述する補助容量線駆動部21A,21Bからの出力電圧を接続された補助容量線CSLに印加するための出力端子である。
【0056】
端子OGi(i=1〜n、nは自然数、本実施形態ではn=272)は、ゲートドライバ1の外部から、走査線GLが接続されており、後述する走査線駆動部14によって生成される走査線電圧を接続された走査線に印加するための出力端子である。ここで、走査線GLは、マトリクス状に配置される絵素PEの内、補助容量線CSL1,CSL2に沿って配列される夫々を構成する複数の副絵素SPE1,SPE2に共通して接続され、補助容量線CSL1,CSL2と平行に形成されている。尚、本実施形態では、272個の端子OGiを設ける場合について説明するが、これに限るものではない。
【0057】
集積回路部33は、図2に示すように、コントロールロジック11A,11Bと、双方向シフトレジスタ12と、レベルシフタ13と、走査線駆動部14と、補助容量線駆動部21A,21Bと、各種端子(図中の白塗りの丸で示す部分)と、を備える。尚、図2では説明の便宜上、実際とは異なり得る位置に夫々の端子を配置したものを、図示している。
【0058】
コントロールロジック11A,11Bは、端子LBRに入力される制御信号に応じて、端子GSPOI、端子GSPIO、端子GCKOI及び端子GCKIOの夫々について、入力と出力を切り替える。具体的には、端子LBRにHレベルの制御信号が入力された場合は、端子GSPOI及び端子GCKOIを入力端子、端子GSPIO及び端子GCKIOを出力端子として機能させるように切り替える。また、端子LBRにLレベルの制御信号が入力された場合は、端子GSPIO及び端子GCKIOを入力端子、端子GSPOI及び端子GCKOIを出力端子として機能させるように切り替える。
【0059】
走査線駆動部14は、端子VGLから供給される電圧と端子VGHから供給される電圧に基づいて走査線電圧を生成し、後述する端子OG1〜OG272の夫々に出力することにより、走査線GLの夫々に走査線電圧を印加する。尚、端子VGLに供給される電圧の電圧値をvgl、端子VGHに供給される電圧の電圧値をvghとすると、走査線電圧は、例えば電圧値vglから電圧値vghの振幅を有する電圧となる。
【0060】
補助容量線駆動部21A,21Bは、端子VGHからの電源電圧を電源電圧avchとして、端子VGLからの電源電圧を電源電圧avglとして受け付け、端子VCSHから電源電圧vcshを、端子VCSLから電源電圧vcslの供給を受けると共に、端子CSVA1a〜CSVA4aからCS電圧を受け付けて、補助容量CCSを駆動するための電圧を生成し、端子CSVA1b〜CSVA4b及び端子CSVB1b〜CSVB4bに出力する。尚、本実施形態では、端子VGHからの電源電圧を電源電圧avchとし、端子VGLからの電源電圧を電源電圧avglとしたが、他の電源電圧を用いても良い。
【0061】
ここで、図3は、補助容量線駆動部21(上述の補助容量線駆動部21A,21Bに相当し、これらを特に区別しない場合にこのように称する。以下同じ)の概略構成例を示している。
【0062】
補助容量線駆動部21Aは、図2に示すように、入力端子INj(j=1〜4)が端子CSVAja及び端子CSVBjaに、出力端子OUTjがCSVAjbに接続されており、図3に示すように、出力端子OUTからのフィードバック電圧と入力端子INjの電圧に応じて電源電圧を選択する4つの電源電圧選択回路210を備えて構成されている。同様に、補助容量線駆動部21Bは、図2に示すように、入力端子INjが端子CSVAja及び端子CSVBjaに、出力端子がCSVBjbに接続されており、図3に示すように、出力端子OUTからのフィードバック電圧と入力端子INjの電圧に応じて電源電圧を選択する4つの電源電圧選択回路210を備えて構成されている。尚、本実施形態では、補助容量線駆動部21が4つの電源電圧選択回路210を備える場合について説明するが、電源電圧選択回路210は、端子CSVAjaの数に応じて設ける。
【0063】
補助容量線駆動部21は、所定の第1閾値電圧vcomphより電圧値の大きい複数の電源電圧からなる電源グループを第1電源グループとし、所定の第2閾値電圧vcomplより電圧値の小さい複数の電源電圧からなる電源グループを第2電源グループとし、入力信号の電圧値に基づいて、第1電源グループと第2電源グループの内の1つの電源グループを選択し、補助容量線の電圧値と選択された電源グループの閾値電圧の比較結果に基づいて、選択された電源グループから1つの電源電圧を選択して補助容量駆動電圧とし、補助容量駆動電圧を用いて補助容量線を駆動するように構成されている。
【0064】
尚、本実施形態では、電源電圧avchと電源電圧vcshが、第1閾値電圧vcomphより高圧側の電源電圧であり、第1電源グループを構成している。また、電源電圧avclと電源電圧vcslが、第2閾値電圧vcomplより低圧側の電源電圧であり、第2グループを形成している。更に、電源電圧avch>電源電圧vcsh>第1閾値電圧vcomph>第2閾値電圧vcompl>電源電圧vcsl>電源電圧avclとなるように設定されている。
【0065】
ここで、図4は、電源電圧選択回路210の概略構成例を示す回路図である。図4に示すように、電源電圧選択回路210は、2つのコンパレータ211,212と、3つのセレクタ回路213,214,215を備えて構成されている。
【0066】
コンパレータ211は、出力端子からフィードバックされる電圧voutと第1閾値電圧vcomphの大小を比較する。詳細には、コンパレータ211は、非反転入力端子に出力ノードの電圧voutが、反転入力端子に第1閾値電圧vcomphが夫々入力され、vout>vcomphの時はHレベルの信号を、vout≦vcomphの時はLレベルの信号をセレクタ回路213に出力する。
【0067】
コンパレータ212は、電圧voutと第2閾値電圧vcomplの大小を比較する。詳細には、コンパレータ212は、反転入力端子に出力ノードの電圧voutが、非反転入力端子に第2閾値電圧vcomplが夫々入力され、vout≧vcomplの時はLレベルの信号を、vout<vcomplの時はHレベルの信号をセレクタ回路214に出力する。
【0068】
セレクタ回路213は、電源電圧avch及び電源電圧vcshが入力されており、コンパレータ211からの信号レベルがHレベルである場合には電源電圧vcshを選択出力し、コンパレータ211からの信号レベルがLレベルである場合には電源電圧avchを選択出力する。
【0069】
セレクタ回路214は、電源電圧avcl及び電源電圧vcslが入力されており、コンパレータ212からの信号レベルがHレベルである場合には電源電圧vcslを選択出力し、コンパレータ211からの信号レベルがLレベルである場合には電源電圧avclを選択出力する。
【0070】
セレクタ回路215は、入力端子INから入力される入力信号の電圧(CS電圧)に基づいて、セレクタ回路213の出力電圧またはセレクタ回路214の出力電圧を、出力電圧voutとして出力する。具体的には、CS電圧の立ち上がり開始から立ち下がり開始前までの期間では、セレクタ回路213からの出力電圧を選択出力し、CS電圧の立ち下がり開始時から立ち上がり開始前までの期間では、セレクタ回路214からの出力電圧を選択出力する。セレクタ回路215が選択出力する電源電圧が、補助容量基幹線CSL及び補助容量線CCSを駆動する補助容量駆動電圧となる。
【0071】
引き続き、電源電圧選択回路210の動作について、図5及び図6を基に簡単に説明する。ここで、図5(a)は、入力端子IN1〜IN3に入力される入力電圧、即ち、端子CSVA1a〜3aに入力されるCS電圧の電圧値を示している。また、図5(b)は、図5(a)の入力端子IN1の入力電圧に対応する出力電圧vout、即ち、端子CSVA1aから入力されるCS電圧に対応する出力電圧voutを、夫々示している。尚、出力電圧voutは、端子CSVA1bから出力されるCS電圧である。また、図6は、電源電圧選択回路210の入力端子IN、出力電圧vout、及び、選択電源電圧の関係を示している。図6において、○が記入されている電源電圧が、選択され補助容量駆動電圧として用いられている電源電圧である。
【0072】
尚、図3に示すように、補助容量基幹線CSLや補助容量線CCSは、抵抗RCSLと補助容量CCSから構成されており、これらの抵抗RCSLと補助容量CCSから成る時定数を伴って次第に充放電がされる。
【0073】
入力端子IN1から入力されるCS電圧の立ち上がり時、時間t1〜t3の期間では、セレクタ回路215は、セレクタ回路213の出力電圧を出力電圧voutとして出力する。出力電圧voutが第1閾値電圧vomph以下の期間(時間t1〜t2)では、電源電圧vcshと電源電圧avchの内、電圧値が高く、より高速充電が可能な電源電圧avchが選択される。出力電圧voutが第1閾値電圧vomphより大きくなると(時間t2〜t3)、電源電圧vcshと電源電圧avchの内、より高精度な充電が可能な電源電圧vcshが選択される。
【0074】
入力端子IN1から入力されるCS電圧の立ち下がり時、時間t3〜t5の期間では、セレクタ回路215は、セレクタ回路214の出力電圧を出力電圧voutとして出力する。出力電圧voutが第2閾値電圧vompl以上の期間(時間t3〜t4)では、電源電圧vcslと電源電圧avclの内、電圧値が低く、より高速放電が可能な電源電圧avclが選択される。出力電圧voutが第2閾値電圧vomplより小さくなると(時間t4〜t5)、電源電圧vcslと電源電圧avclの内、より高精度な放電が可能な電源電圧vcslが選択される。
【0075】
尚、従来の駆動装置では、図15に示すように、1つの電源電圧vcshにより充電を行う構成であった為、端子CSVY1bに接続される補助容量線が所望の電圧値に達する前に、端子CSVY2bに接続される補助容量線の充電が開始されるため、端子CSVY2bに接続される補助容量線の充電開始時に、電源電圧vcshの電圧降下が一時的に生じ、端子CSVY1bの電圧が不安定なものとなっていた。
【0076】
これに対し、本発明に係るゲートドライバ1は、2つの電源電圧avch及び電源電圧vcshにより補助容量線の充電を行う構成であり、図5に示す場合では、端子CSVA2bに接続される補助容量線の充電を開始する前に、端子CSVA1bの電圧がvcomphに達し、電源電圧vcshにより充電を行うことになる。即ち、端子CSVA2bに接続される補助容量線の充電開始時において、端子CSVA1bに接続される補助容量線については電源電圧vcshにより充電を行い、端子CSVA2bに接続される補助容量線については電源電圧avchにより充電を行うこととなるため、電源電圧vcshの電圧降下は生じず、端子CSVA1bの電圧が不安定になることがない。
【0077】
尚、端子CSVA2bの電圧がvcomphに達し、電源電圧vcshにより充電を行うときには、端子CSVA1bと端子CSVA2bの両方が電源電圧vcshから電圧供給されることになるが、端子CSVA1bに接続された補助容量線については充電が終了していることから、充電を行う補助容量線は1つとなり、電源供給不足になる可能性は低く、電圧が不安定になるのを効果的に防止できる。
【0078】
〈ゲートドライバの動作〉
以下、ゲートドライバ1による走査線電圧の生成動作の概要について、図1及び図2を基に説明する。
【0079】
尚、ここでは、端子LBRに入力される制御信号がHレベルであり、端子GSPOIが入力端子、端子GSPIOが出力端子として機能する場合を想定して説明する。
【0080】
垂直同期信号を基に生成された走査開始信号が端子GSPOIから入力されると、双方向シフトレジスタ12が、端子GCKOIから入力される水平同期信号を基に生成された駆動クロック信号に同期して(例えば、1水平走査期間毎に)シフト動作を開始する。
【0081】
最初のシフト動作において、双方向シフトレジスタ12は、第1パルス信号を生成し、レベルシフタ13に出力する。レベルシフタ13は、第1パルス信号を電圧vglから電圧vghの振幅を有する走査線電圧に変換し、走査線駆動部14に出力する。走査線駆動部14は、当該走査線電圧を端子OG1に出力する。
【0082】
次のシフト動作において、双方向シフトレジスタ12は、第1パルス信号とは別の第2パルス信号を生成し、レベルシフタ13に出力する。レベルシフタ13は、第2パルス信号を電圧vglから電圧vghの振幅を有する走査線電圧に変換し、走査線駆動部14に出力する。走査線駆動部14は、当該走査線電圧を端子OG1に出力する。
【0083】
同様にして、双方向シフトレジスタ12は、シフト動作毎に、第3パルス信号〜第272パルス信号を生成し、順次レベルシフタ13に出力する。レベルシフタ13は、第3パルス信号〜第272パルス信号を、夫々、電圧値vglから電圧値vghの振幅を有する走査線電圧に順次変換し、走査線駆動部14が、端子OG3〜端子OG272に出力する。
【0084】
端子OG272に走査線電圧が出力され、シフト動作が終了すると、ゲートドライバ1は、後段のゲートドライバ1に対して、端子GSPIOから走査開始信号を出力するとともに、端子GCKIOから駆動クロック信号を出力する。これにより、当該後段のゲートドライバでは、ゲートドライバ1と同様の動作が行われ、接続される走査線に対して走査線電圧を順次印加する。
【0085】
〈表示装置〉
本発明に係る表示装置の実施形態について、図7を基に説明する。尚、本実施形態の表示装置は、液晶表示装置(特に、液晶パネル)である場合を想定している。
【0086】
ここで、図7は、液晶表示装置10の概略構成例を示す部分ブロック図である。図7に示すように、液晶表示装置10(特に、液晶表示パネル)は、複数の副絵素SPE1,SPE2で構成された絵素PEの複数からなる絵素アレイと、複数のゲートドライバ1F,1Sと、ソースドライバ40と、コントローラ50と、ガラス基板60と、を備えて構成されている。尚、本実施形態では、説明のため、液晶表示装置40が2つのゲートドライバ1を備える場合を想定しているが、3以上のゲートドライバ1を備えるように構成しても良い。
【0087】
尚、ゲートドライバ1Fとゲートドライバ1Sはカスケード接続されており、ガラス基板60に形成される配線により、ゲートドライバ1Fの端子CSVB1a〜CSVB4aがゲートドライバ1Sの端子CSVA1a〜CSVA4aに、ゲートドライバ1Fの端子CSVB1b〜CSVB4bがゲートドライバ1Sの端子CSVA1b〜CSVA4bに夫々接続されている。また、ガラス基板60に形成される配線により、ゲートドライバ1Fの端子VCSL、端子VCSH、端子VCC、端子LBR、端子GND、端子VGH、端子VGLが、夫々、ゲートドライバ1Sの同名の端子に接続される。更に、ガラス基板60に形成される配線によって、ゲートドライバ1Fの端子GCKIO及び端子GSPIOが、ゲートドライバ1Sの端子GCKOI及び端子GSPOIに夫々接続される。これにより、コントローラ50がゲートドライバ1Fに入力した信号や電圧が、ゲートドライバ1Fの後段のゲートドライバ1Sに伝達可能になる。
【0088】
ガラス基板60は、絵素アレイ、走査線GL、信号線SL、補助容量基幹線CSLA、補助容量線CSL1,CSL2、コントローラ50と初段のゲートドライバ1とを接続する制御線CLが形成されている。尚、図7において、制御線CLの一部については、図示の便宜のために複数をまとめて1本の太線で図示している。
【0089】
ソースドライバ40は、信号線電圧を生成して信号線SLに印加する信号線電圧生成部41を備える。信号線電圧生成部41は、後述するコントローラ50から入力されるソースドライバ制御信号に基づいて信号線電圧を生成し、信号線SLに印加する。これにより、夫々の絵素PEが駆動されて表示動作が行われる。
【0090】
コントローラ50は、制御線CLを介して、CS電圧をゲートドライバ1Fの端子CSVA1a〜CSVA4aに入力し、各種電源電圧または接地電圧をゲートドライバ1Fの端子VCSL、端子VCSH、端子VCC、端子GND、端子VGH、端子VGLに入力する。尚、本実施形態では、双方向シフトレジスタ12のシフト方向が端子OG1〜端子OG272の方向に固定されており、端子VCCに供給される電源電圧が、端子LBRに入力されている。
【0091】
コントローラ50は、上述したように、双方向シフトレジスタ12のシフト方向が端子OG1〜端子OG272の方向に固定されることから、制御線CLを介して、端子GSPOIに走査開始信号を、端子GCKOIに駆動クロック信号を夫々入力する。また、コントローラ50は、ゲートドライバ1Fの端子CSVA1a〜CSVA4a夫々に、CS電圧を入力する。
【0092】
ゲートドライバ1F,1Sは、上述したように、端子GSPOIから入力される電圧に基づいて走査線電圧を生成し、出力端子OG1〜OG272から走査線電圧を出力して、出力端子OG1〜OG272の夫々に接続された走査線GLの夫々に走査線電圧を印加する。更に、ゲートドライバ1F,1Sは、上述したように、端子CSVA1a〜CSVA4aから入力されるCS電圧に基づいて、電源電圧avch、電源電圧vcsh、電源電圧vcsl及び電源電圧avclから補助容量線を充放電するための電源電圧を選択し、端子CSVA1b〜CSVA4b及び端子CSVB1b〜CSVB4bから出力する。端子CSVA1b〜CSVA4b及び端子CSVB1b〜CSVB4bから出力された電圧は、端子の夫々に接続されている補助容量基幹線CSLAに印加され、当該補助容量基幹線に接続されている補助容量線CSL1,CSL2に印加され、補助容量線が駆動(充放電)される。
【0093】
尚、ゲートドライバ1を複数設ける構成にすることにより、補助容量線駆動部21の数に応じて、補助容量基幹線CSLAを分割できる。このため、図13に示す表示装置のように1つの補助容量基幹線CSLXを備える場合に比べ、補助容量基幹線CSLAの長さを短くして配線抵抗を低減でき、線幅を細くして狭額縁化を図ることが可能になる。また、補助容量駆動部21を液晶表示装置10全体で分散して設け、補助容量基幹線CSLAを分割せずに線幅を細く構成した場合に、表示輝度ムラの抑制を図ることが可能になる。
【0094】
〈別実施形態〉
〈1〉上記実施形態では、端子VGHからの電源電圧を電源電圧avchとして用い、端子VGLからの電源電圧を電源電圧avclとして用いたが、これに限るものではない。電源電圧avch及び電源電圧avclは、ゲートドライバ1内部で生成される他の内部電源電圧であっても良いし、コントローラ50から供給される他の外部電源電圧であっても良い。
【0095】
〈2〉上記実施形態において、補助容量線駆動部21の第1閾値電圧vcomph及び第2閾値電圧vcomplは、内部生成される電圧を用いたが、コントローラ50から供給されるように構成しても良い。
【0096】
〈3〉上記実施形態では、第1電源グループ及び第2電源グループが夫々2つの電源電圧で構成される場合について説明したが、更に複数種類の電源電圧を備えていても良い。尚、3種類以上の電源電圧を備える場合は、閾値電圧を電源電圧の数に応じて複数設定する
【0097】

〈4〉上記実施形態では、ゲートドライバが2つの補助容量線駆動部21を備える場合について説明したが、補助容量線駆動部21の数は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、液晶表示装置などの表示装置に備えられる補助容量を駆動する駆動装置に適用可能である。例えば、表示装置の走査線を駆動するゲートドライバに適用すると、好適である。
【符号の説明】
【0099】
1 ゲートドライバ
11A コントロールロジック
11B コントロールロジック
12 双方向シフトレジスタ
13 レベルシフタ
14 走査線駆動部
21 補助容量線駆動部
21A 補助容量線駆動部
21B 補助容量線駆動部
31 テープ部
32 端子部
33 集積回路部
210 電源電圧選択回路
211 コンパレータ
212 コンパレータ
213 セレクタ
CCS,CCS1,CCS2 補助容量
CSL,CSL1,CLS2 補助容量線
PE 絵素
SPE1,SPE2 副絵素


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの絵素を構成する複数の副絵素の夫々に設けられた補助容量に夫々接続される異なる補助容量線の一端に接続され、当該補助容量線の夫々に異なる補助容量駆動電圧を印加することで、前記副絵素の表示輝度を異ならせ得る駆動装置であって、
所定の第1閾値電圧より電圧値の大きい複数の電源電圧からなる電源グループを第1電源グループとし、所定の第2閾値電圧より電圧値の小さい複数の電源電圧からなる電源グループを第2電源グループとし、
入力信号の電圧値に基づいて、前記第1電源グループと前記第2電源グループの内の1つの前記電源グループを選択し、前記補助容量線の電圧値と選択された前記電源グループの前記閾値電圧の比較結果に基づいて、選択された前記電源グループから1つの前記電源電圧を選択して前記補助容量駆動電圧とし、前記補助容量駆動電圧を用いて前記補助容量線を駆動する補助容量線駆動部を備えることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
複数の前記入力信号別に、前記補助容量線駆動部を備え、前記補助容量線駆動部の夫々が異なる前記補助容量駆動電圧を出力することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1電源グループが、第1電源電圧と前記第1電源電圧より電圧値の低い第2電源電圧で構成され、
前記第2電源グループが、第3電源電圧と前記第3電源電圧より電圧値の低い第4電源電圧で構成され、前記第2閾値電圧が前記第1閾値電圧より小さい値に設定され、
前記補助容量線駆動部が、
前記補助容量線の電圧値と前記第1閾値電圧を比較する第1コンパレータと、
前記第1コンパレータの比較結果に基づいて、前記補助容量線の電圧値が前記第1閾値電圧より小さい場合は前記第1電源電圧を選択して出力し、前記補助容量線の電圧値が前記第1閾値電圧より大きい場合は前記第2電源電圧を選択して出力する第1セレクタと、
前記補助容量線の電圧値と前記第2閾値電圧を比較する第2コンパレータと、
前記第2コンパレータの比較結果に基づいて、前記補助容量線の電圧値が前記第2閾値電圧より小さい場合は前記第3電源電圧を選択して出力し、前記補助容量線の電圧値が前記第2閾値電圧より大きい場合は前記第4電源電圧を選択して出力する第2セレクタと、
前記入力信号の電圧値に基づいて、前記第1セレクタと第2セレクタの何れか一方を選択して前記補助容量線に出力する第3セレクタと、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
マトリクス状に配置される前記絵素の内、前記補助容量線に沿って配列される夫々を構成する複数の前記副絵素に共通して接続され、当該補助容量線と平行に形成される走査線に、走査線電圧を印加する走査線駆動部を、
更に備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の駆動装置。
【請求項5】
複数の前記副絵素で構成された前記絵素の複数からなる絵素アレイと、
請求項1〜4の何れか1項に記載の駆動装置の1または複数と、を備えることを特徴とする表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−29646(P2013−29646A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165265(P2011−165265)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】