説明

駆動装置及び駆動装置を用いた電子機器

【課題】基板に実装された駆動装置から出力されるデマルチ制御信号の波形の鈍りを、基板に形成された配線上で、従来よりも軽減する。
【解決手段】第1の信号を出力する第1の端子と、第2の信号を出力する第2の端子と、第3の信号を出力する第3の端子と、を含み、前記第1の信号はアナログ信号であり、前記第2の信号及び前記第3の信号の各々は、第1のタイミング信号を元に生成され、第1の期間における前記第1の信号の値を抽出するために用いられる信号であることを特徴とする駆動装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、液晶表示パネルなどに対して画像データを駆動する駆動装置と該駆動装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶組成物と薄膜トランジスター(以降TFTと呼ぶ)とを組み合わせた液晶表示パネルを用いた装置において、該液晶表示パネルに画像データを出力するために駆動装置(以降ソースドライバーと呼ぶ)が用いられている。ソースドライバーが出力する画像データはアナログデータである。該アナログデータは、複数の階調を表すデジタルデータが駆動装置に入力されて該駆動装置内のデジタル−アナログ変換器(以降DA変換器と呼ぶ)により変換されたものである。
【0003】
液晶表示パネルは、一対の基板の間に液晶組成物を挟む構造を有する。該一対の基板の中の一方の基板には複数のソース信号線と複数のゲート信号線とが交差するように形成され、交差部にはTFT及び該TFTに接続された画素容量が形成される。該ソース信号線により画像データが伝搬され、該画像データを取り込むためのタイミングを規定する信号としてゲート信号線に走査制御信号が出力される。該画素容量には、走査制御信号よりタイミング制御されたTFTを介して画像データに応じた電荷が供給される。尚、一対の基板の中における他の一方の基板には共通電極が形成される。
【0004】
上述した説明はソース信号線がソースドライバーに接続されることとして記載したが、液晶表示パネルの表示画素数の増加に伴い、複数の画像データを時分割出力し、ひとつの信号線に出力するタイプのソースドライバーが用いられるようになった。上述の説明と区別するために、該ひとつの信号線を表示信号線と呼ぶことにする。表示信号線はデマルチプレクサー(分配回路)と呼ばれる素子に接続され、表示信号線により時分割出力された複数の画像データはソースドライバーから出力される分配指示信号により時分割分配されて複数のソース信号線に出力される。デマルチプレクサーは、ソースドライバーよりも、より表示領域に近い部分に配置される。図5−(d)に示したのは、このような従来技術におけるデマルチプレクサーを用いた液晶表示パネルの一部の概略ブロック図の一部である。
【0005】
図5−(d)について説明する。図5−(d)には、ソースドライバー520、デマルチプレクサー531、デマルチプレクサー532及びデマルチプレクサー533を便宜上示している。デマルチプレクサーの数は、表示パネルの1ライン分の画素数やソースドライバー520の仕様などにより規定される。尚、図5−(d)において、ソースドライバー520に接続されている表示信号線が、表示信号線541、表示信号線542、及び、表示信号線543しか図示していないが、これも便宜上のことである。
【0006】
表示信号線541、542及び543を介して複数の画像データが、ソースドライバー520により時分割駆動され、デマルチプレクサー531、532及び533に出力される。分配制御信号線500には8本のデマルチ制御信号線が含まれる。時分割駆動された複数の画像データは、分配制御信号線500に含まれる8本のデマルチ制御信号線に出力される信号により規定されるタイミングで、8本のソース信号線510のそれぞれに分配されて出力される。
【0007】
分配制御信号線500に含まれる複数のデマルチ制御信号線の各々に出力される信号は、複数の画像データが時分割駆動されたタイミングに合わせて排他的にオンとなる。たとえば、ソース信号線511には、デマルチ制御信号線501がオンであるときの表示信号線541における値が出力される。このようなデマルチプレクサーを用いる技術は、たとえば特許文献1に記載されている。尚、上記したように、説明中に「オン」という言葉を使用するが、オンとは信号値が、その信号の機能を果たす上で有効となる値であることを示す言葉として使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−58857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一般的に、ソースドライバーは接続される表示信号線の本数が多く、表示信号線が接続される端子が設けられる側の辺の長さが他の辺に比べて長い形状を有する。このため、表示信号線が接続されるデマルチプレクサーはソースドライバーの表示信号線が接続される辺に沿った領域に配置される場合が多いと考えられる。デマルチプレクサーは、一本の表示信号線に時分割駆動された複数の画像データを、複数のソース信号線に分配する素子であるから、該複数のソース信号線を接続する端子数を考慮すると、ソースドライバーにおける表示信号線が接続される隣り合った端子間の長さよりも、ひとつのデマルチプレクサーにおける表示領域に面する側の辺の長さの方が長くなる可能性が高い。従って、図5−(d)で示した分配制御信号線500の各々の配線長はソースドライバー520の長辺の長さよりも長く、分配制御信号線500の配線上の距離がソースドライバー520の端子からより長くなるにつれ、分配制御信号線500上の信号の波形により大きな鈍りが発生する可能性が高くなる。この鈍りは、デマルチプレクサーが分配制御信号線500に接続される位置により、複数の画像データを分配するためのタイミングが異なることを意味し、表示される画像の品質に影響を与えることになる。
【0010】
波形の鈍りの例として、異なる接続位置のデマルチプレクサーにおけるデマルチ制御信号線501上の信号の波形を図5−(a)、(b)及び(c)に示す。図5−(a)はデマルチ制御信号線501とデマルチプレクサー531との接続部分における波形であり、図5−(b)はデマルチ制御信号線501とデマルチプレクサー532との接続部分における波形であり、図5−(c)はデマルチ制御信号線501とデマルチプレクサー533との接続部分における波形である。図5−(d)からわかるように、分配制御信号線500の配線上におけるソースドライバー520からの距離は、デマルチプレクサー533までが最も短く、デマルチプレクサー531までが最も長い。図5−(c)の波形は鈍りが最も小さく、図5−(a)の波形の鈍りが最も大きい。
【0011】
波形が鈍ることにより、分配制御信号線500によりオンとして動作する時間間隔が素子毎に異なる可能性がある。これにより表示信号線のデータが複数のソース信号に適切に分配されず、液晶表示パネルにおける表示が適切な表示とはならない場合が発生する可能性がある。
【0012】
図8に表示信号線541の値、デマルチ制御信号線501の値、及び、ソース信号線511の値を示す。tで示した矢印は時間の経過を示す。デマルチ制御信号線501の値がオンのときの表示信号線541の値が、ソース信号線511の値として出力される。デマルチプレクサー531において、デマルチ制御信号線501の値がMaxの値の略2分の1以上の値となるとデマルチプレクサー531におけるゲートはオンとして動作するとする。この場合、表示信号線541の値は、図8−(p)で示すようにソース信号線511に伝搬し始め、図8−(q)で示すように伝搬が終える。尚、ソース信号線511には伝搬が終えた時点での値が所定の期間維持される。
【0013】
しかしながら、デマルチ制御信号線501における波形がオンからオフに移行するときに鈍りが発生したことで、デマルチプレクサー531におけるゲートがオフとなるタイミングに遅れが生じ、表示信号線541の値が図8−(m)から図8−(n)に以降するときの値が伝搬されてしまい、ソース信号線511の値が図8−(m)の値と異なる値になっている。これにより、画素容量に画像データに従った電荷の供給がなされず、表示パネルにおいて画像データ通りの表示がなされないことになる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述した課題の少なくともひとつを解決するためになされたものであり、以下の適用例又は実施形態として実現することが可能である。
【0015】
[適用例1]
本適用例にかかる駆動装置は、第1の信号を出力する第1の端子と、第2の信号を出力する第2の端子と、第3の信号を出力する第3の端子と、を含み、前記第1の信号はアナログ信号であり、前記第2の信号及び前記第3の信号の各々は、第1のタイミング信号を元に生成され、第1の期間における前記第1の信号の値を抽出するために用いられる信号であることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、第1の期間における第1の信号の値を抽出するために用いられる信号として第2の信号と第3の信号とを有することで、ふたつの信号を用いて第1の期間における第1の信号の値の抽出を行うことができることから、第1の信号の分配を行うための駆動装置における端子あたりの信号駆動の負荷の低減を図ることができ、第2の信号及び第3の信号の波形の鈍りを軽減することができる。
【0017】
[適用例2]
上記適用例にかかる駆動装置において、更に、第4の信号を出力する第4の端子と、第5の信号を出力する第5の端子と、を含み、前記第4の信号及び前記第5の信号の各々は、第2のタイミング信号を元に生成され、第2の期間における前記第1の信号の値を抽出するために用いられる信号であり、前記第1の期間と前記第2の期間とは、重ならない期間であることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1の期間と重ならない第2の期間における第1の信号の値を抽出するために用いられる信号として第4の信号と第5の信号とを有することで、ふたつの信号を用いて第2の期間における第1の信号の値の抽出を行うことができることから、第1の信号の分配を行うための駆動装置における端子あたりの信号駆動の負荷の低減を図ることができ、第4の信号及び第5の信号の波形の鈍りを軽減することができる。これにより、異なる期間における第1の信号の値の抽出が可能となる。
【0019】
[適用例3]
上記適用例にかかる駆動装置において、前記第1のタイミング信号の変化が前記第2の端子に伝達するまでの時間及び前記第1のタイミング信号の変化が前記第3の端子に伝達するまでの時間の少なくとも一方の時間を変化させることができることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、第1のタイミング信号を元とする2つの信号における駆動装置からの信号の出力タイミングを異なるものとすることができる。これにより、第2の信号における負荷と第3の信号における負荷とが異なる場合においても、少なくともいずれか一方の信号における第1のタイミング信号の変化の伝達時間を変更することで、第1の期間における第1の信号の値の抽出タイミングの調整を行うことができる。たとえば、第2の端子からデマルチプレクサーの接続される位置までの距離と、第3の端子からデマルチプレクサーが接続される位置までの距離が同じにできるとは限らない。このような場合には第2の信号と第3の信号とでは負荷が異なる可能性があるが、このような場合に、信号の変化がデマルチプレクサーからみて適切なものとなるように調整をすることができる。
【0021】
[適用例4]
上記適用例にかかる駆動装置において、前記第2のタイミング信号の変化が前記第4の端子に伝達するまでの時間及び前記第2のタイミング信号の変化が前記第5の端子に伝達するまでの時間の少なくとも一方の時間を変化させることができることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、第2のタイミング信号を元とする2つの信号における駆動装置からの信号の出力タイミングを異なるものとすることができる。これにより、第4の信号における負荷と第5の信号における負荷とが異なる場合においても、少なくともいずれか一方の信号における第2のタイミング信号の変化の伝達時間を変更することで、第2の期間における第1の信号の値の抽出タイミングの調整を行うことができる。
【0023】
[適用例5]
本適用例にかかる電子機器は、前記電子機器は、前記駆動装置を実装した基板を有し、前記基板における前記第2の端子が接続される配線は前記第3の端子に接続され、前記基板における前記第4の端子が接続される配線は前記第5の端子に接続されることを特徴とする。
【0024】
この構成によれば、電子機器の駆動装置を実装した基板において、第2の端子が接続される配線に第3の端子が接続されること、第4の端子が接続される配線に第5の端子が接続されることで、それぞれの配線において信号が2つの端子から駆動されることになり、配線上の信号の鈍りの低減を図ることができる。
【0025】
更に、上記適用例にかかる駆動装置において下記の適用例がある。
【0026】
上記適用例にかかる駆動装置において、前記第1の端子は、前記第2の端子及び前記第4の端子と、前記第3の端子及び第5の端子との間に配置されることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、駆動装置において、第1の端子が第2の端子及び第4の端子と第3の端子及び第5の端子との間に配置されることにより、駆動装置を実装した基板における第1の信号の配線、第2の信号の配線、第3の信号の配線、第4の信号の配線及び第5の信号の配線の交差を低減するなど、配線の位置を適切なものとすることが容易となる。たとえば、第1の端子が複数ある場合、それぞれの第1の端子に対応してひとつのデマルチプレクサーが存在するが、いずれのデマルチプレクサーにおいても接続される配線の末端に位置するようなことがなく、複数のデマルチプレクサーを略直線上に位置するように配置することが可能となる。このような複数のデマルチプレクサーの配置は好ましい配置のひとつである。
【0028】
上記適用例にかかる駆動装置において、更に、第6の信号を出力する第6の端子を含み、前記第6の信号は、外部に接続されるゲートドライバーを制御する信号であり、前記第2の端子及び前記第4の端子は、前記第1の端子と前記第6の端子との間に配置されることが好ましい。または、前記第3の端子及び前記第5の端子は、前記第1の端子と前記第6の端子との間に配置されることが好ましい。
【0029】
この構成によれば、駆動装置において、第2の端子及び第4の端子が第1の端子と第6の端子との間に配置されることで、駆動装置が実装される基板において、第6の信号の配線、第1の信号の配線、第2の信号の配線、及び第4の信号の配線の交差を低減するなど、配線の配置を適切に行うことが容易となる。一般的に、液晶表示パネルの表示領域が長方形の形状である場合、表示領域の第1辺(たとえばX軸に平行な辺)側にソースドライバーが配置されると、第1辺に直交する第2辺(たとえばY軸に平行な辺)側にゲートドライバーが配置される。このような場合、デマルチプレクサーは第1辺側に配置される。すなわち、第1の信号、第2の信号及び第4の信号は第1辺側で用いられる信号であり、第6の信号は第2辺側のゲートドライバーに対して出力される信号となる。このため、第2の端子及び第4の端子が第1の端子と第6の端子との間に配置することにより、第6の端子が第一辺で使用される信号を出力する端子の間に挟まれることがないことから、第1の信号の配線、第2の信号の配線、第4の信号の配線及び第6の信号の配線との交差の発生の低減を図ることができる。第3の端子及び第5の端子が第1の端子と第6の端子との間に配置される場合も同様であり、基板上の配線配置を適切なものとすることが容易となる。
【0030】
本適用例にかかる駆動装置を用いた電子機器であって、駆動装置が電子機器に含まれる基板上に配置され、第1の信号の値を分配する第1の分配回路及び第2の分配回路が基板上に配置され、第2の信号及び第4の信号は、第1の分配回路において使用され、第3の信号及び第5の信号は、第2の分配回路において使用されることが好ましい。
【0031】
この構成によれば、第2の信号及び第4の信号を第1の分配回路において使用し、第3の信号及び第5の信号を第2の分配回路に使用することで、上述した従来技術に比較して、端子あたりに接続される分配回路の数を減らすことができ、第2の信号、第3の信号、第4の信号及び第5の信号の配線上の波形の鈍りを緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明にかかる駆動装置を使用した表示パネルのブロック図の一部。
【図2】本発明を適用した表示パネルの概略イメージ図。
【図3】本発明にかかる駆動装置を使用した表示パネルのブロック図の一部。
【図4】本発明を適用した駆動装置を使用した表示パネルのブロック図の一部。
【図5】従来の駆動装置を使用した表示パネルのブロック図の一部と波形イメージ図。
【図6】本発明にかかる駆動装置を用いた場合の概略タイミングチャート図。
【図7】本発明にかかる駆動装置を使用した表示パネルのブロック図の一部。
【図8】従来の駆動装置を用いた場合の概略タイミングチャート図。
【図9】本発明にかかる遅延回路部の概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以降、図を用いて本発明について説明する。
【0034】
(第1実施形態)
図2に、本発明を適用した表示パネル1の概略イメージ図を示す。図2には、表示領域10、ソースドライバー20、ゲートドライバー40、デマルチプレクサー31、32及び33を含む8個のデマルチプレクサー、TFT50、及び、画素電極60、及び、対向電極61を示している。また、図2には、表示信号線81、82及び83を含む8本の表示信号線、分配制御信号線71、ゲート信号線91、及び、ソース信号線92を含む複数のソース信号線94を示している。図2において、TFT50、画素電極60、及び、対向電極61は、それぞれひとつしか図示していないが、表示領域10にはマトリクス状に複数のTFTが存在し、それぞれのTFTには1本のゲート信号線、1本のソース信号線、及び、ひとつの画素電極が接続されている。画素電極60と対向電極61との間には液晶組成物が挟まれており、対向電極61には共通電極線93が接続されている。尚、分配制御信号線71は、両端がソースドライバー20に接続されている。
【0035】
図1は、図2におけるソースドライバー20及びデマルチプレクサー31、32及び33における信号線の接続状態を表した図である。図1におけるソースドライバー120が図2におけるソースドライバー20に該当し、図1におけるデマルチプレクサー131、132及び133が、それぞれ図2におけるデマルチプレクサー31、32及び33に該当する。同様に図1における表示信号線181、182及び183は図2における表示信号線81、82及び83に該当し、図1における分配制御信号線171は図2における分配制御信号線71に該当する。
【0036】
デマルチプレクサー131、132及び133は、いずれも分配制御信号線171に接続されている。分配制御信号線171は、ソースドライバー120の第2端子121及び第3端子123に接続されている。第2端子121からの分配制御信号線171の配線長はデマルチプレクサー132との接続部分までの方がデマルチプレクサー131との接続部分までの方よりも長く、第3端子123からの分配制御信号線171の配線長は、デマルチプレクサー132との接続部分までの方がデマルチプレクサー133との接続部分までの方よりも長い。
【0037】
図2で示したように、本実施形態はソースドライバー120に対して8個のデマルチプレクサーを接続する形態としているが、以降の説明は、これら8個のデマルチプレクサーを代表して、略直列に並んだ8個のデマルチプレクサーの中の両端に位置するデマルチプレクサー131及び133と、中間部分に位置するデマルチプレクサー132とについて行うことにする。
【0038】
分配制御信号線171は、デマルチ制御信号線101〜108の8本の信号線より構成されており、それぞれの信号線は一方端が第2端子121の中のひとつの端子に接続され、他の一方端が第3端子123の中のひとつの端子に接続されている。たとえば、デマルチ制御信号線108は一方端が第2端子121の中の端子124に接続され、他の一方端が第3端子123の中の端子125に接続されている。
【0039】
デマルチ制御信号線101〜108は、いずれも2つの端子から駆動されることから、ひとつの端子から駆動される場合に比べて信号の鈍りが少なくなる。図3にデマルチプレクサー131、デマルチプレクサー132、及び、デマルチプレクサー133と、デマルチ制御信号線101との、各々の接続部分における信号の波形の状態を示す。デマルチプレクサー131におけるデマルチ制御信号線101の信号の波形の鈍り(図3−(a))は、従来技術における信号の波形の鈍り(図5−(a))よりも改善され、デマルチプレクサー131とデマルチ制御信号線101との接続部分における信号の波形と、デマルチプレクサー133とデマルチ制御信号線101との接続部分における信号の波形との形状の差は少なくなっている。また、8個ならんだデマルチプレクサーの中でほぼ中央に位置するデマルチプレクサー132におけるデマルチ制御信号線101との接続部分における信号の波形の鈍り(図3−(b))も従来技術における波形の鈍り(図5−(b))に比較して改善されている。尚、デマルチ制御信号線102〜108の信号の波形もデマルチ制御信号線101と同様の波形となる。
【0040】
図6に、表示信号線181の値、デマルチ制御信号線101〜108の値、及び、ソース信号線111〜118の値の概略タイムチャートを示した。tで示した矢印は時間の経過を示す。また、信号名の右側におけるふたつの点線の間が信号の取り得る値であり、上側の点線が最大値(表示信号線181のチャートのMaxで示した部分、他の信号も同様)であり、下側の点線が最小値(表示信号線181のチャートのMinで示した部分、他の信号も同様)である。図6に示した信号は、いずれもデマルチプレクサー131の入出力信号である。表示信号線181、及び、デマルチ制御信号線101〜108で示した信号がデマルチプレクサー131への入力信号であり、ソース信号線111〜118で示した信号がデマルチプレクサー131からの出力信号である。
【0041】
表示信号線181の信号は、複数のアナログデータが時分割出力されたものであり、図6−(a)〜(h)の各々はソースドライバー120内でデジタルデータがDA変換されたアナログデータの値である。デマルチ制御信号線101〜108の各々の信号は表示信号線181に時分割駆動されたアナログデータに同期をとって、排他的にオンとなるように、ソースドライバー120で生成される信号である。デマルチプレクサー131は、デマルチ制御信号線101〜108のそれぞれの信号がオンのときにソース信号線111〜118の所定のソース信号線に表示信号線181の値を伝搬させる。デマルチ制御信号線101〜108の各々に対する所定のソース信号がどれであるかは図1に図示した通りである。図から分かる通り、デマルチ制御信号線101がソース信号線111の出力に対する制御を行い、デマルチ制御信号線102がソース信号線112の出力に対する制御を行い、デマルチ制御信号線103がソース信号線113の出力に対する制御を行い、デマルチ制御信号線104がソース信号線114の出力に対する制御を行う。また、デマルチ制御信号線105がソース信号線115の出力に対する制御を行い、デマルチ制御信号線106がソース信号線116の出力に対する制御を行い、デマルチ制御信号線107がソース信号線117の出力に対する制御を行い、デマルチ制御信号線108がソース信号線118の出力に対する制御を行う。たとえば、デマルチ制御信号線101がオンになると図6−(k)で示すように図6−(a)の値がソース信号線111に伝搬し始め、図6−(a)に対応する値となって、この値が保持される。デマルチ制御信号線102〜108の場合についても同様であり、表示信号線181の値がソース信号線112〜118に伝搬する様子は図6に示した通りである。
【0042】
図3−(a)〜(c)で示したように、デマルチ制御信号線101〜108の信号の波形の鈍りは、本発明を適用することにより少なくすることができる。これにより、表示信号線に時分割出力された信号のそれぞれが出力されている時間の長さに対する、デマルチ制御信号線の信号をオンとする時間の長さの割合を従来よりも大きくすることができる。これにより、従来と同じ表示画素数の表示パネルにおいては、表示信号線からソース信号線に対して値を伝搬させる電位差を大きくすることができる。また、デマルチ制御信号線の信号がオンとなる時間の長さを変えない場合は、表示信号線にアナログデータを時分割駆動する際のひとつのアナログデータ当たりの時間の長さを短くすることが可能ということにつながり、表示領域の画素数の増加につなげることができる。
【0043】
(第2実施形態)
本実施形態は、第1実施形態で示したソースドライバーにゲートドライバーを制御する信号の出力端子を設けたものである。図4に、ゲートドライバーを制御する信号の出力端子である第4端子224を有するソースドライバー220を含む液晶表示パネルのブロック図の一部を示す。第4端子224にはゲートドライバー制御信号線241が接続されている。ゲートドライバー制御信号線241により、ソースドライバー220と図4において図示しないゲートドライバーとが接続される。
【0044】
液晶表示パネルにおいて、表示領域に対するゲートドライバー及びソースドライバーの位置関係は概ね図2に示したようになる。図2における位置関係では、図1におけるソースドライバー120において、第2端子121の側にゲートドライバーが存在することになる。このため、図4において、デマルチ制御信号線242が接続される第2端子221が、第4端子224と表示信号線243が接続される第1端子222との間に配置されることにより、ゲートドライバー制御信号線241の配線と、デマルチ制御信号線242の配線及び表示信号線243の配線との交差部分を軽減することができる。尚、図示はしていないが、ゲートドライバーが図1のソースドライバー120において第3端子123の側に存在する場合も考えられる。この場合は、第3端子223が第1端子222と第4の端子との間に配置されるようにするのが好ましい。
【0045】
(第3実施形態)
本実施形態は、第1実施形態若しくは第2実施形態で説明したソースドライバーと、デマルチプレクサーとの間の、分配制御信号線の接続の仕方を変えたものである。第1実施形態で説明したソースドライバー120とデマルチプレクサーとを用いた場合の接続の状態のイメージを図7に示す。
【0046】
第2端子121に接続された分配制御信号線を第1分配制御信号線とし、第3端子123に接続された分配制御信号線を第2分配制御信号線とするときに、ソースドライバー120に接続される複数のデマルチプレクサーに接続される分配信号として、第2端子121よりの半数のデマルチプレクサーには第1分配制御信号線を接続し、残りの半数のデマルチプレクサーには第2分配制御信号線を接続する。分配制御信号線に接続されるデマルチプレクサーを従来の半分にすることにより、分配制御信号線各々の信号の波形の鈍りを、従来のものに比べて軽減することができる。
【0047】
(第4実施形態)
本実施形態は、上述した実施形態における分配制御信号線に出力される分配制御信号(デマルチ制御信号線に出力されるデマルチ制御信号)の生成部分(図示せず)に出力タイミング調整のための遅延回路部を設けた場合のものである。本実施形態においては、遅延回路部についての説明を行う。遅延回路部の概略ブロック図を図9に示す。601は、ソースドライバー内で生成された分配制御信号の元となるタイミング信号(以降、タイミング信号601と記載する)である。600は、遅延回路(以降、遅延回路600と記載する)であり、図示した遅延回路部は、7個の遅延回路600を有している。タイミング信号601は、所定の段数(0〜7)の遅延回路600を経由してセレクター620に入力され、遅延選択レジスター610に格納された選択値611に基づいて選択され、分配制御信号621として出力される。
【0048】
遅延回路600による遅延時間をTdと記載することにすると、図9から分かるように、タイミング信号602はタイミング信号601がTd遅延した信号である。同様に、タイミング信号603はタイミング信号601が2*Td遅延した信号であり、タイミング信号608はタイミング信号601が7*Td遅延した信号である。本実施形態においては、選択される信号をタイミング信号601〜608の8本に設定したことから、遅延選択レジスター610は3ビットの情報を有すれば足りることになる。
【0049】
遅延選択レジスター610の値の設定は、ソースドライバー内に存在する制御部(図示はしていない)などにより設定できるようにすることでよい。また、ソースドライバーに所定の端子を設け、該端子をディップスイッチなどに接続してディップスイッチなどの設定値が設定されるようにしてもよい。尚、ディップスイッチとした場合には遅延選択レジスター610を設けず、端子からの入力値がセレクター620に入力されるようにしてかまわない。
【0050】
本実施形態においては、タイミング信号601〜タイミング信号608のいずれかが選択値611によりセレクター620で選択され、分配制御信号621として出力される。また、遅延回路部は、すべての分配制御信号に対して設けられていてもよく、特定の分配制御信号に対して設けられていてもよい。
【0051】
以上、複数の実施形態として示すことで本願発明についての説明を行ったが、本願発明は上記した実施形態に限られるものではない。たとえば、デマルチ制御信号線の本数は8本以外でもよく、デマルチ制御信号線の信号がオンとなる順番も図6に示したものに限られない。
【符号の説明】
【0052】
1…表示パネル、10…表示領域、20…ソースドライバー、31,32…デマルチプレクサー、40…ゲートドライバー、50…TFT、60…画素電極、61…対向電極、71…分配制御信号線、81,82…表示信号線、91…ゲート信号線、92…ソース信号線、93…共通電極線、94…複数のソース信号線、101〜108…デマルチ制御信号線、111〜118…ソース信号線、120…ソースドライバー、121…第2端子、123…第3端子、124…端子、125…端子、131〜133…デマルチプレクサー、171…分配制御信号線、181,182…表示信号線、220…ソースドライバー、221…第2端子、222…第1端子、223…第3端子、224…第4端子、241…ゲートドライバー制御信号線、242…デマルチ制御信号線、243…表示信号線、600…遅延回路、601〜608…タイミング信号、610…遅延選択レジスター、611…選択値、620…セレクター、621…分配制御信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の信号を出力する第1の端子と、
第2の信号を出力する第2の端子と、
第3の信号を出力する第3の端子と、
を含み、
前記第1の信号はアナログ信号であり、
前記第2の信号及び前記第3の信号の各々は、第1のタイミング信号を元に生成され、第1の期間における前記第1の信号の値を抽出するために用いられる信号であることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
更に、第4の信号を出力する第4の端子と、第5の信号を出力する第5の端子と、を含み、
前記第4の信号及び前記第5の信号の各々は、第2のタイミング信号を元に生成され、第2の期間における前記第1の信号の値を抽出するために用いられる信号であり、
前記第1の期間と前記第2の期間とは、重ならない期間であることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1のタイミング信号の変化が前記第2の端子に伝達するまでの時間及び前記第1のタイミング信号の変化が前記第3の端子に伝達するまでの時間の少なくとも一方の時間を変化させることができることを特徴とする請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記第2のタイミング信号の変化が前記第4の端子に伝達するまでの時間及び前記第2のタイミング信号の変化が前記第5の端子に伝達するまでの時間の少なくとも一方の時間を変化させることができることを特徴とする請求項2又は3に記載の駆動装置。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の駆動装置を用いた電子機器であって、
前記電子機器は、前記駆動装置を実装した基板を有し、
前記基板における前記第2の端子が接続される配線は前記第3の端子に接続され、
前記基板における前記第4の端子が接続される配線は前記第5の端子に接続されることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−132973(P2012−132973A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282735(P2010−282735)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】