説明

駐車場換気装置、駐車場換気システム、および車両

【課題】より簡素な構成により、水素を搭載する車両を駐車する駐車場における換気効率を向上させる。
【解決手段】複数の車両を駐車する屋内駐車場内における換気を行なうための駐車場換気装置20は、駐車場内の空気を外部に排出する換気部と、車両の駆動用燃料として水素を用いている入出庫する車両から送信され、車両の特性に応じて予め定まる車両からの放出水素量に係る放出水素量信号を受信すると共に、駐車場の出入り口近傍に設けられた受信部と、受信部が受信した放出水素量信号に基づいて、駐車場内の水素濃度を所定値以下に抑えるための換気部による排出空気量である換気量を設定する換気量設定部と、換気量設定部が設定した換気量に従って換気部を駆動する換気部駆動部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、駐車場換気装置と車両、および、駐車場換気装置と車両とによって構成される駐車場換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両駆動用電源としての燃料電池と、燃料電池に燃料ガスとして供給するための水素を貯蔵した水素タンクと、を搭載する燃料電池車両が提案されている。このような燃料電池車両は、一般に、燃料電池による発電を行ないつつ走行する時には、若干量の水素を大気中に放出するという性質を有している。また、水素タンクを搭載する車両においては、水素分子が極めて小さいため封じ込めが困難であり、水素タンクから微量の水素が漏れ出すという問題がある。このような走行時に排出される水素や、水素タンクから漏れ出す水素は、極めて微量であるため、大気中に放出される場合には速やかに希釈されてほとんど問題にならない。しかしながら、屋外と隔てられた駐車場建物内に車両を駐車する場合には、駐車された個々の車両からの放出量は微量であっても、経時的に水素放出量が増加することにより、駐車場内全体での水素濃度の上昇が、無視できない程度となる可能性がある。
【0003】
このような問題に対しては、車両から、車内の水素濃度および/または水素タンク内における水素減少量を水素データとして送信させて、駐車場施設側でこの水素データを受信し、受信したデータと施設の容積および換気能力とに基づいて、施設内の換気を行なう構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような場合には、駐車場内に駐車されてイグニションスイッチがオフ状態となった個々の車両から水素データを取得することで、駐車場内の現在の水素濃度に応じて換気の制御を行なうことが可能になる。
【0004】
【特許文献1】特開2005−353346号公報
【特許文献2】特開平6−11162号公報
【特許文献3】特開平3−244949号公報
【特許文献4】特開2002−106794号公報
【特許文献5】特開2002−170137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このように駐車場内に駐車する個々の車両から、車内の水素濃度および/または水素タンク内における水素減少量に係る水素データを受信する場合には、駐車場全体にわたって、車両からの信号を受信可能となるように通信装置を配置する必要がある。そのため、駐車場に備える換気装置全体の構造が複雑化、大型化するという問題を生じる。また、車両側においては、水素データを送信可能とするために、車内の水素濃度を検出する水素濃度センサや、水素タンク内の水素搭載量を検知する装置を設ける必要があり、車両の構造も複雑化することになる。なお、駐車場内における水素濃度上昇の問題は、水素タンクを搭載する燃料電池車両の他、車両駆動用に水素内燃機関を搭載する車両など、水素を搭載する他種の車両を駐車する際にも同様に生じる問題である。
【0006】
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、より簡素な構成により、水素を搭載する車両を駐車する駐車場における換気効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、複数の車両を駐車する屋内駐車場内における換気を行なうための駐車場換気装置であって、
前記駐車場内の空気を外部に排出する換気部と、
車両の駆動用燃料として水素を用いている入出庫する車両から送信され、前記車両の特性に応じて予め定まる該車両からの放出水素量に係る放出水素量信号を受信すると共に、前記駐車場の出入り口近傍に設けられた受信部と、
前記受信部が受信した前記放出水素量信号に基づいて、前記駐車場内の水素濃度を所定値以下に抑えるための前記換気部による排出空気量である換気量を設定する換気量設定部と、
前記換気量設定部が設定した前記換気量に従って、前記換気部を駆動する換気部駆動部と
を備えることを要旨とする。
【0008】
以上のように構成された本発明の駐車場換気装置によれば、車両から送信された放出水素量信号に基づいて換気部の換気量を制御するため、過剰に換気部を駆動することによる無駄なエネルギ消費を抑制しつつ、駐車場内の水素濃度を低く抑えることができる。ここで、車両の特性に応じて予め定まる車両からの放出水素量に係る放出水素量信号を、入出庫する車両から受信するための受信部が、駐車場の出入り口近傍に設けられているため、車両との通信を行なうことによる駐車場換気装置の構造の複雑化を抑制することができる。そのため、車両からの信号を受信する構造を設けることに起因する駐車場換気装置の製造コストの上昇を抑制することができる。
【0009】
本発明の駐車場換気装置において、
前記放出水素量信号は、車両が走行中に放出される水素量および/または停車中に放出される水素量を反映する情報を表わすこととしても良い。
【0010】
このような構成とすれば、駐車場内を車両が走行する際に放出される水素量、および/または、駐車場内に車両が駐車している間に車両から放出される水素量に応じて、換気部の駆動制御を行なうことができる。
【0011】
このような本発明の駐車場換気装置において、
前記放出水素量信号は、車両が駆動用燃料としての水素を搭載するか否かに係る燃料種類情報を表わすと共に、車両が水素を搭載する場合にはさらに、水素を貯蔵するタンクの種類に係る情報および/または水素を燃料として消費して車両の駆動エネルギを生じる水素消費装置の種類に係る情報を含む車両種類情報を表わすこととしても良い。
【0012】
このような構成とすれば、水素を貯蔵するタンクの種類によってタンクから放出される水素量が異なるため、水素を貯蔵するタンクの種類に係る情報を考慮することで、駐車場内に車両が駐車している間にタンクから放出される水素量に応じた換気部の駆動制御が可能になる。また、水素消費装置の種類によって水素消費装置から放出される水素量が異なるため、水素消費装置の種類に係る情報を考慮することで、駐車場内を車両が走行する際に水素消費装置から放出される水素量に応じた換気部の駆動制御が可能になる。
【0013】
このような本発明の駐車場換気装置において、
前記換気量設定部は、前記車両種類情報に基づいて、車両の種類ごとの駐車台数に応じて前記換気部における換気量を設定することとしても良い。
【0014】
このような構成とすれば、駐車台数を車両の種類毎にカウントするという簡便な処理に基づいて換気部の駆動制御を行なうことで、駐車場内の水素濃度を低いレベルに保つことができる。
【0015】
あるいは、このような本発明の駐車場換気装置において、
前記換気量設定部は、前記車両種類情報に基づいて、前記駐車場内に放出される水素量を導出して、前記換気部における換気量を設定することとしても良い。
【0016】
このような構成とすれば、車両種類情報に基づいて駐車場内に放出される水素量を導出するという処理によって換気部の駆動制御を行なうことで、駐車場内の水素濃度を低いレベルに保つことができる。
【0017】
このような本発明の駐車場換気装置において、さらに、
前記換気部による換気能力に係る情報を記憶する記憶部を備え、
前記換気量設定部は、前記放出水素量信号が表わす情報に加えて、前記記憶部に記憶した前記情報に基づいて、前記換気部における換気量を設定することとしても良い。
【0018】
このような構成とすれば、駐車場内に放出される水素量と、換気部による換気能力とに基づいて、換気部における換気量を設定することで、駐車場内に放出された水素を所定の濃度に希釈させることができる。
【0019】
本発明の車両は、駆動用燃料として水素を用いる車両であって、
水素を貯蔵する水素タンクと、
水素を燃料として消費して車両駆動のためのエネルギを生じる水素消費装置と、
前記車両の特性に応じて予め定まる前記車両からの放出水素量に係る放出水素量信号を送信する送信部と
を備えることを要旨とする。
【0020】
以上のように構成された本発明の車両によれば、放出水素量信号を送信する送信部を備えるため、本発明の駐車場換気装置を備える駐車場に入出庫する際に、駐車場換気装置において、本発明の車両からの放出水素量に基づく換気部の駆動制御が可能になる。ここで、本発明の車両は、水素量信号を送信するために、車両の特性に応じて予め定まる車両からの放出水素量に係る情報を記憶しておけばよいため、放出水素量に係る値を検出するためのセンサ等を備える必要がなく、車両の構成を簡素化することができる。
【0021】
このような本発明の車両において、
前記放出水素量信号は、前記車両が駆動用燃料として水素を搭載することを表わす燃料種類情報と、前記水素タンクの種類に係る情報および/または前記水素消費装置の種類に係る情報を含む車両種類情報と、を含む情報を表わす信号であることとしても良い。
【0022】
このような構成とすれば、水素を貯蔵するタンクの種類によってタンクから放出される水素量が異なるため、放出水素量信号が水素タンク種類に係る情報を含む場合には、駐車場内に車両が駐車している間にタンクから放出される水素量に応じた換気部の駆動制御が可能になる。また、水素消費装置の種類によって水素消費装置から放出される水素量が異なるため、放出水素量信号が水素消費装置種類に係る情報を含む場合には、駐車場内を車両が走行する際に水素消費装置から放出される水素量に応じた換気部の駆動制御が可能になる。
【0023】
本発明は、上記以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、駐車場換気装置および車両を備える駐車場換気システムなどの形態で実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.システムの全体構成:
B.車両の入出庫時の動作:
C.変形例:
【0025】
A.システムの全体構成:
図1は、本発明の好適な一実施例である駐車場換気システム10の概略構成を表わす説明図である。駐車場換気システム10は、屋外から隔てられた屋内の空間に複数の車両を駐車するための屋内駐車場、例えば立体駐車場として構成される駐車場15と、図1では代表して車両50と表わす車両と、によって構成される。
【0026】
駐車場15は、内部を換気するための駐車場換気装置20を備えている。駐車場換気装置20は、駐車場15内の空気を外部に排出する換気部として、換気ファン22と、駐車場15壁面に形成されて駐車場15内と外部とを連通させる空気取り入れ口に設けられたダンパ24と、を備えている。換気ファン22を駆動することで、駐車場15内の空気を外部に排出することができる。また、ダンパ24を開放することで、駐車場15内へと外気を取り込み可能となる。そのため、駐車場15においては、換気ファン22の回転数と、ダンパ24の開放状態を制御することにより、駐車場15内における換気状態を調節することができる。
【0027】
また、駐車場換気装置20は、車両50が送信する後述する放出水素量信号を受信するための受信部である受信アンテナ26と、後述する駐車位置に係る信号を車両50に送信するための送信部である送信アンテナ28と、を備える無線通信信号の送受信を行なう通信部30を備えている。これら受信アンテナ26および送信アンテナ28は、駐車場15に車両が入出庫する出入り口の近傍に設けられている。
【0028】
また、駐車場換気装置20は、車両50が入出庫する際に、駐車場15の出入り口を車両50が通過する際の車両50の走行位置を検出する入出庫センサ29を、駐車場15の出入り口近傍に備えている。この入出庫センサ29は、駐車場15の出入り口を通過する際の車両50の走行位置を検出するセンサであり、車両の走行位置によって、車両が入庫するところであることを示す検出信号、あるいは、出庫するところであることを示す検出信号を出力する。
【0029】
さらに駐車場換気装置20は、通信部30および入出庫センサ29に接続されて、換気部の駆動制御に係る処理を実行する制御部32を備えている。制御部32は、マイクロコンピュータを中心とした論理回路として構成され、詳しくは、予め設定された制御プログラムに従って所定の演算などを実行するCPUと、CPUで各種演算処理を実行するのに必要な制御プログラムや制御データ等が予め格納されたROMと、同じくCPUで各種演算処理をするのに必要な各種データが一時的に読み書きされるRAMと、各種の信号を入出力する入出力ポート等を備える。この制御部32は、通信部30が受信した信号および入出庫センサ29からの検出信号の入力を受けると共に、入力した信号に基づいて換気状態に係る制御処理を実行し、換気部に対して駆動信号を出力する。また、上記入力した信号に基づいて、車両50の駐車位置を決定する処理を実行し、通信部30に対して駐車位置信号を出力する。制御部32で実行される処理については、後に詳しく説明する。
【0030】
車両50は、水素を燃料として消費して車両駆動のためのエネルギを生じる水素消費装置を備える車両である。本実施例では、車両50は、水素消費装置として固体高分子電解質型燃料電池である燃料電池52を備える燃料電池車両とした。車両50は、さらに図示しない車両駆動用モータを備えており、燃料電池52が発電した電力によってこのモータを作動させて、車両の駆動力を得ている。また、車両50は、燃料電池52に対して燃料ガスとして供給する水素を貯蔵する水素タンク54を備えている。水素タンク54は、水素を高圧ガスとして貯蔵するタンクである。あるいは、水素タンク54は、さらに水素吸蔵合金を備えることとして、高圧ガスとして水素を貯蔵する他、水素吸蔵合金に吸蔵させることによって水素を貯蔵しても良い。
【0031】
さらに、車両50は、無線通信信号の送受信を行なう通信部として、車両50からの放出水素量に係る放出水素量信号を送信する送信アンテナ56と、駐車場換気装置20から送信された駐車位置に係る信号を受信するための受信アンテナ58と、を備える通信部60を備えている。ここで、送信アンテナ56が送信する放出水素量信号とは、車両が走行中に排出する水素量および/または停車中に放出する水素量を反映する情報を表わすものである。本実施例では、放出水素量信号は、車両が駆動用燃料としての水素を搭載するか否かに係る燃料種類情報を含んでいる。また、車両が水素を搭載する場合には、放出水素量信号は、水素を貯蔵するタンクの種類に係る情報と、車両駆動エネルギを生じる水素消費装置の種類に係る情報と、を備える車両種類情報を含んでいる。具体的には、本実施例の車両50では、燃料種類情報は、車両駆動用燃料として水素を搭載することを示す情報である。また、車両種類情報は、水素タンクとして高圧水素ガスを貯蔵するタンクを搭載すること、および、車両駆動エネルギを生じる水素消費装置として燃料電池を搭載すること、を示す情報を備えている。
【0032】
なお、車両は、水素タンクとして、水素を液体の状態で貯蔵する液体水素タンクを搭載していても良く、この場合には、車両種類情報は、水素タンクとして液体水素タンクを搭載することを示す情報を備えている。また、車両は、車両駆動エネルギを生じる水素消費装置として、水素エンジンを搭載していても良く、この場合には、車両種類情報は、水素消費装置として水素エンジンを搭載することを示す情報を備えている。
【0033】
その他に、車両50は、通信部60に接続して設けられ、駐車場換気装置側から送信された駐車位置に係る信号を受信アンテナ58が受信したときに、信号が示す駐車位置に係る情報を車両の運転者に報知する報知部62を備えている。この報知部62は、受信した信号によって指示された駐車位置を運転者に報知可能であれば良く、例えば、車内の運転席近傍に設けられた所定のディスプレイに駐車位置を表示する装置としたり、あるいは、音声によって駐車位置を知らせる装置とすることができる。
【0034】
B.車両の入出庫時の動作:
図2は、車両の入出庫時に駐車場換気装置20が備える制御部32のCPUで実行される換気量制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。図2に示した換気量制御処理ルーチンは、駐車場換気装置20の制御部32において、所定の時間間隔で繰り返し実行される処理である。換気量制御処理ルーチンが実行される時には、制御部32のCPUは、まず、車両の入庫があったか否かを判断する(ステップS100)。このとき、車両50が入庫しており、入出庫センサ29から、車両の入庫を示す検出信号が制御部32に入力されていれば、CPUは、車両の入庫があったと判断する。
【0035】
ステップS100において車両の入庫があったと判断すると、制御部32のCPUは、入庫した車両が、水素を燃料として搭載するか否かを判断する(ステップS110)。このステップS110の判断は、車両50の送信アンテナ56から送信される放出水素量信号に基づいて行なわれる。すなわち、車両50から放出水素量信号が送信されると、駐車場換気装置20の通信部30が、受信アンテナ26を介してこれを受信し、この放出水素量信号が含む燃料種類情報に基づいて、車両が水素を燃料として搭載するか否かが判断される。
【0036】
ステップ110において車両が水素を燃料として搭載していると判断すると、制御部32のCPUは、次に、入庫した車両の車種を判定する(ステップS120)。具体的には、入庫した車両の搭載する水素タンクの種類と、入庫した車両が搭載する車両駆動エネルギを生じる水素消費装置の種類と、を判定する。このステップS120の判断は、上記した車両50から受信した放出水素量信号が含む車両種類情報に基づいて行なわれる。本実施例では、車両50から放出水素量信号を受信することにより、車両50が、水素タンクとして高圧水素ガスを貯蔵するタンクを搭載すること、および、水素消費装置として燃料電池を搭載することを判断することができる。なお、このステップS120では、入庫した車両が水素タンクとして液体水素タンクを搭載する場合には、その旨が判断され、入庫した車両が水素消費装置として水素エンジンを搭載する場合には、その旨が判断される。
【0037】
ステップS120において入庫した車両の車種を判定すると、制御部32のCPUは、入庫した車両の台数を車種毎に積算すると共に、駐車中の車両の車種毎の台数に応じて、必要換気量を設定する(ステップS130)。必要換気量とは、単位時間当たりに換気すべき量、すなわち、単位時間当たりに、換気ファン22によって駐車場から排出すべき空気量であって、新たに駐車場内へと取り入れるべき空気量である。このステップS130における具体的な動作として、CPUは、車両50が入庫することによって、水素タンクとして高圧水素ガスを貯蔵するタンクを搭載し、水素消費装置として燃料電池を搭載する車両の駐車台数が1台増加したことをカウントする。さらに、この積算した車種毎の駐車台数に基づいて、必要換気量を増加させるべきか否かを判断する。
【0038】
積算した車種毎の駐車台数に応じた必要換気量設定の動作についてさらに詳しく説明すると、本実施例では、高圧水素ガスを貯蔵する水素タンクを搭載する車両が5台を単位として増加する毎に、設定する必要換気量を5%ずつ増加させている。すなわち、それまでの設定換気量がQ(m3/h)であったときに、高圧水素ガスタンクを搭載する車両の駐車台数が、基準となる単位台数である5台の単位を超えたときには、必要換気量を、Q×1.05(m3/h)と設定する。また、本実施例では、液体水素を貯蔵する水素タンクを搭載する車両が10台増加する毎に、設定する必要換気量を5%ずつ増加させている。さらに、水素消費装置として燃料電池を搭載する車両が20台増加する毎に、設定する必要換気量を5%ずつ増加させており、水素消費装置として水素エンジンを搭載する車両が30台増加する毎に、設定する必要換気量を5%ずつ増加させている。
【0039】
あるいは、車種毎の駐車台数が基準となる単位台数を超えたときに、従来の換気量に比べて所定の割合(上記説明では5%)だけ増加するように必要換気量を設定するのではなく、具体的な所定の値(例えば、Qa(m3/h))だけ必要換気量を増加させて設定することとしても良い。すなわち、それまでの設定換気量がQ(m3/h)であったときに、所定の車種の駐車台数が基準となる単位台数を超えたときには、必要換気量を、Q+Qa(m3/h)と設定しても良い。このような、駐車車両の種類毎の累計台数がどのくらいに達したときに、換気量制御をどのくらい変更すべきかについては、駐車車両における水素タンクからの水素放出量や、走行時における車両からの水素放出量の予想値に加えて、駐車場15における換気能力(単位時間当たりの換気量)や駐車場容積を考慮して、予め設定しておけばよい。
【0040】
ここで、高圧水素ガスを貯蔵する水素タンクは、駐車中に、タンク壁面を気体の水素が徐々に拡散・透過することにより、微量の水素が漏れ出す。これに対して、液体水素タンクは、駐車中にタンク内で液体水素が徐々に気化することによってタンク内圧が上昇するため、内圧の過剰な上昇を防ぐために気化した水素ガスの一部をタンク外へと放出する動作を行なうことにより、少量の水素が排出される。このような、駐車中におけるタンクからの単位時間当たりの水素漏れ出し量(水素放出量)に基づいて、必要換気量を増加させる基準が設定されている。
【0041】
また、水素消費装置として燃料電池を搭載する車両においては、アノードを経由するように所定の流路内において水素ガスを循環させるが、発電中には、この水素ガスの流路に対して、カソード側から窒素や酸素などの不純物が透過してくるため、流路内の不純物濃度を所定値以下に保つために、所定間隔で流路から水素ガスの一部が排出される。また、水素消費装置として水素エンジンを搭載する車両においては、エンジン内で燃え残った水素が、排ガス中に含まれて排出される。駐車場に車両が入庫する際には、出入り口から駐車位置までの間を車両が走行する必要があるため、このような走行中における車両からの水素排出量に基づいて、必要換気量を増加させる基準が設定されている。
【0042】
なお、本実施例では、車種の判断を、水素タンクが高圧水素ガスを貯蔵するタイプであるか液体水素を貯蔵するタイプであるか、また、水素消費装置が燃料電池であるか水素エンジンであるかに基づいて行なっているが、水素燃料を搭載する他種の車両が入出庫する場合には、さらにこれらの車種毎に駐車台数を積算し、必要換気量の設定を行なえば良い。このように、ステップS130においては、制御部32のCPUは、受信した放出水素量信号に基づいて、駐車場内の水素濃度を所定値以下に抑えるための換気部における換気量を設定する換気量設定部として機能する。
【0043】
ステップS130において必要換気量を設定すると、制御部32のCPUは、設定した換気量を実現するように、換気部である換気ファン22およびダンパ24に対して駆動信号を出力する(ステップS140)。このような制御を行なうには、例えば、設定されるべき必要換気量の範囲全体にわたって、そのような必要換気量を実現するための換気ファン22の回転数や、ダンパ24の開度、あるいは、ダンパを備える空気取り入れ口が複数設けられている場合には開放する空気取り入れ口の数を予め設定しておけばよい。そして、予め設定したこのような換気部の駆動量を、制御部が備える記憶部においてマップとして記憶しておき、このマップを参照して、換気部の駆動量を設定し、駆動信号を出力すればよい。ただし、このとき、車両50が入庫しても、駐車台数が基準となる単位台数を超えず、ステップS130において設定された必要換気量が車両50の入庫前と同じであれば、制御部32のCPUで設定される換気部の駆動量は変化しない。このように、このステップS140においては、制御部32のCPUは、換気量設定部が設定した換気量に従って、換気部を駆動する換気部駆動部として機能する。
【0044】
ステップS130において換気部に対して駆動信号を出力すると、制御部32のCPUは、入庫した車両の種類に応じて車両の駐車位置を決定すると共に、決定した駐車位置を報知するよう、通信部30に対して駆動信号を出力し、本ルーチンを終了する(ステップS150)。
【0045】
本実施例では、車両の駐車位置は、駐車中に水素タンクから放出される水素量が多くなる車種の車両が入庫したときには、より換気効率の良い駐車位置、例えば、換気ファン22の近傍に設定している。通常は、タンク外壁から徐々に水素ガスが漏れ出す高圧水素ガスタンクよりも、圧力維持のためのガス抜きを積極的の行なう液体水素タンクの方が、駐車中におけるタンクからの放出水素量が多くなる。そのため、液体水素タンクを搭載する車両が入庫したときには、換気ファン22により近い駐車位置が決定される。決定された駐車位置は、駐車位置信号として制御部32から通信部30に伝えられ、通信部30は、駐車位置信号を、送信アンテナ28によって送信する。送信された駐車位置信号は、車両50の受信アンテナ58を介して通信部60に受信される。通信部60に受信された駐車位置信号は、車両50が備える報知部62に伝えられ、ディスプレイによる表示や音声による報知が行なわれて、運転者が認識可能となる。
【0046】
なお、車両50は水素を燃料として搭載する車両であるが、他種の燃料を搭載する車両が駐車場15に入庫する場合もある。このような場合には、車両からの水素の放出量に応じて駐車場内における換気量の制御を行なう必要がないため、ステップS110において制御部32のCPUは、入庫した車両が水素を燃料として搭載していないと判断し、本ルーチンを終了する。
【0047】
以上は車両が入庫する際の動作であるが、車両50が駐車場15から出庫する際には、ステップS100において入庫有りとは判断されず、このときには、制御部32のCPUは、車両の出庫があったか否かを判断する(ステップS160)。車両の出庫を示す検出信号が、入出庫センサ29から制御部32へと入力されていれば、車両の出庫があったと判断して、制御部32のCPUは、この出庫した車両が水素を燃料として搭載するか否かを判断する(ステップS170)。ステップS170の判断は、車両50の送信アンテナ56から送信される放出水素量信号に基づいて行なわれる。すなわち、出庫する車両50から放出水素量信号が送信されると、駐車場換気装置20の通信部30が、受信アンテナ26を介してこれを受信し、この放出水素量信号が含む燃料種類情報に基づいて、車両が水素を燃料として搭載するか否かが判断される。
【0048】
ステップ170において車両が水素を燃料として搭載していると判断すると、制御部32のCPUは、次に、出庫した車両の車種を判定する(ステップS180)。このステップS180における車種判定の処理は、既述したステップS120における車種判定の処理と同様の処理である。すなわち、出庫した車両の搭載する水素タンクの種類と、出庫した車両が搭載する車両駆動エネルギを生じる水素消費装置の種類と、を判定する処理を行なう。
【0049】
ステップS180において出庫した車両の車種を判定すると、制御部32のCPUは、
判定結果に基づいて、駐車中の車両の台数を車種毎に積算した値を修正すると共に、駐車場内に残っている駐車車両の車種毎の台数に応じて、必要換気量を設定する(ステップS190)。すなわち、CPUは、車両50が出庫することによって、水素タンクとして高圧水素ガスを貯蔵するタンクを搭載し、水素消費装置として燃料電池を搭載する車両の駐車台数が1台減少したことをカウントする。さらに、この積算した車種毎の終車台数に基づいて、必要換気量を減少させるべきか否かを判断する。
【0050】
具体的には、制御部32のCPUは、既述したステップS130における動作と逆の動作を行なう。例えば、高圧水素ガスを貯蔵する水素タンクを搭載する車両が5台増加する毎に、設定する必要換気量を5%ずつ増加させる場合に、高圧水素ガスタンクを搭載する車両が入庫して基準となる5台の単位を超えて必要換気量を増加させた後に、高圧水素ガスタンクを搭載する車両が出庫したときには、必要換気量を5%減少させて設定し直す。それ以外の場合には、高圧水素ガスタンクを搭載する車両が出庫しても、高圧水素ガスタンクを搭載する車両の駐車台数が基準となる5台の単位を超えて減少しないため、積算値を修正するだけであって、必要換気量の減少は行なわない。液体水素タンクを貯蔵する車両である場合や、水素消費装置の種類に応じた必要換気量の制御についても、同様に行なう。このように、ステップS190においては、制御部32のCPUは、受信した放出水素量信号に基づいて、駐車場内の水素濃度を所定値以下に抑えるための換気部における換気量を設定する換気量設定部として機能する。
【0051】
ステップS190において必要換気量を設定すると、制御部32のCPUは、設定した換気量を実現するように、換気部である換気ファン22およびダンパ24に対して駆動信号を出力し(ステップS200)、本ルーチンを終了する。ただし、このとき、ステップS190において設定された必要換気量が車両50の出庫前と同じであれば、制御部32のCPUで設定される換気部の駆動量は変化しない。このように、このステップS200においては、制御部32のCPUは、換気量設定部が設定した換気量に従って、換気部を駆動する換気部駆動部として機能する。
【0052】
なお、ステップS170において、水素以外の燃料を搭載する車両が出庫する場合には、車両からの水素の放出量に応じて駐車場内における換気量の制御を行なう必要がないため、制御部32のCPUは、出庫した車両が水素を燃料として搭載していないと判断し、本ルーチンを終了する。
【0053】
以上は車両が出庫する際の動作であるが、入庫する車両も出庫する車両もない場合には、入出庫センサ29から、車両の入出庫を示す検出信号が制御部32に入力されることがない。したがって、このような場合には、制御部32のCPUは、ステップS160において車両の出庫がないと判断して本ルーチンを終了する。
【0054】
以上のように構成された本実施例の駐車場換気装置20を備える駐車場換気システム10によれば、水素を燃料として搭載する車両の車種毎の駐車台数に応じて駐車場内の換気量を制御するため、駐車車両からの放出水素量に応じた換気量制御を行なうことができ、過剰に換気部を駆動することによる無駄なエネルギ消費を抑制しつつ、駐車場15内の水素濃度を低く抑えることができる。このとき、本実施例では、入出庫する車両との間で無線通信を行ない、水素タンクの種類や水素消費装置の種類により分類した車種毎の駐車台数を計測することによって、駐車場15における必要換気量を設定している。したがって、駐車場換気装置20において、入出庫する車両との間で無線通信を行なうための通信部30は、駐車場15の出入り口付近に設けておけば良く、車両との間の無線通信は、車両の入出庫時のみに行なえば良い。そのため、駐車場15における必要換気量を設定するための通信部30の構成を簡素化することができる。さらに、車両50側においては、駐車場換気装置20側へと通信部60を介して放出水素量情報を送信するために、制御部60の記憶部内に、車両が水素を燃料として搭載するか否かに係る燃料種類情報と、水素タンク種類および水素消費装置種類に係る車両種類情報と、を記憶しておけばよい。このように、車両50からの放出水素量に係る値を検出するためのセンサ等を備える必要がなく、車両の特性に応じて予め定まる情報を記憶しておくだけで良いため、車両50の構成を簡素化することができる。以上のように、駐車場換気装置20および車両50の構成を簡素化することにより、駐車場換気装置20と車両50との間で無線通信を行なわせることに起因する製造コストの上昇を抑制することが可能となる。
【0055】
ここで、実施例では、駐車車両の車種を、水素タンク種類と水素消費装置種類とによって分類しているが、異なる構成としても良く、駐車場内で車両から放出される水素量を反映する分類であればよい。例えば、水素タンク種類と水素消費装置種類とのいずれか一方のみに基づく分類であっても良い。具体的には、駐車場内部を走行中の排出水素量が無視できる程度であれば、水素タンク種類のみを考慮して車種を分類し、水素消費装置を考慮することなく、必要換気量の設定を行なっても良い。
【0056】
また、実施例では、図2に示した換気量制御処理ルーチンを、常時繰り返し実行することとしたが、異なる構成としても良い。例えば、駐車場15に車両が入出庫して、入出庫センサ29からの検出信号を制御部32が受け取ったときに、換気量制御処理ルーチンが起動・実行されることとしても良い。
【0057】
また、実施例では、水素を燃料として搭載する車両に対して、これらの車両が駐車している際に水素タンクから放出される水素量を考慮して、駐車位置の報知を行なっているが、水素を燃料として搭載する車両以外の車両に対しても駐車位置の報知を行なっても良い。この場合には、駐車中の水素放出が起こらないため、換気効率が比較的悪い場所、例えば換気ファン22から、より離れた場所を割り振って報知すればよい。
【0058】
C.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0059】
C1.変形例1:
実施例では、駐車場換気装置20は、車両から受信した信号に含まれる車両種類情報に基づいて、駐車場15内に駐車中の車両の車種毎の台数を算出し、各々の車種毎の駐車台数が所定の基準台数を超えるか否かに応じて、設定する必要換気量を増減しているが、異なる構成としても良い。例えば、車両から受信した信号に含まれる車両種類情報に基づいて、この車両からの放出水素量を導出し、駐車中の車両からの放出水素の総量を算出することによって、必要換気量を設定しても良い。このような構成について、以下に説明する。
【0060】
ここでは、図2のステップS130およびS190において、車種毎の駐車台数に応じた必要換気量の設定に代えて、駐車中の車両から放出される水素の総量の算出と、算出した放出水素の総量に基づいた必要換気量の設定とを行なう。すなわち、制御部32は、常に、駐車中の車両から放出される水素の総量(単位時間当たりの放出水素総量)を算出しており、車両が入出庫するたびに、この放出水素の総量を修正する演算を行なう。例えば、それまでに算出された放出水素の総量をQt1(m3/h)、高圧水素ガスタンクを搭載する車両が駐車中に放出する水素量として予め設定して制御部32内の記憶部に記憶している値をQb(m3/h)、液体水素タンクを搭載する車両が駐車中に放出する水素量として予め設定して制御部32の記憶部に記憶している値をQc(m3/h)とする。このとき、高圧水素ガスタンクを搭載する車両が入庫する際に、制御部32のCPUが放出水素の総量Qtを算出するために行なう演算は、以下に示す(1)式で表わすことができる。また、液体水素タンクを搭載する車両が出庫する際に、制御部32のCPUが放出水素の総量Qtを算出するために行なう演算は、以下に示す(2)式で表わすことができる。
【0061】
Qt=Qt1+Qb(m3/h) …(1)
Qt=Qt1−Qc(m3/h) …(2)
【0062】
制御部32のCPUは、上記のように放出水素の総量を算出すると、この放出水素の総量を所定の基準濃度以下に希釈するために必要な空気量、すなわち、必要換気量(単位時間当たりに換気すべき量)を算出する。必要換気量を算出した後は、制御部32のCPUは、実施例のステップS140およびS200と同様にして、換気部に対して、設定した必要換気量の値に応じた駆動信号を出力すればよい。
【0063】
このような場合にも、駐車場の出入り口において、車両種類情報を含む放出水素量信号を車両から受信することによって、換気部の駆動量を適切に制御可能になるという同様の効果を得ることができる。
【0064】
なお、変形例1では、水素タンク種類に基づく制御のみ説明したが、実施例と同様に、走行中の放出水素量に関わる水素消費装置の種類をさらに考慮して、換気部の駆動量制御を行なっても良い。この場合には、さらに、水素消費装置種類に応じた放出水素量を予め設定して制御部32内の記憶部に記憶しておき、この値を、入庫時には例えば(1)式に加えて、出庫時には例えば(2)式から減じて、放出水素量を算出する演算を行なえば良い。また、駐車中に放出される水素量に比べて、走行中に放出される水素量の方がはるかに多い場合には、水素タンク種類に代えて、水素消費装置種類のみに基づいて、換気部の駆動制御を行なっても良い。
【0065】
C2.変形例2:
実施例および上記変形例1では、駐車場換気装置20が車両50から受信する放出水素量信号は、車両が水素を燃料として搭載するか否かに係る燃料種類情報と、水素タンク種類および水素消費装置種類に係る車両種類情報とを含むこととしたが、異なる構成としても良い。放出水素量信号は、車両の特性に応じて予め定まる車両からの放出水素量に係る信号であれば良く、例えば、個々の車両が駐車中に放出する水素量の数値を表わす信号であっても良い。すなわち、変形例1では、受信した車両種類情報に基づいて駐車場換気装置20の制御部32が、車両毎の放出水素量を導出していたが、車両が送信する放出水素量信号が、個々の車両の放出水素量を直接表わすこととしても良い。
【0066】
このような場合には、それまでに算出された放出水素の総量がQt1(m3/h)であるときに、車両から送信された放出水素量信号が、入庫する車両の放出水素量がQb(m3/h)であることを表わしていれば、制御部32のCPUは、放出水素の総量Qtを、既述した(1)式に基づいて算出することになる。また、車両から送信された放出水素量信号が、出庫する車両の放出水素量がQc(m3/h)であることを表わしていれば、制御部32のCPUは、放出水素の総量Qtを、既述した(2)式に基づいて算出することになる。
【0067】
このような場合にも、駐車場の出入り口において、車両との間の無線通信によって放出水素量信号を車両から取得することにより、換気部の駆動量を適切に制御可能になるという同様の効果を得ることができる。
【0068】
C3.変形例3:
実施例の駐車場換気装置20を備える駐車場15では、単一の出入り口を有し、この出入り口の近傍に、受信アンテナ26、送信アンテナ28および入出庫センサ29を設けているが、車両入り口とは別個に、車両出口を設けても良い。この場合には、入り口と出口のそれぞれに、入庫センサおよび出庫センサを設け、車両の入出庫を検出すればよい。また、入り口には、入庫車両からの放出水素量信号を受信するための受信アンテナおよび、入庫車両に駐車位置信号を送信するための送信アンテナを設けると共に、出口部には、出庫車両からの放出水素量信号を受信するための受信アンテナを設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施例の駐車場換気システム10の概略構成を表わす説明図である。
【図2】換気量制御処理ルーチンを表わすフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
10…駐車場換気システム
15…駐車場
20…駐車場換気装置
22…換気ファン
24…ダンパ
26…受信アンテナ
28…送信アンテナ
29…入出庫センサ
30…通信部
32…制御部
50…車両
52…燃料電池
54…水素タンク
56…送信アンテナ
58…受信アンテナ
60…通信部
62…報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両を駐車する屋内駐車場内における換気を行なうための駐車場換気装置であって、
前記駐車場内の空気を外部に排出する換気部と、
車両の駆動用燃料として水素を用いている入出庫する車両から送信され、前記車両の特性に応じて予め定まる該車両からの放出水素量に係る放出水素量信号を受信すると共に、前記駐車場の出入り口近傍に設けられた受信部と、
前記受信部が受信した前記放出水素量信号に基づいて、前記駐車場内の水素濃度を所定値以下に抑えるための前記換気部による排出空気量である換気量を設定する換気量設定部と、
前記換気量設定部が設定した前記換気量に従って、前記換気部を駆動する換気部駆動部と
を備える駐車場換気装置。
【請求項2】
請求項1記載の駐車場換気装置であって、
前記放出水素量信号は、車両が走行中に放出される水素量および/または停車中に放出される水素量を反映する情報を表わす
駐車場換気装置。
【請求項3】
請求項2記載の駐車場換気装置であって、
前記放出水素量信号は、車両が駆動用燃料としての水素を搭載するか否かに係る燃料種類情報を表わすと共に、車両が水素を搭載する場合にはさらに、水素を貯蔵するタンクの種類に係る情報および/または水素を燃料として消費して車両の駆動エネルギを生じる水素消費装置の種類に係る情報を含む車両種類情報を表わす
駐車場換気装置。
【請求項4】
請求項3記載の駐車場換気装置であって、
前記換気量設定部は、前記車両種類情報に基づいて、車両の種類ごとの駐車台数に応じて前記換気部における換気量を設定する
駐車場換気装置。
【請求項5】
請求項3記載の駐車場換気装置であって、
前記換気量設定部は、前記車両種類情報に基づいて、前記駐車場内に放出される水素量を導出して、前記換気部における換気量を設定する
駐車場換気装置。
【請求項6】
請求項5記載の駐車場換気装置であって、さらに、
前記換気部による換気能力に係る情報を記憶する記憶部を備え、
前記換気量設定部は、前記放出水素量信号が表わす情報に加えて、前記記憶部に記憶した前記情報に基づいて、前記換気部における換気量を設定する
駐車場換気装置。
【請求項7】
駆動用燃料として水素を用いる車両であって、
水素を貯蔵する水素タンクと、
水素を燃料として消費して車両駆動のためのエネルギを生じる水素消費装置と、
前記車両の特性に応じて予め定まる前記車両からの放出水素量に係る放出水素量信号を送信する送信部と
を備える車両。
【請求項8】
請求項7記載の車両であって、
前記放出水素量信号は、前記車両が駆動用燃料として水素を搭載することを表わす燃料種類情報と、前記水素タンクの種類に係る情報および/または前記水素消費装置の種類に係る情報を含む車両種類情報と、を含む情報を表わす信号である
車両。
【請求項9】
車両の駆動用燃料として水素を用いる車両と、複数の車両を駐車する屋内駐車場と、を備える駐車場換気システムであって、
前記駐車場は、請求項1ないし6いずれか記載の駐車場換気装置を備え、
前記車両は、請求項7または8記載の車両であり、
前記駐車場換気装置は、前記車両から送信される前記放出水素量信号を前記受信部により受信して、前記駐車場における換気状態を制御する
駐車場換気システム。

【図1】
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【図2】
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