説明

駐車場管理システム

【課題】周辺監視装置によって取得された車両の周辺情報を有効に利用することができるようにする。
【解決手段】周辺情報を取得するための周辺監視装置と、バッテリBtと、バッテリBtの蓄電量を検出するための蓄電量検出部と、バッテリBtを充電するための充電設備と、バッテリBt及び充電設備のうちの一方の電力を選択して周辺監視装置に供給し、周辺情報を取得する周辺情報取得処理手段と、周辺情報に基づいて駐車スペース状況を検出する駐車スペース状況検出処理手段と、駐車スペース状況を駐車場情報として取得する駐車場情報取得処理手段と、駐車場情報を他車に送信する案内処理手段とを有する。駐車スペース状況が他車に送信されるので、車両の周辺情報を有効に利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車場管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、周辺を監視するための周辺監視装置としてのカメラが搭載された車両が提供されている。
【0003】
この種の車両においては、自宅で充電器によってバッテリを充電するとともに、カメラに電力を供給し、カメラによって撮影され、取得された自車の周辺の画像のデータ、すなわち、画像データを周辺情報として記録することにより、車両の盗難を抑制するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−129254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の車両において、前記周辺情報は、車両の盗難を抑制するために使用され、他の用途に利用されるようになっていない。
【0006】
本発明は、前記従来の車両の問題点を解決して、周辺監視装置によって取得された車両の周辺情報を有効に利用することができる駐車場管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのために、本発明の駐車場管理システムにおいては、車体の所定の箇所に配設され、自車の周辺を監視し、周辺情報を取得するための周辺監視装置と、バッテリと、該バッテリの蓄電量を検出するための蓄電量検出部と、複数の駐車スペースを備えた駐車場に配設され、前記各駐車スペースに駐車された車両のバッテリを充電するための充電設備と、前記蓄電量に基づいて、バッテリ及び充電設備のうちの一方の電力を選択して前記周辺監視装置に供給し、前記周辺情報を取得する周辺情報取得処理手段と、前記周辺情報に基づいて駐車スペース状況を検出する駐車スペース状況検出処理手段と、駐車場に駐車している車両から前記駐車スペース状況を駐車場情報として取得する駐車場情報取得処理手段と、前記駐車場情報を、駐車場に進入した他車に送信する案内処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、駐車場管理システムにおいては、車体の所定の箇所に配設され、自車の周辺を監視し、周辺情報を取得するための周辺監視装置と、バッテリと、該バッテリの蓄電量を検出するための蓄電量検出部と、複数の駐車スペースを備えた駐車場に配設され、前記各駐車スペースに駐車された車両のバッテリを充電するための充電設備と、前記蓄電量に基づいて、バッテリ及び充電設備のうちの一方の電力を選択して前記周辺監視装置に供給し、前記周辺情報を取得する周辺情報取得処理手段と、前記周辺情報に基づいて駐車スペース状況を検出する駐車スペース状況検出処理手段と、駐車場に駐車している車両から前記駐車スペース状況を駐車場情報として取得する駐車場情報取得処理手段と、前記駐車場情報を、駐車場に進入した他車に送信する案内処理手段とを有する。
【0009】
この場合、バッテリの蓄電量に基づいて、バッテリ及び充電設備のうちの一方の電力が選択され、前記周辺監視装置に供給されて周辺情報が取得され、該周辺情報に基づいて検出された駐車スペース状況が駐車場に進入した他車に送信されるので、車両の周辺情報を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態における自車の制御ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における駐車場管理システムを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における情報センタの制御ブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態における自車の制御部の動作を示す第1のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における自車の制御部の動作を示す第2のフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における情報センタの制御部の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
図2は本発明の実施の形態における駐車場管理システムを示す図である。
【0013】
図において、11はデパート、スーパーマーケット等の各種の立寄り先の施設に配設された駐車場であり、該駐車場11は、車両を駐車するための複数の駐車スペースPi(i=1、2、…、n)を備える。前記駐車場11は、充電施設である充電スタンドとしても機能し、充電設備としての充電器Cgを備え、該充電器Cgによって前記各駐車スペースPiに駐車した車両のバッテリを充電することができるようになっている。
【0014】
また、12は当該車両である自車であり、電気自動車、ハイブリッド型車両等の電動車両、本実施の形態においては、電気自動車であり、バッテリBtを備える。
【0015】
この場合、自車12は、駐車スペースP5に駐車させられ、駐車スペースP5に配設された接続装置としての図示されないコネクタを介して、前記バッテリBtと充電器Cgとを接続し、充電器CgによってバッテリBtを充電することができる。
【0016】
また、自車12の車体の所定の箇所には、自車12の周辺を監視し、周辺の情報、すなわち、周辺情報を取得するための周辺監視装置14が配設される。該周辺監視装置14は、フロントパネルfwに配設され、自車12の前方を監視する第1の監視要素としての、かつ、レーダ装置としてのミリ波レーダ15、前方の左右のコーナ部に配設され、自車12の斜め前方を監視する第2の監視要素としての、かつ、第1の撮像装置としてのステレオカメラ16、左右のサイドパネルswに配設され、自車12の側方を監視する第3の監視要素としての、かつ、第2の撮像装置としての死角カメラ(サイドカメラ)17、リヤパネルrwに配設され、自車12の後方を監視する第4の監視要素としての、かつ、第3の撮像装置としてのバックカメラ18、後方の左右のコーナ部に配設され、自車12の斜め後方を監視する第5の監視要素としての、かつ、ソナーとしてのバックソナー19等のうちの少なくとも一つから成る。
【0017】
この場合、前記周辺監視装置14によって取得された周辺情報は図示されない制御部に送られる。すなわち、前記ミリ波レーダ15は、ミリ波を出射し、例えば、自車12の前方の駐車スペースP2に駐車している他の車両、すなわち、他車22等の対象物から反射してきた電波を受信することによって、対象物までの距離を測定し、測定結果を周辺情報として制御部に送る。また、前記ステレオカメラ16、死角カメラ17及びバックカメラ18の各カメラは、それぞれ自車12の斜め前方、側方及び斜め後方を撮影し、取得した画像データを周辺情報として制御部に送る。そして、前記バックソナー19は、音波を出射し、例えば、自車12の後方の駐車スペースP8に駐車している他車22等の対象物から反射してきた音波を所定の時間以上受信することによって、対象物を認識し、認識結果を周辺情報として制御部に送る。
【0018】
なお、前記フロントパネルfwに、ミリ波レーダ15と共に、又はミリ波レーダ15に代えて、監視要素としての、かつ、撮像装置としてのフロントカメラを配設することができる。また、フロントパネルfw、リヤパネルrw又はサイドパネルswに、監視要素としての、かつ、ソナーとしてのフロントソナー、リヤソナー又はサイドソナーを配設することができる。
【0019】
前記ミリ波レーダ15及びステレオカメラ16によって前方監視部が、死角カメラ17によって側方監視部が、バックカメラ18及びバックソナー19によって後方監視部が構成される。
【0020】
また、21は前記立寄り先の施設が備える情報管理部としての情報センタである。前記自車12、情報センタ21及び他車22は互いにネットワークによって接続され、自車12、情報センタ21及び他車22によって駐車場管理システムが構成される。
【0021】
そして、該駐車場管理システムによって、前記自車12が充電器Cgと接続されているか、又はバッテリBtの蓄電量(電力量)Qが十分に大きい場合に、周辺監視装置14によって取得された自車12の周辺情報に基づいて、例えば、周辺の駐車スペースが空いているかどうかを表す空き状況が検出され、該空き状況が情報センタ21に送信されたり、情報センタ21を介して他車22に送信されたりするようになっている。
【0022】
次に、前記構成の自車12の制御装置について説明する。
【0023】
図1は本発明の実施の形態における自車の制御ブロック図である。
【0024】
図において、31は自車12の全体の制御を行う自車制御部としての制御部、15はミリ波レーダ、16はステレオカメラ、17は死角カメラ、18はバックカメラ、19はバックソナーである。
【0025】
また、32は、操作者である運転者によって操作され、バッテリBtの電力を利用するのを許可したり禁止したりするための電力利用設定部としての電力利用許可スイッチ、33はバッテリBtの蓄電量Qを検出するための蓄電量検出部としての蓄電量モニタ、34は、運転者によって操作され、自車12を、所定の目的地、本実施の形態においては、自宅、別の充電スタンド等の充電器を備えた地点まで走行させるのに必要なバッテリBtの蓄電量、すなわち、必要蓄電量Q’を入力するための必要蓄電量設定部としての必要蓄電量入力スイッチ、35は前記バッテリBtと充電器Cgとが接続されたことを検出する充電器接続検出部としての充電器接続センサである。
【0026】
前記電力利用許可スイッチ32及び必要蓄電量入力スイッチ34によって第1の操作部が構成される。また、前記蓄電量Qによって第1の蓄電情報が、必要蓄電量Q’によって第2の蓄電情報が構成される。
【0027】
そして、36は、自車12の現在地を自車位置として、自車12の方位を自車方位として検出する現在地検出部としてのGPSセンサ、37は図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための表示部、38は通信端末として機能し、情報センタ21との間で送受信を行う送受信部としての通信部である。前記表示部37として、ディスプレイ、液晶画面等を使用することができ、本実施の形態においては、液晶画面によるタッチパネルが使用され、第2の操作部としても機能する。
【0028】
前記ミリ波レーダ15、ステレオカメラ16、死角カメラ17、バックカメラ18、バックソナー19、電力利用許可スイッチ32、蓄電量モニタ33、必要蓄電量入力スイッチ34、充電器接続センサ35、GPSセンサ36、表示部37及び通信部38は制御部31に接続される。
【0029】
該制御部31は、演算装置としての図示されないCPU、該CPUが各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用される図示されないRAM、制御用のプログラムのほか、情報センタ21との間で送受信を行うための各種のプログラムが記録された図示されないROM、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。前記RAM、ROM、フラッシュメモリ等によって記憶装置が構成される。
【0030】
次に、前記情報センタ21の制御装置について説明する。
【0031】
図3は本発明の実施の形態における情報センタの制御ブロック図である。
【0032】
図において、41は情報センタ21の全体の制御を行う情報管理制御部としての制御部、42は自車12から送信される情報を受信するための第1の通信部としての受信機、43は他車22に情報を送信するための第2の通信部としての送信機である。
【0033】
前記制御部41は、演算装置としての図示されないCPU、該CPUが各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用される図示されないRAM、制御用のプログラムのほか、自車12から情報を受信したり、他車22に情報を送信したりするための各種のプログラムが記録された図示されないROM、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。前記RAM、ROM、フラッシュメモリ等によって記憶装置が構成される。
【0034】
なお、前記駐車場管理システム、制御部31、41、各CPU等は、単独で、又は二つ以上組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。そして、演算装置として、CPUに代えてMPU等を使用することができる。
【0035】
次に、前記自車12の制御部31の動作について説明する。
【0036】
図4は本発明の実施の形態における自車の制御部の動作を示す第1のフローチャート、図5は本発明の実施の形態における自車の制御部の動作を示す第2のフローチャートである。
【0037】
まず、前記制御部31の図示されない電力利用許可判断処理手段は、電力利用許可判断処理を行い、電力利用許可スイッチ32がオンにされているかどうかによって、運転者がバッテリBtの電力を利用するのが許可されているかどうかを判断する(ステップS1)。電力利用許可スイッチ32がオンにされていて、運転者がバッテリBtの電力を利用するのが許可されている場合、制御部31の図示されない自車情報取得処理手段は、自車情報取得処理を行い、前記蓄電量モニタ33から蓄電量Qを、必要蓄電量入力スイッチ34から必要蓄電量Q’を、GPSセンサ36から自車位置を読み込むことによって取得する(ステップS2〜S4)。なお、この場合、自車位置によって駐車位置が構成される。
【0038】
次に、制御部31の図示されない自車情報送信処理手段は、自車情報送信処理を行い、蓄電量Q及び自車位置を情報センタ21に送信する(ステップS5)。
【0039】
続いて、制御部31の図示されない充電設備接続判断処理手段は、充電設備接続判断処理を行い、充電器接続センサ35がオンにされているかどうかによって、バッテリBtと充電器Cgとが接続されているかどうかを判断する(ステップS6)。
【0040】
バッテリBtと充電器Cgとが接続されている場合、制御部31の図示されない蓄電量比較処理手段は、蓄電量比較処理を行い、蓄電量Qと必要蓄電量Q’とを比較し、蓄電量Qが必要蓄電量Q’より大きいかどうかによって、第1の電力利用条件が成立するかどうかを判断する(ステップS7)。
【0041】
そして、蓄電量Qが必要蓄電量Q’より大きく、第1の電力利用条件が成立する場合、制御部31の図示されない周辺情報取得指令待機処理手段は、周辺情報取得指令待機処理を行い、情報センタ21から、周辺監視装置14によって周辺情報を取得するための指令、すなわち、周辺情報取得指令を受信するのを待機する(ステップS8)。そして、情報センタ21から周辺情報取得指令を受信すると、前記制御部31の図示されない周辺情報取得処理手段は、周辺情報取得処理を行い、前記蓄電量Qに基づいて、バッテリBt及び充電器Cgのうちの一方、この場合、充電器Cgの電力を選択して周辺監視装置14に供給し、周辺監視装置14を作動させ、ミリ波レーダ15、ステレオカメラ16、死角カメラ17、バックカメラ18及びバックソナー19から送られた各周辺情報を読み込むことによって取得する(ステップS9)。
【0042】
続いて、前記制御部31の図示されない駐車スペース状況検出処理手段は、駐車スペース状況検出処理を行い、前記各周辺情報に基づいて自車12の周辺の駐車スペースの状況を表す駐車スペース状況を検出することによって取得する(ステップS10)。
【0043】
そして、前記制御部31の図示されない駐車スペース状況送信処理手段は、駐車スペース状況送信処理を行い、取得した駐車スペース状況を情報センタ21に送信する(ステップS11)。
【0044】
また、前記蓄電量比較処理において、蓄電量Qが必要蓄電量Q’以下であり、第1の電力利用条件が成立しない場合、制御部31の図示されない充電情報取得処理手段は、充電情報取得処理を行い、蓄電量Qが必要蓄電量Q’以下であり、バッテリBtの電力を利用することができない旨を表示部37に表示することによって運転者に通知し、バッテリBtを充電するために割くことができる時間、すなわち、充電可能時間を入力するように指示する。そして、前記表示部37において運転者が充電可能時間を入力すると、前記充電情報取得処理手段は充電可能時間を読み込むことによって取得する(ステップS12)。また、前記充電情報取得処理手段は、充電器CgによってバッテリBtを充電するのに必要な時間、すなわち、充電時間を読み込むことによって取得する(ステップS13)。
【0045】
次に、制御部31の図示されない充電時間比較処理手段は、充電時間比較処理を行い、前記充電可能時間と充電時間とを比較し、充電可能時間が充電時間より長いかどうかによって、第2の電力利用条件が成立するかどうかを判断する(ステップS14)。
【0046】
そして、充電可能時間が充電時間より長く、第2の電力利用条件が成立する場合、前記周辺情報取得指令待機処理手段は、情報センタ21から周辺情報取得指令を受信するのを待機し(ステップS8)、情報センタ21から周辺情報取得指令を受信すると、前記周辺情報取得処理手段は、充電器Cgの電力を選択して前記周辺監視装置14に供給し、前記周辺情報を取得し、前記駐車スペース状況検出処理手段は、駐車スペース状況を検出し、前記駐車スペース状況送信処理手段は、前記駐車スペース状況を情報センタ21に送信する(ステップS9〜S11)。
【0047】
また、前記充電設備接続判断処理において、バッテリBtと充電器Cgとが接続されていない場合、前記蓄電量比較処理手段は、蓄電量Qと必要蓄電量Q’とを比較し、蓄電量Qが必要蓄電量Q’より大きいかどうかによって、第3の電力利用条件が成立するかどうかを判断する(ステップS15)。
【0048】
蓄電量Qが必要蓄電量Q’より大きく、第3の電力利用条件が成立する場合、前記周辺情報取得指令待機処理手段は、情報センタ21から周辺情報取得指令を受信するのを待機し(ステップS8)、情報センタ21から周辺情報取得指令を受信すると、前記周辺情報取得処理手段は、バッテリBtの電力を選択して前記周辺監視装置14に供給し、前記周辺情報を取得し、前記駐車スペース状況検出処理手段は、駐車スペース状況を検出し、前記駐車スペース状況送信処理手段は、前記駐車スペース状況を情報センタ21に送信する(ステップS9〜S11)。この場合、前記周辺情報取得処理を行っている間に、蓄電量Qと必要蓄電量Q’とが等しくなると、前記周辺情報取得処理手段は処理を終了する。
【0049】
次に、前記情報センタ21の制御部41の動作について説明する。
【0050】
図6は本発明の実施の形態における情報センタの制御部の動作を示すフローチャートである。
【0051】
まず、制御部41の図示されない車両情報取得処理手段は、車両情報取得処理を行い、受信機42を介して駐車場11(図2)の駐車スペースPiに駐車している車両、すなわち、各駐車車両Wj(j=1、2、…)(i≧j)からバッテリBtの蓄電量Qj(j=1、2、…)及び現在地を表す駐車位置を受信し、車両情報として取得する(ステップS21、S22)。
【0052】
次に、制御部41の図示されない車両抽出処理手段は、車両抽出処理を行い、各駐車車両Wjの駐車位置に基づいて、各駐車車両Wjのうちの複数の駐車車両が同じ一つの駐車スペースの周辺情報(以下「同一周辺情報」という。)を取得することができる位置にあるかどうかを判断し(ステップS23)、複数の駐車車両が同一周辺情報を取得することができる位置にある場合、該位置にある駐車車両を抽出車両Wk(k=1、2、…)(j≧k)として抽出する(ステップS24)。
【0053】
続いて、制御部41の図示されない車両選択処理手段は、車両選択処理を行い、抽出車両Wkのうちの一つの抽出車両を選択するための所定の指標、すなわち、車両選択指標に基づいて、一つの抽出車両を選択する。そのために、前記車両選択処理手段は、各抽出車両Wkの蓄電量Qk(k=1、2、…)を比較し、各抽出車両Wkのうちの蓄電量が最も多い抽出車両を選択車両として選択する(ステップS25)。
【0054】
そして、制御部41の図示されない周辺情報取得指令送信処理手段は、周辺情報取得指令送信処理を行い、前記選択車両、及び各駐車車両Wjのうちの抽出車両Wk以外の車両を、周辺情報を取得する対象となる車両、すなわち、周辺情報取得対象車両とし、該周辺情報取得対象車両に周辺情報取得指令を送信する(ステップS26)。また、前記周辺情報取得指令送信処理手段は、各抽出車両Wkのうちの選択車両以外の車両に、周辺情報を取得しないように周辺情報取得禁止指令を送信する。なお、前記周辺情報取得指令送信処理手段は、各抽出車両Wkのうちの選択車両以外の車両に、周辺情報取得指令及び周辺情報取得禁止指令のいずれも送信しないようにすることができる。
【0055】
次に、制御部41の図示されない駐車場情報取得処理手段は、駐車場情報取得処理を行い、各周辺情報取得対象車両から駐車スペース状況を受信し、駐車場情報として取得する(ステップS27)。なお、駐車スペース状況において、例えば、空き状況は、各駐車スペースPiごとに「空き」、「駐車」及び「不明」によって区別され、該「不明」は、駐車車両Wjが少ない場合、周辺監視装置14を備えた車両が少ない場合等のように、すべての駐車スペースPiについて駐車位置を検出することができないことを表す。
【0056】
そして、制御部41の図示されない他車進入判断処理手段は、他車進入判断処理を行い、駐車場11の図示されない出入口からの情報、他車22からの現在地等の他車情報に基づいて、駐車場11内に他車22が進入したかどうかを判断し(ステップS28)、駐車場11内に他車22が進入した場合、制御部41の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、進入したと判断された他車22に前記駐車場情報を案内情報として送信する(ステップS29)。
【0057】
なお、前記制御部31、41の各処理は、常に、新しい周辺情報及び駐車場情報を取得することができるように、所定の時間ごとに、例えば、1〔分〕ごとに行われる。
【0058】
このように、本実施の形態においては、駐車場11において周辺監視装置14によって取得された抽出車両Wkの周辺情報に基づいて駐車場情報が作成され、他車22に送信されるので、抽出車両Wkの周辺情報を有効に利用することができる。
【0059】
したがって、駐車場11の利用者が、空いている駐車スペースを探す必要がなくなるので、駐車するのにかかる時間を短くすることができる。また、駐車場11に、空いている駐車スペースPiがあるかどうかを検出するためのセンサを配設する必要がないので、駐車場11のコストを低くすることができる。
【0060】
さらに、駐車中でイグニッションスイッチがオフになっているときでも、バッテリBtの電力を周辺監視装置14に供給し、該周辺監視装置14を作動させることができるので、バッテリBtの電力を有効に利用することができる。
【0061】
また、本実施の形態において、駐車車両WjのバッテリBkと充電器Cgとが接続されている場合は、バッテリBkの蓄電量Qjが必要蓄電量Qj’より大きいかどうかに関係なく、充電器Cgの電力を周辺監視装置14に供給し、周辺監視装置14を作動させることができ、駐車車両WjのバッテリBkと充電器Cgとが接続されていない場合は、バッテリBkの蓄電量Qjが必要蓄電量Qj’より大きい場合にバッテリBtの電力を周辺監視装置14に供給し、該周辺監視装置14を作動させることができるので、バッテリBtの電力を十分に確保することができるだけでなく、バッテリBtの電力を有効に利用することができる。
【0062】
なお、周辺監視装置14を作動させることによって消費される電力は、バッテリBtを充電するのに必要な電力に対して十分小さいので、充電器CgによるバッテリBtの充電時間に与える影響は小さい。
【0063】
本実施の形態においては、GPSセンサ36によって自車12の自車位置が検出されるようになっているが、駐車場11の各駐車スペースPiに車両検出部としての車両検出センサを配設し、駐車スペースPiに車両が駐車した場合に、車両検出センサが車両を検出し、検出信号を自車位置として、かつ、駐車位置として情報センタ21に送ることができる。
【0064】
なお、他車22が電気自動車でない場合であっても、各種の情報を受信できる端末、例えば、ナビゲーション装置等が搭載されていれば、駐車場11の案内情報を受信することができる。
【0065】
本実施の形態においては、車両選択処理において車両選択指標として各蓄電量Qkが使用され、各抽出車両Wkのうちの蓄電量が最も多い車両が選択車両として選択されるようになっているが、各抽出車両Wkのうちの、周辺監視装置14を作動させたときの消費電力が最も少ない車両を選択車両として選択したり、周辺監視装置14を作動させることが可能な時間(蓄電量Q及び周辺監視装置14を作動させるための消費電力に基づいて算出することができる。)が最も長い車両を選択車両として選択したりすることができる。
【0066】
また、本実施の形態においては、バッテリBtの電力が利用され、自車12の周辺監視装置14を作動させることによって検出された空き状況が情報センタ21に送信されるようになっている。この場合、駐車場11の管理者は、バッテリBtの電力を提供し、周辺監視装置14の使用を許可した運転者に対して、各種の優遇サービスを提供するようにすることができる。そのために、前記制御部41の図示されない優遇措置処理手段は、優遇措置処理を行い、例えば、駐車料金を割り引いたり、割引率を高くしたりする。
【0067】
なお、運転者がデパート、スーパーマーケット等の駐車場11を利用した場合に、買物のポイントを高くしたり、次回駐車場11を利用する際に、便利な場所の駐車スペースに優先的に駐車をさせたり、他の車両より優先的に駐車をさせたりすることができる。
【0068】
さらに、前記優遇措置処理手段は、使用される周辺監視装置14によって優遇措置のレベルを変更することができる。例えば、ミリ波レーダ15が使用される場合に、ステレオカメラ16、死角カメラ17、バックカメラ18等が使用される場合より優遇措置のレベルを高くしたり、周辺監視装置14の精度が高い場合に、精度が低い場合より優遇措置のレベルを高くしたり、周辺監視装置14の価格が高い場合に、価格が低い場合より優遇措置のレベルを高くしたり、周辺監視装置14の使用時間が長い場合に、使用時間が短い場合より優遇措置のレベルを高くしたりすることができる。
【0069】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0070】
11 駐車場
12 自車
14 周辺監視装置
21 情報センタ
22 他車
31、41 制御部
33 蓄電量モニタ
Bt バッテリ
Cg 充電器
Pi 駐車スペース
Q 蓄電量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の所定の箇所に配設され、自車の周辺を監視し、周辺情報を取得するための周辺監視装置と、
バッテリと、
該バッテリの蓄電量を検出するための蓄電量検出部と、
複数の駐車スペースを備えた駐車場に配設され、前記各駐車スペースに駐車された車両のバッテリを充電するための充電設備と、
前記蓄電量に基づいて、バッテリ及び充電設備のうちの一方の電力を選択して前記周辺監視装置に供給し、前記周辺情報を取得する周辺情報取得処理手段と、
前記周辺情報に基づいて駐車スペース状況を検出する駐車スペース状況検出処理手段と、
駐車場に駐車している車両から前記駐車スペース状況を駐車場情報として取得する駐車場情報取得処理手段と、
前記駐車場情報を、駐車場に進入した他車に送信する案内処理手段とを有することを特徴とする駐車場管理システム。
【請求項2】
前記蓄電量と、自車を所定の目的地まで走行させるのに必要な蓄電量である必要蓄電量とを比較する蓄電量比較処理手段を有するとともに、
前記周辺情報取得処理手段は、前記蓄電量が必要蓄電量より大きい場合に前記周辺情報を取得する請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項3】
前記バッテリと充電設備とが接続されているかどうかを判断する充電設備接続判断処理手段を有するとともに、
前記周辺情報取得処理手段は、前記バッテリと充電設備とが接続されていて、かつ、前記蓄電量が必要蓄電量より大きい場合に、充電設備の電力を選択して前記周辺監視装置に供給し、周辺情報を取得する請求項2に記載の駐車場管理システム。
【請求項4】
前記バッテリと充電設備とが接続されているかどうかを判断する充電設備接続判断処理手段を有するとともに、
前記周辺情報取得処理手段は、前記バッテリと充電設備とが接続されておらず、かつ、前記蓄電量が必要蓄電量より大きい場合に、バッテリの電力を選択して前記周辺監視装置に供給し、周辺情報を取得する請求項2に記載の駐車場管理システム。
【請求項5】
バッテリを充電するために割くことができる充電可能時間と、充電設備によってバッテリを充電するのに必要な充電時間とを比較する充電時間比較処理手段を有するとともに、
前記周辺情報取得処理手段は、充電可能時間が充電時間より長い場合に、充電設備の電力を選択して前記周辺監視装置に供給し、周辺情報を取得する請求項1に記載の駐車場管理システム。
【請求項6】
所定の車両選択指標に基づいて、駐車場に駐車している車両のうちの所定の車両を選択する車両選択処理手段と、
選択された車両に、前記周辺監視装置から周辺情報を取得するための周辺情報取得指令を送信する周辺情報取得指令送信処理手段とを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の駐車場管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−33065(P2012−33065A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172969(P2010−172969)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】