説明

骨アンカー

【解決手段】骨係合部(12)と細長いガイド部(14)を備えている骨アンカー(10)が提供されている。或る実施形態では、骨係合部(12)は、少なくとも部分的には内部を通って伸張するカニューレ通路(30)と、カニューレ通路(30)と連通する少なくとも1つの横穴(32)とを含んでいる。細長いガイド部(14)は、骨係合部(12)から伸張しており、装置を案内して骨係合部(12)と係合させるように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概括的には、改良された骨アンカー及びその使用方法に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の或る形態では、骨係合部と細長いガイド部とを備えた骨アンカーが提供されている。骨係合部は、少なくとも部分的には内部を通って伸張するカニューレ通路と、このカニューレ通路と連通する少なくとも1つの横穴とを含んでいる。細長いガイド部は、骨係合部から伸張し、装置を案内して骨係合部に係合させるように作られている。
【0003】
本発明の別の形態では、骨係合部と、装置を案内して骨係合部に係合させる手段とを備えた骨アンカーが提供されている。骨係合部は、物質を隣接する箇所へ横方向に送出するための手段を含んでいる。
【0004】
本発明の別の形態では、骨係合部と、骨係合部に対して角度方向に変位できるように骨係合部に係合されている細長いガイド部であって、装置を案内して骨係合部に係合させるように作られている細長いガイド部と、を備えた骨アンカーが提供されている。
【0005】
本発明の別の形態では、骨係合部と、そこから伸張する細長いガイド部とを有する骨アンカーを用意する段階と、骨係合部を骨に錨着させる段階と、細長いガイド部に沿って装置を案内して骨係合部に係合させる段階と、から成る外科処置法が提供されている。
【0006】
本発明の別の形態では、少なくとも部分的には内部を通って伸張するカニューレ通路と、このカニューレ通路と連通する少なくとも1つの横穴とを含んでいる骨係合部を有する骨アンカーを用意する段階と、少なくとも1つの横穴が椎体の面嚢に隣接して配置されるように骨係合部を椎体に錨着する段階と、カニューレ通路を通して物質を送出する段階と、少なくとも1つの横穴から面嚢内に物質を分注する段階と、から成る外科処置法が提供されている。
【0007】
本発明の1つの目的は、改良された骨アンカーとその使用法を提供することである。
【0008】
本発明のこの他の目的、特徴、利点、有益性、並びにその他の態様は、添付図面及び本書に含まれる説明から明らかとなるであろう。
【実施例】
【0009】
本発明の原理の理解を深めるために、以下、図面に示した実施形態について特別な用語を使いながら説明する。しかしながら、これによって本発明の範囲を限定するものではなく、本発明が関係する技術分野における当業者であれば、ここに例として示す装置に対する様々な変更及び修正、並びに本願に示す発明原理の別の用例が、当然のこととして想起されるであろう。
【0010】
図1は、本発明の或る形態による骨アンカー10を示している。骨アンカー10は、全体的には骨係合部12と細長いガイド部14とを備えている。詳しくは後に述べるが、骨係合部12は骨に錨着できるようになっている。或る実施形態では、骨係合部12は、椎骨に錨着できるようになっている。しかしながら、骨アンカー10は、他の骨格部材に関係付けて使用してもよいし、脊柱以外の解剖学的部位に使用してもよい。細長いガイド部14は、骨係合部12から伸張しており、各種装置、材料、器具、移植片、及び/又は他の要素を、骨係合部12まで案内又は送出するように作られている。本発明の或る実施形態では、細長いガイド部14は、骨係合部12に、選択的に取り外せるよう解除可能に係合されるように作られているが、これについては後に述べる。
【0011】
本発明の或る実施形態では、骨係合部12は、全体的に遠位部12aと近位部12bの間の縦軸Lに沿って伸張する骨ねじを備えている。骨ねじ12は、全体的にはねじが切られた軸部20と近位側頭部22とを含んでいる。しかしながら、骨係合部12は、例えばフック構造のようなねじが付いていない構造、又は当業者には想起されるであろう骨への錨着に適した他の構造を含め、他の構造を採用することもできる。ねじ付き軸部20は、骨内の通路に沿って形成される雌ねじに係合するように作られた雄ねじ24を画定している。或る実施形態では、ねじ部24は、椎骨に係合するように作られた多孔質のねじである。しかしながら、他の形式又は構造のねじも、本発明の範囲に含まれるものと理解されたい。ねじ付き軸部20の遠位端は、骨アンカー10にセルフタッピング及び/又はセルフカッティング能力を付与するため、少なくともねじ24の1山に亘って伸張する1つ又はそれ以上の切削縦溝26を画定している。近位側頭部22は、隣接する組織への外傷又は刺激を避けるため、鋭利な角又は縁部のない全体的に滑らかな面を有しているのが望ましい。或る実施形態では、近位側頭部22は、球状に構成されている。しかしながら、例えば、円錐形又は円筒形のような他の形状も考えられる。近位側頭部22の外表面は、ねじ締め工具との係合用に複数の平坦領域(図1)を含んでいてもよい。
【0012】
図2と図3に示すように、本発明の或る実施形態では、骨アンカー10の骨係合部12は、概ね縦軸Lに沿って伸張するカニューレ通路30を画定している。カニューレ通路30は、骨係合部12を部分的に貫いて伸張し、部分的にカニューレを形成する骨ねじを画定するように描かれているが、本発明の他の実施形態では、カニューレ通路30は、骨係合部12を完全に貫通して伸張し、完全にカニューレを形成する骨ねじを画定している。
【0013】
本発明の別の実施形態では、骨アンカー10の骨係合部12には、軸方向のカニューレ通路30と連通して横方向に骨係合部の側壁を貫通して伸張する複数の開口穴32が形成されている。本発明の或る実施形態では、横方向開口穴32は、骨係合部12の遠位端部12aに限定され、より特定的な実施形態では、骨係合部12の最遠位側3分の1に沿って配置されている。しかしながら、本発明の他の実施形態では、開口穴32は、骨係合部12の他の部分に沿って配置してもよく、骨係合部12の近位部12bに沿って又は骨係合部12の全長に沿って設けてもよい。
【0014】
詳しくは後に述べるが、カニューレ通路30と横方向開口穴32は、協働して、物質を、骨係合部12が係合している骨の選択された部位まで送出する。そのような物質には、例えば、骨セメント、骨形成タンパク質(BMP)のような骨成長促進物質、又は生体適合性を有する他の物質が含まれる。部分的にカニューレを形成する骨ねじを利用している本発明の実施形態では、物質の全量がカニューレ通路30に送出されて横方向開口穴32から横方向に出るので、骨係合部12の遠位端から軸方向に放出される物質は無い。結果的に、骨の選択された部位までの物質の送出は、制御された効率的なやり方で行うことができるが、これについては後に詳しく説明する。
【0015】
骨係合部12の近位側頭部22には、カニューレ通路30と連通する成形された通路又は陥凹部40がある。成形された陥凹部40は、細長いガイド部14の成形された端部を受け入れて、細長いガイド部14を骨係合部12に連結するように作られているが、詳しくは後に述べる。しかしながら、本発明の別の実施形態では、近位側頭部22は、細長いガイド部14を骨係合部12に接続するために、細長いガイド部14に形成された成形通路又は陥凹部の中に受け入れられる成形された端部を備えていてもよい。
【0016】
本発明の或る実施形態では、近位側頭部22に形成されている成形された陥凹部40は、接続部42と、受け入れ部44と、前記両者の間に配置された保持部46とを含んでいる。或る特定の実施形態では、接続部42は、ガイド部14の対応する形に成形された端部を係合的に受け入れて、ガイド部14を骨係合部12に接続することができる寸法に作られた球状のソケットを備えている。別の特定の実施形態では、受け入れ部44は、器具、移植片、機構、及び/又は他種の要素の、対応する端部を係合的に受け入れる寸法に作られた軸方向に伸張するレセプタクル又は開口部を備えている。受け入れ部44は、六角形、円形又は楕円形、方形又は矩形、TorxTM型構造、又は当業者が想起するであろうその他の形状又は構造を含め、多種多様な形状及び構造を採用することができる。更に別の特定の実施形態では、保持部46は、ソケット42とレセプタクル44の間に伸張する環状の肩部を備えている。保持部46は、内径が球形のソケット部42よりも幾分小さめに作られており、ガイド部14の対応する端部をソケットの中に保持するようになっている。しかしながら、接続部42、受け入れ部44、及び保持部46については、他の形状、寸法、及び/又は構成であっても、本発明の範囲に含まれるものと理解されたい。
【0017】
本発明の或る実施形態では、細長いガイド部14は、成形された端部50と、そこから伸張する細長いシャフト部52とを備えている。或る特定の実施形態では、成形された端部50は、骨係合部12の近位側頭部22に成形された陥凹部40により画定されている球状ソケット42の寸法と形状に対応するボール又は球状の構造を有している。或る特定の実施形態では、球状に成形されたボール50は、外径が球状ソケット42の内径と少ない許容差の寸法に作られ、両者の間に比較的密な嵌合状態を作り出すと共に、ボール50がソケット42内で自由に回転するようにしている。成形された陥凹部42と成形された端部50とは、球形状を有するものとして図示し説明しているが、他の形状及び構成も本発明の範囲に含まれ、その一例を以下に図示し説明する。
【0018】
本発明の別の実施形態では、成形された端部50は、細長いガイド部分14を骨係合部12から選択的に取り外せるやり方で、成形された陥凹部42内に係合的に受け入れられる。或る実施形態では、球状ソケット42に隣接して配置されている環状の肩部46は、内径が球状ボール部50の外径よりも幾分小さい寸法に作られている。その結果、環状の肩部46は、ボール部50をソケット42内に選択的に保持するように、即ち細長いガイド部14を骨係合部12に選択的に係合させるように働く。環状の肩部46は、ボール部50よりも幾分小さい寸法に作られているので、本発明の或る実施形態では、ボール部50は、ソケット42に圧入装着される。その結果、環状の肩部46及び/又はボール部50は、ボール部50をソケット42から出し入れする際に僅かに変形する。
【0019】
図3に詳細に示すように、本発明の図示の実施形態では、ボール部50はソケット42内に係合して、細長いガイド部14が骨係合部12に対して(縦軸Lに対して測定して)変位角度θまで角度方向に変位できるようになっている。或る実施形態では、ボール部50とソケット42は、協働して骨アンカー10に多軸性能を提供し、細長いガイド部14が骨係合部12に対して変位角度θまで複数の方向に角度変位できるようにしている。本発明の或る特定の実施形態では、変位角度θは、約5度から約30度の範囲にある。しかしながら、これ以外の変位角度θも本発明の範囲に入るものと考えられる。また、ボール部50とソケット部42は、協働して、細長いガイド部14の骨係合部12に対する角度変位を1つ又はそれ以上の方向に制限又は阻止できるものと理解されたい。
【0020】
細長いシャフト部52は、ボール部50から伸張しており、各種装置、器具、移植片及び/又は他の要素を骨係合部12の近位側頭部22に向けて案内又は方向決めするようになっているが、これについては後に詳しく説明する。本発明の或る実施形態では、細長いシャフト部52は可撓性を有しており、装置、器具、移植片及び/又は他の要素を骨係合部12の近位側頭部22に向けて移動させる前又はその間の何れかに、このシャフト部52を再成形又は曲げることができるようになっている。しかしながら、細長いシャフト部52は、代わりに、装置、器具、移植片及び/又は他の要素を骨係合部12の近位側頭部22に向けて移動させている間に、細長いシャフト部52が撓まないように又は撓むのに抵抗するように、相当に剛性の高い構造であってもよいと理解されたい。
【0021】
本発明の或る実施形態では、細長いシャフト部52は、少なくとも部分的には可撓性、展性、又は柔軟性を有する材料で形成されており、再成形又は曲げを施せるようになっている。そのような材料には、例えば、アルミニウム材料、形状記憶材料、プラスチック材料、又はある種のステンレス鋼又はチタニウムなどが含まれる。アルミニウム材料のような比較的軟らかい材料を使用する場合、細長いシャフト部52は、陽極酸化膜又はテフロン(登録商標)のようなエラストマー系ポリマーの単層又は複層のような保護被膜で被覆してもよい。本発明の別の実施形態では、細長いシャフト部52は、例えばステンレス鋼又はチタニウムのような実質的に剛体の又は展性のない材料で形成されている。剛体材料を使用することにより、細長いシャフト部52は所定の形状又は構造を維持することができる。
【0022】
細長いシャフト部52が少なくとも部分的には形状記憶合金(SMA)で形成されている場合、この細長いシャフト部52は、初期の形状から異なる形状に曲げるか又は再成形され、細長いシャフト部52を手で曲げて初期の形状に戻す必要無しに、自動的に初期の形状に向けて再成形されて戻る。この形状記憶特性は、SMAがマルテンサイト結晶相からオーステナイト結晶相に変態するとき生じる。この相変態は、対応する温度変化に伴って、又は関係なく起きる。SMA材料の特徴及び特性に関する詳細は、Besselinkへの米国特許第5,551,871号、及びJervisへの米国特許第5,597,378号に詳しく記載されており、同両特許の内容を参考文献としてここに援用する。
【0023】
図3に示すように、本発明の別の実施形態では、軸方向の通路54は、細長いシャフト部52に沿って伸張して、成形された端部50を貫通し、完全にカニューレを形成する細長いガイド部14を画定している。しかしながら、成形された端部50と細長いシャフト部52は、必ずしも軸方向の通路54を画定している必要はなく、そうではなくて中実のカニューレを形成しない細長いガイド部14を画定してもよい。細長いガイド部14のボール部50が骨係合部12の成形された陥凹部40内に配置されると、軸方向の通路54はカニューレ通路30と流体連通状態になる。このようにして、各種物質が、軸方向通路54を通して、骨係合部12から離れたところからカニューレ通路30内へと送り出され、横方向開口穴32に分配される。上記のように、このような物質には、骨セメント、又はBMPのような骨成長促進物質が含まれる。
【0024】
図4と図5は、骨アンカー10の2つの具体的な用例を示している。しかしながら、図4と図5に示す用例は代表的なものであり、骨アンカー10のこの他の用例及び用途も本発明の範囲に含まれるものと考えられる旨理解されたい。本発明の図示の実施形態では、骨アンカー10の骨係合部12は、細長いガイド部14が近位側頭部22から伸張した状態で椎骨Vに錨着される。先に言及したように、ねじ付き軸部20の遠位端部には、骨係合部12にセルフタッピング及び/又はセルフカッティング能力を付与するため1つ又は複数の切削縦溝26が形成され、骨係合部12を椎骨Vへ挿入し易くしている。
【0025】
本発明の或る実施形態では、細長いシャフト52は、骨係合部12が例えば椎骨Vのような骨に錨着されたときに、細長いシャフト52の少なくとも近位端部が患者の身体の外側に出るような長さを有している。その結果、各種装置、器具、移植片、及び/又は他の要素を、患者身体の外側の場所から骨係合部12の近位側頭部22に隣接する箇所まで細長いシャフト52に沿って前進させることができる。本発明の実施形態の中には、そのような装置、器具、移植片、及び/又は他の要素を、骨係合部12に向けて細長いシャフト52の長さに沿って滑らせて前進させるものもある。しかしながら、細長いシャフト52の長さに沿って前進させる他の方法も、本発明の範囲に含まれるものと考えられる。装置、器具、移植片、及び/又は他の要素を骨アンカー10の近位側頭部に隣接して位置決めし、送出し、及び/又は使用した後で、細長いガイド部14は、錨着構造を小型化するため骨係合部12から選択的に外される。
【0026】
図4に具体的に示すように、本発明の或る実施形態では、ガイド部14の細長いシャフト52は、外科処置器具90を滑動可能に係合させて、器具90の遠位端部を骨係合部12の近位側頭部22に係合させるように案内する寸法及び形状に作られている。この実施形態では、外科処置器具90は、全体的にはシャフト92とハンドル94を備えたドライバ器具として構成されている。しかしながら、他の種類及び構成の器具も本発明と関連付けて使用することができる旨理解されたい。シャフト92には、少なくとも部分的には中を通って伸張し、ガイド部14の細長いシャフト部52が中に入る寸法に作られた軸方向通路95が形成されている。
【0027】
シャフト92の遠位端部96は、骨係合部12を骨にねじ込み、及び/又は骨から外し易くするため、骨アンカー10の近位側頭部22により画定された受け入れ部44内に係合するような寸法及び形状に作られているのが望ましい。先に言及したように、受け入れ部44、及び同様に器具のシャフト92の遠位端部96は、六角形、円形又は楕円形、方形又は矩形、TorxTM型構造、又は当業者であれば想起するであろうその他の形状及び構造を含め、多種多様な形状及び構造を採用することができる。シャフト92の最遠位端は、遠位端部96を近位側頭部22の受け入れ部44に挿入し易くするために、先細面98に形成されている。本発明の他の実施形態では、器具90の遠位端部に、骨係合部12の近位側頭部22を覆って係合させるためのレセプタクル又はソケット型の装着具を形成して、骨係合部12を骨にねじ込み、及び/又は骨から外し易くしている。
【0028】
なお、ドライバ器具90は、シャフト部52の近位端部をドライバシャフト92内に形成されている軸方向通路95に挿入することにより、患者の身体の外側の場所で細長いシャフト部52の近位端部に係合することができる。次いで、器具90の遠位端部96を骨アンカー10の近位側頭部22へ円滑に係合するため、細長いシャフト52を使って、ドライバ器具90を、視界が塞がれている開口部、例えば患者の皮膚又はその他の身体組織の比較的小さいアクセス口(図示せず)を通して、及び/又は例えばカニューレ管のような比較的狭い組織保護装置を通して、案内する。先に論じたように、細長いガイド部14は、細長いガイド部14が骨係合部12に対して角度方向に変位できる(図3)ような様式で、骨係合部12に係合されている。その結果、ドライバ器具90を、骨アンカー10の近位側頭部22に向けて、縦軸Lに対して横方向に案内することができるようになる。換言すると、ドライバ器具90の変位は、必ずしも縦軸Lに沿って起きる必要はないということである。そうではなくて、器具90は、骨係合部12の近位側頭部22に向けて、縦軸Lに対して図3に示した変位角度θ以内の角度方向で案内することができる。
【0029】
図5に示すように、本発明の別の実施形態では、骨アンカー10のガイド部14は、注射器又は送出機構70を骨係合部12の近位側頭部22に係合させるよう案内するために使用されている。注射器機構70は、物質を骨係合部12のカニューレ通路30に送出して、物質が横方向開口穴32を出て周辺の骨組織に入り込むように構成されているが、これについては後に詳しく説明する。図示の実施形態では、注射器機構70はシュリンジとして構成されている。しかしながら、物質をカニューレ通路30に注入又は送出して横方向開口穴32から送り出すための機構、装置、及びシステムは、当業者には想起されるように、他の種類及び他の構成も考えられる。
【0030】
注射器機構70は、全体としてはレセプタクル部72とプランジャ部74を含んでいる。レセプタクル部72は、或る量の物質88を入れるため中は中空の内部75になっている。レセプタクル部74は、物質88をカニューレ通路30に送り込み易くするため、骨アンカー10の近位側頭部22内に形成された受け入れ部44内に係合する寸法及び形状に作られた遠位先端部76を含んでいる。上記のように、受け入れ部44、及び同様に注射器機構70の遠位先端部76は、六角形、円形又は楕円形、方形又は矩形、又は当業者には想起されるであろうその他の形状又は構造を含め、多種多様な形状及び構造を採用することができる。先端部76の最遠位端は、先端部76を近位側頭部22の受け入れ部44に挿入し易くするため、先細面78となっている。本発明の他の実施形態では、注射器機構70の遠位端部に、骨係合部12の近位側頭部22を覆って係合させるためのレセプタクル又はソケット型の装着具を形成して、物質88をカニューレ通路30へ送り出し易くしている。
【0031】
注射器機構70のプランジャ部74は、物質88を骨アンカー10のカニューレ通路30に注入するために、レセプタクル部分72の中空の内部75に沿って変位させることのできる寸法及び形状に作られた本体部分を含んでいる。プランジャ部74は、物質88を、レセプタクル72の中空の内部75を通して先端部76から出し、カニューレ通路30に押し込むために、ピストンのように機能する端部80を含んでいる。プランジャ74の端部80には、ガイド部14の細長いシャフト52が中に入る寸法及び形状に作られた軸方向通路82が内部を通って形成されている。端部80の遠位側に向いた面は、細長いシャフト52を軸方向通路82へ挿入し易くするために、軸方向通路82に向かって内向きに傾斜している。
【0032】
理解頂けるように、注射器機構70は、シャフト52の近位端部を、先端部76を通してレセプタクル72の中空の内部に挿入することにより、患者の身体の外側の場所で細長いシャフト部52の近位端部に係合させることができる。必要に応じて、シャフト52の近位端部は、更に、プランジャ74の端部80により形成されている軸方向通路82に挿入してもよい。次いで、注射器機構70の遠位端部76を骨アンカー10の近位側頭部22に円滑に係合させるため、細長いシャフト部52を使って、注射器機構70を、視界が塞がれている開口部に通し、及び/又は比較的狭い組織保護装置に通して、案内する。先に論じたように、細長いガイド部14は、細長いガイド部14が骨係合部12に対して角度方向に変位できるような様式で、骨係合部12に係合されている。その結果、注射器機構70を、骨アンカー10の近位側頭部22に向けて縦軸Lに対して横方向に案内することができるようになる。
【0033】
先端部76を近位側頭部22の受け入れ部44へ挿入するのに続いて、プランジャ74をレセプタクル72の中空の内部75に沿って変位させ、物質88を先端部76から押し出す。細長いガイド部14の球状の端部50には、通路40の受け入れ部44とカニューレ通路30の間を連通させるため、1つ又はそれ以上の通路58が中を通って伸張しており、物質88がカニューレ通路30へ円滑に送り込まれるようになっている。次いで、物質88はカニューレ通路30を通して運ばれ、横方向開口穴32から骨アンカー10の骨係合部12に横方向に隣接する部位に分注される。本発明の代わりの実施形態では、物質88は、骨アンカー10の細長いガイド部14(図2及び図3)を貫通して伸張している軸方向通路54を経由してカニューレ通路30に送り出される。この様にして、物質88は、骨係合部12の近位側頭部22から離れて、そして恐らくは患者の身体の完全に外側の位置から離れて配置されている送出システム又は注射器機構を介して、軸方向通路54を通して運ばれ、カニューレ通路に送り出される。
【0034】
上記のように、骨アンカー10の骨係合部12を経由して、例えば骨セメント、骨成長促進物質、又は他の生体適合性を有する材料のような、様々な物質を送出することができる。図5に示す本発明の実施形態では、注射器機構70を介して骨係合部12に送出される物質88は、骨セメントである。横方向開口穴32から物質88が放散された後、セメント材料88は硬化又は固化し、ねじ付き軸部20の周囲に材料のマントルMが形成される。材料のマントルMは、骨係合部12の椎骨Vに対する係合を強化する役目を果たし、骨アンカーが引き抜かれるのを防ぎ、又はこれに少なくとも実質的に抵抗する。物質88がBMPのような骨成長促進物質を含んでいる本発明の実施形態では、骨成長促進材料は、同じようにカニューレ通路30に送り出され、横方向開口穴32から出て、骨アンカー10のねじ付き軸部20と横方向に隣接する部位の骨成長を促進する。
【0035】
先に示したように、骨アンカー10の図示の実施形態では、開口穴32は、それぞれ、ねじ付き軸部20の遠位端部に沿って、より厳密には、ねじ付き軸部20の最遠位端から3分の1の部分に沿って配置されており、これによりねじ付き軸部20の遠位端部の周りのマントルMの形成が制限される。更に、カニューレ通路30は骨係合部12の全長を貫いて伸張しているわけではないので、物質88の全量が横方向開口穴32を出て横方向に放散され、骨係合部12の遠位端から軸方向に放出される物質88は無い。
【0036】
図6は、本発明の別の形態による骨アンカー100を示している。多くの点で、骨アンカー100は、先に図示し説明した骨アンカー10と同じように構成されており、全体としては、骨係合部112と、各種装置、物質、器具、移植片、及び/又は他の要素を、骨係合部112まで案内又は送出するようになっている細長いガイド部114とを備えている。骨係合部12と同様に、骨係合部112は、遠位端部112aと近位端部112bを有する骨ねじを備えており、ねじ付き軸部120と近位側頭部122とを含んでいる。ねじ付き軸部120は、骨内の通路に沿って形成された雌ねじと係合するように作られた雄ねじ124を画定している。更に、骨係合部112は、近位端部112bから遠位端部112aに向けて軸方向に伸張するカニューレ通路130と、このカニューレ通路130と連通し、遠位端部112aに沿って配置されている複数の横方向開口穴132とを画定している。
【0037】
骨係合部112の近位側頭部122は、カニューレ通路130と連通する成形された通路又は陥凹部140を含んでいる。成形された陥凹部140は、細長いガイド部114の対応する形状に成形された端部を受け入れて、細長いガイド部部114を骨係合部112に選択的に連結するようになっているが、これについては後に詳しく説明する。本発明の或る実施形態では、近位側頭部122に形成された成形された陥凹部140は、接続部142と受け入れ部144を含んでいる。或る特定の実施形態では、接続部142は、ガイド部114の端部を係合的に受け入れる寸法に作られた円筒状の通路を備えている。別の実施形態では、円筒状の通路142には、ガイド部114の端部と螺合するようになっている雌ねじ部143が設けられている。別の特定の実施形態では、受け入れ部144は、器具、移植片、機構、及び/又は他の種類の要素の対応する端部を、係合的に受け入れる寸法に作られた軸方向に伸張するレセプタクル又は開口部を備えているが、そのような例については、先に骨アンカー10に関連して既に図示し説明している。
【0038】
本発明の或る実施形態では、細長いガイド部114は、成形された端部150と、そこから伸張する細長いシャフト部152とを備えている。本実施形態では、成形された端部150は、骨係合部112の近位側頭部122に形成された雌ねじ付き通路142の中に係合するようになっている雄ねじ151が形成された円筒状の構成を有している。なお、雄ねじ付き端部150と雌ねじ付き通路142の間の螺合によって、細長いガイド部114が骨係合部112に解除可能に係合され、且つ細長いガイド部114をそこから選択的に取り外せるようになっている。ねじ付き端部150の遠位方向に向いた面は、雌ねじ付き通路142への挿入及び螺合を円滑に行うため先細になっている。
【0039】
骨アンカー10に関連して図示し説明した細長いシャフト部52と同様に、細長いシャフト部152は、ねじ付き端部150から伸張し、各種装置、器具、移植片、及び/又は他の要素を、骨係合部112の近位側頭部122に向けて案内又は方向決めするようになっている。骨アンカー100の図示の実施形態では、軸方向通路154は、細長いシャフト部152に沿って、ねじ付き端部150を貫通して伸張し、物質を、骨係合部112から離れた場所からカニューレ通路130まで送出して、横方向開口穴132から外に分配できるようになっている。
【0040】
図7は、本発明の別の形態による骨アンカー200を示している。多くの点で、骨アンカー200は、先に図示し説明した骨アンカー100と同様に構成されており、全体として、骨係合部212と、各種装置、物質、器具、移植片、及び/又は他の要素を骨係合部212まで案内又は送出するようになっている細長いガイド部214とを備えている。骨係合部212は、遠位端部212aと近位端部212bを有する骨ねじを備えており、ねじ付き軸部220と近位側頭部222を含んでいる。ねじ付き軸部220には、骨内の通路に沿って形成された雌ねじと係合するように作られた雄ねじ224が形成されている。更に、骨係合部212には、近位端部212bから遠位端部212aに向けて軸方向に伸張するカニューレ通路230と、このカニューレ通路230と連通し、遠位端部212aに沿って配置されている複数の横方向開口穴232とが形成されている。
【0041】
骨係合部212の近位側頭部222は、カニューレ通路230と連通する成形された通路又は陥凹部240を含んでいる。成形された陥凹部240は、細長いガイド部214の対応する形状に成形された端部を受け入れて、細長いガイド部部214を骨係合部212に選択的に連結するように作られている。本発明の或る実施形態では、近位側頭部222に形成された成形された陥凹部240は、接続部242と受け入れ部244とを含んでいる。或る特定の実施形態では、接続部242は、ガイド部214の対応する形状に成形された端部を係合的に受け入れる寸法に作られた円筒状の通路を備えている。別の特定の実施形態では、受け入れ部244は、器具、移植片、機構、及び/又は他の種類の要素の対応する端部を、係合的に受け入れる寸法に作られた軸方向に伸張するレセプタクル又は開口部を備えているが、そのような例については、先に骨アンカー10に関連して既に図示し説明している。
【0042】
本発明の或る実施形態では、細長いガイド部214は、成形された端部250と、そこから伸張する細長いシャフト部252とを備えている。本実施形態では、成形された端部250は、骨係合部212の近位側頭部222に形成された円筒状の通路242の中に解除可能に係合させるための寸法及び形状に作られた円筒状の構造を有しており、細長いガイド部214をそこから選択的に取り外せるようになっている。
【0043】
骨アンカー10に関連して図示し説明した細長いシャフト部52と同様に、細長いシャフト部252は、成形された端部250から伸張し、各種装置、器具、移植片、及び/又は他の要素を、骨係合部212の近位側頭部222に向けて案内又は方向決めするようになっている。骨アンカー200の図示の実施形態では、軸方向の通路254は、細長いシャフト部252に沿って、成形された端部250を貫通して伸張し、物質を、骨係合部212から離れた場所からカニューレ通路230まで送出して、横方向開口穴232から外に配分できるようになっている。細長いガイド部214の成形された端部250と、骨係合部212の近位側頭部222との間にはシール256が係合され、両者の間に液密シールを形成している。或る特定の実施形態では、シール256は、成形された端部250の遠位方向に向いた面と、陥凹部240の円筒状通路242の底部に設けられた環状の肩部258との間に配置されたOリングを備えている。更に別の実施形態では、成形された端部250の遠位方向に面した面、及び/又は環状の肩部258は、Oリング256を受け入れて正しい位置に維持することができる寸法及び形状に作られた保持溝(図示せず)を画定している。本発明の他の実施形態では、成形された端部250の外周回りにシールを配置して、ガイド部214と骨係合部212の間に液密シールを形成している。
【0044】
図8から図11は、本発明の別の形態による骨アンカー300を示している。多くの点で、骨アンカー300は、先に図示し説明した骨アンカー100と同様に構成されており、全体として、骨係合部312と、各種装置、物質、器具、移植片、及び/又は他の要素を骨係合部312まで案内又は送出するようになっている細長いガイド部314とを備えている。骨係合部112と同様に、骨係合部312は、遠位端部312aと近位端部312bを有する骨ねじを備えており、ねじ付き軸部320と近位側頭部322を含んでいる。ねじ付き軸部320には、骨内の通路に沿って形成された雌ねじと係合するように作られた雄ねじ324が形成されている。更に、骨係合部312には、近位端部312bから遠位端部312aに向け軸方向に伸張するカニューレ通路330と、このカニューレ通路330と連通し、遠位端部312aに沿って配置されている複数の横方向開口穴332とが形成されている。
【0045】
骨係合部312の近位側頭部322は、カニューレ通路330と連通する成形された通路又は陥凹部340を含んでいる。成形された陥凹部340は、細長いガイド部314の対応する形状に成形された端部を受け入れて、細長いガイド部部314を骨係合部312に選択的に連結するように作られている。本発明の或る実施形態では、近位側頭部322に形成されている成形された陥凹部340は、接続部342a、342bと受け入れ部344とを含んでいる。本発明の図示の実施形態では、接続部342aは、ガイド部314のねじ付き端部を螺合可能に受け入れるようになっている雌ねじ343aが形成された円筒状の通路を備えている。同様に、接続部342bは、通路342aと概ね整列し、器具のねじ付き端部を螺合可能に受け入れるようになっている雌ねじ343bが形成された円筒状の通路を備えているが、これについては後で説明する。
【0046】
本発明の別の実施形態では、近位側頭部322に形成されている受け入れ部344は、器具、移植片、機構、及び/又は他の要素の、対応する形状に成形されている端部を係合的に受け入れる寸法に作られた軸方向に伸張するレセプタクル又は開口部を備えている。本発明の図示の実施形態では、受け入れ部344は、受け入れ部344の内周回りに均等な間隔で配置された複数の陥凹部領域又は軸方向の溝を含む345がTorxTM型構造を有している。軸方向溝345は、ドライバ機構500の遠位端部504の外周回りに均等な間隔で配置された軸方向に伸張する突起部又はスプライン付き部分505を受け入れるように作られている(図11)。しかしながら、受け入れ部344は、六角形、円形又は楕円形、方形又は矩形、又は当業者が想起するであろうその他の形状又は構造を含め、他の形状及び構造を採用することができる旨理解されたい。
【0047】
本発明の或る実施形態では、細長いガイド部314は、成形された端部350と、そこから伸張する細長いシャフト部352とを備えている。図示の実施形態では、成形された端部350は、骨係合部213の近位側頭部322に形成された雌ねじ付き通路342aの中に係合するようになっている雄ねじ351が形成された円筒状の構造を有している。なお、理解頂けるように、雄ねじ付き端部350と雌ねじ付き通路342aの間の螺合により、細長いガイド部314を骨係合部312に解除可能に係合させ、且つ細長いガイド部314をそこから選択的に取り外すことができるようになっている。ねじ付き端部350の遠位方向に向いている面は、ねじ付き通路342aへの挿入及び螺合を円滑にするため、先細になっている。
【0048】
骨アンカー100に関連して先に図示し説明した細長いシャフト部152と同様に、細長いシャフト部352は、ねじ付き端部350から伸張しており、各種装置、器具、移植片、及び/又は他の要素を骨係合部312の近位側頭部322に向けて案内又は方向決めするようになっている。例えば、図9に示すように、ガイド部部314の細長いシャフト352は、管状部材400を案内して骨係合部312の近位側頭部322に係合させるのに使用される。より具体的には、管状部材400は、シャフト352の近位端部を管状部材400の軸方向通路402に挿入することにより、患者の身体の外側の場所で骨アンカー300のガイド部314に係合させることができる。次いで、管状部材400の遠位端部404を骨アンカー300の近位側頭部322と円滑に係合させるため、細長いシャフト部352を使用して、管状部材400を、視界が塞がれている開口部、及び/又は比較的狭い組織保護装置を通して案内する。
【0049】
本発明の或る実施形態では、管状部材400の遠位端部404には、骨係合部312の近位側頭部322に形成された雌ねじ付き通路342bの中に係合するようになっている雄ねじ405が形成されている。なお、理解頂けるように、ねじ付き遠位端部404と雌ねじ付き通路342bの間の螺合により、管状部材400を骨係合部312に解除可能に係合させ、且つ管状部材400を骨係合部312から選択的に取り外すことができるようになっている。ねじ付き遠位端部404の遠位方向に向いている面は、ねじ付き通路342bへの挿入及び螺合を円滑にするために、先細になっている。
【0050】
図10に示すように、ねじ付き遠位端部404がねじ付き通路342b内に係合されると、管状部材400の軸方向通路402は、骨係合部312内のカニューレ通路330と連通状態に置かれる。而して、物質を、管状部材400内の軸方向通路402を通して搬送し、カニューレ通路330に送り込み、横方向開口穴32から出して、骨係合部312の横方向に隣接する場所に送り込むことができる。注目すべきは、カニューレ通路330への物質の送出は、骨係合部312の近位側頭部322から離れて配置されている送出システム又は注射器機構により、そして恐らくは患者の身体の完全に外側の場所から、行うことができる点である。先に論じたように、このような物質には、骨セメント、BMPのような骨成長促進物質、又は他種の生体適合性を有する物質が含まれる。
【0051】
図11に示すように、本発明の更に別の実施形態では、ガイド部314の細長いシャフト部352は、ドライバ器具500を案内して、骨係合部312の近位側頭部322に係合させるのに使用されている。先に論じたように、ドライバ器具500は、骨係合部312を骨にねじ込み及び/又は骨から取り外し易くするために、近位側頭部322の受け入れ部344の中に形成された陥凹部又は軸方向溝345の中に入る複数の軸方向に伸張する突起部又はスプライン付き部分505を形成するTorxTM型構造を有する遠位端部504を含んでいる。ドライバ器具500には、少なくとも部分的には内部を貫通して伸張し、且つガイド部314の細長いシャフト352を受け入れる寸法に作られた軸方向通路502も形成されている。理解頂けるように、ドライバ器具500は、シャフト部352の近位側端部を軸方向通路502に挿入することにより、患者の身体の外側の場所で、細長いシャフト352の近位端部に係合させることができる。次に、細長いシャフト部352を使用して、ドライバ器具500の遠位端部504を案内して、骨アンカー300の近位側頭部322と係合させる。このような案内法は、ドライバ器具500を、視界が遮られている開口部及び/又は比較的狭い組織保護装置を通して骨アンカー300の骨係合部312に係合させようとする場合には、取りわけ有用である。
【0052】
図12は、一対の骨ねじを脊柱の或る部分に係合させた状態を示している。より具体的には、骨ねじ12のねじ付き軸部20は、骨ねじ12の縦軸L、Lを横断又はX字形状(前後方向から見て)に配置した状態で、上側及び下側椎骨V、Vの面関節Fを横切って係合されている。骨ねじ12は、これにより、上側及び下側椎骨V、Vを相互接続又は接合する働きをしている。しかしながら、骨ねじ12は、他の技法により面関節Fを横切って係合させ、面関節F同士を一体に固定し、上側及び下側椎骨V、Vを相互接続させてもよい旨理解されたい。当業者には想起されるように、このような固定技法は、病変のある又は損傷している脊髄運動体節を処置するために使用される。これもまた当業者には想起されるように、この種の処置は、各種体内融合技法と組み合わせて行ってもよい。
【0053】
面関節Fの固定及び/又は融合を強化するために、面関節Fに隣接する領域に、より特定的には面関節Fにより画定された面嚢に隣接する領域に物質が送出される。このような物質には、例えば、骨セメント、BMPのような骨成長促進物質、又は当業者には既知の他の生体適合性を有する物質が含まれる。注目すべきは、骨ねじ12が上側及び下側椎骨V、Vに正しく錨着されると、開口穴32は、面関節Fに隣接して、より特定的には面嚢に隣接して配置されることである。この様にして、物質は、スクリュー12のねじ付き軸部20を貫通して伸張するカニューレ通路30(図2及び図3)を通して送出され、開口穴32を出て、面関節Fに隣接する目標の箇所に分注される。開口穴32は戦略的に骨ねじ12の遠位端部12aに沿って、より特定的には骨ねじ12の最遠位端から3分の1の部分に沿って配置されているので、面関節Fへの、より特定的には面嚢への物質の送出は、制御された効率的なやり方で行われる。
【0054】
以上、本発明について、図面及び上記記述により、詳しく図示及び説明してきたが、それらは説明を目的としたものであり何ら限定を課するものではなく、単に好適な実施形態を示し説明したに過ぎず、従って本発明の精神の範囲に含まれる全ての変更及び修正は、保護の対処とされることを要求する。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一の形態による骨アンカーの斜視図である。
【図2】図1に示す骨アンカーの部分断面分解斜視図である。
【図3】図1に示す骨アンカーの断面斜視図である。
【図4】図1に示す骨アンカーが骨格部材内に係合した状態で、外科処置器具が骨アンカーの細長いガイド部に沿って骨アンカーの骨係合部に向けて案内されている状態を示す部分断面側面図である。
【図5】図1に示す骨アンカーが骨格部材内に係合した状態で、注射器機構が骨アンカーの細長いガイド部に沿って骨アンカーの骨係合部に向けて案内されている状態を示す部分断面側面図である。
【図6】本発明の他の形態による骨アンカーの部分断面分解斜視図である。
【図7】本発明の更に他の形態による骨アンカーの部分断面分解斜視図である。
【図8】本発明の更に他の形態による骨アンカーの部分断面分解斜視図である。
【図9】図8に示す骨アンカーの、注射器の管部が骨アンカーの細長いガイド部に沿って骨アンカーの骨係合部に向けて案内されている状態を示す、部分断面斜視図である。
【図10】図9に示す骨アンカーの、細長いガイド部が取り外され、注射器の管部が骨アンカーの骨係合部に連結された状態を示す、部分断面斜視図である。
【図11】図8に示す骨アンカーの、ドライバ器具が骨アンカーの細長いガイド部に沿って骨アンカーの骨係合部に向けて案内されている状態を示す、部分断面側面図である。
【図12】上下の椎骨の間に画定されている面関節を横切って一対の骨アンカーが係合している状態を示す、脊柱の一部の後面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨アンカーにおいて、
近位端部と遠位端部を有する骨係合部であって、前記近位端部から前記遠位端部に向けて少なくとも部分的には内部を通って伸張するカニューレ通路と、前記カニューレ通路と連通する少なくとも1つの横穴と、を含んでいる骨係合部と、
前記骨係合部の前記近位端部から伸張しており、装置を案内して前記骨係合部に係合させるようになっている細長いガイド部と、を備えている骨アンカー。
【請求項2】
前記カニューレ通路は、前記骨係合部を部分的に通って伸張している、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項3】
前記少なくとも1つの横穴のそれぞれは、前記骨係合部の遠位端部に沿って配置されている、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項4】
前記少なくとも1つの横穴のそれぞれは、前記骨係合部の最遠位端から3分の1の部分に沿って配置されている、請求項3に記載の骨アンカー。
【請求項5】
前記骨係合部には、前記カニューレ通路と連通している前記少なくとも1つの横穴が複数個形成されている、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項6】
前記細長いガイド部は、前記細長いガイド部を前記骨係合部から選択的に取り外すことができるように、前記骨係合部に解除可能に係合するように構成されている、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項7】
前記細長いガイド部は、前記骨係合部と螺合するように構成されている、請求項6に記載の骨アンカー。
【請求項8】
前記細長いガイド部は、前記細長いガイド部を前記骨係合部に対して角度方向に変位させることができるように、前記骨係合部と係合するように構成されている、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項9】
前記細長いガイド部には、内部を貫通して伸張し前記カニューレ通路と連通する軸方向通路が形成されており、
前記軸方向通路から前記カニューレ通路に送り込まれ、前記少なくとも1つの横穴から外へ放出される物質を更に備えている、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項10】
前記骨係合部と前記細長いガイド部の一方には、成形された端部があり、もう一方には、前記成形された端部を受け入れるために作られた成形された陥凹部がある、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項11】
前記成形された端部と前記形成された陥凹部は、それぞれ、少なくとも部分的には球状の形状を有している、請求項10に記載の骨アンカー。
【請求項12】
前記成形された端部と前記成形された陥凹部は、それぞれ、少なくとも部分的には円筒状の形状を有している、請求項10に記載の骨アンカー。
【請求項13】
前記成形された端部は、球状形状のボールを備えており、前記成形された陥凹部は球状形状のソケットを備えている、請求項10に記載の骨アンカー。
【請求項14】
前記球状形状のボールは、前記球状形状のソケットに圧入装着され、前記細長いガイド部を前記骨係合部に解除可能に係合している、請求項13に記載の骨アンカー。
【請求項15】
前記カニューレ通路に送出し、前記少なくとも1つの横穴から放出することのできる物質を更に備えている、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項16】
前記物質は骨セメントを含んでいる、請求項15に記載の骨アンカー。
【請求項17】
前記物質は骨成長促進物質を含んでいる、請求項15に記載の骨アンカー。
【請求項18】
前記骨成長促進物質は骨形成タンパク質を含んでいる、請求項17に記載の骨アンカー。
【請求項19】
前記装置は、前記物質を前記カニューレ通路に注入して、前記少なくとも1つの横穴から放出できるようになっている注射器を含んでいる、請求項15に記載の骨アンカー。
【請求項20】
前記装置は、前記物質を前記カニューレ通路に搬入して、前記少なくとも1つの横穴から放出できるようになっている管状部材を含んでいる、請求項15に記載の骨アンカー。
【請求項21】
前記管状部材は、前記骨係合部の前記近位端部に螺合するようになっている、請求項20に記載の骨アンカー。
【請求項22】
前記装置は外科処置器具を含んでいる、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項23】
前記装置は脊椎移植片を含んでいる、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項24】
前記細長いガイド部は、前記骨係合部が骨に係合されたとき、患者の身体の外側に伸張する寸法に作られている、請求項1に記載の骨アンカー。
【請求項25】
骨アンカーにおいて、
近位端部と遠位端部を有する骨係合部であって、前記近位端部から前記骨係合部の横方向に隣接する箇所まで物質を送出するための手段を含んでいる骨係合部と、
装置を案内して前記骨係合部に係合させるための手段と、を備えている骨アンカー。
【請求項26】
前記骨係合部まで案内するための前記手段を解除可能に係合させ、選択的に取り外しができるようにするための手段を更に備えている、請求項25に記載の骨アンカー。
【請求項27】
前記案内するための手段と前記骨係合部の間で角度方向の変位ができるようにするための手段を更に備えている、請求項25に記載の骨アンカー。
【請求項28】
前記骨係合部の前記近位端部に物質を搬送するための手段を更に備えている、請求項25に記載の骨アンカー。
【請求項29】
前記案内するための手段は、前記骨係合部が骨に係合されたとき、患者の身体の外側に伸張する、請求項25に記載の骨アンカー。
【請求項30】
骨アンカーにおいて、
近位端部と遠位端部を有する骨係合部と、
前記骨係合部に対して角度方向に変位できるように、前記骨係合部の前記近位端部と係合するように作られている細長いガイド部であって、装置を案内して前記骨係合部と係合させるように作られている細長いガイド部と、を備えている骨アンカー。
【請求項31】
前記骨係合部と前記細長いガイド部の一方には、成形された端部があり、もう一方には、前記成形された端部を受け入れて前記角度方向に変位できるように作られた成形された陥凹部がある、請求項30に記載の骨アンカー。
【請求項32】
前記成形された端部と前記形成された陥凹部は、それぞれ、少なくとも部分的には球状の形状を有している、請求項31に記載の骨アンカー。
【請求項33】
前記成形された端部は、前記細長いガイド部を前記骨係合部から選択的に分離させることができるように、前記成形された陥凹部の中に解除可能に係合させることができるように作られている、請求項31に記載の骨アンカー。
【請求項34】
前記骨係合部は、前記近位端部から前記遠位端部に向けて少なくとも部分的には内部を通って伸張するカニューレ通路と、前記カニューレ通路と連通する少なくとも1つの横穴と、を含んでいる、請求項30に記載の骨アンカー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2006−525102(P2006−525102A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−514329(P2006−514329)
【出願日】平成16年5月5日(2004.5.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/014415
【国際公開番号】WO2004/098425
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(500273034)エスディージーアイ・ホールディングス・インコーポレーテッド (48)
【Fターム(参考)】