骨セメントの混合及び送出システム
【課題】骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れて、医療用に混合するための混合カートリッジの提供。
【解決手段】骨セメントの混合及び送出システムが提供される。システムは、骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れるための混合カートリッジと、混合カートリッジから骨セメントを吐出させる送出ガンとから構成される。混合カートリッジは、近位端と遠位端とを有するシリンダを備え、両端部間にはシリンダ壁が延びている。ピストンは遠位端にてロック部材によってロックされ、ロック部材は、シリンダ壁に設けられたスロットに嵌入する一対のロックタブを備える。ピストンをロックした状態で、混合装置、例えば混合軸とブレードが、成分を混合する。混合後には、カートリッジを送出ガンに装着すると、ロック部材の解放ボタンは、送出ガンの解放機構に係合して、ピストンをロック状態から解放する。
【解決手段】骨セメントの混合及び送出システムが提供される。システムは、骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れるための混合カートリッジと、混合カートリッジから骨セメントを吐出させる送出ガンとから構成される。混合カートリッジは、近位端と遠位端とを有するシリンダを備え、両端部間にはシリンダ壁が延びている。ピストンは遠位端にてロック部材によってロックされ、ロック部材は、シリンダ壁に設けられたスロットに嵌入する一対のロックタブを備える。ピストンをロックした状態で、混合装置、例えば混合軸とブレードが、成分を混合する。混合後には、カートリッジを送出ガンに装着すると、ロック部材の解放ボタンは、送出ガンの解放機構に係合して、ピストンをロック状態から解放する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、骨セメントの混合及び送出システムに関する。より詳しくは、本発明は、骨セメントの混合すべき液体成分及び粉末成分を受け入れる混合カートリッジと、成分を混合するための混合装置と、骨セメントを混合カートリッジから患者の解剖学的部位へ吐出するための送出ガンとに関する。
【0002】
(関連出願)
本願は、2003年5月12日に出願された米国仮特許出願第60/469,651号、及び、2003年11月18日に出願された米国仮特許出願第60/520,877号を基礎とする優先権を主張し、これらの文献をここで参照して引用する。
【背景技術】
【0003】
骨セメントの混合及び送出システムは公知であって、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合し、準備された骨セメントを、様々な外科的処置中に、解剖学的部位に送り届けるものである。骨セメントは、特に整形外科に有効なものであり、骨や関節の構造に補綴具を固定して、強度や剛性を高めたり、動き具合を改善する。全股関節形成術(THA)においては、股関節を補綴具と交換して、補綴具を大腿骨の随管に配置するために骨セメントを使用する。
代表的に、骨セメントは、混合カートリッジの中で準備される。混合カートリッジは、近位端と遠位端とを有するシリンダを備え、両端部間には混合チャンバが延びている。混合カートリッジはさらに、シリンダの近位端を塞ぐキャップと、シリンダの遠位端に配置されたピストンとを備え、混合チャンバはさらに、キャップとピストンとの間に形成される。ピストンは、コッターピンを用いて、シリンダ内のロック位置に解放可能に固定される。混合チャンバの中で、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合するため、キャップは混合装置つまり混合軸とブレードとを支持している。
【0004】
いったん骨セメントが混合されたならば、混合カートリッジを送出ガンに挿入して、骨セメントを吐出すべく準備する。このために、混合軸を取り外し、キャップにノズルを取り付けて、骨セメントの吐出箇所を提供する。同時に、コッターピンを引き抜いて、シリンダにおける遠位端であるロック位置から、ピストンを解放する。これによって、骨セメントをノズルから吐出すべく、送出ガンによって、混合チャンバを通してピストンを動かすことが可能になる。ピストンを固定及び解放するための代替的な解決手段については、Lidgrenらによる、米国特許第5,328,262号に開示されている。
【0005】
Lidgrenらによれば、ピストンは、シリンダの遠位端であるロック位置に解放可能に固定すべく、フランジの形態である把持部分が用いられ、かかる部分はシリンダ内周の一部分に沿ってだけ延在している。Lidgrenらによるピストンは、フランジの後方へ突出した外向きの唇部の形態である、対応する把持部分を備えている。唇部は、ピストンの外面と共に溝を形成して、フランジを受け入れる。ピストンをロック位置から解放するには、溝を介してフランジを回転させて、フランジが唇部を越えさせる。Lidgrenらは、ユーザが、ピストンをロック状態から解放すべく、ピストンに対してシリンダを回転させるとき、ピストンが回転しないように固定するのに用いる基台を開示している。この方法によって、ピストンをロック状態から解放することは、コッターピンを引き抜くのと同様に、追加的な作業をユーザに強いる。
【0006】
いったん、ピストンがロック状態から解放されたならば、混合カートリッジは、送出ガンに挿入される。代表的な送出ガンにおいては、ラム円板がピストンに係合して、ピストンを混合チャンバに通して押し込んで、骨セメントをノズルから吐出させる。送出ガンは、混合カートリッジを支えるクレードルと、ラム円板に係合してピストンを押し込むべくラム円板を前進させる駆動ロッドを支えてなる、ケーシングとを備えている。駆動ロッドは、複数の歯と、歯に係合して駆動ロッドを前進させる爪部材とを備えている。トリガは、爪部材を支持していて、ケーシングはトリガを回転可能に支える。ケーシングに対してトリガを動作させると、爪部材が歯に突き当たって、駆動ロッドを前進させる。
そうした送出ガンの一例は、Nicによる米国特許第5,431,654号に開示されている。Nicによる‘654号特許においては、爪部材を用いて、駆動ロッドとラム円板とを独立的に前進させている。爪部材は、駆動ロッドに対して、高速/弱力と、低速/強力との前進を提供する。スイッチを用いて速度を選択することができる。高速が選択されると、双方の爪部材が駆動ロッドに係合するが、高速用の爪部材だけが実際には駆動ロッドを前進させる。低速が選択されると、高速用の爪部材は歯から隔離されて、低速用の爪部材だけが歯に係合して駆動ロッドを前進させる。しかしながら、Nicの特許では、トリガが直接、各爪部材を支持しているために、駆動ロッドとラム円板を前進させる機械的な利益は少ない。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,328,262号
【特許文献2】米国特許第5,431,654号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れて、医療用に混合するための混合カートリッジである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
混合カートリッジは、近位端と遠位端とを有するシリンダを備え、両端部間には混合チャンバが形成される。シリンダは、シリンダの長手軸線を中心として両端部間に延在するシリンダ壁を備えている。ピストンはシリンダの遠位端に配置され、近位端とピストンとの間には混合チャンバがさらに形成される。ピストンにはロック部材が結合されて、ピストンを遠位端にロックする。ロック部材には、シリンダ壁に設けられた雌部分と係合すべき雄部分が備えられていて、ピストンはシリンダの遠位端であるロック位置に配置される。ロック部材は、雄部分を雌部分に係合させるべく付勢する、弾性部分を備えている。骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する間には、ピストンはシリンダにおける遠位端であるロック位置に維持される。
【0010】
混合カートリッジのひとつの利点は、ピストンを遠位端にロックするために用いられるロック部材を、便利に位置決めできることである。雌部分に対して雄部分が係合するように弾性部分を用いて付勢することによって、ユーザの手作業によって又は弾性部分の付勢に抗する機械的作用によって、雄部分と雌部分とを係脱させて、容易にピストンをロック状態から解放することができる。
また、骨セメントが準備されたとき、カートリッジから骨セメントを吐出するための送出ガンも提供される。送出ガンは、カートリッジを支持するためのケーシングを備える。駆動機構は、ケーシングによって支えられ、カートリッジから骨セメントを押し出すべく、ケーシングに対して前進可能になっている。ケーシングは、駆動機構に結合されてなるトリガをピボット支持していて、トリガが操作されると、駆動機構は前進して、カートリッジから骨セメントが押し出される。リンク装置は、駆動機構を前進させるべく、トリガと連係して働く。リンク装置は、ケーシングにピボット結合された第1のリンクと、第1のリンクとトリガとを相互結合する第2のリンクとを備え、トリガを動作させると、第2のリンクと第1のリンクとが、駆動機構を前進させる。
【0011】
送出ガンの利点は、リンク装置を用いることで、駆動機構を前進させるために必要な機械的な利益を向上させて、送出ガンを使用するユーザの疲労を最小にしつつ、カートリッジから骨セメントを押し出すことである。
ひとつの観点による送出ガンにおいては、駆動機構は、駆動ロッドと、駆動ロッドを前進させるための把持板とを備える。把持板は、駆動ロッドに摩擦係合して、トリガが操作されたときに駆動ロッドを前進させる。ひとつの実施形態においては、把持板は、隣接する把持板同士を整列させるためのペグと切欠とを備える。他の実施形態においては、把持板は、潤滑性を高め、耐腐食性を高めている。
【0012】
別の観点による送出ガンにおいては、駆動機構は、駆動ロッドと、駆動ロッドを前進させるための第1及び第2の爪部材とを備えている。ひとつの実施形態では、第2の爪部材は、駆動ロッドを高速前進させる場合には駆動ロッドに係合し、低速前進させる場合には係合状態から離れる。低速前進の場合には、第1の爪部材だけが、駆動ロッドを進めるために歯と係合する。高速前進の場合には、双方の爪部材が係合するけれども、第2の爪部材だけが駆動ロッドを進めるために働く。
また、骨セメントの混合及び送出システムが提供される。混合及び送出システムは、カートリッジと送出ガンとを備える。本発明のかかる観点においては、ロック部材は解放ボタンを備えていて、ピストンをロック状態から解放する。同時に、送出ガンは、駆動機構に統合された解放機構を備え、解放ボタンと係合する。送出ガンのクレードルにカートリッジを配置して、駆動機構を前進させると、解放機構は解放ボタンに係合して、ピストンをロック状態から解放する。この構成によれば、代表的にピストンの解放に関連する、操作段階の数を少なくすることができる。駆動機構に解放機構を組み込むことによって、駆動機構が前進することで、ピストンは自動的に解放される。
【0013】
また、骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れるための、骨セメントのローディング・システムが提供される。ローディング・システムは、遠位端にピストンをロックされてなるシリンダを備える。シリンダの遠位端を受け入れて固定するため、キャビティの設けられた基部が提供される。漏斗を、シリンダの近位端に対して結合し、骨セメントの粉末成分を混合チャンバの中へ案内する。漏斗の近位端は、骨セメントの粉末成分を混合チャンバの中へ容易に移せるように、楕円卵形の周辺部を有していて、遠位端は、丸い周囲をもっていて、シリンダの近位端にぴったりと取り付けられる。このローディング・システムにおけるひとつの特有の利点は、楕円卵形である漏斗を用いることである。漏斗の形状によって、混合チャンバを粉末で満たす作業に関連した混乱を解消する。
また、混合カートリッジと混合軸とブレードとから構成されてなる骨セメント混合システムが提供される。ブレードは、混合軸に結合され、混合チャンバの中に配置されて、長手軸線を中心として混合軸と共に回転し、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する。ブレードは、混合軸に結合された中心ハブと、中心ハブから延びたアウターリングとを備える。アウターリングは、長手軸線に対して20〜70度の鋭角をなし、骨セメントを確実に適切に混合できるようになっている。
【0014】
混合チャンバの中で、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合するための方法も提供される。方法においては、混合チャンバから外部へ延びた混合軸の部分を回転動力工具に結合させて、かかる回転動力工具を用いることで、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する。ブレードは、混合チャンバの内部に配置され、混合チャンバから外部へ延びた混合軸の部分に結合される。この方法では、最初に、混合チャンバから外部へ延びた混合軸の部分に、回転動力工具に結合させる。そして、回転動力工具を動作させて、ブレードを回転させ、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する。同時に、回転動力工具を混合カートリッジに対して変位させて、骨セメントの液体成分及び粉末成分を完全に混合させる。混合が完了したならば、混合チャンバの外部へ延びた混合軸の部分とブレードとの間の結合を取り外す。
【0015】
本発明の利益については、以下の詳細な説明に添付図面を関連付けることで、容易により良く理解できるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
添付図面は、骨セメントの混合及び送出システムを示していて、図面において、同一又は対応する参照符号は、同一又は類似する要素を示している。骨セメントの混合及び送出システムは、骨セメントを組成する液体モノマー成分と粉末ポリマー成分とを受け入れて混合するための混合カートリッジ100と、成分を混合するための混合装置(混合軸150及びブレード152)と、混合カートリッジ100から解剖学的部位(図示せず)へと骨セメントを吐出するための例えば送出ガン500などの送出装置とから構成されている。骨セメントを用いて、関節構造と置き換えられた補綴具を固定する例示的な使用としては、全股関節形成術(THA)などがある。
【0017】
図1及び図2を参照すると、骨セメント混合システムは、混合カートリッジ100と、混合軸150とブレード152とを組み合わせて用いて、混合カートリッジ100の中で骨セメントの成分を混合させる。混合カートリッジ100は、近位端104と遠位端106を備えている。混合チャンバ108は、両端部104及び106の間に形成される。シリンダ102は、その長手軸線を中心として、両端部104及び106の間に延在してなるシリンダ壁110を備える。シリンダ102の近位端104にはキャップ112が結合され、シリンダ102の遠位端106の内部にはピストン114が配置されていて、混合チャンバ108は、キャップ112とピストン114との間に形成される。骨セメントの成分は、混合チャンバ108の中に入れられて、混合軸150及びブレード152によって混合されるが、これについては詳しく後述する。
【0018】
好ましい実施形態においては、シリンダ102は、シリンダ壁110における近位端104に、ロック片116を配置されて有していて、このロック片は、キャップ112に設けられたロック溝118に挿入される。それぞれのロック片116は、長手軸線Lに対して垂直に設けられた直線的部分と、直線的部分に対して斜めに設けられた傾斜部分とを備えている。ロック片116とロック溝118とは、逆にしても良く、つまり、ロック片116をキャップ112に設けて、ロック溝118をシリンダ壁110に形成しても良いことは理解されるだろう。ロック片116とロック溝118とは、キャップ112をシリンダ102に対して1/4回転させるだけで、迅速にシリンダ102にロックできるように構成されている。キャップ112をシリンダ102に結合するには、ネジ嵌合やスナップ固定など、様々な方法を利用可能であることを当業者は認識するだろう。シリンダ102の近位端104には、溝120が形成され、Oリングシール122が嵌め付けられる。Oリングシール122は、シリンダ102にキャップ112を密封する助けになる。
【0019】
図3及び図4を参照すると、キャップ112は、半径方向内方に突出してなる斜面124を備え、該斜面はロック溝118につながっていて、ロック片116をシリンダ壁110に容易に取り付けられるようになっている。まず最初に、キャップ112をシリンダ102に配置するときには、ロック片116は、斜面124の間に配置させる。キャップ112を回転させると、斜面124は、ロック片116に対して近位側においてカム係合し、シリンダ102の近位端104が、図4に示す如く、キャップ112に対して密封関係になるように促す(図4では、説明目的のために、シリンダ壁110については、その一部分だけを、ロック片116と併せて図示している。)。好ましい実施形態においては、4つのロック片116と4つのロック溝118とが設けられ、キャップ112とシリンダ102との間を容易に密封関係にする。
【0020】
特に図4を参照すると、キャップ112のオリフィス130の内部において、Oリングシール126と動的シール128とが協働して、混合軸150を可動に支持し、かつ密封する。混合軸150は、オリフィス130及び動的シール128を通って摺動し、その中に可動に支持されている。動的シール128によれば、混合軸150は混合チャンバ108の内部において、回転と共に軸線方向に、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合すべく、ほぼ無摩擦的に動くことができ、また、オリフィス130の内部にぴったりと嵌められる。キャップ112の内側には、フィルタ132及びライナー134が配置され、真空ポート136を介して混合チャンバ108の内部を真空に吸引できるようにしている。真空ポート136は、フィルタ132とライナー134とによって、混合チャンバ108から隔離されているため、真空ポンプ(図示せず)が汚染されることは防がれる。図5〜図6を参照すると、図示の真空チューブ138は、真空ポート136に取り付けられて、混合中の混合チャンバ108を真空吸引するようになっている。
【0021】
図7を参照すると、骨セメントの混合に用いるための、好ましいブレード152を示している。ブレード152は、プラスチックから一体的な一部品として形成され、中心ハブ156にはベーン158を介してアウターリング154が結合されている。中心ハブ156には半径方向内方へ耳部160が突出していて、混合軸150に対して着脱可能に結合できる。着脱可能な結合については詳しくは後述する。図7Aを参照すると、アウターリング154は、シリンダ102の(またブレード152の回転混合軸線でもある)長手軸線Lに対して鋭角をなしている。骨セメントを効率的に混合するためには、鋭角であることは重要である。鋭角は好ましくは、20〜70度であって、さらに好ましくは60度である。ブレード152は、適切な混合を確保できるように、1/4インチを越える有効高さHを有する。好ましくは、ブレード152の有効高さHは、約1/2インチである。
【0022】
再び図7を参照すると、アウターリング154には、半径方向内方へ向けて突出した、2本の指部157が取り付けられている。片方の指部157は、第1の平面上において半径方向内方へ突起していて、他方の指部157は、第1の平面とは間隔を隔てて平行をなす、第2の平面上において半径方向内方へ突起している。中心ハブ156は、2つの平面の間に配置される。指部157は、完全な混合を確保すべく、混合チャンバ108の近位側及び遠位側の領域をかき落とすために使用される。アウターリング154には、突出ノード159も取り付けられている。ノード159は、ブレード152とシリンダ壁110の内周との間隔を制御すべく、混合チャンバ108の内部において、シリンダ壁110の内周に沿ってこすり付けられる。
【0023】
図8及び図8Aは、骨セメントを混合するために使用可能な、変形例としてのブレード252,352を示している。各ブレード152,252,352は、混合チャンバ108の内部においてブレード152,252,352が混合軸150から解放された後には、キャップ112に隣接した、シリンダ102の近位端104にて、平坦化されるようにデザインされている。これにより、可能な最大量の骨セメントを、確実に混合カートリッジ100から吐出させることができる。好ましいブレード152の場合には、ブレード152は可撓性であるので、アウターリング154は、図7Aにおいて破線にて示す如く、長手軸線Lに対して垂直であって、中心ハブ156によって占められている平面にて平坦になる。従って、有効高さHは小さくなって、鋭角αは90度に近くなる。これはベーン158が捩れることによって達成される。中心ハブ156,256,356に形成された空間155,255,355は、いったんブレード152,252,352が平坦化されたならば、混合カートリッジ100から吐出されるときに骨セメントがブレード152,252,352を通り抜けられることを確保する。骨セメントがさらに容易に、ブレード152,252,352を通って吐出されるように、それぞれの中心ハブ156,256,356のサイズは、キャップ112に形成された開口130に途中まで嵌合するようになっている。
【0024】
図9には、さらに別の代替的なブレード452を示している。このブレード452は比較的厚い円板452になっていて、面取りされた端部453は、側壁457に対して鋭角である面取り角度をなしている。面取り角度は好ましくは、60度である。好ましい実施形態において、円板は約1/2インチの厚みであり、シリンダ壁110の内周に比べて、約1/8インチ小さな直径になっている。ひとつの実施形態においては、シリンダ壁110の内周は、約2.25インチの直径になっている。理解できるだろうが、円板452の側壁457と、シリンダ壁110の内周との間にわずかな距離があるために、混合チャンバ108の内部にて、円板452を回転させながら軸線方向に動かせば、骨セメントには剪断力が発生する。剪断力は、骨セメントに作用して、骨セメントを混合させる。また、このブレード452は、円板452の中心に形成された空間455と耳部460を備え、混合軸150に対して着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0025】
図10〜図13を参照すると、混合軸150は、骨セメントの混合が完了した後に、混合軸150からブレード152を取り外すための解放ラッチ162を有している。解放ラッチ162は、保持状態と解放状態との間にて動かされる。保持状態においては、混合チャンバ108の中で骨セメントを混合するために、ブレード152は混合軸150に固定される。解放状態においては、ブレード152は混合軸150から解放されて混合チャンバ108の中に取り残され、他方、混合軸150はキャップ112から取り除かれて、ノズル204のために通路を譲るが、これについては詳しくは後述する。解放ラッチ162はラッチロッド164に結合されていて、保持状態においては、ブレード152を混合軸150に対してラッチ固定する。ラッチロッド164には、解放ラッチ162の先割れ足部168をスナップ嵌合式に受け入れるべく、分割キャビティ166が形成されている。ラッチロッド164は、混合軸150の内部に回転可能に支持される。
【0026】
図14A〜図14Cを参照すると、解放ラッチ162を保持状態から解放状態へと変化させる様子が示されている。まず図14Cを参照すると、ラッチロッド164における露出した部分は、略“T”字形になっている混合軸150において、対応する端部172には、ブレード152の中心ハブ156に設けられた耳部160を受け入れるべく適合してなる、対向する切欠174が設けられている。まず、切欠174の中に耳部160を配置し、耳部160の上に、露出した端部170を重ねることで、ブレード152は混合軸150に保持される。図14Aを参照されたい。ブレード152を解放するには、解放ラッチ162を押し込んで回転させる。解放ラッチ162を回転させると、混合軸150に対してラッチロッド164は回転し、従って、露出した端部170は回転して耳部160から離れ、ブレード152を解放する。図14Bを参照されたい。ブレード152が解放されたならば、混合軸150をキャップ112から引き抜かれるが、一方、ブレード152は混合チャンバ108の中に取り残される。
【0027】
混合軸150の近位端176は、混合中に、混合チャンバ108の外部へ延びている混合軸150における部分であるが、リーマドリルなどの回転動力工具(図37参照)に係合すべく適合していて、混合軸150及びブレード152を回転させるのにかかる回転動力工具を用いて、骨セメントを混合させる。混合軸150における近位端176は、機能的に見ればブレード152に結合されていて、回転動力工具177の回転をブレード152へと伝達する。混合軸150からブレード152を解放することで、かかる機能的な結合を取り外すことができる。また、変形例による実施形態にあっては、混合チャンバ108の外部へ延びている混合軸150における部分が、混合チャンバ108の内部にある混合軸150の残余の部分から断ち切られた場合にも機能的な結合は取り外される。また、別の実施形態においては、手動操作される混合ハンドル(図示せず)を、混合軸150の近位端176に係合させて、骨セメントを混合しても良い。
【0028】
図15〜図16を参照すると、ピストン114はシリンダ102の遠位端106の内部に配置され、混合チャンバ108をさらに密封する。ピストン114は、シリンダ壁110の内周に延在するように、スカート178を有している。また、ピストン114は、近位端180と遠位端182を備え、キャビティ184を形成している。
特に図16を参照すると、ピストン114は、ロック部材186を介して、シリンダ102の遠位端106であるロック位置に、解放可能に固定される。ロック部材186は、キャビティ184の内部に配置されていて、シリンダ壁110に設けられてなる直径上の反対側にあるスロット190の中に、直径上の反対側にあるロックタブ188が嵌入することで、ピストン114をシリンダ102に固定している。スロット190は、ロックタブ188などの対応する雄部分に対してインターロックするために使用される、例えば溝孔、溝、チャンネルなど、あらゆる適当な雌部分の形態で良いことを認識されたい。さらに、図16に示した実施形態においては、双方向のロックつまり近位方向と遠位方向とへのピストン114の動きをロックするものを例示しているけれども、ロック部材186は、一方向つまりピストン114が近位方向へ動くことだけを防ぐものでも良い。
【0029】
ロック部材186は、プラスチックを用いて一体的に成形されていて、ロック部材186における弾性部分192は、ロックタブ188を、スロット190の長手軸線Lに対して、放射方向外方へ付勢する。弾性部分192は、薄い弾性リボン状の形態になっていて、バネの如く作用するもので、ロックタブ188同士の間に、曲がりくねった形態にて延在している。ロックタブ188は、スカート178に形成された支持スロット194にロック部材186を突出させて、ピストン114に結合される。好ましい実施形態においては、各支持スロット194の中へ段差196が嵌入していて、各ロックタブ188に形成されたチャンネル198内における摺動係合のための案内を形成している。ロック状態においては、支持スロット194は、シリンダ壁110に形成されたスロット190に対して、軸線方向及び半径方向に整列される。
【0030】
混合カートリッジ100に液体成分及び粉末成分が投入されて混合されるときには、ピストン114は、シリンダ102の遠位端106にロックされる。骨セメントの混合が完了した後には、ピストン114はロック状態から解放される。解放ボタン200は、ロックタブ188と一体的に形成されていて、ピストン114をロック状態から解放するために用いられる。解放ボタン200は、ロックタブ188上に配置されていて、遠位方向へ突設されている。各解放ボタン200は、長手軸線に対して鋭角をなすように、カム面202が形成されている。ピストン114をロック状態から解放するには、弾性部分192の付勢力に抗して、解放ボタン200を放射方向内方へ向けて絞り込み、ロックタブ188をスロット190から引き抜くようにする。この動作は、後述の如く、手作業にて又は機械的に実行される。スロット190から解放した後には、ロックタブ188は、支持スロット194の内部にて、ピストン114に結合されたままに取り残される。
【0031】
図17〜図18を参照すると、変形例によるロック部材386が示されている。変形例によるロック部材386におけるロックタブ388は、シリンダ302の長手軸線Lに対して放射方向外方へ付勢されていて、シリンダ壁310に設けられたスロット390に係合する。この実施形態では、シリンダ壁310に4つのスロット390が形成されて、ロックタブ388を受け入れる。弾性部分392はさらに、ピストン314に各ロックタブ388を弾性的に支持する弾性基部392として形成され、各ロックタブ388は、ピストン314のスカート378から放射方向外方へ付勢されて、シリンダ壁310に設けられたスロット390に係合する。解放ボタン400はさらに、シリンダ302の長手軸線Lに対して放射方向内方へ延びる指部400として形成され、指部400に係合することでロックタブ388を放射方向内方へ促して、シリンダ壁310のスロット390からロックタブ388を引き抜いて、ピストン314をロック状態から解放するようになっている。
【0032】
図19〜図23を参照すると、いったん骨セメントを混合したならば、混合軸150をキャップ112から引き抜いて、キャップ112にノズル204を取り付ける。本実施形態においては、ノズル204を所定位置に取り付けるには、ノズル204の中空シャフト205を、キャップ112のオリフィス130の中へ押し込んでから、ノズル204を若干、約1/4回転ほど捩るようにする。ノズル204をキャップ112に取り付けられたならば、混合カートリッジ100は送出ガン500に装着される準備は出来たことになる。
キャップ112は、その外面208から突設されたニップル206を有している。ニップル206に設けられたタブ210は、ノズル204内に設けられた止め部材212に係合する。ノズル204を所定位置にまで完全に回転させると、タブ210は止め部材212に完全に係合して、止め部材212の近位側に配置された状態になって、ノズル204を所定位置にしっかり固定する。キャップ112に設けられたストッパ214は、図19に良く示されているように、タブ210が止め部材212に係合した後、ノズル204が時計まわり方向へ自由に回転することを防ぐ。ストッパ214は、片方のタブ210から下方へ延びていて、止め部材212のひとつの側面に当接することで、時計まわり方向にさらに回転することを防いでいる。
【0033】
ノズル204とキャップ112とは、第1のロック突起218と第2のロック突起220とを有している。第1のロック突起218は、止め具として作用し、第2のロック突起220の上を滑って、図21に示したロック状態になる。この状態においては、ロック突起218,220における平坦背面部222,224が互いに当接し合うことで、ノズル204が反対方向へ回転することを防ぎ、もってノズル204がキャップ112から外れることを防いでいる。ノズル204を取り外す場合には、ノズル204の外側スカート226を反らせて、ノズル204を反時計まわりに回転させれば、ロック突起218,220を係脱させることができる。ノズル204とキャップ112とは共にプラスチックから作られているので、ノズル204はキャップ112に容易に止め具式にロック及びアンロックできる。
【0034】
ノズル204を取り付けられたならば、混合カートリッジ100を送出ガン500に装着される準備は出来た。図24を参照すると、本発明による送出ガン500は、混合カートリッジ100を支持するクレードル502と、駆動機構506を支持すべくクレードルに固定されたケーシング504と、リンク装置508と、対応する構成要素とを備えている。クレードル502は、ノズル204を受け入れるための開口512を有してなる、端板510を備えている。端板510は、混合カートリッジ100をクレードル502内における所定位置に保持する。好ましい実施形態においては、ケーシング504と端板510とは、送出ガン500を軽量化するため、(混合カートリッジ100の両側に1本ずつの)2本の結合棒514を介して結合されている。ハンドル516は、ケーシング504と一体的に形成されていて、使用時に送出ガン500を操作する部分である。
混合カートリッジ100から骨セメントを吐出させるには、まず最初に、ピストン114をロック状態から解放しなければならない。図25を参照すると、この手順は、送出ガン500に統合されている解放機構518を用いて行われる。混合カートリッジ100をクレードル502の所定位置に装着すると、ラム円板520が、ピストン114の遠位端182に設けられたキャビティ184の中へ突出する。解放機構518は、ラム円板520と統合されている。解放機構518は、長手軸線Lに対して鋭角を形成してなるベアリング面522を備え、解放ボタン200を放射方向内方へカム動作させるべく、解放ボタン200を捕らえる。より詳しくは、解放ボタン200におけるカム面202は、ベアリング面522に沿って摺動しながら、放射方向内方へのカム動作を行う。この動作によって、ロックタブ188は放射方向内方へ引っ張られ、ロックタブ188はシリンダ壁110に設けられたスロット190から引き抜かれ、ピストン114をロック状態から解放する(変形例によるピストン314が使用される場合には、ラム円板は平坦であるベアリング面を有していて、指部400を軸線方向近位側に押圧し、各弾性基部392を内方へ屈曲させて、ロックタブ388を放射方向内方へ動かすことになる。)。センタリングピン800を用いて、ピストン114のセンタリングキャビティ802に対してラム円板520を中心合わせすることで、ピストン114が容易にロック状態から解放されるようにしている。
【0035】
再び図24を参照すると、ピストン114が解放されたならば、ピストン114は、駆動機構506によって混合チャンバ108を通して押し込まれ、骨セメントはノズル204から押し出される。駆動機構506は、ブッシング526を介してケーシング504の内部に支持されてなる駆動ロッド524を備えている。ラム円板520は、駆動ロッド524に固定されている。駆動機構506はさらに、トリガ530が操作されたとき、リンク装置508を動かすための第1の把持板528を備えている。第1の把持板528には、駆動ロッド524を取り囲むように開口が形成されている。第1の把持板528は、駆動ロッド524に対して摩擦的に係合して、駆動ロッド524を前進させる。トリガ530が操作されると、第1の把持板528は、駆動ロッド524に対して摩擦的に接触したまま、リンク装置508によって前方へ押し出される。従って、第1の把持板528は、駆動ロッド524及びラム円板520をケーシング504に対して前進させ、ピストン114を駆動し、骨セメントを混合カートリッジ100から押し出させる。トリガ530は、ケーシング504にピボット支持され、駆動機構506に結合されていて、トリガ530が操作されると駆動機構506を前進させるようになっている。
【0036】
リンク装置508に設けられた第1のリンク532は、第1の把持板528に隣接しているピボット軸Aを介して、ケーシング504にピボット支持されている。第1のリンク532は、第1のリンク532がピボット軸Aを中心としてピボットすると、第1の把持板528に係合するようになっている。第2のリンク536は、支持ピン538,540を介して、トリガ530を第1のリンク532にピボット式に相互に連結している。リンク532,536とトリガ530とは、相互に連結されていて、トリガ530が第2のピボット軸Bを中心として回転すると、これに同調して動く。トリガ530が引かれると、第2のリンク536がピボット軸Aを中心に第1のリンク532を回転させるが、これには第1の把持板528が係合しているため、第1の把持板528は前方へと押し出され、ここで、第1の把持板528は駆動ロッド524に摩擦係合しているので、駆動ロッド524を前進させることになる。トリガ530が解放されると、戻りバネ542が、リンク532,536及びトリガ530を初期状態へと復帰させる。同時に、第1のバネ534が一瞬、駆動ロッド524から第1の把持板528を係脱させ、第1の把持板528を初期状態へと摺動復帰させて、次回のトリガ530操作を待ち受ける。ケーシング504は、第1のリンク532とトリガ530とを、ピボット軸A及びBを中心として、支持ピン544,546を介して、ピボット支持している。
【0037】
速度変更リンク548は、支持ピン549を中心として、第2のリンク536にピボット結合されている。速度変更リンク548は、スイッチ550によって、選択的にピボットして、第1の把持板528に係合し、または、係脱する。速度変更リンク548は、支持ピン549を中心として、高速位置と低速位置との間においてピボットする(図24は低速位置を示している。)。高速位置は、小さな力で駆動ロッド524を迅速に前進させる位置である。これにより、ユーザは、駆動ロッド524を迅速に前進させ、ピストン114を駆動して、低圧で多量の骨セメントを吐出させることができる。低速位置は、大きな力で駆動ロッド524をゆっくりと前進させる位置であり、骨セメントを加圧すべく、ピストン114には強い力が作用する。
【0038】
第1の把持板528と速度変更リンク548とは相補的に、第1及び第2の結合装置552,554を備え、高速位置においては、これらを用いて、第1の把持板528を速度変更リンク548に結合させる。より詳しくは、図24に示した実施形態においては、第1の把持板528は肩部552を備え、この部分は、速度変更リンク548に設けられたチャンネル554の中に受け入れられる。高速位置においては、速度変更リンク548は肩部552に係合する。高速位置においては、ユーザによる握力は、トリガ530から第2のリンク536及び速度変更リンク548へと伝達し、第1の把持板528に係合して、駆動ロッド524を前進させる。速度変更リンク548は、低速位置においては、第1の把持板528から隔離される。低速位置は、速度変更リンク548が切り換えられ又は肩部552から係脱した状態に対応する。低速位置においては、ユーザによる握力は、トリガ530から第1のリンク532及び第2のリンク536の両方を介して伝達され、第1の把持板528に係合して、駆動ロッド524を前進させる。駆動ロッド524に得られる速度は遅くなるが、高速位置に比べて、はるかに大きな機械的利益が得られる。その結果、ユーザは、注入中に、骨セメントをより良く加圧することができる。
【0039】
ピボット軸A及びBと、リンク532,536,548とは、駆動ロッド524の上方に配置され、一方、トリガ530は駆動ロッド524の下方へと延びている。トリガ530にチャンネル556を形成することで、この構成が容易になる。この構成には、いくつかの利点がある。第2のピボット軸Bをユーザの手から遠ざけることで、人差し指と薬指をうまく使えるようになって、トリガ530を操作するのに、これらの指を大きく動かすことができる。また、この構成によれば、ハンドル516を駆動ロッド524に対して、より近づけることができ、ユーザが送出ガン500を前方へ押し出してセメントを加圧するとき、手首の張りを抑制できると考えられる。別の利益としては、より流線型であるケーシングデザインと、より良い重量配分が得られることである。
【0040】
図24に示したひとつの実施形態においては、駆動ロッド524のまわりには、第1の把持板528に隣接するように、二次的な把持板562が取り付けられる。1又は複数の二次的な把持板562を第1の把持板528に追加することによって、送出ガン500の強度が高まり、しかも適切な動作が得られる。2以上の把持板528,562を用いることで、性能に悪影響をもたらすことなく、駆動ロッド524に対する接触摩擦を高めることができる。
解放ピン558は、ユーザが手で駆動ロッド524を自由に動かせるようにすべく、把持板528,562を係脱させる。解放ピン558は、リテーナプレート560に結合されて、第1の把持板528に係合すべく適合している。ユーザがリテーナプレート560を押すと、解放ピン558は第1の把持板528に係合し、第1のバネ534の付勢に抗して第1の把持板528を押し込んで立て直し、もって駆動ロッド524を解放する。二次的な把持板562も同様に動作する。理解できるだろうが、リテーナプレート560を押すと、リテーナプレート560それ自体も、駆動ロッド524に対する係合から解放される。リテーナプレート560と把持板528,562との両方が解放されると、駆動ロッド524は自由に動けるようになる。これによって、ユーザは手動で、ケーシング504に対して、駆動ロッド524を動かすことができる。
【0041】
送出ガン500は、あまたの骨セメントガンの中でも、独特であって、摩擦板機構を用いることで、把持板528,562の摩耗や変形に対処できる。開示した実施形態においては、把持板528,562は、第1のバネ534によって傾斜して、駆動ロッド524に対して摩擦接触する。把持板528,562や、駆動ロッド524、又は駆動ロッド524の摩耗又は変形の大きさにかかわらず、把持板528,562をさらに大きく傾ける必要なしに、トリガ530の操作時に駆動ロッド524に係合できる。従って、トリガ530の動作全域にわたって、駆動ロッド524を前進させることができ、送出ガン500の寿命が尽きるまで、効率が維持される。
【0042】
図24A及び図24Bを参照すると、変形例によるリンク装置508’及び508”が示されている。これらの変形例において、図24の実施形態と同一の部材には、対応する符号を付している。図24Aに示したリンク装置508’の構成においては、リンク装置508’が駆動ロッド524’の下方に配置されている。さらに、本実施形態においては、速度変更リンク548’は第1の把持板528’にピボット結合され、フック形状である端部を備えていて、高速位置にあっては支持ピン538’に係合する一方、低速位置にあっては支持ピン538’から係脱される。図24Bに示したリンク装置508”の構成においては、第1の把持板528”は、リンク装置508”によって押し込む点において、リンク装置508及び508’を引っ張っていた図24及び図24Aの実施形態とは異なっている。ここで、速度変更リンク548”は、第1の把持板528”にピボット結合されていて、これがピボットすることで、高速位置にあっては、トリガ530”に形成された切欠555”に係合し、低速位置にあっては、切欠555”から係脱する。これらの変形例によるリンク装置508’及び508”は、本発明のリンク装置によるならば、機械的利点の選択など、デザインの自由性が得られることを例示している。
【0043】
図26〜図27を参照すると、変形例の実施形態による駆動機構606とリンク装置608とが示されている(例示目的のため、駆動機構606とリンク装置608との一部分のみを図示している。)。この実施形態では、リンク装置608は、改良された第1のリンク632及び把持板628,662に併せ、前述した実施形態と同様な構成要素を備えている。本実施形態においては、駆動ロッド624に沿って複数の二次的な把持板662が整列され、第1の把持板628に隣接している。第1のリンク632には雌凹部664が形成され、第1の把持板628は雄部材668を備えて、雌凹部664に嵌入するようになっている。二次的な把持板662は、切欠670とペグ672とが合致することによって、第1の把持板628に対して整列される。切欠670とペグ672とは同一形状になっていて、互いに嵌合して整列状態を保つ。この構成においては、スリップや不均一摩耗の原因となる、アライメント変化を最小にできる。また、この構成では、把持板628,662とケーシング504の内壁とが接することが少なくなる。図26において、把持板628,662は、間隔を隔てて図示しているが、これは単に説明のためである。実際には、把持板628,662は互いに当接して、図27に示した状態になる。
【0044】
この実施形態においては、把持板628,662のそれぞれに、対をなす半球形の溝部674が形成されている。図26には、各把持板628,662について、対をなす第1の溝部674だけが示されている。対をなす他方の溝部674は、各把持板628,662の背面に配置され、対における第1の溝部674に対して対角線上にある。これらの溝部674は、駆動ロッド624に対する接触摩擦を高める。把持板628,662が駆動ロッド624に摩擦接触した状態において、第1のリンク632を介して、前方へ押し出されると、各溝部674に形成されたリム676の実質的部分は、駆動ロッド624に対して摩擦接触する。
【0045】
図27を参照すると、送出ガン500を加圧殺菌した場合、把持板628,662は、トリガ630を放した初期状態を越えて、駆動ロッド624に固まり付き易い傾向がある。この状況においては、第1のバネ634は、駆動ロッド624から把持板628,662を係脱させるのに充分な力を発生できないので、把持板628,662は、それらの初期状態には復帰しない。図27は、これを防ぐ手段を示している。トリガ630の操作中には、第2のリンク636の一部分から下方へ突出した形態であるハンマ678が、把持板628,662のひとつに近接して追従する。トリガ630を解放したとき、いずれかの把持板628,662が適切に駆動ロッド624から係脱しない場合には、最も近い把持板628,662の切欠670にハンマ678が接触して、駆動ロッド624から把持板628,662を追い払う。そして、第1のバネ634が適切に、把持板628,662をそれらの初期状態へと復帰させる。
【0046】
図24及び図26〜図27に示した把持板528,562,628,662のそれぞれの外面にはコーティングが施されている。コーティングは、潤滑性を高め、耐腐食性を高める。これにより、把持板528,562,628,662が駆動ロッド524,624に係合するとき、摺動状態が良くなる。コーティングはまた、加圧殺菌に起因する腐食を抑制し、把持板528,562,628,662が互いに固まり付くことを防ぎ、駆動ロッド524,624に対して適切に係合させる。用いられるコーティングは、ポリテトラフルオロエチレンを用いた無電解ニッケルのコーティングか、又はその他の同一又は類似の特性のコーティングが良い。
【0047】
図28〜図31を参照すると、他の変形例の実施形態による駆動機構706及びリンク装置708が示されている。この実施形態においても、駆動ロッド724を選択的に、高速又は低速にて前進させることができる。この変形例による駆動機構706においては、駆動ロッド724に歯部780を設けることによって、把持板を省略している。図示の如く、駆動ロッド724の横断面において、平坦な上面782には歯部780が設けられ、他方、下面784は丸くて滑らかになっている。前述した実施形態にあっては、第1の把持板528,628を駆動ロッド524,624と共に前方へ動かしていた第1のリンク732は、本実施形態において、第1の爪部材786をピボット支持している。第1の爪部材786は、歯部780に対して係合状態になるように、バネ付勢されている。
第2の爪部材788は、第2のリンク736を介してピボット支持されている。第2の爪部材788はピボット可能になっていて、高速位置においては、第2の爪部材788はバネ付勢によって歯部780に係合して駆動ロッド724を前進させ、低速位置においては、第2の爪部材788は歯部780から係脱し隔離される。低速位置においては、第1の爪部材786が駆動ロッド724を前進させる。図28〜図29は、低速位置を示している。高速位置においては、第2の爪部材788は歯部780に係合し、第1の爪部材786は歯部780に対して係合したままになっているものの、歯部780に対する単なるラチェットとして働いて、第2の爪部材788が駆動ロッド724を前進させる。図30〜図31には高速位置を示している。本実施形態においても、低速位置においては、高速位置に比べて大きな機械的利益が得られる原理が当てはまる。
【0048】
スイッチ750を用いて、第2の爪部材788をピボットさせ、低速位置においては、駆動ロッド724の歯部780から係脱させ(図28〜図29参照)、高速位置においては歯部780に対して係合させる。この目的のためには、Nicによる米国特許第5,431,654号に開示されているものと類似したスイッチを使用できるので、同文献をここで参照して引用する。スイッチ750はケーシング704を延通して、その末端に設けられたボタンをユーザが操作して、第2の爪部材788を高速位置と低速位置との間にて切り換えるものである(図41〜図42参照)。このことは、前述した実施形態において、速度変更リンク548を動かしていたスイッチ550に関しても同様である。
この実施形態においては、リテーナプレート560は省略されている。その代わりに、バネ付勢された戻り止め爪部材790を介して、前進時の駆動ロッド724は所定位置に保たれる。駆動ロッド724をケーシング704に対して自由に動かすときには、駆動ロッド724を180度回転させて、爪部材786,788,790を歯部780から係脱させる。そのように回転させれば、爪部材786,788,790は、駆動ロッド724における滑らかな下面784に乗っかって、ユーザは、ケーシング704に対して駆動ロッド724を自由に引っ張ることができる。このことの概略は、Nicの’654号特許に開示されている。
【0049】
爪部材786,788,790はそれぞれ、ピンを介してピボット支持されている。Nicの’654号特許に開示されているようなバネを用いて、駆動ロッド724上の歯部780に対して爪部材を係合すべく付勢する(但し、低速位置において、バネの付勢に抗してスイッチ750を操作し、第2の爪部材788を歯部780から係脱させた場合を除く。)。
次に、図32〜図42を参照して、骨セメントの混合及び送出に関して説明する。まず、図32を参照すると、骨セメントのローディング装置が示されている。骨セメントのローディング装置は、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合チャンバ108に投入するときに、シリンダ102を支持する基部900を備える。基部は、シリンダ102の遠位端106を受け入れるためのキャビティを備える。キャビティ内には止め具903が形成されている。シリンダ102の外面には溝部905が形成されていて、止め具903を受け入れて、基部900とシリンダ102とをぴったりと固定する。止め具903をシリンダ102に形成し、基部900に溝部905を形成しても良いことを理解されたい。また、シリンダ102の遠位端106は、基部900の中に圧入しても良い。基部900は楕円卵形の形状であって、作業面上にシリンダ102を完全に支え、一方、キャビティは円形の形状であって、シリンダ102の円形形状に合致している。漏斗902は、シリンダ102に結合されて、シリンダ102に粉末を投入するための通路となる。漏斗902において、その近位端911は、粉末を混合チャンバ108の中へ容易に移せるように、楕円卵形の周辺部を有しており、また、その遠位端909は、丸い周囲をもっていて、シリンダ102における近位端104にぴったりと固定される。
【0050】
図33〜図42は、骨セメントを準備して注入するための10段階を示している。各段階において、混合カートリッジ100、送出ガン500、及びその他の構成要素については、例示目的のため、概略だけを示している。
【0051】
図33に示した段階1では、シリンダ102に漏斗902を取り付けて、混合チャンバ108の中へ粉末を投入する。
図34に示した段階2では、混合チャンバ108に粉末を入れた後、漏斗902を取り外してから、液体成分、例えば骨セメントの液体モノマーを加える。このように、本発明においては、漏斗902を濡らさないので、関連した清掃が不要になる。
図35に示した段階3では、キャップ112に混合軸150とブレード152とを支持した状態において、これをシリンダ102に取り付ける。
図36に示した段階4では、真空ポート136に真空配管138を取り付けて、液体成分及び粉末成分が入れられている混合チャンバ108の内部に対して真空引きを行う。
図37に示した段階5では、真空引きを続けながら、混合軸150に動力工具(リーマ)を結合させる。
図38に示した段階6では、真空引きを依然続けつつ、混合カートリッジ100に対して軸線方向に混合軸150を動かして、動力工具によって回転させる。図38には不図示のブレード152は、混合カートリッジ100の全域にわたって軸線方向に動かされながら回転して、液体成分及び粉末成分を確実かつ完全に混合する。
図38に示した段階7では、混合後に、解放ラッチ162を動かして、ブレード152(図39には不図示)を解放している。解放された後のブレード152は、混合チャンバ108の内部に取り残される。次に、混合カートリッジ100から混合軸150を取り外す。これで、混合作業が完了したことになる。
図40に示した段階8では、ノズル204をキャップ112に押し当てて、所定位置になるように回転させる。
図41に示した段階9では、混合カートリッジ100をクレードル502に装填する。
図42に示した段階10では、シリンダ102の遠位端106からピストン114が解放されていて、送出ガン500を用いて、混合カートリッジ100から骨セメントを吐出する準備が整っている。
【0052】
開示された実施形態に関連させた以上の説明は、単に例示的なものであることを認識されたい。当業者にあっては、開示した発明について多数の変形例を認識できるだろうし、それらは、特許請求の範囲に定められた、本発明の範囲内に含まれるものと考えられる。以上の教示に従うならば、本発明に様々な変形及び応用を行うことが可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、混合軸及びブレードと組み合わせられた、本発明による混合カートリッジを示した分解斜視図である。
【図2】図2は、混合軸及びブレードを内部に支持した状態における、混合カートリッジを示した組立斜視図である。
【図3】図3は、混合カートリッジのキャップを示した分解斜視図である。
【図4】図4は、図3に示したキャップと、混合カートリッジにおけるシリンダの一部分を示した横断面図であって、キャップをシリンダに取り付ける様子を示している。
【図5】図5は、キャップと、混合軸と、ブレードとを示した分解斜視図である。
【図6】図6は、キャップに混合軸とブレードとが支持されている状態を示した組立斜視図である。
【図7】図7は、ブレードを示した斜視図である。
【図7A】図7Aは、図7に示したブレードの側立面図である。
【図8】図8は、変形例によるブレードを示した斜視図である。
【図8A】図8Aは、変形例によるブレードを示した斜視図である。
【図9】図9は、変形例によるブレードを示した斜視図である。
【図10】図10は、混合軸とラッチロッドとを示した分解斜視図である。
【図11】図11は、混合軸とラッチロッドとを示した端面図である。
【図12】図12は、図10及び図11に示した混合軸とラッチロッドについての断面図である。
【図13】図13は、混合軸とラッチロッドとを結合している、解放ラッチを示した分解斜視図である。
【図14A】図14Aは、混合軸から取り外した状態におけるブレードを示している。
【図14B】図14Bは、混合軸から取り外した状態におけるブレードを示している。
【図14C】図14Cは、混合軸から取り外した状態におけるブレードを示している。
【図15】図15は、混合カートリッジにおけるピストンの部分を示した分解斜視図である。
【図16】図16は、図15のピストンを示した横断面図である。
【図17】図17は、混合カートリッジの変形例によるピストンを示した斜視図である。
【図18】図18は、図17の変形例によるピストンを示した上面図である。
【図19】図19は、キャップ及びノズルを示した分解斜視図である。
【図20】図20は、キャップ及びノズルを示した組立斜視図である。
【図21】図21は、キャップ及びノズルにおけるロック機構を示した拡大図である。
【図22】図22は、ノズルを示した斜視図である。
【図23】図23は、ノズルを示した斜視図である。
【図24】図24は、本発明による送出ガンについて、送出ガンのリンク装置を示した斜視図である。
【図24A】図24Aは、本発明における変形例としてのリンク装置を示した図である。
【図24B】図24Bは、本発明における変形例としてのリンク装置を示した図である。
【図25】図25は、ピストンを固定しているロック部材が解放される様子を示した立面図である。
【図26】図26は、代替例による送出ガンのリンク装置及び駆動機構について、それらの一部分を示した斜視図である。
【図27】図27は、図26の代替例によるリンク装置及び駆動機構について、駆動機構が固まり付くのを防ぐために用いられるハンマを示した斜視図である。
【図28】図28は、第2の代替的な実施形態による、送出ガンのリンク装置及び駆動機構について、低速状態について示した立面図である。
【図29】図29は、第2の代替的な実施形態による、リンク装置及び駆動機構について、低速状態について示した斜視図である。
【図30】図30は、第2の代替的な実施形態による、リンク装置及び駆動機構について、高速状態について示した立面図である。
【図31】図31は、第2の代替的な実施形態による、リンク装置及び駆動機構について、高速状態について示した斜視図である。
【図32】図32は、混合カートリッジのシリンダと、基部と、シリンダに骨セメントの成分を充填するのに用いられる漏斗とを示した分解斜視図である。
【図33】図33は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図34】図34は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図35】図35は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図36】図36は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図37】図37は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図38】図38は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図39】図39は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図40】図40は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図41】図41は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図42】図42は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、骨セメントの混合及び送出システムに関する。より詳しくは、本発明は、骨セメントの混合すべき液体成分及び粉末成分を受け入れる混合カートリッジと、成分を混合するための混合装置と、骨セメントを混合カートリッジから患者の解剖学的部位へ吐出するための送出ガンとに関する。
【0002】
(関連出願)
本願は、2003年5月12日に出願された米国仮特許出願第60/469,651号、及び、2003年11月18日に出願された米国仮特許出願第60/520,877号を基礎とする優先権を主張し、これらの文献をここで参照して引用する。
【背景技術】
【0003】
骨セメントの混合及び送出システムは公知であって、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合し、準備された骨セメントを、様々な外科的処置中に、解剖学的部位に送り届けるものである。骨セメントは、特に整形外科に有効なものであり、骨や関節の構造に補綴具を固定して、強度や剛性を高めたり、動き具合を改善する。全股関節形成術(THA)においては、股関節を補綴具と交換して、補綴具を大腿骨の随管に配置するために骨セメントを使用する。
代表的に、骨セメントは、混合カートリッジの中で準備される。混合カートリッジは、近位端と遠位端とを有するシリンダを備え、両端部間には混合チャンバが延びている。混合カートリッジはさらに、シリンダの近位端を塞ぐキャップと、シリンダの遠位端に配置されたピストンとを備え、混合チャンバはさらに、キャップとピストンとの間に形成される。ピストンは、コッターピンを用いて、シリンダ内のロック位置に解放可能に固定される。混合チャンバの中で、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合するため、キャップは混合装置つまり混合軸とブレードとを支持している。
【0004】
いったん骨セメントが混合されたならば、混合カートリッジを送出ガンに挿入して、骨セメントを吐出すべく準備する。このために、混合軸を取り外し、キャップにノズルを取り付けて、骨セメントの吐出箇所を提供する。同時に、コッターピンを引き抜いて、シリンダにおける遠位端であるロック位置から、ピストンを解放する。これによって、骨セメントをノズルから吐出すべく、送出ガンによって、混合チャンバを通してピストンを動かすことが可能になる。ピストンを固定及び解放するための代替的な解決手段については、Lidgrenらによる、米国特許第5,328,262号に開示されている。
【0005】
Lidgrenらによれば、ピストンは、シリンダの遠位端であるロック位置に解放可能に固定すべく、フランジの形態である把持部分が用いられ、かかる部分はシリンダ内周の一部分に沿ってだけ延在している。Lidgrenらによるピストンは、フランジの後方へ突出した外向きの唇部の形態である、対応する把持部分を備えている。唇部は、ピストンの外面と共に溝を形成して、フランジを受け入れる。ピストンをロック位置から解放するには、溝を介してフランジを回転させて、フランジが唇部を越えさせる。Lidgrenらは、ユーザが、ピストンをロック状態から解放すべく、ピストンに対してシリンダを回転させるとき、ピストンが回転しないように固定するのに用いる基台を開示している。この方法によって、ピストンをロック状態から解放することは、コッターピンを引き抜くのと同様に、追加的な作業をユーザに強いる。
【0006】
いったん、ピストンがロック状態から解放されたならば、混合カートリッジは、送出ガンに挿入される。代表的な送出ガンにおいては、ラム円板がピストンに係合して、ピストンを混合チャンバに通して押し込んで、骨セメントをノズルから吐出させる。送出ガンは、混合カートリッジを支えるクレードルと、ラム円板に係合してピストンを押し込むべくラム円板を前進させる駆動ロッドを支えてなる、ケーシングとを備えている。駆動ロッドは、複数の歯と、歯に係合して駆動ロッドを前進させる爪部材とを備えている。トリガは、爪部材を支持していて、ケーシングはトリガを回転可能に支える。ケーシングに対してトリガを動作させると、爪部材が歯に突き当たって、駆動ロッドを前進させる。
そうした送出ガンの一例は、Nicによる米国特許第5,431,654号に開示されている。Nicによる‘654号特許においては、爪部材を用いて、駆動ロッドとラム円板とを独立的に前進させている。爪部材は、駆動ロッドに対して、高速/弱力と、低速/強力との前進を提供する。スイッチを用いて速度を選択することができる。高速が選択されると、双方の爪部材が駆動ロッドに係合するが、高速用の爪部材だけが実際には駆動ロッドを前進させる。低速が選択されると、高速用の爪部材は歯から隔離されて、低速用の爪部材だけが歯に係合して駆動ロッドを前進させる。しかしながら、Nicの特許では、トリガが直接、各爪部材を支持しているために、駆動ロッドとラム円板を前進させる機械的な利益は少ない。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,328,262号
【特許文献2】米国特許第5,431,654号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れて、医療用に混合するための混合カートリッジである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
混合カートリッジは、近位端と遠位端とを有するシリンダを備え、両端部間には混合チャンバが形成される。シリンダは、シリンダの長手軸線を中心として両端部間に延在するシリンダ壁を備えている。ピストンはシリンダの遠位端に配置され、近位端とピストンとの間には混合チャンバがさらに形成される。ピストンにはロック部材が結合されて、ピストンを遠位端にロックする。ロック部材には、シリンダ壁に設けられた雌部分と係合すべき雄部分が備えられていて、ピストンはシリンダの遠位端であるロック位置に配置される。ロック部材は、雄部分を雌部分に係合させるべく付勢する、弾性部分を備えている。骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する間には、ピストンはシリンダにおける遠位端であるロック位置に維持される。
【0010】
混合カートリッジのひとつの利点は、ピストンを遠位端にロックするために用いられるロック部材を、便利に位置決めできることである。雌部分に対して雄部分が係合するように弾性部分を用いて付勢することによって、ユーザの手作業によって又は弾性部分の付勢に抗する機械的作用によって、雄部分と雌部分とを係脱させて、容易にピストンをロック状態から解放することができる。
また、骨セメントが準備されたとき、カートリッジから骨セメントを吐出するための送出ガンも提供される。送出ガンは、カートリッジを支持するためのケーシングを備える。駆動機構は、ケーシングによって支えられ、カートリッジから骨セメントを押し出すべく、ケーシングに対して前進可能になっている。ケーシングは、駆動機構に結合されてなるトリガをピボット支持していて、トリガが操作されると、駆動機構は前進して、カートリッジから骨セメントが押し出される。リンク装置は、駆動機構を前進させるべく、トリガと連係して働く。リンク装置は、ケーシングにピボット結合された第1のリンクと、第1のリンクとトリガとを相互結合する第2のリンクとを備え、トリガを動作させると、第2のリンクと第1のリンクとが、駆動機構を前進させる。
【0011】
送出ガンの利点は、リンク装置を用いることで、駆動機構を前進させるために必要な機械的な利益を向上させて、送出ガンを使用するユーザの疲労を最小にしつつ、カートリッジから骨セメントを押し出すことである。
ひとつの観点による送出ガンにおいては、駆動機構は、駆動ロッドと、駆動ロッドを前進させるための把持板とを備える。把持板は、駆動ロッドに摩擦係合して、トリガが操作されたときに駆動ロッドを前進させる。ひとつの実施形態においては、把持板は、隣接する把持板同士を整列させるためのペグと切欠とを備える。他の実施形態においては、把持板は、潤滑性を高め、耐腐食性を高めている。
【0012】
別の観点による送出ガンにおいては、駆動機構は、駆動ロッドと、駆動ロッドを前進させるための第1及び第2の爪部材とを備えている。ひとつの実施形態では、第2の爪部材は、駆動ロッドを高速前進させる場合には駆動ロッドに係合し、低速前進させる場合には係合状態から離れる。低速前進の場合には、第1の爪部材だけが、駆動ロッドを進めるために歯と係合する。高速前進の場合には、双方の爪部材が係合するけれども、第2の爪部材だけが駆動ロッドを進めるために働く。
また、骨セメントの混合及び送出システムが提供される。混合及び送出システムは、カートリッジと送出ガンとを備える。本発明のかかる観点においては、ロック部材は解放ボタンを備えていて、ピストンをロック状態から解放する。同時に、送出ガンは、駆動機構に統合された解放機構を備え、解放ボタンと係合する。送出ガンのクレードルにカートリッジを配置して、駆動機構を前進させると、解放機構は解放ボタンに係合して、ピストンをロック状態から解放する。この構成によれば、代表的にピストンの解放に関連する、操作段階の数を少なくすることができる。駆動機構に解放機構を組み込むことによって、駆動機構が前進することで、ピストンは自動的に解放される。
【0013】
また、骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れるための、骨セメントのローディング・システムが提供される。ローディング・システムは、遠位端にピストンをロックされてなるシリンダを備える。シリンダの遠位端を受け入れて固定するため、キャビティの設けられた基部が提供される。漏斗を、シリンダの近位端に対して結合し、骨セメントの粉末成分を混合チャンバの中へ案内する。漏斗の近位端は、骨セメントの粉末成分を混合チャンバの中へ容易に移せるように、楕円卵形の周辺部を有していて、遠位端は、丸い周囲をもっていて、シリンダの近位端にぴったりと取り付けられる。このローディング・システムにおけるひとつの特有の利点は、楕円卵形である漏斗を用いることである。漏斗の形状によって、混合チャンバを粉末で満たす作業に関連した混乱を解消する。
また、混合カートリッジと混合軸とブレードとから構成されてなる骨セメント混合システムが提供される。ブレードは、混合軸に結合され、混合チャンバの中に配置されて、長手軸線を中心として混合軸と共に回転し、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する。ブレードは、混合軸に結合された中心ハブと、中心ハブから延びたアウターリングとを備える。アウターリングは、長手軸線に対して20〜70度の鋭角をなし、骨セメントを確実に適切に混合できるようになっている。
【0014】
混合チャンバの中で、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合するための方法も提供される。方法においては、混合チャンバから外部へ延びた混合軸の部分を回転動力工具に結合させて、かかる回転動力工具を用いることで、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する。ブレードは、混合チャンバの内部に配置され、混合チャンバから外部へ延びた混合軸の部分に結合される。この方法では、最初に、混合チャンバから外部へ延びた混合軸の部分に、回転動力工具に結合させる。そして、回転動力工具を動作させて、ブレードを回転させ、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する。同時に、回転動力工具を混合カートリッジに対して変位させて、骨セメントの液体成分及び粉末成分を完全に混合させる。混合が完了したならば、混合チャンバの外部へ延びた混合軸の部分とブレードとの間の結合を取り外す。
【0015】
本発明の利益については、以下の詳細な説明に添付図面を関連付けることで、容易により良く理解できるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
添付図面は、骨セメントの混合及び送出システムを示していて、図面において、同一又は対応する参照符号は、同一又は類似する要素を示している。骨セメントの混合及び送出システムは、骨セメントを組成する液体モノマー成分と粉末ポリマー成分とを受け入れて混合するための混合カートリッジ100と、成分を混合するための混合装置(混合軸150及びブレード152)と、混合カートリッジ100から解剖学的部位(図示せず)へと骨セメントを吐出するための例えば送出ガン500などの送出装置とから構成されている。骨セメントを用いて、関節構造と置き換えられた補綴具を固定する例示的な使用としては、全股関節形成術(THA)などがある。
【0017】
図1及び図2を参照すると、骨セメント混合システムは、混合カートリッジ100と、混合軸150とブレード152とを組み合わせて用いて、混合カートリッジ100の中で骨セメントの成分を混合させる。混合カートリッジ100は、近位端104と遠位端106を備えている。混合チャンバ108は、両端部104及び106の間に形成される。シリンダ102は、その長手軸線を中心として、両端部104及び106の間に延在してなるシリンダ壁110を備える。シリンダ102の近位端104にはキャップ112が結合され、シリンダ102の遠位端106の内部にはピストン114が配置されていて、混合チャンバ108は、キャップ112とピストン114との間に形成される。骨セメントの成分は、混合チャンバ108の中に入れられて、混合軸150及びブレード152によって混合されるが、これについては詳しく後述する。
【0018】
好ましい実施形態においては、シリンダ102は、シリンダ壁110における近位端104に、ロック片116を配置されて有していて、このロック片は、キャップ112に設けられたロック溝118に挿入される。それぞれのロック片116は、長手軸線Lに対して垂直に設けられた直線的部分と、直線的部分に対して斜めに設けられた傾斜部分とを備えている。ロック片116とロック溝118とは、逆にしても良く、つまり、ロック片116をキャップ112に設けて、ロック溝118をシリンダ壁110に形成しても良いことは理解されるだろう。ロック片116とロック溝118とは、キャップ112をシリンダ102に対して1/4回転させるだけで、迅速にシリンダ102にロックできるように構成されている。キャップ112をシリンダ102に結合するには、ネジ嵌合やスナップ固定など、様々な方法を利用可能であることを当業者は認識するだろう。シリンダ102の近位端104には、溝120が形成され、Oリングシール122が嵌め付けられる。Oリングシール122は、シリンダ102にキャップ112を密封する助けになる。
【0019】
図3及び図4を参照すると、キャップ112は、半径方向内方に突出してなる斜面124を備え、該斜面はロック溝118につながっていて、ロック片116をシリンダ壁110に容易に取り付けられるようになっている。まず最初に、キャップ112をシリンダ102に配置するときには、ロック片116は、斜面124の間に配置させる。キャップ112を回転させると、斜面124は、ロック片116に対して近位側においてカム係合し、シリンダ102の近位端104が、図4に示す如く、キャップ112に対して密封関係になるように促す(図4では、説明目的のために、シリンダ壁110については、その一部分だけを、ロック片116と併せて図示している。)。好ましい実施形態においては、4つのロック片116と4つのロック溝118とが設けられ、キャップ112とシリンダ102との間を容易に密封関係にする。
【0020】
特に図4を参照すると、キャップ112のオリフィス130の内部において、Oリングシール126と動的シール128とが協働して、混合軸150を可動に支持し、かつ密封する。混合軸150は、オリフィス130及び動的シール128を通って摺動し、その中に可動に支持されている。動的シール128によれば、混合軸150は混合チャンバ108の内部において、回転と共に軸線方向に、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合すべく、ほぼ無摩擦的に動くことができ、また、オリフィス130の内部にぴったりと嵌められる。キャップ112の内側には、フィルタ132及びライナー134が配置され、真空ポート136を介して混合チャンバ108の内部を真空に吸引できるようにしている。真空ポート136は、フィルタ132とライナー134とによって、混合チャンバ108から隔離されているため、真空ポンプ(図示せず)が汚染されることは防がれる。図5〜図6を参照すると、図示の真空チューブ138は、真空ポート136に取り付けられて、混合中の混合チャンバ108を真空吸引するようになっている。
【0021】
図7を参照すると、骨セメントの混合に用いるための、好ましいブレード152を示している。ブレード152は、プラスチックから一体的な一部品として形成され、中心ハブ156にはベーン158を介してアウターリング154が結合されている。中心ハブ156には半径方向内方へ耳部160が突出していて、混合軸150に対して着脱可能に結合できる。着脱可能な結合については詳しくは後述する。図7Aを参照すると、アウターリング154は、シリンダ102の(またブレード152の回転混合軸線でもある)長手軸線Lに対して鋭角をなしている。骨セメントを効率的に混合するためには、鋭角であることは重要である。鋭角は好ましくは、20〜70度であって、さらに好ましくは60度である。ブレード152は、適切な混合を確保できるように、1/4インチを越える有効高さHを有する。好ましくは、ブレード152の有効高さHは、約1/2インチである。
【0022】
再び図7を参照すると、アウターリング154には、半径方向内方へ向けて突出した、2本の指部157が取り付けられている。片方の指部157は、第1の平面上において半径方向内方へ突起していて、他方の指部157は、第1の平面とは間隔を隔てて平行をなす、第2の平面上において半径方向内方へ突起している。中心ハブ156は、2つの平面の間に配置される。指部157は、完全な混合を確保すべく、混合チャンバ108の近位側及び遠位側の領域をかき落とすために使用される。アウターリング154には、突出ノード159も取り付けられている。ノード159は、ブレード152とシリンダ壁110の内周との間隔を制御すべく、混合チャンバ108の内部において、シリンダ壁110の内周に沿ってこすり付けられる。
【0023】
図8及び図8Aは、骨セメントを混合するために使用可能な、変形例としてのブレード252,352を示している。各ブレード152,252,352は、混合チャンバ108の内部においてブレード152,252,352が混合軸150から解放された後には、キャップ112に隣接した、シリンダ102の近位端104にて、平坦化されるようにデザインされている。これにより、可能な最大量の骨セメントを、確実に混合カートリッジ100から吐出させることができる。好ましいブレード152の場合には、ブレード152は可撓性であるので、アウターリング154は、図7Aにおいて破線にて示す如く、長手軸線Lに対して垂直であって、中心ハブ156によって占められている平面にて平坦になる。従って、有効高さHは小さくなって、鋭角αは90度に近くなる。これはベーン158が捩れることによって達成される。中心ハブ156,256,356に形成された空間155,255,355は、いったんブレード152,252,352が平坦化されたならば、混合カートリッジ100から吐出されるときに骨セメントがブレード152,252,352を通り抜けられることを確保する。骨セメントがさらに容易に、ブレード152,252,352を通って吐出されるように、それぞれの中心ハブ156,256,356のサイズは、キャップ112に形成された開口130に途中まで嵌合するようになっている。
【0024】
図9には、さらに別の代替的なブレード452を示している。このブレード452は比較的厚い円板452になっていて、面取りされた端部453は、側壁457に対して鋭角である面取り角度をなしている。面取り角度は好ましくは、60度である。好ましい実施形態において、円板は約1/2インチの厚みであり、シリンダ壁110の内周に比べて、約1/8インチ小さな直径になっている。ひとつの実施形態においては、シリンダ壁110の内周は、約2.25インチの直径になっている。理解できるだろうが、円板452の側壁457と、シリンダ壁110の内周との間にわずかな距離があるために、混合チャンバ108の内部にて、円板452を回転させながら軸線方向に動かせば、骨セメントには剪断力が発生する。剪断力は、骨セメントに作用して、骨セメントを混合させる。また、このブレード452は、円板452の中心に形成された空間455と耳部460を備え、混合軸150に対して着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0025】
図10〜図13を参照すると、混合軸150は、骨セメントの混合が完了した後に、混合軸150からブレード152を取り外すための解放ラッチ162を有している。解放ラッチ162は、保持状態と解放状態との間にて動かされる。保持状態においては、混合チャンバ108の中で骨セメントを混合するために、ブレード152は混合軸150に固定される。解放状態においては、ブレード152は混合軸150から解放されて混合チャンバ108の中に取り残され、他方、混合軸150はキャップ112から取り除かれて、ノズル204のために通路を譲るが、これについては詳しくは後述する。解放ラッチ162はラッチロッド164に結合されていて、保持状態においては、ブレード152を混合軸150に対してラッチ固定する。ラッチロッド164には、解放ラッチ162の先割れ足部168をスナップ嵌合式に受け入れるべく、分割キャビティ166が形成されている。ラッチロッド164は、混合軸150の内部に回転可能に支持される。
【0026】
図14A〜図14Cを参照すると、解放ラッチ162を保持状態から解放状態へと変化させる様子が示されている。まず図14Cを参照すると、ラッチロッド164における露出した部分は、略“T”字形になっている混合軸150において、対応する端部172には、ブレード152の中心ハブ156に設けられた耳部160を受け入れるべく適合してなる、対向する切欠174が設けられている。まず、切欠174の中に耳部160を配置し、耳部160の上に、露出した端部170を重ねることで、ブレード152は混合軸150に保持される。図14Aを参照されたい。ブレード152を解放するには、解放ラッチ162を押し込んで回転させる。解放ラッチ162を回転させると、混合軸150に対してラッチロッド164は回転し、従って、露出した端部170は回転して耳部160から離れ、ブレード152を解放する。図14Bを参照されたい。ブレード152が解放されたならば、混合軸150をキャップ112から引き抜かれるが、一方、ブレード152は混合チャンバ108の中に取り残される。
【0027】
混合軸150の近位端176は、混合中に、混合チャンバ108の外部へ延びている混合軸150における部分であるが、リーマドリルなどの回転動力工具(図37参照)に係合すべく適合していて、混合軸150及びブレード152を回転させるのにかかる回転動力工具を用いて、骨セメントを混合させる。混合軸150における近位端176は、機能的に見ればブレード152に結合されていて、回転動力工具177の回転をブレード152へと伝達する。混合軸150からブレード152を解放することで、かかる機能的な結合を取り外すことができる。また、変形例による実施形態にあっては、混合チャンバ108の外部へ延びている混合軸150における部分が、混合チャンバ108の内部にある混合軸150の残余の部分から断ち切られた場合にも機能的な結合は取り外される。また、別の実施形態においては、手動操作される混合ハンドル(図示せず)を、混合軸150の近位端176に係合させて、骨セメントを混合しても良い。
【0028】
図15〜図16を参照すると、ピストン114はシリンダ102の遠位端106の内部に配置され、混合チャンバ108をさらに密封する。ピストン114は、シリンダ壁110の内周に延在するように、スカート178を有している。また、ピストン114は、近位端180と遠位端182を備え、キャビティ184を形成している。
特に図16を参照すると、ピストン114は、ロック部材186を介して、シリンダ102の遠位端106であるロック位置に、解放可能に固定される。ロック部材186は、キャビティ184の内部に配置されていて、シリンダ壁110に設けられてなる直径上の反対側にあるスロット190の中に、直径上の反対側にあるロックタブ188が嵌入することで、ピストン114をシリンダ102に固定している。スロット190は、ロックタブ188などの対応する雄部分に対してインターロックするために使用される、例えば溝孔、溝、チャンネルなど、あらゆる適当な雌部分の形態で良いことを認識されたい。さらに、図16に示した実施形態においては、双方向のロックつまり近位方向と遠位方向とへのピストン114の動きをロックするものを例示しているけれども、ロック部材186は、一方向つまりピストン114が近位方向へ動くことだけを防ぐものでも良い。
【0029】
ロック部材186は、プラスチックを用いて一体的に成形されていて、ロック部材186における弾性部分192は、ロックタブ188を、スロット190の長手軸線Lに対して、放射方向外方へ付勢する。弾性部分192は、薄い弾性リボン状の形態になっていて、バネの如く作用するもので、ロックタブ188同士の間に、曲がりくねった形態にて延在している。ロックタブ188は、スカート178に形成された支持スロット194にロック部材186を突出させて、ピストン114に結合される。好ましい実施形態においては、各支持スロット194の中へ段差196が嵌入していて、各ロックタブ188に形成されたチャンネル198内における摺動係合のための案内を形成している。ロック状態においては、支持スロット194は、シリンダ壁110に形成されたスロット190に対して、軸線方向及び半径方向に整列される。
【0030】
混合カートリッジ100に液体成分及び粉末成分が投入されて混合されるときには、ピストン114は、シリンダ102の遠位端106にロックされる。骨セメントの混合が完了した後には、ピストン114はロック状態から解放される。解放ボタン200は、ロックタブ188と一体的に形成されていて、ピストン114をロック状態から解放するために用いられる。解放ボタン200は、ロックタブ188上に配置されていて、遠位方向へ突設されている。各解放ボタン200は、長手軸線に対して鋭角をなすように、カム面202が形成されている。ピストン114をロック状態から解放するには、弾性部分192の付勢力に抗して、解放ボタン200を放射方向内方へ向けて絞り込み、ロックタブ188をスロット190から引き抜くようにする。この動作は、後述の如く、手作業にて又は機械的に実行される。スロット190から解放した後には、ロックタブ188は、支持スロット194の内部にて、ピストン114に結合されたままに取り残される。
【0031】
図17〜図18を参照すると、変形例によるロック部材386が示されている。変形例によるロック部材386におけるロックタブ388は、シリンダ302の長手軸線Lに対して放射方向外方へ付勢されていて、シリンダ壁310に設けられたスロット390に係合する。この実施形態では、シリンダ壁310に4つのスロット390が形成されて、ロックタブ388を受け入れる。弾性部分392はさらに、ピストン314に各ロックタブ388を弾性的に支持する弾性基部392として形成され、各ロックタブ388は、ピストン314のスカート378から放射方向外方へ付勢されて、シリンダ壁310に設けられたスロット390に係合する。解放ボタン400はさらに、シリンダ302の長手軸線Lに対して放射方向内方へ延びる指部400として形成され、指部400に係合することでロックタブ388を放射方向内方へ促して、シリンダ壁310のスロット390からロックタブ388を引き抜いて、ピストン314をロック状態から解放するようになっている。
【0032】
図19〜図23を参照すると、いったん骨セメントを混合したならば、混合軸150をキャップ112から引き抜いて、キャップ112にノズル204を取り付ける。本実施形態においては、ノズル204を所定位置に取り付けるには、ノズル204の中空シャフト205を、キャップ112のオリフィス130の中へ押し込んでから、ノズル204を若干、約1/4回転ほど捩るようにする。ノズル204をキャップ112に取り付けられたならば、混合カートリッジ100は送出ガン500に装着される準備は出来たことになる。
キャップ112は、その外面208から突設されたニップル206を有している。ニップル206に設けられたタブ210は、ノズル204内に設けられた止め部材212に係合する。ノズル204を所定位置にまで完全に回転させると、タブ210は止め部材212に完全に係合して、止め部材212の近位側に配置された状態になって、ノズル204を所定位置にしっかり固定する。キャップ112に設けられたストッパ214は、図19に良く示されているように、タブ210が止め部材212に係合した後、ノズル204が時計まわり方向へ自由に回転することを防ぐ。ストッパ214は、片方のタブ210から下方へ延びていて、止め部材212のひとつの側面に当接することで、時計まわり方向にさらに回転することを防いでいる。
【0033】
ノズル204とキャップ112とは、第1のロック突起218と第2のロック突起220とを有している。第1のロック突起218は、止め具として作用し、第2のロック突起220の上を滑って、図21に示したロック状態になる。この状態においては、ロック突起218,220における平坦背面部222,224が互いに当接し合うことで、ノズル204が反対方向へ回転することを防ぎ、もってノズル204がキャップ112から外れることを防いでいる。ノズル204を取り外す場合には、ノズル204の外側スカート226を反らせて、ノズル204を反時計まわりに回転させれば、ロック突起218,220を係脱させることができる。ノズル204とキャップ112とは共にプラスチックから作られているので、ノズル204はキャップ112に容易に止め具式にロック及びアンロックできる。
【0034】
ノズル204を取り付けられたならば、混合カートリッジ100を送出ガン500に装着される準備は出来た。図24を参照すると、本発明による送出ガン500は、混合カートリッジ100を支持するクレードル502と、駆動機構506を支持すべくクレードルに固定されたケーシング504と、リンク装置508と、対応する構成要素とを備えている。クレードル502は、ノズル204を受け入れるための開口512を有してなる、端板510を備えている。端板510は、混合カートリッジ100をクレードル502内における所定位置に保持する。好ましい実施形態においては、ケーシング504と端板510とは、送出ガン500を軽量化するため、(混合カートリッジ100の両側に1本ずつの)2本の結合棒514を介して結合されている。ハンドル516は、ケーシング504と一体的に形成されていて、使用時に送出ガン500を操作する部分である。
混合カートリッジ100から骨セメントを吐出させるには、まず最初に、ピストン114をロック状態から解放しなければならない。図25を参照すると、この手順は、送出ガン500に統合されている解放機構518を用いて行われる。混合カートリッジ100をクレードル502の所定位置に装着すると、ラム円板520が、ピストン114の遠位端182に設けられたキャビティ184の中へ突出する。解放機構518は、ラム円板520と統合されている。解放機構518は、長手軸線Lに対して鋭角を形成してなるベアリング面522を備え、解放ボタン200を放射方向内方へカム動作させるべく、解放ボタン200を捕らえる。より詳しくは、解放ボタン200におけるカム面202は、ベアリング面522に沿って摺動しながら、放射方向内方へのカム動作を行う。この動作によって、ロックタブ188は放射方向内方へ引っ張られ、ロックタブ188はシリンダ壁110に設けられたスロット190から引き抜かれ、ピストン114をロック状態から解放する(変形例によるピストン314が使用される場合には、ラム円板は平坦であるベアリング面を有していて、指部400を軸線方向近位側に押圧し、各弾性基部392を内方へ屈曲させて、ロックタブ388を放射方向内方へ動かすことになる。)。センタリングピン800を用いて、ピストン114のセンタリングキャビティ802に対してラム円板520を中心合わせすることで、ピストン114が容易にロック状態から解放されるようにしている。
【0035】
再び図24を参照すると、ピストン114が解放されたならば、ピストン114は、駆動機構506によって混合チャンバ108を通して押し込まれ、骨セメントはノズル204から押し出される。駆動機構506は、ブッシング526を介してケーシング504の内部に支持されてなる駆動ロッド524を備えている。ラム円板520は、駆動ロッド524に固定されている。駆動機構506はさらに、トリガ530が操作されたとき、リンク装置508を動かすための第1の把持板528を備えている。第1の把持板528には、駆動ロッド524を取り囲むように開口が形成されている。第1の把持板528は、駆動ロッド524に対して摩擦的に係合して、駆動ロッド524を前進させる。トリガ530が操作されると、第1の把持板528は、駆動ロッド524に対して摩擦的に接触したまま、リンク装置508によって前方へ押し出される。従って、第1の把持板528は、駆動ロッド524及びラム円板520をケーシング504に対して前進させ、ピストン114を駆動し、骨セメントを混合カートリッジ100から押し出させる。トリガ530は、ケーシング504にピボット支持され、駆動機構506に結合されていて、トリガ530が操作されると駆動機構506を前進させるようになっている。
【0036】
リンク装置508に設けられた第1のリンク532は、第1の把持板528に隣接しているピボット軸Aを介して、ケーシング504にピボット支持されている。第1のリンク532は、第1のリンク532がピボット軸Aを中心としてピボットすると、第1の把持板528に係合するようになっている。第2のリンク536は、支持ピン538,540を介して、トリガ530を第1のリンク532にピボット式に相互に連結している。リンク532,536とトリガ530とは、相互に連結されていて、トリガ530が第2のピボット軸Bを中心として回転すると、これに同調して動く。トリガ530が引かれると、第2のリンク536がピボット軸Aを中心に第1のリンク532を回転させるが、これには第1の把持板528が係合しているため、第1の把持板528は前方へと押し出され、ここで、第1の把持板528は駆動ロッド524に摩擦係合しているので、駆動ロッド524を前進させることになる。トリガ530が解放されると、戻りバネ542が、リンク532,536及びトリガ530を初期状態へと復帰させる。同時に、第1のバネ534が一瞬、駆動ロッド524から第1の把持板528を係脱させ、第1の把持板528を初期状態へと摺動復帰させて、次回のトリガ530操作を待ち受ける。ケーシング504は、第1のリンク532とトリガ530とを、ピボット軸A及びBを中心として、支持ピン544,546を介して、ピボット支持している。
【0037】
速度変更リンク548は、支持ピン549を中心として、第2のリンク536にピボット結合されている。速度変更リンク548は、スイッチ550によって、選択的にピボットして、第1の把持板528に係合し、または、係脱する。速度変更リンク548は、支持ピン549を中心として、高速位置と低速位置との間においてピボットする(図24は低速位置を示している。)。高速位置は、小さな力で駆動ロッド524を迅速に前進させる位置である。これにより、ユーザは、駆動ロッド524を迅速に前進させ、ピストン114を駆動して、低圧で多量の骨セメントを吐出させることができる。低速位置は、大きな力で駆動ロッド524をゆっくりと前進させる位置であり、骨セメントを加圧すべく、ピストン114には強い力が作用する。
【0038】
第1の把持板528と速度変更リンク548とは相補的に、第1及び第2の結合装置552,554を備え、高速位置においては、これらを用いて、第1の把持板528を速度変更リンク548に結合させる。より詳しくは、図24に示した実施形態においては、第1の把持板528は肩部552を備え、この部分は、速度変更リンク548に設けられたチャンネル554の中に受け入れられる。高速位置においては、速度変更リンク548は肩部552に係合する。高速位置においては、ユーザによる握力は、トリガ530から第2のリンク536及び速度変更リンク548へと伝達し、第1の把持板528に係合して、駆動ロッド524を前進させる。速度変更リンク548は、低速位置においては、第1の把持板528から隔離される。低速位置は、速度変更リンク548が切り換えられ又は肩部552から係脱した状態に対応する。低速位置においては、ユーザによる握力は、トリガ530から第1のリンク532及び第2のリンク536の両方を介して伝達され、第1の把持板528に係合して、駆動ロッド524を前進させる。駆動ロッド524に得られる速度は遅くなるが、高速位置に比べて、はるかに大きな機械的利益が得られる。その結果、ユーザは、注入中に、骨セメントをより良く加圧することができる。
【0039】
ピボット軸A及びBと、リンク532,536,548とは、駆動ロッド524の上方に配置され、一方、トリガ530は駆動ロッド524の下方へと延びている。トリガ530にチャンネル556を形成することで、この構成が容易になる。この構成には、いくつかの利点がある。第2のピボット軸Bをユーザの手から遠ざけることで、人差し指と薬指をうまく使えるようになって、トリガ530を操作するのに、これらの指を大きく動かすことができる。また、この構成によれば、ハンドル516を駆動ロッド524に対して、より近づけることができ、ユーザが送出ガン500を前方へ押し出してセメントを加圧するとき、手首の張りを抑制できると考えられる。別の利益としては、より流線型であるケーシングデザインと、より良い重量配分が得られることである。
【0040】
図24に示したひとつの実施形態においては、駆動ロッド524のまわりには、第1の把持板528に隣接するように、二次的な把持板562が取り付けられる。1又は複数の二次的な把持板562を第1の把持板528に追加することによって、送出ガン500の強度が高まり、しかも適切な動作が得られる。2以上の把持板528,562を用いることで、性能に悪影響をもたらすことなく、駆動ロッド524に対する接触摩擦を高めることができる。
解放ピン558は、ユーザが手で駆動ロッド524を自由に動かせるようにすべく、把持板528,562を係脱させる。解放ピン558は、リテーナプレート560に結合されて、第1の把持板528に係合すべく適合している。ユーザがリテーナプレート560を押すと、解放ピン558は第1の把持板528に係合し、第1のバネ534の付勢に抗して第1の把持板528を押し込んで立て直し、もって駆動ロッド524を解放する。二次的な把持板562も同様に動作する。理解できるだろうが、リテーナプレート560を押すと、リテーナプレート560それ自体も、駆動ロッド524に対する係合から解放される。リテーナプレート560と把持板528,562との両方が解放されると、駆動ロッド524は自由に動けるようになる。これによって、ユーザは手動で、ケーシング504に対して、駆動ロッド524を動かすことができる。
【0041】
送出ガン500は、あまたの骨セメントガンの中でも、独特であって、摩擦板機構を用いることで、把持板528,562の摩耗や変形に対処できる。開示した実施形態においては、把持板528,562は、第1のバネ534によって傾斜して、駆動ロッド524に対して摩擦接触する。把持板528,562や、駆動ロッド524、又は駆動ロッド524の摩耗又は変形の大きさにかかわらず、把持板528,562をさらに大きく傾ける必要なしに、トリガ530の操作時に駆動ロッド524に係合できる。従って、トリガ530の動作全域にわたって、駆動ロッド524を前進させることができ、送出ガン500の寿命が尽きるまで、効率が維持される。
【0042】
図24A及び図24Bを参照すると、変形例によるリンク装置508’及び508”が示されている。これらの変形例において、図24の実施形態と同一の部材には、対応する符号を付している。図24Aに示したリンク装置508’の構成においては、リンク装置508’が駆動ロッド524’の下方に配置されている。さらに、本実施形態においては、速度変更リンク548’は第1の把持板528’にピボット結合され、フック形状である端部を備えていて、高速位置にあっては支持ピン538’に係合する一方、低速位置にあっては支持ピン538’から係脱される。図24Bに示したリンク装置508”の構成においては、第1の把持板528”は、リンク装置508”によって押し込む点において、リンク装置508及び508’を引っ張っていた図24及び図24Aの実施形態とは異なっている。ここで、速度変更リンク548”は、第1の把持板528”にピボット結合されていて、これがピボットすることで、高速位置にあっては、トリガ530”に形成された切欠555”に係合し、低速位置にあっては、切欠555”から係脱する。これらの変形例によるリンク装置508’及び508”は、本発明のリンク装置によるならば、機械的利点の選択など、デザインの自由性が得られることを例示している。
【0043】
図26〜図27を参照すると、変形例の実施形態による駆動機構606とリンク装置608とが示されている(例示目的のため、駆動機構606とリンク装置608との一部分のみを図示している。)。この実施形態では、リンク装置608は、改良された第1のリンク632及び把持板628,662に併せ、前述した実施形態と同様な構成要素を備えている。本実施形態においては、駆動ロッド624に沿って複数の二次的な把持板662が整列され、第1の把持板628に隣接している。第1のリンク632には雌凹部664が形成され、第1の把持板628は雄部材668を備えて、雌凹部664に嵌入するようになっている。二次的な把持板662は、切欠670とペグ672とが合致することによって、第1の把持板628に対して整列される。切欠670とペグ672とは同一形状になっていて、互いに嵌合して整列状態を保つ。この構成においては、スリップや不均一摩耗の原因となる、アライメント変化を最小にできる。また、この構成では、把持板628,662とケーシング504の内壁とが接することが少なくなる。図26において、把持板628,662は、間隔を隔てて図示しているが、これは単に説明のためである。実際には、把持板628,662は互いに当接して、図27に示した状態になる。
【0044】
この実施形態においては、把持板628,662のそれぞれに、対をなす半球形の溝部674が形成されている。図26には、各把持板628,662について、対をなす第1の溝部674だけが示されている。対をなす他方の溝部674は、各把持板628,662の背面に配置され、対における第1の溝部674に対して対角線上にある。これらの溝部674は、駆動ロッド624に対する接触摩擦を高める。把持板628,662が駆動ロッド624に摩擦接触した状態において、第1のリンク632を介して、前方へ押し出されると、各溝部674に形成されたリム676の実質的部分は、駆動ロッド624に対して摩擦接触する。
【0045】
図27を参照すると、送出ガン500を加圧殺菌した場合、把持板628,662は、トリガ630を放した初期状態を越えて、駆動ロッド624に固まり付き易い傾向がある。この状況においては、第1のバネ634は、駆動ロッド624から把持板628,662を係脱させるのに充分な力を発生できないので、把持板628,662は、それらの初期状態には復帰しない。図27は、これを防ぐ手段を示している。トリガ630の操作中には、第2のリンク636の一部分から下方へ突出した形態であるハンマ678が、把持板628,662のひとつに近接して追従する。トリガ630を解放したとき、いずれかの把持板628,662が適切に駆動ロッド624から係脱しない場合には、最も近い把持板628,662の切欠670にハンマ678が接触して、駆動ロッド624から把持板628,662を追い払う。そして、第1のバネ634が適切に、把持板628,662をそれらの初期状態へと復帰させる。
【0046】
図24及び図26〜図27に示した把持板528,562,628,662のそれぞれの外面にはコーティングが施されている。コーティングは、潤滑性を高め、耐腐食性を高める。これにより、把持板528,562,628,662が駆動ロッド524,624に係合するとき、摺動状態が良くなる。コーティングはまた、加圧殺菌に起因する腐食を抑制し、把持板528,562,628,662が互いに固まり付くことを防ぎ、駆動ロッド524,624に対して適切に係合させる。用いられるコーティングは、ポリテトラフルオロエチレンを用いた無電解ニッケルのコーティングか、又はその他の同一又は類似の特性のコーティングが良い。
【0047】
図28〜図31を参照すると、他の変形例の実施形態による駆動機構706及びリンク装置708が示されている。この実施形態においても、駆動ロッド724を選択的に、高速又は低速にて前進させることができる。この変形例による駆動機構706においては、駆動ロッド724に歯部780を設けることによって、把持板を省略している。図示の如く、駆動ロッド724の横断面において、平坦な上面782には歯部780が設けられ、他方、下面784は丸くて滑らかになっている。前述した実施形態にあっては、第1の把持板528,628を駆動ロッド524,624と共に前方へ動かしていた第1のリンク732は、本実施形態において、第1の爪部材786をピボット支持している。第1の爪部材786は、歯部780に対して係合状態になるように、バネ付勢されている。
第2の爪部材788は、第2のリンク736を介してピボット支持されている。第2の爪部材788はピボット可能になっていて、高速位置においては、第2の爪部材788はバネ付勢によって歯部780に係合して駆動ロッド724を前進させ、低速位置においては、第2の爪部材788は歯部780から係脱し隔離される。低速位置においては、第1の爪部材786が駆動ロッド724を前進させる。図28〜図29は、低速位置を示している。高速位置においては、第2の爪部材788は歯部780に係合し、第1の爪部材786は歯部780に対して係合したままになっているものの、歯部780に対する単なるラチェットとして働いて、第2の爪部材788が駆動ロッド724を前進させる。図30〜図31には高速位置を示している。本実施形態においても、低速位置においては、高速位置に比べて大きな機械的利益が得られる原理が当てはまる。
【0048】
スイッチ750を用いて、第2の爪部材788をピボットさせ、低速位置においては、駆動ロッド724の歯部780から係脱させ(図28〜図29参照)、高速位置においては歯部780に対して係合させる。この目的のためには、Nicによる米国特許第5,431,654号に開示されているものと類似したスイッチを使用できるので、同文献をここで参照して引用する。スイッチ750はケーシング704を延通して、その末端に設けられたボタンをユーザが操作して、第2の爪部材788を高速位置と低速位置との間にて切り換えるものである(図41〜図42参照)。このことは、前述した実施形態において、速度変更リンク548を動かしていたスイッチ550に関しても同様である。
この実施形態においては、リテーナプレート560は省略されている。その代わりに、バネ付勢された戻り止め爪部材790を介して、前進時の駆動ロッド724は所定位置に保たれる。駆動ロッド724をケーシング704に対して自由に動かすときには、駆動ロッド724を180度回転させて、爪部材786,788,790を歯部780から係脱させる。そのように回転させれば、爪部材786,788,790は、駆動ロッド724における滑らかな下面784に乗っかって、ユーザは、ケーシング704に対して駆動ロッド724を自由に引っ張ることができる。このことの概略は、Nicの’654号特許に開示されている。
【0049】
爪部材786,788,790はそれぞれ、ピンを介してピボット支持されている。Nicの’654号特許に開示されているようなバネを用いて、駆動ロッド724上の歯部780に対して爪部材を係合すべく付勢する(但し、低速位置において、バネの付勢に抗してスイッチ750を操作し、第2の爪部材788を歯部780から係脱させた場合を除く。)。
次に、図32〜図42を参照して、骨セメントの混合及び送出に関して説明する。まず、図32を参照すると、骨セメントのローディング装置が示されている。骨セメントのローディング装置は、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合チャンバ108に投入するときに、シリンダ102を支持する基部900を備える。基部は、シリンダ102の遠位端106を受け入れるためのキャビティを備える。キャビティ内には止め具903が形成されている。シリンダ102の外面には溝部905が形成されていて、止め具903を受け入れて、基部900とシリンダ102とをぴったりと固定する。止め具903をシリンダ102に形成し、基部900に溝部905を形成しても良いことを理解されたい。また、シリンダ102の遠位端106は、基部900の中に圧入しても良い。基部900は楕円卵形の形状であって、作業面上にシリンダ102を完全に支え、一方、キャビティは円形の形状であって、シリンダ102の円形形状に合致している。漏斗902は、シリンダ102に結合されて、シリンダ102に粉末を投入するための通路となる。漏斗902において、その近位端911は、粉末を混合チャンバ108の中へ容易に移せるように、楕円卵形の周辺部を有しており、また、その遠位端909は、丸い周囲をもっていて、シリンダ102における近位端104にぴったりと固定される。
【0050】
図33〜図42は、骨セメントを準備して注入するための10段階を示している。各段階において、混合カートリッジ100、送出ガン500、及びその他の構成要素については、例示目的のため、概略だけを示している。
【0051】
図33に示した段階1では、シリンダ102に漏斗902を取り付けて、混合チャンバ108の中へ粉末を投入する。
図34に示した段階2では、混合チャンバ108に粉末を入れた後、漏斗902を取り外してから、液体成分、例えば骨セメントの液体モノマーを加える。このように、本発明においては、漏斗902を濡らさないので、関連した清掃が不要になる。
図35に示した段階3では、キャップ112に混合軸150とブレード152とを支持した状態において、これをシリンダ102に取り付ける。
図36に示した段階4では、真空ポート136に真空配管138を取り付けて、液体成分及び粉末成分が入れられている混合チャンバ108の内部に対して真空引きを行う。
図37に示した段階5では、真空引きを続けながら、混合軸150に動力工具(リーマ)を結合させる。
図38に示した段階6では、真空引きを依然続けつつ、混合カートリッジ100に対して軸線方向に混合軸150を動かして、動力工具によって回転させる。図38には不図示のブレード152は、混合カートリッジ100の全域にわたって軸線方向に動かされながら回転して、液体成分及び粉末成分を確実かつ完全に混合する。
図38に示した段階7では、混合後に、解放ラッチ162を動かして、ブレード152(図39には不図示)を解放している。解放された後のブレード152は、混合チャンバ108の内部に取り残される。次に、混合カートリッジ100から混合軸150を取り外す。これで、混合作業が完了したことになる。
図40に示した段階8では、ノズル204をキャップ112に押し当てて、所定位置になるように回転させる。
図41に示した段階9では、混合カートリッジ100をクレードル502に装填する。
図42に示した段階10では、シリンダ102の遠位端106からピストン114が解放されていて、送出ガン500を用いて、混合カートリッジ100から骨セメントを吐出する準備が整っている。
【0052】
開示された実施形態に関連させた以上の説明は、単に例示的なものであることを認識されたい。当業者にあっては、開示した発明について多数の変形例を認識できるだろうし、それらは、特許請求の範囲に定められた、本発明の範囲内に含まれるものと考えられる。以上の教示に従うならば、本発明に様々な変形及び応用を行うことが可能であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、混合軸及びブレードと組み合わせられた、本発明による混合カートリッジを示した分解斜視図である。
【図2】図2は、混合軸及びブレードを内部に支持した状態における、混合カートリッジを示した組立斜視図である。
【図3】図3は、混合カートリッジのキャップを示した分解斜視図である。
【図4】図4は、図3に示したキャップと、混合カートリッジにおけるシリンダの一部分を示した横断面図であって、キャップをシリンダに取り付ける様子を示している。
【図5】図5は、キャップと、混合軸と、ブレードとを示した分解斜視図である。
【図6】図6は、キャップに混合軸とブレードとが支持されている状態を示した組立斜視図である。
【図7】図7は、ブレードを示した斜視図である。
【図7A】図7Aは、図7に示したブレードの側立面図である。
【図8】図8は、変形例によるブレードを示した斜視図である。
【図8A】図8Aは、変形例によるブレードを示した斜視図である。
【図9】図9は、変形例によるブレードを示した斜視図である。
【図10】図10は、混合軸とラッチロッドとを示した分解斜視図である。
【図11】図11は、混合軸とラッチロッドとを示した端面図である。
【図12】図12は、図10及び図11に示した混合軸とラッチロッドについての断面図である。
【図13】図13は、混合軸とラッチロッドとを結合している、解放ラッチを示した分解斜視図である。
【図14A】図14Aは、混合軸から取り外した状態におけるブレードを示している。
【図14B】図14Bは、混合軸から取り外した状態におけるブレードを示している。
【図14C】図14Cは、混合軸から取り外した状態におけるブレードを示している。
【図15】図15は、混合カートリッジにおけるピストンの部分を示した分解斜視図である。
【図16】図16は、図15のピストンを示した横断面図である。
【図17】図17は、混合カートリッジの変形例によるピストンを示した斜視図である。
【図18】図18は、図17の変形例によるピストンを示した上面図である。
【図19】図19は、キャップ及びノズルを示した分解斜視図である。
【図20】図20は、キャップ及びノズルを示した組立斜視図である。
【図21】図21は、キャップ及びノズルにおけるロック機構を示した拡大図である。
【図22】図22は、ノズルを示した斜視図である。
【図23】図23は、ノズルを示した斜視図である。
【図24】図24は、本発明による送出ガンについて、送出ガンのリンク装置を示した斜視図である。
【図24A】図24Aは、本発明における変形例としてのリンク装置を示した図である。
【図24B】図24Bは、本発明における変形例としてのリンク装置を示した図である。
【図25】図25は、ピストンを固定しているロック部材が解放される様子を示した立面図である。
【図26】図26は、代替例による送出ガンのリンク装置及び駆動機構について、それらの一部分を示した斜視図である。
【図27】図27は、図26の代替例によるリンク装置及び駆動機構について、駆動機構が固まり付くのを防ぐために用いられるハンマを示した斜視図である。
【図28】図28は、第2の代替的な実施形態による、送出ガンのリンク装置及び駆動機構について、低速状態について示した立面図である。
【図29】図29は、第2の代替的な実施形態による、リンク装置及び駆動機構について、低速状態について示した斜視図である。
【図30】図30は、第2の代替的な実施形態による、リンク装置及び駆動機構について、高速状態について示した立面図である。
【図31】図31は、第2の代替的な実施形態による、リンク装置及び駆動機構について、高速状態について示した斜視図である。
【図32】図32は、混合カートリッジのシリンダと、基部と、シリンダに骨セメントの成分を充填するのに用いられる漏斗とを示した分解斜視図である。
【図33】図33は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図34】図34は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図35】図35は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図36】図36は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図37】図37は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図38】図38は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図39】図39は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図40】図40は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図41】図41は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【図42】図42は、本発明に関連した様々な段階を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れて、医療用に混合するための混合カートリッジであって、この混合カートリッジが、
近位端と遠位端とを備え、骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れるべき混合チャンバを形成するシリンダであって、前記シリンダは、その長手軸線を中心として前記両端部間に延在するシリンダ壁を備え、前記シリンダ壁の前記遠位端には少なくともひとつの雌部分が形成されている上記シリンダと、
前記シリンダにおける前記遠位端に配設されたピストンと、
前記シリンダにおける前記遠位端であるロック位置に前記ピストンを配置すべく、前記シリンダ壁における前記少なくともひとつの雌部分に対して係合すべき少なくともひとつの雄部分を備えてなる、前記ピストンに結合されたロック部材と、を備え、
前記ロック部材は、前記シリンダ壁に設けられた前記少なくともひとつの雌部分に対して、前記少なくともひとつの雄部分を係合させるべく付勢する、弾性部分を具備していて、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する間、前記ピストンはロック状態に維持される、
ことを特徴とする混合カートリッジ。
【請求項2】
前記雌部分はさらに、少なくともひとつのスロットとして構成され、前記雄部分はさらに、少なくともひとつのロックタブとして構成され、該雄部材は、前記ロック状態において、前記長手軸線から放射方向外方へ向けて前記少なくともひとつのスロットの中へと突出していることを特徴とする請求項1に記載の混合カートリッジ。
【請求項3】
前記ピストンは、近位端と遠位端を備え、前記遠位端にはキャビティが形成されていて、前記キャビティの中に前記ロック部材が配置されることを特徴とする請求項2に記載の混合カートリッジ。
【請求項4】
前記少なくともひとつのスロットはさらに、直径上の反対側にて対をなすスロットとして構成され、前記少なくともひとつのロックタブはさらに、直径上の反対側にて対をなすロックタブとして構成され、該ロックタブは、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットの中へと、前記弾性部分の付勢によって放射方向外方へ向けて突出することを特徴とする請求項2に記載の混合カートリッジ。
【請求項5】
前記弾性部分は、前記ロックタブ同士の間にて延在していて、前記ロックタブを、前記シリンダの前記長手軸線に対して、放射方向外方へ付勢していることを特徴とする請求項4に記載の混合カートリッジ。
【請求項6】
前記弾性部分は、前記ロックタブと一体的になっていて、薄い弾性リボン状の形態にて、前記ロックタブ同士の間に延在していることを特徴とする請求項5に記載の混合カートリッジ。
【請求項7】
前記ピストンが前記ロック状態にあるとき、及び、前記ピストンが前記ロック状態から解放させたときに、前記ロックタブを受け入れて、これを軸線方向に固定すべく、前記ピストンには対をなす支持スロットが形成されていることを特徴とする請求項6に記載の混合カートリッジ。
【請求項8】
前記ピストンが前記ロック状態にあるとき、及び、前記ピストンが前記ロック状態から解放させたときに、前記支持スロットのそれぞれの途中まで延びるような段差が前記ピストンに形成されていて、前記ロックタブのそれぞれには、前記段差を受け入れるべく途中まで延びたチャンネルが形成されていることを特徴とする請求項7に記載の混合カートリッジ。
【請求項9】
前記ロック部材は、前記ピストンを前記ロック状態から解放するための、一対の解放ボタンを具備していることを特徴とする請求項4に記載の混合カートリッジ。
【請求項10】
前記解放ボタンは、前記ロックタブと一体的に形成されていて、前記解放ボタンは、前記ロックタブから遠位方向へ延びて、前記ピストンの遠位側に突出していることを特徴とする請求項9に記載の混合カートリッジ。
【請求項11】
前記解放ボタンのそれぞれには、前記シリンダの前記長手軸線に対して鋭角をなすようにカム面が形成され、前記カム面は、前記長手軸線に対する放射方向内方へ向けて前記解放ボタンにカム動作させるべく係合可能になっており、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットから前記ロックタブを引き抜いて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項10に記載の混合カートリッジ。
【請求項12】
前記少なくともひとつのスロットはさらに、複数のスロットとして構成され、前記少なくともひとつのロックタブはさらに、前記ロック状態において、前記スロットの中へと突出するような、複数のロックタブとして構成されていることを特徴とする請求項2に記載の混合カートリッジ。
【請求項13】
前記弾性部分はさらに、弾性的な基部として構成され、前記複数のロックタブのそれぞれを前記ピストンに弾性的に支持し、前記ロックタブのそれぞれを前記ピストンに対して放射方向外方へと付勢し前記シリンダ壁に設けられた前記スロットに係合させることを特徴とする請求項12に記載の混合カートリッジ。
【請求項14】
前記ロック部材は、前記ピストンを前記ロック状態から解放するための、複数の解放ボタンを具備していることを特徴とする請求項13に記載の混合カートリッジ。
【請求項15】
前記解放ボタンは、前記タブと一体的に形成されていていることを特徴とする請求項14に記載の混合カートリッジ。
【請求項16】
前記解放ボタンはさらに、前記シリンダの前記長手軸線に対して放射方向内方へ向けられた指部として構成され、前記指部は、前記ロックタブを放射方向内方へ向けて促すべく係合可能になっており、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットから前記ロックタブを引き抜いて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項15に記載の混合カートリッジ。
【請求項17】
前記シリンダにおける前記近位端に、該シリンダに封止されてなるキャップを具備していることを特徴とする請求項1に記載の混合カートリッジ。
【請求項18】
混合カートリッジから骨セメントを吐出させる解放機構を備えた送出装置と併せて使用される混合カートリッジであって、この混合カートリッジが、
近位端と遠位端とを備え、骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れるべき混合チャンバを形成するシリンダであって、前記シリンダは、その長手軸線を中心として前記両端部間に延在するシリンダ壁を備え、前記シリンダ壁の前記遠位端には雄部分又は雌部分のうちのひとつが形成されている上記シリンダと、
前記シリンダにおける前記遠位端に配設されたピストンと、
前記シリンダにおける前記遠位端であるロック位置に前記ピストンを配置すべく、前記シリンダ壁における前記雄部分又は前記雌部分に対して係合すべき相手となる前記雌部分又は前記雄部分を備えてなる、前記ピストンに結合されたロック部材と、を備え、
前記ロック部材は、送出装置における解放機構に係合し、前記雄部分又は雌部分を係脱させ、前記ピストンを前記ロック状態から解放するための、少なくともひとつの解放ボタンを備えている、
ことを特徴とする混合カートリッジ。
【請求項19】
前記シリンダ壁は、前記雌部分を備え、前記雌部分はさらに、少なくともひとつのスロットとして構成され、前記ロック部材は、前記雄部分を備え、前記雄部分はさらに、少なくともひとつのロックタブとして構成され、該雄部材は、前記ロック状態において、前記長手軸線から放射方向外方へ向けて前記少なくともひとつのスロットの中へと突出していることを特徴とする請求項18に記載の混合カートリッジ。
【請求項20】
前記少なくともひとつのスロットはさらに、直径上の反対側にて対をなすスロットとして構成され、前記少なくともひとつのロックタブはさらに、直径上の反対側にて対をなすロックタブとして構成され、該ロックタブは、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットの中へと、前記弾性部分の付勢によって放射方向外方へ向けて突出することを特徴とする請求項19に記載の混合カートリッジ。
【請求項21】
前記ロック部材は、前記ロックタブ同士の間にて延在していて、前記ロックタブを前記長手軸線に対して放射方向外方へ付勢するような弾性部分を備えていることを特徴とする請求項20に記載の混合カートリッジ。
【請求項22】
前記少なくともひとつの解放ボタンはさらに、前記ピストンを前記ロック状態から解放させるべく、送出装置における解放機構に係合してなる、一対の解放ボタンとして構成されていることを特徴とする請求項20に記載の混合カートリッジ。
【請求項23】
前記解放ボタンは、前記ロックタブと一体的に形成されていて、前記解放ボタンは、前記ロックタブから遠位方向へ延びて、前記ピストンの遠位側に突出していることを特徴とする請求項22に記載の混合カートリッジ。
【請求項24】
前記解放ボタンのそれぞれには、前記シリンダの前記長手軸線に対して鋭角をなすようにカム面が形成され、前記カム面は、前記長手軸線に対する放射方向内方へ向けて前記解放ボタンにカム動作させるべく係合可能になっており、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットから前記ロックタブを引き抜いて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項23に記載の混合カートリッジ。
【請求項25】
骨セメントを収容したカートリッジを受け入れて、カートリッジから骨セメントを吐出させて、解剖学的部位へ骨セメントを送り届けるための送出ガンであって、前記送出ガンが、
ケーシングと、
前記ケーシングに支持されて、カートリッジから骨セメントを吐出すべく、前記ケーシングに対して前進可能であるような駆動機構と、
前記ケーシングにピボット支持されたトリガであって、前記駆動機構に対して結合されていて、前記トリガが動作すると前記駆動機構を動作させるようなトリガと、
前記駆動機構を動作させるべく前記トリガを前記駆動機構に相互結合してなるリンク装置であって、前記リンク装置は、前記ケーシングにピボット結合された第1のリンクと、前記第1のリンクと前記トリガとを相互にピボット結合する第2のリンクとを備え、前記トリガを動作させると、前記第2のリンクと前記第1のリンクとが前記駆動機構を動作させ、前記駆動機構を前進させて、もってカートリッジから骨セメントを吐出させるような上記リンク装置と、
を備えていることを特徴とする送出ガン。
【請求項26】
前記駆動機構は、駆動ロッドを前記ケーシングに支持されて備えていることを特徴とする請求項25に記載の送出ガン。
【請求項27】
前記駆動機構はさらに、前記トリガを動作させた際の前記リンク装置の動きに応答する第1の把持板を備え、前記第1の把持板は、前記駆動ロッドを取り巻くような開口を形成し、前記第1の把持板は、前記駆動ロッドに対して摩擦的に係合していて、前記トリガを動作させると前記駆動ロッドが前進することを特徴とする請求項26に記載の送出ガン。
【請求項28】
高速位置と低速位置との間においてピボットすべく、前記駆動機構又は前記リンク装置のいずれかひとつにピボット支持された速度変更リンクを備えていることを特徴とする請求項27に記載の送出ガン。
【請求項29】
前記第1の把持板は、第1の結合装置を備え、前記速度変更リンクは、前記高速位置において、前記第1の結合装置に結合すべき第2の結合装置を構成し、前記低速位置においては、前記速度変更リンクは前記第1の把持板から隔離されることを特徴とする請求項28に記載の送出ガン。
【請求項30】
前記第1の結合装置は肩部であり、前記第2の結合装置は、前記高速位置において前記肩部に係合すべきチャンネルであることを特徴とする請求項29に記載の送出ガン。
【請求項31】
前記第1の把持板に対して整列される第2の把持板を備え、前記駆動ロッドとの摩擦接触を高めて、前記駆動ロッドを前進させることを特徴とする請求項27に記載の送出ガン。
【請求項32】
前記第2の把持板は、前記第1の把持板に設けられた切欠に係合すべきペグを備え、前記第2の把持板を前記第1の把持板に対して整列させていることを特徴とする請求項31に記載の送出ガン。
【請求項33】
前記ケーシングと前記把持板との間において、前記駆動ロッドにかぶせて配置されたバネを備え、前記把持板を付勢させて前記駆動ロッドに対して摩擦係合させることを特徴とする請求項32に記載の送出ガン。
【請求項34】
前記駆動ロッドは、その長さに沿って複数の歯部を備えていることを特徴とする請求項26に記載の送出ガン。
【請求項35】
前記駆動機構は、前記歯部に係合して前記駆動ロッドを前進させるべく、少なくともひとつの爪部材を備えていることを特徴とする請求項34に記載の送出ガン。
【請求項36】
前記駆動機構は、前記歯部に係合して前記駆動ロッドを前進させるべく、一対の爪部材を備えていることを特徴とする請求項34に記載の送出ガン。
【請求項37】
前記爪部材はさらに、第1の爪部材及び第2の爪部材として構成され、前記第1の爪部材は前記リンク装置によってピボット支持され、前記第2の爪部材は前記リンク装置によってピボット支持され、高速位置においては第2の爪部材が前記歯部に対して係合し、低速位置においては第2の爪部材は前記歯部から隔離されることを特徴とする請求項36に記載の送出ガン。
【請求項38】
前記駆動ロッドにおける前記歯部に対して前記爪部材のそれぞれを係合させるべく付勢させる、付勢装置を備えていることを特徴とする請求項37に記載の送出ガン。
【請求項39】
前記高速位置と前記低速位置との間において前記第2の爪部材を移動させるため、前記第2の爪部材に係合しているスイッチを備えていることを特徴とする請求項38に記載の送出ガン。
【請求項40】
前記トリガは、前記ケーシングにピボット軸を中心としてピボット支持され、前記ピボット軸は、前記駆動ロッドの上方に配置され、前記トリガは、前記駆動ロッドの下方へ延在し、前記トリガには、前記駆動ロッドを受け入れるためのチャンネルが形成されていることを特徴とする請求項39に記載の送出ガン。
【請求項41】
前記第1及び第2のリンクは、前記駆動ロッドの上方に配置されていることを特徴とする請求項40に記載の送出ガン。
【請求項42】
前記駆動機構は、カートリッジから骨セメントを吐出させるべく前記駆動ロッドに固定されてなるラム円板を備え、前記ラム円板は、カートリッジのピストンをロック状態から解放させるための解放機構を具備していることを特徴とする請求項26に記載の送出ガン。
【請求項43】
前記解放機構は、ピストンに設けられた解放ボタンに対して係合すべきベアリング面を備え、放射方向内方に向けて解放ボタンに対してカム動作して、ピストンをロック状態から解放させることを特徴とする請求項42に記載の送出ガン。
【請求項44】
骨セメントを収容したカートリッジを受け入れて、カートリッジから骨セメントを吐出させて、解剖学的部位へ骨セメントを送り届けるための送出ガンであって、前記送出ガンが、
ケーシングと、
前記ケーシングに支持されて、カートリッジから骨セメントを吐出すべく、前記ケーシングに対して前進可能であるような駆動ロッドと、
前記ケーシングにピボット支持されたトリガと、
前記トリガの動作に応答する第1の把持板を備え、前記第1の把持板は、前記駆動ロッドを取り巻いて、前記駆動ロッドに対して摩擦的に係合していて、前記トリガを動作させると前記駆動ロッドが前進するような上記第1の把持板と、
を備えていることを特徴とする送出ガン。
【請求項45】
前記駆動ロッドのまわりに、前記第1の把持板に対して整列される少なくともひとつの第2の把持板を備え、前記駆動ロッドとの摩擦接触を高めて、前記トリガを動作させると前記駆動ロッドが前進することを特徴とする請求項44に記載の送出ガン。
【請求項46】
前記少なくともひとつの第2の把持板はペグを備え、前記第1の把持板にはペグを受け入れるための切欠が設けられていて、前記少なくともひとつの第2の把持板を前記第1の把持板に対して整列させていることを特徴とする請求項45に記載の送出ガン。
【請求項47】
前記トリガを前記第1の把持板に相互結合してなるリンク装置を備え、前記リンク装置は、前記ケーシングにピボット結合された第1のリンクと、前記第1のリンクと前記トリガとを相互にピボット結合する第2のリンクとを備え、前記トリガを動作させると、前記第2のリンクと前記第1のリンクとが動いて、前記第1のリンクを前記第1の把持板に係合させ、前記駆動ロッドを前進させて、もってカートリッジから骨セメントを吐出させることを特徴とする請求項44に記載の送出ガン。
【請求項48】
前記第2のリンクは、前記第1の把持板が前記トリガを解放しても初期位置へ復帰しない場合に、前記駆動ロッドから前記第1の把持板を押し退けるために、前記第1の把持板に係合すべく下方へ延びたハンマを具備していることを特徴とする請求項47に記載の送出ガン。
【請求項49】
前記ケーシングと前記第1の把持板との間において、前記駆動ロッドにかぶせて配置されたバネを備え、前記第1の把持板を付勢させて前記駆動ロッドに対して摩擦係合させることを特徴とする請求項44に記載の送出ガン。
【請求項50】
潤滑性を高め、耐腐食性を高めるために、前記把持板のそれぞれにコーティングが塗布されていることを特徴とする請求項45に記載の送出ガン。
【請求項51】
前記コーティングは、ポリテトラフルオロエチレンを用いた無電解ニッケルであることを特徴とする請求項50に記載の送出ガン。
【請求項52】
骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合すると共に、骨セメントを患者の解剖学的部位に送り届けるための、骨セメントを混合及び送出するシステムであって、前記システムが、
カートリッジであって、このカートリッジが、
近位端と遠位端とを備え、両者間に混合チャンバを形成しているシリンダであって、前記シリンダは、その長手軸線を中心として前記両端部間に延在するシリンダ壁を備えているような上記シリンダと、
前記シリンダにおける前記遠位端に着脱可能に固定されてなるピストンと、
前記遠位端にて、前記ピストンを解放可能にロック状態に固定するロック部材であって、前記ロック部材は、前記ピストンを前記ロック状態から解放させるための、少なくともひとつの解放ボタンを備えているような上記ロック部材と、を備え、
これに組み合わせられる、前記カートリッジを保持すべく適合してなる送出装置であって、この送出装置が、
ケーシングと、
前記ケーシングに支持されて、前記カートリッジから骨セメントを吐出すべく、前記ケーシングに対して前進可能であるような駆動機構であって、前記駆動機構は、前記ピストンを前記ロック状態から解放すべき、前記少なくともひとつの解放ボタンに係合する解放機構を備えているような上記駆動機構と、
を備えていることを特徴とする骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項53】
前記シリンダ壁には、その前記遠位端に、複数のスロットが形成され、前記ロック部材は、前記ロック状態において、前記スロットの中へと放射方向外向きに突出する、複数のロックタブとして構成されていることを特徴とする請求項52に記載の骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項54】
前記少なくともひとつの解放ボタンはさらに、前記ピストンを前記ロック状態から解放するための、複数の解放ボタンとして構成されていることを特徴とする請求項53に記載の骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項55】
前記解放ボタンのそれぞれには、前記シリンダの前記長手軸線に対して鋭角をなすようにカム面が形成され、前記カム面は、前記解放機構によって、放射方向内方へ向けて前記解放ボタンにカム動作させ、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットから前記ロックタブを引き抜いて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項54に記載の骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項56】
前記解放機構は、前記解放ボタンにおける前記カム面に対して係合すべきベアリング面を備え、前記解放ボタンに放射方向内方に向いたカム動作をさせて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項55に記載の骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項57】
前記複数の解放ボタンはさらに、前記シリンダの前記長手軸線に対して放射方向内方へ向けられた指部として構成され、前記指部は、前記解放機構によって前記ロックタブを放射方向内方へ向けて促すべく係合可能になっており、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットから前記ロックタブを引き抜いて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項54に記載の骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項58】
骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れて、医療用に混合するための骨セメントのローディング・システムであって、この骨セメントのローディング・システムが、
開いた近位端と閉じた遠位端とを備え、前記両端の間に混合チャンバを形成しているようなシリンダと、
前記閉じた遠位端を形成すべく、前記シリンダにロックされているピストンと、
液体成分及び粉末成分をローディングする間に前記シリンダを支持すべく、前記シリンダにおける前記閉じた遠位端を受け入れて固定するキャビティを形成してなる基部と、
前記シリンダにおける前記開いた近位端に対して結合し、骨セメントの粉末成分を前記混合チャンバの中へ案内する漏斗であって、前記漏斗は、近位端と遠位端とを有し、前記遠位端は、丸い周囲をもっていて、前記シリンダにおける前記開いた近位端にぴったりと取り付けられ、前記近位端は、骨セメントの粉末成分を前記混合チャンバの中へ容易に移せるように、楕円卵形の周辺部を有しているような上記漏斗と、
を備えていることを特徴とする骨セメントのローディング・システム。
【請求項59】
前記基部の形状は楕円であって、前記キャビティの形状は円形であることを特徴とする請求項58に記載の骨セメントのローディング・システム。
【請求項60】
前記基部と前記シリンダとのうちの片方は、複数の止め具を備え、前記基部と前記シリンダとのうちの他方は、その表面に溝部を備え、前記止め具を着脱可能に受け入れて、前記基部と前記シリンダとの間をぴったり嵌め合わせることを特徴とする請求項59に記載の骨セメントのローディング・システム。
【請求項61】
骨セメントの液体成分及び粉末成分を、医療用に混合するための骨セメント混合システムであって、この骨セメント混合システムが、
近位端と遠位端とを有するシリンダを備え、前記両端の間に混合チャンバを形成してなるカートリッジと、
軸線を中心として回転すべく、前記カートリッジに回転可能に支持されてなる混合軸であって、前記混合チャンバの外部に延在した部分を備えているような上記混合軸と、
前記部分に結合されたブレードであって、前記軸線を中心として前記混合軸と共に回転すべく、前記混合チャンバの中に配置され、前記ブレードは、前記混合軸に結合される中心ハブと、前記中心ハブから延びたアウターリングとを備え、前記アウターリングは、前記軸線に対して鋭角をなし、前記鋭角は、骨セメントを確実に適切に混合できるように20〜70度になっている、上記ブレードと、
を備えていることを特徴とする骨セメント混合システム。
【請求項62】
前記ブレードは、混合完了後に、前記混合チャンバの中に残されるように適合していて、前記混合軸における前記混合チャンバの外部へ延びている前記部分は、混合後には、前記ブレードとの前記結合状態から取り外せるように適合していることを特徴とする請求項61に記載の骨セメント混合システム。
【請求項63】
前記ブレードは、1/4インチを越える有効高さを備え、骨セメントをさらに確実に適切に混合できるようになっていることを特徴とする請求項61に記載の骨セメント混合システム。
【請求項64】
前記ブレードは、可撓性になっていて、前記混合チャンバの中で平坦化するように適合していて、前記ブレードの前記有効高さが小さくなり前記鋭角は約90度にまで大きくなって、前記混合チャンバの内部にて前記ブレードによって占有される軸線方向の空間が最小になることを特徴とする請求項63に記載の骨セメント混合システム。
【請求項65】
前記ブレードは、約1/2インチである有効高さを備え、前記鋭角は約60度になっていて、骨セメントをさらに確実に適切に混合できるようになっていることを特徴とする請求項61に記載の骨セメント混合システム。
【請求項66】
前記アウターリングには、放射方向内方に突出した複数の指部が取り付けられていて、前記複数の指部のうちの片方は、第1の平面上にて放射方向内方へ突出し、前記複数の指部のうちの他方は、第1の平面に対して間隔を隔てつつ平行である、第2の平面上にて放射方向内方へ突出していることを特徴とする請求項61に記載の骨セメント混合システム。
【請求項67】
前記アウターリングに取り付けられた突出ノードを備え、前記シリンダの前記内周に沿ってこすり付けられて、前記ブレードと前記シリンダの内周との間隔を制御すべく、放射方向外方へ突出していることを特徴とする請求項61に記載の骨セメント混合システム。
【請求項68】
混合カートリッジの混合チャンバの内部にて、混合チャンバから外部へ延びた混合軸の部分を回転動力工具に結合させ、かかる部分に結合されたブレードを混合チャンバの内部に配置して、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合するような、回転動力工具を用いる骨セメントの液体成分及び粉末成分の混合方法であって、前記方法が、
混合チャンバの外部へ延びている混合軸の部分に対して、回転動力工具を結合する段階と、
混合軸の部分に結合されたなら、回転動力工具を動作させて、ブレードを回転させ、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する段階と、
動作中の回転動力工具を混合カートリッジに対して変位させて、骨セメントの液体成分及び粉末成分を完全に混合させる段階と、
混合が完了したならば、混合チャンバの外部へ延びた混合軸の部分とブレードとの間の結合を取り外す段階と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項69】
ブレードと、混合チャンバの外部へ延びた混合軸の部分との間の結合を取り外す段階はさらに、ブレードを混合軸から解放する段階であることを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】
動作中の回転動力工具を変位させる段階は、動作中の回転動力工具を近位方向及び遠位方向へ動かして、骨セメントの液体成分及び粉末成分を完全に混合させる段階であることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
ブレードと、混合チャンバの外部へ延びた混合軸の部分との間の結合を取り外す段階はさらに、混合チャンバの外部へ延びた混合チャンバの部分を切断する段階であることを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項72】
動作中の回転動力工具を混合カートリッジに対して変位させる段階はさらに、動作中に、混合カートリッジに対して、回転動力工具を軸線方向に動かす段階として定められていることを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項1】
骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れて、医療用に混合するための混合カートリッジであって、この混合カートリッジが、
近位端と遠位端とを備え、骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れるべき混合チャンバを形成するシリンダであって、前記シリンダは、その長手軸線を中心として前記両端部間に延在するシリンダ壁を備え、前記シリンダ壁の前記遠位端には少なくともひとつの雌部分が形成されている上記シリンダと、
前記シリンダにおける前記遠位端に配設されたピストンと、
前記シリンダにおける前記遠位端であるロック位置に前記ピストンを配置すべく、前記シリンダ壁における前記少なくともひとつの雌部分に対して係合すべき少なくともひとつの雄部分を備えてなる、前記ピストンに結合されたロック部材と、を備え、
前記ロック部材は、前記シリンダ壁に設けられた前記少なくともひとつの雌部分に対して、前記少なくともひとつの雄部分を係合させるべく付勢する、弾性部分を具備していて、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する間、前記ピストンはロック状態に維持される、
ことを特徴とする混合カートリッジ。
【請求項2】
前記雌部分はさらに、少なくともひとつのスロットとして構成され、前記雄部分はさらに、少なくともひとつのロックタブとして構成され、該雄部材は、前記ロック状態において、前記長手軸線から放射方向外方へ向けて前記少なくともひとつのスロットの中へと突出していることを特徴とする請求項1に記載の混合カートリッジ。
【請求項3】
前記ピストンは、近位端と遠位端を備え、前記遠位端にはキャビティが形成されていて、前記キャビティの中に前記ロック部材が配置されることを特徴とする請求項2に記載の混合カートリッジ。
【請求項4】
前記少なくともひとつのスロットはさらに、直径上の反対側にて対をなすスロットとして構成され、前記少なくともひとつのロックタブはさらに、直径上の反対側にて対をなすロックタブとして構成され、該ロックタブは、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットの中へと、前記弾性部分の付勢によって放射方向外方へ向けて突出することを特徴とする請求項2に記載の混合カートリッジ。
【請求項5】
前記弾性部分は、前記ロックタブ同士の間にて延在していて、前記ロックタブを、前記シリンダの前記長手軸線に対して、放射方向外方へ付勢していることを特徴とする請求項4に記載の混合カートリッジ。
【請求項6】
前記弾性部分は、前記ロックタブと一体的になっていて、薄い弾性リボン状の形態にて、前記ロックタブ同士の間に延在していることを特徴とする請求項5に記載の混合カートリッジ。
【請求項7】
前記ピストンが前記ロック状態にあるとき、及び、前記ピストンが前記ロック状態から解放させたときに、前記ロックタブを受け入れて、これを軸線方向に固定すべく、前記ピストンには対をなす支持スロットが形成されていることを特徴とする請求項6に記載の混合カートリッジ。
【請求項8】
前記ピストンが前記ロック状態にあるとき、及び、前記ピストンが前記ロック状態から解放させたときに、前記支持スロットのそれぞれの途中まで延びるような段差が前記ピストンに形成されていて、前記ロックタブのそれぞれには、前記段差を受け入れるべく途中まで延びたチャンネルが形成されていることを特徴とする請求項7に記載の混合カートリッジ。
【請求項9】
前記ロック部材は、前記ピストンを前記ロック状態から解放するための、一対の解放ボタンを具備していることを特徴とする請求項4に記載の混合カートリッジ。
【請求項10】
前記解放ボタンは、前記ロックタブと一体的に形成されていて、前記解放ボタンは、前記ロックタブから遠位方向へ延びて、前記ピストンの遠位側に突出していることを特徴とする請求項9に記載の混合カートリッジ。
【請求項11】
前記解放ボタンのそれぞれには、前記シリンダの前記長手軸線に対して鋭角をなすようにカム面が形成され、前記カム面は、前記長手軸線に対する放射方向内方へ向けて前記解放ボタンにカム動作させるべく係合可能になっており、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットから前記ロックタブを引き抜いて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項10に記載の混合カートリッジ。
【請求項12】
前記少なくともひとつのスロットはさらに、複数のスロットとして構成され、前記少なくともひとつのロックタブはさらに、前記ロック状態において、前記スロットの中へと突出するような、複数のロックタブとして構成されていることを特徴とする請求項2に記載の混合カートリッジ。
【請求項13】
前記弾性部分はさらに、弾性的な基部として構成され、前記複数のロックタブのそれぞれを前記ピストンに弾性的に支持し、前記ロックタブのそれぞれを前記ピストンに対して放射方向外方へと付勢し前記シリンダ壁に設けられた前記スロットに係合させることを特徴とする請求項12に記載の混合カートリッジ。
【請求項14】
前記ロック部材は、前記ピストンを前記ロック状態から解放するための、複数の解放ボタンを具備していることを特徴とする請求項13に記載の混合カートリッジ。
【請求項15】
前記解放ボタンは、前記タブと一体的に形成されていていることを特徴とする請求項14に記載の混合カートリッジ。
【請求項16】
前記解放ボタンはさらに、前記シリンダの前記長手軸線に対して放射方向内方へ向けられた指部として構成され、前記指部は、前記ロックタブを放射方向内方へ向けて促すべく係合可能になっており、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットから前記ロックタブを引き抜いて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項15に記載の混合カートリッジ。
【請求項17】
前記シリンダにおける前記近位端に、該シリンダに封止されてなるキャップを具備していることを特徴とする請求項1に記載の混合カートリッジ。
【請求項18】
混合カートリッジから骨セメントを吐出させる解放機構を備えた送出装置と併せて使用される混合カートリッジであって、この混合カートリッジが、
近位端と遠位端とを備え、骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れるべき混合チャンバを形成するシリンダであって、前記シリンダは、その長手軸線を中心として前記両端部間に延在するシリンダ壁を備え、前記シリンダ壁の前記遠位端には雄部分又は雌部分のうちのひとつが形成されている上記シリンダと、
前記シリンダにおける前記遠位端に配設されたピストンと、
前記シリンダにおける前記遠位端であるロック位置に前記ピストンを配置すべく、前記シリンダ壁における前記雄部分又は前記雌部分に対して係合すべき相手となる前記雌部分又は前記雄部分を備えてなる、前記ピストンに結合されたロック部材と、を備え、
前記ロック部材は、送出装置における解放機構に係合し、前記雄部分又は雌部分を係脱させ、前記ピストンを前記ロック状態から解放するための、少なくともひとつの解放ボタンを備えている、
ことを特徴とする混合カートリッジ。
【請求項19】
前記シリンダ壁は、前記雌部分を備え、前記雌部分はさらに、少なくともひとつのスロットとして構成され、前記ロック部材は、前記雄部分を備え、前記雄部分はさらに、少なくともひとつのロックタブとして構成され、該雄部材は、前記ロック状態において、前記長手軸線から放射方向外方へ向けて前記少なくともひとつのスロットの中へと突出していることを特徴とする請求項18に記載の混合カートリッジ。
【請求項20】
前記少なくともひとつのスロットはさらに、直径上の反対側にて対をなすスロットとして構成され、前記少なくともひとつのロックタブはさらに、直径上の反対側にて対をなすロックタブとして構成され、該ロックタブは、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットの中へと、前記弾性部分の付勢によって放射方向外方へ向けて突出することを特徴とする請求項19に記載の混合カートリッジ。
【請求項21】
前記ロック部材は、前記ロックタブ同士の間にて延在していて、前記ロックタブを前記長手軸線に対して放射方向外方へ付勢するような弾性部分を備えていることを特徴とする請求項20に記載の混合カートリッジ。
【請求項22】
前記少なくともひとつの解放ボタンはさらに、前記ピストンを前記ロック状態から解放させるべく、送出装置における解放機構に係合してなる、一対の解放ボタンとして構成されていることを特徴とする請求項20に記載の混合カートリッジ。
【請求項23】
前記解放ボタンは、前記ロックタブと一体的に形成されていて、前記解放ボタンは、前記ロックタブから遠位方向へ延びて、前記ピストンの遠位側に突出していることを特徴とする請求項22に記載の混合カートリッジ。
【請求項24】
前記解放ボタンのそれぞれには、前記シリンダの前記長手軸線に対して鋭角をなすようにカム面が形成され、前記カム面は、前記長手軸線に対する放射方向内方へ向けて前記解放ボタンにカム動作させるべく係合可能になっており、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットから前記ロックタブを引き抜いて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項23に記載の混合カートリッジ。
【請求項25】
骨セメントを収容したカートリッジを受け入れて、カートリッジから骨セメントを吐出させて、解剖学的部位へ骨セメントを送り届けるための送出ガンであって、前記送出ガンが、
ケーシングと、
前記ケーシングに支持されて、カートリッジから骨セメントを吐出すべく、前記ケーシングに対して前進可能であるような駆動機構と、
前記ケーシングにピボット支持されたトリガであって、前記駆動機構に対して結合されていて、前記トリガが動作すると前記駆動機構を動作させるようなトリガと、
前記駆動機構を動作させるべく前記トリガを前記駆動機構に相互結合してなるリンク装置であって、前記リンク装置は、前記ケーシングにピボット結合された第1のリンクと、前記第1のリンクと前記トリガとを相互にピボット結合する第2のリンクとを備え、前記トリガを動作させると、前記第2のリンクと前記第1のリンクとが前記駆動機構を動作させ、前記駆動機構を前進させて、もってカートリッジから骨セメントを吐出させるような上記リンク装置と、
を備えていることを特徴とする送出ガン。
【請求項26】
前記駆動機構は、駆動ロッドを前記ケーシングに支持されて備えていることを特徴とする請求項25に記載の送出ガン。
【請求項27】
前記駆動機構はさらに、前記トリガを動作させた際の前記リンク装置の動きに応答する第1の把持板を備え、前記第1の把持板は、前記駆動ロッドを取り巻くような開口を形成し、前記第1の把持板は、前記駆動ロッドに対して摩擦的に係合していて、前記トリガを動作させると前記駆動ロッドが前進することを特徴とする請求項26に記載の送出ガン。
【請求項28】
高速位置と低速位置との間においてピボットすべく、前記駆動機構又は前記リンク装置のいずれかひとつにピボット支持された速度変更リンクを備えていることを特徴とする請求項27に記載の送出ガン。
【請求項29】
前記第1の把持板は、第1の結合装置を備え、前記速度変更リンクは、前記高速位置において、前記第1の結合装置に結合すべき第2の結合装置を構成し、前記低速位置においては、前記速度変更リンクは前記第1の把持板から隔離されることを特徴とする請求項28に記載の送出ガン。
【請求項30】
前記第1の結合装置は肩部であり、前記第2の結合装置は、前記高速位置において前記肩部に係合すべきチャンネルであることを特徴とする請求項29に記載の送出ガン。
【請求項31】
前記第1の把持板に対して整列される第2の把持板を備え、前記駆動ロッドとの摩擦接触を高めて、前記駆動ロッドを前進させることを特徴とする請求項27に記載の送出ガン。
【請求項32】
前記第2の把持板は、前記第1の把持板に設けられた切欠に係合すべきペグを備え、前記第2の把持板を前記第1の把持板に対して整列させていることを特徴とする請求項31に記載の送出ガン。
【請求項33】
前記ケーシングと前記把持板との間において、前記駆動ロッドにかぶせて配置されたバネを備え、前記把持板を付勢させて前記駆動ロッドに対して摩擦係合させることを特徴とする請求項32に記載の送出ガン。
【請求項34】
前記駆動ロッドは、その長さに沿って複数の歯部を備えていることを特徴とする請求項26に記載の送出ガン。
【請求項35】
前記駆動機構は、前記歯部に係合して前記駆動ロッドを前進させるべく、少なくともひとつの爪部材を備えていることを特徴とする請求項34に記載の送出ガン。
【請求項36】
前記駆動機構は、前記歯部に係合して前記駆動ロッドを前進させるべく、一対の爪部材を備えていることを特徴とする請求項34に記載の送出ガン。
【請求項37】
前記爪部材はさらに、第1の爪部材及び第2の爪部材として構成され、前記第1の爪部材は前記リンク装置によってピボット支持され、前記第2の爪部材は前記リンク装置によってピボット支持され、高速位置においては第2の爪部材が前記歯部に対して係合し、低速位置においては第2の爪部材は前記歯部から隔離されることを特徴とする請求項36に記載の送出ガン。
【請求項38】
前記駆動ロッドにおける前記歯部に対して前記爪部材のそれぞれを係合させるべく付勢させる、付勢装置を備えていることを特徴とする請求項37に記載の送出ガン。
【請求項39】
前記高速位置と前記低速位置との間において前記第2の爪部材を移動させるため、前記第2の爪部材に係合しているスイッチを備えていることを特徴とする請求項38に記載の送出ガン。
【請求項40】
前記トリガは、前記ケーシングにピボット軸を中心としてピボット支持され、前記ピボット軸は、前記駆動ロッドの上方に配置され、前記トリガは、前記駆動ロッドの下方へ延在し、前記トリガには、前記駆動ロッドを受け入れるためのチャンネルが形成されていることを特徴とする請求項39に記載の送出ガン。
【請求項41】
前記第1及び第2のリンクは、前記駆動ロッドの上方に配置されていることを特徴とする請求項40に記載の送出ガン。
【請求項42】
前記駆動機構は、カートリッジから骨セメントを吐出させるべく前記駆動ロッドに固定されてなるラム円板を備え、前記ラム円板は、カートリッジのピストンをロック状態から解放させるための解放機構を具備していることを特徴とする請求項26に記載の送出ガン。
【請求項43】
前記解放機構は、ピストンに設けられた解放ボタンに対して係合すべきベアリング面を備え、放射方向内方に向けて解放ボタンに対してカム動作して、ピストンをロック状態から解放させることを特徴とする請求項42に記載の送出ガン。
【請求項44】
骨セメントを収容したカートリッジを受け入れて、カートリッジから骨セメントを吐出させて、解剖学的部位へ骨セメントを送り届けるための送出ガンであって、前記送出ガンが、
ケーシングと、
前記ケーシングに支持されて、カートリッジから骨セメントを吐出すべく、前記ケーシングに対して前進可能であるような駆動ロッドと、
前記ケーシングにピボット支持されたトリガと、
前記トリガの動作に応答する第1の把持板を備え、前記第1の把持板は、前記駆動ロッドを取り巻いて、前記駆動ロッドに対して摩擦的に係合していて、前記トリガを動作させると前記駆動ロッドが前進するような上記第1の把持板と、
を備えていることを特徴とする送出ガン。
【請求項45】
前記駆動ロッドのまわりに、前記第1の把持板に対して整列される少なくともひとつの第2の把持板を備え、前記駆動ロッドとの摩擦接触を高めて、前記トリガを動作させると前記駆動ロッドが前進することを特徴とする請求項44に記載の送出ガン。
【請求項46】
前記少なくともひとつの第2の把持板はペグを備え、前記第1の把持板にはペグを受け入れるための切欠が設けられていて、前記少なくともひとつの第2の把持板を前記第1の把持板に対して整列させていることを特徴とする請求項45に記載の送出ガン。
【請求項47】
前記トリガを前記第1の把持板に相互結合してなるリンク装置を備え、前記リンク装置は、前記ケーシングにピボット結合された第1のリンクと、前記第1のリンクと前記トリガとを相互にピボット結合する第2のリンクとを備え、前記トリガを動作させると、前記第2のリンクと前記第1のリンクとが動いて、前記第1のリンクを前記第1の把持板に係合させ、前記駆動ロッドを前進させて、もってカートリッジから骨セメントを吐出させることを特徴とする請求項44に記載の送出ガン。
【請求項48】
前記第2のリンクは、前記第1の把持板が前記トリガを解放しても初期位置へ復帰しない場合に、前記駆動ロッドから前記第1の把持板を押し退けるために、前記第1の把持板に係合すべく下方へ延びたハンマを具備していることを特徴とする請求項47に記載の送出ガン。
【請求項49】
前記ケーシングと前記第1の把持板との間において、前記駆動ロッドにかぶせて配置されたバネを備え、前記第1の把持板を付勢させて前記駆動ロッドに対して摩擦係合させることを特徴とする請求項44に記載の送出ガン。
【請求項50】
潤滑性を高め、耐腐食性を高めるために、前記把持板のそれぞれにコーティングが塗布されていることを特徴とする請求項45に記載の送出ガン。
【請求項51】
前記コーティングは、ポリテトラフルオロエチレンを用いた無電解ニッケルであることを特徴とする請求項50に記載の送出ガン。
【請求項52】
骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合すると共に、骨セメントを患者の解剖学的部位に送り届けるための、骨セメントを混合及び送出するシステムであって、前記システムが、
カートリッジであって、このカートリッジが、
近位端と遠位端とを備え、両者間に混合チャンバを形成しているシリンダであって、前記シリンダは、その長手軸線を中心として前記両端部間に延在するシリンダ壁を備えているような上記シリンダと、
前記シリンダにおける前記遠位端に着脱可能に固定されてなるピストンと、
前記遠位端にて、前記ピストンを解放可能にロック状態に固定するロック部材であって、前記ロック部材は、前記ピストンを前記ロック状態から解放させるための、少なくともひとつの解放ボタンを備えているような上記ロック部材と、を備え、
これに組み合わせられる、前記カートリッジを保持すべく適合してなる送出装置であって、この送出装置が、
ケーシングと、
前記ケーシングに支持されて、前記カートリッジから骨セメントを吐出すべく、前記ケーシングに対して前進可能であるような駆動機構であって、前記駆動機構は、前記ピストンを前記ロック状態から解放すべき、前記少なくともひとつの解放ボタンに係合する解放機構を備えているような上記駆動機構と、
を備えていることを特徴とする骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項53】
前記シリンダ壁には、その前記遠位端に、複数のスロットが形成され、前記ロック部材は、前記ロック状態において、前記スロットの中へと放射方向外向きに突出する、複数のロックタブとして構成されていることを特徴とする請求項52に記載の骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項54】
前記少なくともひとつの解放ボタンはさらに、前記ピストンを前記ロック状態から解放するための、複数の解放ボタンとして構成されていることを特徴とする請求項53に記載の骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項55】
前記解放ボタンのそれぞれには、前記シリンダの前記長手軸線に対して鋭角をなすようにカム面が形成され、前記カム面は、前記解放機構によって、放射方向内方へ向けて前記解放ボタンにカム動作させ、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットから前記ロックタブを引き抜いて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項54に記載の骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項56】
前記解放機構は、前記解放ボタンにおける前記カム面に対して係合すべきベアリング面を備え、前記解放ボタンに放射方向内方に向いたカム動作をさせて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項55に記載の骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項57】
前記複数の解放ボタンはさらに、前記シリンダの前記長手軸線に対して放射方向内方へ向けられた指部として構成され、前記指部は、前記解放機構によって前記ロックタブを放射方向内方へ向けて促すべく係合可能になっており、前記シリンダ壁に設けられた前記スロットから前記ロックタブを引き抜いて、前記ピストンを前記ロック状態から解放させることを特徴とする請求項54に記載の骨セメントの混合及び送出システム。
【請求項58】
骨セメントの液体成分及び粉末成分を受け入れて、医療用に混合するための骨セメントのローディング・システムであって、この骨セメントのローディング・システムが、
開いた近位端と閉じた遠位端とを備え、前記両端の間に混合チャンバを形成しているようなシリンダと、
前記閉じた遠位端を形成すべく、前記シリンダにロックされているピストンと、
液体成分及び粉末成分をローディングする間に前記シリンダを支持すべく、前記シリンダにおける前記閉じた遠位端を受け入れて固定するキャビティを形成してなる基部と、
前記シリンダにおける前記開いた近位端に対して結合し、骨セメントの粉末成分を前記混合チャンバの中へ案内する漏斗であって、前記漏斗は、近位端と遠位端とを有し、前記遠位端は、丸い周囲をもっていて、前記シリンダにおける前記開いた近位端にぴったりと取り付けられ、前記近位端は、骨セメントの粉末成分を前記混合チャンバの中へ容易に移せるように、楕円卵形の周辺部を有しているような上記漏斗と、
を備えていることを特徴とする骨セメントのローディング・システム。
【請求項59】
前記基部の形状は楕円であって、前記キャビティの形状は円形であることを特徴とする請求項58に記載の骨セメントのローディング・システム。
【請求項60】
前記基部と前記シリンダとのうちの片方は、複数の止め具を備え、前記基部と前記シリンダとのうちの他方は、その表面に溝部を備え、前記止め具を着脱可能に受け入れて、前記基部と前記シリンダとの間をぴったり嵌め合わせることを特徴とする請求項59に記載の骨セメントのローディング・システム。
【請求項61】
骨セメントの液体成分及び粉末成分を、医療用に混合するための骨セメント混合システムであって、この骨セメント混合システムが、
近位端と遠位端とを有するシリンダを備え、前記両端の間に混合チャンバを形成してなるカートリッジと、
軸線を中心として回転すべく、前記カートリッジに回転可能に支持されてなる混合軸であって、前記混合チャンバの外部に延在した部分を備えているような上記混合軸と、
前記部分に結合されたブレードであって、前記軸線を中心として前記混合軸と共に回転すべく、前記混合チャンバの中に配置され、前記ブレードは、前記混合軸に結合される中心ハブと、前記中心ハブから延びたアウターリングとを備え、前記アウターリングは、前記軸線に対して鋭角をなし、前記鋭角は、骨セメントを確実に適切に混合できるように20〜70度になっている、上記ブレードと、
を備えていることを特徴とする骨セメント混合システム。
【請求項62】
前記ブレードは、混合完了後に、前記混合チャンバの中に残されるように適合していて、前記混合軸における前記混合チャンバの外部へ延びている前記部分は、混合後には、前記ブレードとの前記結合状態から取り外せるように適合していることを特徴とする請求項61に記載の骨セメント混合システム。
【請求項63】
前記ブレードは、1/4インチを越える有効高さを備え、骨セメントをさらに確実に適切に混合できるようになっていることを特徴とする請求項61に記載の骨セメント混合システム。
【請求項64】
前記ブレードは、可撓性になっていて、前記混合チャンバの中で平坦化するように適合していて、前記ブレードの前記有効高さが小さくなり前記鋭角は約90度にまで大きくなって、前記混合チャンバの内部にて前記ブレードによって占有される軸線方向の空間が最小になることを特徴とする請求項63に記載の骨セメント混合システム。
【請求項65】
前記ブレードは、約1/2インチである有効高さを備え、前記鋭角は約60度になっていて、骨セメントをさらに確実に適切に混合できるようになっていることを特徴とする請求項61に記載の骨セメント混合システム。
【請求項66】
前記アウターリングには、放射方向内方に突出した複数の指部が取り付けられていて、前記複数の指部のうちの片方は、第1の平面上にて放射方向内方へ突出し、前記複数の指部のうちの他方は、第1の平面に対して間隔を隔てつつ平行である、第2の平面上にて放射方向内方へ突出していることを特徴とする請求項61に記載の骨セメント混合システム。
【請求項67】
前記アウターリングに取り付けられた突出ノードを備え、前記シリンダの前記内周に沿ってこすり付けられて、前記ブレードと前記シリンダの内周との間隔を制御すべく、放射方向外方へ突出していることを特徴とする請求項61に記載の骨セメント混合システム。
【請求項68】
混合カートリッジの混合チャンバの内部にて、混合チャンバから外部へ延びた混合軸の部分を回転動力工具に結合させ、かかる部分に結合されたブレードを混合チャンバの内部に配置して、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合するような、回転動力工具を用いる骨セメントの液体成分及び粉末成分の混合方法であって、前記方法が、
混合チャンバの外部へ延びている混合軸の部分に対して、回転動力工具を結合する段階と、
混合軸の部分に結合されたなら、回転動力工具を動作させて、ブレードを回転させ、骨セメントの液体成分及び粉末成分を混合する段階と、
動作中の回転動力工具を混合カートリッジに対して変位させて、骨セメントの液体成分及び粉末成分を完全に混合させる段階と、
混合が完了したならば、混合チャンバの外部へ延びた混合軸の部分とブレードとの間の結合を取り外す段階と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項69】
ブレードと、混合チャンバの外部へ延びた混合軸の部分との間の結合を取り外す段階はさらに、ブレードを混合軸から解放する段階であることを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項70】
動作中の回転動力工具を変位させる段階は、動作中の回転動力工具を近位方向及び遠位方向へ動かして、骨セメントの液体成分及び粉末成分を完全に混合させる段階であることを特徴とする請求項69に記載の方法。
【請求項71】
ブレードと、混合チャンバの外部へ延びた混合軸の部分との間の結合を取り外す段階はさらに、混合チャンバの外部へ延びた混合チャンバの部分を切断する段階であることを特徴とする請求項68に記載の方法。
【請求項72】
動作中の回転動力工具を混合カートリッジに対して変位させる段階はさらに、動作中に、混合カートリッジに対して、回転動力工具を軸線方向に動かす段階として定められていることを特徴とする請求項68に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図8】
【図8A】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図24A】
【図24B】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【公表番号】特表2007−504923(P2007−504923A)
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532959(P2006−532959)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/014749
【国際公開番号】WO2004/100771
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(502309144)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/014749
【国際公開番号】WO2004/100771
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(502309144)
【Fターム(参考)】
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