説明

骨保持器

【課題】骨折治療用の補強具を迅速かつ容易に骨に固定することができる骨保持器を提供すること。
【解決手段】骨折した骨を補強する補強具を前記骨に固定するために、前記骨を保持する骨保持器1であって、長尺状に延びる本体部2と、この本体部2の先端に設けられて前記骨に係合されるフック部10と、前記本体部2の先端に設けられて前記フック部10の内周面10a側に向けて延び、前記補強具の固定の際に、前記補強具を支持する支持部16と、を備え、前記支持部16に、この支持部16の長さ方向に延びる貫通孔22が形成されており、前記貫通孔22の貫通軸線L2と、前記本体部2の長さ方向に延びる本体軸線L1とが、互いに交差していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種々の骨折の治療の際に、骨を保持するための骨保持器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、骨折などの治療には、骨接合インプラントなどの補強具を骨に設置し、この設置した状態で固定することにより、骨折部を固定、補強することが行われている。
例えば、大腿部頸部骨折に関して取り上げてみると、骨折部の治療のための補強具の固定は、以下のように行われるのが一般的である(例えば、非特許文献1参照。)。すなわち、図13(a)に示すように、骨幹部102の上部近傍の皮膚を人体側方から切開し、この切開部を介して側方からアングルガイド103を骨幹部102の上部の所定の位置に設置する。この状態から、X線照射画像を見ながら、アングルガイド103の挿入孔103aから、先端部に雄ネジ部を有するガイドピン104を、ハンドドリルなどにより回転させながら、骨頭部105の内部の所定の位置までねじ込む。
【0003】
次に、ガイドピン104を挿入したまま、アングルガイド103を取り外す。そして、図13(b)に示すように、長さ方向の全長にわたって螺旋状に延びる刃部を有する筒状のドリル刃112を、上記骨内に入れられたままのガイドピン104に通す。この状態で不図示のドリル本体部を駆動して、ドリル刃112を回転させる。そして、ドリル刃112の先端が骨頭部105内の所定の位置に到達するまでドリリングを行うことにより、ガイドピン104周りに下孔が設けられる。そして、ガイドピン104を挿入した状態のまま、ドリル刃112を取り外す。
【0004】
さらに、図13(c)に示すように、骨幹部102の側方に固定するためのチューブプレート106の軸支孔106aに、先端部に雄ネジ部を有するラグスクリュー107を通す。ラグスクリュー107は、ガイドピン104よりも大径に設定されるとともに、その内部にガイドピン104を通すことができるように筒状に形成されたものである。また、チューブプレート106は、略板状の本体部106cと、ガイドピン104を支持する軸支部106bとを備えており、これら本体部106cの延びる方向と、軸支部106bの延びる方向との交わる角θが、例えば135度、145度とあらかじめ設定されて構成されている。
【0005】
次いで、ラグスクリュー107の先端の挿入孔に、上記骨内に入れられたままのガイドピン104の後端部を通し、ラグスクリュー107を、ガイドピン104の先端方向に押し進める。さらに、レンチ108を用いて、先端が骨頭部105内の所定の位置に到達するまでラグスクリュー107を下孔に沿ってねじ込む。そして、ラグスクリュー107をねじ込んだ状態のまま、ガイドピン104を取り外す。
【0006】
次に、図13(d)に示すように、押し込み器具であるインパクター109を用いて、チューブプレート106の軸支部106bを骨内に挿入させて、本体部106cが骨幹部102にぴったりと接触するまで、チューブプレート106を押し込む。この状態で、図13(e)に示すように、チューブプレート106の軸支孔106aを通してネジ110を締めていく。それから、チューブプレート106の本体部106cに形成された取付孔106dに、ドリルを通して骨幹部102にネジ止め用の下孔を設ける。さらに、取付孔106dを通して、それら下孔にネジ110を締めていき、チューブプレート106およびラグスクリュー107をしっかりと固定する。最後に、上記切開した皮膚を縫合して一連の処置が終了する。
これら処置によれば、骨頭部105が骨幹部102に固定、補強され、骨折部を適正に接合させることができる。
【0007】
ここで、チューブプレート106の取付孔106dにドリルを通して骨幹部102にネジ止め用の下孔を設けるとき(図13(e)に示す手順)、骨を保持する種々の骨保持器が利用される。
これら骨保持器の中には、長尺状に延びる本体部と、この本体部の先端に設けられて、骨の外周面に回り込んで骨に係合するフック部とを備えたものが知られている。これによって、骨が保持された状態で、取付孔106dを通してドリルをねじ込んで骨幹部102にネジ止め用の下孔が形成される。
【非特許文献1】ノアスメディカル株式会社 ノアスヒップスクリュー、カタログp.6
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記のような構成では、処置中に骨を保持することはできるものの、チューブプレートを支えることができないため、ドリルをねじ込もうとするときにチューブプレートが動いてしまう場合があり、ネジ止め用の下孔形成が困難になるという問題がある。また、骨保持器によって骨を保持した状態において、下孔形成用のドリルを案内する案内器具が必要となり、チューブプレートの固定の処置が煩雑になってしまうという問題がある。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、骨折治療用の補強具を迅速かつ容易に骨に固定することができる骨保持器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明に係る骨保持器は、骨折した骨を補強する補強具を前記骨に固定するために、前記骨を保持する骨保持器であって、長尺状に延びる本体部と、この本体部の先端に設けられて前記骨に係合されるフック部と、前記本体部の先端に設けられて前記フック部の内周面側に向けて延び、前記補強具の固定の際に、前記補強具を支持する支持部と、を備え、前記支持部に、この支持部の長さ方向に延びる貫通孔が形成されており、前記貫通孔の貫通軸線と、前記本体部の長さ方向に延びる本体軸線とが、互いに交差していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る骨保持器は、前記本体部が、前記本体軸線上に延び、かつ、前記本体軸線上を移動可能な連結軸を備え、この連結軸の先端に、前記支持部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る骨保持器は、前記連結軸及び前記支持部を微動させる微動機構と、前記連結軸及び前記支持部を粗動させる粗動機構と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る骨保持器は、前記微動機構が、前記連結軸に形成された雄ネジ部と、前記本体部に形成された雌ネジ部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る骨保持器は、前記粗動機構が、前記連結軸に連結され、かつ、前記本体部の外面に接触する接触位置と非接触位置との間を、前記本体軸線と交差する方向に移動可能な可動部材を備え、前記可動部材のうち、この可動部材が前記接触位置に配されたとき前記本体部の外面に接触する位置に、前記交差する方向に延びる係合部が設けられ、前記本体部の外面に、前記可動部材が前記接触位置に配されたときに前記係合部に係合される被係合部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、フック部と支持部とによって、骨を保持しながら補強具をも支持することができるだけでなく、本体軸線と交差した貫通軸線上に延びる貫通孔が支持部に形成されていることから、補強具を支持した状態で、さらに貫通孔を通してドリルなどをねじ込むことができる。そのため、骨折治療用の補強具を迅速かつ容易に骨に固定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る骨保持器について、図面を参照して説明する。
図1から図3において、符号1は骨保持器を示している。
骨保持器1は、長尺状の本体部2を備えている。本体部2は、平板状に延びる一対の支板部2a,2bを備えており、これら一対の支板部2a,2bが互いに対向配置されて固定されている。支板部2a,2bは、ステンレスやチタンなどの金属からなっており、角部はアール加工されている。
【0017】
支板部2a,2bの基端部であって支板部2a,2bの間には、スペーサとなる把持部3が設けられている。把持部3の上面及び下面は、ドーム状に盛り上げられて形成されており、それらドーム状の表面には、支板部2a,2bにわたって延びる凹部6が設けられている。また、把持部3には、本体部2の長さ方向に延びる本体軸線L1(図2に示す)上に延ばされた基端貫通孔7が形成されている。基端貫通孔7には、後述する連結軸11が挿通するようになっている。
【0018】
支板部2a,2bの先端部には、鉤状に形成されたフック部10が設けられている。フック部10は、骨の外周面に回り込んで骨に係合するものである。これらフック部10は、支板部2a,2bと一体成形されている。
また、支板部2a,2bの間には、本体軸線L1上に配されて長尺状に延びる連結軸11が設けられている。連結軸11は、基端貫通孔7に挿通されており、本体軸線L1上を往復移動可能に支持されている。連結軸11の基端には、グリップ15が固定されている。
【0019】
さらに、本実施形態における連結軸11の先端には、アタッチメント17を介して支持部16が連結されている。アタッチメント17は、連結軸11の先端から斜め前方(本体軸線L1の外方)に延びる傾斜面20を備えている。傾斜面20の先端部には、フック部10の内周面10a側に向けて棒状に延びる支持部16が設けられている。支持部16の先端は、アール状に滑らかに突出している。また、支持部16には、支持部16の長さ方向に延びる支持貫通孔(貫通孔)22が形成されている。この支持貫通孔22の延びる方向に向けられた(支持部16の長さ方向に延びる)軸線が貫通軸線L2となる。
そして、本体軸線L1と貫通軸線L2とが交差しており、それらのなす角θが所定の角度に設定されている。すなわち、支持部16は、本体部2に対してオフセットされており、換言すれば、支持部16は、本体部2に対して所定の角度θを持って傾斜して設けられている。
【0020】
また、本実施形態における骨保持器1は、図4に示すように、連結軸11を粗動移動させる粗動機構23を備えている。なお、図1及び図4〜7における粗動機構23は、図2、8、11の粗動機構23と上下反対に示されている。
粗動機構23は、支板部2a,2bの間に設けられた粗動ユニット26を備えている。粗動ユニット26は、図5に示すように、固定ブロック27と、可動フレーム28とを備えている。固定ブロック27は、略直方体状に形成されている。そして、固定ブロック27には、その長さ方向に向けられ、本体軸線L1上に延びる粗動貫通孔31が形成されている。粗動貫通孔31には、連結軸11(図1に示す)が挿通されるようになっている。また、固定ブロック27の両側面のうち長さ方向の両端には、突起部33が形成されており、これら突起部33の間には、縦(高さ)方向の全長にわたって延びる切欠き32が形成されている。また、固定ブロック27の天面には、略直方体状の押さえ部36が設けられている。押さえ部36には、アール加工が施されている。
【0021】
さらに、可動フレーム28は、U字状の可動本体部38を備えている。可動本体部38は、一対の支持壁部38aと、これら支持壁部38aを連結する底部38bとを備えている。底部38bの外面はドーム状にして形成されている。また、両支持壁部38aの先端には、矩形フレーム状の可動部材39が連結されている。可動部材39は、両支持壁部38aと直交する方向に向けられている。可動部材39の中央には、開口部40が形成されている。さらに、可動部材39の底面には、本体軸線L1に直交する方向(上下方向、可動フレーム28の移動方向)に延びる係合凸部(係合部)43が複数設けられている。なお、支板部2a,2bの短手方向の一端には、係合凸部43と係合する係合凹部(被係合部)44が設けられている。係合凹部44は、支板部2a,2bの長さ方向にわたって複数設けられている。
【0022】
このような構成のもと、固定ブロック27の切欠き32に、可動フレーム28の支持壁部38aを嵌合させ、可動フレーム28の開口部40に、固定ブロック27の押さえ部36を通す。そして、可動フレーム28の底部38bの内面と、固定ブロック27の底面との間にコイルバネ48を設けることにより、図4に示す粗動ユニット26となる。可動フレーム28は、コイルバネ48の付勢力によって、図4に対して下側に付勢された状態になっている。
そして、固定ブロック27の突起部33が、支板部2a,2bの内面に形成され、かつ本体軸線L1に沿って延びる案内溝45に嵌合させられることにより、粗動ユニット26が支板部2a,2bの間で支持されている。
【0023】
また、粗動ユニット26が支板部2a,2bの間で支持された状態で、可動フレーム28は、本体軸線L1に直交する方向(上下方向)に移動するようになっている。すなわち、可動フレーム28の底面と支板部2a,2bとが接触する接触位置P1(図6に示す)と、可動フレーム28の底面と支板部2a,2bとが接触しない非接触位置P2(図7に示す)との間を、本体軸線L1に直交する方向(上下方向)に可動フレーム28が往復移動するようになっている。そして、可動フレーム28は、外部から力を加えない自然状態において、コイルバネ48の付勢力により、図6に対して下側に付勢され、接触位置P1に配されるようになっている。このとき、可動フレーム28の係合凸部43と、支板部2a,2bの係合凹部44とが係合し、粗動ユニット26と支板部2a,2bとの本体軸線L1上の相対移動が規制されるようになっている。
【0024】
一方、可動フレーム28の底部38bを押すと、コイルバネ48の付勢力に抗して可動フレーム28が、図7に対して上側に移動し、非接触位置P2に配されるようになっている。このとき、可動フレーム28の係合凸部43と、支板部2a,2bの係合凹部44との係合が解除され、粗動ユニット26と支板部2a,2bとが本体軸線L1上を相対移動することができるようになっている。これにより、可動フレーム28を非接触位置P2に配した状態で、粗動ユニット26を本体軸線L1上に移動させると、図8に示すように、連結軸11が粗動移動し、支持部16が、フック部10の内周面10aに接近・離隔する方向に粗動移動するようになっている。
【0025】
さらに、本実施形態における骨保持器1は、図1に示すように、連結軸11を微動移動させる微動機構50を備えている。
微動機構50は、連結軸11の外周面に形成された雄ネジ部51と、把持部3の基端貫通孔7の内周面に形成された基端雌ネジ部(雌ネジ部)55と、固定ブロック27の粗動貫通孔31の内周面に形成された中央雌ネジ部(雌ネジ部)52と、を備えている。
このような構成のもと、連結軸11は、基端雌ネジ部55と中央雌ネジ部52とを挿通されており、雄ネジ部51と、各雌ネジ部52,55とが螺合した状態になっている。そして、グリップ15を回すと、本体軸線L1を中心として連結軸11が回転し、これにより、雄ネジ部51が各雌ネジ部52,55に対して回転し、図2に示すように、連結軸11が本体軸線L1上を微動移動するようになっている。そして、連結軸11が微動移動することにより、支持部16が、フック部10の内周面10aに接近・離隔する方向に微動移動するようになっている。
【0026】
次に、このように構成された本実施形態における骨保持器1の使用方法を、例えば大腿部頸部骨折の治療に合わせて説明する。
なお、図9から図12において、図13と同一のものは同一符号を付し、その説明を省略する。
一般的に、大腿部頸部骨折の場合、上述したように、図9に示す骨頭部105内に、ラグスクリュー(補強具)107などの骨接合インプラントを挿入し、チューブプレート(補強具)106を骨幹部102に固定することにより、骨頭部105を骨幹部102の上部に固定、接合するという処置が行われる。
【0027】
ここで、従来では、チューブプレート106を骨幹部102に固定するとき、骨幹部102を骨保持器によって保持し、案内器具などによってチューブプレート106にドリルを通していた。
本実施形態における骨保持器1は、以下のようにして、骨幹部102を保持する。
すなわち、図9及び図10に示すように、まず、骨幹部102の外周面にフック部10を回り込ませて、骨幹部102とフック部10とを係合させる。それから、粗動機構23によって、連結軸11を介して支持部16を、チューブプレート106に向けて粗動移動させる。つまり、図11に示すように、本体部2を把持した状態で、押さえ部36を人差し指などで押さえながら、可動フレーム28の底部38bを親指等で押し込む。このとき、底部38bの外周面がドーム状に形成されていることから、親指等で押し込み易くなる。
【0028】
底部38bを押し込むと、図7に示すように(上下反対に示されている)、可動本体部38を介して可動部材39が移動し、可動フレーム28が非接触位置P2に配される。これにより、係合凸部43と係合凹部44との係合が解除され、連結軸11を介して支持部16を粗動移動させる。そして、図9及び図10に示すように、支持部16の先端をチューブプレート106の取付孔106dに嵌合させる。これによって、支持部16の位置の粗調整が行われる。
【0029】
さらに、支持部16を微動移動させる。すなわち、把持部3を把持して、グリップ15を所定の方向に回転させる。このとき、把持部3には、凹部6が設けられていることから、親指などを凹部6に配することにより、把持部3が把持し易くなる。
グリップ15を所定の方向に回転させて、連結軸11を回転させ、フック部10の内周面10aに向けて支持部16を微動移動させる。そして、チューブプレート106が動かなくなるまで、フック部10と支持部16とで骨幹部102をしっかりと挟んでいく。このとき、フック部10と支持部16とによって骨幹部102が把持されるだけでなく、支持部16によってチューブプレート106が動かないように支持される。
【0030】
それから、ドリル60(図12に示す)を使って、骨幹部102にネジ止め用の下孔を形成する。本実施形態においては、支持部16に支持貫通孔22が形成されており、さらに、本体軸線L1と貫通軸線L2とが交差していることから、ドリル60を支持貫通孔22に通すことができる。そこで、図12に示すように、支持貫通孔22及び取付孔106dを介してドリル60を骨幹部102にねじ込んでいき下孔を形成する。それから、骨保持器1を取り外して、取付孔106dを介して下孔にネジを締めてチューブプレート106をネジ止めする。そして、残りの取付孔106dにも下孔を開けた後、チューブプレート106をしっかりとネジ止めする。なお、図9に示すように、一対のフック部10の間隔寸法d1は、取付孔106dの三つ分の間隔寸法d3よりも小さく設定されている。そのため、三つのうちの中央の取付け孔106dに支持部16を嵌合させると、骨保持具1で骨幹部102を保持したまま、隣り合う上下の取付孔106dにドリル60をねじ込むことができる。さらに、フック部10の間隔寸法d1は、隣り合う二つの取付孔106dの間隔寸法d2と一致させることが望ましい。すなわち、中央の取付孔16dに支持部16を嵌合させた状態で、それぞれのフック部10が、中央の取付孔16dに上下に隣り合う取付孔106dとの間の中央に配されるように設定することが望ましい。
【0031】
以上より、本実施形態における骨保持器1によれば、フック部10と支持部16とによって、骨幹部102を保持しながらチューブプレート106を支持することができるだけでなく、チューブプレート106を支持した状態で、案内器具などを用いることなく、支持貫通孔22を通してドリル60などをねじ込むことができる。そのため、骨折治療用のチューブプレート106を迅速かつ容易に骨幹部102に固定することができる。
【0032】
また、粗動機構23が設けられていることから、支持部16の粗調整を容易に行うことができ、支持部16の位置合わせを迅速かつ確実に行うことができる。
さらに、微動機構50が設けられていることから、支持部16の微調整を容易に行うことができ、骨幹部102を保持しながらチューブプレート106を確実に支持することができる。
また、本体軸線L1と貫通軸線L2とが互いに傾斜していることから、骨幹部102を保持し、チューブプレート106を支持した状態で、図10に示すように、切開口57を広げた状態のまま維持することができる。そのため、切開口を広げるための開創器などが不要となり、迅速かつ容易に処置を行うことができる。
なお、本発明の技術範囲は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る骨保持器の実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】本実施形態における骨保持器の側面図である。
【図3】図2の骨保持器を上から見た様子を示す説明図である。
【図4】図1の粗動機構を拡大して示す斜視図である。
【図5】図4の粗動ユニットを示す分解斜視図である。
【図6】図4のA―A線矢視図であって、可動フレームが接触位置に配された様子を示す図である。
【図7】図4のA―A線矢視図であって、可動フレームが非接触位置に配された様子を示す図である。
【図8】図2の支持部が粗動移動する様子を示す説明図である。
【図9】図2の骨保持器が骨幹部及び補強具を支持している様子を示す説明図である。
【図10】図9の骨保持器を上方から見た様子を示す説明図である。
【図11】図2の骨保持器を把持した様子を示す説明図である。
【図12】図10の骨保持器にドリルを通した様子を示す説明図である。
【図13】従来のガイドピンや骨接合インプラントの挿入作業の手順を示す図であって、(a)はガイドピンを挿入した様子を示す説明図、(b)はドリルにより下孔を設けた様子を示す説明図、(c)はラグスクリューを挿入した様子を示す説明図、(d)はチューブプレートを設置した様子を示す説明図、(e)はラグスクリューおよびチューブプレートを固定する様子を示す説明図である。
【符号の説明】
【0034】
1 骨保持器
2 本体部
10 フック部
10a 内周面(フック部の内周面)
11 連結軸
16 支持部
22 支持貫通孔
23 粗動機構
39 可動部材
43 係合凸部(係合部)
44 係合凹部(被係合部)
50 微動機構
51 雄ネジ部
52 中央雌ネジ部(雌ネジ部)
55 基端雌ネジ部(雌ネジ部)
106 チューブプレート(補強具)
107 ラグスクリュー(補強具)
L1 本体軸線
L2 貫通軸線
P1 接触位置
P2 非接触位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨折した骨を補強する補強具を前記骨に固定するために、前記骨を保持する骨保持器であって、
長尺状に延びる本体部と、
この本体部の先端に設けられて前記骨に係合されるフック部と、
前記本体部の先端に設けられて前記フック部の内周面側に向けて延び、前記補強具の固定の際に、前記補強具を支持する支持部と、を備え、
前記支持部に、この支持部の長さ方向に延びる貫通孔が形成されており、
前記貫通孔の貫通軸線と、前記本体部の長さ方向に延びる本体軸線とが、互いに交差していることを特徴とする骨保持器。
【請求項2】
前記本体部が、
前記本体軸線上に延び、かつ、前記本体軸線上を移動可能な連結軸を備え、
この連結軸の先端に、前記支持部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の骨保持器。
【請求項3】
前記連結軸及び前記支持部を微動させる微動機構と、
前記連結軸及び前記支持部を粗動させる粗動機構と、を備えることを特徴とする請求項2に記載の骨保持器。
【請求項4】
前記微動機構が、
前記連結軸に形成された雄ネジ部と、
前記本体部に形成された雌ネジ部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載の骨保持器。
【請求項5】
前記粗動機構が、
前記連結軸に連結され、かつ、前記本体部の外面に接触する接触位置と非接触位置との間を、前記本体軸線と交差する方向に移動可能な可動部材を備え、
前記可動部材のうち、この可動部材が前記接触位置に配されたとき前記本体部の外面に接触する位置に、前記交差する方向に延びる係合部が設けられ、
前記本体部の外面に、前記可動部材が前記接触位置に配されたときに前記係合部に係合される被係合部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の骨保持器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−252581(P2007−252581A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−80340(P2006−80340)
【出願日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【出願人】(504143603)ノアスメディカル株式会社 (3)
【出願人】(505325796)
【出願人】(504142352)株式会社オーミック (4)
【Fターム(参考)】