説明

骨又は骨の一部の伸長装置

相対して可動な少なくとも2つの素子により、特に骨片を移動させる骨(5)又は骨の一部の伸長装置であって、少なくとも1つの係止部材(14.1、14.2)を案内部材(1)内又は案内部材に沿って軸方向に移動させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は骨又は骨の一部を伸長する装置、特に相対して動く少なくとも2つの素子による骨片の移動に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置としては、骨を伸長させるか骨片を移動するために、例えば電動又は油圧駆動により相対的に移動可能な、特にブッシュなど2つの相対する素子により構成する骨髄製の釘形状の装置が知られている。
【0003】
従来の装置は骨の移動のためのストロークが極めて短く限定され且つ設置長さが極めて長いとの短所があった。また、清掃及び操作にコストが掛かるという短所もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記、短所の無い骨又は骨の一部を伸長させる装置を提供することが目的であり、それにより、ストロークを大きく且つ設置長さを短くすることが可能となる。
【0005】
更に、この装置の清掃及び消毒が簡単にできるばかりでなく、特に取り外しが簡単にできる。更に、この装置は正確に操作・制御ができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
少なくとも1つの係止部材を案内部材方向又は案内部材に沿って軸方向に移動可能とすることにより、上記の目的が達成できる。
【0007】
本発明において、少なくとも1つの係止部材を軸方向に可動に案内部材に挿入するか又は、案内部材に沿って案内することが好ましいことが判っている。好適な実施例においては、少なくとも1つの係止部材を案内部材の案内スリットに挿入し、軸、ネジ棒などによりこのスリットに沿って前後に可動とすることである。駆動装置又は電動機を、場合によっては変速機に接続し、この軸を駆動し、案内スリット内を前後に正確に動かすことができる。場合によっては案内部材より突出した係止部材が、骨又は骨の一部から離れている骨片を保持するのに用いられる。骨又は骨の一部からは離れて係止部材に固定されている骨片は、骨又は骨の一部から離れるか又は近付くように、1日当り0.5ないし1.5mm好ましくは1mmとゆっくり移動すると、骨接合法によって骨片の移動、骨の再生及び成長が確実になる。
【0008】
例えば、係止部材を溝などに嵌合させ、軸、ネジ棒、ケーブルなどを介して案内部材に沿って軸方向に骨片を移動させるのも本発明の範囲内である。
【0009】
更に本発明の実施例において、2つの係止部材を軸に配置し、案内部材に沿って、好ましくは案内スリット内を案内することも可能であり、それによって、例えば向かい合った2つの骨の一部の両端において、分離した骨片を係止部材に固定し、駆動装置又は軸を操作して、完全な骨が生成するように、2つの骨片又は係止部材を互いにゆっくりと移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を用いて、実施例により本発明の利点、特徴及び詳細を説明する。
【0011】
本発明による、骨又は骨の一部を伸長させる装置R、特に骨片を移動させる案内部材1及び駆動装置2を図1(a)、(b)に示す。案内部材1は、例えば骨髄釘として形成し、末端域3.1、3.2に貫通孔4.1、4.2を備え、該貫通孔は骨又は骨の一部内において又は骨又は骨の一部と共に案内部材1の固定、特に係止に用いられる。図には詳細に示していないが、固定部材は案内部材1を骨5に取外し可能に係止している。
【0012】
案内部材内に軸方向に、好ましくは連続的に伸長している案内スリット6を備え、その一端に、場合によっては貫通孔として、軸保持部7を有している。末端域3.2の貫通路8及びそれ接する保持孔9が案内スリット6の他端に接続している。
【0013】
駆動装置2はモータ10、場合によっては上流のギア11及び下流の制御装置12から構成されている。
【0014】
軸13はモータ10及び/又はギア11に駆動可能に接続しており、少なくとも1つの係止部材14.1を載置している。軸13は、例えばネジ棒などとして形成し、係止部材14.1を貫通するか又は、係止部材14.1の内ネジに嵌合している。
【0015】
図2の平面図に示す装置Rは案内部材1に挿入した駆動装置2を備えている。係止部材14.1を装着していない駆動装置2は案内部材1の保持孔9を通して案内部材に挿入することができ、案内スリット6を通して係止部材14.1を挿入し、軸13を駆動することにより係止部材が保持され、軸13の末端の軸受部が軸保持部7に確実に保持されるようになっている。
【0016】
駆動装置2、特にモータ10は案内部材1の保持孔9に取外し可能に固定され、不図示の接続ケーブル、誘導アダプタなどを介して駆動装置2への電源供給又は制御ができるようになっている。この使用状態において、モータ10又はギア11により軸13が回転し、その結果、係止部材14.1が図示のX方向又は逆方向に移動可能となり、案内スリット6により図示のX方向に単純な軸方向移動を行うことになる。
【0017】
特に側面図に模式的に示すように、係止部材14.1は軸13の回転方向に応じて、案内スリット6沿って、前後に可動となる。
【0018】
案内スリット6の長さによって、係止部材14.1が可動なストロークHが決まる。
【0019】
本発明の作用を以下に述べる。
【0020】
図4に示すように、例えば末端の2つの骨5又は骨5の一部に本発明による装置Rを挿入し、骨片15の移動により2つの骨を癒着させることができる。図示のように、間隙16によって骨片15は一方の骨5から分離している。次いで、係止部材14.1を骨片15に結合させるか、又は骨片に挿入又は固定部材により固定する。骨片15を移動させるための係止部材14を間隙16に配置し、骨片15の裏側に装着することも考えられる。次いで、所定の時間間隔をおいて、駆動装置2を用いて、モータ10を介して軸13を駆動し、係止部材14.1を一日当り例えば、0.5ないし1.5mm、好ましくは1mmの低速で移動させると、同時に骨片15が反対側の骨5へと移動する。
【0021】
このようにして、骨片の移動により骨5が伸長し完全に再生する。
【0022】
図5には、前述の様式に相当する別の実施例の装置Rを示す。末端部3.1近傍の軸13に係止部材14.1を、且つ末端部3.2近傍に係止部材14.2を設置した点が異なっている。
【0023】
例えば、好ましくは軸の半分を右ネジとし、残りの半分を左ネジとすると、中点Mから等距離にある係止部材14.1、14.2は、軸13の回転に応じて、互いに近づくか、又は離れるように一定の速度で移動する。
【0024】
このようにして、例えば、骨片15が各々の骨5又は骨の一部から、互いに、例えば一方が1mm/日の速度で移動すると、2つの骨の骨片の移動が加速される。この点も本発明の範囲内である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)は骨を伸長させる装置の案内部材に挿入する駆動装置を模式的に示す側面図、(b)は案内部材を模式的に示す平面図
【図2】駆動装置を挿入した案内部材によって構成される骨を伸長させる装置を模式的に示す平面図
【図3】図2に示す装置の側面図
【図4】図2に示す装置の使用状態を模式的に示す平面図
【図5】図2に示す装置の別の実施例を模式的に示す平面図
【図6】図5に示す装置の使用状態を模式的に示す平面図
【符号の説明】
【0026】
1 案内部材
2 駆動装置
3 末端部
4 貫通孔
5 骨
6 案内スリット
7 軸保持部
8 貫通路
9 保持孔
10 モータ
11 ギア
12 制御装置
13 軸
14 係止部材
15 骨片
16 間隙
装置
装置
H ストローク
X 方向
M 中点
R 変速機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対して可動な少なくとも2つの素子により、特に骨片が移動する骨(5)又は骨の一部の伸長装置であって、
少なくとも1つの係止部材(14.1、14.2)が案内部材(1)内又は案内部材に沿って軸方向に可動であることを特徴とする骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項2】
少なくとも1つの駆動装置(2)により、少なくとも1つの係止部材(14.1、14.2)を案内部材(1)内又は案内部材に沿って軸方向に可動に駆動させることを特徴とする請求項1に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項3】
案内部材(1)は細長く、好ましくは連続した案内スリット(6)を有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項4】
案内部材(1)を骨(5)又は骨の一部に係止するための固定部材を通し、差込むために、案内部材(1)の両端に円形の貫通孔(4.1、4.2)を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装
【請求項5】
駆動装置(2)を保持し、差し込むために、案内部材(1)の一端に鞘状の保持孔(9)を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項6】
駆動装置(2)は、場合によってはギア(11)及び制御装置(12)を有するモータ(10)並びにモータ(10)又はギア(11)に接続している軸(13)より形成され、少なくとも1つの係止部材(14.1、14.2)を軸(13)に配置していることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項7】
軸(13)は、少なくとも1つの係止部材に差込み、それと嵌合したネジ棒として形成されていることを特徴とする請求項6に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項8】
軸(13)又はネジ棒の回転により、案内スリット(6)内に配置した係止部材(14.1、14.2)は案内部材(1)に沿って前後に可動であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項9】
係止部材(14.1、14.1)は断面が方形又は円形であり、少なくともその一部が案内部材(1)の案内スリット(6)より突出していることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項10】
モータ(10)を用いて軸(13)を駆動することにより、係止部材(14)を介して骨の一部、特に骨片(15)が移動可能となり、骨の一部と骨片(15)の間に空隙(16)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項11】
係止部材(14.1、14.2)が骨片(15)を係止、特に骨片に嵌合して軸方向に移動させるか、又は固定部材が骨片(15)を係止部材(14.1、14.2)に取外し可能に係止していることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項12】
駆動装置(2)は保持孔(9)に軸方向から挿入可能であり且つモータ(10)は案内部材(1)内、特に保持孔(9)域に回転しない様に挿入されていることを特徴とする請求項5ないし請求項11のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項13】
案内スリット(6)の一端に軸(13)を保持する軸保持部(7)を備えていることを特徴とする請求項6ないし請求項12のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項14】
軸(13)に2つの係止部材(14.1、14.2)を備え、モータ(10)が作動すると、該係止部材が案内部材(1)の案内スリット(6)内を互いに近付くか、又は離れるように操作可能であることを特徴とする請求項6ないし請求項13のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対して可動な少なくとも2つの素子により、特に骨片が移動する骨(5)又は骨の一部の伸長装置であって、少なくとも1つの係止部材(14.1、14.2)が案内部材(1)内又は案内部材に沿って軸方向に可動であり、且つ少なくとも1つの駆動装置(2)により、少なくとも1つの係止部材(14.1、14.2)を案内部材(1)内又は案内部材に沿って軸方向に可動に駆動させる装置において、
駆動装置(2)は、場合によってはギア(11)及び制御装置(12)を有するモータ(10)並びにモータ(10)又はギア(11)に接続している軸(13)より形成され、少なくとも1つの係止部材(14.1、14.2)を軸(13)に配置し、その軸(13)は、少なくとも1つの係止部材に差込み、それと嵌合したネジ棒として形成されていることを特徴とする骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項2】
案内部材(1)は細長く、好ましくは連続した案内スリット(6)を有していることを特徴とする請求項1に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項3】
案内部材(1)を骨(5)又は骨の一部に係止するための固定部材を通し、差込むために、案内部材(1)の両端に円形の貫通孔(4.1、4.2)を備えていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の骨又は骨の一部の伸長装
【請求項4】
駆動装置(2)を保持し、差し込むために、案内部材(1)の一端に鞘状の保持孔(9)を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項5】
軸(13)又はネジ棒の回転により、案内スリット(6)内に配置した係止部材(14.1、14.2)は案内部材(1)に沿って前後に可動であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項6】
係止部材(14.1、14.1)は断面が方形又は円形であり、少なくともその一部が案内部材(1)の案内スリット(6)より突出していることを特徴とする請求項ないし請求項5のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項7】
モータ(10)を用いて軸(13)を駆動することにより、係止部材(14)を介して骨の一部、特に骨片(15)が移動可能となり、骨の一部と骨片(15)の間に空隙(16)が形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項8】
係止部材(14.1、14.2)が骨片(15)を係止、特に骨片に嵌合して軸方向に移動させるか、又は固定部材が骨片(15)を係止部材(14.1、14.2)に取外し可能に係止していることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項9】
駆動装置(2)は保持孔(9)に軸方向から挿入可能であり且つモータ(10)は案内部材(1)内、特に保持孔(9)域に回転しない様に挿入されていることを特徴とする請求項ないし請求項8のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項10】
案内スリット(6)の一端に軸(13)を保持する軸保持部(7)を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。
【請求項11】
軸(13)に2つの係止部材(14.1、14.2)を備え、モータ(10)が作動すると、該係止部材が案内部材(1)の案内スリット(6)内を互いに近付くか、又は離れるように操作可能であることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の骨又は骨の一部の伸長装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公表番号】特表2006−523476(P2006−523476A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504410(P2006−504410)
【出願日】平成16年2月4日(2004.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/001005
【国際公開番号】WO2004/091414
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(500542240)ヴィッテンシュタイン アーゲー (19)
【Fターム(参考)】