説明

骨片類除去装置付チョッパー

【課題】本発明は、確実に調節位置が保持できるとともに洗浄性にも優れ、かつ、骨片類の排出が迅速に行われることによりミンチの押出効率がよく、肉質の低下が少ない骨片類除去装置付チョッパーを提供しようとする。
【解決手段】骨片類の排出口が、シリンダーの周壁に設けられ、排出口に排出管が連結されている骨片類除去装置付チョッパーにおいて、該排出管の中途に、骨片類の排出量を調節する回転弁を介装し、回転弁の調節レバーを調節位置に保持する固定装置と、弁棒が取り出せるようにカバーとを装備した。
また、固定プレートの中央部付近から排出口に向けて骨片類を誘導する案内溝を、ナイフの回転方向に傾斜させて前記固定プレートの内面に刻設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、牛や豚などの食肉をミンチに加工するチョッパーに関し、詳しくは食肉内に混在する軟骨や筋などの骨片類を除去する骨片類除去装置を備えたチョッパーに関する。
【背景技術】
【0002】
チョッパーにおける骨片類除去装置として、特許文献1(特開昭56−158159)がある。本文献における骨片類除去装置は、多数の押出穴(小透孔)を有しシリンダー(円筒状ヘッド)の開口部に装着される固定プレート(オリファイズ・プレート)と、固定プレートの内面に近接して摺動する刃面を有するナイフ(ロータリー・カッター)とを備えたチョッパーであって、固定プレートの押出穴を通過できない骨片類を排出する排出口を、固定プレートの中央部付近に設けている。骨片類の排出口には排管が連結され開閉バルブを介して排出パイプに至る構成である。
【0003】
その他に骨片類除去装置として、固定プレートの押出穴を通過できない骨片類を排出する排出口を前記ナイフの外周近くのシリンダーの周壁に設けたものも知られている。
【特許文献1】特開昭56−158159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のような従来のチョッパーにおける骨片類除去装置における骨片類の排出流路に取付けられる開閉バルブは流体用の市販品が転用されることが多く、該市販品の開閉バルブは、骨片類を対象としたものでないので調節位置の保持機能および洗浄性において充分ではなかった。
また、骨片類の排出口を前記ナイフの外周近くのシリンダーの周壁に設けたものにおいては、固定プレートの押出穴を通過できない骨片類を迅速に排出口に誘導することが難しく、シリンダー内に停滞する骨片類をナイフが持ち回ってミンチが押出穴を通過することを妨げるので、効率低下や肉質を損ねる原因となっていた。
【0005】
本発明は前述のような問題点を改善するためになされたものであって、確実に調節位置が保持できるとともに洗浄性にも優れ、かつ、骨片類の排出が迅速に行われることによりミンチの押出効率がよく、肉質の低下が少ない骨片類除去装置付チョッパーを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、シリンダー内に装備されて食肉を圧送するスクリューと、シリンダーの開口部に装着された多数の押出穴を有する固定プレートと、該固定プレートの内面に摺接しながら回転するナイフとによって食肉をミンチに加工するチョッパーであって、前記固定プレートの押出穴を通過できない骨片類の排出口が、前記ナイフ外周近くの前記シリンダーの周壁に設けられ、排出口には骨片類を機外に排出する排出管が連結されている骨片類除去装置付チョッパーにおいて、該排出管の中途に、骨片類の排出量を調節する回転弁を介装するが、該回転弁のケースは筒状とされ、該ケースには、弁棒と契合して弁棒を回動させる調節レバーを調節位置に保持する固定装置と、弁棒が取り出せるように開放可能なカバーとが装備されていることを特徴とする骨片類除去装置付チョッパーの構成とした。
【0007】
請求項2の発明においては、シリンダー内に装備されて食肉を圧送するスクリューと、シリンダーの開口部に装着された多数の押出穴を有する固定プレートと、該固定プレートの内面に摺接しながら回転するナイフとによって食肉をミンチに加工するチョッパーであって、前記固定プレートの押出穴を通過できない骨片類の排出口が、前記ナイフ外周近くの前記シリンダーの周壁に設けられた骨片類除去装置付チョッパーにおいて、前記固定プレートの中央部付近から排出口に向けて骨片類を誘導する案内溝を、前記ナイフの回転方向に傾斜させて前記固定プレートの内面に刻設したことを特徴とする骨片類除去装置付チョッパーの構成とした。
【発明の効果】
【0008】
該排出管の中途に介装される骨片類の排出量を調節する回転弁は、回転弁のケースが筒状とされ、弁棒と契合して弁棒を回動させる調節レバーを調節位置に保持する固定装置が装備されているので 作業中において操作レバーを調節位置に確実に保持できる。
【0009】
また、ケースには、弁棒が取り出せるように開放可能なカバーが装備されているので、作業終了時においては、カバーを外して弁棒を単体で取り出し、弁棒自体とケースの内部は勿論、排出管内もケース内面の開口部から注水することで洗浄ができるので衛生的である。
【0010】
請求項2の発明によれば、固定プレートの押出穴を通過できない骨片類の排出口が、前記ナイフ外周近くの前記シリンダーの周壁に設けられた骨片類除去装置付チョッパーにおいて、前記固定プレートの中央部付近から排出口に向けて骨片類を誘導する案内溝を、前記ナイフの回転方向に傾斜させて前記固定プレートの内面に刻設したので、骨片類はナイフの回転に伴ない案内溝に沿って排出口まで誘導されて迅速に排出されるので、ミンチの押出効率の低下や練れなどによる肉質の低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図面を参照しながら本発明装置に係る骨片類除去装置付チョッパーの一実施例における構成について説明する。図1が前記実施例の要部を示す一部を破断した側面図、図2が図1の正面図、図3が図1のA−A′線における一部を破断した図面であって、図4は本発明に係る固定プレートの内面を示す図面である。
【0012】
本発明に供されるチョッパー自体は公知のものであって、詳細は図示されていないが、先端部に開口部を有するシリンダー1と、シリンダー1内に横架されて食肉を圧送するスクリュー3とシリンダー1の開口部に装着された多数の押出穴2aを有する固定プレート2と、固定プレート2の内面に摺接しながら回転するナイフ4によって食肉をミンチに加工する。
なお、6は、固定プレート2の外周に設けられた溝部に嵌め込まれて、固定プレート2の回動を阻止するための固定ピンであって、シリンダー1の内壁に一部が保持されている、
【0013】
上述のような構成のチョッパーに、本発明に係る骨片類除去装置が装備されるが、本実施例においては、前記固定プレート2の押出穴2aを通過できない骨片類を排出する排出口5は、前記ナイフ4の外周近くの前記シリンダー1の周壁の一部に設けられている。
【0014】
本発明に係る上記実施例の構成について図1、図2に基づいて説明する。前記ナイフ4の外周近くのシリンダー1の周壁の一部に設けられた排出口5には、鋼製などの管材からなる排出管7が、排出管7の先端に一体的に形成されたフランジ7aをねじ止めすることによって取着される。排出管7の中途には、骨片類の排出量を調節する回転弁8が配設され、さらに図2に示すように先端にはプラスチックス製などの可撓性パイプ7bが継ぎ足されて所定の位置まで骨片類を排出する排出流路が形成される。
【0015】
前記回転弁8は、シリンダー1に比較的近い排出管7の中途に設けられる。図2に示すように回転弁8を構成するケース11は筒状であって、該ケース11の周壁に貫通された骨片類の入、出口が排出管7の流路と連通した構成であって、排出管7によってケース11が支持された構成とされている。
【0016】
ケース11内には、図3に示めすように、排出管7の流路に略合致する断面形状を有する排出溝9aが外周部に刻設された丸棒からなる弁棒9が、前記排出溝9aを排出管7の流路と連通させて回動可能に緩装されている。また、該弁棒9の一端には契合突起9bが突設されている。
【0017】
ケース11には、一端に前記契合突起9bに契合する契合凹部14bが形成された契合ピン14が、弁棒9の回動軸と同心で回動できるよう支持されている。該契合ピン14の他端には、リング状のナット13が嵌め込まれて締付ナット14cによって一体的に固着されている。なお、前記ナット13はケース11内に回動可能に緩装された状態とされていて、外周から中心部に向けて雌ねじ13aが刻設されている。
【0018】
前記弁棒9を回動させる調節レバー12の基部には、雄ねじが創設されていて、該雄ねじ部をケース11に開口されたガイド溝11aから挿通して前記ナット13に刻設されている雌ねじ13aに螺合させ、調節レバー12の突端に固着されたハンドル12aを締付け方向に回動させて前記調節レバー12を調節位置に固定し保持する構成である。
【0019】
前記ケース11の一端には、図1および図3に示されるように、弁棒9が機外に取り出せるように開放可能なカバー10が取着されている。カバー10は、キャップ状に形成され内壁に雌ねじが、ケース11の外周には雄ねじがそれぞれ創設され、カバー10はケース11に対して脱着自在とされている。
【0020】
前述のように構成された本実施例においては、ハンドル12aを回動させて調節レバー12とナット13との締め付けを弛めてから、調節レバー12を回動させると互いに連結状態にあるナット13および契合ピン14が同時に回動され、前記契合部を介して弁棒9が回動される。
【0021】
弁棒9が回動されると、排出管7の流路内における弁棒9に刻設された排出溝9aの位置が移動する。すなわち、排出管7の流路が図2における実線で表示された直通状態となる全開位置から矢印方向に弁棒9が回動されることによって徐々に前記流路が狭められながら仮想線表示の全閉位置迄に至る。
【0022】
このように調節レバー12によって弁棒9を回動させて排出管7の流路の広さを変更して排出される骨片類の排出量を調節する。
【0023】
次に、図4に基づき本発明に係る実施例における固定プレート2の詳細を説明する。固定プレート2は、中央部にボス部が突設された円盤状に形成されていて、該ボス部にはスクリュー3の先端を支持する支持穴2bが貫通されるとともにボス部の周辺から外周に向けて多数の押出穴2aが穿れている。
【0024】
固定プレート2の内面(ナイフ4との摺接面)には、固定プレート2の中央部付近から排出口5に向けて骨片類を誘導する案内溝2cが刻設されている。案内溝2cは、図1に断面表示されたように固定プレート2内面の表面から適宜深さ彫り込んで形成された溝状であって、固定プレート2の中央部付近を始端として排出口5近くに位置する固定プレート2の外周端部まで、ほぼ直線的に延設されている。しかも、図4に仮想線表示したナイフ3の回転方向(矢印方向)に向けて適宜傾斜させ、ナイフ3の回転移動に伴なう骨片類の刃先による外周方向への誘導効果を助長している。
【0025】
前記案内溝2cの終端部と排出口5とは、図4に示すように互いに接近させて配置することが望ましい。また、排出口5は、ナイフ4の回転方向における固定ピン6の下流側直下に位置させると、ナイフ4の外周辺を移動している骨片類が固定ピン6によりせき止められて、排出口5に流れ込み易いので好ましい。
【0026】
前述のように構成された骨片類除去装置付チョッパーを用いて、食肉をミンチに加工する場合、固定プレート2の押出穴2aを通過できない骨片類は、回転するナイフ4の刃先によって固定プレート2に刻設された案内溝2cに沿って排出口5まで誘導され排出管7内に押し込まれ回転弁8を経由して機外に排出される。
【0027】
この場合、食肉内の骨や筋など骨片類の混在程度やチョッパーから押し出されるミンチの状態により調節レバー12を回動させて骨片類の排出量を適正に調節する。即ち、食肉内に多くの骨や筋など骨片類が混在する場合には、ハンドル12aを回転させて調節レバー12とナット13とのねじによる固定状態を解いてから、排出流路が広くなるように調節レバー12を移動させて骨片類を多く排出させるようにする。この際、必要以上に流路を広くすると良品のミンチが骨片類に混入して排出され製品歩留まりを低下させることになるので注意を要する。
【0028】
また、前記流路を絞って極端に排出量を減らすと停滞した骨片類をナイフ4が持ち回り、固定プレート2の押出穴2aが塞がれる状態となるので、ミンチの押出し効率が低下するばかりでなく、肉温が上昇して肉に練れ現象が起こり肉質を損なうおそれがある。
【0029】
前記回転弁8による骨片類の排出量の調節方法の一つとして、作業中は常時、排出流路を閉鎖状態としておき、適宜瞬間的に開放して流路に停滞していた骨片類を一気に排出する方法がある。この場合、閉鎖状態の流路に停滞する骨片類に混在する少量のミンチが、後続の骨片類の進入によって押し戻されてシリンダー1内に還元されるので、製品歩留まりが向上することが期待できる。
【0030】
作業終了後には、各部の清掃を行うが、とくに、肉類が接触する箇所は念入りに洗浄しなければならない。本発明に係る骨片類除去装置における骨片類の排出部の洗浄に当たっては、まず、ケース11のカバー10を外し、弁棒9を抜き取る。弁棒9は、契合ピン14の一端に設けられた契合部に接離自在に契合されているので簡単に抜き取ることができる。
【0031】
外したカバー10および抜き取った弁棒9は、それぞれ単体で充分に洗浄するとともにケース11の内部についても洗浄水を注ぎ洗浄する。排出管7の流路内にもケース11内に開口している入、出口から注水して排出流路内に洗浄水を流して汚れを落とす。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明に係る技術は、前述のように、食肉内に混在する軟骨や筋などの骨片類の除去装置として公知のチョッパーへ容易に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る骨片類除去装置付チョッパーの要部を示す一部を破断した側面図。
【図2】図1の一部を破断した正面図。
【図3】図1のA−A′線における一部を破断した図面。
【図4】本発明に係る固定プレートの内面を示す図面。
【符号の説明】
【0034】
1 シリンダー
2 固定プレート
2a 押出口
2c 案内溝
3 スクリュー
4 ナイフ
5 排出口
7 排出管
8 回転弁
9 弁棒
9a 排出溝
9b 契合突起
10 カバー
11 ケース
12 調節レバー
13 ナット
14 契合ピン
14a 契合凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダー内に装備されて食肉を圧送するスクリューと、シリンダーの開口部に装着された多数の押出穴を有する固定プレートと、該固定プレートの内面に摺接しながら回転するナイフとによって食肉をミンチに加工するチョッパーであって、前記固定プレートの押出穴を通過できない骨片類の排出口が、前記ナイフ外周近くの前記シリンダーの周壁に設けられ、排出口には骨片類を機外に排出する排出管が連結されている骨片類除去装置付チョッパーにおいて、該排出管の中途に、骨片類の排出量を調節する回転弁を介装するが、該回転弁のケースは筒状とされ、該ケースには、弁棒と契合して弁棒を回動させる調節レバーを調節位置に保持する固定装置と、弁棒が取り出せるように開放可能なカバーとが装備されていることを特徴とする骨片類除去装置付チョッパー。
【請求項2】
シリンダー内に装備されて食肉を圧送するスクリューと、シリンダーの開口部に装着された多数の押出穴を有する固定プレートと、該固定プレートの内面に摺接しながら回転するナイフとによって食肉をミンチに加工するチョッパーであって、前記固定プレートの押出穴を通過できない骨片類の排出口が、前記ナイフ外周近くの前記シリンダーの周壁に設けられた骨片類除去装置付チョッパーにおいて、前記固定プレートの中央部付近から排出口に向けて骨片類を誘導する案内溝を、前記ナイフの回転方向に傾斜させて前記固定プレートの内面に刻設したことを特徴とする骨片類除去装置付チョッパー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−44024(P2007−44024A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−257019(P2005−257019)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(000152815)株式会社日本キャリア工業 (61)
【Fターム(参考)】