説明

骨組織に対して工具を操作し神経要素を検知するための装置および方法

医療治療を実現するための装置(60)は、骨組織に対して作動するように構成される工具部(62)、工具部(62)を操作するハンドル部(61)、および神経要素を検知するための神経監視システム(30)を含む。工具部(62)は導電部材(83)および非絶縁先端(67)からなる絶縁軸(66)を含む。軸(66)は非絶縁先端(67)に対する電気信号を担持する。工具部(62)に取り外し可能で作動可能に接続されるハンドル部(61)は、工具部(62)を操作するための作動システムを組み込む。さらに神経監視システム(30)は先端(67)と連結し、先端(67)の電気信号の特性の関数として神経要素を検知するように作動可能である。神経要素を検知すると、神経監視システム(30)は、ハンドル部(61)の作動システムに信号を提供し、作動システムに工具部(62)の作動モードを変更するように指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
特に患者の身体の病気に冒された領域において、手術は、患者にとって痛みを伴い外傷性のものになりうる。背骨の固定を実現するために、必然的な処置はしばしば患者の脊椎の椎骨の椎弓根に穴を形成し、この穴に椎弓根スクリューを挿入することを包含する。椎弓根スクリューは、強固で安定性を実現する点で有利であるが、脊椎に穴を形成し椎弓根スクリューを配置する際に神経を侵すことのないように注意を払わなければならない。任意の神経要素を同時に監視し位置を特定するために採られる手段により、穴の形成およびねじの挿入を容易にすることができる。
【背景技術】
【0002】
神経を曝す骨組織の開口のような欠損部の位置を特定することは困難でありうる。いくつかの処置は、骨組織のある領域で神経の位置を特定するために電気刺激に対する筋肉反応を監視することを包含する。神経の位置が特定されず、ねじが曝された神経に接触する場合、ねじが神経を侵すまたは神経根に近づきすぎ、痛み、および他の影響を患者にもたらす恐れがある。穴の形成およびねじの挿入工程の際に神経要素の位置を特定することは、このような外科的処置を容易にすることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
椎弓根に穴を形成するおよび/またはその中にねじを挿入する際、神経要素の位置を特定するために使用することができる器具および方法に対する要望がある。本発明は、とりわけこれらの要求を満たすことを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様によると、骨組織に対して作動するように構成された工具部、工具部を操作するためのハンドル部および神経要素を検知するための神経監視システムを備える装置が提供される。工具部は、導電性部材および非絶縁先端からなる絶縁軸を含む。軸は、非絶縁先端に対する電気信号を担持する。工具部に取り外し可能で作動可能に接続されるハンドル部は、工具部を操作するための作動システムを組み込む。さらに神経監視システムはハンドル部に接続され、先端での電気信号の特性の関数として神経要素を検知するように作動可能である。神経要素を検知すると、神経監視システムはハンドル部の作動システムに信号を提供し、作動システムに工具部の作動モードを変更するように指示する。
【0005】
別の態様は、骨組織に対して作動するように構成された工具部、および工具部に取り外し可能で作動可能に結合され、工具部を回転させるためのシステムを含むハンドル部を備える装置を包含する。工具部は、伸長された絶縁軸、およびこの軸の遠位端に非絶縁先端を含む。軸は導電性部材からなる。ハンドル部の作動システムは、工具部の先端での電気信号を介する神経要素の検知に応答して、工具部の作動モードを変更するように作動可能である。
【0006】
さらに別の態様は、作動システムを組み込むハンドル部を提供すること、および工具部をハンドル部に接続することを含む方法を包含する。工具部は、絶縁軸および非絶縁先端を含む。さらに作動システムは、工具部が長手軸の周りを回転するように作動可能である。方法はさらに、ハンドル部に作動可能に接続される神経監視システムを提供すること、先端に電気信号を提供すること、および骨組織に対して工具部を回転させることを含む。神経監視システムは、電気信号の関数として神経要素の検知の指示を提供する。骨組織の神経要素を検知すると、神経監視システムは、工具部の回転を停止させるためにハンドル部の作動システムに信号を送る。
【0007】
別の態様は、工具部、ハンドル部および神経監視システムを備えるシステムを包含する。工具部は、長手軸に沿って延在する絶縁軸および非絶縁先端を含む。ハンドル部は、工具部に作動可能に回転可能に結合され、ハンドル部に対して工具部を回転させるように構成される。神経監視システムは、工具部の先端に近接した神経要素を検知するために先端に電気信号を提供するために、工具部に電気的に結合される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の原理の理解を促進する目的で、図面および特定の言語で示す実施形態について次に行われる参照は、これらを記載するために使用される。それでもなお、図示の装置の改変およびさらなる変更、および本発明に関連する当業者が通常思いつくように予想される本明細書に示される本発明の原理のさらなる適用など本発明の範囲を限定するものはこれによって意図されないことを理解されたい。
【0009】
医療治療を行う装置は、骨組織に対して作動するように構成される工具部、工具部を操作するハンドル部、および神経要素を検知する神経監視システムを含む。工具部は、導電性部材および非絶縁先端からなる絶縁軸を含む。軸は非絶縁先端に対する電気信号を担持する。工具部に取り外し可能で作動可能に接続されるハンドル部は、工具部を操作するための作動システムを組み込む。さらに、神経監視システムはハンドル部に接続され、先端での電気信号の特性の関数として神経要素を検知するように作動可能である。神経要素を検知すると、神経監視システムは、信号をハンドル部の作動システムに提供し、作動システムに工具部の作動モードを変更するように指示する。
【0010】
図1は、医療装置、および医療治療を行うように構成される関連の機器を含むシステム20を示す。システム20は、脊柱Bの1つまたは複数の脊椎骨の椎弓根に穴を形成し骨ねじを挿入するように構成される。さらにシステム20は神経の監視を行い、神経要素を検知すると、穴を形成するまたはねじを挿入する装置の作動モードを変更するように構成される。作動モードを変更することは、神経要素を検知した際、工具部の回転を停止させることおよび/または工具部を逆回転させることを含み、骨組織から装置を取り外すことを可能にすることができる。
【0011】
システム20は神経監視システム30、接続リンク50、および医療装置60を含む。装置60は概ね長手軸Lに沿って延在し、ハンドル部61および工具部62を含む。神経監視システム30は、接続リンク50によって装置60に結合される、または装置60に組み込まれる機器31を含む。装置60は、図1に概略的に示されるように、人間の患者または検体の脊柱Bの椎弓根に対して作動するように構成される。好適なシステム30の一例は、メドトロニック社(Medtronic,Inc.)によって市販されているNIM−スパイン(NIM−Spine)(商標)システムである。
【0012】
機器31は、使用中患者の外部にある操作者入力装置32、操作者表示装置34、およびシステム20の操作者に使用される他の様々な機器を含んでよい。入力装置32は、英数字のキーボードおよびマウス、または標準的種類の他のポインティングデバイスを含んでよい。代替的にまたは付加的に、音声入力サブシステム、または当業者が思いつくであろう種々のタイプなどの1つまたは複数の他の入力装置を使用することができる。操作者表示装置34は、ブラウン管(CRT)タイプ、液晶表示(LCD)タイプ、プラズマタイプ、有機発光ダイオード(OLED)タイプ、または当業者が思いつくであろうような種々のタイプでありうる。代替的にまたは付加的に、プリンター、1つまたは複数のスピーカー、ヘッドフォン、または当業者が思いつくであろうような種々のタイプなどの1つまたは複数の他の操作者出力装置を使用することができる。神経監視システム30はまた、2、3例を挙げるとローカルエリアネットワーク(LAN),都市域ネットワーク(MAN)および/またはインターネットなどの広域ネットワーク(WAN)などのコンピュータネットワークに接続するのに適した1つまたは複数の通信インターフェース、医療診断装置、他の治療装置、医療撮像装置、携帯情報端末(PDA)装置、デジタルカメラもしくはビデオカメラ、および/または音響装置を含むことができる。神経監視システム30は、操作者の制御の下で他の情報を示すように構成することができる。
【0013】
機器31はまた、システム20に関する信号およびデータを処理するための処理サブシステム40を含んでよい。サブシステム40は、アナログインターフェース回路42、デジタル信号処理装置(DSP)44、データ処理装置46およびメモリ48を含んでよい。アナログインターフェース回路42は、DSP44からの信号を制御するように応答して、装置60に対応するアナログ刺激信号を提供することができる。アナログインターフェース回路42およびDSP44のうち少なくとも1つは、1つまたは複数のデジタルアナログ変換器(DAC)、および1つまたは複数のアナログデジタル変換器(ADC)を含み、以下でより詳細に記載する方法でシステム20の操作を容易にすることができる。処理装置46は、双方向にそれと通信することができるようにDSP44に結合され、選択的に表示装置34に出力を提供し、選択的に操作者入力装置32からの入力に応答することができる。
【0014】
DSP44および/または処理装置46は、プログラム可能タイプ、専用のハードワイヤード状態の機械またはこれらの組み合わせでありうる。DSP44および処理装置46は、ソフトウェアプログラム指示、ファームウェア、専用ハードウェア、これらの組み合わせ、または当業者が思いつくであろう種々の方法で定義されうる操作論理に従って動作する。DSP44または処理装置46のプログラム可能な形態に関して、この操作論理の少なくとも一部がメモリ48に記憶された指示によって定義されうる。DSP44および/または処理装置46のプログラミングは、標準の静的タイプ、神経系ネットワーキング、専門家支援学習、ファジー論理などによって実現する適合タイプ、またはこれらの組み合わせでありうる。
【0015】
メモリ48は処理装置46に関連して示されるが、メモリ48はDSP44および処理装置46のうちの1つまたは両方から分離している、あるいは少なくとも部分的に含まれてよい。メモリ48は、少なくとも1つの取り外し可能メモリ装置(RMD)48aを含む。メモリ48は固体種類、電磁種類、光学的種類、またはこれらの形態の組み合わせでありうる。さらにメモリ48は、揮発性、不揮発性またはこれらのタイプの混合でありうる。メモリ48は少なくとも部分的に回路42、DSP44および/または処理装置46に組み込まれてよい。RMD48aは、フロッピー(登録商標)ディスク、カートリッジまたはテープ形態の取り外し可能電磁記録媒体、CDまたはDVDタイプなどの光ディスク、電気的再プログラム可能の固体タイプの不揮発性メモリ、および/または当業者が思いつくであろう種々の種類でありうる。さらに他の実施形態でRMD48aは存在しない。
【0016】
回路42、DSP44および処理装置46は、本明細書で記載されるように作動するのに好適な任意のタイプの1つまたは複数の構成要素からなってよい。さらに、回路42、DSP44および処理装置46のすべてのまたは任意の部分は、共通の装置内に共に組み込まれるおよび/または複数の処理ユニットとして実現されうることを理解されたい。DSP44または処理装置46の複数の処理ユニット形態に関して、分散型の、パイプライン式のおよび/または平行な処理を必要に応じて使用することができる。一実施形態で、回路42はDSP44の専用集積回路形態に結合される1つまたは複数の構成要素として設けられ、処理装置46は、標準バス接続にわたってDSP44とインターフェース接続する1つまたは複数の汎用中央処理ユニットの形態で設けられ、メモリ48はDSP44および処理装置46内に統合される専用メモリ回路、およびRMD48aの取り外し可能ディスク形態を含む1つまたは複数の外部メモリ構成要素を含む。回路42、DSP44および/または処理装置46は、以下により詳細に記載する方法でシステム20を作動するために、1つまたは複数の信号フィルタ、制限器、発振器、形式変換器(DACまたはADCなどの)、電源、または必要に応じて他の信号操作者もしくは調整者を含むことができる。
【0017】
一実施形態で、接続リンク50は、近位端52aおよび反対側の遠位端52bを有する可撓性ケーブルの形態のリンク52を含む。コネクタ54は、神経監視システム30の機器31に電気的に接続される。リンク52は、近位端52aのコネクタ54から、装置60に接続される遠位端52bまで延在する。接続リンク50はリンク52に加えてまたは代替として、1つまたは複数の電線、コード、電線のないリンク、赤外線構成要素、ブルートゥースまたは他の通信リンクを含める形態を含めてよい。さらに2、3例を挙げると内視鏡システム、カテーテル法システム、撮像システム、照明システムおよび/またはビデオカメラシステムなど他の構成要素、装置およびシステムをシステム20に組み込むことができることを理解されたい。接続リンク50および装置60は、明確さを高めるために示さないが、開創器、管、スリーブ、防護材、微小切開または他の構成要素のうち1つまたは複数を含んでよい外科処置において、脊柱Bに向かっておよびそこから離れるように可動である。
【0018】
図1および3において、工具部62は、骨固定具を収容する穴を形成するために骨物質を切開し、取り除くためにドリルとして使用するのに好適な形状を含む。図2Aおよび2Bは、工具部62の構成要素の代替の実施形態の図を示す。例えば工具部62は雌ねじ切り工具63(図2A)またはねじ回し64(図2B)でありうる。それぞれの工具部62は一般にその近位端に万能コネクタ65、軸66、および遠位端に非絶縁先端67を含む。万能コネクタ65はハンドル部61と解放可能に接続するために任意の好適な形状を含んでよい。図示の実施形態で、雌ねじ切り工具63は骨固定具のねじ部を収容するためのねじ切り穴パターンを形成するように構成されるねじ切り頭部68をその遠位端に含む。ねじ回し64は、ねじ、ボルト、または回転力の適用で椎弓根に移植される他の装置にまたはその周りに配置するのに好適な任意の形状を含みうるねじ回し頭部69をその遠位端に含む。
【0019】
先端67は、脊柱Bに対して機能する他の任意の切開または切除工具でありうることを理解されたい。図示の実施形態で工具部62は、長手軸Lの周囲で概ね円筒形に成形される。万能コネクタ65および軸66は、隣接する組織または装置にそこを通って送達される電気の分流を防ぐためのその周りの絶縁部材または被覆を備える導電物質からなる。先端67は、隣接する骨組織に曝され神経の近接を検知するための電気信号を担持するために絶縁にはされない。
【0020】
図3は、装置60の一実施形態の構成要素、および脊柱Bの節70の脊椎骨71に対する装置60の関係を示す。ハンドル部61は概ね円筒形に成形され、長手軸Lの周囲に伸長される。ハンドル部61は一般にシステム20の作動中、機能を実行するための作動システムまたは一組の作動機器を含む。ハンドル部61は、導電性軸83を囲繞する絶縁部材、または被覆からなる。周囲の絶縁部材または被覆によってハンドル部61の操作が可能になり、隣接する組織または装置にそこを通って送達される電気が分流するのを回避する。
【0021】
一実施形態でハンドル部61は、回路84、ならびに軸83、および長手軸Lの周りで軸に結合される工具部62を回転させるために作動するモータ85を担持する。軸83はその遠位端に回転可能な結合部材86を含み、工具部62の万能コネクタ65と作動可能に接続する。ハンドル部61および工具部62は、例えばインターフェース嵌合、締め具、チャックおよびボール戻り止め機構を含む任意の適切な手段によって、作動可能、回転可能に電気的に共に結合されうることを理解されたい。さらにハンドル部61は、工具部62がそこに結合される際指示を与えるように作動可能でありうる。装置60はさらに脊椎骨71の骨組織の領域を照らす、または脊椎骨71の骨組織の穴72に明かりを提供するために照明組立体87を含みうる。照明組立体87は取り外し可能のクリップ式要素を含みうる、またはハンドル部61と共に一体式ユニットとして形成されうる。
【0022】
工具部62は、工具部62の近傍の神経要素の位置を特定するために電気信号の供給源と電気係合して実現することができる。例えば、接続リンク50から分離してまたはその一部としてのいずれかで電流の供給源と結合するために、電気リード線が工具部62からハンドル部61を通って神経監視システム30まで延在することができる。先端67に送達される電流によって、電気信号に対する神経要素の近接および反応を基にした神経要素の監視および検知が可能になる。図3に示す一実施形態で、工具部62は、使用中穴72を形成するように構成されるドリルである。穴72を形成する際、先端67は、穴72の形成中、先端67に対する骨組織の神経要素の近接の指示を提供する電気信号を担持する。他の実施形態は、穴72をねじ切りする際、および穴72に固定具を挿入する際神経の近接の検知を可能にする工具部を企図する。神経要素を検知するための外科的探針および処置の一例は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるNeubardtの米国特許第5、474、558号に提供されている。図2において、ハンドル部61は円筒形の形態で示されている。図4Aおよび4Bは、ハンドル部61と共に使用するための代替のハンドル形状を示す。例えばハンドル90は、ハンドル部91を取り外し可能に収容する、またはハンドル部91と共に一体式に形成されるピストル形グリップ部91を備える。ピストル形グリップ部91は、使用者が工具部62の操作を調整するのを容易にし、外科処置の際所望の位置にハンドル部61を配置し維持するのを容易にするハンドル部61に作動可能に結合される引金93を含む。図4Bにおいてハンドル92は、ハンドル部61に枢動的に結合されるピストル形グリップ部96を備えるピストル形グリップ形状を含む。枢動接続により、グリップ部96に対するハンドル部61の位置を変え、外科的進入、工具部、およびハンドル部61と共に使用される器具を収容するために必要とされうるような外科処置の際、器具の制御および移動を容易にすることが可能になる。
【0023】
図1〜4を全体的に参照すると、システム20の作動は、万能コネクタ65をハンドル部61の結合部材86と係合させることによって、ハンドル部61に選択された工具部62を装着することを含む。一実施形態で、脊椎の節70の脊椎骨71の椎弓根内の組織の領域である骨組織の領域に対して外科的進入が行われる。神経監視システム30は工具部62の先端67に電気信号を提供する。回路84およびモータ85は工具部62が長手軸Lの周りを回転するように作動可能である。一実施形態で工具部62の回転は、骨組織の除去を容易にするために比較的低速で比較的高いトルクで生じるので、穴72の形成、ねじ切り、または固定具の挿入の際、工具部が骨組織内に急速に進行するのを防ぐ。
【0024】
一実施形態で、先端67の電気信号は穴72を囲繞する組織に電気刺激を与え、神経刺激に応答する患者は、神経要素閾値に到達したかどうか判定するために監視される。閾値は、例えば神経要素の存在、および先端67に対するその近接の指示に対応しうる。別の実施形態で、先端67が神経要素付近またはそこに近接して配置されると、特定の状況では、神経要素の存在が先端67に担持される信号のための電流経路を形成する。電流経路は、神経監視システム30に神経要素の存在の指示を提供し、次いでこの指示に基づいて外科医が修正処置をとることができる。換言すれば、神経要素閾値の検知は先端67での電気信号の関数として生じ、患者の反応、または閾値での特定の示度を誘発する。閾値は、装置60の作動モードを変更する、神経監視システム30から装置60への信号を生じさせる。
【0025】
一実施形態で、先端67の所定の近接内で神経要素を検知すると、神経監視システム30は、ハンドル部61のモータ85の作動を停止させる回路84に信号を送り、工具部62の回転を停止させるように作動可能である。したがって、システム20は工具部62の回転および作動を自動的に停止させるように作動して、工具部または固定具が骨組織へさらに進行するのを回避する。別の実施形態で、骨組織から工具部62を引き抜くまたは後退させるのを容易にするために、回路84は停止信号を受信すると自動的に工具部62の回転方向を逆向きにする。神経要素が検知されない場合、工具部62の作動は穴形成および/または骨ねじ挿入が完全に完了するまで継続する。
【0026】
一実施形態で、工具部62は特定の使用の後、再利用のためにオートクレーブ可能である。別の実施形態で、工具部62はそれぞれの使用後使い捨てであり、異なる工具部62は、システム20の更なる作動のためにハンドル部61に挿入される。さらに別の実施形態で、全装置60は、使い捨てである。別の実施形態で、神経監視システム30はシステム20に存在せず、ハンドル部61内の作動システムが神経要素を検知し、工具部62の作動を停止させるために回路84に信号を提供するように作動可能である。他のステップまたは段階をシステム20の作動手順に組み込むことが可能であり、またはシステム20の作動のステップは外科的処置を完全にするために別に構成することができることを理解されたい。
【0027】
本発明を図面および前述の記載において詳細に示し記載してきたが、これらは例示として考えられるべきであり、特徴を限定するものではない。本発明の精神内で起こるすべての変更および修正は保護されることを望まれる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、医療システムの概略図である。
【図2A】ハンドル装置への装着の一実施形態の概略図である。
【図2B】ハンドル装置への工具装着の別の実施形態の概略図である。
【図3】脊椎の節に対する工具およびハンドル装置の部分概略図である。
【図4A】別の実施形態のハンドル装置の概略図である。
【図4B】別の実施形態のハンドル装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨組織に対して作動するように構成される工具部であって、長手方向軸線に沿って延び非絶縁先端を有する導電性部材を備える絶縁軸を含み、前記軸が前記先端に対する電気信号を送る、工具部と、
前記工具部に取り外し可能に且つ作動可能に結合され、前記工具部を操作するための作動システムを含む、ハンドル部と、
前記ハンドル部に接続される神経監視システムであって、前記電気信号の関数として神経要素閾値を検知するように作動可能であり、前記神経要素閾値を検知すると、前記ハンドル部の前記作動システムに信号を提供して前記工具部の作動モードを変更するように作動可能である神経監視システムと、
を備える装置。
【請求項2】
前記作動システムは、前記ハンドル部内でモータに作用するように結合される回路を含む、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ハンドル部は、前記長手方向軸線に沿って延びる細長い円筒形本体を含む、請求項1記載の装置。
【請求項4】
前記作動モードには、前記工具部の回転を停止することを含む、請求項1記載の装置。
【請求項5】
前記工具部は、骨組織に穴を形成するためにドリルを含む、請求項1記載の装置。
【請求項6】
前記工具部は、骨組織の穴に固定具を挿入するためにねじ回しを含む、請求項1記載の装置。
【請求項7】
前記工具部は、雌ねじ切り工具を含む、請求項1記載の装置。
【請求項8】
前記作動モードの前記変更は、前記長手方向軸線の周りの前記工具部の回転の方向を逆にすることを含む、請求項1記載の装置。
【請求項9】
前記工具部の前記絶縁軸は、近位端および前記近位端の反対側の遠位端を含み、
前記遠位端は、前記非絶縁先端を含み、
前記絶縁軸は、前記近位端のところに、前記ハンドル部にぴったりと受け入れられる万能コネクタを含む、請求項1記載の装置。
【請求項10】
骨組織の領域に明かりを提供するために、前記ハンドル部に取り外し可能で且つ作動可能に接続される照明組立体をさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項11】
骨組織が脊椎の椎弓根内にある、請求項1記載の装置。
【請求項12】
前記ハンドル部を前記神経監視システムに電気的に結合するための接続リンクをさらに備える、請求項1記載の装置。
【請求項13】
前記ハンドル部は、該ハンドル部から延びるピストル形グリップ部を含む、請求項1記載の装置。
【請求項14】
前記ピストル形グリップ部は、前記ハンドル部に枢動するように結合される、請求項13記載の装置。
【請求項15】
前記ピストル形グリップ部は、前記ハンドル部に取り外し可能に結合される、請求項13記載の装置。
【請求項16】
前記ハンドル部は円筒形である、請求項1記載の装置。
【請求項17】
前記神経要素閾値が前記先端に対する前記神経要素の近接を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
骨組織に対して作動するように構成される工具部であって、細長い導電性の絶縁軸、および前記軸の遠位端に設けられる非絶縁先端を含む工具部と、
前記工具部に取り外し可能に且つ作動可能に結合されるハンドル部であって、前記工具部の長手方向軸線の周りに前記工具部を回転させるためのシステムを含み、前記システムが、前記電気信号の関数として神経要素閾値の検知を示す信号に応答して前記工具部の作動モードを自動的に変更するように作動可能である、ハンドル部と、
を備える装置。
【請求項19】
前記システムは、前記工具部を回転させるように作動可能なモータを含む、請求項18記載の装置。
【請求項20】
前記工具部は、骨固定具に対して係合可能なねじ回しである、請求項18記載の装置。
【請求項21】
前記工具部は、骨組織内に穴を形成するためのドリルである、請求項18記載の装置。
【請求項22】
骨組織の領域を照らすために前記ハンドル部に結合される照明組立体をさらに備える、請求項18記載の装置。
【請求項23】
前記工具部は、骨組織内の穴にねじ山を形成するための雌ねじ切り工具である、請求項18記載の装置。
【請求項24】
作動システムを組み込むハンドル部を設けるステップと、
前記作動システムがその長手方向軸線の周りを工具部が回転するように作動可能であり絶縁軸および非絶縁先端を含む前記工具部を、前記ハンドル部に接続するステップと、
前記工具部に神経監視システムを作動可能に接続するステップと、
前記先端に電気信号を提供するステップと、
前記工具部を骨組織に対して回転させるステップと、
前記神経監視システムによって実行される、前記電気信号の関数として神経要素閾値を検知するステップと、
前記神経監視システムからの前記ハンドル部内の前記作動システムに送られる信号の結果として、骨組織内で前記神経要素閾値を検知すると前記工具部の回転を停止するステップと、
を備える方法。
【請求項25】
前記作動システムは、回路、および前記長手方向軸線のまわりを前記工具部が回転するように作動可能なモータを含む、請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記工具部は、ドリル、雌ねじ切り工具およびねじ回しからなる群から選択され、かつ、
前記工具部は、前記先端の反対側に、前記ハンドル部にぴったりと受け入れられる万能コネクタを含む、請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記神経要素を検知すると前記工具部の回転を逆にするステップを更に含み、該ステップは、前記ハンドル部の前記作動システムによって実行される、請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記骨組織は椎弓根内にある、請求項24記載の方法。
【請求項29】
前記ハンドル部に結合され、骨組織の領域を照らすための照明組立体を設けるステップをさらに含む、請求項24記載の方法。
【請求項30】
前記神経要素閾値は、前記神経要素に対する前記先端の近接を含む、請求項24記載の方法。
【請求項31】
長手方向軸線に沿って延びる絶縁軸と非絶縁先端とを含む、工具部と、
前記工具部に作動可能に結合されるハンドル部であって、該ハンドル部に対して前記工具部を回転させるように構成される、ハンドル部と、
前記工具部に電気結合され、前記工具部に近接する神経要素を検知するために前記先端に電気信号を提供する神経監視システムと、
を備えるシステム。
【請求項32】
前記ハンドル部は、骨組織に向かって前記工具部を進めるために、前記長手方向軸線の周りで第1の方向に前記工具部を回転させるように作動可能である、請求項31記載のシステム。
【請求項33】
前記神経監視システムは、神経要素を検知すると、前記工具部の回転を停止させるために信号を提供するように作動可能である、請求項32記載のシステム。
【請求項34】
前記神経監視システムは、神経要素を検知すると、前記第1の方向と反対の第2の方向に前記工具部を回転させるために信号を提供するように作動可能である、請求項33記載のシステム。
【請求項35】
前記先端は、骨ねじと係合して回転力を送達するように構成される、請求項31記載のシステム。
【請求項36】
前記先端は、骨組織内に穴を形成するように構成される、請求項31記載のシステム。
【請求項37】
神経要素閾値は神経要素に対する前記先端の近接に対応し、前記神経監視システムは、前記神経要素閾値を検知すると、前記工具部の回転を停止するために前記ハンドル部内の作動システムに信号を送る、請求項31記載のシステム。
【請求項38】
前記作動システムは、前記工具部に作動可能に結合されるモータ、および前記神経監視システムに作動可能に連結される回路を含む、請求項37記載のシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−529605(P2008−529605A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554318(P2007−554318)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/004246
【国際公開番号】WO2006/086367
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(506298792)ウォーソー・オーソペディック・インコーポレーテッド (366)
【Fターム(参考)】