説明

髄膜炎/敗血症に関連する大腸菌由来のタンパク質および核酸

【課題】病原性大腸菌株、特にExPEC株、さらに詳細にはMNEC株に対する免疫化に用いるさらなる抗原を提供すること。
【解決手段】新生児髄膜炎(MNEC)原因病原菌である大腸菌株のオープンリーディングフレームおよび特にMNEC感染に対する免疫化組成物の調製に関わるこれらのサブセットを開示する。また、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする本発明の核酸、および本発明のポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体に関する。本発明のポリペプチド、核酸および抗体を、医薬品用および患者の免疫反応を上昇させるための薬剤の製造に用いることができる。また、本発明は、薬学的に許容し得る担体との混合物中に、本発明のポリペプチド、核酸または抗体を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、薬学的に許容し得る担体との混合物中に、本発明のポリペプチドを2個以上含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中で引用される全ての文書は、その全体が参考として援用される。
(関連出願)
本願は、2005年2月18日に出願された米国仮特許出願番号60/654,632および2005年8月29日に出願された米国仮特許出願番号60/712,720の利益を主張する。これらの出願の教示は、本明細書中にその全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、大腸菌の生物学の分野におけるものであり、特に腸管外病原性大腸菌(ExPEC)株に対し免疫化する際に使用される免疫原に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
大腸菌ほど用途の広い微生物は少ない。哺乳動物の正常な腸管微生物叢の重要なメンバーである他、組み換えDNA技術の宿主として広く用いられている。しかしながら、大腸菌は致命的な病原体でもある。
【0004】
大腸菌株は、伝統的に共生株または病原性株のいずれかに分類され、病原性株は腸管株または腸管外株に下位分類される。分類は「K」抗原に基づき得る。最もよく研究されている「K」抗原は「K1」抗原であるが、これは新生児髄膜炎を発症する大腸菌株の中で毒性のある主要な決定基であると考えられている。血清型B群髄膜炎菌の莢膜サッカライドと同様、K1抗原はα−2,8−結合シアル酸のホモポリマーである。
【0005】
多座位酵素電気泳動(MLEE)等のより最近の分類技術では、大腸菌は5つの系統発生群(A、B1、B2、DおよびE)に分類され、これらの分類は伝統的な分類と一致しない。例えば、MLEE B1群には共生株および病原性株の双方が含まれ、D群には腸管株および腸管外株の双方が含まれる。
【0006】
大腸菌の腸管外病原性株(または「ExPEC」株[非特許文献1])は、MLEE B2群およびD群に分類され、尿路病原性(UPEC)株と髄膜炎/敗血症関連(MNEC)株との双方が含まれる。UPEC株は尿路感染(UTI)の原因となり、膀胱炎の一般的な原因となる。また、UPEC株は腎盂腎炎(および敗血症等のその合併症)およびカテーテル関連感染の原因となる。MNEC株は25〜40%の範囲の致死率で新生児髄膜炎の原因となり(新生児1000人あたり0.1)、敗血症の症例の約1/6に該当する。
【0007】
以前のExPECワクチンの多くは、細胞溶解物または細胞構造物に基づいている。SOLCOUROVAC(登録商標)には、6種のExPEC株を含む10個の異なる加熱死菌が含まれ、非特許文献2では、第II相臨床試験の成功例が報告されている。URO−VAXOM(登録商標)は、18種の選ばれた大腸菌株の凍結乾燥細菌溶解物を含有する経口錠剤ワクチンである[非特許文献3]。Bacter Vaccines社は、6〜10種の異なる株由来の線毛に基づくUTIワクチンを開発したが、この製品はすでに使われていない。MedImmune社は、FimH付着因子複合体に基づくMEDI516と呼ばれる製品を開発した[非特許文献4]が、第II相臨床試験で十分な効果が認められなかった。さらに、このワクチンには正常な腸管微生物叢中の非病原性Fim+veにも作用する危険性があり、その膀胱特異性付着機構のため、UPEC株に対してのみ有効であり、他のExPEC株は制御されずに残されると考えられる。
【0008】
従って、粗細胞溶解物からより明確な分子に変わる必要、およびワクチン中の封入体に適したさらなる抗原、特に臨床ExPEC株内で普遍であるが、共生株では見いだされない抗原を同定する必要を含め、ExPECワクチンを改良する必要がある。ExPEC群中では特に、MNEC株に対して免疫化するに適した抗原を同定する必要がある。
【0009】
これらの必要性を満たす1つの方法が、特許文献1に報告されており、発明者らは、MLEE型B2およびDのゲノム中に存在するが、MLEE型AおよびB1郡には存在しない遺伝子を探索している。減法ハイブリダイゼーションに基づくさらなる相対的アプローチが、特許文献2および非特許文献5に報告されている。ExPEC株中の毒性遺伝子は、特許文献3において同定されている。非特許文献6では、UPEC大腸菌株536中の4個の病原性アイランドの解析を開示している。
特許文献4では、非病原性大腸菌株中に存在しない配列を同定するため、UPEC(O6:K2:H1)株CFT073[非特許文献7、参考文献11]のゲノム配列を使用している。非特許文献8では、UPECである大腸菌ヒト腎盂腎炎分離菌536(O6:K15:H31)のゲノム配列と、GFT073(UPEC)株、EDL933(腸管出血性)株およびMG1655株(非病原性実験室株)の配列データとの比較を開示している。病原性株のゲノム配列は、寄託番号AE005174、BA000007およびNC−004431のデータベースで入手できる。非病原性株由来の配列は、寄託番号U00096で入手できる。
病原性大腸菌株、特にExPEC株、さらに詳細にはMNEC株に対する免疫化に用いるさらなる抗原を提供することが、本発明の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第03/074553号明細書
【特許文献2】国際公開第01/66572号明細書
【特許文献3】国際公開第04/005535号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/0165870号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Russo & Johnson J Infect Dis(2000)181:1753−1754
【非特許文献2】Uehlingら J Urol(1997)157:2049−2052
【非特許文献3】Tammen Br J Urol(1990)65:6−9
【非特許文献4】Langermannら Science(1997)276:607−611
【非特許文献5】Jankeら FEMS Microbiol Lett(2001)199:61−66
【非特許文献6】Dobrindtら Infect Immun(2002)70:6365−6372
【非特許文献7】Welchら Proc Natl Acad Sci USA(2002)99:17020−17024
【非特許文献8】European Journal of Biochemistry 2003;1 Supplement 1 July:abstract P1.3−11
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
本発明者らは、新生児髄膜炎(MNEC)の原因である大腸菌株由来の様々なオープンリーディングフレームを同定し、MNEC感染に対する免疫化用組成物を調製するために特に関心がある、これらのオープンリーディングフレームのサブセットを同定した。
【0013】
一態様では、本発明は(a)配列番号
【0014】
【化19】

【0015】
【化20】

【0016】
【化21】

【0017】
【化22】

【0018】
【化23】

【0019】
【化24】

【0020】
【化25】

【0021】
【化26】

【0022】
【化27】

からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;(c)アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントであるアミノ酸配列;または(d)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントを有するアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。特定の実施形態では、本発明の態様のポリペプチドは、(a)の少なくとも1個のB細胞エピトープを有するフラグメントを含む。
【0023】
第2態様では、本発明は(a)配列番号512,2454、2456、2678、2692、4596、4748、7004、7052、8168、4628および5700からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;(c)アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントであるアミノ酸配列;または(d)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントを有するアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。特定の実施形態では、本発明の態様のポリペプチドは、(a)の少なくとも1個のB細胞エピトープを有するフラグメントを含む。
【0024】
他の態様では、本発明は(a)配列番号8564、2728、9872、4672、5680、534、3222、3226および7004からなる群より選択されるアミノ酸配列;(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;(c)アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントであるアミノ酸配列;または(d)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントを有するアミノ酸配列を含むポリペプチドに関する。特定の実施形態では、本発明の態様のポリペプチドは、(a)の少なくとも1個のB細胞エピトープを有するフラグメントを含む。
【0025】
また、本発明は(a)配列番号
【0026】
【化28】

【0027】
【化29】

【0028】
【化30】

【0029】
【化31】

【0030】
【化32】

【0031】
【化33】

【0032】
【化34】

【0033】
【化35】

【0034】
【化36】

からなる群より選択されるヌクレオチド配列;(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントであるヌクレオチド配列;または(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するヌクレオチド配列を含む核酸に関する。
【0035】
他の態様では、本発明は(a)配列番号511、2453、2455、2677、2691、4595、4747、7003、7051、8167、4627および5699からなる群より選択されるヌクレオチド配列;(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントであるヌクレオチド配列;または(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するヌクレオチド配列を含む核酸に関する。
【0036】
さらなる態様では、本発明は(a)配列番号8563、2727、9871、4671、5679、533、3221、3225および7003からなる群より選択されるヌクレオチド配列;(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントであるヌクレオチド配列;または(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するヌクレオチド配列を含む核酸に関する。
【0037】
また、本発明は、本発明のポリペプチドをコードする本発明の核酸、および本発明のポリペプチドに特異的なモノクローナル抗体に関する。
【0038】
本発明のポリペプチド、核酸および抗体を、医薬品用および患者の免疫反応を上昇させるための薬剤の製造に用いることができる。
【0039】
また、本発明は、薬学的に許容し得る担体との混合物中に、本発明のポリペプチド、核酸または抗体を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、薬学的に許容し得る担体との混合物中に、本発明のポリペプチドを2個以上含む医薬組成物に関する。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物はワクチンアジュバントをさらに含む。
【0040】
さらに、本発明は、(a)配列番号511、2453、2455、2677、2691、4595、4747、7003、7051、8167、4627および5699からなる群より選択されるヌクレオチド配列;(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントであるヌクレオチド配列;または(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するヌクレオチド配列でコードされる、1つまたは複数のポリペプチドを発現または過剰発現する1つまたは複数の外膜小胞体(OMVs)を含む免疫原性組成物に関する。
【0041】
また、本発明は(a)配列番号8563、2727、9871、4671、5679、533、3221、3225および7003からなる群より選択されるヌクレオチド配列;(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントであるヌクレオチド配列;または(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するヌクレオチド配列でコードされる1つまたは複数のポリペプチドを発現または過剰発現する少なくとも1つまたは複数のOMVを含む免疫原性組成物に関する。
【0042】
また、本発明は、患者に本発明の医薬組成物または免疫原性組成物を投与する工程を含む、患者の免疫反応を上昇させる方法に関する。特定の実施形態では、免疫反応はExPEC感染、特にMNEC感染を防御する。
本発明のさらなる態様を以下に記述する。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
(a)配列番号
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


【化5】


【化6】


【化7】


【化8】


【化9】


からなる群より選択されるアミノ酸配列;
(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
(c)アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントであるアミノ酸配列;または、
(d)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントを有するアミノ酸配列、
を含む、ポリペプチド。
(項目2)
(a)配列番号512、2454、2456、2678、2692、4596、4748、7004,7052、8168、4628および5700からなる群より選択されるアミノ酸配列;
(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
(c)アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントであるアミノ酸配列;または、
(d)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントを有するアミノ酸配列、
を含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目3)
(a)配列番号8564、2728、9872、4672、5680、534、3222、3226および7004からなる群より選択されるアミノ酸配列;
(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するアミノ酸配列;
(c)アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントであるアミノ酸配列;または、
(d)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、アミノ酸配列(a)由来の少なくとも10個の連続したアミノ酸のフラグメントを有するアミノ酸配列、
を含む、項目1に記載のポリペプチド。
(項目4)
前記フラグメントが、(a)の少なくとも1つのB細胞エピトープを含む、項目1〜3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
(項目5)
医薬品用の項目1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
(項目6)
(a)配列番号
【化10】


【化11】


【化12】


【化13】


【化14】


【化15】


【化16】


【化17】


【化18】


からなる群より選択されるヌクレオチド配列;
(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントであるヌクレオチド配列;または、
(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するヌクレオチド配列、
を含む、核酸。
(項目7)
(a)配列番号511、2453、2455、2677、2691、4595、4747、7003、7051、8167、4627および5699からなる群より選択されるヌクレオチド配列;
(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントであるヌクレオチド配列;または、
(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するヌクレオチド配列、
を含む、項目6に記載の核酸。
(項目8)
(a)配列番号8563、2727、9871、4671、5679、533、3221、3225および7003からなる群より選択されるヌクレオチド配列;
(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントであるヌクレオチド配列;または、
(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するヌクレオチド配列、
を含む、項目6に記載の核酸。
(項目9)
項目1、2、3または4のポリペプチドをコードする、項目6〜8のいずれか1項に記載の核酸。
(項目10)
項目1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチドに対し特異的である、モノクローナル抗体。
(項目11)
薬学的に許容し得る担体との混合物中に、項目1〜4に記載のポリペプチド、項目1〜9に記載の核酸、または項目10に記載の抗体を含む、医薬組成物。
(項目12)
薬学的に許容し得る担体との混合物中に、項目1〜4に記載のポリペプチドを2個以上含む、医薬組成物。
(項目13)
ワクチンアジュバントをさらに含む、項目10または11に記載の組成物。
(項目14)
(a)配列番号511、2453、2455、2677、2691、4595、4747、7003、7051、8167、4627および5699からなる群より選択されるヌクレオチド配列;
(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントであるヌクレオチド配列;または、
(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドの断片を有するヌクレオチド配列、
によってコードされる、1つまたは複数のポリペプチドを発現または過剰発現する1つまたは複数の外膜小胞体(OMV)を含む、免疫原性組成物。
(項目15)
(a)配列番号8563、2727、9871、4671、5679、533、3221、3225および7003からなる群より選択されるヌクレオチド配列;
(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドの断片であるヌクレオチド配列;または
(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するヌクレオチド配列、
によってコードされる、1つまたは複数のポリペプチドを発現または過剰発現する1つまたは複数の外膜小胞体(OMV)を含む、免疫原性組成物。
(項目16)
前記フラグメントが、(a)の少なくとも1つのB細胞エピトープを含む、項目14または15に記載の免疫原性組成物。
(項目17)
患者の免疫反応を上昇させるための薬剤の製造における、項目1〜4に記載のポリペプチド、項目6〜9に記載の核酸、項目10に記載の抗体、または項目14〜16に記載の免疫原性組成物の使用。
(項目18)
患者に項目10〜12のいずれか1項に記載の医薬組成物、または項目14〜16に記載のいずれか1項に記載の免疫原性組成物を投与する工程を含む、患者の免疫反応を上昇させる方法。
(項目19)
前記免疫反応がExPEC感染、特にMNEC感染を防御する、項目17に記載の使用、または項目18に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】図1は、加熱不活性化IHE3034または対照(フィシオール)で免疫化し、IHE3034を抗原投与後のマウスの経時的な生存率、および24時間後の菌血症レベル(cfu/ml)を示す。
【図2】図2は、加熱不活性化細菌(上図)またはΔTolR変異体由来の小胞体(下図)のいずれかで免疫化後、IHE3034を抗原投与後のマウスの生存率を示す。免疫原をIHE3034株または対照株(DH5)から調製した。
【図3】図3は、IroNまたは対照で免疫化後、IHE3034を抗原投与後のマウスの生存率(上図)、および血清抗IroN Ig力価(下図)を示す。
【図4】図4は、図3と同様であるが、IroNの代わりにIbeAを使用した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
(発明の詳細な説明)
本発明者らは、K1/B2 MNEC株由来の4995個のオープンリーディングフレームを同定し、MNEC株に対する免疫原性組成物を調製するために特に関心があるこれらのオープンリーディングフレームのサブセットを同定した。
【0045】
ポリペプチド
本発明は、実施例に開示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドを提供する。これらのアミノ酸配列は、偶数の配列番号2〜9990として配列表中に与えられる。
【0046】
配列番号2〜9990内の好ましいアミノ酸配列を表2に示す。さらに好ましいアミノ酸配列は、従来技術で同定されていないもの、例えば参考文献5,6,7,8,9,10,11および13のいずれでも同定されていないものである。
【0047】
また、本発明は、ヌクレオチド配列番号9991〜10273または配列番号10274内のいずれか1つのヌクレオチド配列でコードされるポリペプチドを提供する。核酸内のコード配列が開始コドンで始まり、停止コドンで終了することが好ましい。好ましいポリペプチドは従来技術で同定されていないもの、例えば参考文献5,6,8,10および11において同定されていないものである。
【0048】
また、本発明は、実施例で開示されたアミノ酸配列と配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。同様に、本発明は、配列番号9991〜10273または配列番号10274内でコードされるアミノ酸配列と同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチドを提供する。特定の配列によって、配列同一性の程度は50%より大きい(例えば60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上)ことが好ましい。これらのポリペプチドにはホモログ、オルトログ、対立遺伝子変異体および突然変異体が含まれる。典型的には、2つのポリペプチド配列間の50%以上の同一性は、機能的に等価であることを示すと考えられる。ポリペプチド間の同一性は、ギャップ開放ペナルティ=12、ギャップ伸長ペナルティ=1のパラメーターを有するアフィンギャップ検索を使用して、MPSRCHプログラム(Oxford Molecular社)により実行されるSmith−Watermanホモロジー検索アルゴリズムで決定されることが好ましい。
【0049】
実施例の配列と比較すると、これらのポリペプチドは1つ以上(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等)の保存性アミノ酸置換、すなわち1個のアミノ酸の、関連する側鎖を有する他のアミノ酸による置換を含み得る。遺伝的にコードされるアミノ酸は、一般に4種類のファミリーに分類される:(1)酸性アミノ酸、すなわちアスパラギン酸、グルタミン酸;(2)塩基性アミノ酸、すなわちリジン、アルギニン、ヒスチジン;(3)非極性アミノ酸、すなわちアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファン;および(4)非荷電極性アミノ酸、すなわちグリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシン。フェニルアラニン、トリプトファンおよびチロシンは芳香族アミノ酸として分類されることがある。一般に、これらファミリー内の単一アミノ酸の置換は、生物活性に大きな影響を与えない。さらに、ポリペプチドは参照配列に対して1つ以上(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等)の単一アミノ酸の欠失を有し得る。また、ポリペプチドは参照配列に対して1つ以上(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10等)の挿入(例えば1、2、3、4または5個のアミノ酸それぞれの挿入)を含み得る。
【0050】
好ましいポリペプチドには脂質化されたポリペプチド、外膜に位置するポリペプチド、内膜に位置するポリペプチド、またはペリプラズムに位置するポリペプチドが含まれる。これらの範疇の1つより多くに当てはまるポリペプチド、例えば外膜に位置する脂質化ポリペプチドが特に好ましい。リポタンパク質はシグナルペプチドの翻訳プロセシング後、脂質が共有結合的に付着したN末端システインを有し得る。
【0051】
脂質化し得るポリペプチドには配列番号
【0052】
【化37】

が含まれる。配列番号5662(ORF02831)および8564(ORF04282)が好ましいリポタンパク質である。
【0053】
好ましいポリペプチドは、表2に列記するものである。
【0054】
さらに、本発明は実施例に開示されたアミノ酸配列のフラグメントを含むポリペプチドを提供する。同様に、本発明は配列番号9991〜10273または配列番号10274内でコードされたアミノ酸配列のフラグメントを含むポリペプチドを提供する。そのフラグメントは、配列から少なくともn個の連続したアミノ酸を有する必要があり、特定の配列によっては、nは7以上である(例えば8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100またはそれ以上)。フラグメントは配列の少なくとも1個のT細胞、好ましくはB細胞エピトープを有し得る。T細胞およびB細胞エピトープは、実験的に同定(例えばPEPSCAN[参考文献14、15]または類似の方法)、または予測できる(例えばJameson−Wolf抗原インデックス[参考文献16]、マトリックスに基づくアプローチ[参考文献17]、TEPITOPE[参考文献18]、神経ネットワーク[参考文献19]、OptiMer&EpiMer[参考文献20、21]、ADEPT[参考文献22]、Tsites[参考文献23]、親水性[参考文献24]、抗原インデックス[参考文献25]、または参考文献26に記載の方法等)。他の好ましいフラグメントは、(a)本発明のポリペプチドのN末端シグナルペプチド、(b)N末端シグナルペプチドを有さない上記ペプチド、(c)1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のN末端アミノ酸残基を持たない上記ペプチドである。
【0055】
他の好ましいフラグメントは潜在性開始コドン(ATG、GTG、TTG)でコードされるアミノ酸で始まるフラグメントである。指定された開始コドンの開始コドン下流によりコードされるメチオニンで開始するフラグメントは、本発明のポリペプチドである。
【0056】
他の好ましいフラグメントは、本発明のポリペプチドおよび参考文献5、6、8、10および11のいずれかにおいて同定されたポリペプチドに共通のフラグメントである。
【0057】
本発明のポリペプチドは、例えば化学合成(全体または部分的)、プロテアーゼを用いるより長いポリペプチドの分解、RNAからの翻訳、細胞培養(例えば組み換え発現体)、生物自体(例えば、細菌培養後または患者から直接)からの精製等、多くの方法で調製できる。40個未満のアミノ酸長のペプチドの好ましい産生方法には、インビトロ化学合成[参考文献27、28]が含まれる。tBocまたはFmoc[参考文献29]法に基づく方法等の固相ペプチド合成が特に好ましい。酵素合成法[参考文献30]を部分的または全体で使用し得る。化学合成の代替として、生物合成を使用し得る、例えば、ポリペプチドを翻訳により産生し得る。これは、インビトロまたはインビボに実施され得る。一般に、生物学的方法はL−アミノ酸に基づくポリペプチドの産生に限られるが、翻訳機構(例えばアミノアシルtRNA分子の翻訳機構)の操作を使用し、D−アミノ酸(または、ヨードチロシンもしくはメチルフェニルアラニン、アジドホモアラニン等の他の非天然アミノ酸)の導入が可能になる[参考文献31]。しかしながら、D−アミノ酸が含まれる場合、化学合成を使用することが好ましい。本発明のポリペプチドは、C末端および/またはN末端に共有結合修飾を有し得る。
【0058】
本発明のポリペプチドは、様々な形を取ることができる(例えば天然型、融合、グリコシル化、非グリコシル化、脂質化、非脂質化、リン酸化、非リン酸化、ミリストイル化、非ミリストイル化、単量体、多量体、粒子状、変性等)。
【0059】
本発明のポリペプチドは、精製または実質的に精製された形、すなわち他のポリペプチドを実質的に含まない(例えば天然起源ポリペプチドを含まない)、特に他のExPECまたは宿主細胞ポリペプチドを含まない形で提供されることが好ましく、一般に、少なくとも純度約50%(重量単位)、通常は少なくとも純度90%、すなわち、組成物の約50%未満、より好ましくは約10%未満(例えば5%以下)が、他の発現ポリペプチドから構成される。本発明のポリペプチドは、好ましくはExPEC、より好ましくはMNECポリペプチドである。
【0060】
本発明のポリペプチドは、固体支持体に結合され得る。本発明のポリペプチドは、検出可能な標識(例えば放射性または蛍光標識、またはビオチン標識)を有し得る。
【0061】
用語「ポリペプチド」は、任意の長さのアミノ酸ポリマーを指す。ポリマーは直鎖状または分枝状であり、修飾アミノ酸を有し得、アミノ酸以外が介在し得る。用語「ポリペプチド」は、天然または、介入、例えばジスルフィド結合生成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または標識化合物との共役結合等の任意の操作もしくは修飾により、修飾されたアミノ酸ポリマーを包含する。例えば、1つまたは複数のアミノ酸アナログ(例えば非天然アミノ酸等を含む)を含むポリペプチド、ならびに当技術分野で既知の他の修飾も定義に含まれる。ポリペプチドは一本鎖または会合鎖として生じることができる。本発明のポリペプチドを、天然または非天然に(すなわち、ポリペプチドが対応する天然起源ポリペプチドにおいて見出されるグリコシル化パターンとは異なるグリコシル化パターンを有する)グリコシル化することができる。
【0062】
本発明のポリペプチドは、少なくとも40個のアミノ酸長である(例えば、少なくとも40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、350、400、450、500またはそれ以上)。本発明のポリペプチドは、500個より短いのアミノ酸長である(40、50、60、70、80、90、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、350、400または450個のアミノ酸より長くない)。
【0063】
本発明は配列−X−Y−または−Y−X−を有するポリペプチドを提供し、ここで−X−が上記に定義したアミノ酸配列であり、−Y−が上記で定義した配列ではない、すなわち、本発明は融合タンパク質を提供する。ポリペプチドをコードする配列のN末端コドンがATGでない場合、そのコドンは、コドンが開始コドンとして翻訳されるとき生じるMetとしてでなく、そのコドンに対する標準アミノ酸として翻訳される。
【0064】
本発明は、ポリペプチド発現を誘導する条件下で本発明の宿主細胞を培養する工程を有する本発明のポリペプチドの産生方法を提供する。
【0065】
本発明は、本発明のリペプチドが化学的手法を用いて部分的または全体に合成される、ポピペプチドの産生方法を提供する。
【0066】
本発明は、本発明のポリペプチド2個以上(例えば2、3、4、5、6またはそれ以上)を含む組成物を提供する。異なるポリペプチドを、異なる細菌の代謝および/またはシグナル経路に含まれるように選び得る。例えば、それは以下の範疇の2、3、4、5、6またはそれ以上の選択である:付着因子;自己輸送体タンパク質;毒素;鉄獲得タンパク質;および特に組み込み外膜タンパク質を含む膜結合タンパク質等。抗原のこのような組み合わせは、細菌のライフサイクルの異なる局面に対する免疫反応を標的とし得る。
【0067】
本発明は、式NH−A−[−X−L−]−B−COOHで表されるハイブリッドタンパク質を提供する。式中、Xは上記に定義した本発明のポリペプチドであり、Lは任意のリンカーのアミノ酸配列であり、Aは任意のN末端のアミノ酸配列であり、Bは任意のC末端のアミノ酸配列であり、nは1より大きい整数である。nの値は2とxとの間であり、xの値は通常3、4、5、6、7、8、9または10である。nは、好ましくは2、3または4であり、最も好ましくは2である。各nの場合に、−X−は同じであっても異なっていてもよい。[−X−L−]の各nの場合に、リンカーのアミノ酸配列−L−は、存在してもしなくてもよい。例えば、n=2の場合、ハイブリッドはNH−X−L−X−L−COOH、NH−X−X−COOH、NH−X−L−X−COOH、NH−X−X−L−COOH等であってもよい。リンカーのアミノ酸配列−L−は、一般的には短い(例えば、20個以下のアミノ酸、すなわち19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、3、2、1個である)。例えば、クローニングを容易にする短いペプチド配列、ポリグリシンリンカー(すなわち、Gly、n=2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)およびヒスチジンタグ(すなわちHis、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)が含まれる。他の好適なリンカーのアミノ酸配列は、当業者に自明と思われる。−A−および−B−は、一般的には短い任意の配列である(例えば、40個以下のアミノ酸、すなわち39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1個である)。例えば、ポリペプチドを輸送するよう命令するリーダー配列、あるいはクローニングまたは精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわちHis、n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)が含まれる。他の好適なN末端およびC末端のアミノ酸配列は、当業者に自明であると思われる。
【0068】
本発明のポリペプチドのインビボ免疫原性を評価するために、様々な試験を使用することができる。例えば、ポリペプチドを組み換えで発現し、使用し、免疫ブロットにより患者の血清をスクリーニングすることができる。ポリペプチドと患者の血清との間の陽性反応は、患者が問題となるタンパク質に対する免疫反応をすでに開始している、すなわち、そのタンパク質が免疫原であることを示している。この方法を使用し、免疫主体タンパク質を同定することができる。
【0069】
抗体
本発明は、本発明のポリペプチドと結合する抗体を提供する。これらの抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってもよく、任意の好適な手法(例えば、組み換え発現)で産生し得る。ヒト免疫系との適合性を向上するため、抗体はキメラまたはヒト化され得[例えば参考文献32および33]、または完全にヒト抗体が使用され得る。抗体には、検出可能な標識が含まれ得る(例えば臨床診断用)。本発明の抗体は、固体支持体に結合し得る。本発明の抗体は、中和抗体であることが好ましい。
【0070】
モノクローナル抗体は、その抗体が標的とする個々のポリペプチドの同定と精製に特に有用である。本発明のモノクローナル抗体は、免疫分析、放射線免疫分析(RIA)または酵素結合免疫吸着体分析(ELISA)等の試薬としても用いられ得る。これらの用途では、放射性同位元素、蛍光分子または酵素等の分析的に検出可能な試薬で抗体を標識化することができる。上記の方法で産生されたモノクローナル抗体を、本発明のポリペプチドの分子的同定および特徴付け(エピトープマッピング)にも使用し得る。
【0071】
本発明の抗体は、好ましくは、大腸菌のExPEC株に特異性である。すなわち、他の細菌と比較して(例えば非ExPEC大腸菌および非大腸菌細菌と比較して)、ExPEC大腸菌に優先的に結合する。より好ましくは、抗体は、MNEC株に特異的である。すなわち、他のExPEC大腸菌との比較を含む他の細菌と比較してMNEC細菌と優先的に結合する。
【0072】
本発明の抗体は、精製または実質的に精製された形で提供されることが好ましい。一般的には、他のポリペプチドを実質的に含まない組成物中に抗体が存在し、例えば組成物の90%(重量比)未満、通常60%未満、より普通には50%未満の他のポリペプチドから構成される。
【0073】
本発明の抗体は、任意のイソタイプ(例えばIgA、IgG、IgM、すなわちα、γまたはμ重鎖)であることができるが、一般にはIgGである。IgGイソタイプ内では、抗体はIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブクラスであってもよい。本発明の抗体は、κまたはλ軽鎖を有してもよい。
【0074】
本発明の抗体は、全抗体、F(ab’)およびF(ab)フラグメント等の抗体フラグメント、Fvフラグメント(非共有結合へテロダイマー)、一本鎖Fv分子(scFv)等の一本鎖抗体、ミニ抗体、オリゴ抗体を含む様々な形を取ることができる。用語「抗体」は、特定の起源を意味せず、ファージ提示法等の従来にない方法で得られた抗体も含む。
【0075】
本発明は、(a)抗体−抗原複合体の形成に適した条件下で本発明の抗体を生物試料と接触させる工程、(b)上記複合体を検出する工程を含む、本発明のポリペプチドの検出方法を提供する。
【0076】
本発明は、(a)抗体−抗原複合体の形成に適した条件下で本発明のポリペプチドを生物試料(例えば血液または血清試料)と接触させる工程、(b)上記複合体を検出する工程を含む、本発明の抗体の検出方法を提供する。
【0077】
好ましい抗体は、当技術分野において周知の抗体よりかなり大きい親和性を有する本発明のポリペプチドと結合する。親和性は、当技術分野において周知の抗体より少なくとも1.5倍、2倍、5倍、10倍、100倍、10倍、10倍、10倍、10倍程大きいことが好ましい。
【0078】
核酸
本発明は、本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を有する核酸を提供する(例えば奇数の配列番号1〜9989)。また、本発明は、配列番号9991〜10273のいずれか1つを有する核酸を提供する。
【0079】
本発明は、このようなヌクレオチド配列と配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。配列間の同一性は、上記のSmith−Watermanホモロジー検索アルゴリズムで決定されることが好ましい。特定の配列によっては、配列同一性の程度は、50%より大きいことが好ましい(例えば60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上)。
【0080】
また、本発明は、これらの核酸とハイブリダイズすることが可能な核酸を提供する。ハイブリダイゼーション反応を異なる「厳密性」の条件下で行うことができる。ハイブリダイゼーション反応の厳密性を増加させる条件は、広く知られており、文献に記載されている(例えば参考文献34の7.52頁)。当該条件としては、(厳密性の順で)インキュベーション温度25℃、37℃、50℃、55℃および68℃;緩衝液濃度10×SSC、6×SSC、1×SSC、0.1×SSC(SSCは0.15M NaClおよび5mMクエン酸緩衝液)およびこれらの緩衝液系を用いる等価物;ホルムアミド濃度0%、25%、50%および75%;インキュベーション時間5分〜24時間:洗浄工程1回、2回またはそれ以上;洗浄インキュベーション時間1、2または15分;および洗浄液6×SSC、1×SSC、0.1×SSCまたは脱イオン水が含まれる。ハイブリダイゼーション技術およびその最適化は、当技術分野において周知である[例えば参考文献34〜37等参照]。
【0081】
ある実施形態では、本発明の核酸は、低度の厳密性の条件下で標的にハイブリダイズするが、他の実施形態では、中程度の厳密性の条件下でハイブリダイズする。好ましい実施形態では、高度の厳密性の条件下でハイブリダイズする。低度の厳密性ハイブリダイゼーション条件の典型的なセットは、50℃、10×SCCである。中程度の厳密性ハイブリダイゼーション条件の典型的なセットは、55℃、1×SCCである。高度の厳密性ハイブリダイゼーション条件の典型的なセットは、68℃、0.1×SCCである。
【0082】
これらの配列のフラグメントを有する核酸も提供される。これらのフラグメントは、その配列由来の少なくともn個の連続したヌクレオチドを有する必要があり、特定の配列によっては、nは10以上である(例えば12、14、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200またはそれ以上)。好ましいフラグメントは、本発明の核酸配列、および参考文献5、6、8、10および11のいずれかにおいて同定された核酸配列と共通のフラグメントである。
【0083】
本発明は、式5’−X−Y−Z−3’の核酸を提供する。式中、−X−はx個のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり、−Z−はz個のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり、−Y−は(a)奇数の配列番号1〜9989から選ばれた核酸配列のフラグメント、(b)配列番号9991〜10273の任意の1つのフラグメント、(c)配列番号10274のフラグメント、または(d)(a)、(b)もしくは(c)の補体のいずれかからなるヌクレオチド配列であり、上記核酸5’−X−Y−Z−3’は(i)配列番号1〜9989由来、配列番号9991〜10273、もしくは配列番号10274内の奇数番号の核酸のフラグメント、または(ii)(i)の補体のいずれでもない。
【0084】
−X−および/または−Z−部分は、プロモーター配列(またはその補体)を含み得る。
【0085】
本発明は、配列番号10274由来の少なくともn個の連続したヌクレオチドを有する核酸を提供する。ここで、nは10以上、例えば12、14、15、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、3000、4000、5000、10000、100000、1000000またはそれ以上である。この核酸は、少なくとも部分的に1本鎖であり得、ハイブリダイゼーションプローブおよび/または増幅プライマーとして作用することができる。ある実施形態では、フラグメントは従来技術のExPEC配列のフラグメントでない、またはそれを含まない。例えば参考文献5、6、7、8、9、10、11および13のいずれかで具体的に開示された核酸配列のフラグメントでない。他の実施形態では、そのフラグメントは、従来技術のExPEC配列のフラグメントである、例えば参考文献5、6、7、8、9、10、11および13のいずれかで具体的に開示された核酸配列のフラグメントと同一である。
【0086】
本発明は、これらの配列と相補的な配列を有する核酸を含む(例えばアンチセンスまたはプローブ用、またはプライマー用)。
【0087】
本発明の核酸をハイブリダイゼーション反応(例えばノーザンまたはサザンブロット、または核酸マイクロアレイまたは「遺伝子チップ」)、増幅反応(例えばPCR、SDA、SSSR、LCR、TMA、NABSA等)、および他の核酸技術で使用できる。
【0088】
本発明に記載の核酸は、様々な形を取ることができる(例えば1本鎖、2本鎖、ベクター、プライマー、プローブ、標識化等)。本発明の核酸は、環状または分枝状であってもよいが、一般に直鎖状である。特に、指定または要求しない限り、核酸を利用する本発明の任意の実施形態では、2本鎖状、および2本鎖状を構成する2本の相補的1本鎖状のそれぞれを利用し得る。アンチセンス核酸と同様、プライマーおよびプローブは一般に1本鎖である。
【0089】
本発明の核酸は、精製または実質的に精製された形、すなわち他の核酸を実質的に含まない(例えば天然起源核酸を含まない)、特に他のExPECまたは宿主細胞核酸を含まない形で提供されることが好ましく、一般に少なくとも純度約50%(重量比)であり、通常は少なくとも純度約90%である。本発明の核酸は、ExPEC核酸であることが好ましい。
【0090】
本発明の核酸を、多くの方法、例えば全体または部分的な化学合成(例えばDNAのホスホロアミダイト合成)、ヌクレアーゼ(例えば制限酵素)を用いるより長い核酸の分解、ゲノムまたはcDNAライブラリー由来のより短い核酸またはヌクレオチドの結合(例えばリガーゼまたはポリメラーゼを用いる)等で調製し得る。
【0091】
本発明の核酸は、固体支持体(例えばビーズ、プレート、フィルター、フィルム、スライド、マイクロアレイ支持体、樹脂等)に結合され得る。本発明の核酸を、例えば放射性または蛍光標識、またはビオチン標識で標識化し得る。これは、核酸を検出技術で使用する場合、例えば核酸がプライマーまたはプローブである場合に、特に有用である。
【0092】
用語「核酸」は、一般的に任意の長さのヌクレオチドのポリマー形を意味し、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチドおよび/またはそのアナログを含む。核酸には、DNA、RNA,DNA/RNAハイブリッドが含まれる。また、修飾骨格(例えばペプチド核酸(PNA)またはホスホロチオエート)または修飾塩基を含むようなDNAまたはRNAアナログが含まれる。従って、本発明にはmRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、DNA、cDNA、組み換え核酸、分枝核酸、プラスミド、ベクター、プローブ、プライマー等が含まれる。本発明の核酸がRNAの形である場合、核酸は5’キャップを有していても有さなくてもよい。
【0093】
本発明の核酸は、配列を有するが、非ExPEC配列(例えば上記に定義した式5’−X−Y−Z−3’の核酸における)を有してもよい。これは、核酸標的に相補的な第1配列と、核酸標的に相補的でない第2配列を有し得るプライマーとして特に有用である。プライマー中の任意のこのような非相補的配列は、相補的配列に対し5’端であることが好ましい。典型的な非相補的配列は、制限部位またはプロモーター配列を有する。
【0094】
本発明の核酸を、多くの方法、例えば、化学合成(少なくとも部分的)、ヌクレアーゼ(例えば制限酵素)を用いるより長い核酸の分解、ゲノムまたはDNAライブラリー由来のより短い核酸の結合(例えばリガーゼまたはポリメラーゼを使用)等で調製できる。
【0095】
本発明の核酸は、ベクターの部分、すなわち1つまたは複数の細胞タイプの形質導入/形質移入のために設計された核酸コンストラクトの部分であってもよい。例えば、ベクターは、挿入したヌクレオチドの単離、伝播および複製のために設計された「クローニングベクター」、宿主細胞中でのヌクレオチド配列の発現のために設計された「発現ベクター」、組み換えウイルスまたはウイルス様粒子の産生を結果的にもたらすように設計された「ウイルスベクター」、または1種類より多いベクターの属性を有する「シャトルベクター」であってもよい。好ましいベクターはプラスミドである。「宿主細胞」には、個々の細胞、または外因性核酸の受容体である、または受容体であった培養細胞が含まれる。宿主細胞には、単一宿主の子孫細胞が含まれ、自然、偶発または計画的な突然変異および/または変化により、子孫細胞は最初の親細胞と必ずしも(形態または全DNA補体において)完全に同一である必要はない。宿主細胞には、インビボまたはインビトロで本発明の核酸により形質移入または感染した細胞が含まれる。
【0096】
核酸がDNAである場合、RNA配列中の「U」がDNA中の「T」で置換されることが好ましい。同様に、核酸がRNAである場合、DNA配列中の「T」がRNA中の「U」で置換される。
【0097】
核酸に関連して用いられる用語「補体」または「相補的」とは、Watson−Crick塩基対を指す。従って、Cの補体はGであり、Gの補体はCであり、Aの補体はT(またはU)であり、T(またはU)の補体はAである。I(プリンイノシン)等の塩基を、例えば補体ピリミジン(CまたはT)に使用することも可能である。「補体」または「相補的」は、方向も意味する、すなわち5’−ACAGT−3’の補体は、5’−TGTCA−3’でなく5’−ACTGT−3’である。
【0098】
例えば、ポリペプチドを産生するため、生物試料中の核酸の検出用ハイブリダイゼーションプローブとして、核酸のさらなるコピーを生成するため、リボザイムもしくはアンチセンスオリゴヌクレオチドを生成するため、1本鎖DNAプライマーもしくはプローブとして、または3重鎖形成オリゴヌクレオチドとして、本発明の核酸を使用することができる。
【0099】
本発明は、本発明の核酸が化学的手法を用いて全体または一部で合成される。核酸の産生方法を提供する。
【0100】
本発明は、本発明のヌクレオチド配列を有するベクター(例えばクローニングベクターまたは発現ベクター)、およびこのようなベクターを用いて形質転換した宿主細胞を提供する。
【0101】
また、本発明は、ExPEC核酸配列内に含まれる鋳型配列を増幅するためのプライマー(例えばPCRプライマー)を備え、第1プライマーおよび第2プライマーを備えるキットを提供する。キットでは、第1プライマーが上記鋳型配列と実質的に相補性があり、第2プライマーが上記鋳型配列の補体と実質的に相補性があり、実質的な相補性を有する上記プライマーの一部が増幅される鋳型配列の末端を示す。第1プライマーおよび/または第2プライマーには、検出可能な標識(例えば蛍光標識)が含まれ得る。
【0102】
本発明は、1本鎖または2本鎖核酸(またはそれらの混合物)に含まれるExPEC鋳型核酸配列の増幅を可能にする、第1および第2の1本鎖オリゴヌクレオチドを備えるキットを提供する。このキットは、(a)第1オリゴヌクレオチドが上記鋳型核酸配列と実質的に相補性があるプライマー配列を有し、(b)第2オリゴヌクレオチドが上記鋳型核酸配列の補体と実質的に相補性があるプライマー配列を有し、(c)第1および/または第2オリゴヌクレオチドが上記鋳型核酸と相補性がない配列を有し、(d)上記プライマー配列が増幅される鋳型配列の末端を示す。特徴(c)の非相補的配列は、プライマー配列の下流(すなわち5’側)であることが好ましい。これらの配列(c)の1つまたは双方は、制限部位[例えば参考文献38]またはプロモーター配列[例えば参考文献39]を有してもよい。第1オリゴヌクレオチドおよび/または第2オリゴヌクレオチドには検出可能な標識(例えば蛍光標識)が含まれてもよい。
【0103】
鋳型配列はゲノム配列(例えば配列番号10274)の任意の部分でよい。例えば、鋳型配列はrRNA遺伝子(例えばTurenneら、2000、J.Clin.Microbiol.38:513−520)またはタンパク質コード遺伝子であり得る。鋳型配列はExPECに特異的であることが好ましく、MNECに特異的であることがより好ましい。
【0104】
また、本発明は、コンピュータ読み取り可能な媒体(例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、CR−ROMまたはDVD等)および/または配列表内の1つまたは複数の配列を含むコンピュータデータベースを提供する。媒体は配列番号10274を含むことが好ましい。
【0105】
本発明は、(a)本発明の核酸プローブをハイブリダイゼーション条件下で生物試料と接触させる工程、および(b)上記二重鎖を検出する工程を含む、本発明の核酸の検出方法を提供する。
【0106】
本発明は、本発明の核酸をハイブリダイゼーション条件下で生物試料と接触させる工程を含む、生物試料(例えば血液)の検出方法を提供する。その方法は、核酸増幅(例えばPCR、SDA、SSSR、LCR、TMA、NASBA等)またはハイブリダイゼーション(例えばマイクロアレイ、ブロット、溶液中のプローブとのハイブリダイゼーション等)を含み得る。臨床試料中のExPECのPCR検出が報告されている[例えば参考文献40参照]。核酸に基づく臨床検査は一般的に参考文献41に記載されている。
【0107】
本発明は、標的配列のフラグメントが核酸プライマーの伸長によって調製される。標的配列のフラグメントの調製方法を提供する。標的配列および/またはプライマーは本発明の核酸である。プライマー伸長反応には核酸の増幅が含まれる(例えばPCR、SDA、SSSR、LCR、TMA、NASBA等)。
【0108】
本発明の核酸増幅は、定量的および/またはリアルタイムである。
【0109】
本発明のある実施形態では、核酸は少なくとも7個のヌクレオチド長であることが好ましい(例えば
【0110】
【化38】

個のヌクレオチドまたはそれ以上)。
【0111】
本発明のある実施形態では、核酸は多くとも500個のヌクレオチド長であることが好ましい(例えば
【0112】
【化39】

個のヌクレオチドまたはそれ以下)。
【0113】
本発明のプライマーおよびプローブ、ならびにハイブリダイゼーションに用いられる他の核酸は、10〜30の間のヌクレオチド長であることが好ましい(例えば
【0114】
【化40】

個のヌクレオチド)。
【0115】
変異細菌
本発明は、本明細書で同定された遺伝子の1つまたは複数の発現がノックアウトされた大腸菌細菌を提供する。遺伝子ノックアウトの技術は周知であり、大腸菌のノックアウト突然変異体は以前に報告されている。
【0116】
ノックアウトはコード領域の同質遺伝子欠失を用いて行われることが好ましいが、例えばプロモーターの欠失または突然変異、開始コドンの欠失または突然変異、アンチセンス阻害、阻害RNA等の好適な技術を使用し得る。しかしながら、得られた細菌では、遺伝子産物をコードするmRNAが存在しない、および/またはその翻訳が阻害される(例えば野生型レベルの1%未満に)。
【0117】
この細菌はノックアウト遺伝子の代わりにマーカー遺伝子、例えば抗生物質耐性マーカーを有し得る。
【0118】
小胞体
参考文献42はmltA(ムレイン溶菌性トランスグリコシダーゼ)、またはtolA、tolQ、tolB、palおよび/またはtolR等の大腸菌Tol−Pal複合体[参考文献43]成分の1つまたは複数のノックアウトによる、MNEC株由来の小胞体の調製を記載している。小胞体の表面上の保護抗原の量および/または免疫接触可能「汚染」を増加するために、細菌の染色体に1つまたは複数の遺伝的変化を加えることにより、または「ad−hoc」エピゾーム要素(例えば発現ベクター)の挿入により、これらの小胞体を改善することができる。
【0119】
このような改善を達成する1つの方法は、本発明のポリペプチドの保護抗原の発現を上方調節することである。標的タンパク質の発現を増加するための多くの総合戦略は、当技術分野において周知であり、2つの広い範疇に分けることができる。その1つは、染色体の修飾(例えば野生型プロモーターのより強いプロモーターによる置換、天然リプレッサー遺伝子の不活性化等)に依存し、内因性遺伝子の発現を増加する。もう1つはエピソーム要素(例えば高コピー数プラスミド、遺伝子操作標的遺伝子を内蔵するベクター)による組み換え発現、または染色体中の外来性保護標的遺伝子の融合に基づいている。これらのアプローチそれぞれの具体例を参考文献44〜50に見出すことができる。
【0120】
小胞体の免疫原性および選択性を増加させるさらなる方法は、免疫優性非保護抗原の発現を下方制御すること、または共生株中に見出されるタンパク質と相同のタンパク質を下方調節することである。LPSの脂質A部分の解毒化により潜在的小胞体毒性を減少することにより、さらに求められる改善が成される。他のグラム陰性病原体由来の改善された小胞体を産生するための同様な変化が、先に報告されている(例えば参考文献51および52参照)。
【0121】
上記戦略の全てをそれぞれ単独で、または組み合わせて用い、免疫原性組成物に用いられる改善された小胞体を得ることができる。本発明は、mltAおよび/またはそのTol−Pal複合体のノックアウトを有する病原性大腸菌細菌(特にMNEC)、および(i)ポリペプチドをコードする染色体性遺伝子と自然に会合するプロモーターより高いポリペプチドの発現レベルを提供するプロモーターの制御下にある本発明のポリペプチドをコードする染色体遺伝子、(ii)本発明のポリペプチドをコードする自律複製染色体外要素、および/または(iii)野生型LPSと比較して大腸菌LPSのリピドA部分の毒性を減少するための遺伝的修飾の1つまたは複数を提供する。
【0122】
本発明は、細菌の培養中に培地中へ放出される小胞体等の細菌を培養することにより得られる小胞体も提供する。
【0123】
医薬組成物
本発明は、(a)本発明のポリペプチド、抗体、小胞体および/または核酸、および(b)薬学的に許容し得る担体を有する組成物を提供する。これらの組成物は例えば免疫原性組成物として、または診断試薬として、またはワクチンとして好適である。本発明のワクチンは、予防(すなわち感染防止)または治療(すなわち感染の処置)のためのいずれかであるが、一般的には予防のためである。
【0124】
特定の態様では、本発明は、(a)は配列番号511、2453,2455,2677、2691,4595、4747、7003、7051、8167、4627および5699からなる群より選択されるヌクレオチド配列;(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントであるヌクレオチド配列;または(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するヌクレオチド配列でコードされる、1つまたは複数のポリペプチドを発現または過剰発現する、1つまたは複数の外膜小胞体(OMV)を含む、免疫原性組成物を提供する。
【0125】
他の態様では、本発明は、(a)配列番号8563、2727,9871、4671,5679、533、3221、3225および7003からなる群より選択されるヌクレオチド配列;(b)アミノ酸配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有するヌクレオチド配列;(c)ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントであるヌクレオチド配列;または(d)ヌクレオチド配列(a)と少なくとも80%の配列同一性を有し、ヌクレオチド配列(a)由来の少なくとも10個の連続したヌクレオチドのフラグメントを有するヌクレオチド配列でコードされる、1つまたは複数のポリペプチドを発現または過剰発現する、1つまたは複数の外膜小胞体(OMV)を含む、免疫原性組成物を提供する。
【0126】
「薬学的に許容される担体」には、その組成物を受容する個体に有毒である抗体の産生をそれ自体が誘発しない担体が含まれる。好適な担体は典型的には、タンパク質、ポリサッカライド、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アミノ酸ポリマー、アミノ酸コポリマー、スクロース、トレハロース、ラクトースおよび脂質凝集体(例えば油滴またはリポソーム)等の大きく、ゆっくりと代謝される高分子である。このような担体は、通常の技術を有する当業者に周知である。ワクチンは、水、食塩水、グリセロール等の希釈剤を含み得る。さらに、湿潤剤または乳化剤等の補助剤、pH緩衝物質が存在してもよい。滅菌されパイロゲンを含まない生理食塩水は典型的な担体である。薬学的に許容される賦形剤については、参考文献289に記載されている。
【0127】
本発明の組成物には、抗菌剤、具体的には複数投与形式にパッケージ化された抗菌剤が含まれる。
【0128】
本発明の組成物は、界面活性剤、例えばTween80等のTween(ポリソルベート)を含んでももよい。界面活性剤は、一般に例えば0.01%の低レベルで存在する。
【0129】
本発明の組成物は、等張性を得るため、ナトリウム塩(例えば塩化ナトリウム)を含み得る。濃度10±2mg/ml NaClが典型的である。
【0130】
本発明の組成物は、一般に緩衝剤を含む。リン酸緩衝液が典型的である。
【0131】
本発明の組成物は、糖アルコール(例えばマンニトール)またはジサッカライド(例えばスクロースまたはトレハロース)を、例えば15〜30mg/mlで含み、具体的にはそれらは凍結乾燥されるか、凍結乾燥された材料から再構築された材料を含む。凍結乾燥するための組成物のpHは、凍結乾燥前に約6.1に調整されてもよい。
【0132】
本発明のポリペプチドは、他の免疫調節剤と組み合わせて投与し得る。特に、その組成物は通常ワクチンアジュバントを含む。後述するように、アジュバントはTH1アジュバントおよびTH2アジュバントからなる1つまたは複数の群から選ばれ得る。本発明の組成物中で使用し得るアジュバントには以下が含まれるが、それらに限定されない。
【0133】
A.無機物含有組成物
本発明のアジュバントとして使用するに適した無機物含有組成物には、アルミニウム塩およびカルシウム塩等の無機塩が含まれる。本発明は水酸化物(例えばオキシ水酸化物)、リン酸塩(例えばヒドロキシリン酸塩、オルソリン酸塩)、硫酸塩等の無機塩、または異なる無機化合物の混合物(例えばリン酸塩アジュバントと水酸化物アジュバントと、必要あれば過剰なリン酸塩との混合物)を含み、その化合物は任意の形を取り(例えばゲル、結晶、不定形等)、塩への吸着が好ましい。無機物含有組成物は、金属塩の粒子として調合される[参考文献54]。
【0134】
アルミニウム塩は、Al3+の投与量が1回投与あたり0.2〜0.1mgであるように本発明のワクチンに含まれ得る。
【0135】
他の実施形態では、本発明のアジュバントはリン酸アルミニウムと水酸化アルミニウムとの双方を含む。より具体的な実施形態では、アジュバントは、水酸化アルミニウムより多くのリン酸アルミニウムを含み、例えば水酸化アルミニウムに対するリン酸アルミニウムの比は、重量比で2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1または9:1より大きい。さらに具体的には、ワクチン中のアルミニウム塩はワクチン投与量あたり0.4〜1.0mg、またはワクチン投与量あたり0.4〜0.8mg、またはワクチン投与量あたり0.5〜0.7mg、またはワクチン投与量あたり約0.6mgである。
【0136】
一般的に、好ましいアルミニウム系アジュバント、またはリン酸アルミニウムに対する水酸化アルミニウム等の複数のアルミニウム系アジュバントの比は、所望のpHでアジュバントとして抗原が反対電荷を帯びるように分子間の静電引力の最適化により選ばれる。例えば、pI約4のリン酸アルミニウムアジュバントは、pH7.4でリゾチームを静電的に吸着するがアルブミンを吸着しない。アルブミンを標的としたい場合は、水酸化アルミニウムがアジュバントとして選ばれる(例えばpH11.4で)。または、水酸化アルミニウムをリン酸塩で前処理するとそのpIを下げ、より塩基性の抗原に対する好ましいアジュバントとなる。
【0137】
典型的なリン酸アルミニウムアジュバントは、PO/Alモル比が0.84〜0.92である非晶質ヒドロキシリン酸アルミニウムであり、0.6mgAl3+/mlで含まれる。例えば投与量あたりの複合体についてAl3+50〜100μgで、低い投与量のリン酸アルミニウムの吸着が使用され得る。リン酸アルミニウムが使用され、アジュバントに抗原を吸着しないことが望まれる場合、遊離リン酸イオンを溶液中に含むことが有利である。
【0138】
B.油エマルジョン
本発明でアジュバントとしての使用に適した油エマルジョンには、MF59(5%スクワレン、0.5%Tween80および0.5%Span85;ミクロフルイダイザーを用いてサブミクロン粒子に調合[参考文献53の第10章;参考文献55〜57および参考文献58の第12章も参照])等のスクワレン−水エマルジョンが含まれる。MF59はFLUAD(商標)インフルエンザウイルス3価サブユニットワクチン中のアジュバントとして用いられる。エマルジョンがクエン酸イオン、例えば10mMクエン酸ナトリウム緩衝液を含むことが有利である。
【0139】
組成物で使用するために特に好ましいアジュバントは、サブミクロン水中油エマルジョンである。本明細書中での使用に好ましいサブミクロン水中油エマルジョンは、スクワレン/水エマルジョンであり、場合によっては4〜5%w/vスクワレン、0.25〜1.0%w/vTween80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)および/または0.25〜1.0%w/vSpan85(ソルビタントリオレエート)、また場合によってはN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’,2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)エチルアミン(MTP−PE)を含むサブミクロン水中油エマルジョン等のMTP−PEの各種量を含むスクワレン/水エマルジョンである。サブミクロン水中油エマルジョン、その製造方法、組成物中に使用されるムラミルペプチド等の免疫刺激剤は参考文献55、59および60に詳細に記載されている。
【0140】
スクワレン、トコフェロールおよびTween80のエマルジョンを使用することができる。このエマルジョンはリン酸緩衝食塩水を含んでもよい。また、Span85(例えば1%)および/またはレシチンを含んでもよい。これらのエマルジョンは2〜10%のスクワレン、2〜10%のトコフェロールおよび0.3〜3%のTween80を有し、より安定なエマルジョンが得られるのでスクワレン:トコフェロールの重量比は1以下である。このようなエマルジョンの1つはTween80をPBS中に2%溶液になるように溶解し、次いでこの溶液90mlをDL−α−トコフェロール5gとスクワレン5mlの混合物と混合し、この混合物をミクロ流体化することにより製造することができる。得られたエマルジョンは、サブミクロン油滴、例えば平均粒径100〜250nm、好ましくは約180nmの油滴を有する。
【0141】
スクワレン、トコフェロールおよびTriton界面活性剤(例えばTriton X100)のエマルジョンを使用できる。
【0142】
スクワレン、ポリソルベート80およびポロキサマー401(Pluronic(商標)L121)のエマルジョンを使用できる。このエマルジョンはリン酸緩衝食塩水(pH7.4)中で調合できる。このエマルジョンはムラミルジペプチドに対する有用な配送媒体であり、「SAF−1」アジュバント([参考文献61];0.05〜1%Thr−MDP、5%スクワレン、2.5%Pluronic L121および0.2%ポリソルベート80)中でトレオニル−MDPと共に使用されている。「AF」アジュバント([参考文献62];5%スクワレン、1.25%Pluronic L121および0.2%ポリソルベート80)中と同様、Thr−MDPを含まずに使用することもできる。ミクロ流体化が好ましい。
【0143】
完全Freundアジュバント(CAF)および不完全Freundアジュバント(IFA)は、本発明のアジュバントとして使用し得る。
【0144】
C.サポニン製剤[参考文献53の第22章]
サポニン製剤も本発明のアジュバントとして使用し得る。サポニンは、広範囲の植物種の樹皮、葉、幹、根および花にさえ見られるステロールグリコシドとトリテルペノイドグリコシドとの異種グループである。キラヤサポニンの木の皮から単離されたサポニンがアジュバントとして広く研究されている。また、サルサパリラ、コゴメナデシコ(ブライダーベール)およびサポナリア(ソープワート)由来のサポニンが市販されている。サポニンアジュバント製剤にはQS21等の精製製剤の他、ISCOM等の脂質製剤が含まれる。
【0145】
サポニン成分は、HPLCおよびRP−HPLCを用いて精製されている。これらの技術を用いて、QS7、QS17,QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cを含む、具体的な精製分画が同定されている。サポニンがQS21であることが好ましい。QS21の製造法は参考文献63に開示されている。また、サポニン製剤はコレステロール等のステロールを含んでもよい[参考文献64]。
【0146】
サポニンとコレステロールとの組み合わせを用い、免疫刺激複合体(ISCOM)と呼ばれる独自粒子を形成することができる[参考文献53の第23章]。具体的には、ISCOMはホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリン等のリン脂質も含む。ISCOMに任意の既知のサポニンを使用することができる。ISCOMが1つまたは複数のQuilA,QHAおよびQHCを含むことが好ましい。ISCOMは参考文献64〜66にも記載されている。場合により、ISCOMは追加の界面活性剤を欠いていてもよい[参考文献67]。
【0147】
サポニン系アジュバントの開発のレビューは、参考文献68および69に見られる。
【0148】
D.ウイロソームおよびウイルス様粒子
ウイロソームおよびウイルス様粒子(VLP)も本発明でアジュバントとして使用できる。これらの構造は、一般に、場合によってはリン脂質と組み合わせた、または調合したウイルス由来の1つまたは複数のタンパク質を含有する。それらのタンパク質は一般に非病原性、非複製であり、一般に天然のウイルスゲノムをまったく含まない。ウイルスタンパク質は組み換え技術により産生されるか、全ウイルスから単離され得る。ウイロソームまたはVLPで使用するに適したこれらのウイルスタンパク質には、インフルエンザウイルス(HAまたはNA等)、B型肝炎ウイルス(コアまたはカプシドタンパク質等)、E型肝炎ウイルス、麻疹ウイルス、シンドビスウイルス、ロタウイルス、口蹄疫ウイルス、レトロウイルス、ノーウォークウイルス、ヒト乳頭腫ウイルス、HIV、RNAファージ、Qβファージ(被覆タンパク質等)、GAファージ、frファージ、AP205ファージおよびTy(レトロトランスポゾンTyタンパク質p1)由来のタンパク質が含まれる。VLPは参考文献70〜75に詳しく記載されている。ウイロソームは、例えば参考文献76に詳しく記載されている。
【0149】
E.細菌性誘導体または微生物誘導体
本発明で使用するに適したアジュバントには、腸管細菌リポポリサッカライド(LPS)の非毒性誘導体、リピドA誘導体、免疫刺激オリゴヌクレオチドおよびADP−リボシル化毒素およびその解毒化誘導体等の細菌性誘導体または微生物誘導体が含まれる。LPSの非毒性誘導体にはモノホスホリルリピドA(MPL)および3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)が含まれる。3dMPLは4,5、または6アシル化鎖と3脱−O−アシル化モノホスホリルリピドAとの混合物である。3−脱−O−アシル化モノホスホリルリピドA由来の好ましい「小粒子」は参考文献77に開示されている。このような3dMPLの「小粒子」は、0.22μmの膜を通して滅菌するのに十分な大きさである[参考文献77]。他の非毒性LPS誘導体には、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体、例えばRC−529等のモノホスホリルリピドA模倣体が含まれる[参考文献78,79]。
【0150】
リピドA誘導体には、OM−174等の大腸菌由来のリピドA誘導体が含まる。OM−174は例えば参考文献80および81に記載される。
【0151】
本発明のアジュバントとして使用するに適した免疫刺激オリゴヌクレオチドには、CpGモチーフ(リン酸結合でグアノシンと結合した非メチル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)を含むヌクレオチド配列が含まれる。2本鎖RNA、および回文式配列またはポリ(dG)配列を含むオリゴヌクレオチドも、免疫刺激性であることが示されている。
【0152】
CpGはホスホロチオ酸修飾等のヌクレオチド修飾/アナログを含むことが可能で、2本鎖または1本鎖である。参考文献82,83および84は、例えばグアノシンの2’−デオキシ−7−デアザグアノシンによる置換等の可能なアナログ置換を開示している。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献85〜90に詳しく議論されている。
【0153】
CpG配列はモチーフGTCGTCまたはTTCGTT等のTLR9を目的とし得る[参考文献91]。CpG−A ODN等のCpG配列はTh1免疫反応を誘発することに対して特異的であり得、CpG−B ODN等のB細胞反応をより誘発することに対してより特異的である。CpG−A ODNおよびCpG−B ODNは参考文献92〜94に記載されている。CpGがCpG−Aであることが好ましい。
【0154】
CpGオリゴヌクレオチドは、5’末端が受容体認識のために接近できるように構成される。場合によっては、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列がそれぞれの3’末端で付着し、「免疫物質」を形成する。例えば参考文献91および95〜97参照。
【0155】
他の免疫刺激性オリゴヌクレオチドには2本鎖RNA、または回文式配列を含むオリゴヌクレオチド、またはポリ(dG)配列を含むオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0156】
細菌ADP−リボシル化毒素およびその解毒化誘導体を、本発明のアジュバントとして使用し得る。そのタンパク質は大腸菌(大腸菌熱不安定性エンテロ毒素「LT」)、コレラ菌(「CT」)または百日咳菌(「PT」)由来であることが好ましい。解毒化ADP−リボシル化毒素の粘膜アジュバントとしての使用は参考文献98に、非経口アジュバントとしての使用は参考文献99に記載されている。毒素または類毒素はAサブユニットおよびBサブユニットの双方を有する完全毒素の形であることが好ましい。Aサブユニットは、解毒化突然変異体を含むことが好ましく、Bサブユニットは突然変異していないことが好ましい。アジュバントがLT−K63、LT−R72およびLT−G192等の解毒化LT突然変異体であることが好ましい。ADP−リボシル化毒素およびその解毒化誘導体、特にLT−K63およびLT−R72のアジュバントとしての使用は参考文献100〜107に見られる。アミノ酸置換に対する参照番号は、参考文献108に示したADP−リボシル化毒素のAサブユニットおよびBサブユニットの配置に基づくことが好ましく、特にその全文を参照により本明細書に援用する。
【0157】
式I、IIまたはIIIの化合物、またはその塩も、アジュバントとして使用できる。
【0158】
【化41】

参考文献109に定義したように、ER803058、ER803732、ER804053、ER804058、ER804059、ER804442、ER804680、ER804764、ER803022またはER804057である。
【0159】
【化42】

F.ヒト免疫モジュレーター
本発明でアジュバントとして使用するに適したヒト免疫モジュレーターにはインターロイキン(例えばIL−1、IL−2、IL−4、IL−5,IL−6、IL−7、IL−12[参考文献110])等のサイトカイン[参考文献111]、インターフェロン(例えばインターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子、腫瘍壊死因子ならびにマクロファージ炎症タンパク質1α(MIP−1α)およびMIP1β[参考文献112]が含まれる。
【0160】
G.生物接着剤およびムコ接着剤
生物接着剤およびムコ接着剤も本発明でアジュバントとして使用し得る。好適な生物接着剤には、エステル化ヒアルロン酸ミクロスフェア[参考文献113]またはポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリサッカライドおよびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体等のムコ接着剤が含まれる。キトサンおよびその誘導体も本発明でアジュバントとして使用し得る[参考文献114]。
【0161】
H.ミクロ粒子
ミクロ粒子も本発明のアジュバントとして使用し得る。生分解性で非毒性材料(例えばポリαヒドロキシン酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリ無水物、ポリカプロラクトン等)からなる材料とポリラクチド−コ−グリコライドから作成されるミクロ粒子(すなわち直径約100nm〜150μm、より好ましくは直径約200nm〜30μm、最も好ましくは直径約500nm〜10nmの粒子)が好ましく、場合によっては負荷電表面(例えばSDSで)または正荷電表面(例えばCTAB等の陽イオン性界面活性剤で)を有するように処理される。
【0162】
I.リポソーム(参考文献53の第13および14章)
アジュバントとして使用するに適したリポソーム製剤の例は、参考文献115〜117に記載されている。
【0163】
J.ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル製剤
本発明で使用するに適したアジュバントには、ポリオキシエチレンエーテルおよびポリオキシエチレンエステル[参考文献118]が含まれる。このような製剤には、オクトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステルの界面活性剤[参考文献119]の他、オクトキシノール等の少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはエステルの界面活性剤[参考文献120]が含まれる。好ましいポリオキシエチレンエーテルは以下の群より選ばれる。ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(laureth9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−35−ラウリルエーテル、およびポリオキシエチレン−23−ラウリルエーテル。
【0164】
K.ホスファゼン、例えばPCPP
例えば参考文献121および122に記載のように、ホスファゼンアジュバントにはポリ[ジ(カルボキシラトフェノキシ)ホスファゼン](PCPP)が含まれる。
【0165】
L.ムラミルペプチド
本発明でアジュバントとして使用するに適したムラミルペプチドの例には、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)、およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)エチルアミン(MTP−PE)が含まれる。
【0166】
M.イミダゾキノリン化合物
イミダゾキノリンアジュバントはImiquimod(R−837)[参考文献123、124]、Resiquimod(R−848)[参考文献125]、およびそのアナログおよび塩(例えば塩化水素塩)が含まれる。免疫刺激性イミダゾキノリンに関するより詳細な内容は、参考文献126〜130に見られる。
【0167】
N.チオセミカルバゾン化合物
チオセミカルバゾン化合物、本発明のアジュバントとして使用に適する化合物の配合方法、製造方法およびスクリーニング方法の例として、参考文献131の記載が挙げられる。チオセミカルバゾンは、TNF−α等のサイトカインの産生のためのヒト抹消血単核細胞の刺激に特に有効である。
【0168】
O.トリプタンスリン化合物
トリプタンスリン化合物、本発明のアジュバントとして使用に適する化合物の配合方法、製造方法およびスクリーニング方法の例として、参考文献132の記載が挙げられる。トリプタンスリン化合物は、TNF−α等のサイトカインの産生のためのヒト抹消血単核細胞の刺激に特に有効である。
【0169】
P.ヌクレオシドアナログ
(a)イサトラビン(ANA−245;7−チア−8−オキソグアニン):
【0170】
【化43】

およびそのプロドラッグ;(b)ANA975;(c)ANA−025−1;(d)ANA380;(e)参考文献133〜135に開示の化合物;以下の式を有する化合物:
【0171】
【化44】

等の様々なヌクレオシドアナログをアジュバントとして使用できる。
式中、
およびRはそれぞれ独立にH、ハロ、−NR、−OH、C1−6アルコキシ、置換C1−6アルコキシ、複素環、置換複素環、C6−10アリール、置換C6−10アリール、C1−6アルキルまたは置換C1−6アルキルであり;
はないか、H、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C6−10アリール、置換C6−10アリール、複素環または置換複素環であり;
およびRはそれぞれ独立にH、ハロ、複素環、置換複素環、−C(O)−R、C1−6アルキル、置換C1−6アルキルであるか、または共に結合してR4−5中のように5員環を形成し;
【0172】
【化45】

およびXはそれぞれ独立にN、C、OまたはSであり;
はH、ハロ、−OH、C1−6アルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、−OH、NR、−(CH−O−R、−O−(C1−6アルキル)、−S(O)または−C(O)−Rであり;
はH、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、複素環、置換複素環またはR9aであり、R9aは:
【0173】
【化46】

10およびR11はそれぞれ独立にH、ハロ、C1−6アルコキシ、置換C1−6アルコキシ、−NRまたは−OHであり;
およびRはそれぞれ独立にH、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、−C(O)R、C6−10アリールであり;
各Rは独立にH、ホスフェート、ジホスフェート、トリホスフェート、C1−6アルキルまたは置換1−6アルキルであり;
各Rは独立にH、ハロ、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、置換C1−6アルコキシ、−NH、−NH(C1−6アルキル)、−NH(置換C1−6アルキル)、−N(C1−6アルキル)、−N(置換CC1−6アルキル)、C6−10アリールまたは複素環であり;
各Rは独立にH、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、C6−10アリール、置換C6−10アリール、複素環または置換複素環であり;
各Rは独立にH、C1−6アルキル、置換C1−6アルキル、−C(O)R、ホスフェート、ジホスフェートまたはトリホスフェートであり;
各nは独立に0、1、2または3であり;
各pは独立に0、1または2であるか;または
(g)(a)〜(f)のいずれかの薬学的に許容し得る塩、(a)〜(f)のいずれかの互変異性体、または互変異性体の薬学的に許容し得る塩である。
【0174】
Q.ホスフェート含有非環式骨格に結合した脂質
ホスフェート含有非環式骨格に結合した脂質を含むアジュバントには、TLR4拮抗剤E5564が含まれる[参考文献136、137]。
【0175】
【化47】

R.小分子免疫促進剤(SMIP)
SMIPには以下が含まれる:
・N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・N2、N2−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・N2−エチル−N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・1−(2−メチルプロピル)−N2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・N2−ブチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・N2−ブチル−N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N2−ペンチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N2−プロペ−2−ニル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・1−(2−メチルプロピル)−2−[(フェニルメチル)チオ]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
・1−(2−メチルプロピル)−2−(プロピルチオ)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン
・2−[[4−アミノ−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−イル](メチル)アミノ]エタノール
・2−[[4−アミノ−1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−イル](メチル)アミノ]エチル酢酸
・4−アミノ−1−(2−メチルプロピル)−1,3−ジヒドロ−2H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2−オン
・N2−ブチル−1−(2−メチルプロピル)N4、N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・N2−ブチル−N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N4,N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・N2−メチル−1−(2−メチルプロピル)−N4、N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・N2,N2−ジメチル−1−(2−メチルプロピル)−N4、N4−ビス(フェニルメチル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン
・1−{4−アミノ−2−[メチル(プロピル)アミノ]−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル}−2−メチルプロパン−2−オール・1−[4−アミノ−2−(プロピルアミノ)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]−2−メチルプロパン−2−オール
・N4,N4−ジベンジル−1−(2−メトキシ−2−メチルプロピル)−N2−プロピル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−2,4−ジアミン。
【0176】
S.プロテオソーム
1つのアジュバントは、第2グラム陰性細菌由来のリポサッカライド製剤と組み合わせた第1グラム陰性細菌から調製された、外膜タンパク質プロテオソーム製剤であって、外膜タンパク質プロテオソームとリポサッカライド製剤とは安定な非共有結合アジュバント複合体を形成する。このような複合体には、髄膜炎菌外膜とリポポリサッカライド類とからなる複合体である「IVX−908」が含まれる。それらはインフルエンザワクチンに対するアジュバントとして使用されている[参考文献138]。
【0177】
T.他のアジュバント
免疫刺激剤として作用する他の物質は、参考文献53の第7章、参考文献53、58に開示されている。その他の有用なアジュバント物質には以下が含まれる。
・メチルイノシン−5’−モノホスフェート(MIMP)[参考文献139]
・以下の式を有するポリヒドロキシル化ピロリジン化合物[参考文献140]:
【0178】
【化48】

式中、Rは水素、直鎖状または分枝状、未置換または置換、飽和または不飽和アシル、アルキル(例えばシクロアルキル)、アルケニル、アルキニルおよびアリール基、またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体からなる群より選ばれる。それらの例にはカスアリン、カスアリン−6−α−D−グルピラソース、3−エピ−カスアリン、7−エピ−カスアリン、3,7−ジエピ−カスアリン等が含まれるが、それらに限定されない。
・γイヌリン[参考文献141]またはアルガムリン等のその誘導体
・参考文献142に開示された化合物
・アシルピペラジン化合物、インドレジオン化合物、テトラヒドライソキノリン(THIQ)化合物、ベンゾシクロジオン化合物、アミノアザビニル化合物、アミノベンズイミダゾールキノリン(ABIQ)化合物[参考文献144,145]、ヒドラフタルアミド化合物、ベンゾフェノン化合物、イソオキサゾール化合物、ステロール化合物、キナジリノン化合物、ピロール化合物[参考文献146]、アンスラキノン化合物、キノキサリン化合物、トリアジン化合物、ピラゾピリミジン化合物およびベンザゾール化合物[参考文献147]を含み参考文献143に開示された化合物。
・ロキソリビン(7−アリル−8−オキソグアノシン)[参考文献148]
・アミノプロピル−ジメチル−ミリストレイルオキシ−プロパナミウムブロマイド−ジフィタノイルホスファチジル−エタノールアミン(Vaxfectin(商標))またはアミノプロピル−ジメチル−ビス−ドデシルオキシプロパナミウムブロマイド−ジオレオイルホスファチジル−エタノールアミン(GAP−DLRIE:DOPE)等の陽イオン性脂質および(通常中性)共脂質。(±)−N−(3−アミノプロピル)−N,N−ジメチル−2,3−ビス(syn−9−テトラデセネイルオキシ)−1−プロパナミウム塩が好ましい[参考文献149]。
【0179】
本発明は、1つまたは複数の上記で特定したアジュバントの組み合わせを含み得る。例えば、以下の組み合わせを本発明のアジュバント組成物として使用し得る:(1)サポニンおよび水中油エマルジョン[参考文献150];(2)サポニン(例えばQS21)+毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)[参考文献151];(3)サポニン(例えばQS21)+非毒性LPS誘導体(例えば3dMPL)+コレステロール;(4)サポニン(例えばQS21)+3dMPL+IL−12(随意に+「ステロール」)[参考文献152];(5)3dMPLと例えばQS21および/または水中油エマルジョンとの組み合わせ[参考文献153];(6)10%スクアレン、0.4%Tween 80(商標)、5%プルロニンブロックポリマーL121およびthr−MDPを含むSAF、サブミクロンエマルジョンにミクロ流体化するか、渦流攪拌して大きい粒子サイズのエマルジョンとする;(7)2%スクワレン、0.2%Tween80、ならびにモノホスホリルリピドA(MPL)、トレハロースジマイコレート(TDM)および細胞壁骨格(CWS)からなる群より選択される1つまたは複数の細菌細胞壁成分、好ましくはMPL+CWS(Detox(商標))を含むRibi(商標)アジュバントシステム(RAS)(Ribi Immunochem);(8)1つまたは複数の無機塩(アルミニウム塩等)+LPSの非毒性誘導体(3dMPL等);および(9)1つまたは複数の無機塩(アルミミウム塩等)+免疫刺激性オリゴヌクレオチド(CpGモチーフを含むヌクレオチド配列)。
【0180】
本発明の組成物は、尿路病原体感染を効果的に標的にするために、細胞媒介免疫反応と共に体液性免疫反応を誘発することが好ましい。この免疫反応は、長期持続性(例えば中和)抗体と、MNEC関連抗原に曝されると迅速に反応することが可能な細胞媒介免疫とを誘導することが好ましい。
【0181】
細胞媒介免疫と体液性免疫とを開始および/または増強するために、2つのタイプのT細胞、CD4およびCD8が一般に必要であると考えられている。CD8 T細胞はCD8共受容体を発現し、一般に細胞障害性Tリンパ球(CTL)と呼ばれている。CD8 T細胞はMHCクラスI分子上に提示された抗原を認識、またはそれと作用することができる。CD4 T細胞はCD4共受容体を発現し、MHCクラスII分子に結合した抗原ペプチドを認識する。MHCクラスII分子と相互作用して、CD4細胞はサイトカイン等の因子を分泌することができる。これらの分泌されたサイトカインはB細胞、細胞障害性T細胞、マクロファージおよび免疫反応に関与する他の細胞を活性化することができる。ヘルパーT細胞またはCD4細胞は、2つの機能的に異なるサブセット、すなわちサイトカインおよびエフェクター機能で異なるTH1表現型とTH2表現型とにさらに分類することができる。
【0182】
活性化TH1細胞は、細胞性免疫を増強するため(抗原特異性CTL産生の増加を含み)、細胞内感染に反応する場合に特に価値がある。活性化TH1細胞は、IL−2、IFN−γおよびTNF−βの1つまたは複数を分泌し得る。TH1免疫反応は、マクロファージ、NK(ナチュラルキラー)細胞およびCD8細胞障害性T細胞(CTL)を活性化することにより局部炎症反応を生じ得る。IL−2でBおよびT細胞の成長を刺激することにより、TH1免疫反応は免疫反応を拡大する働きをし得る。TH1刺激B細胞はIgG2aを分泌し得る。
【0183】
活性化TH2細胞は抗体の産生を増強するため、細胞外感染に反応する場合に特に価値がある。活性化TH2細胞は、IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10の1つまたは複数を分泌し得る。TH2免疫反応はIgG1、IgE、IgAおよび先の保護のための記憶B細胞を産生し得る。
【0184】
増強された免疫反応には、増強されたTH1免疫反応およびTH2免疫反応の1つまたは複数を含み得る。増強されたTH1免疫反応には、CTLの増加、TH1免疫反応を伴う1つまたは複数のサイトカインの増加(IL−2、IFN−γおよびTNF−β等)、活性化マクロファージの増加、NK活性の増加、またはIgG2a産生の増加の1つまたは複数が含まれる。増強されたTH1免疫反応には、IgG2a産生の増加が含まれることが好ましい。増強されたTH2免疫反応には、TH2免疫反応に伴うサイトカインの1つまたは複数(IL−4、IL−5、IL−6およびIL−10等)の増加、またはIgG1、IgE、IgAおよび記憶B細胞の産生の増加の1つまたは複数が含まれ得る。増強されたTH2免疫反応にIgG1産生の増加が含まれることが好ましい。
【0185】
TH1免疫反応を、TH1アジュバントを用いて誘発し得る。TH1アジュバントは、アジュバントなしの抗原の免疫と比較して、一般にIgG2a産生の増加レベルを誘発する。本発明で使用するに適したTH1アジュバントには、例えばサポニン製剤、ウイロソームおよびウイルス様粒子、腸内細菌リポポリサッカライド(LPS)の非毒性誘導体、免疫刺激性オリゴヌクレオチドが含まれ得る。CpGモチーフを含むオリゴヌクレオチド等の免疫刺激性オリゴヌクレオチドは、本発明で使用するための好ましいTH1アジュバントである。
【0186】
TH2免疫反応を、TH2アジュバントを用いて誘発し得る。TH2アジュバントは、アジュバントなしの抗原の免疫と比較して、一般にIgG1産生のが増加レベルを誘発する。本発明で使用するに適したTH2アジュバントの例には、無機物含有組成物、オイルエマルジョン、ADPリボシル化毒素およびその解毒化誘導体が含まれる。アルミニウム塩等の無機物含有組成物は、本発明で使用するのに好ましいTH2アジュバントである。
【0187】
本発明はTH1アジュバントとTH2アジュバントとの組み合わせからなる組成物を含むことが好ましい。このような組成物は増強されたTH1およびTH2反応、すなわちアジュバントなしの免疫と比較してIgG1およびIgG2a双方の産生の増加を誘発することが好ましい。TH1アジュバントとTH2アジュバントとの組み合わせからなる組成物が、単一アジュバントによる免疫と比較して(すなわちTH1アジュバント単独の免疫またはTH2アジュバント単独の免疫と比較して)TH1および/またはTH2免疫反応の増加を誘発することがさらに好ましい。
【0188】
免疫反応は、TH1免疫反応およびTH2免疫反応の一方または双方であってよい。免疫反応は、増強されたTH1反応と増強されたTH2反応の一方または双方を提供することが好ましい。
【0189】
増強された免疫反応は全身性および粘膜免疫反応の一方または双方であってよい。免疫反応は、増強された全身免疫反応と増強された粘膜免疫反応の一方または双方を提供することが好ましい。粘膜免疫反応がTH2免疫反応であることが好ましい。粘膜免疫反応には、IgA産生の増加が含まれることが好ましい。
【0190】
水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムアジュバントの使用が特に好ましく、抗原は一般にこれらの塩に吸着される。リン酸カルシウムがまたさらに好ましいアジュバントである。
【0191】
本発明の組成物のpHは6〜8の間、約7であることが好ましい。緩衝液を使用することにより、安定なpHを維持し得る。組成物が水酸化アルミニウム塩を有する場合、ヒスチジン緩衝液を使用することが好ましい[参考文献154]。組成物は滅菌されている、および/またはパイロジェンを含まない。本発明の組成物はヒトに対して等張であってよい。
【0192】
組成物はバイアル中で提供されるか、または充填済み注射器中で提供される。注射器は針付きまたは針なしでもよい。注射器は、組成物の1回投与量を含むが、バイアルは1回投与量または複数回投与量を含んでよい。注射可能組成物は通常は液体溶液または懸濁液である。あるいは、組成物は、溶液または懸濁液のために固体形(例えば凍結乾燥)、あるいは注射前に液体媒体で提供されてもよい。
【0193】
本発明の組成物は1回投薬剤または複数回投薬剤として梱包されてもいよい。複数回投薬製剤では、予備充填注射器よりもバイアルが好ましい。有効投与体積を経験的に確立し得るが、注射用組成物の典型的なヒトに対する投与量は0.5mlである。
【0194】
本発明の組成物を使用前にその場で調製する(すなわち、組成物が凍結乾燥物で提供される)キットとして提供される場合、そのキットは2つのバイアルを有するか、または1つの充填済み注射器と1個のバイアルとを有し、注射器の内容物を注射前にバイアルの内容物と反応させて使用する。
【0195】
従って、本発明は第1成分と第2成分を有するキットを提供し、第1成分は1つまたは複数のポリペプチド、抗体、小胞体および/または本発明の核酸を含み、第2成分は以下の1つまたは複数を有する:組成物を患者に投与するための説明書、注射器または他の配送器具、アジュバント、および/または薬学的に許容し得る調合溶液。
【0196】
また、本発明は、本発明の免疫原組成物で予備充填された配送器具(例えば注射器)を提供する。
【0197】
ワクチンとして使用される免疫原組成物は免疫的に有効量の抗原の他、必要に応じて任意の他の成分を有する。「免疫的に有効量」とは、1回投与または一連の投与のいずれであっても、個体に対するその量の投与が治療または予防に有効であることを意味する。この量は治療する個体の健康状態と体調、年齢、処置される個体の分類群(例えば非ヒト霊長類、霊長類等)、個体の免疫系の抗体合成能、所望する防御の程度、ワクチンの配合、医学的状態の処置医の評価、および他の関連する因子で変化する。その量は通常の試行により決定することができる比較的広い範囲に入ると予想され、投与量あたりの各髄膜炎菌サッカライド抗原の典型的な量は1μg〜10mgの間である。
【0198】
薬剤の使用
本発明は、患者に治療的に有効量の本発明の組成物を投与する工程からなる患者の処置方法を提供する。患者は疾患自体の危険のある患者であるか、または妊婦である(母体免疫[参考文献155])。
【0199】
本発明は、医薬(例えば免疫原性組成物またはワクチン)または診断薬として使用する本発明の核酸、ポリペプチド、小胞体または抗体を提供する。また、本発明は(i)ExPEC細菌で発症する疾患および/または感染を治療もしくは予防する医薬、(ii)ExPEC細菌に対して高まる抗体の存在を検出するための診断薬、および/または(iii)ExPEC細菌に対する抗体を生じ得る試薬の製造における、本発明の核酸、ポリペプチド、小胞体または抗体の使用を提供する。上記ExPEC細菌は任意の抗原型または株であるが、MNEC細菌、例えばK1抗原型および/またはB2MLEE型であることが好ましい。
【0200】
本発明は菌血症、髄膜炎、尿路感染、腎盂腎炎および/または膀胱炎等の疾患の予防および/または治療に有用である。本発明は敗血症および/または髄膜炎の治療に特に有用である。
【0201】
患者はヒトであることが好ましい。ヒトは子供(例えば0〜18歳、または0〜5歳)、青年期(例えば15〜19歳)、成人(例えば19〜54歳)または老人(例えば55歳以上)である。女性の青年期および成人が好ましい患者群である。子供または青年期を対象とするワクチンを、例えば安全性、投与量、免疫原性等を評価するために成人に投与してもよい。
【0202】
他の可能な患者動物にはExPECに感染の担体である犬が含まれる[参考文献156、157]。
【0203】
治療処置の効力をチェックする1つの方法は、本発明の組成物の投与後に感染をモニターすることである。予防処置の効力をチェックする1つの方法は、投与後のポリペプチドに対する免疫反応をモニターすることである。本発明の組成物の免疫原性を、試験対象(例えば年齢12〜16ヶ月の子供、または動物モデル、例えばマウスモデル)に投与し、IgGのELISA力価(GTM)を含む標準パラメーターを決定することにより原性を決定することができる。これらの免疫反応を一般に組成物の投与後約4週間測定し、組成物の投与前に測定した値と比較する。1回の投与量を超える組成物を投与する場合、1回を超える投与後測定を行う。敗血症の成体マウスモデル、UTIのマウスモデル、および幼児ラットの髄膜炎からの受動防御を用いても、効力を評価し得る。
【0204】
ポリペプチド抗原の投与は免疫誘導処置の好ましい方法である。本発明の抗体の投与は、また別の好ましい方法である。受動免疫のこの方法は、新生児または妊婦に対し特に有用である。この方法は具体的にはヒト型または完全にヒトのモノクローナル抗体を使用する。
【0205】
一般に本発明の組成物を患者に直接投与する。直接配送は非経口注射(例えば皮下、腹腔内、静脈内、筋肉内または組織の腸内空間)、または直腸内、経口(例えば錠剤、スプレー)、膣内、局所、経皮、経皮膚、鼻腔内、舌下、眼球内、口腔内、腸内または他の粘膜投与により行い得る。太腿または上腕への筋肉内投与が好ましい。針を用いて、注射し得る(例えば皮下針)が、針を用いない注射も使用し得る。典型的な筋肉内投与量は0.5mlである。
【0206】
本発明を全身および/または粘膜免疫を誘発するために用い得る。増強された全身および/または粘膜免疫が増強されたTH1および/またはTH2免疫反応に反映されることが好ましい。増強された免疫反応にIgG1および/またはIgG2aおよび/またはIgAの増加が含まれることが好ましい。
【0207】
投薬処置は、1回投与スケジュールでも複数回投与スケジュールでも可能である。1次免疫スケジュールおよび/または追加免疫スケジュールでも複数回投与を使用し得る。1次投与スケジュールの後に追加投与スケジュールを行ってよい。複数回投与スケジュールでは、同じ経路または、例えば非経口免疫刺激投与と粘膜追加投与、粘膜免疫刺激投与と非経口追加投与等の異なる経路で様々な量を投与し得る。免疫刺激投与間の好適なタイミング(例えば4〜16週)および免疫刺激投与と追加投与との間の好適なタイミングを経験的に決定することができる。例えば、予防接種の一次コースには1〜10回の独立な投与が含まれ、その後免疫反応を維持および/または強化するために必要な連続時間間隔、例えば2回目の投与に対し1〜4ヶ月、必要な場合はその後の投与(1回または複数回)は数ヶ月後に行われる。
【0208】
細菌感染は身体の様々な領域に影響するので、組成物は様々な形で調製される。例えば、液体または懸濁液のいずれかで注入物質として組成物を調製し得る。注射前の液体媒体中の溶液または懸濁液として適した固体形を調製することができる(例えば凍結乾燥または噴霧乾燥組成物)。組成物を局所投与用、例えば軟膏、クリームまたは粉末として調製してもよい。組成物を経口投与用、例えば錠剤またはカプセル、またはスプレー(必要あれば風味付)として調製してもよい。組成物を肺投与用、例えば微粉末またはスプレーを用いる吸入薬として調製してもよい。組成物を座薬またはペッサリーとして調製してもよい。」組成物を鼻、口腔または眼球投与用、例えばスプレー、点眼薬、げるまたは粉末として調製してもよい[例えば参考文献158、159]。組成物は、患者へ投与する直前に組み合わせた組成物を再構成するように設計されたキットの形でもよい。このようなキットは液体の形の1つまたは複数の抗体と、1つまたは複数の凍結乾燥抗原を有し得る。
【0209】
実質的に他のワクチンと同時(例えば同じ医療相談または健康管理専門医への外来受診中)に、例えば麻疹ワクチン、流行性耳下腺炎ワクチン、風疹ワクチン、MMRワクチン、水痘ワクチン、MMRVワクチン、ジフテリアワクチン、破傷風ワクチン、百日咳ワクチン、DTPワクチン、b型インフルエンザ桿菌混合ワクチン、ヒト乳頭種ワクチン、不活性化ポリオウイルスワクチン、B型肝炎ウイルスワクチン、肺炎球菌混合ワクチン、髄膜炎菌混合ワクチン等と実質的に同時に本発明の組成物を患者に投与してもよい。同様に、それらのワクチンを抗生物質、特にMNECに対し活性である抗生物質化合物と実質的に(例えば同じ医療相談または健康管理専門医への外来受診中に)同時に患者に投与してもよい。
【0210】
本発明の組成物の別の抗原性成分
また、本発明は、本発明のポリペプチドを有する組成物、および1つまたは複数の以下の別の抗原を提供する。
− 血清型C由来の参考文献160で開示されたオリゴサッカライド[参考文献161も参照]または参考文献162のオリゴサッカライド等の髄膜炎菌A、C、W135および/またはY(好ましくは4種全て)由来のサッカライド抗原。
− 参考文献163〜171に開示されたような髄膜炎菌血清型B由来の抗原等。
− 肺炎連鎖球菌由来のサッカライド抗原[例えば参考文献172,173,174]
− 不活性化ウイルス等のA型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば参考文献175、176]。
− 表面および/またはコア抗原等のB型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば参考文献176、177]。
− ジフテリア毒素[例えば参考文献178の第3章参照]等のジフテリア抗原、例えばCRM197突然変異体[例えば参考文献179]。
− C型肝炎ウイルス由来の抗原[例えば参考文献180]。
− HIV由来の抗原[参考文献181]。
− 破傷風毒素等の破傷風抗原[例えば参考文献178の第4章]。
− 百日咳完全毒素(PT)等の百日咳菌由来の抗原および百日咳菌由来の糸状赤血球凝集素(FHA)、場合によってはパータクチンおよび/または凝集原2および3と組み合わせる[例えば参考文献182、183]。
− B型インフルエンザ菌由来のサッカライド抗原[例えば参考文献162]。
− IPV等のポリオ抗原[例えば参考文献184、185]。
− 麻疹、流行性耳下腺炎および/または風疹抗原[例えば参考文献178の第9、10、11章]。
− 水痘抗原
− 赤血球凝集素および/またはノイラミニダーゼ表面タンパク質等のインフルエンザ抗原[例えば参考文献178の第19章]。インフルエンザ抗原は間流行期(年間)インフルエンザ株由来でもよい。インフルエンザ抗原は爆発的流行を引き起こす可能性を有する株由来でもよい(すなわち、現在流行中の株中の赤血球凝集素と比較して新規赤血球凝集素を有するインフルエンザ株、または鳥類で病原性であり、人類中に水平伝播する可能性を有するインフルエンザ株、またはヒトに病原性であるインフルエンザ株)。インフルエンザ抗原は卵または培養細胞中で生育したウイルス由来でもよい。
− カタラリヌ菌由来の抗原[例えば参考文献186]。
− 減乳性連鎖球菌(B型連鎖球菌)由来のサッカライド抗原。
− 減乳性連鎖球菌(B型連鎖球菌)由来のタンパク質抗原[例えば参考文献187、188]。
− 淋病由来の抗原[例えば参考文献189〜192]。
− クラミジア肺炎菌由来の抗原[例えば参考文献193〜199]またはクラミジア肺炎菌由来の抗原との組み合わせ[例えば参考文献200]。
− クラミジアトラコマチス由来の抗原、またはクラミジアトラコマチス由来の抗原の組み合わせ[例えば参考文献201]。
− ポルフィロモナスジンジバリス由来の抗原[例えば参考文献202]。
− 凍結乾燥不活性化ウイルス[例えば参考文献204、RabAvert(商標)]等の狂犬病抗原[例えば参考文献203]。
− 呼吸合胞性ウイルス(RSV[参考文献205、206])および/またはパラインフルエンザウイルス(PIV3[参考文献207])等のパラミキソウイルス由来の抗原。
− 炭疸菌由来の抗原[例えば参考文献208、209、210]。
− 化膿連鎖球菌(A型連鎖球菌)由来の抗原[例えば参考文献188、211、212]。
− 黄色ブドウ球菌由来の抗原[例えば参考文献213]。
− 黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、デング熱ウイルスの4つの血清型、マダニ媒介脳炎ウイルス、西ナイルウイルス等のフラビウイルス群(フラビウイルス属)中のウイルス由来の抗原。
− 古典的ブタコレラウイルス、ウシウイルス性下痢ウイルスおよび/またはボーダー病ウイルス由来等のペスチウイルス抗原。
− 例えばパルボウイルスB19由来のパルボウイルス抗原。
− ヒト乳頭腫(HPV)抗原[参考文献214]。
【0211】
組成物はこれらその他の抗原の1つまたは複数を含有してもよい。
【0212】
好ましい淋病抗原にはngs13(OmpA)、OmpH、ngs576(ペプチジル−プロリルcis/transイソメラーゼ(PPIase)タンパク質)、ngs41およびngs117の1つまたは複数が含まれる。
【0213】
好ましいHPV抗原にはHPV16、HPV18、HPV6およびHPV11が含まれる。
【0214】
好ましいクラミジアトラコマチス抗原には、WO05/002619に開示されたCT045、CT089、CT242、CT316、CT381、CT396、CT398、CT444、CT467、CT547、CT587、CT823、CT761の1つまたは複数、およびこれら抗原の特定の組み合わせが含まれる。
【0215】
好ましいChlamydia pneumoniae抗原には、WO05/084306に開示されたCpn0324、Cpn0301、Cpn0482、Cpn0503、Cpn0525、Cpn0558、Cpn0584、Cpn0800、Cpn0979、Cpn0498、Cpn0300、Cpn0042、Cpn0013、Cpn450、Cpn0661、Cpn0557、Cpn0904、Clpn0795、Cpn0186およびCpn0604の1つまたは複数、およびこれら抗原の特定の組み合わせが含まれる。
【0216】
好ましいGBS抗原にはGBS80、GBS104、GBS59、GBS67、GBS322およびGBS276の1つまたは複数が含まれる。
【0217】
他の実施形態では、泌尿生殖器および/または性感染病に対して女性を防御するために設計されたワクチン中で使用するに適した、1つまたは複数のさらなる非大腸菌抗原と、本発明の抗原とが組み合わされる。例えば、その抗原を減乳性連鎖球菌、クラミジアトラコマチス、淋病、ヒト乳頭種ウイルスおよび単純疱疹ウイルスからなる群由来の抗原と組み合わせ得る。ヒト乳頭種ウイルスを使用する場合、それらはHPV16、HPV18、HPV6およびHPV11の1つまたは複数に由来し得る。
【0218】
他の実施形態では、本発明の抗体の組み合わせは、高齢のまたは免疫無防備状態の個人を防御するために設計されたワクチン中で使用するのに適した、1つまたは複数のさらなる非ExPEC抗原と組み合わされる。例えば、上記の抗原の組み合わせは、エンテロコッカス フェカリス、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、緑膿菌、レジオネラニューモフィラ菌、リステリア菌、髄膜炎菌、インフルエンザおよびパラインフルエンザウイルス(PIV)からなる群由来の抗原と組み合わせ得る。
【0219】
毒性タンパク質抗原は、必要あれば解毒化される(例えば化学的および/または遺伝的手段による百日咳毒素の解毒化[参考文献183])。
【0220】
ジフテリア抗原が組成物に含まれる場合、破傷風および百日咳抗原も含まれることが好ましい。同様に、破傷風抗原が含まれる場合、ジフテリアおよび破傷風抗原も含まれることが好ましい。同様に、百日咳抗原が含まれる場合、ジフテリアおよび破傷風抗原も含まれることが好ましい。従ってDTPの組み合わせが好ましい。
【0221】
サッカライド抗原は複合体の形であることが好ましい。複合体のための担体タンパク質には細菌毒素(ジフテリア毒素または破傷風毒素等)、髄膜炎菌外膜タンパク質[参考文献215]、合成ペプチド[参考文献216、217]、熱ショックタンパク質[参考文献218、219]、百日咳タンパク質[参考文献220、221]、インフルエンザ桿菌由来のタンパク質D[参考文献222、223]、サイトカイン[参考文献224]、リンフォカイン[参考文献224]、インフルエンザ桿菌タンパク質、ホルモン[参考文献224]、成長因子[参考文献224]、クロストリジウム ディフィシルクロス由来の毒素Aまたは毒素B[参考文献225]、鉄取り込みタンパク質[参考文献226]、N19タンパク質[参考文献228]等の様々な病原体由来の抗原[参考文献227]由来の複数のヒトCD4+T細胞エピトープを含む人工タンパク質、肺炎球菌表面タンパク質PspA[参考文献229]、肺剥離[参考文献230]等が含まれる。好ましい担体タンパク質はCRM197タンパク質である[参考文献231]。
【0222】
組成物中の抗原は典型的にはそれぞれ少なくとも1μg/mlの濃度で存在する。一般に、任意の与えられた抗原の濃度は、その抗原に対する免疫反応を誘起するに十分である。
【0223】
抗原がアルミニウム塩に吸着されていることが好ましい。
【0224】
核酸免疫処置
上記の免疫原性組成物はMNEC由来のポリペプチド抗原を含む。本発明の免疫原性組成物中にタンパク質抗原を使用する代わりに、その抗原をコードする核酸(好ましくはプラスミドの形のDNA)を使用し、核酸免疫処置に基づく組成物、方法および使用が得られる。核酸免疫処置は現在開発された分野であり(例えば参考文献232〜239参照)、多くのワクチンに応用されている。
【0225】
免疫原をコードする核酸は患者に配送後にインビボで発現し、発現した免疫原が免疫系を刺激する。活性成分は典型的には(i)プロモーター、(ii)免疫原、場合によってはプロモーターと結合した免疫原をコードする配列、および場合によっては(iii)選択性マーカーを有する核酸ベクターの形を取る。好ましいベクターは、さらに(iv)複製起点、および(ii)の下流であり、作動的に結合する転写ターミネーターを有する。一般に、(i)および(v)は真核性であり、(iii)および(iv)は原核性である。
【0226】
好ましいプロモーターはウイルスプロモーター、例えばサイトメガロウイルス(CMV)由来のプロモーターである。ベクターはまた、プロモーター以外にそのプロモーターと機能的に相互作用する転写調節配列(例えばエンハンサー)を含んでもよい。好ましいベクターは最初期CMVエンハンサー/プロモーターを含み、より好ましいベクターはCMVイントロンAも含む。免疫原コード配列がプロモーターの制御下にあるように、プロモーターは免疫原をコードする下流配列と作動的に結合している。
【0227】
マーカーを使用する場合、そのマーカーが微生物宿主中(例えば原核細胞、細菌、酵母中で)で機能することが好ましい。マーカーは原核性選択マーカー(例えば原核性プロモーターの制御下に転写される)であることが好ましい。便宜上、典型的なマーカーは抗生物質耐性遺伝子である。
【0228】
本発明のベクターはプラスミド等の自己複製または染色体外ベクターであることが好ましい。
【0229】
本発明のベクターは複製起点を有することが好ましい。複製起点は、原核細胞中では活性であるが、真核細胞中では活性でないことが好ましい。
【0230】
従って、好ましいベクターはベクター選択用の原核性マーカー、すなわち原核性複製起点を含むが、免疫原コード配列の転写を駆動する真核性プロモーターも含む。従って上記ベクターは、(a)ペプチドを発現せずに原核宿主中で増幅され選択されるが、(b)増幅されずに真核宿主中で発現する。この配置は核酸免疫処理ベクターにとって理想的である。
【0231】
本発明のベクターはコード配列の下流に真核性転写停止配列を有してもよい。これにより転写レベルが増大する。コード配列がそれ自体を有さない場合、本発明のベクターがポリアデニル化配列を有することが好ましい。好ましいポリアデニル化配列はウシ成長ホルモン由来である。
【0232】
本発明のベクターは複数のクローニング部位を有してもよい。
【0233】
免疫原とマーカーとをコードする配列以外に、第2真核コード配列を有し得る。免疫原と同じ転写産物から第2真核性ポリペプチドの転写を行うため、ベクターはまた第2配列の上流にIRESを有してもよい。または、免疫原コード配列がIRESの下流であってもよい。
【0234】
本発明のベクターは非メチル化CpGモチーフ、例えばグアノシンの前に共通のシトシンを有し、2個の5’プリンと2個の3’ピリミジンで挟まれた非メチル化DNA配列を有し得る。非メチル化の形で、これらのDNAモチーフはいくつかのタイプの免疫細胞の強力な刺激因子であることが示されている。
【0235】
ベクターは標的を定めて配送される。受容体媒介DNA治療技術は、例えば参考文献240〜245に記載されている。遺伝子治療プロトコールにおける局所投与では、核酸を含む治療用組成物は、DNA約100ng〜約200mgの範囲で投与される。また、約500ng〜50mg、約1μg〜約2mg、約5μg〜約500μg、および約20μg〜100μgの濃度範囲を遺伝子治療プロトコールで使用できる。作用方法(例えばコードされた遺伝子産物のレベルを増大または阻害するための)、および形質転換および発現の効力等の因子が、最終的な効力に必要な投与量に影響する検討項目である。組織のより広い範囲で大きな発現が望まれる場合、陽性の治療結果を得るためにはより多量のベクターの投与、または投与の連続プロトコールにおける同量の再投与、または異なる隣接または近接組織部分への数回の投与が必要である。あらゆる場合に、臨床試験における定期的実験により最適治療効果の特定の範囲が決定される。
【0236】
遺伝子配送媒体を用いてベクターを配送することができる。遺伝子配送媒体はウイルス起源または非ウイルス起源である(一般的に参考文献246〜249参照)。
【0237】
所望の核酸を配送し、所望の細胞中で発現させるためのウイルス系ベクターは、糖技術分野において公知である。ウイルス系媒体の例には組み換えレトロウイルス(例えば参考文献250〜260)、αウイルス系ベクター(例えばシンビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルス(ATCC VR−67、ATCC VR−1247)、ロス川ウイルス(ATCC VR−373、ATCC VR−1246)、およびベネズエラウマ脳炎ウイルス(ATCC VR−923、ATCC VR−1250、ATCC VR−1249、ATCC VR−532)、これらのウイルスのハイブリッドまたはキメラも使用し得る)、ポックスウイルスベクター(例えばワクシナ、伝染上皮腫、カナリアポックス、修飾ワクシナアンカラ等)、アデノウイルスベクター、およびアデノ関連ウイルス(AAV)ベクターが含まれるが(例えば参照文献261〜266参照)、それらに限定されない。殺菌アデノウイルス[参考文献267]に結合したDNAの投与も使用できる。
【0238】
非ウイルス配送媒体および方法も用いられ、殺菌アデノウイルスのみに結合した、または結合しないポリカチオン縮合DNA[例えば参考文献267]、リガンド結合DNA[参考文献268]、真核細胞配送媒体細胞[例えば参考文献269〜273]、および核電荷中和または細胞膜との融合が含まれるが、それらに限定されない。裸のDNAを用いることもできる。裸のDNA導入法は参考文献274および275に記載されている。遺伝子配送媒体として作用できるリポソーム(例えば免疫リポソーム)は参考文献276〜280に記載されている。その他のアプローチは参考文献281および282に記載されている。
【0239】
使用するに適したさらなる非ウイルス配送には、参考文献282に記載されるような機械的配送システムが含まれる。さらに、コード配列およびその発現産物を、光重合ハイドロゲル材料の沈殿により、またはイオン化放射線の使用により配送することができる[例えば参考文献283および284]。コード配列の配送のために使用し得る遺伝子配送のための他の従来の方法には、例えば手持型遺伝子転送粒子銃[参考文献285]、または転送遺伝子を活性化するためのイオン化放射線の使用が含まれる[参考文献283および286]。
【0240】
例えばミクロ粒子への吸着によるPLG(ポリ(ラクチド−コ−グリコリド))ミクロ粒子を用いるDNA配送が特に好ましい方法であり、場合によっては負荷電表面(例えばSDS処理)または正荷電表面(例えばCTAB等の陽イオン界面活性剤処理)を有するように処理される。
【0241】
一般的記述
用語「含む(comprising)」は、「を含む(including)」または「からなる(consisting)」を包含する。例えばXを含むとは、Xのみからなるか、または何か別のもの、例えばX+Yを含み得る。
【0242】
数値xに関連する用語「約」は、例えばx±10%を意味する。
【0243】
用語「実質的に」は「完全に」を除外しない。例えばYが「実質的にない」組成物は、Yが完全になくてもよい。必要な場合、用語「実質的に」は本発明の定義から除外し得る。
【0244】
配列表中のアミノ酸配列におけるN末端残基は、一般に対応するヌクレオチド配列中の最初のコドンでコードされるアミノ酸として与えられる。最初のコドンがATGでない場合(例えば配列番号
【0245】
【化49】

【0246】
【化50】

)、配列が開始コドンとして作用するとき、メチオニンとして翻訳されるが、配列が融合パートナーのC末端であるとき、指定された非メチオニンアミノ酸として翻訳されることが理解される。任意の指定された非メチオニン残基(例えば配列番号
【0247】
【化51】

)の代わりにN末端メチオニン残基(例えばホルミルメチオニン残基)を有する配列表の各アミノ酸配列を特に開示し、包含する。また、本発明は配列中の任意の内部メチオニン残基で開始する配列表の各アミノ酸配列も特に開示し包含する。
【0248】
上記テキストに示すように、本発明の核酸およびポリペプチドは以下の配列を含み得る。
【0249】
(a)配列表に開示された配列と同一(すなわち同一性100%)の配列;
(b)配列表に開示された配列を同じ同一度を共有する配列;
(c)1、2、3,4,5、6、7、8,9または10個の単一ヌクレオチドまたはアミノ酸の変化(欠失、挿入、置換)を有する配列であって、(a)または(b)の配列と比較して別々な場所にあるか、または隣接する配列;および
(d)対比較配置アルゴリズムを用いて該配列から特定の配列で整列した場合、pモノマー(p>xの場合)へ伸長する配置ではp−x+1個のこのようなウインドウが存在するように、開始点(5’N末端)から終了点(3’C末端)へ移動するxモノマー(アミノ酸またはヌクレオチド)の移動ウインドウでは、各ウインドウは少なくともx−y個の同一配置モノマーを有する。ここでxは20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、150、200から選ばれ、yは0.50.0.60、0.70、0.80、0.85、0.90、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99から選ばれ、x−yが整数でない場合は最近似整数へ桁上げされる。
【0250】
好ましい対比較アルゴリズムは、デフォルトパラメーター(例えばギャップ開放ペナルティ=10.0、ギャップ伸長ペナルティ=0.5、EBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用)を用いるNeedleman−Wunshグローバル整列アルゴリズム[参考文献287]である。このアルゴリズムはEMBOSSパッケージ中のニードルツール中で実行すると便利である。
【0251】
本発明の核酸およびポリペプチドは、これらの配列(a)〜(d)のN末端/5’および/またはC末端/3’に続くさらなる配列をさらに有し得る。
【0252】
特に断らない限り、当業者の技術範囲で本発明の実施は、化学、生化学、分子生物学、免疫学および薬学の従来の方法を採用する。このような技術は文献中に十分に説明されている。例えば参考文献289〜296等を参照。
【0253】
(実験の部)
以下は、本発明を実行するための具体的な実施形態または形態の例である。例は説明の目的のみで提供され、決して本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
【0254】
使用した数値(例えば量、温度等)の精度を保障する努力を行ったが、当然、いくらかの実験誤差および偏差は許されるものとする。
【0255】
(本発明を実施するための形態)
MNEC株IHE3034
IHE3034は、MNEC病原型の公知の大腸菌株である。参考文献297の表1は、IHE3034がO18:K1:H7/9血清型として分類され、ECORグループB2に属することを報告している。水平転移DNA要素についての既知の病原性関連遺伝子はsfaII、ibeA、iro、kps(グループII)、fyuAおよびmalXである。その株は、細胞致死膨隆毒素に対しコードするcdt遺伝子クラスターも運ぶ。
【0256】
大腸菌K1株IHE3034の配列決定から283の連結フラグメントが得られた。これらは長さの減少順にまとめた配列番号9991〜10273として与えられる。
【0257】
大腸菌K1株IHE3034のゲノム配列の解析により、4995のオープンリーディングフレームを同定したが、それらはORFnnnnnと命名され、nnnnnは0001〜04995の間の番号である。これらのORFの配列は配列番号1〜9990として与えられ、奇数配列番号はDNA配列であり、偶数配列番号はアミノ酸配列である。nnnnnの番号付けを配列番号に変換することが可能で、配列表の番号付けは以下の通りである:アミノ酸配列に対しては配列番号=nnnnn×2;ヌクレオチド配列に対しては配列番号=[nnnnn×2]−1。従って、表1に示すように、ORF1234は配列番号2467および2468として見出される。
【0258】
4995のORFのイニシャル機能注釈記号は表1に与えられる。
【0259】
表3は共生株ORFとの相同性が低いORFを示す(合計1194)。これらのORFは、核酸試験および免疫交差反応性の双方の関係で共生株に対する病原性大腸菌株の特異性を与えるために好ましい。潜在的病原性島はORF00028〜70、ORF000330〜353、ORF00655〜687、ORF00883〜910、ORF01031〜1058、ORF1078〜1119、ORF1186〜1228、ORF1313〜1376、ORF01479〜1514、ORF01523〜1543、ORF01550〜1578、ORF01810〜1865、ORF02295〜02315、ORF02351〜2375、ORF02382〜2405、ORF02436〜2472、ORF02788〜02816、ORF02844〜2891、ORF03011〜3056、ORF03340〜3365、ORF03499〜3522、ORF04416〜4439、ORF04661〜4679、ORF04915〜4930およびORF04946〜4966の範囲に位置している。
【0260】
本発明者らが加えた様々な評価基準に基づき、免疫原としての使用のために4995のORFの142のサブセット(2.8%)を選んだ。これらの142のORFは表2に列記されている。サブセット選択のための基準には共生大腸菌由来のORFとの低い相同性、100aa以上の長さ、および好適な細胞局在性が含まれる(表2の下に示す)が、それらに限定されない。
【0261】
これらの142個のタンパク質をコードする遺伝子をクローン化し、細菌中(例えば非病原性実験室大腸菌宿主、または枯草菌または巨大菌等のバチルス)で発現し、精製し、使用して、試験動物(例えばマウス)を免疫処理する。マウス内で感作した血清をウエスターンブロット、ELISAおよびFACS分析で解析し、インビトロおよびインビボ実験でさらに試験した。好適なインビトロ実験には、補体媒介殺菌および/またはオプソニン食菌活性を誘導する抗体の能力の試験、ヒト上皮細胞またはその他の細胞株へのMNEC株(または精製抗原)の結合を妨害する能力の試験、および/または大腸菌細菌(例えばK1株)の脳毛細血管内皮細胞(BMEC)への付着/侵入阻害能の試験が含まれる。菌血症および髄膜炎に対する効力を試験するための好適なインビトロ実験には、大腸菌K1株で攻撃された5日齢ラットへの能動および/または受動全身免疫処理および抗原投与、および成体マウスのMNEC株による免疫処理および腹腔内感染である。
【0262】
タンパク質の細菌ライフサイクルに対する重要性を、同質遺伝ノックアウト突然変異体を作成することにより試験できる。また、突然変異体を使用し、抗原で感作した血清がその抗原に対し特異的であることを確認することができる。マイクロアレイを使用して、発現パターンを研究することができる。複数の異なるExPEC株由来の遺伝子の配列決定により、保存性および/または可変性を評価できる。
【0263】
MNECに対し特異的であり、非病原性株(共生株および実験室株)にはない、予想された表面暴露タンパク質を選ぶために分析を行った。選択後、これらのタンパク質を発現させ、精製して、使用して、マウスを免疫処理する。
【0264】
参考文献43から、任意の大腸菌のtol−pal遺伝子の突然変異により、天然の外膜タンパク質を含む小胞体が形成することが知られている。MNEC株および非病原性株の小胞体中に存在するタンパク質を比較することにより、潜在的抗原として使用し得るタンパク質の小さなグループを選ぶことができる。
【0265】
共生および病原性大腸菌におけるλレッド媒介遺伝子操作
この方法は、野生型大腸菌株由来のtolR遺伝子を不活性化するために使用される迅速PCRに基づく方法である[参考文献298]。簡単に言えば、第1工程は標的遺伝子(tolR)と耐性マーカーカセットの上流および下流領域を独立に増幅する工程からなる。工程1で得られた2つのPCR産物を、ABカセットの増幅プロジューサーと等モル濃度で混合し、第2ラウンドのPCR(3方向PCR)に供し、標的遺伝子と相同である上流および下流の500bp(またはそれ以上)の領域ではさまれた耐性マーカーカセットを作成する。第3工程で、大量(1μg)の所定の直鎖状DNAをλレッドコンピテント細胞中にエレクトロポーレーションする。
【実施例】
【0266】
(小胞体の調製)
1.TCA沈殿による小胞体の調製
プレート生育した細菌をLB培地に播種し、穏やかに振盪して37℃で終夜インキュベーションした。培養細胞を使用して、200mlのLBにOD600nmが0.1で播種する。培養細胞を4000×gで10分間遠心分離し、上澄を0.22mmのフィルターを通して濾過し残存細菌を除去した。
【0267】
ジピリジル(0.25mM)をLB培地に添加することによる鉄限定条件下で同じ実験を行った。
【0268】
100%(w/v)TCAでの溶液の最終濃度10%、0.4%(w/v)デオキシコーレートを培養上澄に加えることにより、沈殿を生成させた。4℃、30分間で沈殿を進行させた。沈殿を4℃、2000×gで10分間遠心分離して沈殿を回収した。ペレットを10%TCA(w/v)で1回、無水エタノールで2回洗浄した。ペレットを高速乾燥機で乾燥し、−20℃で保存した。
【0269】
野生株および突然変異株をSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供し、そこから野生株より突然変異株の上澄中により多くのバンドがあることが観測された。バンドを無秩序に取り出すと、上澄中の全てのタンパク質が膜タンパク質であることが分かった。
【0270】
2.超遠心分離による小胞体の調製
培養上澄を4℃で2時間、200000×gで超遠心分離した。ペレットをPBSで洗浄し、PBS中に懸濁させ、−20℃で貯蔵した。
【0271】
3.小胞体のグアニジウム変性
グアニジウム変性の前に小胞体をエタノールで沈殿させた。最終濃度90%で冷無水エタノールを加えることにより、PBS中の10μgのOMVが沈殿した。−20℃で20分間、沈殿を進行させた。13000×gで10分間遠心分離して沈殿を回収した。ペレットを50mlの6Mグアニジウム、15mM DTT、200mM Tris−HCl、pH8.0溶液で再懸濁した。
【0272】
60℃で60分間、変性を進行させた。消化前に溶液を1.5M Tris、pH8.0溶液で1/8に希釈し、希釈液に5mgのトリプシンを加えた。37℃で終夜、消化を進行させた。最終濃度0.1%のギ酸を加えて反応を停止した。Oasis抽出カートリッジを用いてペプチドを抽出した。LC−結合MS−MSでペプチドを分析した。
【0273】
4.表面消化
PBS中の10mgの小胞体に5mgにトリプシンを加え、37℃で3時間インキュベーションした。最終濃度0.1%のギ酸を加え反応を停止した。30Kdaカットオフフィルターを通して濾過してペプチドを回収し、Oasis抽出カートリッジで抽出した。ペプチドをLC結合MS−MSで分析した。
【0274】
(小胞体分析)
タンパク質定量
BSAを標準試料として用い、タンパク質をBradford法により定量した。
【0275】
SDS−PAGE
Mini−Protean II電気泳動装置を用い、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)4〜12%ポリアクリルアミドゲルで試料を分析した。試料をSDS試料緩衝液(0.06M Tris−HCl、pH6.8、10%(v/v)グリセロール、2%(w/v)SDS、5%(v/v)2−メルカプトエタノール、10mg/mlブロモフェノールブルー)中に懸濁し、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の前に100℃で5分間加熱した。加熱後、ゲルをCoomassie Blueで染色した。
【0276】
MALDI−TOFマススペクトル
タンパク質のバンドまたはスポットをゲルから切り出し、50mM炭酸水素アンモニウム/アセトニトリル(50/50、v/v)で洗浄し、Speed−Vac遠心機(Savant製)で乾燥した。5mM炭酸水素アンモニウム、0.012mgの配列解析グレードトリプシンを含む7〜10mlの溶液を加えることにより、乾燥スポットを37℃で2時間消化した。消化後、0.6mlをマトリックスプレスポット標的上に載せ、空気乾燥した。スポットを70%エタノール、0.1%トリフルオロ酢酸溶液0.6mlで洗浄した。ウルトラフレックスMALDI TOFマススペクトロメーター上でマススペクトルを得た。標的上にプレスポットした標準試料の組み合わせを用いて、スペクトルを外部補正した。Mascotプログラムによるコンピュータ作成指紋を用い、質量範囲700〜3000Daの実験的に生成したペプチドの単一同位体ピークの自動および手動比較により、タンパク質を同定した。
【0277】
2次元電気泳動
200mgの小胞体をImmobiline再膨潤溶液(7M尿素、2Mチオ尿素、2%(w/v)CHAPS、2%(w/v)ASB14、2%(v/v)IPG緩衝液、pH3〜10NL、2mM TBP、65mM DTT)に再懸濁し、7cmのImmobilineDryStrip(pH3〜10NL)上に終夜吸着させた。次いでタンパク質を2次元電気泳動で分離した。IPGphor等電点電気泳動ユニットを用いて第1次元泳動を行い、150V/35分、500V/35分、1000V/30分、2600V/10分、3500V/15分、4200V/15分、最後に5000Vを順次印加し、各10kVhに達した。第2次元泳動では、ストリップを4M尿素、2Mチオ尿素、30%グリセロール、2%SDS、5mM TBP、50mM Tris−HCl、pH8.8、2.5%アクリルアミド、ブロモフェノールブルー0.2%中で2回の10分間インキュベーションにより平衡し、次いでタンパク質を1次元4〜12%プレキャストポリアクリルアミドゲル上で分離した。
【0278】
ゲルをコロイド状クーマシーブルーで染色し、Personal Densitometer SIで走査した。画像をImage Master 2D Eliteソフトウエアで解析した。
【0279】
ナノLC/MS/MS
ナノスプレー線源を備えたQ−ToFミクロESI質量分析計に接続したCapLC HPLCシステム上のナノLCによりペプチドを分離した。C18トラップカラム(内径300μm×5mm)を通して試料をAtlantis C18NanoEaseカラム(内径100μm×100mm)に負荷した。0.1%ギ酸溶液中の2%〜60%の95%ACNの50分勾配、流速400nl/分でペプチドを溶離した。溶離されたペプチドをMassLynxソフトウエアバージョン4.0を用いる自動化データ依存取得プログラムに供した。ここで、MS/MSフラグメンテーションのために複数荷電ペプチドをm/z範囲400〜2000にわたって自動的に選択するためにMS探索走査を用いた。3つの異なる成分まで同時にMS/MSフラグメンテーションに供した。データ取得後、個々のMS/MSスペクトルを組み合わせ、MassKynxで平滑化し重心を合わせた。MASCOTのライセンスされたバージョンでペプチドの検索と同定をバッチモードで行った。MASCOT検索パラメーターは:(1)種別:ExPEC、(2)失われた断片の可能な数(トリプシン消化に対してのみ):6、(3)可変翻訳後修飾:メチオニン酸化、(4)ペプチド許容度:±500ppm、(5)MS/MS許容度:±0.3Da、および(6)ペプチド電荷:+1〜+4。以前のプラットホームに関しては、MASCOT確立解析で定義された有意性ヒットのみを考慮した。少なくとも1個のペプチドからのタンパク質同定の承認のためのスコア閾値を、MASCOTによりトリプシン消化に対して18、プロテナーゼK消化に対して36と設定した。
【0280】
結果
上記解析の結果として、さらに10個の好ましい抗原が同定された。すなわちorf03526(配列番号:7051+7052)、orf01339(配列番号:2677+2678)、orf00256(配列番号:511+512)、orf01346(配列番号:2691+2692)、orf04084(配列番号:8167+8168)、orf02374(配列番号:4747+4748)、orf03502(配列番号:7003+7004)、orf02298(配列番号:4595+4596)、orf01228(配列番号:2455+2456)、orf01227(配列番号:2453+2454)、orf02341(配列番号:4627+4628)およびorf02850(配列番号:5699+5700)。これらは表4に記されるが、これらのタンパク質のUPEC株CFT073のタンパク質に対する同一性も与えられる。さらに好ましい抗原は、上記と同じ方法で同定されたCFT073株由来の好ましい抗原と60%より高い同一性を表す抗原である。これらの好ましい抗原はorf04282(配列番号:)8563+8564、orf01364(配列番号:2727+2728)、orf04936(配列番号:9871+9872)、orf02336(配列番号:4671+4672)、orf02840(配列番号:5679+5680)、orf00267(配列番号:533+534)、orf01611(配列番号:3221+3222)、orf01613(配列番号:3225+3226)およびorf03502(配列番号:7003+7004)である。
【0281】
(抗原分析)
全身感染のマウスモデル
病原性および非病原性大腸菌株間の比較ゲノム解析により選ばれた多数の抗原をスクリーニングするため、古典的病原性分析に基づく防御モデルを確立した。
【0282】
実験モデル(免疫処置および感染)は、病原性IHE3034大腸菌株の腹腔内接種で抗原投与した5週齢CD1異系交配マウスを使用する。免疫投与量は、成体マウスの80%を72時間以内に殺すことができる細菌量として実験的に決定され、IHE3034株では1×10cfu/マウスに相当する。
【0283】
病原性因子および潜在的防御抗原として記載された2種のタンパク質を陽性対照として使用した。これらのタンパク質はIbeA[参考文献299]およびIroN(配列番号:2691、2692;参考文献300、301)である。組み換えタンパク質が発現し、免疫処理分析で使用された。
【0284】
免疫処理プロトコール
以下の表に示されるように、フロインドのアジュバントを用いて150μlのタンパク質溶液の皮下注射でマウスを3回免疫処理した。
【0285】
【表1】

最初の免疫処理の前日(前免疫血清)、第34日および第48日(抗原投与前日)に血液試料を採集した。免疫処理動物由来の動物由来の血清をウエスターンブロットおよびELISAで試験し、抗体力価を決定した。
【0286】
(抗原投与)
第48日に大腸菌IHE3034株を凍結保存からLB寒天プレート上にストリークし、インキュベーター中、37℃で終夜(ON)インキュベーションした。第49日にONプレート培養細胞を使用して50mlのLB培地にOD600=0.1になるように接種し、培養細菌がOD600=0.6(IHE3034株5×10cfu/mlに相当)に達するまで37℃で1.5時間、攪拌しながら生育させた。培養細胞を細菌濃度が1×10/mlになるまで生理食塩水で希釈し(典型的には2mlの細菌培養液を8mlの生理食塩水で希釈)、標準プレートカウント法を用いてプレートし、接種液を検証した。1×10IHE3034細菌を含む100μlの細胞懸濁液を、1ml注射器を用いて対照および免疫処理マウスに腹腔内注射した。感染後の24、48および78時間における各動物グループ中の死亡数を記録した。
【0287】
抗原投与から72時間の予防接種群中の生存率と対照群中の生存率とを比較することにより、予防接種による防御を評価する。対照群に対する生存率を、以下の式を用いて計算する:
[(予防接種群中の生存率)−(対照群中の生存率)]/(対照群中の生存率)
結果
陽性対照IroNおよびIbeAにより免疫処理を上記のように行った。図3および4が示すように、IHE3034による抗原投与後のマウスの生存率は、IroNまたはIbeAいずれによる免疫処理後でも増加している。
【0288】
次に熱不活性化IHE3034による免疫処理を行った。図1に示すように、熱不活性化IHE3034による免疫処理後のIHE3034による抗原投与後にマウスの生存率は増加した。
【0289】
IHE3034ΔTol−R由来の小胞体による免疫処理も行った。図2に示すように、IHE3034ΔTol−Rによる免疫処理後のIHE3034による抗原投与後のマウスの生存率は増加する。
【0290】
免疫処理の研究
本発明の組成物が得られるように、抗原を選択し組み合わせた。BALB/cマウスを9つのグループに分け、以下のように免疫処理した。
【0291】
【表2】

マウスを2週間間隔で免疫処理した。最後の免疫処理から2〜3週間後、全てのマウスに適当なMNEC株を抗原投与した。粘膜免疫処理を用いた場合(例えば鼻腔内)、動物モデルに粘膜抗原投与を行い粘膜免疫原の防御効果を試験した。抗原投与直前にマウスから採血し、投与した抗原に対する抗体力価を測定した。
【0292】
マウス抗原投与のため、病原性細菌を好適な培地中で生育させる。細菌を遠心分離で採集し、再懸濁し、抗原投与接種のために順次希釈した。BALB/cマウスに抗原投与し、暴露後30日間、毎日観察した。
【0293】
全細菌および精製組み換えタンパク質についてのELISA分析を用いて、異なる免疫処理レジメから得られるマウス血清中で全IgGおよびIgG/IgG2Aサブタイプを測定することができる。さらに、免疫処理マウスから分離された脾臓細胞および/またはPBMC中の抗原特異性CD4+およびCD8+TH細胞の評価を多重パラメーターFACS解析で行い、抗原特異性T細胞のサイトカイン発現特性を評価することができる。特に、T細胞の精製抗原によるインビトロ刺激後のIFN−γおよびIL5の産生を測定することができる。さらに、各抗原/ワクチン製剤で免疫処理したマウス由来の脾臓細胞および/またはPBMCを、最終免疫処理投与後10〜12日に採集し、MNEC細菌で刺激することができる。刺激の4時間後、以後の12時間にBrefeldinAを細胞に加え、サイトカイン分泌を妨害する。その後、細胞を固定し、抗体で染色してIFN−γおよびIL−5を発現するMNEC特異性T細胞を検出する。
【0294】
当業者に公知の様々な方法により、末梢血リンパ球(PBL)よりT細胞を単離することができる。例えば、付随物およびB細胞を除去することにより、T細胞集団をPBL集団から「濃縮」することができる。特に、抗MHCクラスIIモノクローナル抗体を用いて非T細胞を除外することにより、T細胞濃縮を行うことができる。同様に、非T細胞の特定の群を減少させるために他の抗体を使用することができる。例えば、B細胞を減少させるために抗Ig抗体が使用でき、マクロファージを減少させるために抗MacI抗体を使用できる。
【0295】
当業者に公知の技術により、T細胞をいくつかの異なるサブ集団に分割することができる。細胞表面マーカーCD4およびCD8の発現の差に基づき、2つの主要なサブ集団を単離することができる。例えば、上記のようにT細胞を濃縮後、CD4特異性抗体を用いてCD4+細胞を濃縮することができる。この抗体を磁気ビーズ等の固体支持体に結合する。逆に、CD4に対し特異的な抗体を使用して(CD4+を除去するため)CD8+細胞を濃縮できる、または固体支持体に結合したCD8抗体を使用してCD8+T細胞を単離できる。形質導入の前または後にMNEC感染患者由来のCD4リンパ球をエクスビボで増殖できる。
【0296】
T細胞の精製後、精製T細胞をリンパ球の成長と活性化を促進するrIL−2、IL−10、IL−12およびIL−15を含むがそれに限定されない様々なサイトカインで予備刺激する。
【0297】
MNEC特異性T細胞を上記の免疫原性ポリペプチドで活性化し得る。MNEC特異性T細胞はCD8+またはCD4+である。NMEC特異性CD8+細胞は、MHCクラスI分子と複合体化した上記のポリペプチドまたはその断片のいずれかを表示するMNEC感染細胞を殺すことのできる細胞毒性Tリンパ球(CTL)である。Chlamydia特異性CD8+T細胞を、例えば51Cr放出分析で検出できる。51Cr放出分析は、これらのエピトープの1つまたは複数を表示する標的細胞をMNEC特異性CR8+T細胞が溶菌する能力を測定する。IFNγ等の抗ウイルス剤を表示するMNEC特異性CD8+T細胞も本明細書で考慮され、免疫学的方法により、好ましくは上記MNEポリペプチドの1つまたは複数によるインビトロ刺激の後、IFN−γまたは同様なサイトカインに対する細胞間染色により検出することができる。MNEC特異性CD4+T細胞をリンパ球増殖分析で検出することができる。リンパ球増殖分析は、MNEC特異性CD4+T細胞が上記ポリペプチドの1つまたは複数と反応して増殖する能力を測定する。
【0298】
本発明は、実施例のみを用いて、説明したものであり、本発明の範囲と趣旨の範囲内で変更し得ることが理解されると思われる。
【0299】
【表3−1】

【0300】
【表3−2】

【0301】
【表3−3】

【0302】
【表3−4】

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【表3−100】

【0399】
【表4】

【0400】
【表5−1】

【0401】
【表5−2】

【0402】
【表5−3】

【0403】
【表5−4】

【0404】
【表6】

(参考文献(これらの内容は本明細書中に参考として援用される))
【0405】
【化52】

【0406】
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【0413】
【化60】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−152228(P2012−152228A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−116975(P2012−116975)
【出願日】平成24年5月22日(2012.5.22)
【分割の表示】特願2007−556383(P2007−556383)の分割
【原出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【出願人】(506361100)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス, インコーポレイテッド (44)
【出願人】(508119884)ジェイ. クレイグ ヴェンター インスティテュート, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】