高い湿潤性を有するナノテクスチャー加工されたコバルト−クロム合金物品及びその製造方法
【課題】コバルトクロム合金から形成され、高い湿潤性を有するナノテクスチャー加工された物品と、その製造方法及び使用と、を提供する。
【解決手段】本発明は、コバルト−クロム合金を含み、かつ20〜40Åの厚さを有する表面酸化物層を支持する物品に関し、この表面酸化物層は、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む。そのような物品は、哺乳動物への植え込みに好適であり得る。
【解決手段】本発明は、コバルト−クロム合金を含み、かつ20〜40Åの厚さを有する表面酸化物層を支持する物品に関し、この表面酸化物層は、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む。そのような物品は、哺乳動物への植え込みに好適であり得る。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、全て同日に出願された以下の3つの出願に関連した、2009年4月15日出願の米国仮出願第61/169,365号の利益を主張する。(i)「マクロ及びナノスケールで表面テクスチャ加工したチタン含有物品及びその製造方法(Micro and Nano Scale Surface Textured Titanium-Containing Articles and Methods of Producing Same)」と題された、発明者ウェイドン・トン(Weidong Tong)及びラリー・サルバティ(Larry Salvati)を有し、代理人整理番号JJDO−0028(DEP 6160)で指定された米国特許出願第61/169,443号、(ii)「骨取り付けのための方法及び装置(Methods and Devices For Bone Attachment)」と題された、発明者ウェイドン・トン(Weidong Tong)及びラリー・サルバティ(Larry Salvati)を有し、代理人整理番号102737−16(DEP 6045)で指定された米国特許出願、並びに(iii)「リン酸カルシウムを有するインプラントのための方法及び装置(Methods and Devices For Implants With Calcium Phosphate)」と題された、発明者ウェイドン・トン(Weidong Tong)、ラリー・サルバティ(Larry Salvati)及びプージャ・カダンビ(Pooja Kadambi)を有し、代理人整理番号102737−17(DEP 6090)で指定された米国特許出願。前述した4つの全出願は、その全容が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、とりわけ、コバルトクロム合金から形成され、高い湿潤性を有するナノテクスチャー加工された物品と、その製造方法及び使用とに関する。
【0003】
〔背景技術〕
部分骨代替インプラントに関して長期間要求されている、以下を含む多数の設計基準が存在する。(1)インプラントは、患者の生涯において機能を失わずに、又はいかなる有害なプロセス応答も開始せずに残留する必要がある、(2)インプラントは、インプラントが植え込まれる骨の正常な機能を回復させる必要がある、(3)インプラントは、商業的スケールで製造可能である必要がある。前記の基準を満たすために、インプラントは、多くは変動する性質の負荷荷重を支持する必要があるのみでなく、インプラントと骨との間の境界も荷重要求に耐える必要がある。
【0004】
インプラントを骨に付着させ、またインプラントと骨との間の適合を改善するために、ポリメチルメタクリレートなどのプラスチックセメントが度々使用されている。インプラントには多孔質コーティングも設けられ、このコーティングは、ある時間の経過後に補綴物が骨構造に一体化されるように骨と結びつき、骨内部成長を招く。そのようなコーティングの典型は、米国特許第3,855,638号、同第4,206,516号、同第4,156,943号、及び同第4,612,160号に開示されているものである。
【0005】
セラミックコーティングは、骨とアルミナ(Al2O3)などのセラミック材料との間の親和性により、良好な効果を有し、多くの場合、特に望ましい。そのようなコーティングの典型は、米国特許第4,145,764号及び同第4,483,678号に開示されているものであり、これらは特に歯科インプラントに関係し、また米国特許第4,309,488号及び同第4,846,837号があり、これらは、身体全体に使用される植え込み可能な骨代替材料をより広く開示している。
【0006】
他の研究では、インプラントの高度に回旋状の表面を使用している。米国特許第5,368,881号及び同第5,658,333号は、非球面粉末を使用した、補綴物のために粗面化された表面の形成を示している。しかしながら、これらの表面は、相互連結した多孔性を殆ど、あるいは全く有さないことが公知である。
【0007】
改善された性質を有する補綴物表面に対する必要性が当技術分野において依然として存在している。
【0008】
〔概要〕
本発明の一態様は、哺乳動物への植え込みに好適な物品に関し、この物品はコバルト−クロム合金を含み、かつ20〜40Åの厚さを有する表面酸化物層を支持し、この表面酸化物層は、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む。いくつかの実施形態において、層は、少なくとも約7.8μL/cm2(約50μL/in2)の液体吸収能力を有する。いくつかの物品において、コバルト−クロム合金はCoCrMoである。いくつかの実施形態において、前記物品の表面は、コバルト−クロム合金ビーズを含む。
【0009】
本発明の別の態様は、高い湿潤性を有するナノテクスチャー加工された物品を作製する方法に関する。いくつかの物品は、上述したような性質を有する。いくつかの方法は、コバルトクロム合金を含む物品を、20〜40Åの厚さを有し、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む表面酸化物層を前記物品上に形成するのに有効な時間及び温度で、塩酸を含有する溶液と接触させることを含む。好ましい所定の実施形態において、溶液は、実質的に酸化剤を含有しない。
【0010】
いくつかのプロセスにおいて、溶液は、少なくとも約4MのH+濃度と、少なくとも約4MのCl−濃度とを有する。溶液は、濃度約0.01M〜8Mの範囲の塩化物含有化合物を更に含むことができる。いくつかの実施形態において、溶液は、約0.8〜約12MのH+濃度と、前記H+濃度よりも高いCl−濃度とを有する。好ましい塩化物含有化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第一鉄(FeCl2)、塩化コバルト(CoCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)及びそれらの混合物を含む。
【0011】
本発明のいくつかの工程において、物品を、温度約20〜約100℃の溶液と接触させる。所定の工程では、物品を、温度約20〜約40℃の溶液と接触させる。いくつかの工程では、物品を、約30分間〜約96時間、溶液と接触させる。
【0012】
尚、別の態様において、物品は、哺乳動物に植え込みするのに好適である。いくつかの物品は、関節代替補綴物又はその構成要素である。所定の物品は、股関節又は膝関節代替補綴物である。
【0013】
本発明の尚別の態様は、請求項1に記載の物品を、ヒトなどの哺乳動物に植え込みすることに関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤の画像。
【図1B】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に5分間浸漬した画像。
【図1C】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に30分間浸漬した画像。
【図1D】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に1時間浸漬した画像。
【図1E】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に1.5時間浸漬した画像。
【図1F】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に3.5時間浸漬した画像。
【図1G】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に6時間浸漬した画像。
【図1H】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に18時間浸漬した画像。
【図2A】研磨鍛錬CoCrMo円盤(8NのHCl中に浸漬していない)上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2B】8NのHCl(室温)中に5分間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2C】8NのHCl(室温)中に30分間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2D】8NのHCl(室温)中に1時間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2E】8NのHCl(室温)中に1.5時間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2F】8NのHCl(室温)中に6時間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2G】8NのHCl(室温)中に24時間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図3A】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨鍛錬CoCrMo円盤上の、酸浸漬時間における単位面積当たりの重量損失を示す(円盤は室温にて8NのHClで24時間処理された)。
【図3B】研磨鍛錬円盤の表面上に配置した水の接触角対酸浸漬時間を示す(円盤は室温にて8NのHClで24時間処理された)。
【図3C】1.9cm(3/4インチ)(直径)Porocoat(登録商標)円盤の吸水性対酸浸漬時間を示す(円盤は室温にて8NのHClで24時間処理された)。
【図4A】1NのHCl中に24時間浸漬した後の1.9cm(3/4インチ)(直径)研磨鍛錬CoCrMo円盤の形態を示す。
【図4B】塩化物を補充した1NのHCl中に24時間浸漬した後の1.9cm(3/4インチ)(直径)研磨鍛錬CoCrMo円盤を示す。塩化物を補充した1NのHClは、70gのCaCl2・2H2Oを、100mLの1NのHClに室内条件下で加えることにより調製される。塩化物補充HCl酸中の最終濃度は、およそ[H+]=0.8N、[Cl−]=8.8N、[Ca2+]=4Nである。
【図5A】酸に24時間浸漬した後のGlobal CAP肩インプラントPorocoat(登録商標)(CoCrMo)のより低い倍率の画像。
【図5B】ビーズ表面上の100nm〜500nmの範囲の穴の高い倍率の画像。
【0015】
〔例示的な実施形態の詳細な説明〕
インプラント材料の表面特性は、インプラントに対する隣接した細胞の接着に重要な役割を果たす。湿潤性は、インプラントに対する接着に影響を与えると思われる一つの要因である。本発明の方法の使用により、CoCrMo物品の表面の化学的構造はクロムに富んだものとなる。加えて、表面はナノテクスチャー加工され、高い吸水性を示す。いくつかの実施形態では、処理したインプラント表面は、未処理表面に対して3〜10倍の吸水における向上が観察される。そのような材料で作製されたインプラントは、改善された骨内部成長を示す。
【0016】
本発明の一態様は、哺乳動物に植え込みするのに好適な物品に関し、この物品は、コバルト−クロム合金を含み、かつ20〜40Åの厚さを有する表面酸化物層を担持し、この表面酸化物層は、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む。いくつかの実施形態において、層は、少なくとも約7.8μL/cm2(約50μL/in2)の液体吸収能力を有する。
【0017】
液体吸収能力は、物品中に吸収される水の量を測定することにより決定される。液体吸収能力を決定するべき物品を計量する。7滴の10μL RO水(合計7スポット及び合計70mgの水)を物品上に配置する。水を5分間平衡化させた後、物品の上面を濾紙に接触させて、Porocoat(登録商標)表面上に残留する水を全て除去する。次いで、Porocoat(登録商標)円盤の重量を再度測定する。重量の差異を容積(1mgの水=1μL)に変換する。水の容積を物品の推定表面積で除算して、液体吸収能力を決定する。いくつかの実施形態において、液体吸収能力はμL/cm2(μL/in2)で報告される。
【0018】
本発明のいくつかの物品は、少なくとも約7.8μL/cm2(約50μL/in2)の液体吸収能力を有する。別の物品は、少なくとも約11.6μL/cm2(約75μL/in2)又は15.5μL/cm2(100μL/in2)の液体吸収能力を有する。
【0019】
所望であれば、液体吸収能力は、DePuyの標準Porocoat(登録商標)円盤(直径1.9cm(3/4”)、厚さ750μ、及び多孔性40〜50%)などの基準と比較されてもよい。物品が高い湿潤性を有する場合、水は通常、物品内に5分以内に運ばれる。物品が高い湿潤性を有さない場合、水は通常、表面上で玉状となる。
【0020】
いくつかの好ましい金属物体は、鍛錬CoCrMoなどの、コバルト、クロム及びモリブデンのうちの少なくとも1つを含有するものを含む。いくつかの物品において、コバルト−クロム合金はCoCrMoである。いくつかの実施形態において、前記物品の表面は、コバルト−クロム合金ビーズを含む。
【0021】
本発明の別の態様は、高い湿潤性を有するナノテクスチャー加工された物品を作製する方法に関する。いくつかの物品は、上述したような性質を有する。いくつかの方法は、コバルトクロム合金を含む物品を、20〜40Åの厚さを有し、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む表面酸化物層を前記物品上に形成するのに有効な時間及び温度で、塩酸を含有する溶液と接触させることを含む。特定の好適な実施形態において、溶液は、実質的に酸化剤を含有しない。
【0022】
いくつかのプロセスにおいて、溶液は、少なくとも約4NのH+濃度と、少なくとも約4NのCl−濃度とを有する。溶液は、濃度約0.01N〜8Nの範囲の塩化物含有化合物を更に含む。いくつかの実施形態において、溶液は、約0.8〜約12NのH+濃度と、前記H+濃度よりも高いCl−濃度とを有する。好ましい塩化物含有化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第一鉄(FeCl2)、塩化コバルト(CoCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)及びそれらの混合物を含む。
【0023】
表面を変更するのに好適な任意の温度で、物品を溶液に接触させてもよい。いくつかの実施形態では、物品を、約20〜約100℃の温度で溶液と接触させ、又はいくつかの実施形態では、約20〜約40℃の温度で溶液と接触させる。物品を、十分な時間、溶液と接触させて、所望の表面特性を提供することができる。いくつかの工程では、例えば、物品を、約30分間〜約96時間、溶液と接触させる。別の工程では、物品を、約1〜約36時間、溶液と接触させる。
【0024】
本明細書に記載した物品は、哺乳動物への植え込みに好適である。これらの物品の所定のものは、関節代替補綴物又はその構成要素などの補綴装置である。これらの装置は、股関節又は膝関節代替補綴物を含む。
【0025】
本発明は更に、本明細書に記載した物品を哺乳動物に植え込みすることにも関する。いくつかの実施形態において、物品はヒトへの植え込みに好適である。
【0026】
Porocoat(登録商標)Porous Coatingは、デプイ・オーソパエディクス社(DePuy Orthopaedics, Inc)から市販されている3次元のビーズコーティングである。いくつかの実施形態において、コーティングはCoCrMo材料を含む。
【0027】
本発明を、例示であり限定を意図するものではない以下の実施例により説明する。
【0028】
〔実施例〕
円盤
鏡面研磨したASTM F1537鍛錬CoCrMo円盤、直径1.9cm(3/4インチ)を、重量損失評価及び接触角測定に使用した。そのような円盤は、鉄桿(ASTM F1537鍛錬)から機械切断し、鏡面研磨仕上げ(Ra<0.1μ)することにより入手することができる。CoCrMo Porocoat(登録商標)は、寸法約150〜250μの範囲のCoCrMoの球状ビーズを含む。Porocoat(登録商標)は、厚さ750μ及び直径1.9cm(3/4インチ)であり、40〜50%の範囲の多孔性を有する。室温/室内条件(18℃〜23℃)で酸浸漬試験を実施した。平坦な1.9cm(3/4インチ)円盤に関して、少なくとも容積30mLの酸溶液を使用した、1.9cm(3/4インチ)Porocoat(登録商標)円盤に関して、少なくとも容積50mLの酸溶液を使用した。
【0029】
酸溶液
100mLの12NのHClを50mLの逆浸透(RO)処理水で希釈して、8NのHCl溶液(溶液1)を作製した。
100mLの12NのHClを100mLの逆浸透(RO)処理水で希釈して、6NのHCl溶液(溶液2)を作製した。
100mLの12NのHClを200mLの逆浸透(RO)処理水で希釈して、4NのHCl溶液(溶液3)を作製した。
【0030】
塩化物を補充した1NのHClは、70gのCaCl2・2H2Oを100mLの1NのHClに加えて調製する。塩化物補充HCl酸中の最終濃度は、およそ[H+]=0.8N、[Cl−]=8.8N、[Ca2+]=4N(溶液4)である。
【0031】
超音波洗浄:各酸浸漬時間の終了後、各試験サンプルをRO水で濯ぎ、その後、RO中で20分間、10分間及び5分間超音波洗浄した。次いで、サンプルを窒素でブロー乾燥し、60℃の炉で少なくとも2時間、熱乾燥した。
【0032】
エッチング研究は、Ra<0.1μを有する1.9cm(3/4インチ)研磨鍛錬CoCrMo円盤(ASTM F1537)を使用して、酸浸漬プロセス中の重量損失を測定した。エッチング研究は、2.54cm(1インチ)研磨鍛錬CoCrMo円盤(ASTM F1537)を使用して、接触角を測定した。エッチング研究は、1.9cm(3/4インチ)Porocoat(登録商標)円盤(ASTM F1537)を使用して、吸水性を測定した。
【0033】
(実施例1)
300mLの溶液1を500mLビーカーに加えた。直径1.9cm(3/4インチ)の研磨鍛錬CoCrMo円盤をテフロン固定具に添え、それにより研磨した表面のみが酸に暴露され、鉛直に置かれた。ビーカーの上部をパラフィルムで密封した。指定された時間、浸漬した後、円盤を流れるRO水で濯ぎ、超音波洗浄した。実験を5分間、30分間、1時間、1.5時間、3.5時間、6時間、18時間又は24時間の浸漬により繰り返した。対象円盤(浸漬せず)並びに5分間、30分間、1.5時間、3.5時間、6時間及び18時間浸漬した円盤の顕微鏡写真を図1に示す。図2に、研磨円盤と、8NのHClに5分間、30分間、1時間、1.5時間、6時間及び24時間、浸漬したものとの深さプロファイルを示す。表面上部からのCo、Cr、Mo、O、Cの深さ分布は、X線光電子分光法(XPS)で試験した。5つの要素(C1s、O1s、Co2p、Cr2p及びMo3d)を通過エネルギ−224.00EV及び刻み幅0.4EVで試験した。アルゴンを2kv2×2のスパッタ設定で使用して、200μm×200μm(200u45w15kv)面積を合計2.1分間スパッタリングした。スパッタサイクルは、交互スパッタモードにて0.1分間で6サイクル、0.2分間で6サイクルを含み、合計分析時間57分間を有した。Crに富んだ層の深さは、CrとCoとの深さの交差点(矢印で示す)により画定される。
【0034】
図3に、(A)浸漬時間当たりの重量損失、(B)円盤の表面上に配置した水の接触角対浸漬時間、(C)Porocoat(登録商標)円盤表面の吸水性対浸漬時間を示す。酸に浸漬したPorocoat(登録商標)円盤は、未処理Porocoat(登録商標)円盤と比較して有意に多量の水を吸収した。重量損失を、浸漬前と浸漬後に測定した円盤の間の差異により決定した。標準的な接触角測定器具を使用して1滴の5mL水を3/4”鍛錬円盤上に盛り、水滴形状分析を適用することにより接触角を抽出して、接触角を測定した。同一の試験を、3回繰り返した。吸水性を上述したように測定した。
【0035】
(実施例2)
300mLの指定溶液を500mLビーカーに加えた。1.9cm(3/4インチ)の研磨CoCrMo鍛錬円盤をビーカーに加え、研磨表面を上向きにして96時間、平らに置いた。ビーカーの上部をパラフィルムで密封した。浸漬後、円盤を超音波洗浄した。4N又は6NのHClに浸漬した円盤は、色変化(僅かに青色)を示すように観察され、円盤表面はその光沢を損失し(研磨表面上に、白色混濁した領域が出現した)、2NのHClに4日間浸漬した円盤は、溶液中の色変化、又は外観による表面変化を全く示さなかった。
【0036】
(実施例3)
2枚の研磨した1.9cm(3/4インチ)(直径)鍛錬CoCrMo円盤を1つのテフロン(登録商標)固定具に固定し、それにより各円盤の一方の表面のみが酸に暴露された。2枚の研磨円盤をパラフィルム(登録商標)で密封したPyrexガラス容器内の100mLの塩化物補充HCl酸に、室内条件下で24時間浸漬した。別の2枚の研磨円盤をテフロン(登録商標)固定具に固定し、パラフィルム(登録商標)で密封したPyrexガラス容器内の100mLの1NのHCl酸に、室内条件下で24時間浸漬した。図4Aに、1NのHClに24時間浸漬した後の表面を示し、図4Bに、塩化物を補充した1NのHCl(溶液4)に浸漬した後の表面を示す。
【0037】
塩化物補充HCl酸に浸漬した円盤における、酸に暴露した単位面積当たりの平均重量損失は、0.45±0.09mg/cm2(2.9±0.6mg/in2)であり、1NのHClに浸漬した円盤では、0.08±0.03mg/cm2(0.5±0.2mg/in2)である。
【0038】
(実施例4)
Global CAP肩インプラント(図5A)を、パラフィルムで密封したPyrexガラスビーカー内の300mLの8NのHCl溶液に、室内条件下で24時間浸漬した。インプラントを酸溶液から取り出した後で、超音波洗浄した。エッチングされた100〜500nmの範囲の穴が表面の一部又は全部に観察できる(図5B)。
【0039】
〔実施の態様〕
(1) 哺乳動物への植え込みに好適な物品において、前記物品は、コバルト−クロム合金を含み、かつ20〜40Åの厚さを有する表面酸化物層を担持し、前記層は、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む、物品。
(2) 前記層は、少なくとも約7.8μL/cm2(約50μL/in2)の液体吸収能力を有する、実施態様1に記載の物品。
(3) 前記コバルト−クロム合金は、CoCrMoである、実施態様1に記載の物品。
(4) 前記物品の表面は、コバルト−クロム合金ビーズを含む、実施態様1に記載の物品。
(5) コバルトクロム合金を含む物品を、20〜40Åの厚さを有し、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む表面酸化物層を前記物品上に形成するのに有効な時間及び温度で、塩酸を含有する溶液と接触させることを含む、方法。
(6) 前記溶液は、酸化剤を実質的に含有しない、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記層は、少なくとも約7.8μL/cm2(約50μL/in2)の液体吸収能力を有する、実施態様5に記載の方法。
(8) 前記溶液は、少なくとも約0.1NのH+濃度と、少なくとも約4NのCl−濃度とを有する、実施態様5に記載の方法。
(9) 前記溶液は、約0.01M〜8Mの範囲の濃度の塩化物含有化合物を更に含む、実施態様5に記載の方法。
(10) 前記溶液は、約0.1〜約12MのH+濃度と、前記H+濃度よりも高いCl−濃度とを有する、実施態様9に記載の方法。
【0040】
(11) 前記塩化物含有化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第一鉄(FeCl2)、塩化コバルト(CoCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)又はそれらの混合物である、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記物品を約20〜約100℃の温度で前記溶液と接触させる、実施態様5に記載の方法。
(13) 前記物品を約20〜約40℃の温度で前記溶液と接触させる、実施態様5に記載の方法。
(14) 前記物品を、約30分間〜約96時間、前記溶液と接触させる、実施態様5に記載の方法。
(15) 前記コバルト−クロム合金は、CoCrMoである、実施態様5に記載の方法。
(16) 前記物品の表面は、コバルト−クロム合金ビーズを含む、実施態様5に記載の方法。
(17) 前記物品は、哺乳動物への植え込みに好適である、実施態様5に記載の方法。
(18) 前記物品は、関節代替補綴物又はその構成要素である、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記物品は、股関節又は膝関節代替補綴物である、実施態様18に記載の方法。
(20) 実施態様1に記載の物品を哺乳動物に植え込むこと、を含む、方法。
【0041】
(21) 前記哺乳動物はヒトである、実施態様20に記載の方法。
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、全て同日に出願された以下の3つの出願に関連した、2009年4月15日出願の米国仮出願第61/169,365号の利益を主張する。(i)「マクロ及びナノスケールで表面テクスチャ加工したチタン含有物品及びその製造方法(Micro and Nano Scale Surface Textured Titanium-Containing Articles and Methods of Producing Same)」と題された、発明者ウェイドン・トン(Weidong Tong)及びラリー・サルバティ(Larry Salvati)を有し、代理人整理番号JJDO−0028(DEP 6160)で指定された米国特許出願第61/169,443号、(ii)「骨取り付けのための方法及び装置(Methods and Devices For Bone Attachment)」と題された、発明者ウェイドン・トン(Weidong Tong)及びラリー・サルバティ(Larry Salvati)を有し、代理人整理番号102737−16(DEP 6045)で指定された米国特許出願、並びに(iii)「リン酸カルシウムを有するインプラントのための方法及び装置(Methods and Devices For Implants With Calcium Phosphate)」と題された、発明者ウェイドン・トン(Weidong Tong)、ラリー・サルバティ(Larry Salvati)及びプージャ・カダンビ(Pooja Kadambi)を有し、代理人整理番号102737−17(DEP 6090)で指定された米国特許出願。前述した4つの全出願は、その全容が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
〔技術分野〕
本発明は、とりわけ、コバルトクロム合金から形成され、高い湿潤性を有するナノテクスチャー加工された物品と、その製造方法及び使用とに関する。
【0003】
〔背景技術〕
部分骨代替インプラントに関して長期間要求されている、以下を含む多数の設計基準が存在する。(1)インプラントは、患者の生涯において機能を失わずに、又はいかなる有害なプロセス応答も開始せずに残留する必要がある、(2)インプラントは、インプラントが植え込まれる骨の正常な機能を回復させる必要がある、(3)インプラントは、商業的スケールで製造可能である必要がある。前記の基準を満たすために、インプラントは、多くは変動する性質の負荷荷重を支持する必要があるのみでなく、インプラントと骨との間の境界も荷重要求に耐える必要がある。
【0004】
インプラントを骨に付着させ、またインプラントと骨との間の適合を改善するために、ポリメチルメタクリレートなどのプラスチックセメントが度々使用されている。インプラントには多孔質コーティングも設けられ、このコーティングは、ある時間の経過後に補綴物が骨構造に一体化されるように骨と結びつき、骨内部成長を招く。そのようなコーティングの典型は、米国特許第3,855,638号、同第4,206,516号、同第4,156,943号、及び同第4,612,160号に開示されているものである。
【0005】
セラミックコーティングは、骨とアルミナ(Al2O3)などのセラミック材料との間の親和性により、良好な効果を有し、多くの場合、特に望ましい。そのようなコーティングの典型は、米国特許第4,145,764号及び同第4,483,678号に開示されているものであり、これらは特に歯科インプラントに関係し、また米国特許第4,309,488号及び同第4,846,837号があり、これらは、身体全体に使用される植え込み可能な骨代替材料をより広く開示している。
【0006】
他の研究では、インプラントの高度に回旋状の表面を使用している。米国特許第5,368,881号及び同第5,658,333号は、非球面粉末を使用した、補綴物のために粗面化された表面の形成を示している。しかしながら、これらの表面は、相互連結した多孔性を殆ど、あるいは全く有さないことが公知である。
【0007】
改善された性質を有する補綴物表面に対する必要性が当技術分野において依然として存在している。
【0008】
〔概要〕
本発明の一態様は、哺乳動物への植え込みに好適な物品に関し、この物品はコバルト−クロム合金を含み、かつ20〜40Åの厚さを有する表面酸化物層を支持し、この表面酸化物層は、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む。いくつかの実施形態において、層は、少なくとも約7.8μL/cm2(約50μL/in2)の液体吸収能力を有する。いくつかの物品において、コバルト−クロム合金はCoCrMoである。いくつかの実施形態において、前記物品の表面は、コバルト−クロム合金ビーズを含む。
【0009】
本発明の別の態様は、高い湿潤性を有するナノテクスチャー加工された物品を作製する方法に関する。いくつかの物品は、上述したような性質を有する。いくつかの方法は、コバルトクロム合金を含む物品を、20〜40Åの厚さを有し、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む表面酸化物層を前記物品上に形成するのに有効な時間及び温度で、塩酸を含有する溶液と接触させることを含む。好ましい所定の実施形態において、溶液は、実質的に酸化剤を含有しない。
【0010】
いくつかのプロセスにおいて、溶液は、少なくとも約4MのH+濃度と、少なくとも約4MのCl−濃度とを有する。溶液は、濃度約0.01M〜8Mの範囲の塩化物含有化合物を更に含むことができる。いくつかの実施形態において、溶液は、約0.8〜約12MのH+濃度と、前記H+濃度よりも高いCl−濃度とを有する。好ましい塩化物含有化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第一鉄(FeCl2)、塩化コバルト(CoCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)及びそれらの混合物を含む。
【0011】
本発明のいくつかの工程において、物品を、温度約20〜約100℃の溶液と接触させる。所定の工程では、物品を、温度約20〜約40℃の溶液と接触させる。いくつかの工程では、物品を、約30分間〜約96時間、溶液と接触させる。
【0012】
尚、別の態様において、物品は、哺乳動物に植え込みするのに好適である。いくつかの物品は、関節代替補綴物又はその構成要素である。所定の物品は、股関節又は膝関節代替補綴物である。
【0013】
本発明の尚別の態様は、請求項1に記載の物品を、ヒトなどの哺乳動物に植え込みすることに関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤の画像。
【図1B】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に5分間浸漬した画像。
【図1C】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に30分間浸漬した画像。
【図1D】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に1時間浸漬した画像。
【図1E】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に1.5時間浸漬した画像。
【図1F】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に3.5時間浸漬した画像。
【図1G】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に6時間浸漬した画像。
【図1H】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨した鍛錬CoCrMo(ASTM F1537)円盤を、8NのHCl中に18時間浸漬した画像。
【図2A】研磨鍛錬CoCrMo円盤(8NのHCl中に浸漬していない)上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2B】8NのHCl(室温)中に5分間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2C】8NのHCl(室温)中に30分間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2D】8NのHCl(室温)中に1時間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2E】8NのHCl(室温)中に1.5時間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2F】8NのHCl(室温)中に6時間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図2G】8NのHCl(室温)中に24時間浸漬した後の、研磨鍛錬CoCrMo円盤上の深さプロファイルにおける変化(XPSによる)を示す。
【図3A】1.9cm(3/4インチ)(直径)の研磨鍛錬CoCrMo円盤上の、酸浸漬時間における単位面積当たりの重量損失を示す(円盤は室温にて8NのHClで24時間処理された)。
【図3B】研磨鍛錬円盤の表面上に配置した水の接触角対酸浸漬時間を示す(円盤は室温にて8NのHClで24時間処理された)。
【図3C】1.9cm(3/4インチ)(直径)Porocoat(登録商標)円盤の吸水性対酸浸漬時間を示す(円盤は室温にて8NのHClで24時間処理された)。
【図4A】1NのHCl中に24時間浸漬した後の1.9cm(3/4インチ)(直径)研磨鍛錬CoCrMo円盤の形態を示す。
【図4B】塩化物を補充した1NのHCl中に24時間浸漬した後の1.9cm(3/4インチ)(直径)研磨鍛錬CoCrMo円盤を示す。塩化物を補充した1NのHClは、70gのCaCl2・2H2Oを、100mLの1NのHClに室内条件下で加えることにより調製される。塩化物補充HCl酸中の最終濃度は、およそ[H+]=0.8N、[Cl−]=8.8N、[Ca2+]=4Nである。
【図5A】酸に24時間浸漬した後のGlobal CAP肩インプラントPorocoat(登録商標)(CoCrMo)のより低い倍率の画像。
【図5B】ビーズ表面上の100nm〜500nmの範囲の穴の高い倍率の画像。
【0015】
〔例示的な実施形態の詳細な説明〕
インプラント材料の表面特性は、インプラントに対する隣接した細胞の接着に重要な役割を果たす。湿潤性は、インプラントに対する接着に影響を与えると思われる一つの要因である。本発明の方法の使用により、CoCrMo物品の表面の化学的構造はクロムに富んだものとなる。加えて、表面はナノテクスチャー加工され、高い吸水性を示す。いくつかの実施形態では、処理したインプラント表面は、未処理表面に対して3〜10倍の吸水における向上が観察される。そのような材料で作製されたインプラントは、改善された骨内部成長を示す。
【0016】
本発明の一態様は、哺乳動物に植え込みするのに好適な物品に関し、この物品は、コバルト−クロム合金を含み、かつ20〜40Åの厚さを有する表面酸化物層を担持し、この表面酸化物層は、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む。いくつかの実施形態において、層は、少なくとも約7.8μL/cm2(約50μL/in2)の液体吸収能力を有する。
【0017】
液体吸収能力は、物品中に吸収される水の量を測定することにより決定される。液体吸収能力を決定するべき物品を計量する。7滴の10μL RO水(合計7スポット及び合計70mgの水)を物品上に配置する。水を5分間平衡化させた後、物品の上面を濾紙に接触させて、Porocoat(登録商標)表面上に残留する水を全て除去する。次いで、Porocoat(登録商標)円盤の重量を再度測定する。重量の差異を容積(1mgの水=1μL)に変換する。水の容積を物品の推定表面積で除算して、液体吸収能力を決定する。いくつかの実施形態において、液体吸収能力はμL/cm2(μL/in2)で報告される。
【0018】
本発明のいくつかの物品は、少なくとも約7.8μL/cm2(約50μL/in2)の液体吸収能力を有する。別の物品は、少なくとも約11.6μL/cm2(約75μL/in2)又は15.5μL/cm2(100μL/in2)の液体吸収能力を有する。
【0019】
所望であれば、液体吸収能力は、DePuyの標準Porocoat(登録商標)円盤(直径1.9cm(3/4”)、厚さ750μ、及び多孔性40〜50%)などの基準と比較されてもよい。物品が高い湿潤性を有する場合、水は通常、物品内に5分以内に運ばれる。物品が高い湿潤性を有さない場合、水は通常、表面上で玉状となる。
【0020】
いくつかの好ましい金属物体は、鍛錬CoCrMoなどの、コバルト、クロム及びモリブデンのうちの少なくとも1つを含有するものを含む。いくつかの物品において、コバルト−クロム合金はCoCrMoである。いくつかの実施形態において、前記物品の表面は、コバルト−クロム合金ビーズを含む。
【0021】
本発明の別の態様は、高い湿潤性を有するナノテクスチャー加工された物品を作製する方法に関する。いくつかの物品は、上述したような性質を有する。いくつかの方法は、コバルトクロム合金を含む物品を、20〜40Åの厚さを有し、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む表面酸化物層を前記物品上に形成するのに有効な時間及び温度で、塩酸を含有する溶液と接触させることを含む。特定の好適な実施形態において、溶液は、実質的に酸化剤を含有しない。
【0022】
いくつかのプロセスにおいて、溶液は、少なくとも約4NのH+濃度と、少なくとも約4NのCl−濃度とを有する。溶液は、濃度約0.01N〜8Nの範囲の塩化物含有化合物を更に含む。いくつかの実施形態において、溶液は、約0.8〜約12NのH+濃度と、前記H+濃度よりも高いCl−濃度とを有する。好ましい塩化物含有化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第一鉄(FeCl2)、塩化コバルト(CoCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)及びそれらの混合物を含む。
【0023】
表面を変更するのに好適な任意の温度で、物品を溶液に接触させてもよい。いくつかの実施形態では、物品を、約20〜約100℃の温度で溶液と接触させ、又はいくつかの実施形態では、約20〜約40℃の温度で溶液と接触させる。物品を、十分な時間、溶液と接触させて、所望の表面特性を提供することができる。いくつかの工程では、例えば、物品を、約30分間〜約96時間、溶液と接触させる。別の工程では、物品を、約1〜約36時間、溶液と接触させる。
【0024】
本明細書に記載した物品は、哺乳動物への植え込みに好適である。これらの物品の所定のものは、関節代替補綴物又はその構成要素などの補綴装置である。これらの装置は、股関節又は膝関節代替補綴物を含む。
【0025】
本発明は更に、本明細書に記載した物品を哺乳動物に植え込みすることにも関する。いくつかの実施形態において、物品はヒトへの植え込みに好適である。
【0026】
Porocoat(登録商標)Porous Coatingは、デプイ・オーソパエディクス社(DePuy Orthopaedics, Inc)から市販されている3次元のビーズコーティングである。いくつかの実施形態において、コーティングはCoCrMo材料を含む。
【0027】
本発明を、例示であり限定を意図するものではない以下の実施例により説明する。
【0028】
〔実施例〕
円盤
鏡面研磨したASTM F1537鍛錬CoCrMo円盤、直径1.9cm(3/4インチ)を、重量損失評価及び接触角測定に使用した。そのような円盤は、鉄桿(ASTM F1537鍛錬)から機械切断し、鏡面研磨仕上げ(Ra<0.1μ)することにより入手することができる。CoCrMo Porocoat(登録商標)は、寸法約150〜250μの範囲のCoCrMoの球状ビーズを含む。Porocoat(登録商標)は、厚さ750μ及び直径1.9cm(3/4インチ)であり、40〜50%の範囲の多孔性を有する。室温/室内条件(18℃〜23℃)で酸浸漬試験を実施した。平坦な1.9cm(3/4インチ)円盤に関して、少なくとも容積30mLの酸溶液を使用した、1.9cm(3/4インチ)Porocoat(登録商標)円盤に関して、少なくとも容積50mLの酸溶液を使用した。
【0029】
酸溶液
100mLの12NのHClを50mLの逆浸透(RO)処理水で希釈して、8NのHCl溶液(溶液1)を作製した。
100mLの12NのHClを100mLの逆浸透(RO)処理水で希釈して、6NのHCl溶液(溶液2)を作製した。
100mLの12NのHClを200mLの逆浸透(RO)処理水で希釈して、4NのHCl溶液(溶液3)を作製した。
【0030】
塩化物を補充した1NのHClは、70gのCaCl2・2H2Oを100mLの1NのHClに加えて調製する。塩化物補充HCl酸中の最終濃度は、およそ[H+]=0.8N、[Cl−]=8.8N、[Ca2+]=4N(溶液4)である。
【0031】
超音波洗浄:各酸浸漬時間の終了後、各試験サンプルをRO水で濯ぎ、その後、RO中で20分間、10分間及び5分間超音波洗浄した。次いで、サンプルを窒素でブロー乾燥し、60℃の炉で少なくとも2時間、熱乾燥した。
【0032】
エッチング研究は、Ra<0.1μを有する1.9cm(3/4インチ)研磨鍛錬CoCrMo円盤(ASTM F1537)を使用して、酸浸漬プロセス中の重量損失を測定した。エッチング研究は、2.54cm(1インチ)研磨鍛錬CoCrMo円盤(ASTM F1537)を使用して、接触角を測定した。エッチング研究は、1.9cm(3/4インチ)Porocoat(登録商標)円盤(ASTM F1537)を使用して、吸水性を測定した。
【0033】
(実施例1)
300mLの溶液1を500mLビーカーに加えた。直径1.9cm(3/4インチ)の研磨鍛錬CoCrMo円盤をテフロン固定具に添え、それにより研磨した表面のみが酸に暴露され、鉛直に置かれた。ビーカーの上部をパラフィルムで密封した。指定された時間、浸漬した後、円盤を流れるRO水で濯ぎ、超音波洗浄した。実験を5分間、30分間、1時間、1.5時間、3.5時間、6時間、18時間又は24時間の浸漬により繰り返した。対象円盤(浸漬せず)並びに5分間、30分間、1.5時間、3.5時間、6時間及び18時間浸漬した円盤の顕微鏡写真を図1に示す。図2に、研磨円盤と、8NのHClに5分間、30分間、1時間、1.5時間、6時間及び24時間、浸漬したものとの深さプロファイルを示す。表面上部からのCo、Cr、Mo、O、Cの深さ分布は、X線光電子分光法(XPS)で試験した。5つの要素(C1s、O1s、Co2p、Cr2p及びMo3d)を通過エネルギ−224.00EV及び刻み幅0.4EVで試験した。アルゴンを2kv2×2のスパッタ設定で使用して、200μm×200μm(200u45w15kv)面積を合計2.1分間スパッタリングした。スパッタサイクルは、交互スパッタモードにて0.1分間で6サイクル、0.2分間で6サイクルを含み、合計分析時間57分間を有した。Crに富んだ層の深さは、CrとCoとの深さの交差点(矢印で示す)により画定される。
【0034】
図3に、(A)浸漬時間当たりの重量損失、(B)円盤の表面上に配置した水の接触角対浸漬時間、(C)Porocoat(登録商標)円盤表面の吸水性対浸漬時間を示す。酸に浸漬したPorocoat(登録商標)円盤は、未処理Porocoat(登録商標)円盤と比較して有意に多量の水を吸収した。重量損失を、浸漬前と浸漬後に測定した円盤の間の差異により決定した。標準的な接触角測定器具を使用して1滴の5mL水を3/4”鍛錬円盤上に盛り、水滴形状分析を適用することにより接触角を抽出して、接触角を測定した。同一の試験を、3回繰り返した。吸水性を上述したように測定した。
【0035】
(実施例2)
300mLの指定溶液を500mLビーカーに加えた。1.9cm(3/4インチ)の研磨CoCrMo鍛錬円盤をビーカーに加え、研磨表面を上向きにして96時間、平らに置いた。ビーカーの上部をパラフィルムで密封した。浸漬後、円盤を超音波洗浄した。4N又は6NのHClに浸漬した円盤は、色変化(僅かに青色)を示すように観察され、円盤表面はその光沢を損失し(研磨表面上に、白色混濁した領域が出現した)、2NのHClに4日間浸漬した円盤は、溶液中の色変化、又は外観による表面変化を全く示さなかった。
【0036】
(実施例3)
2枚の研磨した1.9cm(3/4インチ)(直径)鍛錬CoCrMo円盤を1つのテフロン(登録商標)固定具に固定し、それにより各円盤の一方の表面のみが酸に暴露された。2枚の研磨円盤をパラフィルム(登録商標)で密封したPyrexガラス容器内の100mLの塩化物補充HCl酸に、室内条件下で24時間浸漬した。別の2枚の研磨円盤をテフロン(登録商標)固定具に固定し、パラフィルム(登録商標)で密封したPyrexガラス容器内の100mLの1NのHCl酸に、室内条件下で24時間浸漬した。図4Aに、1NのHClに24時間浸漬した後の表面を示し、図4Bに、塩化物を補充した1NのHCl(溶液4)に浸漬した後の表面を示す。
【0037】
塩化物補充HCl酸に浸漬した円盤における、酸に暴露した単位面積当たりの平均重量損失は、0.45±0.09mg/cm2(2.9±0.6mg/in2)であり、1NのHClに浸漬した円盤では、0.08±0.03mg/cm2(0.5±0.2mg/in2)である。
【0038】
(実施例4)
Global CAP肩インプラント(図5A)を、パラフィルムで密封したPyrexガラスビーカー内の300mLの8NのHCl溶液に、室内条件下で24時間浸漬した。インプラントを酸溶液から取り出した後で、超音波洗浄した。エッチングされた100〜500nmの範囲の穴が表面の一部又は全部に観察できる(図5B)。
【0039】
〔実施の態様〕
(1) 哺乳動物への植え込みに好適な物品において、前記物品は、コバルト−クロム合金を含み、かつ20〜40Åの厚さを有する表面酸化物層を担持し、前記層は、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む、物品。
(2) 前記層は、少なくとも約7.8μL/cm2(約50μL/in2)の液体吸収能力を有する、実施態様1に記載の物品。
(3) 前記コバルト−クロム合金は、CoCrMoである、実施態様1に記載の物品。
(4) 前記物品の表面は、コバルト−クロム合金ビーズを含む、実施態様1に記載の物品。
(5) コバルトクロム合金を含む物品を、20〜40Åの厚さを有し、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む表面酸化物層を前記物品上に形成するのに有効な時間及び温度で、塩酸を含有する溶液と接触させることを含む、方法。
(6) 前記溶液は、酸化剤を実質的に含有しない、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記層は、少なくとも約7.8μL/cm2(約50μL/in2)の液体吸収能力を有する、実施態様5に記載の方法。
(8) 前記溶液は、少なくとも約0.1NのH+濃度と、少なくとも約4NのCl−濃度とを有する、実施態様5に記載の方法。
(9) 前記溶液は、約0.01M〜8Mの範囲の濃度の塩化物含有化合物を更に含む、実施態様5に記載の方法。
(10) 前記溶液は、約0.1〜約12MのH+濃度と、前記H+濃度よりも高いCl−濃度とを有する、実施態様9に記載の方法。
【0040】
(11) 前記塩化物含有化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第一鉄(FeCl2)、塩化コバルト(CoCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)又はそれらの混合物である、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記物品を約20〜約100℃の温度で前記溶液と接触させる、実施態様5に記載の方法。
(13) 前記物品を約20〜約40℃の温度で前記溶液と接触させる、実施態様5に記載の方法。
(14) 前記物品を、約30分間〜約96時間、前記溶液と接触させる、実施態様5に記載の方法。
(15) 前記コバルト−クロム合金は、CoCrMoである、実施態様5に記載の方法。
(16) 前記物品の表面は、コバルト−クロム合金ビーズを含む、実施態様5に記載の方法。
(17) 前記物品は、哺乳動物への植え込みに好適である、実施態様5に記載の方法。
(18) 前記物品は、関節代替補綴物又はその構成要素である、実施態様17に記載の方法。
(19) 前記物品は、股関節又は膝関節代替補綴物である、実施態様18に記載の方法。
(20) 実施態様1に記載の物品を哺乳動物に植え込むこと、を含む、方法。
【0041】
(21) 前記哺乳動物はヒトである、実施態様20に記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物への植え込みに好適な物品において、前記物品は、コバルト−クロム合金を含み、かつ20〜40Åの厚さを有する表面酸化物層を担持し、前記層は、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む、物品。
【請求項2】
コバルトクロム合金を含む物品を、20〜40Åの厚さを有し、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む表面酸化物層を前記物品上に形成するのに有効な時間及び温度で、塩酸を含有する溶液と接触させることを含む、方法。
【請求項3】
前記溶液は、少なくとも約0.1NのH+濃度と、少なくとも約4NのCl−濃度とを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液は、約0.01M〜8Mの範囲の濃度の塩化物含有化合物を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液は、約0.1〜約12MのH+濃度と、前記H+濃度よりも高いCl−濃度とを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記塩化物含有化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第一鉄(FeCl2)、塩化コバルト(CoCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)又はそれらの混合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記物品を約20〜約100℃の温度で前記溶液と接触させる、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記物品を約20〜約40℃の温度で前記溶液と接触させる、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記物品を、約30分間〜約96時間、前記溶液と接触させる、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記物品は、哺乳動物への植え込みに好適である、請求項2に記載の方法。
【請求項1】
哺乳動物への植え込みに好適な物品において、前記物品は、コバルト−クロム合金を含み、かつ20〜40Åの厚さを有する表面酸化物層を担持し、前記層は、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む、物品。
【請求項2】
コバルトクロム合金を含む物品を、20〜40Åの厚さを有し、前記物品と比較してクロムに富み、独立して約40〜約500nmの直径を有する複数のくぼみを含む表面酸化物層を前記物品上に形成するのに有効な時間及び温度で、塩酸を含有する溶液と接触させることを含む、方法。
【請求項3】
前記溶液は、少なくとも約0.1NのH+濃度と、少なくとも約4NのCl−濃度とを有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶液は、約0.01M〜8Mの範囲の濃度の塩化物含有化合物を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記溶液は、約0.1〜約12MのH+濃度と、前記H+濃度よりも高いCl−濃度とを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記塩化物含有化合物は、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化アンモニウム(NH4Cl)、塩化第二鉄(FeCl3)、塩化第一鉄(FeCl2)、塩化コバルト(CoCl2)、塩化マグネシウム(MgCl2)又はそれらの混合物である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記物品を約20〜約100℃の温度で前記溶液と接触させる、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記物品を約20〜約40℃の温度で前記溶液と接触させる、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記物品を、約30分間〜約96時間、前記溶液と接触させる、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記物品は、哺乳動物への植え込みに好適である、請求項2に記載の方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図1H】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図2G】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【公開番号】特開2010−246925(P2010−246925A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−92832(P2010−92832)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92832(P2010−92832)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYREX
【出願人】(501384115)デピュイ・プロダクツ・インコーポレイテッド (216)
【Fターム(参考)】
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