説明

高いn−ペンタナール含有量を有するC5−アルデヒド混合物の製造方法

本発明は、異性化条件下で、末端ヒドロホルミル化によって直鎖ブテンを含有する炭化水素混合物からC−アルデヒド混合物を製造する方法に関し、その際、ロジウム、式Iのビスホスフィット−リガンド及び式IIのアミンを含有する触媒系を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直鎖ブテン含有炭化水素混合物からの高いn−ペンタナール含有量を有するC−アルデヒド混合物の製造方法に関する。特に、本発明は、直鎖ブテン含有炭化水素混合物からの、n−ペンタナール対2−メチルブタナールの比が90:10を上回るC−アルデヒド混合物の製造に関する。
【0002】
−アルデヒドは、ペンタノール、ペンタン酸及びペンチルアミンを製造するための出発物質である。アルドール縮合及びアルドール縮合物の全水素化によって、C−アルデヒドから可塑剤、洗剤及び潤滑剤の製造のための中間産物であるデカノールが得られる。
【0003】
アルドール縮合、アルドール縮合物のオレフィン二重結合の水素化及び引き続いてのアルデヒド基の酸化によってデカン酸を得ることができ、これは、例えば、潤滑剤又は洗浄剤の製造のために使用することができる。この使用分野において、C−アルデヒドは、可能な限り直鎖化合物であるn−ペンタナールのみから構成されるか、あるいは、分枝C−アルデヒド、例えば2−メチルブタナールの割合を可能な限り少なくすることが重要である。
【0004】
−アルデヒドは、不飽和C−化合物のヒドロホルミル化によって得ることができる。相当する工業的に使用可能な出発物質は、炭化水素混合物、この場合、これは1−ブテン、2−ブテン(Z及びE)及びイソブテンを含有する。不飽和C−化合物中のC−C−二重結合の位置に応じて、かつ反応条件に依存して、そのヒドロホルミル化は、直鎖又は分枝のC−アルデヒド又はC−アルデヒド混合物を種々の選択率で導く。
【0005】
1−ブテンは、n−ペンタナールに対して90%を上回る選択比でヒドロホルミル化することができる。これに関して触媒として、通常、ロジウム及びモノホスフィンから成る錯体を使用する。標準的な触媒は、例えば、ロジウム及びトリフェニルホスフィンから成る錯体である。変換は、均一相中で、例えば EP 0 562 451中に記載されているように、あるいは、不均一相中で、例えばDE 026 27 354又はEP 0 562 451中に記載されているように実施することができる。
【0006】
場合によっては、1−オレフィンのヒドロホルミル化を、多相系中で実施し、その際、出発材料、生成物及び合成ガスを、連続的な触媒相中に分散させ、高い空間速度(Leerrohrgeschwindigkeit)下で実施する。このような方法は、例えば DE 199 25 384 A1及びDE 199 57 528 A1中で記載されている。
【0007】
2−ブテン又はその混合物からのn−ペンタナールの選択的製造は、本質的には困難である。DE 101 08 474、DE 101 084 75、DE 101 084 76及びDE 102 252 82において、C−アルデヒド混合物の製造が、直鎖ブテン混合物のヒドロホルミル化によることが記載されている。これらすべての工程のすべての技術的教示は共通して、少なくとも1個のヒドロホルミル化工程において、ロジウム触媒とジホスフィンリガンド、この場合、これはキサンテン骨格を示すもの、を使用する。この触媒を用いて2−ブテンを、異性化条件下でヒドロホルミル化することができる。n−ペンタナール対2−メチルブタナールの比は、せいぜい85:15である。DE 101 08 474及びDE 101 08 475の文献は、ヒドロホルミル化を二段階で実施する方法を記載している。第一のヒドロホルミル化工程において、ロジウム及びリガンドとしてモノホスフィンから成る触媒の使用下で、1−ブテンを、90%の選択率でn−ペンタナールに対して変換する。未変換のブテン、主に2−ブテンは、第2のヒドロホルミル化工程において、前記ロジウム/ビスホスフィンの使用下で反応させる。文献DE 101 08 476及びDE 102 25 282は、一工程のヒドロホルミル化方法を記載する。
【0008】
n−ペンタナールの高い選択比は、2−ブテンのヒドロホルミル化の際に、ロジウム及び扱いにくい芳香族ビスホスフィットから成る触媒の使用により得ることができ、これは、例えば、EP 0 213 639に記載されている。但し、この選択比は時間に伴い減少する。
【0009】
DE 10 2005 042464において、オレフィンのヒドロホルミル化のための触媒系が挙げられており、これはロジウム及び有機リン含有化合物から成る錯体並びに立体障害第2級アミンを含む。この触媒系は、長時間安定性によって特徴付けられる。この触媒系は、3〜16個の炭素原子を有するオレフィンのヒドロホルミル化のために使用することができる。実施例においては、1−オクテンのみをヒドロホルミル化する。これは、複数個のC−アルデヒドの混合物を生じるが、その異性体分布に関しては言及されていない。
【0010】
したがって本発明は、直鎖ブテンを含有する炭化水素混合物から、n−ペンタナールを可能な限り高い選択率で得ることができる方法を提供するという課題に基づく。
【0011】
ロジウム及び有機ビスホスフィット並びに立体障害第2級アミンから成る特別な触媒系が、2−ブテンからn−ペンタナールへの選択的ヒドロホルミル化を生じさせ、かつそれによって、直鎖ブテンを含有する炭化水素混合物から、高いn−ペンタナール含有量を有するC−アルデヒド混合物を製造するのに特に適していることが見出された。この触媒系は、ロジウム化合物錯体、この場合、これは、一般式I
【化1】

の少なくとも1種のリガンド及び一般式II
【化2】

の少なくとも1種の第2級立体障害アミン
[式中、Ra、Rb、Rc、Rd、ReおよびRfは、同一又は異なる炭化水素基であり、この場合、これは互いに結合されていてもよい]を有する。
【0012】
本発明の対象は、直鎖ブテン含有炭化水素混合物から、異性化条件下で、末端ヒドロホルミル化によってC−アルデヒド混合物を製造するための方法であり、その際、ロジウム、式Iのビスホスフィット−リガンド及び式IIのアミンを含有する触媒系を使用する。
【0013】
触媒系は、2−ブテン又は2−ブテン対1−ブテンの任意の比を有する直鎖ブテン混合物を、90%を上回る選択比でn−ペンタナールにヒドロホルミル化するのに適しているといった利点を有する。さらに、ロジウム及びビスホスフィットの損失は極めて少なく、これは、他の触媒系との比較において本質的な利点を構成する。さらに、この触媒系を用いてのブテンヒドロホルミル化が、プロペンヒドロホルミル化のために存在する装置において実施できることは利点である。
【0014】
供給材料
本発明による方法のための供給材料は、直鎖ブテン及びこれらの任意の混合物である。この混合物は、C−オレフィン留分に対して5質量%までのイソブテンを含有することができる。好ましくは、1質量%を下回るイソブテン、特に0.1質量%を下回るイソブテンを含有する混合物を使用する。供給材料において、1〜7個の炭素原子、特に4個の炭素原子を有する飽和炭化水素ならびにベンゼン及びトルエンが含まれていてもよい。好ましくは、C−炭化水素混合物を使用し、特に、双方の2−ブテンの合計対1−ブテンの質量比が2:1を上回り、好ましくは5:1を上回り、かつ特に好ましくは10:1を上回る、C−炭化水素混合物を使用する。
【0015】
本発明による方法のための供給材料は混合物であってもよく、この混合物は、n−ブタンの脱水素化により生じ、かつ、それから副生成物及びポリ不飽和化合物が分離除去されているものである。
【0016】
他の供給材料は、イソブテンの少ない部分量であり、この場合、この部分量は、水素化分解、FC−分解又は水蒸気分解からのC−カットの後処理により生じる。これに関する例は、いわゆるラフィネートIIであり、これはC4−カットからポリ不飽和化合物、例えば主にブタジエン、及びイソブテンを除去することによって得られる。これは1−ブテン、双方の2−ブテン、n−ブタン及びイソブタンを含有する。イソブタン及び1−ブテンの一部を分離する場合には、ラフィネートIIIが得られる。ラフィネートII及びラフィネートIIIは、適した供給材料である。ラフィネートII及びラフィネートIIIは、ブテンオリゴマー製造のために使用することができる。n−ブタン、直鎖ブテン、主に2−ブテンおよび場合によってはイソブタンから成る残りの流は、同様に、本発明による方法において使用することができる。
【0017】
使用される合成ガスは、水素対一酸化炭素とのモル比が2:1〜1:2の範囲であり、特に1.1:0.9〜0.9:1.1の範囲である。
【0018】
使用された合成ガスは、好ましくはその使用前に、公知方法によって精製される。これは、好ましくは1質量ppmを下回る硫黄化合物(元素硫黄として換算する)及び1質量ppmを下回る酸素を含有する。場合によっては、合成ガスは、反応条件下で、不活性ガス、例えばメタン又は窒素を含有することができる。
【0019】
触媒系
本発明による方法において、一般式I
【化3】

の少なくとも1種のリガンドを有するロジウム化合物錯体及び少なくとも1種の立体障害第2級アミンから成る触媒系を使用する。
【0020】
立体障害第2級アミンとして、一般式II
【化4】

[式中、Ra、Rb、Rc、Rd、Re及びRfは同一又は異なる炭化水素基であってもよく、これはさらに互いに結合していてもよい]の化合物を使用する。
【0021】
好ましくは、本発明による方法において第2級アミンを使用し、この場合、これは、一般式IIa
【化5】

[式中、RはH(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン自体)、有機基、ヒドロキシル基又はハロゲンを示す]の2,2,6,6−テトラメチルピペリジン単位を示す。
【0022】
有機基Rはさらに1個のヘテロ原子を介して、例えば1個の酸素原子を介して、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン構造単位に結合された有機基であってもよい。特に、有機基はポリマー構造を示すか、あるいは、1〜50個の炭素原子及び場合によってはヘテロ原子を有する有機基であってもよい。特に好ましくは、有機基はカルボニル基、例えばケト基、エステル基又は酸アミド基を示す。有機性の、場合によってはヘテロ原子を有する基は、特に、1〜50個の炭素原子を有する、置換又は非置換の脂肪族、脂環式、脂肪族−脂環式、複素環式、脂肪族−複素環式、芳香族、芳香族−芳香族又は脂肪族−芳香族の炭化水素基であってもよく、その際、置換された炭化水素基は、第1級、第2級又は第3級アルキル基、脂環式基、芳香族基、−N(R、−NHR−、−NH、フッ素、塩素、臭素、沃素、−CN、−C(O)−R、−C(O)H又は−C(O)O−R、−CF、−O−R、−C(O)N−R、−OC(O)−R及び/又は−Si(R、その際、Rは一価の、好ましくは1〜20個の炭素原子有する炭化水素基である、から選択された置換基を示していてもよい。複数の炭化水素基Rが存在する場合には、これらは同一又は異なっていてもよい。この置換基は、好ましくは、反応自体に何ら影響のないものに制限される。特に好ましい置換基は、ハロゲン、例えば塩素、臭素又は沃素、アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、neo−ペンチル、sec−アミル、t−アミル、イソオクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル、イソノニル、イソデシル又はオクタデシル、アリール基、例えばフェニル、ナフチル又はアントラシル、アルキルアリール基、例えばトリル、キシリル、ジメチルフェニル、ジエチルフェニル、トリメチルフェニル、トリエチルフェニル又はp−アルキルフェニル、アルアルキル基、例えばベンジル又はフェニルエチル、脂肪族基、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロヘキシルエチル又は1−メチルシクロヘキシル、アルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ又はペントキシ、アリールオキシ基、例えばフェノキシ又はナフトキシ、−OC(O)R又は−C(O)R、例えばアセチル、プロピオニル、トリメチルアセトキシ、トリエチルアセトキシ又はトリフェニルアセトキシ、及び3個の炭化水素基を有するシリル基−Si(R、例えばトリメチルシリル、トリエチルシリル又はトリフェニルシリルから選択することができる。特に好ましくは、式IIaの化合物であり、この場合、これは基Rとして、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン基及び場合によっては他の−N(R、−NHR及び/又は−NH基を含有するものを示す。
【0023】
第2級アミンとして、式IIによる構成単位が示され、この場合、これは、特に好ましくは、構造式IIb〜IIgを有する以下に示す化合物又はその誘導体を使用することができる。
【0024】
【化6】

【0025】
【化7】

【0026】
さらに、2種又はそれ以上の立体障害アミンを含有する混合物を使用することができる。
【0027】
特に、本発明による方法は、式IIbを有するアミン、特に好ましくは、セバシン酸ジ−4−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)エステルを使用する。
【0028】
触媒系において、3種の成分、ロジウム、式Iのビスホスフィット及び立体障害アミンIIが、特定のモル比で存在する。
【0029】
ロジウム対ビスホスフィットIのモル比は、1:1〜1:100、好ましくは1:1〜1:20、特に好ましくは1:2〜1:5の範囲である。
【0030】
ビスホスフットI対立体障害第2級アミンIIのモル比は、0.1:10〜10:1の範囲であり、好ましくは5:10〜10:5の範囲、特に好ましくは0.8:1〜1:0.8の範囲である。
【0031】
反応混合物中のロジウムの濃度は1〜1000質量ppm、好ましくは20〜300質量ppm、特に好ましくは40〜150質量ppmの範囲である。
【0032】
ロジウム触媒は、活性錯体として方法中に導入することができる。好ましくは、活性錯体は、ヒドロホルミル化反応器中で、ヒドロホルミル化条件下で、ビスホスフィットIの存在下で、安定な容易に貯蔵可能なロジウム化合物から製造することができる。これに関して適したロジウム化合物は、例えばロジウム(II)塩及びロジウム(III)塩、例えばロジウム(III)塩化物、ロジウム(III)硝酸塩、ロジウム(III)硫酸塩、カリウム−ロジウム硫酸塩、ロジウム(II)カルボン酸塩又はロジウム(III)カルボン酸塩、ロジウム(II)酢酸塩及びロジウム(II)酢酸塩、ロジウム(II)オクタン酸塩、ロジウム(II)ノナン酸塩、ロジウム(III)酸化物、ロジウム(III)酸の塩、トリスアンモニウムヘキサクロロローデート(III)である。さらに、ロジウム錯体、例えばロジウムビスカルボニルアセチルアセトネート、アセチルアセトナトビスエチレンロジウム(I)が適している。ロジウム酢酸塩、ロジウムオクタン酸塩及びロジウムノナン酸塩が特に適している。
【0033】
少なくとも1種のロジウム錯体、リガンド、アミン及び他のロジウム化合物から成る触媒系は、使用された炭化水素混合物及び生成物(C−アルデヒド、C−アルコール、高沸点生成物)から成るヒドロホルミル化混合物中で溶解する。場合によっては、付加的に溶剤、例えばトルエン、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオールのエステウ誘導体(Texanol(R))、ビフェニルとジフェニルエーテル(Diphy(R))から成る共融混合物、高沸点残留物、フタレート、例えばジ(2−エチルヘキシル)フタレート又はジノニルフタレート、又は1,2−シクロヘキサン酸のエステル又は安息香酸のエステル、たとえばイソノニルベンゾエート、を使用することができる。
【0034】
方法の実施
本発明による方法において、ヒドロホルミル化は70〜150℃、好ましくは80〜130℃、特に好ましくは100〜120℃の温度で実施する。
【0035】
反応圧は1〜20MPa、好ましくは1.0〜3.5MPa及び特に好ましくは1.5〜2.1MPaである。
【0036】
ヒドロホルミル化は、好ましくは連続的に実施する。反応容器として、例えば泡鐘塔反応器又は攪拌槽を使用することができる。
【0037】
ヒドロホルミル化生成物は、液体ヒドロホルミル化混合物の蒸留的後処理によって分離除去することができる。反応器から搬出された気相を部分的に凝縮する。他の気体部分は、その大部分を反応系中に返送する。引き続いて、液体生成物の蒸留分離を実施する。
【0038】
好ましくは本発明による方法において、反応生成物、特にC−アルデヒドを、反応ガスと一緒に反応器から搬出する。この反応ガスは、本質的に、未反応の合成ガス、未反応の出発材料及びC−アルデヒドから成り、その際、出発材料は、さらに不活性の割合の飽和炭化水素を含有していてもよい。さらに、使用材料につき500〜9000Nmの反応ガスを、少なくとも1個のノズルを用いて反応器中の液相に導入する。反応ガスの相対的量は、反応器中の液体状態に依存して、反応器の高さの20〜80%に達するべきである。これは、高い液体状態の場合には反応ガス量が増加し、かつ低い状態において減少するという意味である。
【0039】
出発材料及び生成物と一緒に装填された反応器から搬出された反応ガスは、エーロゾル破砕機(デミスタ)を介して導かれ、そこで、ガス流中に含有された液滴を分離する。これにより生じた液体を反応器中に返送する。この装置によって、触媒を気相と一緒に放出するのを最小限にすることができる。
【0040】
ガス混合物から生成物及び出発材料を凝縮し、かつ合成ガスを、場合によっては部分量の放出後に、反応器中に返送する。凝縮物は、1個又は複数個のカラム中で、生成物及び出発材料に分離される。
【0041】
出発材料として、実際には専らn−ブタン及び直鎖ブテン、特に2−ブテンのみから構成される炭化水素混合物を使用して、好ましくは、以下の方法で、プラントのブロック図に基づいて、本発明による方法で、実施することができることが説明されている(図1)。
【0042】
合成ガス(1)、分離除去されたガス相の一部(8)及び出発材料(2)を、液相を含むヒドロホルミル化反応器(3)中に導入する。気体流(4)は、合成ガス、出発材料及び生成物から成り、これを排出し、装置(5)中で部分的に凝縮し、かつ分離容器(7)中で液相(9)及び気相(8)に分離する。気相(8)の一部は、圧縮後に反応器(3)中に返送する。流(8)の残りの部分及び液相(9)を、蒸留カラム(10)中に導入し、その際、C−炭化水素及び合成ガスから成る塔頂生成物を分離する。塔底生成物(12)を、カラム(13)中で、形成されたC−アルデヒド及び他の生成物を含有する塔底生成物(14)及び塔頂生成物(15)に分離する。塔頂生成物(11)および(15)の双方を、カラム(16)中で分離する。これにより、塔底生成物としてC−炭化水素混合物が生じる。塔頂生成物(17)を部分的に凝縮し、かつ分離容器(18)中で、主に合成ガスから成る気相(19)、水相(20)及びカラム(16)中に返送される液体のC−炭化水素相(21)に分離する。気相(19)は、場合によっては部分的に反応器(3)中に返送することができる。同様に好ましくは、炭化水素流(24)の一部を反応器(3)中に返送することができる。場合によっては、装置(5)及び(7)は1個の機構から構成することができる。さらに場合によっては、カラム(10)及び(13)を1個のカラムに置き換えることができる。場合によっては、反応容器の一部を、フィルター(25)を介して反応圧下で循環させて、ビスホスフィット−リガンドIの不溶性の分解生成物(Folgeprodukte)を、反応系から除去する。反応溶液中での合成ガス不足を防止するために、濾過装置中での滞留時間を制限しなければならない。濾過装置中での滞留時間は5〜10分の範囲、特に2〜5分の範囲、殊に好ましくは2分以内である。
【0043】
さらに場合によっては、この濾過装置(25)への供給流を冷却する。これに関して、反応温度を下回って、5〜20℃の供給流の温度減少、特に20℃〜30℃の温度減少、特に好ましくは30℃〜40℃の温度減少に調整する。濾過は連続的又は断続的に実施することができる。
【0044】
以下において、ヒドロホルミル化混合物の個々の後処理工程を、詳細に記載する。
【0045】
連行された液滴の分離除去
気体の反応搬出物は、微小の液滴を含有しており、この場合、これは、触媒系を含むものである。触媒損失量、特にロジウムの損失量を最小限にするために、この滴を、エーロゾル破砕機を介して気相から分離する。エーロゾル破砕機として、内部構造物を備えた容器、例えばデミスタ、サイクロン型分離器、薄層分離器(Lamellenabscheider)、塔充填物、キャンドルフィルターを使用する。
【0046】
エーロゾル破砕機は、好ましくは反応器圧及び反応器温度で運転される。99.9%を上回って、特に99.99%を上回って、連行された液体を分離することは好ましい。分離された液体は、反応器中に返送される。エーロゾル破砕機から搬出された気相において、検出限界0.1ppmを下回るロジウム含有量が存在する。
【0047】
凝縮及び相分離
気対反応混合物の部分凝縮は、常用の工業的凝縮器、例えば管巣型熱交換器又はプレート型熱交換器中で実施することができる。凝縮は3〜90℃の温度範囲で、好ましくは15〜60℃の温度範囲で実施する。凝縮熱を排出するための冷却剤として、例えば空気、水又はブライン(Kuehlsole)を使用することができる。これに関してこの圧力は、ヒドロホルミル化反応器中のものよりも低く、かつ、後続のカラム中での圧力よりも低い。
【0048】
部分凝縮後に、後続の容器中で液相を気相から分離する。
【0049】
この気相は、過剰の合成ガスの大部分を含有する。さらに、成分の部分圧にしたがって、液相中に他の材料を含有する。気相中で、合成ガスに加えて主にC−炭化水素及び少ない割合でC−アルデヒドが含まれる。
【0050】
気相は、ガス圧縮器の吸い込み側へ導かれる。ガス相の大部分(約99%)は、ヒドロホルミル化反応器中に返送される。残りの部分は圧縮器の後方で、分離カラム(10)中に供給する。好ましくは、圧縮器の保護のために、ガスに含まれる液滴を、例えばエーロゾル破砕機の使用下で除去する。
【0051】
液相は、生成物の大部分、出発材料及び溶解された合成ガスを含有する。液相の組成に関する例:ブタン50〜60%、ブテン3〜10%、ペンタナール30〜40%、2−メチルブタナール2〜8%、CO 0.5〜2%、水<1%。これはカラム(10)中に導入される。
【0052】
カラム(10)、(13)、(16)中での蒸留的後処理
材料混合物の分離は、好ましくは3個のカラム中で実施する。このカラムは、内部構造物を備えていてもよく、この場合、これは棚段、回転式内部構造物、不規則充填物及び/又は規則充填物から成るものである。
【0053】
塔の棚段として、例えば以下の型を使用することができる:
−トレイの形で孔又はスリットを有する棚段
−鐘、キャップ又は蓋により覆われている、首又はチムニーを備えた棚段
−可動式の弁により覆われている、トレイの形で孔を有する棚段、
−特別な構造物を備えた棚段。
【0054】
回転式内部構造物を備えたカラム中で、還流を、例えば回転式漏斗によりまき散らすか、あるいは、ローターを用いて薄層として加熱された管壁に拡げた。
【0055】
本発明による方法において、すでに示したように、種々の塔充填物有する不規則充填物を備えたカラムを使用することができる。塔充填物は、ほぼすべての原材料、特に鋼、特殊鋼、銅、炭素、陶器、陶磁器、ガラス又はプラスチックから成っていてもよく、かつ異なる形、特に球状、平坦又は溝付けされた表面を有する環状、内部アーチ又は壁突出部を有する環状、金網状、サドル状及びらせん状を示す。
【0056】
規則/配列形状を有する充填物は、例えば、ブリキ又は織物から成るものであってもよい。このような充填物のための例は、金属又はプラスチックからのスルザー繊維パッキングBX、金属片からのスルザー薄片パッキング、スルザー高性能パッキング、例えばメラパックプラス(Mella-pakPlus)、構造パッキング、スルザー社(Sulzer Optiflow)、モンツ社(Montz BSH)及びキューニ社(Kuehni Rombopak)の構造パッキングである。
【0057】
カラム(10)中での予備分離
カラム(10)中で、反応器中に返送されない気相(8)の一部分及び液相(9)を、生成物及び少ない割合のC−炭化水素から成る塔底生成物(12)と、合成ガス及び大部分のC−炭化水素を含有するが、生成物を含有することのない塔頂生成物(11)に分離する。
【0058】
カラム(10)は、10〜13の理論段、特に25〜35の理論段を有する。液相は、15〜25の理論段、好ましくは20〜22の理論段中に導入される。気相(8)は、15〜25理論段、好ましくは20〜22の理論段中に導入する(段番号付け上部1→下部25)。
【0059】
供給流は、10〜125℃、特に40〜100℃、殊に好ましくは80〜90℃の温度を有していた。
【0060】
カラム(10)は、好ましくは1〜2MPa、特に好ましくは1.6〜1.8MPaの範囲の圧力で運転する。
【0061】
塔頂温度及び塔底温度は、圧力依存的である。1.6〜1.8MPaの圧力の場合には、塔頂温度は95〜105℃であり、かつ塔底温度は125〜140℃である。
【0062】
この条件下で凝縮可能な割合(C−炭化水素)に対する還流比は0.5〜3、特に1〜2の範囲である。
【0063】
カラム(13)中での分離
カラム(13)中で、塔底生成物(12)から、生じたC−炭化水素を塔頂生成物として分離する。
【0064】
カラム(13)は、5〜20理論段、特に8〜15理論段を有する。液相(12)は、5〜12の理論段、特に6〜9の理論段中に導入する。
【0065】
カラム(13)は、好ましくは0.1〜0.8MPa、特に0.4MPaの範囲の圧力で運転する。
【0066】
塔頂温度及び塔底温度は、圧力依存的である。圧力が0.4MPaである場合には、塔頂温度は45℃であり、かつ塔底温度は160℃である。
【0067】
還流比は、0.5〜3の範囲、特に好ましくは1.25〜2の範囲である。
【0068】
塔底生成物(14)として、95%を上回るまで、好ましくは97%を上回り、特に好ましくは98%を上回ってC−アルデヒドから構成される混合物が得られる。さらに、この混合物は、ペンタノール及びペンタナールから形成された高沸点生成物を含有していてもよい。n−ペンタナールの含有率は少なくとも90%である。
【0069】
カラム(16)中での分離
カラム(16)は、合成ガス、C−炭化水素及び水の分離に役立ち、この場合、水は、出発材料によってもたらされたか、及び/又は、副反応、例えばアルデヒドのアルドール縮合によって生じたものである。
【0070】
カラム(16)は、5〜25理論段、特に10〜20の理論段を有する。カラム(10)及び(13)の双方のカラムの塔頂生成物(11)及び(15)を、1〜5の理論段、特に1〜3の理論段に導入する。供給温度は、好ましくは40〜100℃である。
【0071】
カラム(16)は、好ましくは1.5MPaで運転する。これに関して、塔底温度は100℃である。塔頂温度は約93℃である。
【0072】
塔頂生成物(17)は凝縮され、かつ約5℃に冷却した後に、分離容器(18)中で、気相(19)、水相(20)及び有機相(21)に分離し、これを還流としてカラム(16)中に導入する。
【0073】
さらに代替的に、流(17)を塔頂生成物(11)及び(15)と一緒に精製することができる。5℃に冷却した後に、この流を気相(19a)、水相(20a)及び有機相に分離し、これをカラム(16)中で還流として塔頂に導入することができる。
【0074】
流(19)、(20)及び(24)の使用
気相(19)は合成ガス、不活性ガス、例えば窒素又は二酸化炭素及び水蒸気から成る。これは、不活性ガス量に依存して、部分的にヒドロホルミル化反応器中に返送される(3)。残りの部分、好ましくは全量を、熱的又は物質的に使用することができる。分離したガスは、好ましくは熱ガスとして使用することができる。ガスの他の利用は、例えば交換による例えば水素の獲得である。
【0075】
分離された水(20)は捨てるか、あるいは、場合によってはプロセス水として使用する。
【0076】
炭化水素混合物(24)は、主にブタンから成る。このブタン含有量は、出発材料中のブタン含有量及び直鎖ブテンの変換率に依存する。好ましくは、ブタン含有量は、80%を上回り、特に好ましくは90%を上回る。さらに、流(24)は、生成物、特にn−ペンタナールの少ない量を含有することができる。生成物の含有量は10質量ppmを下回り、好ましくは1質量ppmを下回る。
【0077】
流(24)の一部は、ヒドロホルミル化反応器(3)中に返送するが、但し、ヒドロホルミル化反応器(3)中に導入されたすべての炭化水素混合物(新鮮な出発材料(2)、部分的に返送された流(8)及び(24)からの炭化水素の合計)は、15質量%を上回り、好ましくは20質量%を上回り、特に好ましくは25質量%を上回る直鎖ブテンの含有量を有する。この流は、図1には示されていない。
【0078】
流(24)は、加熱目的のために使用することができる。他の後処理をすることなしに、これは、アセチレン又は合成ガスを製造するために使用することができる。ブテンの水素化後に、純粋なブテンに後処理することができ、これは、エーロゾルのための発泡剤として使用される。さらに、純粋なn−ブタンは、マレイン酸無水物を製造するために使用する。
【0079】
目的生成物(14)の使用
塔底生成物(14)は、すでに記載したように、C−アルデヒド、少量のC−アルコール及び1%未満の高沸点生成物から成っており、そのまま使用するか、さらに後処理をするか、あるいは、蒸留分離することができる。蒸留によって、純粋なn−ペンタナール(Sp. 102-103 °C)、純粋な2−メチルブタナール(Sp.91-92 °C)、2−メチルブタノール(Sp. 129 °C)及びn−ペンタノール(Sp. 138 °C)を獲得することができる。
【0080】
−アルデヒドは、相当するアルコールに水素化することができる。その酸化は、相当するカルボン酸を導く。
【0081】
−アルデヒドのアルドール縮合によって、デセナール混合物を製造することができる。さらに、出発材料として付加的に、代替的な製造方法、例えば対応する出願「ヒドロホルミル化によるC−含有炭化水素流からの1−ブテンの分離方法(Verfahren zur Abtrennung von 1-Buten aus C4-haltigen Kohlenwasserstoffstromen durch Hydroformylierung)」のような方法から得られるC−アルデヒド流を使用することができる。アルドール縮合は、公知方法にしたがって実施することができる。特にDE 199 57 522に記載のようにして実施する:デセナール混合物は、デカノール混合物、要求される可塑剤アルコールに水素化される。水素化は同様に公知方法で、例えば170〜200℃の温度範囲で、15〜30バールの圧力で、活性成分としてニッケル、銅及びクロムを含有する担持触媒上で実施する。
【0082】
好ましくは、少なくとも90%の2−プロピルヘプタノール含有量を有するデカノール混合物を製造する。したがって、n−ペンタナール/2−メチルブタナール比が90:10を下回る場合には、アルドール縮合の前に、2−メチルブタナールの一部を分離する。
【0083】
さらに、塔底生成物(14)から、アルドール縮合、この縮合物のデカナールへの選択的水素化及び引き続いての酸化によって、高い割合の2−プロピルヘプタン酸を有するデカン酸混合物を生じる。
【0084】
液相反応体相の後処理
生成物相の完成後に、反応混合物中のブタン、ブテン及びアルデヒドの含有量を、循環ガスを用いて減少することができる。引き続いて、反応器内容量を、薄層蒸発器を介して減少させることができる。蒸留物と塔底生成物との比は2:1、好ましくは5:1であり、かつ特に好ましくは7:1またはそれ以上でなければならない。塔底流は、なおも室温で液体でなければならず、かつ何ら沈殿物を生じることはない。供給流に存在するロジウムの少なくとも90%が、塔底生成物中に存在する。このようにして処理されたロジウム含有塔底生成物は、ロジウム−再生工程に導くことができる。蒸留相は、他の物質的活用に導くことができ、かつ、例えば、高沸点溶剤としての使用、合成ガス製造のための供給材料として、硫酸製造のための出発燃料として、あるいは、燃料の分野における使用が見出される。場合によっては、液体の反応体相を、連続的操作において反応器から搬出し、かつ上記に示す後処理に導くことができる。
【0085】
以下の例は、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲に基づいてその適用の範囲を制限することなしに、本発明を説明するものである。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明による方法の工程を示す図
【0087】

ブテン/ブタン−混合物のヒドロホルミル化は、連続的に運転される試験装置中で実施される。この試験装置は、本質的に20l容量の圧力反応器から成り、この場合、これは後続の凝縮器及び反応器から生じる気相のための相分離容器(ガス/液体)並びに循環ガス圧縮機を備えており、この場合、この気相は、相分離容器から再び反応領域に下方から返送される。この循環ガスの一部分は、相分離により反応系からの搬出ガスとして連行される。反応器系中での最適化されたガス分布を実現するために、ここで、ガス分布は、孔により遮断される。取り付けられた加熱装置及び冷却装置を介して、反応器を温度調節することができる。
【0088】
ヒドロホルミル化前において、反応系は、窒素を用いて酸素不含でリンスする。引き続いて、反応器を12lの触媒溶液で充填する。
【0089】
この触媒溶液は、ビフェニルエーテル及びジフェニルエーテル(Diphyl(R)、ヒートキャリアオイル、Lanxess )から成る共融混合物 12kg、Rh(acac)(CO) 3g、ビスホスフィット−リガンドI 36g、アミンIIb 67.5gから構成され、かつ予め容器中で混合する。ビフェニルエーテル及びジフェニルエーテルからの共融混合物(Diphyl(R))を、予め窒素でストリッピングして、酸素及び水を、ヒートキャリアオイルから除去する。
【0090】
引き続いて、反応系を、窒素不含の合成ガスを用いてリンスする。<10体積%の窒素含有量に低下した後に、反応系を合成ガスを用いて1.0MPaに加圧し、かつ引き続いて120℃に加熱した。
【0091】
運転温度に達した後に、反応系を合成ガスを用いて1.7MPaの反応圧に導いた。
【0092】
その後に、出発材料の供給を開始した。粗ブタンを、蒸発器を介して運搬し、粗ブタンを気体の形で循環ガスに導く。
【0093】
以下の流量に調整した:
0.3kg/hの粗ブタン(35%の2−ブテン及びn−ブテンならびに1−ブテンからの混合物、約1%濃度)、75Nl/hの合成ガス(50体積%のH及び50体積%のCO)。ビスホスフィット−リガンドI及びアミンIIbの一日あたりの用量に対して、n−ペンタナール中のビスホスフィット−リガンドIの1.4%濃度の溶液を添加し、これは予め窒素にストリッピングによって、残りのC−炭化水素(<3%)を除去したものである。このアミンIIbを、3倍のモル過剰量で、ビスホスフィット−リガンドIに添加した。この溶液の安定化改善のために、アミンIIbを、ビスホスフィット−リガンドIより前に、溶液に供給した。
【0094】
約1000hの後に定常状態に達した。反応生成物は、連続的に循環ガス流を介して反応器から除去され、かつ凝縮器中で、50℃で部分的に凝縮した。凝縮された相を連続的に相分離容器から連行した。変換率測定のために、反応器の前及び後において循環ガスから試料を取り出した。
【0095】
前記に示す100gの溶液の一日あたりの用量によって、変換率及び位置選択性を一定に保持することができる。
【0096】
反応器内容量を測定するために、試料を反応器から取り出し、かつ液体クロマトグラフィー(HLPC)を用いて試験した。
【0097】
選択された反応条件下で、おおよそ65〜70%前後のブテン変換率が達成された。n−ペンタナールと2−メチルブタナールとの間の分布(%)、すなわち、n/iso−選択比は95%:5%になる。
【0098】
試験の定常状態において、ロジウム分解はみられない。
【0099】
試験の終了後に反応器を放圧し、かつ触媒溶液を試験した。反応器中で、沈澱物が生じた。この沈澱物の分析は、ビスホスフィット−リガンドIの燐含有分解物及び添加されたアミンIIbから成るものであることを示した。
【0100】
反応器中における、この沈澱のケーギングは何ら確認されなかった。反応器内容量の一部分は、沈澱物の分離後に、1.2KPaの絶対圧で、かつ220℃の塔底温度で、供給量に対して13%に減少した。塔底から得られた残留物は、なおも流動性であり、これは沈澱が生じないことが確認された。
【0101】
ロジウム分析は、供給材料からの全ロジウムが、この塔底残留物中に存在することを示した。
【符号の説明】
【0102】
1 合成ガス、 2 出発材料、 3 ヒドロホルミル化反応器、 4 気体流、 5 装置、 7 分離容器、 8 気相、 9 液相、 10 蒸留カラム、 11 塔頂生成物、 12 塔底生成物、 13 カラム、 14 塔底生成物、 15 塔頂生成物、 16 カラム、 17 塔頂生成物、 18 分離容器、 19 気相、 20 水相、 21 C−炭化水素相、 24 炭化水素流、 25 フィルター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
末端ヒドロホルミル化により異性化条件下で、直鎖ブテンを含有する炭化水素混合物からC−アルデヒド混合物を製造する方法において、この際、ロジウム、一般式Iのビスホスフィット−リガンド及び一般式IIのアミンを含有する触媒系を使用する、前記方法。
【請求項2】
炭化水素混合物が、Cオレフィン留分に対して5質量%までのイソブテンを含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
炭化水素混合物が、1:10よりも少ない1−ブテン残量対異性体2−ブテンの比を含有する、請求項1及び2に記載の方法。
【請求項4】
ロジウム対一般式Iのビスホスフィットのモル比が1:2〜1:5の範囲である、請求項1から3までに記載の方法。
【請求項5】
一般式Iのビスホスフィット対一般式IIのアミンのモル比が0.1:10〜10:1の範囲である、請求項1から4までに記載の方法。
【請求項6】
反応混合物中のロジウムの濃度が、反応混合物の全質量に対して1質量ppm〜1000質量ppmである、請求項1から5までに記載の方法。
【請求項7】
直鎖ブテンを含有する炭化水素混合物が、少なくとも90%のn−/iso−選択比でヒドロホルミル化される、請求項1から6までに記載の方法。
【請求項8】
反応を、70〜150℃の温度範囲で実施する、請求項1から7までに記載の方法。
【請求項9】
反応を、1〜20MPaの圧力範囲で実施する、請求項1から8までに記載の方法。
【請求項10】
反応を連続的に実施する、請求項1から9までに記載の方法。
【請求項11】
沈澱した反応生成物を、反応圧下での濾過によって反応器循環から分離する、請求項1から10までに記載の方法。
【請求項12】
濾過における反応溶液の滞留時間が5分未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
濾過への供給流の温度が、反応温度を5〜40℃の範囲で下回る、請求項11及び12に記載の方法。
【請求項14】
濾過を連続的に実施する、請求項11から13までに記載の方法。
【請求項15】
反応混合物を、C−アルデヒド、合成ガス、炭化水素及びロジウム含有残留物に分離する、請求項1から14までに記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−521991(P2011−521991A)
【公表日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512052(P2011−512052)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/055133
【国際公開番号】WO2009/146985
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(398054432)エボニック オクセノ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (63)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Oxeno GmbH
【住所又は居所原語表記】Paul−Baumann−Strasse 1, D−45764 Marl, Germany
【Fターム(参考)】